JPWO2004023039A1 - 廃棄物の処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Abstract
(a)ダクトの閉塞、(b)炉内填充時間、(c)未利用炭素の排出、(d)廃棄物の上端面位置の制御、(e)ハロゲン類のマテリアルリサイクル、(f)有害廃棄物の装入又は(g)湯溜まり室の内部圧力上昇を、解決することができる廃棄物の処理方法及び処理装置を提供する。廃棄物を、炉体と、炉体の上部に配置されたガス排出口と、炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口とガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、廃棄物装入口とガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、廃棄物装入口と溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融の少なくとも1つの処理を行う際に、少なくとも1つの処理により生じる排ガスを、廃棄物処理炉の炉体に接続されて排ガスを炉体の外部へ導くダクトの入口の近傍の炉内で、冷却する。
Description
本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物(以下、本明細書では単に「廃棄物」と総称する)に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも一つの処理を行うための廃棄物の処理方法及び処理装置に関する。特に、本発明は、廃棄物に含まれる有機物をガス化して燃料として使用することができるガス(以下、単に「エネルギーガス」ともいう)を回収し、これら廃棄物に含まれる低沸点金属をダストとして回収し、これら廃棄物に含まれる灰分及び有価金属(以下単に「金属」ともいう)を溶融スラグ及び溶融金属としてそれぞれ回収するとともに、これらの処理を商業的規模で長期的に安定して実現するための廃棄物の処理方法及び処理装置に関する。
なお、本発明においては、廃棄物とは、例えば生ゴミに代表される都市ごみを主体とするもの、プラスチック屑や鉄屑、廃棄された自動車や家電製品のシュレッダーダスト、焼却灰、土砂を含む掘り起こしゴミ、汚泥、スラッジ、製鉄ダスト、医療系廃棄物さらには廃材木を意味する。
なお、本発明においては、廃棄物とは、例えば生ゴミに代表される都市ごみを主体とするもの、プラスチック屑や鉄屑、廃棄された自動車や家電製品のシュレッダーダスト、焼却灰、土砂を含む掘り起こしゴミ、汚泥、スラッジ、製鉄ダスト、医療系廃棄物さらには廃材木を意味する。
生活ごみ等の一般廃棄物や産業廃棄物等の一部の廃棄物は、従来はその殆ど全てが焼却処理されていた。しかし、これらの廃棄物を焼却処理する際に、200〜600℃、特に300℃程度の処理温度ではダイオキシン類が発生する。また、焼却灰の最終処分場の確保が難しくなるとともに、資源有効利用の観点から廃棄物を有効にリサイクルすることも要請されている。このため、従来の焼却による廃棄物の処理では十分に対応できなくなってきた。
そこで、本出願人は、先に、国際公開第WO00/45090号により、炉軸に沿って下方に向けて支燃性ガスを炉内に吹き込む昇降可能な炉中心ランス、支燃性ガスを吹き込む角度を炉軸方向からずらして配置した1段以上の上部羽口、支燃性ガス又は支燃性ガス及び燃料を、炉軸に向かって吹き付ける配置で、炉内に突き出して配置した1段以上の下部羽口を有するガス化溶融炉を使用することにより、ガス化溶融炉の炉体の内部における低温域の発生を防止でき、廃棄物の燃焼処理を行うための火点を集中することが可能なガス化溶融炉及びガス化溶融方法に係る発明を提案した。この発明によれば、付加価値の高い溶融スラグ及び各種金属ならびにエネルギーガスを安定して回収することができる。
そこで、本出願人は、先に、国際公開第WO00/45090号により、炉軸に沿って下方に向けて支燃性ガスを炉内に吹き込む昇降可能な炉中心ランス、支燃性ガスを吹き込む角度を炉軸方向からずらして配置した1段以上の上部羽口、支燃性ガス又は支燃性ガス及び燃料を、炉軸に向かって吹き付ける配置で、炉内に突き出して配置した1段以上の下部羽口を有するガス化溶融炉を使用することにより、ガス化溶融炉の炉体の内部における低温域の発生を防止でき、廃棄物の燃焼処理を行うための火点を集中することが可能なガス化溶融炉及びガス化溶融方法に係る発明を提案した。この発明によれば、付加価値の高い溶融スラグ及び各種金属ならびにエネルギーガスを安定して回収することができる。
しかし、本発明者らは国際公開第WO00/45090号により提案したガス化溶融炉(以下、「基本のガス化溶融炉」という)のさらなる発展を図るべく鋭意検討を重ねた結果、基本のガス化溶融炉には以下に列記する課題(a)〜(g)があり、これらの課題(a)〜(g)を解決すれば、基本のガス化溶融炉をさらに高性能化でき、難処理性廃棄物にも適用できる廃棄物の処理方法及び処理装置を提供できることを知見した。
(a)ダクトの閉塞
近年、廃棄物を燃焼、ガス化又は溶融化する廃棄物の処理炉が多数利用されている。しかし、これらの処理炉は、廃棄物の種類によっては処理に伴って発生する排ガスを流すダクトの内壁にダストが付着及び堆積し、ダクトの閉塞を招くおそれがある。例えば、廃棄物に低沸点物質が多量に含まれていると、これが炉内で蒸発し、蒸発した一部がダクトの内壁面に付着し、その後成長してダクトを閉塞する。このような場合、処理炉の運転停止を余儀なくされ、長期間にわたって安定した操業を行うことができなくなる可能性がある。
基本のガス化溶融炉では、ダイオキシン類の排出を抑制するために、炉体の上部に存在するガスの温度を1000℃以上1400℃以下としてガス排出口からガスを排出し、後段の排出ガスの冷却装置で200℃以下まで急冷する。特に、ダイオキシン類の発生を完全に抑制するには、炉体の上部の温度をより高くすることが望ましい。しかしながら、炉内のガス温度が高いため、廃棄物に含まれる低沸点物質が炉内で蒸発し、その一部がダクトの内面に付着して成長し、ダクトを閉塞するおそれがある。
これまでにも、かかるダクトの閉塞を防止するための技術として、水やミスト等の冷媒をダクトの内部へ吹き込むことにより排ガス中の低沸点ガス状物質を冷却固化し、ダクトへの付着を防止する発明(特開2001−33027号公報、同2002−349841号公報、特開平7−197046号公報及び同8−219436号公報等)や、ダクトへの付着物を機械的方法によって掻きとる発明(特開2002−168433号公報等)が知られている。しかし、これらの発明には以下に列記する問題がある。
すなわち、ダクトの内部へ冷媒を吹き込むと、廃棄物の種類や冷媒の吹き込み位置によっては十分な閉塞抑制効果が得られないことがある。例えば、ダクトの内部に冷媒を吹き込んでも、ダクトの入口の近傍では排ガス温度が高い状態のままであるため、排ガス中の低沸点ガス状物質がダクトの入口の近傍に付着し、最終的にばダクトを閉塞するおそれがある。また、ダクトの内部にミストを吹く場合、吹き込むミストの広がり角度をダクトの内径に対して適正に設定しないと、ミスト等の冷媒がダクトの内壁に衝突又は付着して未蒸発水となり、ガス化溶融炉の下流に設置されたガス冷却装置の制御が難しくなる可能性がある。
一方、ダクトの内壁に低沸点ガス状物質が付着してダクトが閉塞した場合には、機械的な除去手段を用いてこれを除去することが最も有効である。例えば、特開2002−168433号公報には、ダクトの内部に挿入される掻きとり羽根を有する駆動軸と、この駆動軸を回転させかつその軸方向に往復運動させる駆動手段とを備えるダクト清掃装置が開示されている。
この場合、駆動軸は回転しながら往復運動するため、炉内で発生したガスのガスシール部からのリークや外部空気のダクト内への吸い込みを生じるおそれがある。特に、操業に伴ってCOガスを発生させる炉では、外部へのCOガス漏れ等の危険性がある。また、COガスをエネルギーとして再利用しようとする場合には、外部空気を吸い込むことは得られるガスのカロリーの低下につながる。また、さらに、駆動軸の中心軸付近に駆動軸冷却用の空気を流しているが、ダクトの内部が高温である場合には駆動軸の外表面が熱的損傷を受けることが考えられる。特に、ダクトの内部が著しく閉塞している場合には、駆動軸への負荷を大きくせざるを得なくなり、これにより、閉塞物の除去に要する時間が長時間化し、熱的損傷はさらに大きくなり、装置の損傷やガスのリークがいずれも著しくなる。
(b)炉内填充時間
廃棄物を、基本のガス化溶融炉により処理する場合、炉内に装入した廃棄物の上端面の高さを所定のレベルに制御することが操業を安定化させるために重要である。このガス化溶融炉の立ち上げでは、バーナーの燃焼を利用して炉内温度が所定温度に到達した後に廃棄物の装入を開始し、その後、徐々に廃棄物を積み上げ、廃棄物上端面の高さを目標レベルに調整する。しかしながら、廃棄物の上端面の高さを所定のレベルまで上げるには、かなりの長時間を要する。
また、昇温の途中において、炉内での燃焼温度がダイオキシン類が発生し易いといわれている200〜600℃の温度領域を不可避的に通過するため、ダイオキシン類の構成元素である塩素等のハロゲン類含有量の高い廃棄物が炉昇温の段階から装入され、積み上げられる場合には、このガス化溶融炉の立ち上げの際にダイオキシン類を発生させる。
(c)未利用炭素の排出
基本のガス化溶融炉の操業では、投入された廃棄物に含まれる炭素の一部が未利用のまま飛散してダクトを通過した後に、除塵装置によりダストとして回収される。未利用炭素を低減するには、水性シフト反応(C+H2O=CO+H2)を利用して未利用炭素をCOガスに転換することが考えられる。
この水性シフト反応を進行させるにはH2Oが必要である。ここで、廃棄物には水分が含まれているものの、廃棄物に含まれる水分の多くは、廃棄物の上端面より下の位置で熱分解残渣炭素のガス化反応に消費されるものと考えられる。そのため、下部羽口の前で燃焼する熱分解残渣炭素の量が減少して、下部羽口の前における燃焼温度を高く維持することが困難となり、廃棄物に含まれる灰分及び金属類の溶融化、さらには溶融スラグや溶融金属の排出を安定して行うことができなくなるおそれがある。また、廃棄物に水分が多量に含まれると、廃棄物を投入した直後のガス変動が大きくなり、操業が安定せず、また水の蒸発により発生ガスのカロリーも低下する。したがって、廃棄物中に水分が多量に含まれることも好ましくない。
特開平8−152118号公報には、廃棄物の充填層内に設置した上部羽口から蒸気を供給することにより、上部羽口レベルにおける燃焼温度を灰分の溶融温度以下とし、これにより、上部羽口レベルにおける熱分解残渣や可燃性ガスの燃焼による半溶融物の生成を抑制することによって、半溶融物が炉内壁に付着することを抑制する発明が開示されている。すなわち、充填層内に設置した上部羽口から吹き込まれる蒸気が上部羽口が設置された高さの燃焼温度を低く抑制し、このレベルでの半溶融物の生成を抑制する。また、充填層内に蒸気を吹き込むことに付随して、水性シフト反応が進行し、炭素のガス化の進行も図ることができる。
しかしながら、廃棄物の充填層内に蒸気を吹き込んで炭素のガス化を行うと、熱分解残渣に含まれる炭素が蒸気との反応により消費される。このため、下部羽口から供給される支燃性ガスによって燃焼される炭素の量が減少し、下部羽口前での燃焼温度を高く維持することが困難となる。このため、廃棄物に含まれる灰分及び金属の溶融化、さらには溶融スラグや溶融金属の排出を安定して行うことができなくなるおそれがある。
(d)廃棄物の上端面位置の制御
基本のガス化溶融炉は、廃棄物を燃焼させて廃棄物中の有機物をガス化してエネルギーガスとして回収するとともに、廃棄物中の灰分及び金属を溶融物として回収する竪型の炉である。このガス化溶融炉は、炉体の上部に設けられたガス排出口と、炉体の下部に設けられた溶融スラグ及び溶融金属排出口と、溶融スラグ及び溶融金属排出口とガス排出口との間に設けられた廃棄物装入口と、炉体の上部に炉軸に沿って下方に向けて設けられた、支燃性ガスを炉内に吹き込む昇降可能な炉中心ランスと、廃棄物装入口とガス排出口との間の炉壁に1段以上設けられた支燃性ガスを吹き込むための上部羽口と、廃棄物装入口と溶融スラグ及び溶融金属排出口との間の炉壁に炉内へ向けて1段以上設置された、支燃性ガス又は支燃性ガス及び燃料を炉軸方向へ向かって吹き付ける下部羽口とをそれぞれ備える。そして、このガス化溶融炉は、炉内に装入された廃棄物の上端面で高温に加熱された廃棄物の熱分解残渣中の炭素分を燃焼させることによって、高価なコークスを使用しなくとも残渣中の灰分や金属を溶解させる。
しかしながら、廃棄物の成分は一定でなく不均質な場合が多く、場合によっては熱分解残渣中に炭素分が殆ど存在しないことも考えられる。例えば、プラスチック屑及びシュレッダーダスト等に含まれる炭素はその殆どが熱分解反応によりガス化されるため、熱分解残渣に含まれる炭素は極僅かである。このため、炉内に装入された廃棄物の上端面の位置を維持するには、下部羽口及び炉中心ランスから吹き込む支燃性ガスの量を頻繁に調整する操作を行う必要があり、その操業に熟練を要する。
(e)ハロゲン類のマテリアルリサイクル
廃棄物に含まれる塩素や臭素等のハロゲン類は、ダイオキシン類の発生源となる一方で、極めて付加価値の高い物質であって、効率的にマテリアルリサイクルすることが望まれる。しかし、塩素含有率が高い廃棄物の有効な処理方法及びリサイクル方法は確立されていない。現在、塩素等のハロゲン類を含む廃棄物は焼却炉により焼却処理されるが、燃焼温度が低いため、ダイオキシン類の排出を抑制するには高度なガス処理技術が必要である。
基本のガス化溶融炉では、高濃度の酸素を吹き込むことによって高温で廃棄物をガス化溶融し、発生した高温のガスをガス冷却装置で急冷するため、ダイオキシン類を殆ど排出することなく、ハロゲン類を多く含む廃棄物も無害化処理することができる。廃棄物に含まれる塩素は、炉内で塩化水素ガス等のハロゲン化水素ガスとなり、ガス冷却設備の後段に設置された除塵設備に消石灰等の助剤を吹込むことにより、生成ガスから分離除去される。この際、ダイオキシン類の再合成やハロゲンによる腐食を抑制するために、ガス冷却装置の出口温度は120℃以上200℃以下とし、さらに除塵設備の内部の温度も100℃以上とする。
しかしながら、ハロゲン類を多く含む廃棄物を対象とする場合、塩素や臭素のハロゲンを回収することは有効であるものの、このガス化溶融炉では塩化カルシウム等としてハロゲンを固定化するため、マテリアルリサイクルすることは難しい。また、発生するハロゲン化水素ガスが高濃度となるため、設備の腐食も進行し易くなる。
また、特開2001−162248号公報には、塩化ビニルを含む廃プラスチックを250〜500℃で熱分解し、塩素を含む排ガスを燃焼装置で燃焼し、その燃焼ガスを熱源としてボイラーで蒸気を発生させるとともに、蒸気を発生させた後の燃焼ガスを冷却装置に供給して冷却し、冷却されたガス中の塩化水素を塩素回収装置により回収する装置が開示されており、冷却装置の前における排ガス温度は塩化水素による腐食を抑えるために200℃以上に維持するとされている。
しかしながら、200℃以上の温度条件では、ダイオキシン類の再合成のおそれがある。また、ハロゲンを含有するプラスチック廃棄物は500℃以下の低温での熱分解ガス化を行うとタールが発生し、配管が閉塞するおそれもある。
また、特開2000−202419号公報には、発生する塩化水素をガス水洗装置で除去することにより、ハロゲン含有難燃材を含む廃棄物を処理する方法が開示されているが、設備腐食を抑制するための詳細な温度管理条件等は記載されておらず、不明である。
(f)有害廃棄物の装入
基本のガス化溶融炉によれば、医療系廃棄物や汚染土壌、さらにはポリ塩化ビフェニル(PCB)等の有害廃棄物も無害化処理することができる。
これらの有害廃棄物は、炉内へ装入された後に炉内を落下し、廃棄物充填層の上端面に到達するが、炉内に装入された廃棄物が充填層の上端面に到達する前に、低沸点の有害成分がガス化してしまい、ガス化した有害成分が十分に分解されないうちにガス排出口から炉外へ排出されるおそれもある。
(g)湯溜まり室の内部圧力上昇
国際公開第WO00/45090号では、基本のガス化溶融炉の望ましい態様として、溶融スラグ及び溶融金属を排出する前にそれらを一旦蓄積できる空間を内部に有する湯溜まり室を備えることが開示されている。この湯溜まり室を設けることにより、炉内は常に、炉底に溶融スラグや溶融金属が貯まっていない状態であるドライハースとなり、炉の操業は安定化する。
しかしながら、設備の点検等を行うため、炉内に廃棄物の残渣やスラグを残留させた状態でこのガス化溶融炉を一時的に休止する場合がある。その後の立ち上げ操作においては、ガス化溶融炉の内部に残留した廃棄物や冷えたスラグが炉と湯溜まり室との接続部を閉塞してしまうおそれがあり、湯溜まり室の内部で発生したガスが炉体に流れ難くなることが考えられ、この場合、湯溜まり室内の圧力が上昇し、ガスが溶融スラグ及び溶融金属排出口から漏洩するおそれがある。
本発明は、上述した基本のガス化溶融炉に係る課題(a)〜(g)に対して以下に解決手段を提供する。
(1)課題(a)に対する解決手段
本発明では、炉内で発生した高温の排ガスを、例えば基本のガス化溶融炉等の廃棄物処理炉の炉体からダクトへ流入する前の炉内に存在する段階で冷却する。具体的には、例えば、炉の出口の近傍(ダクトの入口の近傍の炉内)に水、不活性ガス、プロセスガス又は蒸気の少なくとも一つにより構成される冷媒を吹き込むことによって、排ガスを、ダクトの入口の近傍の炉内で冷却する。これにより、ダクトの入口の近傍における排ガス中の低沸点ガス状物質の表面温度を、ダクトの内壁に付着しない温度まで、確実に低下することができる。
ダクトに流入する排ガスの温度は、ダクトの閉塞を抑制するためには低い方が好ましいが、ダイオキシン類の再合成を抑制するためには、ダクトの内部での俳ガス温度は800℃以上、好ましくは850℃以上を維持することが望ましい。また、炉体の出口の近傍へ冷媒を吹き込むと、後段に設置されたガス冷却装置の入口での温度を低下できるため、ガス冷却装置において使用するミスト量を低減してその負担を軽減でき、ガス冷却装置のコンパクト化を図ることもできる。
また、本発明では、ダクトの内壁に低沸点ガス状物質が付着してダクトが閉塞した場合に、短時間で閉塞物の機械的な除去を行うことができる閉塞物の除去装置を、廃棄物の処理装置として提案する。
まず、閉塞物の機械的な除去作業を短時間で行うためには、ダクトの閉塞の度合いが小さい段階で閉塞物の除去装置を運転することが有効である。そのために、本発明では、ダクトの入口及び出口に、ダクトの入側及び出側の差圧を監視することができる差圧計を設置し、この差圧が運転開始時よりも上昇傾向を示した場合には閉塞が開始されたものと判断して閉塞物の除去装置を運転する。なお、これとは異なり、ダクトの閉塞の有無には関係なく、閉塞物の除去装置を定期的に運転するようにしてもよい。
(2)課題(b)に対する解決手段
基本のガス化溶融炉の炉内に装入された装入物の上端面の高さを早急に操業時の制御レベルまで上げるには、炉の昇温段階から炭材を装入することが有効である。また、装入物の上端面のレベルを上げるために装入する炭材に含まれるハロゲン類の総濃度を0.1%以下とすれば、ダイオキシン類を発生させずに昇温できる。本発明によれば、基本のガス化溶融炉の昇温中に、バーナー燃焼を行うこととともに、ハロゲン類の総濃度が低い炭材を投入して装入物の上端面の高さを所定レベルに上げることにより、炉内の填充時間を短縮することができる。
(3)課題(c)に対する解決手段
本発明では、蒸気を充填層より上の部分に吹き込むことにより未利用炭素を低減することを提案する。これにより、蒸気は、炉上部に飛散した未利用炭素とのみ接触し、ガス化する。吹き込まれた蒸気は、充填層内の熱分解残渣炭素とは接触しないため、廃棄物に含まれる灰分及び金属類の溶融化、さらには溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出が安定的に行われる。
たとえ、廃棄物中の炭素が完全にガス化せずに未利用炭素として除塵設備でダストとして回収された場合には、再度ガス化溶融炉に投入すればよい。この場合、ダストの粒径は1mm以下と極めて小さいためにこのまま投入すると炉内で飛散するおそれがあるが、投入する際にこの未利用炭素を含むダストを廃棄物とともに混合圧密してから装入すれば、ダストの飛散を防止することができる。
(4)課題(d)に対する解決手段
本発明では、熱分解残渣炭素が少ない廃棄物を対象とする場合には炭材を投入することにより、充填層の上端面の位置の制御を容易に行うことができる。基本のガス化溶融炉であっても、炭材を廃棄物に混合した後に圧密して1つの塊として炉に装入することが可能である。この場合、細かい粒径の炭材を用いても飛散もなくガス通気性悪化の懸念もない。また、基本のガス化溶融炉は、火点を炉の中心部に集中させるため溶融物の通液性が悪化して安定したスラグの排出ができないといった懸念もない。したがって、炭材として高価なコークスに限定する必然性は全くなく、材木等の熱分解残渣炭素が含まれる炭材を用いることもできる。
また、予め篩い分けられた粒径が大きな炭材を装入する場合には、廃棄物を炉内に装入するための廃棄物装入路に直列に配置された二つのバルブを有する装入装置を用いることが望ましい。この装入装置は、外部側のバルブを開くとともに内部側のバルブを閉じた状態で炭材を外部側のバルブと内部側のバルブとの間の空間に供給し、外部側のバルブを閉じてから内部側のバルブを開くことによって炭材を炉内に装入することができる。この装入装置は、外部側のバルブ又は内部側のバルブのいずれかは常に閉じられているので、大量の炉内ガスが装入装置を通過して炉外へ漏洩したり、あるいは炉外の空気が大量に炉内に吸い込まれることが防止される。また、この課題(d)を解決するために投入される炭材は、炉内の温度条件がダイオキシン類を完全熱分解する条件に昇温した後に投入するので、炭材中のハロゲン類濃度は高くても問題ない。
(5)課題(e)に対する解決手段
本発明では、基本のガス化溶融炉の炉体のガス排出口に接続されたダクトを介して導かれる排ガスを、(i)除塵した後に除塵された排ガスに含まれるハロゲン化水素ガスを酸回収装置により酸として回収し、回収された酸をハロゲンに転換すること、及び/又は、(ii)100℃以下に冷却して冷却された排ガスに含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮させ、排ガスに含まれるハロゲン化水素を酸として回収することによって回収された酸をハロゲンに転換する。これにより、ダイオキシン類の排出や設備の腐食を抑制しながら、廃棄物に含まれるハロゲンをマテリアルリサイクルすることができる。
(6)課題(f)に対する解決手段
医療系廃棄物、汚染土壌又はポリ塩化ビフェニル等を含む有害廃棄物を基本のガス化溶融炉に装入する場合には、これらの有害廃棄物を密閉容器に封入し、この密閉容器を、廃棄物装入路に直列に配置された二つのバルブを有する上述した装入装置から投入することが有効である。これにより、発生する有害ガスは、炉内で充分な高温条件での滞留時間を経て、完全に分解されて炉外へ排出される。
(7)課題(g)に対する解決手段
炉を一時的に休止した後の立ち上げの際に炉内に残留した廃棄物や冷えたスラグ等が炉と湯溜まり室との接続部を閉塞することに起因して湯溜まり室の内部の圧力が過剰に上昇することを防ぐため、湯溜まり室内の圧力が上昇した場合、湯溜まり室で発生するガスを排出するための配管を設置することが有効である。
(a)ダクトの閉塞
近年、廃棄物を燃焼、ガス化又は溶融化する廃棄物の処理炉が多数利用されている。しかし、これらの処理炉は、廃棄物の種類によっては処理に伴って発生する排ガスを流すダクトの内壁にダストが付着及び堆積し、ダクトの閉塞を招くおそれがある。例えば、廃棄物に低沸点物質が多量に含まれていると、これが炉内で蒸発し、蒸発した一部がダクトの内壁面に付着し、その後成長してダクトを閉塞する。このような場合、処理炉の運転停止を余儀なくされ、長期間にわたって安定した操業を行うことができなくなる可能性がある。
基本のガス化溶融炉では、ダイオキシン類の排出を抑制するために、炉体の上部に存在するガスの温度を1000℃以上1400℃以下としてガス排出口からガスを排出し、後段の排出ガスの冷却装置で200℃以下まで急冷する。特に、ダイオキシン類の発生を完全に抑制するには、炉体の上部の温度をより高くすることが望ましい。しかしながら、炉内のガス温度が高いため、廃棄物に含まれる低沸点物質が炉内で蒸発し、その一部がダクトの内面に付着して成長し、ダクトを閉塞するおそれがある。
これまでにも、かかるダクトの閉塞を防止するための技術として、水やミスト等の冷媒をダクトの内部へ吹き込むことにより排ガス中の低沸点ガス状物質を冷却固化し、ダクトへの付着を防止する発明(特開2001−33027号公報、同2002−349841号公報、特開平7−197046号公報及び同8−219436号公報等)や、ダクトへの付着物を機械的方法によって掻きとる発明(特開2002−168433号公報等)が知られている。しかし、これらの発明には以下に列記する問題がある。
すなわち、ダクトの内部へ冷媒を吹き込むと、廃棄物の種類や冷媒の吹き込み位置によっては十分な閉塞抑制効果が得られないことがある。例えば、ダクトの内部に冷媒を吹き込んでも、ダクトの入口の近傍では排ガス温度が高い状態のままであるため、排ガス中の低沸点ガス状物質がダクトの入口の近傍に付着し、最終的にばダクトを閉塞するおそれがある。また、ダクトの内部にミストを吹く場合、吹き込むミストの広がり角度をダクトの内径に対して適正に設定しないと、ミスト等の冷媒がダクトの内壁に衝突又は付着して未蒸発水となり、ガス化溶融炉の下流に設置されたガス冷却装置の制御が難しくなる可能性がある。
一方、ダクトの内壁に低沸点ガス状物質が付着してダクトが閉塞した場合には、機械的な除去手段を用いてこれを除去することが最も有効である。例えば、特開2002−168433号公報には、ダクトの内部に挿入される掻きとり羽根を有する駆動軸と、この駆動軸を回転させかつその軸方向に往復運動させる駆動手段とを備えるダクト清掃装置が開示されている。
この場合、駆動軸は回転しながら往復運動するため、炉内で発生したガスのガスシール部からのリークや外部空気のダクト内への吸い込みを生じるおそれがある。特に、操業に伴ってCOガスを発生させる炉では、外部へのCOガス漏れ等の危険性がある。また、COガスをエネルギーとして再利用しようとする場合には、外部空気を吸い込むことは得られるガスのカロリーの低下につながる。また、さらに、駆動軸の中心軸付近に駆動軸冷却用の空気を流しているが、ダクトの内部が高温である場合には駆動軸の外表面が熱的損傷を受けることが考えられる。特に、ダクトの内部が著しく閉塞している場合には、駆動軸への負荷を大きくせざるを得なくなり、これにより、閉塞物の除去に要する時間が長時間化し、熱的損傷はさらに大きくなり、装置の損傷やガスのリークがいずれも著しくなる。
(b)炉内填充時間
廃棄物を、基本のガス化溶融炉により処理する場合、炉内に装入した廃棄物の上端面の高さを所定のレベルに制御することが操業を安定化させるために重要である。このガス化溶融炉の立ち上げでは、バーナーの燃焼を利用して炉内温度が所定温度に到達した後に廃棄物の装入を開始し、その後、徐々に廃棄物を積み上げ、廃棄物上端面の高さを目標レベルに調整する。しかしながら、廃棄物の上端面の高さを所定のレベルまで上げるには、かなりの長時間を要する。
また、昇温の途中において、炉内での燃焼温度がダイオキシン類が発生し易いといわれている200〜600℃の温度領域を不可避的に通過するため、ダイオキシン類の構成元素である塩素等のハロゲン類含有量の高い廃棄物が炉昇温の段階から装入され、積み上げられる場合には、このガス化溶融炉の立ち上げの際にダイオキシン類を発生させる。
(c)未利用炭素の排出
基本のガス化溶融炉の操業では、投入された廃棄物に含まれる炭素の一部が未利用のまま飛散してダクトを通過した後に、除塵装置によりダストとして回収される。未利用炭素を低減するには、水性シフト反応(C+H2O=CO+H2)を利用して未利用炭素をCOガスに転換することが考えられる。
この水性シフト反応を進行させるにはH2Oが必要である。ここで、廃棄物には水分が含まれているものの、廃棄物に含まれる水分の多くは、廃棄物の上端面より下の位置で熱分解残渣炭素のガス化反応に消費されるものと考えられる。そのため、下部羽口の前で燃焼する熱分解残渣炭素の量が減少して、下部羽口の前における燃焼温度を高く維持することが困難となり、廃棄物に含まれる灰分及び金属類の溶融化、さらには溶融スラグや溶融金属の排出を安定して行うことができなくなるおそれがある。また、廃棄物に水分が多量に含まれると、廃棄物を投入した直後のガス変動が大きくなり、操業が安定せず、また水の蒸発により発生ガスのカロリーも低下する。したがって、廃棄物中に水分が多量に含まれることも好ましくない。
特開平8−152118号公報には、廃棄物の充填層内に設置した上部羽口から蒸気を供給することにより、上部羽口レベルにおける燃焼温度を灰分の溶融温度以下とし、これにより、上部羽口レベルにおける熱分解残渣や可燃性ガスの燃焼による半溶融物の生成を抑制することによって、半溶融物が炉内壁に付着することを抑制する発明が開示されている。すなわち、充填層内に設置した上部羽口から吹き込まれる蒸気が上部羽口が設置された高さの燃焼温度を低く抑制し、このレベルでの半溶融物の生成を抑制する。また、充填層内に蒸気を吹き込むことに付随して、水性シフト反応が進行し、炭素のガス化の進行も図ることができる。
しかしながら、廃棄物の充填層内に蒸気を吹き込んで炭素のガス化を行うと、熱分解残渣に含まれる炭素が蒸気との反応により消費される。このため、下部羽口から供給される支燃性ガスによって燃焼される炭素の量が減少し、下部羽口前での燃焼温度を高く維持することが困難となる。このため、廃棄物に含まれる灰分及び金属の溶融化、さらには溶融スラグや溶融金属の排出を安定して行うことができなくなるおそれがある。
(d)廃棄物の上端面位置の制御
基本のガス化溶融炉は、廃棄物を燃焼させて廃棄物中の有機物をガス化してエネルギーガスとして回収するとともに、廃棄物中の灰分及び金属を溶融物として回収する竪型の炉である。このガス化溶融炉は、炉体の上部に設けられたガス排出口と、炉体の下部に設けられた溶融スラグ及び溶融金属排出口と、溶融スラグ及び溶融金属排出口とガス排出口との間に設けられた廃棄物装入口と、炉体の上部に炉軸に沿って下方に向けて設けられた、支燃性ガスを炉内に吹き込む昇降可能な炉中心ランスと、廃棄物装入口とガス排出口との間の炉壁に1段以上設けられた支燃性ガスを吹き込むための上部羽口と、廃棄物装入口と溶融スラグ及び溶融金属排出口との間の炉壁に炉内へ向けて1段以上設置された、支燃性ガス又は支燃性ガス及び燃料を炉軸方向へ向かって吹き付ける下部羽口とをそれぞれ備える。そして、このガス化溶融炉は、炉内に装入された廃棄物の上端面で高温に加熱された廃棄物の熱分解残渣中の炭素分を燃焼させることによって、高価なコークスを使用しなくとも残渣中の灰分や金属を溶解させる。
しかしながら、廃棄物の成分は一定でなく不均質な場合が多く、場合によっては熱分解残渣中に炭素分が殆ど存在しないことも考えられる。例えば、プラスチック屑及びシュレッダーダスト等に含まれる炭素はその殆どが熱分解反応によりガス化されるため、熱分解残渣に含まれる炭素は極僅かである。このため、炉内に装入された廃棄物の上端面の位置を維持するには、下部羽口及び炉中心ランスから吹き込む支燃性ガスの量を頻繁に調整する操作を行う必要があり、その操業に熟練を要する。
(e)ハロゲン類のマテリアルリサイクル
廃棄物に含まれる塩素や臭素等のハロゲン類は、ダイオキシン類の発生源となる一方で、極めて付加価値の高い物質であって、効率的にマテリアルリサイクルすることが望まれる。しかし、塩素含有率が高い廃棄物の有効な処理方法及びリサイクル方法は確立されていない。現在、塩素等のハロゲン類を含む廃棄物は焼却炉により焼却処理されるが、燃焼温度が低いため、ダイオキシン類の排出を抑制するには高度なガス処理技術が必要である。
基本のガス化溶融炉では、高濃度の酸素を吹き込むことによって高温で廃棄物をガス化溶融し、発生した高温のガスをガス冷却装置で急冷するため、ダイオキシン類を殆ど排出することなく、ハロゲン類を多く含む廃棄物も無害化処理することができる。廃棄物に含まれる塩素は、炉内で塩化水素ガス等のハロゲン化水素ガスとなり、ガス冷却設備の後段に設置された除塵設備に消石灰等の助剤を吹込むことにより、生成ガスから分離除去される。この際、ダイオキシン類の再合成やハロゲンによる腐食を抑制するために、ガス冷却装置の出口温度は120℃以上200℃以下とし、さらに除塵設備の内部の温度も100℃以上とする。
しかしながら、ハロゲン類を多く含む廃棄物を対象とする場合、塩素や臭素のハロゲンを回収することは有効であるものの、このガス化溶融炉では塩化カルシウム等としてハロゲンを固定化するため、マテリアルリサイクルすることは難しい。また、発生するハロゲン化水素ガスが高濃度となるため、設備の腐食も進行し易くなる。
また、特開2001−162248号公報には、塩化ビニルを含む廃プラスチックを250〜500℃で熱分解し、塩素を含む排ガスを燃焼装置で燃焼し、その燃焼ガスを熱源としてボイラーで蒸気を発生させるとともに、蒸気を発生させた後の燃焼ガスを冷却装置に供給して冷却し、冷却されたガス中の塩化水素を塩素回収装置により回収する装置が開示されており、冷却装置の前における排ガス温度は塩化水素による腐食を抑えるために200℃以上に維持するとされている。
しかしながら、200℃以上の温度条件では、ダイオキシン類の再合成のおそれがある。また、ハロゲンを含有するプラスチック廃棄物は500℃以下の低温での熱分解ガス化を行うとタールが発生し、配管が閉塞するおそれもある。
また、特開2000−202419号公報には、発生する塩化水素をガス水洗装置で除去することにより、ハロゲン含有難燃材を含む廃棄物を処理する方法が開示されているが、設備腐食を抑制するための詳細な温度管理条件等は記載されておらず、不明である。
(f)有害廃棄物の装入
基本のガス化溶融炉によれば、医療系廃棄物や汚染土壌、さらにはポリ塩化ビフェニル(PCB)等の有害廃棄物も無害化処理することができる。
これらの有害廃棄物は、炉内へ装入された後に炉内を落下し、廃棄物充填層の上端面に到達するが、炉内に装入された廃棄物が充填層の上端面に到達する前に、低沸点の有害成分がガス化してしまい、ガス化した有害成分が十分に分解されないうちにガス排出口から炉外へ排出されるおそれもある。
(g)湯溜まり室の内部圧力上昇
国際公開第WO00/45090号では、基本のガス化溶融炉の望ましい態様として、溶融スラグ及び溶融金属を排出する前にそれらを一旦蓄積できる空間を内部に有する湯溜まり室を備えることが開示されている。この湯溜まり室を設けることにより、炉内は常に、炉底に溶融スラグや溶融金属が貯まっていない状態であるドライハースとなり、炉の操業は安定化する。
しかしながら、設備の点検等を行うため、炉内に廃棄物の残渣やスラグを残留させた状態でこのガス化溶融炉を一時的に休止する場合がある。その後の立ち上げ操作においては、ガス化溶融炉の内部に残留した廃棄物や冷えたスラグが炉と湯溜まり室との接続部を閉塞してしまうおそれがあり、湯溜まり室の内部で発生したガスが炉体に流れ難くなることが考えられ、この場合、湯溜まり室内の圧力が上昇し、ガスが溶融スラグ及び溶融金属排出口から漏洩するおそれがある。
本発明は、上述した基本のガス化溶融炉に係る課題(a)〜(g)に対して以下に解決手段を提供する。
(1)課題(a)に対する解決手段
本発明では、炉内で発生した高温の排ガスを、例えば基本のガス化溶融炉等の廃棄物処理炉の炉体からダクトへ流入する前の炉内に存在する段階で冷却する。具体的には、例えば、炉の出口の近傍(ダクトの入口の近傍の炉内)に水、不活性ガス、プロセスガス又は蒸気の少なくとも一つにより構成される冷媒を吹き込むことによって、排ガスを、ダクトの入口の近傍の炉内で冷却する。これにより、ダクトの入口の近傍における排ガス中の低沸点ガス状物質の表面温度を、ダクトの内壁に付着しない温度まで、確実に低下することができる。
ダクトに流入する排ガスの温度は、ダクトの閉塞を抑制するためには低い方が好ましいが、ダイオキシン類の再合成を抑制するためには、ダクトの内部での俳ガス温度は800℃以上、好ましくは850℃以上を維持することが望ましい。また、炉体の出口の近傍へ冷媒を吹き込むと、後段に設置されたガス冷却装置の入口での温度を低下できるため、ガス冷却装置において使用するミスト量を低減してその負担を軽減でき、ガス冷却装置のコンパクト化を図ることもできる。
また、本発明では、ダクトの内壁に低沸点ガス状物質が付着してダクトが閉塞した場合に、短時間で閉塞物の機械的な除去を行うことができる閉塞物の除去装置を、廃棄物の処理装置として提案する。
まず、閉塞物の機械的な除去作業を短時間で行うためには、ダクトの閉塞の度合いが小さい段階で閉塞物の除去装置を運転することが有効である。そのために、本発明では、ダクトの入口及び出口に、ダクトの入側及び出側の差圧を監視することができる差圧計を設置し、この差圧が運転開始時よりも上昇傾向を示した場合には閉塞が開始されたものと判断して閉塞物の除去装置を運転する。なお、これとは異なり、ダクトの閉塞の有無には関係なく、閉塞物の除去装置を定期的に運転するようにしてもよい。
(2)課題(b)に対する解決手段
基本のガス化溶融炉の炉内に装入された装入物の上端面の高さを早急に操業時の制御レベルまで上げるには、炉の昇温段階から炭材を装入することが有効である。また、装入物の上端面のレベルを上げるために装入する炭材に含まれるハロゲン類の総濃度を0.1%以下とすれば、ダイオキシン類を発生させずに昇温できる。本発明によれば、基本のガス化溶融炉の昇温中に、バーナー燃焼を行うこととともに、ハロゲン類の総濃度が低い炭材を投入して装入物の上端面の高さを所定レベルに上げることにより、炉内の填充時間を短縮することができる。
(3)課題(c)に対する解決手段
本発明では、蒸気を充填層より上の部分に吹き込むことにより未利用炭素を低減することを提案する。これにより、蒸気は、炉上部に飛散した未利用炭素とのみ接触し、ガス化する。吹き込まれた蒸気は、充填層内の熱分解残渣炭素とは接触しないため、廃棄物に含まれる灰分及び金属類の溶融化、さらには溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出が安定的に行われる。
たとえ、廃棄物中の炭素が完全にガス化せずに未利用炭素として除塵設備でダストとして回収された場合には、再度ガス化溶融炉に投入すればよい。この場合、ダストの粒径は1mm以下と極めて小さいためにこのまま投入すると炉内で飛散するおそれがあるが、投入する際にこの未利用炭素を含むダストを廃棄物とともに混合圧密してから装入すれば、ダストの飛散を防止することができる。
(4)課題(d)に対する解決手段
本発明では、熱分解残渣炭素が少ない廃棄物を対象とする場合には炭材を投入することにより、充填層の上端面の位置の制御を容易に行うことができる。基本のガス化溶融炉であっても、炭材を廃棄物に混合した後に圧密して1つの塊として炉に装入することが可能である。この場合、細かい粒径の炭材を用いても飛散もなくガス通気性悪化の懸念もない。また、基本のガス化溶融炉は、火点を炉の中心部に集中させるため溶融物の通液性が悪化して安定したスラグの排出ができないといった懸念もない。したがって、炭材として高価なコークスに限定する必然性は全くなく、材木等の熱分解残渣炭素が含まれる炭材を用いることもできる。
また、予め篩い分けられた粒径が大きな炭材を装入する場合には、廃棄物を炉内に装入するための廃棄物装入路に直列に配置された二つのバルブを有する装入装置を用いることが望ましい。この装入装置は、外部側のバルブを開くとともに内部側のバルブを閉じた状態で炭材を外部側のバルブと内部側のバルブとの間の空間に供給し、外部側のバルブを閉じてから内部側のバルブを開くことによって炭材を炉内に装入することができる。この装入装置は、外部側のバルブ又は内部側のバルブのいずれかは常に閉じられているので、大量の炉内ガスが装入装置を通過して炉外へ漏洩したり、あるいは炉外の空気が大量に炉内に吸い込まれることが防止される。また、この課題(d)を解決するために投入される炭材は、炉内の温度条件がダイオキシン類を完全熱分解する条件に昇温した後に投入するので、炭材中のハロゲン類濃度は高くても問題ない。
(5)課題(e)に対する解決手段
本発明では、基本のガス化溶融炉の炉体のガス排出口に接続されたダクトを介して導かれる排ガスを、(i)除塵した後に除塵された排ガスに含まれるハロゲン化水素ガスを酸回収装置により酸として回収し、回収された酸をハロゲンに転換すること、及び/又は、(ii)100℃以下に冷却して冷却された排ガスに含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮させ、排ガスに含まれるハロゲン化水素を酸として回収することによって回収された酸をハロゲンに転換する。これにより、ダイオキシン類の排出や設備の腐食を抑制しながら、廃棄物に含まれるハロゲンをマテリアルリサイクルすることができる。
(6)課題(f)に対する解決手段
医療系廃棄物、汚染土壌又はポリ塩化ビフェニル等を含む有害廃棄物を基本のガス化溶融炉に装入する場合には、これらの有害廃棄物を密閉容器に封入し、この密閉容器を、廃棄物装入路に直列に配置された二つのバルブを有する上述した装入装置から投入することが有効である。これにより、発生する有害ガスは、炉内で充分な高温条件での滞留時間を経て、完全に分解されて炉外へ排出される。
(7)課題(g)に対する解決手段
炉を一時的に休止した後の立ち上げの際に炉内に残留した廃棄物や冷えたスラグ等が炉と湯溜まり室との接続部を閉塞することに起因して湯溜まり室の内部の圧力が過剰に上昇することを防ぐため、湯溜まり室内の圧力が上昇した場合、湯溜まり室で発生するガスを排出するための配管を設置することが有効である。
図1は、実施の形態で用いる廃棄物のガス化溶融炉の詳細を説明するための概略図である。
図2は、実施の形態のガス化溶融炉において、ダクトの内壁への付着物を機械的な方法により除去する廃棄物の処理装置である付着物除去装置を模式的に示す説明図である。
図3は、先端部にファイバースコープが設置された駆動軸を示す説明図である。
図4は、実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。
図5は、実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。
図6は、実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。
図7は、実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。
図8は、図1に示すガス化溶融炉に湯溜まり室を設けたガス化溶融炉を、一部簡略化して模式的に示す説明図である。
図9は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図10は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図11は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図12は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図13は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図14は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図2は、実施の形態のガス化溶融炉において、ダクトの内壁への付着物を機械的な方法により除去する廃棄物の処理装置である付着物除去装置を模式的に示す説明図である。
図3は、先端部にファイバースコープが設置された駆動軸を示す説明図である。
図4は、実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。
図5は、実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。
図6は、実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。
図7は、実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。
図8は、図1に示すガス化溶融炉に湯溜まり室を設けたガス化溶融炉を、一部簡略化して模式的に示す説明図である。
図9は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図10は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図11は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図12は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図13は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
図14は、ダクトの入口部と出口部の差圧の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明に係る廃棄物の処理方法及び処理装置の実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態で用いる廃棄物のガス化溶融炉1の詳細を説明するための概略図である。
同図に示すように、本実施の形態のガス化溶融炉1の炉体1aは、内張り耐火物2により内張りされる。また、炉体1aには、廃棄物3を装入するための廃棄物装入口4と生成するエネルギーガス(以下、単に「排ガス」ともいう)及びダストを排出するためのガス排出口5と、このガス排出口5を介して炉体1aの内部空間に連通するダクト6を有する。廃棄物装入口4にはプッシャー7が取り付けられており、装入される炭材8は廃棄物3とともに廃棄物装入口4から圧密された状態で装入される。
図1における符号9は、炉軸(炉中心軸)に沿って下方へ向けて支燃性ガス9aを炉内に向けて吹き込む昇降可能な炉中心ランスである。符号10は、支燃性ガス10aを炉軸に向かう方向からずらした方向へ吹き込むように炉体1aの炉壁に1段以上(本例では2段)配置された上部羽口である。さらに、符号11は、支燃性ガス11a又は支燃性ガス11a及び燃料11bを炉軸へ向かう方向へ吹き付けるように炉内に突き出して炉壁に1段以上(本例では2段)配置された下部羽口である。
図1のダクト6の手前、すなわち炉体1aの上部の排ガスの出口の近傍には、例えば水、不活性ガス、プロセスガス又は蒸気の少なくとも一つにより構成される冷媒12を吹き込むためのノズル13が1本以上設置される。
ガス化溶融炉1の炉体1aの内部では、生成したガスは一旦1000℃以上に加熱され、2秒間以上保持されることによりダイオキシン類が分解される。1000℃以上に加熱されて炉内で生成した生成ガスは、炉体1aの上部の排ガスの出口の近傍に設置された冷媒吹き込みノズル13から吹き込まれる冷媒12により冷却される。
ダクト6の内部へ流入する排ガスの温度は、ダクト6の閉塞を抑制するためには低い方が好ましいが、ダイオキシン類の再合成を抑制するためにはダクト6内での排ガス温度は800℃以上、好ましくは850℃以上を維持することが望ましい。ダクト6内で800℃以上に維持されたガスは、後段の排ガス冷却装置(図示しない)により200℃以下に急冷される。これにより、ダイオキシン類の再合成が抑制され、プロセス全体からのダイオキシン類の排出量が顕著に抑制される。
ノズル13から炉体1aの内部へ吹き込まれる冷媒12は、水、不活性ガス、プロセスガス又は蒸気の少なくとも一つにより構成されていれば、ダクト6の内面への低沸点ガス状物質の付着を抑制できるが、水を用いることが望ましい。冷媒12として不活性ガスを使用した場合、炉内で生成した高カロリーガスのカロリー低下が発生する。また、蒸気は、水と比較すると蒸発潜熱がないため、発生したガスの冷却原単位が高い。そのため、排ガスには不要な水が多量に入るため、後処理工程も含めて経済的でないという点で不利である。したがって、冷却効率が高く、後段の工程で生成した高カロリーガスとの分離が可能な水(特にミスト状の水)が冷媒として望ましい。水をミスト化するためにガスによって水を霧状化する場合は、不活性ガス等ではなくプロセスガスを使用し、生成ガスカロリーの低減を抑制することが望ましい。
また、ダクト6に固体ダストが堆積する場合には、ダクト6に高圧のガスを吹き込むことが可能な1つ以上のノズル14からガス15を吹き込み、固体ダストを炉体1aの内部側及び/又は後段のガス冷却装置側に吹き飛ばすことによって、ダクト6の内部を清掃する。
このように、本実施の形態によれば、ダクト6の手前へ冷媒12を吹き込むことにより、ダクト6の閉塞を防止することができる。
図2は、本実施の形態のガス化溶融炉1において、ダクト6の内壁への付着物を機械的な方法により除去する廃棄物の処理装置である付着物除去装置16を模式的に示す説明図である。
ダクト6の内部への付着物17による閉塞度合いは、ダクト6の入口部6aの圧力と出口部6bの圧力との差圧の変化から予測することができる。差圧変化は差圧測定装置18により連続的に監視される。すなわち、差圧測定装置18により測定される差圧の絶対値が初期(操業開始時)の値と比較して増加傾向を示す場合は、ダクト6内の閉塞が進行していると予測される。
本実施の形態では、このような場合に付着物除去装置16を用いて付着物17の除去を行う。まず、駆動軸19−1が前進及び後退し、続いて駆動軸19−2が前進及び後退の動作をすることにより、付着物17をダクト6の内壁から剥離除去する。駆動軸19−1及び19−2は昇降装置20によりダクト6の延設方向へ沿って動作する。
また、駆動軸19−1及び19−2は水冷方式により、その先端付近まで冷却されている。これによって、駆動軸19−1及び19−2の熱的負荷による曲損や損傷が抑制される。駆動軸19−1及び19−2には冷却水21を給水及び排水するための給排水管(図示しない)が設けられており、高温条件下での使用にも対応できる。また、駆動軸19−1及び19−2の駆動部分ではグランドシール方式のガスリーク防止装置22を設けることにより、駆動軸19−1及び19−2の動作時において系内のガスが系外に漏洩することが防止される。
駆動軸19−1を動作させるタイミングとしては、ダクト6の内壁の閉塞の度合いが小さいうちに行うことが望ましい。閉塞の度合いが小さいうちであれば、駆動軸19−1及び19−2を特開2002−168433号公報のように回転させる必要がなく、また、駆動軸19−1及び19−2に閉塞物を除去するための大きな負荷をかけることなく、短時間で閉塞物を除去できるためである。したがって、ガスリーク防止装置22からのガスのリークもなく、装置の寿命も向上する。例えば、差圧測定装置18の値が操業を開始してから2時間までの平均値と比較して、20mmH2O以上400mmH2O以下増加した時点で行うことが望ましい。あるいは、閉塞物除去装置16を1時間以上24時間以下の周期で定期的に運転することも望ましい。
また、ダクト6の閉塞がなく、通常のガス化溶融操業を行っている間は、駆動軸19−1、19−2を待機位置24まで後退させ、バルブ23を閉の状態とすることによって、炉内のガスの漏洩が完全に防止される。バルブ23を閉めることによって、ガス化溶融炉1の操業中に付着物除去装置16の点検等も行うことができる。
なお、駆動軸19−1、19−2を運転しない時にも、駆動軸19−1、19−2は待機位置24まで待機させ、待機位置24の手前に設けたバルブ23を閉じておけば、ガスのリーク及び空気の吸い込みを防止できる。バルブ23を設置することにより、駆動軸19−1、19−2を動かさない通常の操業では、ガスリーク防止装置22はダクト6内の熱影響を殆ど受けないので、ガスリーク防止装置22の寿命も長くなる。また、駆動軸19−1、19−2のくぼみ部分25がガスリーク防止装置22と接触することによってもガスのシールが行われる。
駆動軸19−1、19−2の最も径の大きい部分の外径dは、ダクト6の内径Dの50%以上とすることが望ましい。また、駆動軸19−1、19−2の先端の掻きとり部材19−1a、19−2aの角度αは10度以上150度以下とすることが望ましい。
また、昇降装置20等の設備を設置し、かつ付着物17を除去するためには、十分な長さの駆動軸19−1、19−2を用いるべきであるが、駆動軸19−1、19−2の長さが長過ぎると建屋の高さを必要以上に高くとることとなる。このため、駆動軸19−1、19−2の長さは、駆動軸19−1、19−2の待機位置から駆動軸19−1、19−2の前進限までの長さLの3倍以下とすることが望ましい。駆動軸19−1、19−2の前進限26は、図2の駆動軸19−2のように炉内に向かって前進する場合はガス排出口5より、10mm〜300mm程度下に前進させた位置とすることが望ましい。また、図2における駆動軸19−1のようにダクトが交差している方向に向かって前進する場合は、交差するダクトの中心軸線に対して±50mm前進した位置とすることが望ましい。
また、駆動軸19−1、19−2の先端部に、図3のようにファイバースコープ27を設置することにより、ダクト6内の閉塞状況を監視しながら駆動軸19−1、19−2を運転することも有効である。基本的には、ダクト6内の差圧により閉塞状況を推定できるが、付着物17が極めて少量の場合は、差圧の測定結果には顕著な傾向が現れない可能性がある。ダクト6内を清掃した時に、このわずかな付着物17が残ると、それを核として閉塞物が再度成長する可能性がある。したがって、ファイバースコープ27等でダクト6の内部を観察しながら作業を行うことが有効である。常時ファイバースコープ27により、ダクト6内を観察していれば、差圧測定をする必要性はないものの、駆動軸19−1、19−2をダクト6内に常時挿入しておく必要があり、駆動軸19−1、19−2が熱的に損傷する可能性が高くなる。また、ファイバースコープ27にダスト等が付着するので長時間の観察は不可能である。また、バルブ23を開のままにしておく必要があるので、シール装置22の寿命も短くなる。先端部分19−1a、19−2aの交換や修理は、待機位置24に戻し、待機位置24の手前のバルブ23を閉じることにより操業中でも行うことができる。
次に、本実施の形態で用いる廃棄物のガス化溶融炉1を示す図1を参照しながら、このガス化溶融炉1の昇温において、炉内の装入物の上端面の高さを迅速に操業時の制御レベルまで上げることによって炉内填充時間を短縮する方法を説明する。
本実施の形態では、ガス化溶融炉1の昇温を開始する前の段階から、塩素等のハロゲン濃度が0.1%以下である炭材32をガス化溶融炉1内の所定の高さまで装入しておく。ここで、所定の高さとは、廃棄物装入口4又は装入装置28と、下部羽口11との間の高さを意味する。
昇温は、例えば、二重ゲート弁29を配置する装入装置28から炉内へ装入され、予め積み上げられた炭材32の上端面に火種を投入した後にバルブ29a及び/又はバルブ29bを閉めた状態とし中心ランス9から支燃性ガス9aを送風することによって予め装入した炭材32を燃焼させるといった極めて簡単な手順で開始する。炭材32の燃焼状況は、炉体1aの上部に設置した炉内監視窓30から常時行うことができる。
さらに、下部羽口11からも支燃性ガス11aを送風し、下部羽口11の近傍でも炭材32を燃焼する。下部羽口11の前面での燃焼の確認は監視窓31から目視で確認できる。炭材32の充填層の上端面レベルは逐次測定し、上端面レベルを目標とするレベルに維持できるように炉内に供給する炭材32の量を調整する。
このようにして、炉内の装入物の上端面の高さを、炉の昇温段階で操業時の制御レベルまで上げることができ、これにより、炉内填充時間を短縮することができる。
次に、本実施の形態において未利用炭素を低減する手段について説明する。
図1に示すガス化溶融炉1において、ダクト6から炉外へ飛散するダストには、未利用炭素も含まれる。未利用炭素を低減する方法として、本実施の形態では炉内へ蒸気を吹き込む。
図1に示すガス化溶融炉1内の廃棄物の上端面とガス排出口5との間に設置したノズル33、炉中心ランス9又は上部羽口10のいずれか少なくとも一つから蒸気34を吹き込んで、水性シフト反応(C+H2O=CO+H2)により未利用炭素をCOガスに転換する。
ここで、蒸気34の吹き込み量は流量計により容易に制御できるので、この水性シフト反応に必要な量の水蒸気を正確に供給することが可能である。また、吹き込んだ蒸気34により、未利用炭素を効率的にCOガスにするためには、蒸気34を広角に吹き込むことが望ましい。これにより、蒸気34が炉体1aの周方向により均一に吹き込まれることとなり、上述した水性シフト反応が効率的に進行する。
たとえ廃棄物中の炭素が完全にガス化せずに未利用炭素として除塵設備でダストとして回収された場合であっても、再度、ガス化溶融炉1に投入することが可能である。この際、ダストの粒径は1mm以下と極めて小さいために炉内で飛散することが懸念されるが、本例では、図1に示すプッシャー7により廃棄物3とともに未利用炭素35を含むダストを混合圧密して装入することができるため、炉内でのダストの飛散は抑えられる。
次に、図1に示すガス化溶融炉1において、熱分解残渣炭素が少ない廃棄物を対象とする場合に、炭材8及び/又は炭材36を投入することにより、充填層の高さの制御、すなわち廃棄物の上端面の位置の制御を容易に行う手段を説明する。
上述したように、図1に示すガス化溶融炉1にはプッシャー7が取り付けられている廃棄物装入口4が設置されており、炭材8は、廃棄物3とともに混合圧密されて炉内に装入される。これにより、粒径の細かい炭材8の炉内における飛散が抑えられる。
また、予め選別された粒径が5mm以上である炭材36を装入する場合には、二重ゲート弁29を用いて装入することが望ましい。この場合、炭材36のみを二重ゲート弁29を有する独立した装入装置28から投入することが可能である。二重ゲート弁29を備える装入装置28は、上部ゲート弁29aを開くことにより、炭材36を上部ゲート弁29aと下部ゲート弁29bとの間に自由落下させ、その後上部ゲート弁29aを閉めてから、下部ゲート弁29bを開いて炭材36を炉内に装入する。
この装入手段によれば、常に上部ゲート弁29a又は下部ゲート弁29bのいずれかを閉めた状態で動作するため、大量の炉内ガスがこの装入装置28を通過して炉外に漏れ出すことや、炉外の空気を大量に炉内に吸い込むことがともに防止される。
このようにして、炭材8及び/又は炭材36を炉内に投入することにより、熱分解残渣炭素が少ない廃棄物が対象であっても、充填層の高さの制御を容易に行うことができる。
炭材8及び/又は炭材36は、炉内温度をダイオキシン類が殆ど発生しない条件に昇温した後に投入する。したがって、炭材8及び/又は炭材36に含まれるハロゲン類の濃度は特に限定しない。
次に、本実施の形態において、ハロゲンのマテリアルリサイクルを行う状況を説明する。
図4〜7は、いずれも、本実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。初めに、図4及び図5により示されたシステムについて説明してから、図6及び図7により示されたシステムについて説明する。
図4において、廃棄物3は本実施の形態のガス化溶融炉1に投入される。廃棄物3に含まれる有機物がガス化して燃料として使用できる高カロリーガス40を生成する。灰分及び有価金属は溶融スラグ38及び溶融金属39に転換される。ガス化溶融炉1内では、ダイオキシン類の排出を低減するために、その上部の温度は1000℃以上1400℃以下に制御されており、廃棄物3を500〜1200℃以上の高温領域の熱分解ガス化帯に直接投入し、炉内で1000℃以上の高温に2秒間以上保持された後、炉外に排出される高温の高カロリーガス40は、ダクト41を経由してガス冷却装置42でノズル43から噴霧されるミスト44によって120℃以上200℃以下に急冷される。
これにより、ハロゲン含有量の多い廃棄物3を処理する場合においても、ダイオキシン類の再合成及び排出を確実に抑制することができ、プロセス全体からのダイオキシン類の排出量を低く抑えることが可能となる。また、ハロゲンを含有するプラスチック類は低温での熱分解においてはタールが発生し、配管等への付着が問題となるが、このガス化溶融炉1では高温での熱分解ガス化を行うため、タールも発生しない。
ガス冷却装置42の出口のダクト45を通過するガスとしては、一酸化炭素及び水素等とともにハロゲン化水素ガス等が含まれている。これらのガスは、除塵装置46で含まれているダスト47を除塵した後、ハロゲン回収装置48に導かれる。
ハロゲン回収装置48では水49をノズル50から吹き付けることによって高カロリーガスを100℃以下に冷却し、含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮することにより凝縮水51と塩酸等の酸52の混合液とし、他のエネルギーガス53とハロゲンを分離させる。酸52と凝縮水51の混合液は、ノズル54を通してハロゲン回収装置48に循環され、酸52を濃縮し回収する。酸52と凝縮水51の混合液はノズル54を使用せず、ノズル50から水49と混合して循環することも可能である。回収された酸52は、ハロゲン化装置55でハロゲン56に転換される。
また、除塵装置46、ガス冷却装置42でそれぞれガスと分離除去されたダスト47、57は、新たに装入される廃棄物3とともにガス化溶融炉1に再投入される。ここで、ガス冷却装置42で冷却されたガスは、ハロゲン回収装置48に流入するまでは、ハロゲン化水素ガスによる腐食防止の観点から100℃以上、好ましくは120℃以上とすることが望ましい。特に温度が低くなる除塵装置46以降では、ハステロイ等の耐酸性材料を使用することが有効である。また、ハロゲン回収装置48に使用する材料としては、100℃以下でも酸腐食が発生しにくいFRP等が挙げられる。
また、酸の回収方法としては、図5に示すようにガス冷却装置42を通過した後に回収する方法もあげられる。図5は、ガス化溶融炉1で生成した1000℃以上1400℃以下の高温でかつ高カロリーなガス40をガス冷却装置42で100℃以下に急冷し、エネルギーガス40に含まれるハロゲンを回収する方式である。この方式では、ガス40に含まれている水分及びガス冷却装置42で噴霧されたミスト44をガス冷却装置42の内部で凝縮して、ガス冷却装置42の下部より回収する。回収された凝縮水58には酸及びスラッジ59が含まれるが、回収された凝縮水58は濾過装置60でスラッジ59を分離除去した後、酸61を含む凝縮水62となり、ハロゲン化装置55でハロゲン56に転換される。
ガス冷却装置42の出口ガスの温度は100℃以下であるが、ハロゲンの殆どはガス冷却装置42の下で回収される凝縮水58に移行するため、ガス冷却装置42の後段の設備が腐食することはない。ただし、若干のハロゲン化水素ガスが含まれるので、除外塔65に苛性ソーダ71を含む水72を供給して酸66を回収し、ガス冷却装置42の下部で回収された酸61とともにハロゲン化装置55でハロゲン化される。また、スラッジ59はガス化溶融炉1に再投入してガス化溶融できる。
また、廃棄物中のハロゲン濃度は広範囲であるが、ハロゲン濃度の高いサンプルの方が、回収酸濃度が高くなる。さらには、廃棄物処理量当たりのハロゲン回収量が大きくなり、回収効率が高くなる等の利点が考えられる。そこで、ハロゲン濃度が低い廃棄物を処理する場合、ハロゲン濃度の高い廃棄物を添加して回収される酸を濃縮することも有効である。
また、廃棄物に含まれるハロゲン類の濃度が低い場合は、除塵設備46に消石灰を吹き込みハロゲンを除去することが望ましい。ハロゲン類濃度が低い場合は、ハロゲン回収効率が低いためである。除塵設備46でハロゲンを固定化すれば、ハロゲン類を水洗処理するハロゲン回収装置55は必要なく、そこから排出される水の処理を行う必要がないためである。
次に、図6及び図7により示されたシステムについて説明する。なお、以降の説明では、上述した図4により示されたシステムと相違する部分を説明し、共通する部分の説明は省略する。
図6において、ガス冷却装置42の出口のダクト45を通過するガスが除塵装置46により含まれているダスト47を除塵された後にハロゲン回収装置48へ導かれるまでは、上述した図4により示されたシステムと同じである。
本例では、ハロゲン回収装置48では水49をノズル50から吹き付けることによって高カロリーガス40を100℃以下に冷却し、含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮することで、凝縮水51と酸52の混合液とし、他のエネルギーガス53とハロゲンを分離させる。酸52と凝縮水51の混合液は、ノズル43を通してガス冷却装置42に循環され、ハロゲン回収装置48で回収される酸52の濃度を濃縮する。
回収された酸52は、ハロゲン化装置55でハロゲン56に転換される。酸52と凝縮水51の混合液をガス冷却装置42に循環することによって、ガス冷却装置42で使用する水44の量を低減できる。また、除塵装置46、ガス冷却装置42でガスと分離除去されたダスト47、57は廃棄物3とともにガス化溶融炉1に再投入される。
本例においても、ガス冷却装置42で冷却されたエネルギーガスは、ハロゲン回収装置48に流入するまでは、ハロゲン化水素ガスによる腐食防止の観点から100℃以上、好ましくは120℃以上とすることが望ましい。特に温度が低くなる除塵装置46以降では、ハステロイ等の耐酸性材料を使用することが有効である。また、ハロゲン回収装置48に使用する材料としては、100℃以下でも酸腐食が発生しにくいFRP等が挙げられる。
また、図7は、酸回収方法としてガスクーラー方式を採用した例である。なお、以降の説明では、上述した図6により示されたシステムと相違する部分を説明し、共通する部分の説明は省略する。
図7において、ガス冷却装置42の出口のダクト45を通過するガスが除塵装置46により含まれているダスト47を除塵した後にハロゲン回収装置48へ導かれるまでは、上述した図6により示されたシステムと同じである。
本例では、ハロゲン回収装置48ではガスクーラー方式により高カロリーガス40を100℃以下に冷却し、含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮することによって、凝縮水51と酸52との混合液とし、他のエネルギーガス53とハロゲンを分離させる。酸52は、ハロゲン化装置55でハロゲン56に転換される。また、除塵装置46、ガス冷却装置42でガスと分離除去されたダスト47、57は、新たに装入される廃棄物3とともにガス化溶融炉1に再投入される。
本例においても、ガス冷却装置42で冷却されたエネルギーガスは、ハロゲン回収装置48に流入するまでは、ハロゲン化水素ガスによる腐食防止の観点から100℃以上、好ましくは120℃以上とすることが望ましい。特に温度が低くなる除塵装置46以降では、ハステロイ等の耐酸性材料を使用することが有効である。
次に、本実施の形態のガス化溶融炉1を用いて医療系廃棄物、汚染土壌又はPCB等の有害廃棄物を処理する状況を説明する。
密閉容器に封入された有害廃棄物は、図1に示すガス化溶融炉1を用いて無害化処理することができる。炉体1aへの装入は、二重ゲート弁方式の装入装置29から投入することが可能である。二重ゲート弁方式の装入装置29は、上部ゲート弁29aを開くことにより密閉容器を上部ゲート弁29aと下部ゲート弁29bとの間に自由落下させ、その後上部ゲート弁29aを閉めてから下部ゲー弁29bを開いて密閉容器を炉内に装入する。これによれば、常に上部ゲート弁29a又は下部ゲー弁29bのいずれかを閉めた状態を維持できるため、大量の炉内ガスが装入装置を通過して炉外に漏れることや、炉外の空気を大量に炉内に吸い込むことが防止される。なお、炉内の圧力は、下流に誘引ファン等を設置することによって大気圧以下に制御することが望ましい。
これにより、密閉容器に封入されて炉内に装入された有害廃棄物から発生する有害な熱分解ガスが密閉容器から排出されることなく、有害廃棄物を充填層の上端面に到達させることができる。有害廃棄物は、充填層の上端面に到達した後、熱により密閉容器に孔があくことにより、熱分解された熱分解ガスとして、密閉容器から排出される。密閉容器から排出された有害ガスは、高温条件下で十分な滞留時間を経るために炉内で完全に分解されて、炉外へ排出される。この密閉容器の材質及び厚みは、密閉容器が充填層の上端面に到達するまでの間に孔があかないように適宜決定すればよい。
さらに、本実施の形態において、湯溜まり室の内部の圧力上昇を解消する手段を説明する。
図8は、図1に示すガス化溶融炉1に湯溜まり室73を設けたガス化溶融炉1−1を、一部簡略化して模式的に示す説明図である。なお、以降のガス化溶融炉1−1の説明では、ガス化溶融炉1と相違する部分を説明し、共通する部分の説明は省略する。
図8に示すように、このガス化溶融炉1−1には、炉体1aの下部の内部に連通して、湯溜まり室73が設けられている。この湯溜まり室73はガス化溶融炉1−1から排出される灰分及び有価金属を回収するために、生成した溶融スラグ及び溶融金属等の溶湯を一時的に溜めておくためのものである。湯溜まり室羽口81からは、支燃性ガス81a及び燃料81bを吹き込み、湯溜まり室内温度を維持する。
本例では、湯溜まり室73の上部にガス排出用の配管74を設置し、炉体1aの内部の廃棄物の上端面76とガス排出口5との間に接続する。その間には、弁75を配置し、通常は弁75を閉じた状態で操業を行う。
湯溜まり室73の内部の圧力は、圧力測定装置77により連続測定することが可能である。通常の操業においては、圧力測定装置77の値は、湯溜まり室73の設計圧力の0.5倍以下での操業とするが、この値が設計圧力の0.5倍を超えた場合には、弁75を開いて、ガス排出口5より湯溜まり室73の内部で発生したガスを、炉体1aの外部へ排出する。
これにより、ガス化溶融炉1を一時的に休止した後の立ち上げの際に炉内に残留した廃棄物や冷えたスラグ等が炉体1aと湯溜まり室73との接続部78を閉塞することにより、湯溜まり室73の内部の圧力が過剰に上昇することが防止される。
このように、本実施の形態により、基本のガス化溶融炉が有する課題である、(a)ダクト6の閉塞、(b)炉内填充時間、(c)未利用炭素の排出、(d)廃棄物の上端面位置の制御、(e)ハロゲン類のマテリアルリサイクル、(f)有害廃棄物の装入、(g)湯溜まり室73の内部の圧力上昇を、解決することができ、これにより、基本のガス化溶融炉をいっそう高性能化できる。このため、本実施の形態により、長期間にわたって安定的にガス化溶融操業を商用的規模で継続することが可能となり、真に実用性が高い廃棄物の処理方法及び処理装置を提供できる。
図1は、本実施の形態で用いる廃棄物のガス化溶融炉1の詳細を説明するための概略図である。
同図に示すように、本実施の形態のガス化溶融炉1の炉体1aは、内張り耐火物2により内張りされる。また、炉体1aには、廃棄物3を装入するための廃棄物装入口4と生成するエネルギーガス(以下、単に「排ガス」ともいう)及びダストを排出するためのガス排出口5と、このガス排出口5を介して炉体1aの内部空間に連通するダクト6を有する。廃棄物装入口4にはプッシャー7が取り付けられており、装入される炭材8は廃棄物3とともに廃棄物装入口4から圧密された状態で装入される。
図1における符号9は、炉軸(炉中心軸)に沿って下方へ向けて支燃性ガス9aを炉内に向けて吹き込む昇降可能な炉中心ランスである。符号10は、支燃性ガス10aを炉軸に向かう方向からずらした方向へ吹き込むように炉体1aの炉壁に1段以上(本例では2段)配置された上部羽口である。さらに、符号11は、支燃性ガス11a又は支燃性ガス11a及び燃料11bを炉軸へ向かう方向へ吹き付けるように炉内に突き出して炉壁に1段以上(本例では2段)配置された下部羽口である。
図1のダクト6の手前、すなわち炉体1aの上部の排ガスの出口の近傍には、例えば水、不活性ガス、プロセスガス又は蒸気の少なくとも一つにより構成される冷媒12を吹き込むためのノズル13が1本以上設置される。
ガス化溶融炉1の炉体1aの内部では、生成したガスは一旦1000℃以上に加熱され、2秒間以上保持されることによりダイオキシン類が分解される。1000℃以上に加熱されて炉内で生成した生成ガスは、炉体1aの上部の排ガスの出口の近傍に設置された冷媒吹き込みノズル13から吹き込まれる冷媒12により冷却される。
ダクト6の内部へ流入する排ガスの温度は、ダクト6の閉塞を抑制するためには低い方が好ましいが、ダイオキシン類の再合成を抑制するためにはダクト6内での排ガス温度は800℃以上、好ましくは850℃以上を維持することが望ましい。ダクト6内で800℃以上に維持されたガスは、後段の排ガス冷却装置(図示しない)により200℃以下に急冷される。これにより、ダイオキシン類の再合成が抑制され、プロセス全体からのダイオキシン類の排出量が顕著に抑制される。
ノズル13から炉体1aの内部へ吹き込まれる冷媒12は、水、不活性ガス、プロセスガス又は蒸気の少なくとも一つにより構成されていれば、ダクト6の内面への低沸点ガス状物質の付着を抑制できるが、水を用いることが望ましい。冷媒12として不活性ガスを使用した場合、炉内で生成した高カロリーガスのカロリー低下が発生する。また、蒸気は、水と比較すると蒸発潜熱がないため、発生したガスの冷却原単位が高い。そのため、排ガスには不要な水が多量に入るため、後処理工程も含めて経済的でないという点で不利である。したがって、冷却効率が高く、後段の工程で生成した高カロリーガスとの分離が可能な水(特にミスト状の水)が冷媒として望ましい。水をミスト化するためにガスによって水を霧状化する場合は、不活性ガス等ではなくプロセスガスを使用し、生成ガスカロリーの低減を抑制することが望ましい。
また、ダクト6に固体ダストが堆積する場合には、ダクト6に高圧のガスを吹き込むことが可能な1つ以上のノズル14からガス15を吹き込み、固体ダストを炉体1aの内部側及び/又は後段のガス冷却装置側に吹き飛ばすことによって、ダクト6の内部を清掃する。
このように、本実施の形態によれば、ダクト6の手前へ冷媒12を吹き込むことにより、ダクト6の閉塞を防止することができる。
図2は、本実施の形態のガス化溶融炉1において、ダクト6の内壁への付着物を機械的な方法により除去する廃棄物の処理装置である付着物除去装置16を模式的に示す説明図である。
ダクト6の内部への付着物17による閉塞度合いは、ダクト6の入口部6aの圧力と出口部6bの圧力との差圧の変化から予測することができる。差圧変化は差圧測定装置18により連続的に監視される。すなわち、差圧測定装置18により測定される差圧の絶対値が初期(操業開始時)の値と比較して増加傾向を示す場合は、ダクト6内の閉塞が進行していると予測される。
本実施の形態では、このような場合に付着物除去装置16を用いて付着物17の除去を行う。まず、駆動軸19−1が前進及び後退し、続いて駆動軸19−2が前進及び後退の動作をすることにより、付着物17をダクト6の内壁から剥離除去する。駆動軸19−1及び19−2は昇降装置20によりダクト6の延設方向へ沿って動作する。
また、駆動軸19−1及び19−2は水冷方式により、その先端付近まで冷却されている。これによって、駆動軸19−1及び19−2の熱的負荷による曲損や損傷が抑制される。駆動軸19−1及び19−2には冷却水21を給水及び排水するための給排水管(図示しない)が設けられており、高温条件下での使用にも対応できる。また、駆動軸19−1及び19−2の駆動部分ではグランドシール方式のガスリーク防止装置22を設けることにより、駆動軸19−1及び19−2の動作時において系内のガスが系外に漏洩することが防止される。
駆動軸19−1を動作させるタイミングとしては、ダクト6の内壁の閉塞の度合いが小さいうちに行うことが望ましい。閉塞の度合いが小さいうちであれば、駆動軸19−1及び19−2を特開2002−168433号公報のように回転させる必要がなく、また、駆動軸19−1及び19−2に閉塞物を除去するための大きな負荷をかけることなく、短時間で閉塞物を除去できるためである。したがって、ガスリーク防止装置22からのガスのリークもなく、装置の寿命も向上する。例えば、差圧測定装置18の値が操業を開始してから2時間までの平均値と比較して、20mmH2O以上400mmH2O以下増加した時点で行うことが望ましい。あるいは、閉塞物除去装置16を1時間以上24時間以下の周期で定期的に運転することも望ましい。
また、ダクト6の閉塞がなく、通常のガス化溶融操業を行っている間は、駆動軸19−1、19−2を待機位置24まで後退させ、バルブ23を閉の状態とすることによって、炉内のガスの漏洩が完全に防止される。バルブ23を閉めることによって、ガス化溶融炉1の操業中に付着物除去装置16の点検等も行うことができる。
なお、駆動軸19−1、19−2を運転しない時にも、駆動軸19−1、19−2は待機位置24まで待機させ、待機位置24の手前に設けたバルブ23を閉じておけば、ガスのリーク及び空気の吸い込みを防止できる。バルブ23を設置することにより、駆動軸19−1、19−2を動かさない通常の操業では、ガスリーク防止装置22はダクト6内の熱影響を殆ど受けないので、ガスリーク防止装置22の寿命も長くなる。また、駆動軸19−1、19−2のくぼみ部分25がガスリーク防止装置22と接触することによってもガスのシールが行われる。
駆動軸19−1、19−2の最も径の大きい部分の外径dは、ダクト6の内径Dの50%以上とすることが望ましい。また、駆動軸19−1、19−2の先端の掻きとり部材19−1a、19−2aの角度αは10度以上150度以下とすることが望ましい。
また、昇降装置20等の設備を設置し、かつ付着物17を除去するためには、十分な長さの駆動軸19−1、19−2を用いるべきであるが、駆動軸19−1、19−2の長さが長過ぎると建屋の高さを必要以上に高くとることとなる。このため、駆動軸19−1、19−2の長さは、駆動軸19−1、19−2の待機位置から駆動軸19−1、19−2の前進限までの長さLの3倍以下とすることが望ましい。駆動軸19−1、19−2の前進限26は、図2の駆動軸19−2のように炉内に向かって前進する場合はガス排出口5より、10mm〜300mm程度下に前進させた位置とすることが望ましい。また、図2における駆動軸19−1のようにダクトが交差している方向に向かって前進する場合は、交差するダクトの中心軸線に対して±50mm前進した位置とすることが望ましい。
また、駆動軸19−1、19−2の先端部に、図3のようにファイバースコープ27を設置することにより、ダクト6内の閉塞状況を監視しながら駆動軸19−1、19−2を運転することも有効である。基本的には、ダクト6内の差圧により閉塞状況を推定できるが、付着物17が極めて少量の場合は、差圧の測定結果には顕著な傾向が現れない可能性がある。ダクト6内を清掃した時に、このわずかな付着物17が残ると、それを核として閉塞物が再度成長する可能性がある。したがって、ファイバースコープ27等でダクト6の内部を観察しながら作業を行うことが有効である。常時ファイバースコープ27により、ダクト6内を観察していれば、差圧測定をする必要性はないものの、駆動軸19−1、19−2をダクト6内に常時挿入しておく必要があり、駆動軸19−1、19−2が熱的に損傷する可能性が高くなる。また、ファイバースコープ27にダスト等が付着するので長時間の観察は不可能である。また、バルブ23を開のままにしておく必要があるので、シール装置22の寿命も短くなる。先端部分19−1a、19−2aの交換や修理は、待機位置24に戻し、待機位置24の手前のバルブ23を閉じることにより操業中でも行うことができる。
次に、本実施の形態で用いる廃棄物のガス化溶融炉1を示す図1を参照しながら、このガス化溶融炉1の昇温において、炉内の装入物の上端面の高さを迅速に操業時の制御レベルまで上げることによって炉内填充時間を短縮する方法を説明する。
本実施の形態では、ガス化溶融炉1の昇温を開始する前の段階から、塩素等のハロゲン濃度が0.1%以下である炭材32をガス化溶融炉1内の所定の高さまで装入しておく。ここで、所定の高さとは、廃棄物装入口4又は装入装置28と、下部羽口11との間の高さを意味する。
昇温は、例えば、二重ゲート弁29を配置する装入装置28から炉内へ装入され、予め積み上げられた炭材32の上端面に火種を投入した後にバルブ29a及び/又はバルブ29bを閉めた状態とし中心ランス9から支燃性ガス9aを送風することによって予め装入した炭材32を燃焼させるといった極めて簡単な手順で開始する。炭材32の燃焼状況は、炉体1aの上部に設置した炉内監視窓30から常時行うことができる。
さらに、下部羽口11からも支燃性ガス11aを送風し、下部羽口11の近傍でも炭材32を燃焼する。下部羽口11の前面での燃焼の確認は監視窓31から目視で確認できる。炭材32の充填層の上端面レベルは逐次測定し、上端面レベルを目標とするレベルに維持できるように炉内に供給する炭材32の量を調整する。
このようにして、炉内の装入物の上端面の高さを、炉の昇温段階で操業時の制御レベルまで上げることができ、これにより、炉内填充時間を短縮することができる。
次に、本実施の形態において未利用炭素を低減する手段について説明する。
図1に示すガス化溶融炉1において、ダクト6から炉外へ飛散するダストには、未利用炭素も含まれる。未利用炭素を低減する方法として、本実施の形態では炉内へ蒸気を吹き込む。
図1に示すガス化溶融炉1内の廃棄物の上端面とガス排出口5との間に設置したノズル33、炉中心ランス9又は上部羽口10のいずれか少なくとも一つから蒸気34を吹き込んで、水性シフト反応(C+H2O=CO+H2)により未利用炭素をCOガスに転換する。
ここで、蒸気34の吹き込み量は流量計により容易に制御できるので、この水性シフト反応に必要な量の水蒸気を正確に供給することが可能である。また、吹き込んだ蒸気34により、未利用炭素を効率的にCOガスにするためには、蒸気34を広角に吹き込むことが望ましい。これにより、蒸気34が炉体1aの周方向により均一に吹き込まれることとなり、上述した水性シフト反応が効率的に進行する。
たとえ廃棄物中の炭素が完全にガス化せずに未利用炭素として除塵設備でダストとして回収された場合であっても、再度、ガス化溶融炉1に投入することが可能である。この際、ダストの粒径は1mm以下と極めて小さいために炉内で飛散することが懸念されるが、本例では、図1に示すプッシャー7により廃棄物3とともに未利用炭素35を含むダストを混合圧密して装入することができるため、炉内でのダストの飛散は抑えられる。
次に、図1に示すガス化溶融炉1において、熱分解残渣炭素が少ない廃棄物を対象とする場合に、炭材8及び/又は炭材36を投入することにより、充填層の高さの制御、すなわち廃棄物の上端面の位置の制御を容易に行う手段を説明する。
上述したように、図1に示すガス化溶融炉1にはプッシャー7が取り付けられている廃棄物装入口4が設置されており、炭材8は、廃棄物3とともに混合圧密されて炉内に装入される。これにより、粒径の細かい炭材8の炉内における飛散が抑えられる。
また、予め選別された粒径が5mm以上である炭材36を装入する場合には、二重ゲート弁29を用いて装入することが望ましい。この場合、炭材36のみを二重ゲート弁29を有する独立した装入装置28から投入することが可能である。二重ゲート弁29を備える装入装置28は、上部ゲート弁29aを開くことにより、炭材36を上部ゲート弁29aと下部ゲート弁29bとの間に自由落下させ、その後上部ゲート弁29aを閉めてから、下部ゲート弁29bを開いて炭材36を炉内に装入する。
この装入手段によれば、常に上部ゲート弁29a又は下部ゲート弁29bのいずれかを閉めた状態で動作するため、大量の炉内ガスがこの装入装置28を通過して炉外に漏れ出すことや、炉外の空気を大量に炉内に吸い込むことがともに防止される。
このようにして、炭材8及び/又は炭材36を炉内に投入することにより、熱分解残渣炭素が少ない廃棄物が対象であっても、充填層の高さの制御を容易に行うことができる。
炭材8及び/又は炭材36は、炉内温度をダイオキシン類が殆ど発生しない条件に昇温した後に投入する。したがって、炭材8及び/又は炭材36に含まれるハロゲン類の濃度は特に限定しない。
次に、本実施の形態において、ハロゲンのマテリアルリサイクルを行う状況を説明する。
図4〜7は、いずれも、本実施の形態のハロゲンを回収するためのシステムフローを示す説明図である。初めに、図4及び図5により示されたシステムについて説明してから、図6及び図7により示されたシステムについて説明する。
図4において、廃棄物3は本実施の形態のガス化溶融炉1に投入される。廃棄物3に含まれる有機物がガス化して燃料として使用できる高カロリーガス40を生成する。灰分及び有価金属は溶融スラグ38及び溶融金属39に転換される。ガス化溶融炉1内では、ダイオキシン類の排出を低減するために、その上部の温度は1000℃以上1400℃以下に制御されており、廃棄物3を500〜1200℃以上の高温領域の熱分解ガス化帯に直接投入し、炉内で1000℃以上の高温に2秒間以上保持された後、炉外に排出される高温の高カロリーガス40は、ダクト41を経由してガス冷却装置42でノズル43から噴霧されるミスト44によって120℃以上200℃以下に急冷される。
これにより、ハロゲン含有量の多い廃棄物3を処理する場合においても、ダイオキシン類の再合成及び排出を確実に抑制することができ、プロセス全体からのダイオキシン類の排出量を低く抑えることが可能となる。また、ハロゲンを含有するプラスチック類は低温での熱分解においてはタールが発生し、配管等への付着が問題となるが、このガス化溶融炉1では高温での熱分解ガス化を行うため、タールも発生しない。
ガス冷却装置42の出口のダクト45を通過するガスとしては、一酸化炭素及び水素等とともにハロゲン化水素ガス等が含まれている。これらのガスは、除塵装置46で含まれているダスト47を除塵した後、ハロゲン回収装置48に導かれる。
ハロゲン回収装置48では水49をノズル50から吹き付けることによって高カロリーガスを100℃以下に冷却し、含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮することにより凝縮水51と塩酸等の酸52の混合液とし、他のエネルギーガス53とハロゲンを分離させる。酸52と凝縮水51の混合液は、ノズル54を通してハロゲン回収装置48に循環され、酸52を濃縮し回収する。酸52と凝縮水51の混合液はノズル54を使用せず、ノズル50から水49と混合して循環することも可能である。回収された酸52は、ハロゲン化装置55でハロゲン56に転換される。
また、除塵装置46、ガス冷却装置42でそれぞれガスと分離除去されたダスト47、57は、新たに装入される廃棄物3とともにガス化溶融炉1に再投入される。ここで、ガス冷却装置42で冷却されたガスは、ハロゲン回収装置48に流入するまでは、ハロゲン化水素ガスによる腐食防止の観点から100℃以上、好ましくは120℃以上とすることが望ましい。特に温度が低くなる除塵装置46以降では、ハステロイ等の耐酸性材料を使用することが有効である。また、ハロゲン回収装置48に使用する材料としては、100℃以下でも酸腐食が発生しにくいFRP等が挙げられる。
また、酸の回収方法としては、図5に示すようにガス冷却装置42を通過した後に回収する方法もあげられる。図5は、ガス化溶融炉1で生成した1000℃以上1400℃以下の高温でかつ高カロリーなガス40をガス冷却装置42で100℃以下に急冷し、エネルギーガス40に含まれるハロゲンを回収する方式である。この方式では、ガス40に含まれている水分及びガス冷却装置42で噴霧されたミスト44をガス冷却装置42の内部で凝縮して、ガス冷却装置42の下部より回収する。回収された凝縮水58には酸及びスラッジ59が含まれるが、回収された凝縮水58は濾過装置60でスラッジ59を分離除去した後、酸61を含む凝縮水62となり、ハロゲン化装置55でハロゲン56に転換される。
ガス冷却装置42の出口ガスの温度は100℃以下であるが、ハロゲンの殆どはガス冷却装置42の下で回収される凝縮水58に移行するため、ガス冷却装置42の後段の設備が腐食することはない。ただし、若干のハロゲン化水素ガスが含まれるので、除外塔65に苛性ソーダ71を含む水72を供給して酸66を回収し、ガス冷却装置42の下部で回収された酸61とともにハロゲン化装置55でハロゲン化される。また、スラッジ59はガス化溶融炉1に再投入してガス化溶融できる。
また、廃棄物中のハロゲン濃度は広範囲であるが、ハロゲン濃度の高いサンプルの方が、回収酸濃度が高くなる。さらには、廃棄物処理量当たりのハロゲン回収量が大きくなり、回収効率が高くなる等の利点が考えられる。そこで、ハロゲン濃度が低い廃棄物を処理する場合、ハロゲン濃度の高い廃棄物を添加して回収される酸を濃縮することも有効である。
また、廃棄物に含まれるハロゲン類の濃度が低い場合は、除塵設備46に消石灰を吹き込みハロゲンを除去することが望ましい。ハロゲン類濃度が低い場合は、ハロゲン回収効率が低いためである。除塵設備46でハロゲンを固定化すれば、ハロゲン類を水洗処理するハロゲン回収装置55は必要なく、そこから排出される水の処理を行う必要がないためである。
次に、図6及び図7により示されたシステムについて説明する。なお、以降の説明では、上述した図4により示されたシステムと相違する部分を説明し、共通する部分の説明は省略する。
図6において、ガス冷却装置42の出口のダクト45を通過するガスが除塵装置46により含まれているダスト47を除塵された後にハロゲン回収装置48へ導かれるまでは、上述した図4により示されたシステムと同じである。
本例では、ハロゲン回収装置48では水49をノズル50から吹き付けることによって高カロリーガス40を100℃以下に冷却し、含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮することで、凝縮水51と酸52の混合液とし、他のエネルギーガス53とハロゲンを分離させる。酸52と凝縮水51の混合液は、ノズル43を通してガス冷却装置42に循環され、ハロゲン回収装置48で回収される酸52の濃度を濃縮する。
回収された酸52は、ハロゲン化装置55でハロゲン56に転換される。酸52と凝縮水51の混合液をガス冷却装置42に循環することによって、ガス冷却装置42で使用する水44の量を低減できる。また、除塵装置46、ガス冷却装置42でガスと分離除去されたダスト47、57は廃棄物3とともにガス化溶融炉1に再投入される。
本例においても、ガス冷却装置42で冷却されたエネルギーガスは、ハロゲン回収装置48に流入するまでは、ハロゲン化水素ガスによる腐食防止の観点から100℃以上、好ましくは120℃以上とすることが望ましい。特に温度が低くなる除塵装置46以降では、ハステロイ等の耐酸性材料を使用することが有効である。また、ハロゲン回収装置48に使用する材料としては、100℃以下でも酸腐食が発生しにくいFRP等が挙げられる。
また、図7は、酸回収方法としてガスクーラー方式を採用した例である。なお、以降の説明では、上述した図6により示されたシステムと相違する部分を説明し、共通する部分の説明は省略する。
図7において、ガス冷却装置42の出口のダクト45を通過するガスが除塵装置46により含まれているダスト47を除塵した後にハロゲン回収装置48へ導かれるまでは、上述した図6により示されたシステムと同じである。
本例では、ハロゲン回収装置48ではガスクーラー方式により高カロリーガス40を100℃以下に冷却し、含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮することによって、凝縮水51と酸52との混合液とし、他のエネルギーガス53とハロゲンを分離させる。酸52は、ハロゲン化装置55でハロゲン56に転換される。また、除塵装置46、ガス冷却装置42でガスと分離除去されたダスト47、57は、新たに装入される廃棄物3とともにガス化溶融炉1に再投入される。
本例においても、ガス冷却装置42で冷却されたエネルギーガスは、ハロゲン回収装置48に流入するまでは、ハロゲン化水素ガスによる腐食防止の観点から100℃以上、好ましくは120℃以上とすることが望ましい。特に温度が低くなる除塵装置46以降では、ハステロイ等の耐酸性材料を使用することが有効である。
次に、本実施の形態のガス化溶融炉1を用いて医療系廃棄物、汚染土壌又はPCB等の有害廃棄物を処理する状況を説明する。
密閉容器に封入された有害廃棄物は、図1に示すガス化溶融炉1を用いて無害化処理することができる。炉体1aへの装入は、二重ゲート弁方式の装入装置29から投入することが可能である。二重ゲート弁方式の装入装置29は、上部ゲート弁29aを開くことにより密閉容器を上部ゲート弁29aと下部ゲート弁29bとの間に自由落下させ、その後上部ゲート弁29aを閉めてから下部ゲー弁29bを開いて密閉容器を炉内に装入する。これによれば、常に上部ゲート弁29a又は下部ゲー弁29bのいずれかを閉めた状態を維持できるため、大量の炉内ガスが装入装置を通過して炉外に漏れることや、炉外の空気を大量に炉内に吸い込むことが防止される。なお、炉内の圧力は、下流に誘引ファン等を設置することによって大気圧以下に制御することが望ましい。
これにより、密閉容器に封入されて炉内に装入された有害廃棄物から発生する有害な熱分解ガスが密閉容器から排出されることなく、有害廃棄物を充填層の上端面に到達させることができる。有害廃棄物は、充填層の上端面に到達した後、熱により密閉容器に孔があくことにより、熱分解された熱分解ガスとして、密閉容器から排出される。密閉容器から排出された有害ガスは、高温条件下で十分な滞留時間を経るために炉内で完全に分解されて、炉外へ排出される。この密閉容器の材質及び厚みは、密閉容器が充填層の上端面に到達するまでの間に孔があかないように適宜決定すればよい。
さらに、本実施の形態において、湯溜まり室の内部の圧力上昇を解消する手段を説明する。
図8は、図1に示すガス化溶融炉1に湯溜まり室73を設けたガス化溶融炉1−1を、一部簡略化して模式的に示す説明図である。なお、以降のガス化溶融炉1−1の説明では、ガス化溶融炉1と相違する部分を説明し、共通する部分の説明は省略する。
図8に示すように、このガス化溶融炉1−1には、炉体1aの下部の内部に連通して、湯溜まり室73が設けられている。この湯溜まり室73はガス化溶融炉1−1から排出される灰分及び有価金属を回収するために、生成した溶融スラグ及び溶融金属等の溶湯を一時的に溜めておくためのものである。湯溜まり室羽口81からは、支燃性ガス81a及び燃料81bを吹き込み、湯溜まり室内温度を維持する。
本例では、湯溜まり室73の上部にガス排出用の配管74を設置し、炉体1aの内部の廃棄物の上端面76とガス排出口5との間に接続する。その間には、弁75を配置し、通常は弁75を閉じた状態で操業を行う。
湯溜まり室73の内部の圧力は、圧力測定装置77により連続測定することが可能である。通常の操業においては、圧力測定装置77の値は、湯溜まり室73の設計圧力の0.5倍以下での操業とするが、この値が設計圧力の0.5倍を超えた場合には、弁75を開いて、ガス排出口5より湯溜まり室73の内部で発生したガスを、炉体1aの外部へ排出する。
これにより、ガス化溶融炉1を一時的に休止した後の立ち上げの際に炉内に残留した廃棄物や冷えたスラグ等が炉体1aと湯溜まり室73との接続部78を閉塞することにより、湯溜まり室73の内部の圧力が過剰に上昇することが防止される。
このように、本実施の形態により、基本のガス化溶融炉が有する課題である、(a)ダクト6の閉塞、(b)炉内填充時間、(c)未利用炭素の排出、(d)廃棄物の上端面位置の制御、(e)ハロゲン類のマテリアルリサイクル、(f)有害廃棄物の装入、(g)湯溜まり室73の内部の圧力上昇を、解決することができ、これにより、基本のガス化溶融炉をいっそう高性能化できる。このため、本実施の形態により、長期間にわたって安定的にガス化溶融操業を商用的規模で継続することが可能となり、真に実用性が高い廃棄物の処理方法及び処理装置を提供できる。
さらに、本発明を実施例を参照しながら具体的に説明する。なお、以降の説明では、吹込量の単位である(Nm3/hr)は、m3(標準状態)/hrを意味する。
図1に示すガス化溶融炉1を用い、廃棄物のガス化溶融試験を行った。ガス化溶融炉1の各部の寸法、上部羽口10、下部羽口11その他取付部品の数量及び配置は以下のとおりである。なお、溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口は溶湯排出口と略記する。
(1)寸法
炉径:2.0m(但し、耐火物2を内張りした後における内径)
炉高:6.0m(但し、耐火物2を内張りした後における炉底から炉頂までの高さ)
溶湯排出口78の上端から廃棄物装入口4の下端までの高さ:2.8m
溶湯排出口78の上端から下段の下部羽口11の下端までの高さ:0.8m
溶湯排出口78の上端から上段の下部羽口11の下端までの高さ:1.6m
溶湯排出口78の上端から下段の上部羽口10までの高さ:3.9m
溶湯排出口78の上端から上段の上部羽口10までの高さ:4.7m
炉底から炉中心ランス9の先端までの高さ:標準5.0m(但し上下に可変)
(2)数量
下部羽口11:円周方向に3個、炉高方向に1段
上部羽口10:円周方向に3個、炉高方向に2段
蒸気吹き込み羽口33:円周方向に3個、炉高方向に1段
炉中心ランス9:1個
溶湯排出口78:1個
装入廃棄物の上端面の位置を計測する位置計測装置79:1個
(3)配置
下部羽口11:円周方向に120度毎の等間隔であって、先端を内張り耐火物2の表面より炉内側に100mm突き出して設置
上部羽口10:円周方向に120度毎の等間隔であって、炉軸方向から45度ずらして設置
炉中心ランス9:炉中心(炉軸上)に配置
溶湯排出口78:炉底端に配置
位置計測装置79:炉中心ランス9と側壁の間
試験に使用した廃棄物3は、シュレッダーダスト及び高濃度含塩素プラスチック屑であり、その組成を表1から表3に示す。
すなわち、表1に廃棄物3及び副原料の工業分析値(質量%)を、表2に廃棄物3及び副原料のうちの可燃分組成(質量%)を、表3に廃棄物3及び副原料のうちの金属分を除く不燃分組成(質量%)を示す。
(処理条件の設定手順)
(a)炭材32を装入装置28から炉内に装入し、高さ1.5mまで積み上げた。
(b)炭材32の充填層の上端面に火種を投入し、炉中心ランス9からの支燃性ガス9aにより炉内に積み上げられた炭材32を着火した。
(c)下部羽口11、上部羽口10からも順次に酸素を流した。
(d)支燃性ガスの送風量及び炭材32の装入量を調整して炉内を所定の温度まで昇温した。
(e)廃棄物3の投入を開始し、炭材32の装入を停止した。
(f)廃棄物3の燃焼に伴って装入された廃棄物3の上端面の位置が下がってくるので、その位置を1.5mに維持するように廃棄物3を逐次装入した。
(g)装入された廃棄物3の上端面の近傍の熱電対により測定される温度が600℃以上、かつフリーボード空間の熱電対により測定される温度が1000℃以上1400℃以下を常に維持するように、炉中心ランス9、上部羽口10及び下部羽口11から吹き込む酸素量を調整した。
すなわち、荷下がり速度が速く、所定の廃棄物3の処理量では装入された廃棄物3の上端面の位置を所定の位置に維持できない場合には、下部羽口11及び場合によっては炉中心ランス9からの酸素吹き込み量を減少させた。廃棄物3の上端面近傍の温度が600℃未満の場合には、炉中心ランス9からの酸素吹き込み量を増加させた。また、フリーボード空間の温度が1000℃より低い場合には、上部羽口10からの酸素吹き込み量を増加させた。逆に、フリーボード空間の温度が1400℃を越えた場合には、上部羽口10及び場合によっては炉中心ランス9からの酸素吹き込み量を減少させた。
(h)溶湯排出口78から排出される溶融スラグ及び溶融金属の温度を測定し、所定の温度(少なくとも溶融スラグ及び溶融金属がいずれも固まらない温度であるが、本実施例では1400℃以上1600℃以下とした)より低下した場合には、下部羽口11からの支燃性ガス11aの供給量を増加した。また、溶融スラグ及び溶融金属の成分を分析し、所定のスラグ塩基度になるように投入する石灰石量を調整した。
(i)上記の(f)から(h)の操作を繰り返し行った。
以下、本実施例での(i)ダクト6の閉塞、(ii)炉内填充時間、(iii)未利用炭素の低減、(iv)廃棄物の上端面の位置の制御、(v)ハロゲンのマテリアルリサイクルについての試験結果を、以下に列記する。
(i)ダクト6の閉塞
▲1▼排ガスへの冷媒12の吹き込み
ダクト6内の閉塞物除去装置16及び閉塞防止装置の効果をみるために、鉛及び亜鉛等の低沸点物質をシュレッダーダストに各々20kg/hr添加して、ダクト6を意図的に閉塞し易くした条件で試験を行った。操業諸元及び試験結果を表4にまとめて示す。
(比較例1)
比較例1は、図1に示す冷媒吹き込みノズル13から冷媒12の吹込みを行わなかったケースである。生成したエネルギーガスの温度は炉上部の温度測定装置80で1150℃であり、ダクト6の入口の温度測定装置81で1100℃程度を示した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図9にグラフで示す。なお、図9以降の各図(図9〜14)において、縦軸Pは圧力(mmH2O)を示し、横軸dは操業日数(日)を示し、また、符号○はダクト6の入側及び出側間の差圧を示し、△印は炉内圧を示す。
図9に示すように、この差圧は操業開始20日後から増加し始めた。ダクト6の差圧が300mm H2Oになった時点で炉を立ち下げ、ダクト6の内部を観察した。その結果、ダクト6の内壁の全周に付着物が観察された。
(本発明例1)
本発明例1では、冷媒吹き込みノズル13から冷媒12として窒素ガスを吹き込み、生成したエネルギーガスがダクト6に流入する前に冷却した。エネルギーガスの温度は、温度測定装置80では1150℃であり、ダクト6の入口の温度測定装置81では950℃程度であった。また、後段のガス冷却装置に流入する直前のエネルギーガス温度は850℃程度であった。回収されるエネルギーガスのカロリーは、窒素ガス吹き込みにより、比較例1と比べ若干低下した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図10にグラフで示す。図10に示すように、ダクト6の入口部と出口部の差圧の上昇はみられなかった。また、操業終了後にダクト6の内部を観察したが、付着物は観察されなかった。
(本発明例2)
本発明例2は、図1に示す冷媒吹き込みノズル13から粒径が200μm以下の霧状化した水(ミスト)を吹き込んだケースである。エネルギーガスの温度は、温度測定装置80では1150℃であり、ダクト9の入口の温度測定装置81では950℃程度であった。また、後段のガス冷却装置に流入する直前のエネルギーガス温度は850℃程度であった。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図11にグラフで示す。図11に示すように、操業中、ダクト6の入口部と出口部の差圧の上昇はみられず、操業終了後にダクト6の内部を観察しても、付着物は観察されなかった。さらに、回収されるエネルギーガスのカロリーも、比較例1と同じ値であり、冷媒12として不活性ガスを吹き込んだ本発明例1に対する優位性が示された。
また、後段のガス冷却装置において使用されるミスト量は、ノズル13から吹き込まれたミスト量とほぼ同じ量だけ減少した。
▲2▼閉塞物の機械的除去
比較例2及び本発明例3〜4は、本発明に係る閉塞物除去装置16の効果を説明するものであり、操業諸元及び試験結果を表5に示す。
(比較例2)
比較例2では、図2に示す差圧測定装置18の値を無視して炉内圧力をもとに閉塞度合いを予測した。そして、駆動軸19−1、19−2を昇降し、閉塞物を除去した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図12にグラフで示す。図12のグラフにおけるA点において駆動軸19−1、19−2を昇降して閉塞物を除去した。
図12に示すように、ダクト6の入口と出口の差圧がベース(0mmH2O)に対して100mm H2O以上増加しても、炉内圧力の上昇は見られなかった。すなわち、炉内圧力の変化は、この差圧に比較して、ダクト6の閉塞に対する反応が鈍いことが分かった。炉内圧力が顕著に増加したのは、ベース(0mmH2O)に対して差圧測定装置18の値が300mmH2O以上増加してからであった。
この時点で駆動軸19−1、19−2を動作させたが、閉塞物を除去するために約1時間かかった。また、長時間の作業を継続した結果、差圧測定装置18のガスシール部22より炉内ガスがリークすることが確認された。また、この作業終了後、駆動軸19−1、19−2を観察したところ、変形していることが確認された。
閉塞物除去装置16の寿命を向上させるためには、ダクト6の閉塞の程度が軽いうちに駆動軸19−1、19−2を動作させることが重要と考えられる。そのためには、炉内圧力を観察するよりも、ダクト6の入口と出口の差圧を連続的に観察することが、ダクト6の内部の閉塞に対して早急に対応でき有効であると考えられる。
(本発明例3)
本発明例3では、差圧測定装置18の値に基づいて、図2に示す駆動軸19−1、19−2を昇降し、閉塞物を除去した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図13にグラフで示す。図13のグラフにおけるB点において駆動軸19−1、19−2を昇降して閉塞物を除去した。
図13に示すように、差圧測定装置18の値がベース(0mmH2O)に対して50mmH2O以上増加した時点で駆動軸19−1、19−2を運転したところ、約3分間の作業で差圧測定装置18の値はベース値(0mmH2O)に戻り、その後も安定した操業ができた。この操作は、300回以上行っても駆動軸19−1、19−2の変形、及びガスシール部22からの炉内ガス漏れはなかった。
すなわち、ダクト6の差圧を観察し、早急にダクト6の閉塞の兆候を検出するために、差圧測定装置18を作動させることが有効である。
(本発明例4)
本発明例4では、差圧測定装置18及び炉内圧の値とは無関係に8時間に一度、図2に示す駆動軸19−1、19−2を定期的に昇降した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図14にグラフで示す。図14に示すように、差圧測定装置18の値が10mmH2O以上となることはなく、100日間連続して運転してもダクト6の閉塞はなく、駆動軸19−1、19−2の変形及びガスシール部22からのガス漏れも生じなかった。
(ii)炉内填充時間
表6に示す比較例3及び本発明例5は、いずれも、炭材を用いた炉の昇温について説明するものである。
(比較例3)
バーナーの燃焼により炉を昇温した比較例3では、昇温に48時間要した。その後、廃棄物3の装入を開始したが、装入物の上端面の高さレベルを目標値(制御値)である1.5mまで上げるためにさらに48時間を必要とした。すなわち、昇温を開始してから装入物の上端面の高さレベルの調整完了までの時間(炉内填充時間)は96時間を要した。
(本発明例5)
本発明例5では、昇温前の段階から炭材を装入し、昇温途中も装入物の上端面の高さレベルを計測しながら、逐次、炭材の装入量を調整した。そのため、昇温完了の時点で装入物の上端面の高さレベルは、目標レベル(制御レベル)に達していた。したがって、昇温開始から装入物の上端面の高さレベルの調整及び昇温が完了し、廃棄物装入開始となるまでに要した時間は48時間となり、比較例3と比較すると半減できた。また、炭材としてハロゲン濃度が0.1%以下であるものを使用した結果、昇温途中におけるダイオキシン類の排出量を極めて低いレベルに抑制することもできた。
(iii)未利用炭素の低減
表7は、比較例4及び本発明例6の試験結果を示す。
(比較例4)
比較例4は、図1に示すガス化溶融炉1における装入された廃棄物の上端からガス排出口5の間に設置した炉中心ランス9、上部羽口10及び蒸気吹き込みノズル33のいずれからも蒸気吹き込みを行わなかったケースである。この時の未利用炭素量は15kg−C/hrであった。
(本発明例6)
本発明例6では、図1に示す蒸気吹き込みノズル33から18kg/hrの蒸気を吹き込んだ時の試験結果を示す。未利用炭素量は3kg−C/hrまで減少した。また、未利用炭素の減少に伴って、COガス発生量が増加すること、及び蒸気が水素に転換されることにより、廃棄物3の処理量当たりの生成ガス発熱量は増加した。また、ガス1Nm3当たり(ドライガス)のガス発熱量も2058kcal/Nm3から2070kcal/Nm3に増加した。また、炉中心ランス9又は上部羽口33から支燃性ガスとともに蒸気を吹き込んだが、同様の結果が得られた。
(iv)廃棄物上端面位置の制御
比較例5及び本発明例7は、炭材投入による充填層の高さレベルを制御した結果を示すものである。各々の結果を表8にまとめて示す。
(比較例5)
比較例5は、シュレッダーダストをガス化溶融処理した。燃料としては廃材木等の炭材の投入は行わず下部羽口11から8Nm3/hrのLPGを吹き込んだ。表1に示すようにシュレッダーダストに含まれる熱分解残渣中の炭素分(固定炭素)は5.4%と乾燥後の都市ごみと比較すると少ないものである。
比較例5では、廃棄物3の上端面の高さレベルを制御する方法として、下部羽口11から送風する支燃性ガスの量を制御した。すなわち、上端面の高さレベルが、目標より低くなった場合には支燃性ガスの量を低減し、逆に目標より高くなった場合には支燃性ガスの量を増加した。また、下部羽口11からの支燃性ガスの低減に伴い、溶融スラグ及び溶融金属の排出量が低下した場合にも下部羽口11からの支燃性ガスの量を増加した。
表8に示すように、比較例5では、廃棄物3の上端面のレベルを目標値の1450mm〜1550mmに維持するために、頻繁に下部羽口11からの支燃性ガス量、及び上部羽口10からの支燃性ガスの量を操作する必要があり、下部羽口11からの支燃性ガス量は20回/日、上部羽口10からの支燃性ガス量は35回/日のペースで操作した。
(本発明例7)
本発明例7は炭材として廃材木を投入したケースである。下部羽口11及び上部羽口10からの支燃性ガスの量は、殆ど変化させることなく、廃棄物3の上端の位置を目標制御範囲に制御できた。
すなわち、特に固定炭素が少ない廃棄物3を対象とする場合、炭材8及び/又は炭材36の投入により廃棄物3の上端の位置の制御が容易になることがわかる。
(v)ハロゲンのマテリアルリサイクル
表9には、図4及び図5に示すフローに基づき行ったハロゲン回収試験の諸元及び結果を示す。ここでは、ハロゲンの代表的物質である塩素の回収を例にとって説明する。
(本発明例8)
本発明例8では、図4に示すフロー図に基づき、塩素回収試験を行った。すなわち、ガス化溶融炉1の炉内で生成した高カロリーガス40をガス冷却装置42で冷却し、さらにダスト57をガス冷却装置42の下部で、ダスト47を除塵装置46でそれぞれ除塵した後に、塩酸回収を行った。
ここで使用したプラスチック屑は表2に示すように高濃度の塩素を含有するプラスチック屑である。表9に示すようにガス化溶融炉1の内部に投入した全塩素は191kg−Cl/hrであるが、189kg−Cl/hrの塩素がハロゲン回収装置48及びハロゲン化装置55を通過した後、回収された。また、装入したプラスチック屑をガス化溶融炉1の内部で1000℃以上で熱分解ガス化し、生成したガスをガス冷却装置42で170℃に急冷した結果、排ガス53に含まれるダイオキシン類濃度は極めて低レベルに抑えられた。また、ガス冷却装置42から排出されたガスは、ハロゲン回収装置48に導入されるまでの間、130℃以上に維持された。さらに除塵装置46及びその後の配管にはハステロイを用い、ハロゲン回収装置48の材料としてFRPを用いた。その結果、使用設備の腐食はみられなかった。
(本発明例9)
本発明例9では、図5に示すフロー図に基づき塩素回収試験を行った。すなわち、炉内で生成した高カロリーガス40を冷却装置42で100℃以下に冷却し、含まれる塩化水素ガスを凝縮することで塩酸回収を行った。
表9に示すようにガス化溶融炉1の内部に投入した塩素は191kg−Cl/hrであるが、ガス冷却装置42の下部で塩酸として回収され、その後、ハロゲン化装置55で塩素に転換され、189kg−Cl/hrの塩素が回収された。また、本発明例8と同様に装入したプラスチック屑をガス化溶融炉1の内部で1000℃以上で熱分解ガス化し、生成したガスをガス冷却装置42で100℃以下に急冷した結果、排ガス70に含まれるダイオキシン類の濃度は低レベルに抑えられた。
図1に示すガス化溶融炉1を用い、廃棄物のガス化溶融試験を行った。ガス化溶融炉1の各部の寸法、上部羽口10、下部羽口11その他取付部品の数量及び配置は以下のとおりである。なお、溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口は溶湯排出口と略記する。
(1)寸法
炉径:2.0m(但し、耐火物2を内張りした後における内径)
炉高:6.0m(但し、耐火物2を内張りした後における炉底から炉頂までの高さ)
溶湯排出口78の上端から廃棄物装入口4の下端までの高さ:2.8m
溶湯排出口78の上端から下段の下部羽口11の下端までの高さ:0.8m
溶湯排出口78の上端から上段の下部羽口11の下端までの高さ:1.6m
溶湯排出口78の上端から下段の上部羽口10までの高さ:3.9m
溶湯排出口78の上端から上段の上部羽口10までの高さ:4.7m
炉底から炉中心ランス9の先端までの高さ:標準5.0m(但し上下に可変)
(2)数量
下部羽口11:円周方向に3個、炉高方向に1段
上部羽口10:円周方向に3個、炉高方向に2段
蒸気吹き込み羽口33:円周方向に3個、炉高方向に1段
炉中心ランス9:1個
溶湯排出口78:1個
装入廃棄物の上端面の位置を計測する位置計測装置79:1個
(3)配置
下部羽口11:円周方向に120度毎の等間隔であって、先端を内張り耐火物2の表面より炉内側に100mm突き出して設置
上部羽口10:円周方向に120度毎の等間隔であって、炉軸方向から45度ずらして設置
炉中心ランス9:炉中心(炉軸上)に配置
溶湯排出口78:炉底端に配置
位置計測装置79:炉中心ランス9と側壁の間
試験に使用した廃棄物3は、シュレッダーダスト及び高濃度含塩素プラスチック屑であり、その組成を表1から表3に示す。
すなわち、表1に廃棄物3及び副原料の工業分析値(質量%)を、表2に廃棄物3及び副原料のうちの可燃分組成(質量%)を、表3に廃棄物3及び副原料のうちの金属分を除く不燃分組成(質量%)を示す。
(処理条件の設定手順)
(a)炭材32を装入装置28から炉内に装入し、高さ1.5mまで積み上げた。
(b)炭材32の充填層の上端面に火種を投入し、炉中心ランス9からの支燃性ガス9aにより炉内に積み上げられた炭材32を着火した。
(c)下部羽口11、上部羽口10からも順次に酸素を流した。
(d)支燃性ガスの送風量及び炭材32の装入量を調整して炉内を所定の温度まで昇温した。
(e)廃棄物3の投入を開始し、炭材32の装入を停止した。
(f)廃棄物3の燃焼に伴って装入された廃棄物3の上端面の位置が下がってくるので、その位置を1.5mに維持するように廃棄物3を逐次装入した。
(g)装入された廃棄物3の上端面の近傍の熱電対により測定される温度が600℃以上、かつフリーボード空間の熱電対により測定される温度が1000℃以上1400℃以下を常に維持するように、炉中心ランス9、上部羽口10及び下部羽口11から吹き込む酸素量を調整した。
すなわち、荷下がり速度が速く、所定の廃棄物3の処理量では装入された廃棄物3の上端面の位置を所定の位置に維持できない場合には、下部羽口11及び場合によっては炉中心ランス9からの酸素吹き込み量を減少させた。廃棄物3の上端面近傍の温度が600℃未満の場合には、炉中心ランス9からの酸素吹き込み量を増加させた。また、フリーボード空間の温度が1000℃より低い場合には、上部羽口10からの酸素吹き込み量を増加させた。逆に、フリーボード空間の温度が1400℃を越えた場合には、上部羽口10及び場合によっては炉中心ランス9からの酸素吹き込み量を減少させた。
(h)溶湯排出口78から排出される溶融スラグ及び溶融金属の温度を測定し、所定の温度(少なくとも溶融スラグ及び溶融金属がいずれも固まらない温度であるが、本実施例では1400℃以上1600℃以下とした)より低下した場合には、下部羽口11からの支燃性ガス11aの供給量を増加した。また、溶融スラグ及び溶融金属の成分を分析し、所定のスラグ塩基度になるように投入する石灰石量を調整した。
(i)上記の(f)から(h)の操作を繰り返し行った。
以下、本実施例での(i)ダクト6の閉塞、(ii)炉内填充時間、(iii)未利用炭素の低減、(iv)廃棄物の上端面の位置の制御、(v)ハロゲンのマテリアルリサイクルについての試験結果を、以下に列記する。
(i)ダクト6の閉塞
▲1▼排ガスへの冷媒12の吹き込み
ダクト6内の閉塞物除去装置16及び閉塞防止装置の効果をみるために、鉛及び亜鉛等の低沸点物質をシュレッダーダストに各々20kg/hr添加して、ダクト6を意図的に閉塞し易くした条件で試験を行った。操業諸元及び試験結果を表4にまとめて示す。
(比較例1)
比較例1は、図1に示す冷媒吹き込みノズル13から冷媒12の吹込みを行わなかったケースである。生成したエネルギーガスの温度は炉上部の温度測定装置80で1150℃であり、ダクト6の入口の温度測定装置81で1100℃程度を示した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図9にグラフで示す。なお、図9以降の各図(図9〜14)において、縦軸Pは圧力(mmH2O)を示し、横軸dは操業日数(日)を示し、また、符号○はダクト6の入側及び出側間の差圧を示し、△印は炉内圧を示す。
図9に示すように、この差圧は操業開始20日後から増加し始めた。ダクト6の差圧が300mm H2Oになった時点で炉を立ち下げ、ダクト6の内部を観察した。その結果、ダクト6の内壁の全周に付着物が観察された。
(本発明例1)
本発明例1では、冷媒吹き込みノズル13から冷媒12として窒素ガスを吹き込み、生成したエネルギーガスがダクト6に流入する前に冷却した。エネルギーガスの温度は、温度測定装置80では1150℃であり、ダクト6の入口の温度測定装置81では950℃程度であった。また、後段のガス冷却装置に流入する直前のエネルギーガス温度は850℃程度であった。回収されるエネルギーガスのカロリーは、窒素ガス吹き込みにより、比較例1と比べ若干低下した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図10にグラフで示す。図10に示すように、ダクト6の入口部と出口部の差圧の上昇はみられなかった。また、操業終了後にダクト6の内部を観察したが、付着物は観察されなかった。
(本発明例2)
本発明例2は、図1に示す冷媒吹き込みノズル13から粒径が200μm以下の霧状化した水(ミスト)を吹き込んだケースである。エネルギーガスの温度は、温度測定装置80では1150℃であり、ダクト9の入口の温度測定装置81では950℃程度であった。また、後段のガス冷却装置に流入する直前のエネルギーガス温度は850℃程度であった。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図11にグラフで示す。図11に示すように、操業中、ダクト6の入口部と出口部の差圧の上昇はみられず、操業終了後にダクト6の内部を観察しても、付着物は観察されなかった。さらに、回収されるエネルギーガスのカロリーも、比較例1と同じ値であり、冷媒12として不活性ガスを吹き込んだ本発明例1に対する優位性が示された。
また、後段のガス冷却装置において使用されるミスト量は、ノズル13から吹き込まれたミスト量とほぼ同じ量だけ減少した。
▲2▼閉塞物の機械的除去
比較例2及び本発明例3〜4は、本発明に係る閉塞物除去装置16の効果を説明するものであり、操業諸元及び試験結果を表5に示す。
(比較例2)
比較例2では、図2に示す差圧測定装置18の値を無視して炉内圧力をもとに閉塞度合いを予測した。そして、駆動軸19−1、19−2を昇降し、閉塞物を除去した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図12にグラフで示す。図12のグラフにおけるA点において駆動軸19−1、19−2を昇降して閉塞物を除去した。
図12に示すように、ダクト6の入口と出口の差圧がベース(0mmH2O)に対して100mm H2O以上増加しても、炉内圧力の上昇は見られなかった。すなわち、炉内圧力の変化は、この差圧に比較して、ダクト6の閉塞に対する反応が鈍いことが分かった。炉内圧力が顕著に増加したのは、ベース(0mmH2O)に対して差圧測定装置18の値が300mmH2O以上増加してからであった。
この時点で駆動軸19−1、19−2を動作させたが、閉塞物を除去するために約1時間かかった。また、長時間の作業を継続した結果、差圧測定装置18のガスシール部22より炉内ガスがリークすることが確認された。また、この作業終了後、駆動軸19−1、19−2を観察したところ、変形していることが確認された。
閉塞物除去装置16の寿命を向上させるためには、ダクト6の閉塞の程度が軽いうちに駆動軸19−1、19−2を動作させることが重要と考えられる。そのためには、炉内圧力を観察するよりも、ダクト6の入口と出口の差圧を連続的に観察することが、ダクト6の内部の閉塞に対して早急に対応でき有効であると考えられる。
(本発明例3)
本発明例3では、差圧測定装置18の値に基づいて、図2に示す駆動軸19−1、19−2を昇降し、閉塞物を除去した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図13にグラフで示す。図13のグラフにおけるB点において駆動軸19−1、19−2を昇降して閉塞物を除去した。
図13に示すように、差圧測定装置18の値がベース(0mmH2O)に対して50mmH2O以上増加した時点で駆動軸19−1、19−2を運転したところ、約3分間の作業で差圧測定装置18の値はベース値(0mmH2O)に戻り、その後も安定した操業ができた。この操作は、300回以上行っても駆動軸19−1、19−2の変形、及びガスシール部22からの炉内ガス漏れはなかった。
すなわち、ダクト6の差圧を観察し、早急にダクト6の閉塞の兆候を検出するために、差圧測定装置18を作動させることが有効である。
(本発明例4)
本発明例4では、差圧測定装置18及び炉内圧の値とは無関係に8時間に一度、図2に示す駆動軸19−1、19−2を定期的に昇降した。
ダクト6の入口部と出口部の差圧の測定結果を図14にグラフで示す。図14に示すように、差圧測定装置18の値が10mmH2O以上となることはなく、100日間連続して運転してもダクト6の閉塞はなく、駆動軸19−1、19−2の変形及びガスシール部22からのガス漏れも生じなかった。
(ii)炉内填充時間
表6に示す比較例3及び本発明例5は、いずれも、炭材を用いた炉の昇温について説明するものである。
(比較例3)
バーナーの燃焼により炉を昇温した比較例3では、昇温に48時間要した。その後、廃棄物3の装入を開始したが、装入物の上端面の高さレベルを目標値(制御値)である1.5mまで上げるためにさらに48時間を必要とした。すなわち、昇温を開始してから装入物の上端面の高さレベルの調整完了までの時間(炉内填充時間)は96時間を要した。
(本発明例5)
本発明例5では、昇温前の段階から炭材を装入し、昇温途中も装入物の上端面の高さレベルを計測しながら、逐次、炭材の装入量を調整した。そのため、昇温完了の時点で装入物の上端面の高さレベルは、目標レベル(制御レベル)に達していた。したがって、昇温開始から装入物の上端面の高さレベルの調整及び昇温が完了し、廃棄物装入開始となるまでに要した時間は48時間となり、比較例3と比較すると半減できた。また、炭材としてハロゲン濃度が0.1%以下であるものを使用した結果、昇温途中におけるダイオキシン類の排出量を極めて低いレベルに抑制することもできた。
(iii)未利用炭素の低減
表7は、比較例4及び本発明例6の試験結果を示す。
(比較例4)
比較例4は、図1に示すガス化溶融炉1における装入された廃棄物の上端からガス排出口5の間に設置した炉中心ランス9、上部羽口10及び蒸気吹き込みノズル33のいずれからも蒸気吹き込みを行わなかったケースである。この時の未利用炭素量は15kg−C/hrであった。
(本発明例6)
本発明例6では、図1に示す蒸気吹き込みノズル33から18kg/hrの蒸気を吹き込んだ時の試験結果を示す。未利用炭素量は3kg−C/hrまで減少した。また、未利用炭素の減少に伴って、COガス発生量が増加すること、及び蒸気が水素に転換されることにより、廃棄物3の処理量当たりの生成ガス発熱量は増加した。また、ガス1Nm3当たり(ドライガス)のガス発熱量も2058kcal/Nm3から2070kcal/Nm3に増加した。また、炉中心ランス9又は上部羽口33から支燃性ガスとともに蒸気を吹き込んだが、同様の結果が得られた。
(iv)廃棄物上端面位置の制御
比較例5及び本発明例7は、炭材投入による充填層の高さレベルを制御した結果を示すものである。各々の結果を表8にまとめて示す。
(比較例5)
比較例5は、シュレッダーダストをガス化溶融処理した。燃料としては廃材木等の炭材の投入は行わず下部羽口11から8Nm3/hrのLPGを吹き込んだ。表1に示すようにシュレッダーダストに含まれる熱分解残渣中の炭素分(固定炭素)は5.4%と乾燥後の都市ごみと比較すると少ないものである。
比較例5では、廃棄物3の上端面の高さレベルを制御する方法として、下部羽口11から送風する支燃性ガスの量を制御した。すなわち、上端面の高さレベルが、目標より低くなった場合には支燃性ガスの量を低減し、逆に目標より高くなった場合には支燃性ガスの量を増加した。また、下部羽口11からの支燃性ガスの低減に伴い、溶融スラグ及び溶融金属の排出量が低下した場合にも下部羽口11からの支燃性ガスの量を増加した。
表8に示すように、比較例5では、廃棄物3の上端面のレベルを目標値の1450mm〜1550mmに維持するために、頻繁に下部羽口11からの支燃性ガス量、及び上部羽口10からの支燃性ガスの量を操作する必要があり、下部羽口11からの支燃性ガス量は20回/日、上部羽口10からの支燃性ガス量は35回/日のペースで操作した。
(本発明例7)
本発明例7は炭材として廃材木を投入したケースである。下部羽口11及び上部羽口10からの支燃性ガスの量は、殆ど変化させることなく、廃棄物3の上端の位置を目標制御範囲に制御できた。
すなわち、特に固定炭素が少ない廃棄物3を対象とする場合、炭材8及び/又は炭材36の投入により廃棄物3の上端の位置の制御が容易になることがわかる。
(v)ハロゲンのマテリアルリサイクル
表9には、図4及び図5に示すフローに基づき行ったハロゲン回収試験の諸元及び結果を示す。ここでは、ハロゲンの代表的物質である塩素の回収を例にとって説明する。
(本発明例8)
本発明例8では、図4に示すフロー図に基づき、塩素回収試験を行った。すなわち、ガス化溶融炉1の炉内で生成した高カロリーガス40をガス冷却装置42で冷却し、さらにダスト57をガス冷却装置42の下部で、ダスト47を除塵装置46でそれぞれ除塵した後に、塩酸回収を行った。
ここで使用したプラスチック屑は表2に示すように高濃度の塩素を含有するプラスチック屑である。表9に示すようにガス化溶融炉1の内部に投入した全塩素は191kg−Cl/hrであるが、189kg−Cl/hrの塩素がハロゲン回収装置48及びハロゲン化装置55を通過した後、回収された。また、装入したプラスチック屑をガス化溶融炉1の内部で1000℃以上で熱分解ガス化し、生成したガスをガス冷却装置42で170℃に急冷した結果、排ガス53に含まれるダイオキシン類濃度は極めて低レベルに抑えられた。また、ガス冷却装置42から排出されたガスは、ハロゲン回収装置48に導入されるまでの間、130℃以上に維持された。さらに除塵装置46及びその後の配管にはハステロイを用い、ハロゲン回収装置48の材料としてFRPを用いた。その結果、使用設備の腐食はみられなかった。
(本発明例9)
本発明例9では、図5に示すフロー図に基づき塩素回収試験を行った。すなわち、炉内で生成した高カロリーガス40を冷却装置42で100℃以下に冷却し、含まれる塩化水素ガスを凝縮することで塩酸回収を行った。
表9に示すようにガス化溶融炉1の内部に投入した塩素は191kg−Cl/hrであるが、ガス冷却装置42の下部で塩酸として回収され、その後、ハロゲン化装置55で塩素に転換され、189kg−Cl/hrの塩素が回収された。また、本発明例8と同様に装入したプラスチック屑をガス化溶融炉1の内部で1000℃以上で熱分解ガス化し、生成したガスをガス冷却装置42で100℃以下に急冷した結果、排ガス70に含まれるダイオキシン類の濃度は低レベルに抑えられた。
本発明によれば、基本のガス化溶融炉が有する課題、具体的には(a)ダクトの閉塞、(b)炉内填充時間、(c)未利用炭素の排出、(d)廃棄物の上端面位置の制御、(e)ハロゲン類のマテリアルリサイクル、(f)有害廃棄物の装入、又は(g)湯溜まり室の内部圧力上昇を、解決することができ、これにより、基本のガス化溶融炉をいっそう高性能化できる。このため、本発明によれば、長期間にわたって安定的にガス化溶融操業を商用的規模で継続することが可能となり、真に実用性が高い廃棄物の処理方法及び処理装置を提供できる。
Claims (22)
- 廃棄物を廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融の少なくとも1つの処理を行う際に、該少なくとも1つの処理により生じる排ガスを、該廃棄物処理炉の炉体に接続されて該排ガスを該炉体の外部へ導くダクトの入口の近傍の炉内で、冷却することを特徴とする廃棄物の処理方法。
- 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融の少なくとも1つの処理を行う際に、該少なくとも1つの処理により生じる排ガスを、該廃棄物処理炉の炉体に接続されて該排ガスを該炉体の外部へ導くダクトの入口の近傍の炉内で、冷却することを特徴とする廃棄物の処理方法。
- 前記排ガスは、前記ダクトの入口の近傍の炉内に、水、プロセスガス、不活性ガス又は蒸気の少なくなくとも一つにより構成される冷媒を吹き込むことにより、冷却される請求項1又は請求項2に記載された廃棄物の処理方法。
- 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融の少なくとも1つの処理を行う際に、
前記炉体に接続されて前記少なくとも1つの処理により生じる排ガスを該炉体の外部へ導くダクトの少なくとも1つの直線状部分の内部に往復移動自在に配置されて該ダクトの内面の付着物を掻き取るための円錐状の外形からなる少なくとも1つの掻きとり部材を、該ダクトの入口部及び出口部の間の差圧の測定結果により推定される該ダクトの内部の閉塞状況に基づいて、動作させること
を特徴とする廃棄物の処理方法。 - 前記少なくとも1つの掻きとり部材を、前記差圧の測定結果が操業開始時に比較して増加する傾向を示す場合に、動作させる請求項4に記載された廃棄物の処理方法。
- 前記少なくとも1つの掻き取り部材を、1時間以上24時間以下の範囲で予め定めた時期に定期的に動作させる請求項4に記載された廃棄物の処理方法。
- 炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉を昇温する際に、含有するハロゲン類の総濃度が0.1質量%以下である炭材を該廃棄物処理炉に装入し、該廃棄物処理炉の内部の装入物の上端面の高さレベルを昇温段階から調整することを特徴とする廃棄物の処理方法。
- 前記廃棄物処理炉を昇温する前に、前記炉体の内部に、含有するハロゲン類の総濃度が0.1質量%以下である炭材を予め装入しておき、
廃棄物を炉内に装入するための廃棄物装入路に直列に配置された二つのバルブを有し、外部側のバルブを開くとともに内部側のバルブを閉じた状態で炭材を該外部側のバルブと該内部側のバルブとの間の空間に供給し、該外部側のバルブを閉じてから該内部側のバルブを開くことによって炭材を炉内に装入する装入装置から、装入された該炭材の上端面に火種を投入し、
その後、該外部側及び/又は内部側のバルブを閉じ、前記炉中心ランスから支燃性ガスを送風して、装入された該炭材を燃焼させることによって、該廃棄物処理炉の昇温を開始する請求項7に記載された廃棄物の処理方法。 - 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行う際に、
前記炉中心ランス、前記上部羽口、又は、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1つ以上設置されたノズルのうちの少なくとも一つから、蒸気を、前記炉体の下部へ向かう方向、前記側壁から炉軸へ向かう方向、又は前記側壁から炉軸へ向かう方向からずらした方向へ向かう方向の少なくとも一の方向へ吹き込むこと
を特徴とする廃棄物の処理方法。 - 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行う際に、
前記少なくとも1つの処理において未利用のまま前記廃棄物処理炉から排出された炭素を廃棄物と混合して圧密してから、該廃棄物処理炉に再度装入することを特徴とする廃棄物の処理方法。 - 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行う際に、
炭材を廃棄物と混合して圧密してから、前記廃棄物処理炉に装入することを特徴とする廃棄物の処理方法。 - 前記炭材は、廃棄物を炉内に装入するための廃棄物装入路に直列に配置された二つのバルブを有し、外部側のバルブを開くとともに内部側のバルブを閉じた状態で炭材を該外部側のバルブと該内部側のバルブとの間の空間に供給し、該外部側のバルブを閉じてから内部側のバルブを開くことによって炭材を炉内に装入する装入装置を介して、装入される請求項11に記載された廃棄物の処理方法。
- 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行う際に、
炭材を、廃棄物を炉内に装入するための廃棄物装入路に直列に設けられた二つのバルブを有し、外部側のバルブを開くとともに内部側のバルブを閉じた状態で炭材を該外部側のバルブと該内部側のバルブとの間の空間に供給され、該外部側のバルブを閉じてから該内部側のバルブを開くことによって炭材を炉内に装入する装入装置を介して、装入すること
を特徴とする廃棄物の処理方法。 - 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行う際に、
前記廃棄物を密閉容器に封入し、該密閉容器を、廃棄物を炉内に装入するための廃棄物装入路に直列に設けられた二つのバルブを有し、外部側のバルブを開くとともに内部側のバルブを閉じた状態で該密閉容器を該外部側のバルブと該内部側のバルブとの間の空間に供給され、該外部側のバルブを閉じてから該内部側のバルブを開くことによって該密閉容器を炉内に装入する装入装置を介して、前記廃棄物処理炉に装入すること
を特徴とする廃棄物の処理方法。 - 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口と、前記炉体の底部に配置された生成した溶融スラグ及び溶融金属等の溶湯を一時的に溜めておくための湯溜まり室とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行う際に、
前記湯溜まり室の内部のガス圧力が該湯溜まり室の設計圧力の0.5倍以上となった場合に、該湯溜まり室の内部に溜まったガスを前記ガス排出口を経由して排出すること
を特徴とする廃棄物の処理方法。 - 廃棄物を、炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備える廃棄物処理炉に装入して、該廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行う際に、
前記炉体の外部へ前記ガス排出口に接続されたダクトを介して導かれる排ガスを、除塵した後に除塵された該排ガスに含まれるハロゲン化水素ガスを酸回収装置により酸として回収した後に回収された酸をハロゲンに転換すること、又は、前記ガス排出口に接続されたダクトを介して前記炉体の外部へ導かれる排ガスを100℃以下に冷却して冷却された該排ガスに含まれるハロゲン化水素ガスを凝縮水に溶解させ、該排ガスに含まれるハロゲン化水素を酸として回収した後、回収された酸をハロゲンに転換すること
を特徴とする廃棄物の処理方法。 - 前記廃棄物に、含有するハロゲンの濃度が10質量%以上である含塩素系廃材を混合して前記廃棄物処理炉に装入する請求項16に記載された廃棄物の処理方法。
- 炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口と、前記炉体の底部に配置された生成した溶融スラグ及び溶融金属等の溶湯を一時的に溜めておくための湯溜まり室とを備え、廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行うための廃棄物の処理装置であって、さらに
前記湯溜まり室の内部のガス圧力が該湯溜まり室の設計圧力の0.5倍以上となった場合に、該湯溜まり室の内部に溜まったガスを前記ガス排出口を経由して排出するための排気装置を備えること
を特徴とする廃棄物の処理装置。 - 炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備え、廃棄物に燃焼、ガス化及び溶融のうちの少なくとも1つの処理を行うための廃棄物の処理装置であって、さらに
前記炉体に接続されて、前記少なくとも1つの処理により生じる排ガスを該炉体の外部へ導くダクトと、該ダクトの入口の近傍の炉内に、水、プロセスガス、不活性ガス又は蒸気の少なくとも一つにより構成される冷媒を吹き込むための供給部とを備えること
を特徴とする廃棄物の処理装置。 - 炉体を備え、廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行うための廃棄物の処理装置であって、さらに
該少なくとも一つの処理により生じる排ガスを、前記炉体に接続されて該炉体の外部へ導くダクトと、該ダクトの入口の近傍の炉内に設けられた、水、プロセスガス、不活性ガス又は蒸気の少なくとも一つにより構成される冷媒の供給部とを備えること
を特徴とする廃棄物の処理装置。 - 炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に配置された1段以上の上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に配置された1段以上の羽口とを備え、廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行うための廃棄物の処理装置であって、さらに
前記ダクトの入口部及び出口部の間の差圧を測定するための差圧測定装置と、前記少なくとも1つの処理により生じる排ガスを、前記炉体に接続されて該炉体の外部へ導くダクトの少なくとも1つの直線状部分の内部に往復移動自在に配置されて、前記差圧測定装置の測定結果に基づいて該ダクトの内面の付着物を掻き取るための円錐状の外形からなる少なくとも1つの掻きとり部材とを備えること
を特徴とする廃棄物の処理装置。 - 炉体と、該炉体の上部に配置されたガス排出口と、該炉体の下部に配置された溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と、該溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口と前記ガス排出口との間に配置された廃棄物装入口と、前記炉体の上部に炉軸に沿って配置されて支燃性ガスを下方へ向けて炉内へ吹き込むための炉中心ランスと、前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1段以上配置された上部羽口と、前記廃棄物装入口と前記溶融スラグ及び/又は溶融金属の排出口との間の炉壁に1段以上配置された羽口とを備え、廃棄物に燃焼、ガス化又は溶融のうちの少なくとも1つの処理を行うための廃棄物の処理装置であって、さらに
前記炉中心ランス、前記上部羽口又は前記廃棄物装入口と前記ガス排出口との間の炉壁に1つ以上設置されたノズルのうちの少なくとも1つから、蒸気を、前記炉体の下部へ向かう方向、前記側壁から炉軸へ向かう方向、又は前記側壁から炉軸へ向かう方向からずらした方向へ向かう方向の少なくとも一の方向へ、吹き込むことが可能な蒸気供給系を備えること
を特徴とする廃棄物の処理装置。
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