JP3635035B2 - ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻上機等に用いられるブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の制動(ブレーキ)装置は、摩擦材をディスクの両側面に押圧するディスクブレーキ、または、摩擦材をドラム外方、または内方から押圧するドラムブレーキ等が有り、それぞれのアクチュエーターとして、油圧、空圧、電磁、メカニカル等の方式が使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のブレーキ装置は、径方向、及び、特に軸方向に、大きなスペースを必要とした為、要求されるスペースに収容されるための小型化が出来なかった。また、ブレーキ作動音を微小にすることが困難であり、構造が複雑となり、その為に組み立てや、微妙な調整が困難であった。あるいは、制限されたスペース内では、要求される電磁石の出力が得られにくい欠点があった。本発明の目的は、このような従来の問題点を解決して、特に制限された軸方向にコンパクトに収容出来るようにすると共に、作動音の極めて静かで、微妙な調整が容易で、構造簡単で強力なブレーキ装置を提供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、ブレーキドラム内周面に対応して一対の電磁ブレーキ部を 180°反対位置に内蔵した内部拡張型のブレーキ装置に於て、上記各電磁ブレーキ部の電磁石の固定鉄心から2本の保持アームを突設して、2本の保持アームは、ブレーキドラム内周面に対して進退自在として当接可能に配設されたブレーキシューの両端を受けるトルク受け面を有し、さらに、ブレーキシューと、電磁石の可動鉄心を、2本の連結部材で連結したものである。
【0005】
また、2本の連結部材の基端は、可動鉄心に固着され、先端は、ブレーキシューに、球面座と平面座を介して、取り付けられている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
【0007】
図1の一部断面正面図、図2の要部の平面図及び図3の要部断面側面図に於て、1は円筒型のブレーキドラムであって、図3に2点鎖線にて示した被制動用回転体Mから一体に突設、又は、回転体Mに固着されて、一体に回転する。
【0008】
この回転体Mとしては、モータのロータや、巻胴等であり、図3で示すように、ブレーキ装置Bと共に軸心方向Cに寸法上狭小な制限のある場所に、設置される。2は取付部材を示し、壁体等の取付面3にボルト等にて固着されるが、この取付面3とそれに平行な他の面4との間隔寸法Wが制限され、極めて小さい場合を例示する。
【0009】
図示の実施の形態では、取付部材2には孔部5が中央に形成され、これに軸受6が嵌着され、この軸受6を介して前記回転体Mの軸7が回転可能に枢支されている。この軸7の軸心と上記ブレーキドラム1の軸心C0 は一致する。
【0010】
8,8は電磁ブレーキ部であって、ブレーキドラム1の内周面1aに対応して 180°反対位置に、一対を配設する。つまり、図1に示す如く、ブレーキドラム1の軸心点Oを通る中央区画基準線Lに関して、一対の電磁ブレーキ部8,8は線対称型に、又は、軸心点Oに関して 180°回転対称として、配設されている。
【0011】
9は固定鉄心であり、軸心方向Cから見て、中央区画基準線Lに対して平行な方向に設けられ、略直方体状であり、図1に示す如く(左右)端部に取付用突片10, 10を有し、前記取付部材2の孔部13に挿入される(図示省略の)ボルト等にて固着される。また、この固定鉄心9は、図2に示すように長円形又は楕円形の電磁コイル11が嵌込まれる凹溝12が設けられている。即ち、図1の上方から見て、長円形又は楕円形に凹溝12が形成され、これに上記電磁コイル11が嵌込まれて固着される。
【0012】
14は可動鉄心であり、矩形板(帯板片)の形状であり、電磁コイル11が励磁されれば固定鉄心9に吸着され、非励磁状態となれば固定鉄心9から(図1の上方向へ)分離する。15, 15は、その分離の方向に、常時弾発付勢するバネであり、図2に示した孔部16, 16内にそのバネ15, 15は収納される。17, 17は上記バネ15, 15の弾発力調整ボルトを示す。
【0013】
18はブレーキシューであり、19は摩擦材(ライニング材)であって直接にブレーキドラム1の内周面1aに、接触(摺接・圧接)自在である。ブレーキシュー18はカマボコ型であって、その外周曲面に摩擦材19が張設されている。
そして、電磁石の一部を構成する前記固定鉄心9の(左右)端部から2本の保持アーム20, 20を突設して、その先端20a,20aに、ブレーキシュー18の(ブレーキドラム内周面1aに沿っての周方向の)回転トルクを受けるトルク受け面21を、形成する。
【0014】
図1の図例では、2本の保持アーム20, 20は、略直方体状の固定鉄心9の両端から、中央区画基準線Lに略直交する方向に突設されて先端が相互に近接するように傾斜した先端傾斜部22を有し、この先端傾斜部22は、ブレーキドラム内周面1aに沿って接近状に配設されている。なお、図例では、保持アーム20は略くの字型である場合を示したが、これを弧状(弓型)に形成するも好ましい。
【0015】
そして、図1のように(図3の軸心方向Cから見て)トルク受け面21, 21は上記基準線Lに直交方向であって、2個のトルク受け面21, 21は相互に平行であり、ブレーキシュー18は、内部拡張型の電磁ブレーキ部として、ラジアル内方向から、ブレーキドラム内周面1aに圧接可能となる。
【0016】
図1からも分るように、電磁石を構成する固定鉄心9と可動鉄心14、及び、ブレーキシュー18は、相互に平行に配置され、かつ、基準線Lに対しても平行であるが、可動鉄心14の径方向外面と、ブレーキシュー18の径方向内面との間を、2本の平行な連結部材23, 23にて相互に連結されている。
【0017】
即ち、2本の連結部材23, 23は基準線Lに直交方向に配設されると共に、ブレーキシュー18の両端近傍に配設され、かつ、この連結部材23の基端は可動鉄心14に固着立設され、先端は、球面座Qと平面座Pを介してブレーキシュー18に取付けられている。
【0018】
図4は図1の一部を拡大した要部説明図であるが、この図4と図1に示すように、連結部材23は具体的には可動鉄心14のネジ孔24に螺進退調整自在に螺着されるネジ部23aを有し、かつ、ロックナット25も有し、非制動状態に於けるブレーキシュー18の摩擦材19と、ブレーキドラム内周面1aとのギャップを調整する隙間調整機能を備えている。
【0019】
そして、26は、各連結部材23の先端を、球面座Q・平面座Pの圧接方向へ常時弾発付勢するための弾発部材である。具体的には、ボルト27, 27にてブレーキシュー18の内径側面(背面)に固着された板バネ片26aをもって、弾発部材を構成し、かつ、この板バネ片26aは図1と図4では折曲形成されているが、幅方向へはストレート状(一文字型横断面形状)とする。
【0020】
連結部材23の先端に、扁平状の頭部28を膨出形成して、かつ、その頭部28の先端面を球面状として、先端球面部29を設け、球面座Qの一部を構成する。
30は中間受け盤であり、内方面(背面)に凹球面部30aを有し、この凹球面部30aと、前記先端球面部29との摺接にて、首振可能な継手───球面座Q───を構成している。
【0021】
また、ブレーキシュー18の内方面(背面)には略正方形の浅い凹窪部31を凹設して、その浅い凹窪部31の左右前後寸法よりも 0.5mm〜 2.0mm(好ましくは 0.8mm〜 1.5mm)だけ小さな左右前後寸法とした略正方形の中間受け盤30を、嵌め込んで、図4の左右方向及び図4の紙面と直交方向(前後方向)に、微小寸法スライド自在な平面座Pを、構成する。 このように、図4(図1)の球面座Q・平面座Pは、極めてコンパクトに構成されていることが分る。
【0022】
また、(扁平状の)頭部28の背面部分───基端側───を略円錐面部32とし、前述の板バネ片26aの先端を当接させる。
このように、ブレーキシュー18の背面に固着した板バネ片26aの(幅方向にストレート状の)先端を弾発的に当接させて、球面座Q・平面座Pの圧接を行った構成により、球面座Qの首振り作用、及び、平面座Pの二次元スライド作用を邪魔せず、円滑に作動可能となる。
【0023】
以上の説明と図面から明らかとなるように、本発明は軸心方向Cに薄型化を実現出来、しかも、強力な制動力を発揮出来る内部拡張型のブレーキ装置である。
【0024】
そして、基本的作動は、(制動用の)バネ15, 15にて、可動鉄心14、2本の連結部材23, 23、ブレーキシュー18を径外方(ラジアル方向)に押圧して、摩擦材19をブレーキドラム内周面1aに押圧して制動状態とする。他方、電磁コイル11を通電(ON状態)とすることで、可動鉄心14を吸着し、2本の連結部材23, 23等を介してブレーキシュー18を径方向に引き寄せて、非制動(解放)状態とする。なお、摩擦材19とブレーキドラム内周面1aとの間隙は、0.10mm〜0.20mmに設定するのが望ましく(非制動状態)、本発明ではそのような極微小間隙にすることが可能な構造である。即ち、板バネ片26a(弾発部材26)によって、球面座Q・平面座Pの接触面部の遊隙を無くして(零として)いると共に、さらに、調整ボルト(連結部材23, 23)を2本として回動方向の間隙を均等化出来る構造を採用しているからである。このように、本発明では、上記極微小間隙とすることにより、ブレーキ作動音の極めて静かな装置を提供出来、かつ、非作動時にはブレーキシュー18(摩擦材19)の引きずり現象を無くすための、微妙な調整も、容易となった。
【0025】
そして、固定鉄心の両端部から2本の保持アーム20, 20を突設(延長)して、先端にトルク受け面21, 21を形成して、ブレーキシュー18の両端(面)を受持する構成としたので、軸心方向Cに極めてコンパクト化を図ることが出来、軸心方向Cに狭小な箇所にも、収容可能となる。即ち、図3の間隔寸法Wが極めて小さな箇所(場所)にも、本発明に係るブレーキ装置ならば、設置可能である。
【0026】
また、板バネ片26aの先端が(扁平)頭部28の背面の略円錐面部32に当接する部分を、板バネ片26aの幅方向にはストレート状(横断面が弯曲しない一文字型)としたため、球面座Q・平面座Pの作動が(阻害されずに)スムースに作動し、しかも、ブレーキドラム内周面1aに一旦当接したブレーキシュー18が、軸心平行方向に対してブレーキ解放時にそのままの角度姿勢で、平行移動し、ブレーキドラム内周面1aとブレーキシュー18とが極微小かつ全面均一の等間隙となる。故に、ブレーキ作動音が一層静かとなり、かつ、非制動時のシューの引きずり現象をも一層有効防止出来る。
【0027】
本発明は巻上機等に好適な内部拡張型のブレーキ装置であるが、用途は限定されず、各面に応用自由である。
【0028】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により、次のような著大な効果を奏する。
【0029】
巻上機等のブレーキ装置として、軸心方向Cに狭小な場所にもコンパクトに設置出来る。即ち、軸心方向Cに薄いブレーキドラム1内に、電磁ブレーキ部8,8を収納可能となった。
【0030】
また、ブレーキドラム内周面1aとブレーキシュー18とが、微小かつ全面均一な等間隙に調整容易となり、作動音を低減出来て、静粛作動となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す一部断面正面図である。
【図2】要部の平面説明図である。
【図3】要部断面側面図である。
【図4】図1の要部拡大図である。
【符号の説明】
1 ブレーキドラム
1a (ブレーキドラム)内周面
8 電磁ブレーキ部
9 固定鉄心
14 可動鉄心
18 ブレーキシュー
20 保持アーム
20a 先端
21 トルク受け面
23 連結部材
P 平面座
Q 球面座
Claims (2)
- ブレーキドラム内周面に対応して一対の電磁ブレーキ部を 180°反対位置に内蔵した内部拡張型のブレーキ装置に於て、上記各電磁ブレーキ部の電磁石の固定鉄心から2本の保持アームを突設して、該2本の保持アームは、上記ブレーキドラム内周面に対して進退自在として当接可能に配設されたブレーキシューの両端を受けるトルク受け面を有し、さらに、上記ブレーキシューと、電磁石の可動鉄心を、2本の連結部材で連結したことを特徴とするブレーキ装置。
- 上記2本の連結部材の基端は、可動鉄心に固着され、先端は、ブレーキシューに、球面座と平面座を介して、取り付けられている請求項1記載のブレーキ装置。
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