JP5317448B2 - 巻上機のブレーキ装置 - Google Patents
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一方、ブレーキが吸引状態(ブレーキ非制動状態)においては、制動面とライニングが摺動することを防ぐ為、制動面とライニング間に隙間を空けることが重要となる。
制動部材は、制動解除時には、電磁石機構の電磁コイルの通電により、固定鉄心側に移動して回転ドラムに対する制動を解除する。
このとき、制動部材がガイド部との隙間分、傾く場合がある。
より具体的には、制動解除時に制動部材が固定鉄心側に引かれる際、制動部材がガイド部に当たり、制動部材に設けられた回転機構により制動部材が回転して傾く場合がある。
この傾きによって非制動状態であっても、一部制動面とライニング間の隙間が減少し、ライニングがブレーキ体の制動面に接触する場合がある。そして、これにより制動部材とブレーキ体との擦り音や制動部材のライニングの磨耗が発生する。
回転するブレーキ体に配置されている制動面に対して進退し、前記制動面を押圧して前記ブレーキ体の回転を制動する制動部材と、
前記制動部材に対して隙間を有して配置され、前記制動部材を前記制動面に対して直線状に進退するよう案内するガイド部材と
を備える巻上機のブレーキ装置において、
前記制動部材が前記制動面に対して進退する際の前記制動部材の前記ガイド部材に対する傾きを矯正する弾性体を備えることを特徴とする。
図1は、実施の形態1における巻上機100の全体図(半断面図)である。
図2は、巻上機100に含まれるブレーキ装置101の要部拡大図である。
回転ドラム103の内周側にブレーキ装置101が設けられている。
電磁石機構105は、固定鉄心109と、固定鉄心109に対向した可動鉄心(アマチュア)110と、固定鉄心109に設けられた電磁コイル111と、可動鉄心110を押圧するばね112を有する。
また、可動鉄心110の制動面104側には回転機構107を介して制動部材106(ブレーキシュー)が取り付けられている。制動部材106の先端には回転ドラム103の制動面104に当接する摩擦材であるライニング116が取り付けられている。
回転機構107は、先端部が凸状の球面に形成された球面軸117(第一の球面体)と、この球面と係合する凹状の球面に形成された球面座118(第二の球面体)を有し、球面座118が制動部材106に取り付けられている。
この球面軸117と球面座118は2箇所対称に設けられており、この球面により、制動部材106が可動鉄心110に対して、紙面上の手前と奥方向に回転するようになっている。
軸の球面部に引っ掛けられた板ばね113が、球面座118を挟み込むようにして制動部材106に取り付けられている。
電磁コイルを通電することで励磁されて、可動鉄心110がばね112に抗して固定鉄心109に引き付けられる。これにより、制動部材106が制動面104から離され、制動が解除される。
また、通電を遮断することで励磁されない状態となり、ばね112によって可動鉄心110が押圧され、制動部材106が制動面104を押し付けて回転ドラム103の回転を制動する。
基体には制動部材106を直線状に進退するようにガイド部材(第1ガイド部材114と第2ガイド部材115)が設けられている。このガイド部材に制動部材106が進退方向に案内される。
制動部材106のライニング116が制動面104に押し付けられることで制動トルクを発生させる。このとき、第2ガイド部材115が制動部材106の回転方向の力を受ける。
図4は図1の矢視Bを示す。
エレベータの巻上機100は、駆動綱車122にエレベータのかごを懸吊するロープが巻き掛けられ、ロープの他端にはエレベータのかごの昇降を補助するための重りが懸吊されている。
駆動綱車122は、回転ドラム103の裏側(奥側)に位置し、回転ドラム103と結合している。
巻上機100は、モーター(図示省略)が駆動綱車122を左右に回動してエレベータのかごを昇降し、駆動綱車122に連動して回動する回転ドラム103を内側から押圧して制動することにより昇降させたエレベータのかごを制動する。
第1ガイド部材114a、114bは、制動部材106の進退方向の直角方向に配置され、隙間を隔てて駆動綱車122の軸方向に制動部材106を両側から挟み込むように配置されている。
そして、制動部材106の両側面に弾性体取付台120が設けられ、弾性体取付台120から第1ガイド部材114a、114bに対して弾性体(外側弾性体119、内側弾性体121)が設けられ、第1ガイド部材114a、114bに対して、制動部材106を中心に互いに拮抗している。
弾性体は例えば図に示すようにコイルばねであるが、ゴム状のものでもよく、弾性特性のある部材であればよい。
制動部材106が第1ガイド部材114a、114bに対して直線的に進退する際にこじることがないように、制動部材106と第1ガイド部材114a、114bの間には微小な隙間がある。
そのため、制動部材106が後退して制動解除するとき、または制動部材106が制動面104に向かうときに、回転機構107によって隙間分、制動部材106が傾こうとする。このとき、図6に示すように、弾性体が弾性力により制動部材106に対して互いに拮抗しており、回転機構の回転中心に対するモーメントを互いに拮抗させている。これによって、制動部材106の進退時に制動部材106が傾きかけても傾きを矯正して中立の位置に戻すことができる。この制動部材106の傾きの矯正により、制動解除状態で、制動部材106と回転ドラム103の制動面104との隙間が確保される。
外側弾性体119、内側弾性体121は、それぞれ弾性体取付台120及び第1ガイド部材114a、114bの双方に取り付けられている(連結されている)ことが望ましいが、弾性体取付台120及び第1ガイド部材114a、114bのいずれかに取り付けられ(連結され)、他方には接しているだけであってもよいし、弾性体取付台120及び第1ガイド部材114a、114bの双方に接しているだけであってもよい。
また、例えば、外側弾性体119は、弾性体取付台120及び第1ガイド部材114aの双方に取り付けられ(連結され)、内側弾性体121は、弾性体取付台120及び第1ガイド部材114bの双方に接しているだけであってもよい。また、その逆であってもよい。
更には、図5に示すように、第1ガイド部材114a、114bに凹部123を設け、外側弾性体119、内側弾性体121の先端を凹部123に配置して第1ガイド部材114a、114bに取り付ける(連結する)、又は接するようにしてもよい。
また、制動部材のブレーキ体に対する進退動作をよりスムーズにするなどの効果を得ることもできる。
実施の形態2以降についても同様である。
前記制動面に対向して設けられ前記ブレーキ体を制動する制動部材と、
前記巻上機に設けられ、前記制動部材を前記ブレーキ体に対して進退させる電磁石機構と、
この制動部材の進退方向の直角方向の両側面に隙間を有して配置され、前記制動部材を直線状に案内するガイド部材と、
前記制動部材と前記電磁石機構との間に設けられ、前記制動部材の進退方向の直角方向に対して前記制動部材を回転する回転機構と、
前記制動部材の進退するときに、前記回転機構によって生じた前記制動部材の傾きを弾性力で矯正する弾性体と、を備えた巻上機のブレーキ装置について説明した。
図7は実施の形態2に係るブレーキ装置を示すもので、図3相当の図である。
なお、図7では、説明上不要なので、駆動綱車の図示は省略している。
実施の形態2に係るブレーキ装置は、実施の形態1のブレーキ装置に対して、弾性体であるコイルばねの弾性力を調整する調整手段を設けたものである。
調整手段は調整ボルト124を弾性体に当接させて、調整ボルト124の回転量即ち進退量を調整することで、コイルばねの縮み量を変え弾性力を調整する。外側弾性体119(図の下側)と内側弾性体121(図の上側)は、制動部材106の進退方向に対して互いに離れた位置に配置する。
調整ボルト124は、外側は第1ガイド部材114aに、内側は制動部材106の側面にある弾性体取付台120にねじ込まれている。
第1ガイド部材114aには、内側弾性体121の調整ボルト124を調整できるように調整用穴125が設けられている。これによって、調整ボルト124を外側より調整できる。
外側弾性体119、内側弾性体121が組み込まれた状態で弾性力に差異があった場合、制動部材106は弾性力の大きい側へ傾いてしまう。
実施の形態2によれば、調整ボルト124により外側弾性体119及び内側弾性体121の弾性力を調整することによって、図8に示すように、回転機構107の回転中心に対する制動部材106のモーメントを均等にし、制動面104に対する制動部材106の傾きを抑制し、制動面104との隙間を確実に確保できる。
図9、10は実施の形態3に係るブレーキ装置101の要部を示す。
図9は、図3相当の図であり、図10は図9の矢視Cの片側半分を示した図である。
なお、図9では、説明上不要なので、駆動綱車の図示は省略している。
実施の形態3のブレーキ装置は、実施の形態1のブレーキ装置に対して、弾性体の構造が異なるものである。
実施の形態3の弾性体は板ばね126である。
板ばね126は、球面軸117(第一の球面体)の球面部に上下対称に取り付けられている。そして、球面座118(第二の球面体)の縁部に当接して球面座118を押え付けている。
制動部材106の傾きとともに球面座118も傾く。
このとき、一方の板ばね126の弾性力が大きくなり、他方の板ばね126の弾性力が小さくなり、制動部材106の傾きを矯正する。
これによって、実施の形態1と同様に、制動解除状態で、制動部材106と回転ドラム103(ブレーキ体)の制動面104との隙間が確保される。
図11は、実施の形態4に係るブレーキ装置101の要部を示す図で、図9に相当する図である。
なお、図11では、説明上不要なので、駆動綱車の図示は省略している。
実施の形態4のブレーキ装置は、実施の形態3のブレーキ装置に対して、弾性体である板ばね126の弾性力を調整する調整手段を設けたものである。
板ばね126は、球面軸117の球面部に取り付けてあり、縁部に調整ボルト127が取り付けられている。調整ボルト127の先端に球面座118が当接されている。
調整ボルト127の回転量即ち進退量により、板ばね126の弾性力を調整する。
これによって実施の形態2と同様に、板ばねの弾性力に誤差があっても、制動面104に対する制動部材106の傾きを抑制し、制動面104との隙間を確実に確保できる。
図12、13、14は、実施の形態5に係る巻上機を示す。
図12は、巻上機の全体図(半断面図)である。図13は、ブレーキ装置101の要部拡大図である。図14は、図12の矢視Dの要部拡大図である。
実施の形態2と同様に、制動部材106は、第一辺と、この第一辺に対向した第二辺と、前記第一辺にほぼ直交した第三辺と、この第三辺に対向した第四辺とを有している。
ガイド部材(第1ガイド部材114、第2ガイド部材115)は、第一辺、第二辺、第三辺、第四辺に隙間を有して対面した辺を有して制動部材106を直線状に案内する。
制動部材106の第2ガイド部材側は、凹部に形成され、凹部に側面弾性体128が設けられている。側面弾性体128は制動部材106にねじ込まれた調整ボルト129及び止メナット130によって弾性力を調整できるようになっている。
凹部の両側に第1ガイド部材側の弾性体(外側弾性体119、内側弾性体121)が実施の形態2と同様に設けられている。図12及び図13では示されていないが、内側弾性体121が、外側弾性体119が配置されていない方の弾性体取付台120に外側弾性体119とは反対の向き(紙面の裏面向きに)配置されている。
このように、本実施の形態に係るブレーキ装置では、少なくとも六つの弾性体が、各々、制動部材106の四つの辺とガイド部材(第1ガイド部材114、第2ガイド部材115)の対向する四つの辺との間に配置されている。
そして、各々の弾性体が、制動部材106の対応する辺とガイド部材の対応する辺とから押圧され、相互に拮抗している状態で制動部材106の対応する辺とガイド部材の対応する辺との間に配置されている。
回転機構107は1箇所であるため構造が簡単である。
また、制動部材106の進退方向から視てほぼ中央に回転機構が1箇所に設けられている。これにより、制動部材106が、進退方向に対して一つの回転中心で3次元的に回転可能な状態で、ガイド部材に案内されて進退するため、ガイド部材とのこじりが抑制され進退動作が安定する。
図15、16、17は、実施の形態6に係る巻上機を示す。
図15は巻上機の全体図(半断面図)である。図16は、ブレーキ装置の要部拡大図である。図13は、図17の矢視Eの要部拡大図である。
球面軸117には、先端に固定軸135が制動部材106を貫通するように設けられている。
固定軸135の先端部と制動部材106との間にばね136が設けられている。このばね136の引っ張り力により、球面軸117が球面座118を挟み込むように制動部材106側へ押し付けられる。これにより、制動部材106が電磁石機構105に回転可能に取り付けられる。
弾性体は、板ばね133で構成されている。板ばね133は、球面軸117と球面座118に適合するようにドーナッツ状に形成される。板ばね133は、球面軸117の球面部に取り付けてあり、縁部に調整ボルト134が取り付けられている。
調整ボルト134の先端に球面座118が当接されている。
調整ボルト134は円周方向の3箇所で等間隔に設けられている。このように調整ボルト134が円周方向の3箇所で等間隔に設けられていることにより、板ばね133が、ほぼ等間隔に3箇所において球面軸117を球面座118に押し付けていることになる。
この調整ボルト134は4箇所以上でもよいが、3次元的な調整をするには少なくとも3箇所あればよい。
以上により、構造が簡単で省スペースであるとともに、実施の形態5と同様な効果を奏する。
Claims (7)
- 回転するブレーキ体に配置されている制動面に対して進退し、前記制動面を押圧して前記ブレーキ体の回転を制動する制動部材を備える巻上機のブレーキ装置において、
前記制動部材に対して隙間を有して前記制動部材の進退方向の直角方向に配置され、隙間を隔てて前記巻上機の駆動綱車の軸方向に前記制動部材を両側から挟み込み、前記制動部材を前記制動面に対して直線状に進退するよう案内する二つのガイド部材と、
一方のガイド部材と前記制動部材との間に配置されている少なくとも一つの弾性体と、他方のガイド部と前記制動部材との間に配置されている少なくとも一つの弾性体とを備え、
前記一方のガイド部材及び前記他方のガイド部材の少なくともいずれかに凹部を備え、
少なくともいずれかの弾性体の先端が、前記凹部内に配置されていることを特徴とする巻上機のブレーキ装置。 - 回転するブレーキ体に配置されている制動面に対して進退し、前記制動面を押圧して前記ブレーキ体の回転を制動する制動部材を備える巻上機のブレーキ装置において、
前記制動部材に対して隙間を有して前記制動部材の進退方向の直角方向に配置され、隙間を隔てて前記巻上機の駆動綱車の軸方向に前記制動部材を両側から挟み込み、前記制動部材を前記制動面に対して直線状に進退するよう案内する二つのガイド部材と、
一方のガイド部材と前記制動部材との間に配置されている少なくとも一つの弾性体と、他方のガイド部と前記制動部材との間に配置されている少なくとも一つの弾性体とを備え、
前記一方のガイド部材と前記制動部材との間に配置されている弾性体と、前記他方のガイド部と前記制動部材との間に配置されている弾性体とが、前記制動部材の進退方向において離間して配置されていることを特徴とする巻上機のブレーキ装置。 - 各々の弾性体が、前記制動部材が前記制動面に対して進退する際に前記制動部材が前記二つのガイド部材の少なくともいずれかに接触することにより生じる前記制動部材の傾きを矯正することを特徴とする請求項1又は2に記載の巻上機のブレーキ装置。
- 前記制動部材は、回転機構を介して前記巻上機の電磁石機構に取り付けられており、
各々の弾性体が、前記制動部材が前記制動面に対して進退する際に前記制動部材が前記二つのガイド部材の少なくともいずれかに接触することにより前記回転機構が回転して生じる前記制動部材の傾きを矯正することを特徴とする請求項3に記載の巻上機のブレーキ装置。 - 各々の弾性体が、前記一方のガイド部材又は前記他方のガイド部材と前記制動部材とから押圧され、相互が拮抗している状態で前記一方のガイド部材又は前記他方のガイド部材と前記制動部材との間に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻上機のブレーキ装置。
- 少なくともいずれかの弾性体が、前記一方のガイド部材又は前記他方のガイド部材と連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻上機のブレーキ装置。
- 前記巻上機のブレーキ装置は、更に、
各々の弾性体の弾性力を調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の巻上機のブレーキ装置。
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