JP4711574B2 - 制動方法及び制動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体の制動方法及び制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転体に制動力を与えて該回転体を制動する装置の一形態として、例えば特開平2000−289954号公報に提案されているものがある。この制動装置は、回転体に接離可能な制動部材と、該制動部材を回転体に押圧するばねと、該ばねの付勢力に抗して制動部材を離間位置(非制動位置)に保持する電磁石装置とを備えている。
【0003】
この制動装置では、回転体の回転時、電磁石装置を駆動状態(通電状態)に設定し、この電磁石装置によって制動部材を非制動位置に保持する。回転体に制動を加える場合、電磁石装置を非駆動状態(非通電状態)に切り換え、電磁石装置から制動部材を解放する。解放された制動部材は、ばねの付勢力により回転体に当たり、この回転体に当たった状態(制動位置)で該回転体に必要な制動を与える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この制動装置では、非制動位置にある制動部材は回転体から十分に離間している。そのため、電磁石装置から解放された制動部材は、非制動位置から制動位置に移動するまでの間に十分加速され、その結果、制動部材が回転体に当たったときに非常に大きな衝撃音(例えば、70〜80dB)を発する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、制動時に制動部から回転体に加わる衝撃が非常に低い制動方法及び制動装置を提供することを目的とする。
【0007】
この目的を達成するため、本発明は、所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動方法において、
上記制動部を上記回転体に向けて付勢する第1と第2のばねを用意し、
まず、上記第1と第2のばねを共に無効化して上記制動部を第1の位置に保持し、
次に、上記第1のばねを有効化し上記第2のばねを無効化して上記制動部を上記第1の位置よりも上記回転体に接近した又は上記回転体に実質的な制動力を与えない程度に上記制動部が上記回転体に接触した第2の位置に保持し、
続いて、上記第1と第2のばねを共に有効化して上記制動部を該制動部が上記回転体を制動する第3の位置に移動することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の形態は、所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動装置において、
上記制動部を上記回転体に向けて付勢する第1と第2のばねと、
上記第1と第2のばねを共に無効化する第1の設定手段と、
上記第1のばねを無効化し且つ上記第2のばねを有効化する第2の設定手段と、
上記第1と第2のばねを共に有効化する第3の設定手段とを有し、
上記第1と第2のばねの付勢力は、
上記第1のばねが無効化され且つ上記第2のばねが有効化された状態で、上記第1と第2のばねが共に無効化された状態における上記制動部の位置よりも、上記制動部を上記回転体に接近させ、
上記第1と第2のばねが共に有効化された状態で、上記第1のばねが無効化され且つ上記第2のばねが有効化された状態よりも、上記制動部を上記回転体に更に接近させるように設定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明はまた、所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動装置において、
上記制動部を上記回転体に向けて付勢する第1と第2のばねと、
上記第1のばねを無効化する第1の作動手段と、
上記第2のばねを無効化する第2の作動手段とを有し、
上記第1と第2のばねの付勢力は、
上記第1のばねが無効化され且つ上記第2のばねが有効化された状態で、上記第1と第2のばねが共に無効化された状態における上記制動部の位置よりも、上記制動部を上記回転体に接近させ、
上記第1と第2のばねが共に有効化された状態で、上記第1のばねが無効化され且つ上記第2のばねが有効化された状態よりも、上記制動部を上記回転体に更に接近させるように設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の形態は、所定の軸を中心に回転する回転体を制動する制動装置において、
上記回転体に向かって進退自在に支持された制動部と、
第1のばねと第2のばねとを有し、上記制動部を上記回転体に向かって付勢する付勢手段と、
上記制動部に固定された第1のアマチュアと、
上記第1のばねと第2のばねとの間に設けた第2のアマチュアと、
上記第1のアマチュアを保持して上記第1と第2のばねが上記制動部に及ぼす付勢力を無効化する作動状態と、上記第1のアマチュアを解放して上記第1と第2のばねが上記制動部に及ぼす付勢力を有効化する非作動状態との間で状態を切り換える第1の作動手段と、
上記第2のアマチュアを保持して上記第2のばねが上記制動部に及ぼす付勢力を無効化する作動状態と、上記第2のアマチュアを解放して上記第2のばねが上記制動部に及ぼす付勢力を有効化する非作動状態との間で状態を切り換える第2の作動手段と、
上記第1の作動手段が非作動状で上記第2の作動手段が作動状態にあるとき、上記第1のばねが上記制動部を上記第1の位置よりも上記回転体に近い第2の位置に保持し、
上記第1の作動手段と第2の作動手段が共に非作動状態にあるとき、上記第1と第2のばねが上記制動部を上記第2の位置よりも上記回転体に近く且つ上記制動部が上記回転体に制動力を与える第3の位置に保持することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の形態は、上記制動部が、一端で回転自在に支持されたアームに設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の形態の制動装置は、上記制動部が、回転体の接線方向に沿って、上記回転体に進退自在に支持されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の形態の制動装置は、上記回転体が内周面を有する構造体からなり、上記制動部が上記回転体の内周面に向かって進退自在であることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の形態の制動装置は、上記回転体が外周面を有する構造体であり、上記制動部が上記回転体の外周面に向かって進退自在であることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の形態の制動装置は、上記第1又は第2の作動手段の少なくともいずれか一方が電磁石であり、上記電磁石で保持されるアマチュアが磁性部材であることを特徴とする。
【0016】
本発明の制動方法は、所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動方法において、
まず上記制動部に対向する電磁石とアマチュアを用意し、
続いて電磁石に対して上記アマチュアを非対称に動作させることにより、制動部の一部を上記回転体に接触させ、次に、制動部を全体に接触させることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の形態の制動方法は、所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動方法において、
まず上記電磁石と前記アマチュアとの間に設置された弾性体を用意し、
続いて上記電磁石に対して上記アマチュアを上記弾性体の弾性力により非対称に動作させることを特徴とする。
制動方法。
【0018】
本発明の他の形態の制動方法は、所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動方法において、
上記弾性体の上記アマチュア付勢位置を上記アマチュアの重心からずらすことで上記アマチュアを非対称に動作させることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の形態の制動方法は、所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動方法において、
上記電磁石に対向する上記アマチュアの面に対する上記電磁石の磁気特性を偏らすことで上記アマチュアを非対称に動作させることを特徴とする。
【0020】
本発明の他の形態の制動方法は、所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動方法において、
上記電磁石と上記アマチュアとの間の磁気ギャップを非対称に形成し、
前記アマチュアを非対称に動作させることを特徴とする。
【0021】
本発明の制動装置は、上述の制動方法を用いて上記制動部を上記回転体に接触させることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の複数の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明をエレベータ昇降用巻上装置に適用したものであるが、本発明は種々の産業機器に応用できるものである。
【0023】
〔実施の形態1〕
図1は、エレベータ昇降用巻上装置1の外観を示す。特に図示しないが、巻上装置1はエレベータ昇降路に固定され、エレベータ昇降路内に配置されたエレベータかごを昇降するために利用される。
【0024】
巻上装置1は、水平方向の中心線3を中心とする軸対称な形状の椀型構造体からなるハウジング5を備えており、ハウジング5と一体に形成された固定用脚部7を介してエレベータ昇降路に固定される。
【0025】
図2に示すように、ハウジング5は、内側の空間9に動力装置11と制動装置13を収容している。また、ハウジング5は、これら動力装置11と制動装置13を空間9内に保持するために、背面の開口部を上下方向に横切る支持板15を備えている。
【0026】
動力装置11は、ハウジング5の中心線3に沿って配置され、ハウジング5と支持板15に両端が支持された支軸17を備えている。支軸17は、ベアリング19を介して回転自在に、回転体21を支持している。回転体21は、ハウジング5と同様に椀型の構造体からなり、中心線3を中心として形成された2つの円筒部(内側円筒部23と外側円筒部25)を備えている。内側円筒部23の外周部には周方向に連続した複数の溝27が形成されており、これらの溝27にワイヤ29が架けられている。溝27に架けられたワイヤ29は、脚部7に形成された2つの貫通孔31(図1参照。なお、一方の貫通孔は図面から省略してある。)を介して下方に伸びており、一方の端部にエレベータかご、他方の端部に釣り合い錘が連結されている。外側円筒部25の外周部には、周方向に一定の間隔をあけて複数の電機子33が設けてある。一方、外側円筒部25の外周部に対向するハウジング5の内周部には、周方向に一定の間隔をあけて複数の固定子巻線35が設けてある。これら電機子33と固定子巻線35は、回転体21に回転力を与えるためのモータを構成しており、固定子巻線35に印加する電流の方向を切り換えることにより、回転体21を正逆回転できるようにしてある。
【0027】
図3に示すように、制動装置13は、いわゆる内拡型電磁ブレーキと呼ばれるもので、回転体21における外側円筒部25の内周面(制動面37)に摩擦力を作用させることで該回転体21を制動するものである。そのために、制動装置13は、中心線3を含む垂直面39に左右対称に配置された2つの制動ブロック41を有する。各制動ブロック41は、支軸17と平行な軸43を介して揺動可能に支持された制動アーム45を有する。本実施形態において、制動アーム45は、支軸43寄りの基端側アーム部47と、先端側アーム部49と、これらの間を連結する中間アーム部51を有する。これら3つのアーム部47、49、51は所定の角度をもって一体的に連結されており、各アーム部47、49、51にそれぞれ必要な制動機構が設けてある。
【0028】
具体的に、基端側アーム部47は、制動面37に対向する部分に制動部53を備えている。中間アーム部51は、制動面37に対向する部分の反対側に、磁性材料からなる第1のアマチュア55を備えている。一方、支持板15は、第1のアマチュア55に対向する位置に第1の電磁石(第1の作動手段)57を備えており、この第1の電磁石57の励磁に基づいて第1のアマチュア55を第1の電磁石57に吸引し保持できるようにしてある。先端側アーム部49は、制動アーム45(特に、制動部53)を制動面37に向けて付勢する付勢手段が連結されている。
【0029】
付勢手段は、ほぼ水平方向に向けて直列に接続された2つのばね(第1のばね59と第2のばね61)を有する。第1のばね59は、一端が先端側アーム部49に連結され、他端が第2のアマチュア63に連結されている。第2のばね61は、一端が第2のアマチュア63に連結され、他端が支持板15に連結されている。第2のアマチュア63は、2つのばね59、61の伸縮に応じて水平方向に移動できるように、図示しない案内部材によってガイドされている。また、第2のばね61の近傍には、支持板15に固定された第2の電磁石(第2の作動手段)65が配置されており、この第2の電磁石65の励磁に基づいて第2のアマチュア63が第2の電磁石65に吸引保持できるようにしてある。
【0030】
第1と第2のばね59、61と第1と第2の電磁石57、65は、本発明の目的に応じて設定される。具体的に、第1の電磁石57がその励磁時に制動アーム45に及ぼす吸引モーメントは、第2の電磁石65が消磁した状態で、第1と第2のばね59、61から制動アーム45に加わるモーメントよりも大きく、制動アーム45及び制動部53を制動面37から十分に離れた位置(第1の位置)に保持するように設定される。すなわち、第1の電磁石57は、第1と第2のばね59、61のばね力を実質的に無効化して、制動アーム45の動きを阻止する。
【0031】
第2の電磁石65がその励磁時に発揮する吸引力は、第2のばね61が第2のアマチュア63を付勢するばね力よりも大きく、第2の電磁石65が第2のアマチュア63を保持するように設定される。すなわち、第2の電磁石65は、第2のばね61のばね力を実質的に無効化して、第2のアマチュア63の動きを阻止する。
【0032】
このように、「ばねを有効化する」とは、ばねから制動アーム又はアマチュアに加わる力によって該制動アームが動作する状態におくことをいう。また、「ばねを無効化する」とは、ばねから制動アーム又はアマチュアに加わる力よりも大きな力を電磁石又は他の作動手段が発揮して制動アーム又はアマチュアの動作を阻止する状態におくことをいい、ばねが発揮するばね力を消滅させることを意味するものではない。
【0033】
第1のばね59の自由長は、第2の電磁石65を励磁したまま、第1の電磁石57だけが励磁状態から消磁状態に切り換わったとき、すなわち第1のばね59だけが無効状態から有効状態に切り換わったとき、第1の位置にあった制動アーム45を制動面37に向けて移動し、制動部53を制動面37の極近傍(第2の位置)に保持する長さである。なお、第2の位置において、制動部53は制動面37に非接触であることが望ましいが、制動部53が僅かに制動面37に接触していてもよい。ただし、制動部53が制動面37に接触している状態にあっても、制動部53は実質的な制動力を回転体21に与えないことが望ましい。
【0034】
図5に示すように、第1と第2の電磁石57、65に電力を供給する第1と第2の電源67,69は制動コントローラ(制御装置)71に接続されており、制動コントローラ71から電源67、69に供給される信号に基づいて第1と第2の電磁石57、65が励磁状態と消磁状態に切り換えられる。また、制動コントローラ71は別のエレベータ制御装置73に接続されており、このエレベータ制御装置73から供給される信号に基づいて電源67、69を制御する。
【0035】
具体的に、エレベータ制御装置73から信号が制動コントローラ71に供給されると、制動コントローラ71は図6に示すフローチャートに従って第1と第2の電磁石57、65を動作する。例えば、制動コントローラ71は、エレベータ制御装置73から供給される信号を確認する(ステップF101)。供給された信号が、回転体21に制動力を加えないことを指令する非制動信号の場合、第1の電磁石57を励磁し、第2の電磁石65を消磁する(ステップF102)。上述のように、第1の電磁石57が励磁されているときに該第1の電磁石57から制動アーム45に加わるモーメントは、第1と第2のばね59、61から制動アーム45に加わるモーメントよりも大きいので、第1と第2のばね59、61は無効化され、制動アーム45は第1の位置に留まる。
【0036】
エレベータ制御装置73から制動コントローラ71に供給された信号が、回転体21に制動力を加えることを指令する制動信号の場合、制動コントローラ71は、第1の電磁石57を励磁状態に維持したまま、第2の電磁石65を消磁状態から励磁状態に切り換える(ステップF103:第1の設定手段)。これにより、第2の電磁石65は、第2のばね61の付勢力に抗して、第2のアマチュア63を吸引し、第2のばね61を無効化する。
【0037】
次に、制動コントローラ71は、第2の電磁石65を励磁状態に維持したまま、第1の電磁石57を消磁状態に切り換える(ステップF104:第2の設定手段)。その結果、第1のばね59が有効化され、制動アーム45が制動面37に向けて第1の位置から第2の位置に移動する。第2の位置で、制動部53は制動面37の近傍に位置するか、または実質的に制動面37に制動力を加えない程度に軽く接触した位置にある。
【0038】
続いて、制動コントローラ71は、第2の電磁石65を消磁状態に切り換える(ステップF105:第3の設定手段)。その結果、第2のばね61が有効化され、制動部53が制動面37に強く押圧され(第3の位置)、回転体21に制動力を加える。
【0039】
このように、本実施の形態の制動装置13によれば、非制動時に制動面37から十分に離れた第1の位置に置かれている制動部53が、制動動作に入ると、まず第1の位置よりも制動面37に近い第2の位置に置かれ、その後第3の位置に移動して制動面37に押し付けられる。したがって、制動開始時、制動部53から制動面37に加わる衝撃力、衝撃音が小さい。そのため、回転体21や支軸17に加わる負荷が軽減されるので、これらを比較的低耐衝撃性の安価な材料で構成することができる。
【0040】
なお、第1の位置から第3の位置に移動する制動部53を第2の位置で確実に減速又は停止させるために、ステップF104からステップF105に移るまでの時間を適宜調整し、その時間の終了を待って第2の電磁石65を消磁するのが好ましい。
【0041】
また、本実施の形態では、第1と第2のばね59,61を直列に接続したが、図4に示すように、第1のばね59と第2のばね61を並列に配置してもよい。この場合、制動アーム45は、第2のアマチュア63に対して自由に移動できるように、かつ、第2のばね61に付勢された第2のアマチュア63によって第3の位置に移動するように構成する。そのために、図4に示す形態では、制動アーム45の先端にガイド用ロッド46が固定され、このガイド用ロッド46が第2のアマチュア63に形成したガイド孔64に挿通されており、第2のアマチュア63はガイド用ロッド46にガイドされながら移動するようにしてある。このような形態の場合、各ばねの長さを長くすることができる。その結果、制動アーム45に対する付勢力及び制動力を強くすることができる。
【0042】
〔実施の形態2〕
第1の電磁石57がその励磁時に制動アーム45に及ぼす吸引モーメントは、第1と第2のばね59、61から制動アーム45に加わるモーメントよりも小さいが、第1のばね59から制動アーム45に加わるモーメントよりも大きく設定してもよい。すなわち、第1の電磁石57は、第1のばね59だけを無効化するものであってもよい。この場合、図7のフローチャートに示すように、非制動時は、第1と第2の電磁石57、65を共に励磁してそれぞれ第1と第2のばね61を無効化する(ステップF201、F202:第1の設定手段)。そして、制動時、まず第1の電磁石57のみを消磁して第1のばね59を有効化し(ステップF203:第2の設定手段)、制動アーム45及び制動部53を第1の位置から第2の位置に移動する。次に、第2の電磁石65を消磁して第2のばね61を有効化し(ステップF204:第3の設定手段)、制動アーム45及び制動部53を第2の位置から第3の位置に移動し、制動部53を制動面37に強く押し付けて回転体21に制動力を与える。
【0043】
この実施の形態2の場合、第1の電磁石57が発揮する吸引力を実施の形態1のそれよりも小さくできるので、第1の電磁石57の小型化、第1の電磁石57の消費電力を低下させることができる。
【0044】
〔実施の形態3〕
図8は、本発明を他の制動装置(いわゆる内拡直動型電磁ブレーキ)に適用した例を示す。なお、図面には一つの制動装置しか表示されていないが、実施の形態1と同様に、制動装置113は回転体121の内側に左右対称に配置されている。
【0045】
この制動装置113は、支持板115から水平方向に伸びる一つ又は複数の水平ガイド181を有する。制動スライダ183は制動面137に対向する中央部分に制動部153を備えており、回転体121のラジアル方向(法線方向)に向けて制動面137に進退自在に水平ガイド181に支持されている。制動スライダ183はまた、制動部153の反対側に、第1のアマチュア155を備えており、この第1のアマチュア155が支持板115に固定された第1の電磁石157に吸引されるようにしてある。第1と第2のばね159、161と第2の電磁石165は、制動スライダ183の両端側に設けてある。
【0046】
ばね159、161と第2の電磁石165には、制動スライダ183と支持板115との間に、第2のアマチュア163を介して第1と第2のばね159、161が直列に配置されている。
【0047】
第1と第2の電磁石157、165と第1と第2のばね159、161は、上述した実施の形態1又は2と同様に設定されている。
【0048】
したがって、実施の形態3の制動装置113によれば、第1と第2の電磁石157、165を図6,7のフローチャートに基づいて制御することで、実施の形態1、2の制動装置と同様に、まず制動面137から十分に離れた第1の位置にある制動部153を制動面137の近くの第2の位置に移動し、その後第2の位置から第3の位置に移動して制動部153を制動面137に押圧することができる。そのため、実施の形態1、2と同様に、制動時に制動部153から回転体121に作用する衝撃、また接触時の衝撃音が非常に小さい。
【0049】
〔実施の形態4〕
図9は、本発明を他の制動装置(いわゆる外拡型電磁ブレーキ)に適用した例を示す。この制動装置213は、回転体221を挟んでその両側にそれぞれ配置されている。各制動装置213は、固定支持台215と、支点243を介して固定支持台215に揺動自在に且つ回転体221に進退自在に支持された制動アーム245を有する。制動アーム245は、回転体221との対向部に配置された制動部253と、この制動部253の反対側に設けた第1のアマチュア255を有する。一方、固定支持台215は、第1のアマチュア255に対向する場所に第1の電磁石257を備えており、この第1の電磁石257を励磁・消磁することにより第1のアマチュア255を吸引・解放するようにしてある。第1と第2のばね259、261と第2の電磁石265は、制動アーム245の先端に対向して設けてある。
【0050】
ばね259、261と第2の電磁石265は、実施の形態3で説明したものと同一の構成を有し、制動アーム245と固定支持台215との間に、第2のアマチュア263を介して第1と第2のばね259、261が直列に配置されている。
【0051】
第1と第2の電磁石265と第1と第2のばね259、261は、上述した実施の形態1又は2と同様に設定されている。
【0052】
したがって、実施の形態4の制動装置213によれば、第1と第2の電磁石257、265を図6,7のフローチャートに基づいて制御することで、実施の形態1〜3の制動装置と同様に、まず回転体221の制動面(外周面)237から十分に離れた第1の位置にある制動部253を制動面237の近くの第2の位置に移動し、その後第2の位置から第3の位置に移動して制動部253を制動面237に押圧することができる。そのため、実施の形態1、2と同様に、制動部253から回転体221に作用する衝撃、また接触時の衝撃音が非常に小さい。
【0053】
〔実施の形態5〕
図10は、本発明を他の制動装置(いわゆるディスク型電磁ブレーキ)に適用した例を示す。この制動装置313が対象とする回転体は、軸317を中心に回転自在に支持されたディスク321である。制動装置313は、固定支持部315に固定されており、ディスク321を挟んで対向する一対の支持部316a,316bを有する。一方の支持部316aは、ディスク321との対向部に、ディスク321と微小間隔をあけて配置された第1の制動部353aを備えている。他方の支持部316bは、上述した実施の形態3と同一の構成を有する、水平ガイド381、制動スライダ383、第2の制動部353b、第1のアマチュア355、第2のアマチュア363、第1と第2の電磁石357、365、第1と第2のばね359,361を有する。また、第1と第2の電磁石357,365と第1と第2のばね359,361は、上述した実施の形態1又は2と同様に設定されている。
【0054】
したがって、実施の形態5の制動装置313によれば、第1と第2の電磁石359,361を図6,7のフローチャートに基づいて制御することで、まず制動面337から十分に離れた第1の位置にあった第2の制動部353bを制動面337の近くの第2の位置に移動し、その後第2の位置から第3の位置に移動して第2の制動部353bを制動面337に押圧し、第1と第2の制動部353a、353bによってディスク321を挟持する。そのため、他の実施の形態と同様に、制動時に制動部353bからディスク321に作用する衝撃、また接触時の衝撃音が非常に小さい。
【0055】
なお、上述した複数の実施の形態では、制動アーム又は制動スライダに制動面から離れた場所に保持する作動手段として電磁石を用いている。しかし、本発明の作動手段は電磁石に限るものでなく、種々の公知の作動機構又は手段が利用可能である。例えば、図11は、電磁力を利用した作動手段の一例を示す。この作動手段は、図示しない基台に固定されたコ字状磁性部材501を有する。磁性部材501には永久磁石503が固定されており、これにより磁性部材501を通る磁気回路505が形成されている。第1又は第2のアマチュア507は、巻線509を保持しており、この巻線509が磁気回路505を横切るように配置されている。また、アマチュア507は、図示しないガイド部材によってガイドされており、図面の左右方向に移動可能としてある。さらに、アマチュア507はばね511が連結され、磁性部材501とは反対側に付勢されている。
【0056】
この作動手段によれば、いま図示するように永久磁石503が着磁されている場合、磁気回路505を横切る巻線部分に図面の表面から裏面に向かう方向に電流を印加すると、フレミングの右手法則に従い、巻線509及びアマチュア507にはばね511に向かう方向に力が作用し、ばね511からアマチュア507を介して制動アーム又は制動スライダに作用する力が無効化される。
【0057】
〔実施の形態6〕
図12は、本発明の他の形態の制動装置(内拡直動型電磁ブレーキ)示す。この制動装置613は、円筒回転体621の内周制動面637の内側に左右対称に配置されている。制動面637に対して制動力を与える制動ブロック638は、支持板615に固定されたフレーム616によって、制動面637に向かって進退自在に支持されている。制動ブロック638は、フレーム616にガイドされながら制動面637に接触・離間する制動部653と、制動面637の反対側に配置された、磁性材料からなるアマチュア655を有する。アマチュア655は、制動部653との対向部に球面部691を有する。一方、制動部653のアマチュア対向面には球面部691とほぼ同一形状の球面状支持部693が形成されている。そして、制動部653とアマチュア655は、上述した球面支持部693と球面部691とからなる球面座によって連結され、制動部653に対してアマチュア655が相対的にピボット回転できるようにしてある。
【0058】
アマチュア655と支持板615との間には、支持板615に固定された電磁石657が配置されている。電磁石657は、磁性材料からなる鉄心部658と、鉄心部658の周囲に巻回されたコイル659を有する。また、鉄心部658には、収容孔661が形成されており、制動ブロック638を制動面637に向けて付勢するばね663が収容孔661に収容されている。
【0059】
収容孔661は、制動ブロック638の中心から僅かに偏心して形成されている。具体的に、図12と図13に示すように、回転体621の中心軸と平行な方向をZ方向、回転体621の半径方向と平行な方向をX方向、これらZ方向とX方向に直交する方向をY方向とすると、収容孔661は制動ブロック638の中心からZ方向に偏心している。
【0060】
このような構成を備えた制動装置613の非制動時、電磁石657のコイル659に電流が印加される。その結果、ばね663の付勢力に対向して、アマチュア655が電磁石657の鉄心部658に吸着し、制動部653が制動面637から離間し、回転体621に対する制動を解除する。制動時、電磁石657のコイル659に対する電流の供給を遮断する。これにより、電磁石657が消磁され、アマチュア655と制動部653はばね663の付勢力により制動面637に向かって進み、制動部653が制動面637に接触して回転体621に制動力を与える。このとき、図13に示すように、ばね663が制動ブロック638の中心からZ方向に偏心しているので、ばね663から制動ブロック638に対してZ方向の偏心力が作用する。そのため、制動部653はZ方向の片側(一部)が制動面637に衝突(接触)し、その後、ある時間をあけて制動部653の全体が制動面637に衝突(接触)する。
【0061】
したがって、制動部653の一部が衝突した段階で衝突エネルギが一部失われ、その後全体が衝突するときに残りの衝突エネルギが失われる。そのため、制動部653が制動面637に衝突したときに発生する音は、制動部653の全体が一時に接触したときに生じる衝撃音よりも小さい。
【0062】
以上の説明では、鉄心部658に一つの偏心させたばね収容孔661を形成することで制動ブロック638に対して偏心力を作用させたが、図14に示すように、鉄心部658に複数のばね収容孔661a、661bをX方向とZ方向に対称に形成し、それらのばね収容孔661a、661bに収容するばね663a、663bのばね定数等を変える(図示する例では、ばね663bのばね定数を他方のばね663aのばね定数よりも大きくする)ことで、制動ブロック638に対して偏心力を作用させてもよい。この場合も、上述と同様に、制動部653はZ方向の片側(一部:図示する例では、ばね663bに対向する部分)が制動面637に衝突(接触)し、その後、ある時間をあけて制動部653の全体が制動面637に衝突(接触)するので、制動部653が制動面637に衝突したときに発生する音は、制動部653の全体が一時に接触したときに生じる衝撃音よりも小さい。
【0063】
〔実施の形態7〕
図15は、本発明の他の形態の制動装置(内拡直動型電磁ブレーキ)に含まれる制動ブロックと電磁石を示す。この制動装置713において、アマチュア755に対向して該アマチュア755を吸引する電磁石757のアマチュア吸引面758は、電磁石757の中心からZ方向にある一部のアマチュア吸引面部分をX方向に関して制動面737から後退させて後退面758aが形成されている。したがって、電磁石757を励磁したとき、電磁石757とアマチュア755との間には図示する磁気回路759a、759bが形成され、後退面758a以外の部分にあるアマチュア吸引面(非後退面)758bはほぼアマチュア755に接触し、所定の磁気吸引力が発生する。これに対し、後退面758aの部分では、この後退面758aとアマチュア755との間にある空隙(磁気ギャップ)が磁気回路759a上の磁気抵抗となり、そこに発生する磁気吸引力は非後退面における磁気吸引力よりも小さい。
【0064】
このような構成を備えた制動装置713の非制動時、電磁石757のコイル759に電流が印加される。その結果、ばね763の付勢力に対向して、アマチュア755が電磁石757の鉄心部758に吸着し、制動部753が制動面737から離間し、回転体721に対する制動を解除する。このとき、後退面758aにおける単位面積当たりの磁気吸引力は、非後退面における磁気吸引力よりも小さい。そのため、制動時、電磁石757のコイル759に対する電流の供給を遮断すると、磁気吸引力の弱い後退面758aに隣接するアマチュア部分が非後退面758bに隣接するアマチュア部分よりも早く動き始めると共に、後退面758aに隣接する制動部753の片側(一部)が制動面737に衝突(接触)し、その後、ある時間をあけて制動部753の全体が制動面737に衝突(接触)する。
【0065】
したがって、制動部753の一部が衝突した段階で衝突エネルギが一部失われ、その後全体が衝突するときに残りの衝突エネルギが失われる。そのため、制動部753が制動面737に衝突したときに発生する音は、制動部753の全体が一時に接触したときに生じる衝撃音よりも小さい。
【0066】
〔実施の形態8〕
図16は、本発明の他の形態の制動装置(内拡直動型電磁ブレーキ)に含まれる制動ブロックと電磁石を示す。この制動装置813において、アマチュア855に対向して該アマチュア855を吸引する電磁石857のアマチュア吸引面にはZ方向に3つの鉄心部分858a,858b,858cが等間隔に形成され、各鉄心部分858a,858b,858cに異なる巻数をもってコイル859a、859b、859cが巻回されている。本実施の形態では、図16に示す上部の鉄心部分858aの巻数が一番多く、下部の鉄心部分858cの巻数が一番少なくしてある。したがって、3つのコイルに同一の電流を印加したとき、巻数の最も多い鉄心部分858aに発生する磁気吸引力が最も大きく、巻数の最も少ない鉄心部分858cに発生する磁気吸引力が最も小さくなる。
【0067】
このような構成を備えた制動装置813の非制動時、3つのコイル859a、859b、859cに同一の電流が印加される。その結果、図示しないばねの付勢力に対向して、アマチュア855が電磁石857の鉄心部858に吸着し、制動部853が制動面837から離間し、回転体821に対する制動を解除する。このとき、巻数の最も多い鉄心部分858aに発生する磁気吸引力が最も強く、巻数の最も少ない鉄心部分858cに発生する磁気吸引力が最も小さい。そのため、制動時、コイル859に対する電流の供給を遮断すると、巻数の最も少ない鉄心部分858cに隣接するアマチュア部分が巻数の最も多い鉄心部分858aに隣接するアマチュア部分よりも早く動き始めると共に、巻数の最も少ない鉄心部分858cに隣接する制動部853の片側(一部)が制動面837に衝突(接触)し、その後、ある時間をあけて制動部853の全体が制動面837に衝突(接触)する。
【0068】
したがって、制動部853の一部が衝突した段階で衝突エネルギが一部失われ、その後全体が衝突するときに残りの衝突エネルギが失われる。そのため、制動部853が制動面837に衝突したときに発生する音は、制動部853の全体が一時に接触したときに生じる衝撃音よりも小さい。
【0069】
〔実施の形態9〕
図17は、本発明の他の形態の制動装置(内拡直動型電磁ブレーキ)に含まれる制動ブロックと電磁石を示す。この制動装置913において、アマチュア955に対向して該アマチュア955を吸引する電磁石957のアマチュア吸引面にはZ方向に3つの鉄心部分958が等間隔に形成され、各鉄心部分958に同一の巻数をもってコイル959が巻回されている。また、3つのコイル959は異なる電源960a、960b、960cに接続されており、これら3つの電源960a、960b、960cが一つの制御装置961に接続されている。
【0070】
図18に示すように、制動装置913の非制動時、3つのコイル959に同一の電流が印加される。その結果、ばね963の付勢力に対向して、アマチュア955が電磁石957の鉄心部958に吸着し、制動部953が制動面937から離間し、回転体921に対する制動を解除する。このとき、図18のフローチャートに示すように、制御装置961は3つの電源960a、960b、960cを同時にオンする。一方、制動時、制御装置961は3つの電源960a、960b、960cを順番にオフする。その結果、最初にオフされた電源960aのコイル959に隣接する制動部953の片側(一部)が制動面937に衝突(接触)し、その後、ある時間をあけて制動部953の全体が制動面937に衝突(接触)する。
【0071】
したがって、制動部953の一部が衝突した段階で衝突エネルギが一部失われ、その後全体が衝突するときに残りの衝突エネルギが失われる。そのため、制動部953が制動面937に衝突したときに発生する音は、制動部953の全体が一時に接触したときに生じる衝撃音よりも小さい。
【0072】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る制動装置によれば、制動部が制動面に衝突するときに発生する衝撃音が小さい。そのため、回転体や支軸に加わる負荷が軽減され、これらを比較的安価な材料で構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の制動装置を含むエレベータ昇降用巻上装置の斜視図。
【図2】 図1に示す巻上装置の断面図。
【図3】 図1に示す巻上装置の背面図。
【図4】 第1のばねと第2のばねの他の組み合わせを示す制動装置の部分正面図。
【図5】 制動装置の電磁石を駆動するための回路図。
【図6】 電磁石の制御フローチャート。
【図7】 電磁石の他の制御フローチャート。
【図8】 実施の形態2に係る制動装置の正面図。
【図9】 実施の形態3に係る制動装置の正面図。
【図10】 実施の形態4に係る制動装置の正面図。
【図11】 実施の形態5に係る制動装置の部分構成図。
【図12】 実施の形態6に係る制動装置の正面図。
【図13】 実施の形態6に係る制動装置の部分構成図。
【図14】 実施の形態6に係る制動装置の変形例を示す構成図。
【図15】 実施の形態7に係る制動装置の部分構成図。
【図16】 実施の形態8に係る制動装置の部分構成図。
【図17】 実施の形態9に係る制動装置の部分構成図。
【図18】 図17に示す制動装置の制御フローチャート。
【符号の説明】
1 巻上装置、 3 中心線、 5 ハウジング、 11 動力装置、 13制動装置、 17 支軸、 21 回転体、 37 制動面、 45 制動アーム、 53 制動部、 55 第1のアマチュア、 57 第1の電磁石、 59 第1のばね、 61 第2のばね、 63 第2のアマチュア、 65 第2の電磁石。

Claims (15)

  1. 所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動方法において、
    上記制動部を上記回転体に向けて付勢する第1と第2のばねを用意し、
    まず、上記第1と第2のばねを共に無効化して上記制動部を第1の位置に保持し、
    次に、上記第1のばねを有効化し上記第2のばねを無効化して上記制動部を上記第1の位置よりも上記回転体に接近した又は上記回転体に実質的な制動力を与えない程度に上記制動部が上記回転体に接触した第2の位置に保持し、
    続いて、上記第1と第2のばねを共に有効化して上記制動部を該制動部が上記回転体を制動する第3の位置に移動することを特徴とする制動方法。
  2. 所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動装置において、
    上記制動部を上記回転体に向けて付勢する第1と第2のばねと、
    上記第1と第2のばねを共に無効化する第1の設定手段と、
    上記第1のばねを無効化し且つ上記第2のばねを有効化する第2の設定手段と、
    上記第1と第2のばねを共に有効化する第3の設定手段とを有し、
    上記第1と第2のばねの付勢力は、
    上記第1のばねが無効化され且つ上記第2のばねが有効化された状態で、上記第1と第2のばねが共に無効化された状態における上記制動部の位置よりも、上記制動部を上記回転体に接近させ、
    上記第1と第2のばねが共に有効化された状態で、上記第1のばねが無効化され且つ上記第2のばねが有効化された状態よりも、上記制動部を上記回転体に更に接近させるように設定されていることを特徴とする制動装置。
  3. 所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動装置において、
    上記制動部を上記回転体に向けて付勢する第1と第2のばねと、
    上記第1のばねを無効化する第1の作動手段と、
    上記第2のばねを無効化する第2の作動手段とを有し、
    上記第1と第2のばねの付勢力は、
    上記第1のばねが無効化され且つ上記第2のばねが有効化された状態で、上記第1と第2のばねが共に無効化された状態における上記制動部の位置よりも、上記制動部を上記回転体に接近させ、
    上記第1と第2のばねが共に有効化された状態で、上記第1のばねが無効化され且つ上記第2のばねが有効化された状態よりも、上記制動部を上記回転体に更に接近させるように設定されていることを特徴とする制動装置。
  4. 所定の軸を中心に回転する回転体を制動する制動装置において、
    上記回転体に向かって進退自在に支持された制動部と、
    第1のばねと第2のばねとを有し、上記制動部を上記回転体に向かって付勢する付勢手段と、
    上記制動部に固定された第1のアマチュアと、
    上記第1のばねと第2のばねとの間に設けた第2のアマチュアと、
    上記第1のアマチュアを保持して上記第1と第2のばねが上記制動部に及ぼす付勢力を無効化する作動状態と、上記第1のアマチュアを解放して上記第1と第2のばねが上記制動部に及ぼす付勢力を有効化する非作動状態との間で状態を切り換える第1の作動手段と、
    上記第2のアマチュアを保持して上記第2のばねが上記制動部に及ぼす付勢力を無効化する作動状態と、上記第2のアマチュアを解放して上記第2のばねが上記制動部に及ぼす付勢力を有効化する非作動状態との間で状態を切り換える第2の作動手段と、
    上記第1の作動手段が非作動状で上記第2の作動手段が作動状態にあるとき、上記第1のばねが上記制動部を上記第1の位置よりも上記回転体に近い第2の位置に保持し、
    上記第1の作動手段と第2の作動手段が共に非作動状態にあるとき、上記第1と第2のばねが上記制動部を上記第2の位置よりも上記回転体に近く且つ上記制動部が上記回転体に制動力を与える第3の位置に保持することを特徴とする制動装置。
  5. 上記制動部が、一端で回転自在に支持されたアームに設けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一に記載の制動装置。
  6. 上記制動部が、回転体の接線方向に沿って、上記回転体に進退自在に支持されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか一に記載の制動装置。
  7. 上記回転体が内周面を有する構造体からなり、上記制動部が上記回転体の内周面に向かって進退自在であることを特徴とする請求項2から6のいずれか一に記載の制動装置。
  8. 上記回転体が外周面を有する構造体であり、上記制動部が上記回転体の外周面に向かって進退自在であることを特徴とする請求項2から6のいずれか一に記載の制動装置。
  9. 上記第1又は第2の作動手段の少なくともいずれか一方が電磁石であり、上記電磁石で保持されるアマチュアが磁性部材であることを特徴とする請求項3から8のいずれか一に記載の制動装置。
  10. 所定の軸を中心に回転する回転体に制動部を接触して該回転体を制動する制動方法において、
    まず上記制動部に対向する電磁石とアマチュアを用意し、
    続いて上記電磁石に対して上記アマチュアを非対称に動作させることにより、上記制動部の一部を上記回転体に接触させ、次に、上記制動部を全体に上記回転体に接触させることを特徴とする制動方法。
  11. 上記電磁石と上記アマチュアとの間に設置された弾性体を用意し、上記電磁石に対して上記アマチュアを上記弾性体の弾性力により非対称に動作させることを特徴とする請求項10に記載の制動方法。
  12. 上記弾性体の上記アマチュア付勢位置を上記アマチュアの重心からずらすことで上記アマチュアを非対称に動作させることを特徴とする請求項11に記載の制動方法。
  13. 上記電磁石に対向する上記アマチュアの面に対する上記電磁石の磁気特性を偏らすことで上記アマチュアを非対称に動作させることを特徴とする請求項10に記載の制動方法。
  14. 上記電磁石と上記アマチュアとの間の磁気ギャップを非対称に形成し、前記アマチュアを非対称に動作させることを特徴とする請求項10に記載の制動方法。
  15. 請求項10から1のいずれか一に記載の制動方法を用いて上記制動部を上記回転体に接触させることを特徴とする制動装置。
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