JPWO2003101936A1 - オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
式(1):(式中、R1〜R3は同一または相異なり、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基等を表し、A1〜A3は周期表第15族の原子を示し、R2とR3は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される配位子と、式(2):(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、X1、X2、X3、X4は同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基等を表し、nは0または1の整数を示し、X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される遷移金属化合物とを反応させることにより得られる遷移金属錯体、および当該遷移金属錯体を含有するオレフィン重合用触媒、それを用いるオレフィン重合体の製造方法を提供する。
Description
技術分野
本発明は、遷移金属錯体、該遷移金属錯体を含有するオレフィン重合用触媒およびそれを用いるオレフィン重合体の製造方法に関する。
背景技術
メタロセン錯体を用いるオレフィン重合体の製造法については多くの報告がなされている。例えば、特開昭58−19309号公報において、メタロセン錯体とアルミノキサンを用いたオレフィン重合体の製造法に関して報告されている。WO9623010号公報において、ジイミン−ニッケル錯体、WO9827124号公報において、ピリジン架橋ジイミン−鉄錯体、特開平11−315109号公報において、フェノキシイミン−ジルコニウム錯体が報告されている。これらの錯体は、メタロセン錯体に比べ,安価である、新規なポリマーの製造の可能性がある、など次世代触媒としての可能性があるとされているものの、これらの錯体に用いられている配位子は、必ずしも入手が容易でないため、より入手の容易な配位子を用いた工業的に良好な活性を有する触媒が望まれていた。
また、Reedijkら(Inorg.Chim.Acta 1983,74,109)によりビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドが合成されている(同文献の112頁)が、その同定に関する記載があるのみで、オレフィン重合用触媒についてはなんら記載されていなかった。
発明の開示
本願発明によれば、調製が簡便な遷移金属錯体を含有するオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合させることによりオレフィン重合体を工業的に有利に製造することができる。
すなわち、本発明は、
1.式(1):
(式中、R1〜R3は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
A1〜A3は周期表第15族の原子を示し、
R2とR3は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される配位子と、式(2):
(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、
X1、X2、X3、X4は同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
または
炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
nは0または1の整数を示し、
X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される遷移金属化合物を反応させて得られる遷移金属錯体(ただし、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを除く。)、および
2.前記式(1)(式中R1〜R3およびA1〜A3は前記と同じ意味を表す。)の配位子と式(2)(式中、M、X1、X2、X3、X4およびnは、前記と同じ意味を表す。)で示される遷移金属化合物から得られる遷移金属錯体、および
化合物(A):下記化合物(A1)〜(A3)のいずれか、またはそれらの2種以上の混合物:
(A1):式E1 aAl(Z)3−aで示される有機アルミニウム化合物;
(A2):式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン;
(A3):式E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1〜E3は同一または相異なり、炭素原子数1〜8の炭化水素基を表わし、Zは同一または相異なり、水素原子またはハロゲン原子を表わし、aは1、2または3を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表わす。)とからなるオレフィン重合用触媒、および
3.前記オレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法、を提供するものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明について詳細に説明する。
式(1)の配位子および式(2)の遷移金属化合物より得られる遷移金属錯体についてまず説明する。該遷移金属錯体は、式(1)の配位子および式(2)の遷移金属化合物とから得られる。配位子としては、一種類の配位子を用いても良いし、異なるものを用いても良い。
本願発明の遷移金属錯体としては、例えば、下記式(3):
または式(4):
(式中、R1〜R6は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
A1〜A6はそれぞれ元素の周期表第15族の原子を示し、
MおよびX1〜X4は前記と同じ意味を表し、
R2とR3、R5とR6は互いに結合して環を形成していてもよく、
X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよく、
mおよびnは、それぞれ独立に0または1の整数を示す。ただし、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを除く。)で示される遷移金属錯体が例示される。
かかる遷移金属錯体は、配位子として、式(1)の化合物の他、式(1a):
(式中、A4〜A6およびR4〜R6は前記と同じ意味を表す。)で表される化合物と式(2)の遷移金属化合物を反応させることにより得られる。
式(1)および(1a)、(3)および(4)において、A1〜A6として示される元素の周期表第15族の原子としては、例えば窒素原子、リン原子、ヒ素原子などが例示され、好ましくは窒素原子が例示される。
R1〜R6およびX1〜X4については、以下説明する。
R1〜R6およびX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基において、無置換の炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が例示され、炭素数1〜10の置換アルキル基としては、例えば、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基が例示され、その具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、トリクロロメチル基などが例示され、好ましいものとしては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基等が例示される。
R1〜R6で表される置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基において、無置換の炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが例示され、炭素数2〜10の置換アルケニル基としては、例えば、ハロゲン原子で置換された炭素数2〜10のアルケニル基が例示され、好ましいものとしては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基において、無置換の炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が例示され、炭素数6〜20の置換アリール基としては、フッ素原子、アルキル基等から選ばれる基で置換された炭素数6〜20のアリール基が例示される。その具体例としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらの基がフッ素原子で置換されたアリール基が例示され、好ましくはフェニル基が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジフェニルメチル基等が例示され、その置換基としては、例えばフッ素原子、アルキル基等が例示される。置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジフェニルメチル基およびこれらの基がフッ素原子で置換されたアラルキル基が例示され、好ましいものとしてはベンジル基が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基が例示され、さらに炭素数1〜10の置換アルコキシ基としては、前期無置換アルコキシ基がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のフッ素置換アルコキシ基が例示され、好ましいものとしては、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基が例示され、炭素数6〜20の置換アリールオキシ基としては、フッ素原子、アルキル基等から選ばれる基で置換されたものが例示される。置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基の具体例としてはフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基、さらには、これらの例示された基がフッ素原子で置換されたフッ素置換アリールオキシ基が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基のアラルキルとしては、前記と同様のフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基で置換されたアルキル基が例示され、置換アラルキル基としては、ハロゲン原子およびアルキル基等から選ばれる基で置換されたアラルキル基が例示される。置換もしくは無置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが例示され、好ましくはベンジルオキシ基が例示され、さらに前記例示のアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたアラルキルオキシ基が例示される。
R1〜R6で表される炭素数1〜20の置換もしくは無置換の炭化水素置換シリル基としては、炭素数1〜20の無置換の炭化水素基で置換されたシリル基が例示され、ここでの炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基などの炭素原子数1〜20のアリール基等が例示される。かかる炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの3置換シリル基等が例示され、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基が例示される。さらにはこれらの例示された置換シリル基の炭化水素基がフッ素原子で置換されたフッ素置換炭化水素で置換されたシリル基が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基としては、2つの炭化水素基で置換されたアミノ基が例示される。ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜20のアリール基等が例示される。かかる炭素数1〜20の炭化水素基二つで置換されたアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が例示され、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
X1〜X4間で隣接する基は互いに結合して環を形成していてもよく、またR1〜R6間で隣接する基は互いに結合して環を形成していてもよい。
式(2)〜(6)において、Mで示される遷移金属原子とは、元素の周期表第4族の遷移金属原子であり、例えばチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子などが例示され、好ましいものとしてはチタン原子が例示される。
X1〜X4で表されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは塩素原子である。
mは0または1の整数であって、好ましくは1である。
nは0または1の整数であって、好ましくは1である。
式(3)および式(4)の遷移金属錯体において、R2とR3、R5とR6が互いに結合して環を形成するとき、式(3)または(4)が表す遷移金属錯体としては、下記式(5)または式(6)で示される遷移金属錯体が例示される。
(式中、R7〜R11は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
MおよびX1〜X4は前記と同じ意味を表す。ここで
R7、R8、R9、R10のうちの隣接する2つの置換基は任意に結合して環を形成していてもよく、またX1〜X4は互いに結合して環を形成していてもよい。)。ここで、R7〜R11で表される置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基の例としては、R1〜R6に関して示されたものと同様のものが例示される。
式(5)または(6)において、R11は、好ましくは、炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基を表す。
式(1)で示される具体的な化合物としては、例えば1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−エチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−n−プロピル−1H−ベンゾトリアゾール、1−イソプロピル−1H−ベンゾトリアゾール、t−ブチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−フェニル−1H−ベンゾトリアゾール、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール、
1H−1,2,3−トリアゾール、1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−エチル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−n−プロピル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−イソプロピル−1H−1,2,3−トリアゾール、t−ブチル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−トリメチルシリル−1H−1,2,3−トリアゾール、
1,3−ジメチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−メチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジエチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−メチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジフェニルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−メチルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジ(4−メチルフェニル)トリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−メチルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジ(1−ナフチル)トリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−メチルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジ(2−ナフチル)トリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−メチルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−トリメチルシリルトリアゼン等が例示される。
上記、トリアゾール化合物は多くのものが市販品として入手容易であり、また上記、トリアゼン化合物は、例えば、J.Org.Chem.1990,55,2543に報告されている、アニリン誘導体と亜硝酸イソアミルとの反応や、Tetrahedron Lett.1995,36,8239に報告されているアニリン誘導体に一酸化窒素を吹き込む方法により容易に得ることができる。
式(2)で示される遷移金属化合物としては、例えば三塩化チタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどのハロゲン化チタン、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、ジクロロビス(ジメチルアミノ)チタン、トリクロロ(ジメチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタンなどのアミドチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ジクロロジイソプロポキシチタン、トリクロロイソプロポキシチタンなどのアルコキシチタン、テトラキス(ベンジル)チタン、ジクロロビス(ベンジル)チタンなどのアルキルチタンおよび上記各化合物のチタンをジルコニウム、ハフニウムに変更した化合物などが例示され、その使用量は式(1)で示される化合物(配位子)1モル当たり通常0.3〜3モル、好ましくは0.4〜0.6モルの範囲である。
式(3)〜(6)で示される遷移金属錯体の製造は、通常、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下において、溶媒の存在下に実施することができる。
反応に用いる溶媒は特に限定されないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類およびこれらの混合物が例示される。その使用量は、通常、式(3)〜(6)で示される遷移金属錯体1重量部に対して1〜200重量部であり、好ましくは3〜30重量部である。
反応温度としては、通常は−100℃〜溶媒の沸点において実施され、好ましくは0〜110℃である。
上記のようにして得られる式(3)〜(6)で示される遷移金属錯体の具体例としては、例えば、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタニウムテトラクロライド、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)ジルコニウムテトラクロライド、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)ハフニウムテトラクロライド、ビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタニウムテトラクロライド、ビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)ジルコニウムテトラクロライド、ビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)ハフニウムテトラクロライド等が例示される。
本発明のオレフィン重合用触媒には、上記遷移金属錯体等の触媒成分と化合物(A)、さらには化合物(B)を組み合わせて用いることができる。
化合物(A)、(A1)、(A2)および(A3)について以下説明する。
化合物(A1)乃至(A3)においてE1〜E3で表される炭素数1〜8の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が例示される。
Zで示されるハロゲン原子としては、前記と同様のものが例示される。
本発明において用いられる化合物(A)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。
式 E1 aAlZ3−aで示される有機アルミニウム化合物(A1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが例示される。
式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン(A2)、式E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で示される構造を有する線状のアルミノキサン(A3)における、E2、E3の具体例としては、好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基が例示される。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。さらに好ましくは、E2およびE3はメチル基、イソブチル基であり、bは2〜40、cは1〜40である。
上記のアルミノキサンは各種の方法でつくられる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じてつくればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させてつくる。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させてつくる方法が例示できる。
本発明において化合物(B)としては、
(B1)式BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物、
(B2)式Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物、
(B3)式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物のいずれか、またはそれらの2種以上の混合物を用いることができる。
式 BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物(B1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q3は、同一または互いに相異なり、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、1乃至3の炭素数1〜20炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または二つの炭素数2〜20炭化水素基で置換されたアミノ基を表す。
好ましいQ1〜Q3はハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Q1〜Q3で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。Q1〜Q3で示される炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、1から3の炭素数1〜20炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または二つの炭素数2〜20炭化水素基で置換されたアミノ基における炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ドデシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基などの炭素数6〜20のアリール基等、上記のような炭素数7〜20のアラルキル基が例示される。
炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては,前記炭化水素基がハロゲン原子で置換されたものが例示される。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、上記の炭素数1〜20のアルキル基と酸素原子からなるものが例示され、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基が例示される。
1〜3の炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基および二つのC2−20炭化水素基で置換されたアミノ基の例としては、前記と同様のものが例示される。
(B1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が例示されるが、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが例示される。
式Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物(B2)において、Z+は無機または有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の(B1)におけるQ1〜Q3と同様のものが例示される。
式 Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表される化合物の具体例としては、無機のカチオンであるZ+には、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるZ+には、トリフェニルメチルカチオンなどが例示される。(BQ1Q2Q3Q4)−には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが例示される。
これらの具体的な組み合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
また、式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物(B3)においては、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の(B1)におけるQ1〜Q3と同様ものが例示される。
式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表される化合物の具体例としては、ブレンステッド酸であり、(L−H)+には、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが例示され、(BQ1Q2Q3Q4)−には、前述と同様のものが例示される。
これらの具体的な組み合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
各触媒成分の使用量は、化合物(A)/遷移金属錯体のモル比が0.1〜10000で、好ましくは5〜2000、化合物(B)/遷移金属錯体のモル比が0.01〜100で、好ましくは0.5〜10の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
各触媒成分を溶液状態で使う場合の濃度については、遷移金属錯体が、0.0001〜5ミリモル/リットルで、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットル、化合物(A)が、Al原子換算で、0.01〜500ミリモル/リットルで、好ましくは、0.1〜100ミリモル/リットル、化合物(B)は、0.0001〜5ミリモル/リットルで、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルの範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
本発明において、重合に使用するモノマーは、炭素原子数2〜20個からなるオレフィン、ジオレフィン等のいずれをも用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。かかるモノマーを以下に例示するが、本発明は下記化合物に限定されるものではない。かかるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキセン、2−ノルボルネン、シクロヘキセン等が例示される。ジオレフィン化合物としては、炭化水素化合物の共役ジエン、非共役ジエンが例示され、かかる化合物の具体例としては、非共役ジエン化合物の具体例として、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン等が例示され、共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等を例示することができる。
共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、プロピレンとブテン−1等、およびそれらにさらに5−エチリデン−2−ノルボルネンを使用する組み合わせ等が例示されるが、本発明は、上記化合物に限定されるものではない。
本発明では、モノマーとして芳香族ビニル化合物も用いることができる。芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が例示される。
重合方法も、特に限定されるべきものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、またはメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合、またはスラリー重合、ガス状のモノマー中での気相重合等が可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
重合温度は、通常、−50℃〜250℃の範囲を取り得るが、より分子量の高いポリマーを製造するためには、特に、−20℃〜100℃程度の範囲が好ましく、重合圧力は、常圧(例えば、約0.1MPa)〜10MPa(100kg/cm2 G)が好ましい。また本発明は100℃以上および、あるいは10MPa以上の高温高圧での重合に用いることもできる。重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが、通常、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。また、本発明は共重合体の分子量を調節するために水素などの連鎖移動剤を添加することもできる。
本発明における重合は、溶媒に可溶な重合触媒を、担体などの固体に担持させることによって、溶媒に不溶な固体触媒として用いて実施することができ、重合触媒を担体などの固体に担持させ固体状態にすることによって、製造プロセスとして広く行われている気相重合法やスラリー重合法に適用できるようになる。例えば、前記遷移金属錯体、化合物(A)および化合物(B)のうちの少なくとも一つを担体(例えば、固体担体)に担持して用いても良い。担体の種類は特に限定されないが、無機担体、無機酸化物担体及び有機担体のいずれでも用いることができる。
具体的には、無機担体としては、MgCl2、Mg(OEt)2等のマグネシウム化合物やその錯塩、あるいはグリニャール試薬のごとき有機マグネシウム化合物などを例示できる。
無機酸化物としては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、MgO、ZrO2、TiO2、Fe2O3、B2O3、CaO、ZnO、BaOやこれらの混合物、例えば、シリカアルミナ、ゼオライト、フェライト、グラスファイバーなどが例示でき、これらの担体は少量の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等を含有していてもよい。これらの中では特にシリカ、アルミナが好ましい。
有機担体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、置換ポリスチレン、ポリアクリレート等の重合体や、スターチ、カーボンなどを例示することができる。
前記遷移金属錯体、化合物(A)および化合物(B)のうちの少なくとも一つを担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば次の方法を例示することができる。
1)前記遷移金属錯体、化合物(A)および(B)の少なくとも一つと担体とを混合する方法。
2)担体を有機アルミニウム化合物またはハロゲン含有ケイ素化合物で処理した後、不活性溶媒中で前記遷移金属錯体、化合物(A)および(B)の少なくとも一つと混合する方法。
3)前記遷移金属錯体、化合物(A)および(B)と担体と有機アルミニウム化合物またはハロゲン含有ケイ素化合物とを反応させる方法。
4)前記遷移金属錯体を担体に担持させた後、化合物(A)または(B)と混合する方法。
5)前記遷移金属錯体と化合物(A)または(B)との接触反応物を担体と混合する方法。
6)前記遷移金属錯体と化合物(A)または(B)の接触反応に際して担体を共存させる方法。
このようにして得られた触媒は、一度溶媒を留去し、固体を取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。また、本発明においては、前記遷移金属錯体および化合物(A)、化合物(B)のすくなくとも一つの担体への担持操作を重合系内で行うことにより触媒を生成させることもできる。
このようにして得られた担持触媒を用いた重合を行うことにより、高分子ポリマーを得ることができる。
実施例
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例中において用いられる略号MMAOは、下記のとおりの意味を表す。MMAO:Modified methyl aluminoxane(メチルアルミノキサンにトリイソブチルアルミニウムを添加して変性させたもの)
実施例1
窒素雰囲気下、1H−ベンゾトリアゾール1.19g(10.0ミリモル)のトルエン懸濁液(10.0mL)に、室温で四塩化チタン0.95g(5.00ミリモル)のトルエン溶液(5.0mL)を加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌した後、得られた固体をろ過し、トルエンおよびジクロロメタンで洗浄し、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを黄橙色粉末として定量的に得た。
実施例2
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール2.00g(10.5ミリモル)のトルエン溶液(10.0mL)に、室温で四塩化チタン0.99g(5.22ミリモル)のトルエン溶液(5.0mL)を加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌した後、得られた固体をろ過し、トルエンおよびヘキサンで洗浄し、ビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを黄土色粉末として定量的に得た。
1H−NMR(重ジクロロメタン、δ(ppm)):0.52(br s、18H)、7.47−7.49(m、4H)、7.84−8.20(m、4H)。
実施例3
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%A、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例1で得たビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライド0.04mg(0.1μモル)を加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.14×107g製造した。
実施例4
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、9.0×105g製造した。
実施例5
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.6×106g製造した。
実施例6
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、3.8×106g製造した。
実施例7
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(0.50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例1で得たビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライド0.04mg(0.1μモル)を加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=360,000、分子量分布(Mw/Mn)=8.7、融点が128.2℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.86×107g製造した。
実施例8
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例7と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=1,400,000、分子量分布(Mw/Mn)=11.8、融点が129.1℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、9.0×105g製造した。
実施例9
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例7と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=1,800,000、分子量分布(Mw/Mn)=12.5、融点が126.8℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.9×106g製造した。
実施例10
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例7と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=1,500,000、分子量分布(Mw/Mn)=20.6、融点が126.6℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.8×106g製造した。
実施例11
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例2で得たビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライド0.06mg(0.1μモル)を加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、3.47×107g製造した。
実施例12
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例11と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.0×106g製造した。
実施例13
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例11と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.0×106g製造した。
実施例14
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例11と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.3×106g製造した。
実施例15
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(0.50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%A、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例2で得たビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライド0.06mg(0.1μモル)を加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=150,000、分子量分布(Mw/Mn)=4.2、融点が126.7℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、3.58×107g製造した。
実施例16
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例15と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=560,000、分子量分布(Mw/Mn)=7.8、融点が124.6℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.5×106g製造した。
実施例17
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例15と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=510,000、分子量分布(Mw/Mn)=9.3、融点が125.3℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.0×106g製造した。
実施例18
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例15と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=530,000、分子量分布(Mw/Mn)=18.7、融点が124.0℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.6×106g製造した。
実施例19
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール1.13g(5.92ミリモル)のトルエン溶液(10.0mL)に、室温で四塩化チタン0.53g(2.82ミリモル)のトルエン溶液(2.5mL)を加えた。混合物を110℃で6時間加熱攪拌した後、溶媒を留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥することにより赤褐色の重合触媒組成物(触媒1)1.59gを得た。
実施例20
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール2.26g(11.84ミリモル)のトルエン溶液(20.0mL)に、室温で四塩化ジルコニウム1.31g(5.64ミリモル)を加えた。混合物を110℃で6時間加熱攪拌した後、溶媒を留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥することにより白色の重合触媒組成物(触媒2)2.57gを得た。
実施例21
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール1.13g(5.92ミリモル)のトルエン溶液(10.0mL)に、室温で四塩化ハフニウム0.90g(2.82ミリモル)を加えた。混合物を110℃で6時間加熱攪拌した後、溶媒を留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥することにより白色の重合触媒組成物(触媒3)1.44gを得た。
実施例22
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例19で得た触媒1を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.29×105g製造した。
実施例23
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例22と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、3.61×104g製造した。
実施例24
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例22と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.34×104g製造した。
実施例25
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例22と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.87×104g製造した。
実施例26
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例19で得た触媒1を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=267,000、分子量分布(Mw/Mn)=2.9、融点が125.9℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.57×105g製造した。
実施例27
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例26と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=681,000、分子量分布(Mw/Mn)=6.5、融点が127.9℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.69×104g製造した。
実施例28
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例26と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=527,000、分子量分布(Mw/Mn)=8.9、融点が126.2℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.72×104g製造した。
実施例29
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例26と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=527,000、分子量分布(Mw/Mn)=6.1、融点が124.5℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.69×104g製造した。
実施例30
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例20で得た触媒2を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.51×103g製造した。
実施例31
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例30と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.51×102g製造した。
実施例32
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例30と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、3.26×103g製造した。
実施例33
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例30と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、4.77×103g製造した。
実施例34
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例20で得た触媒2を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.76×103g製造した。
実施例35
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例34と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.51×102g製造した。
実施例36
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例34と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=501,000、分子量分布(Mw/Mn)=166、融点が127.7℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.26×103g製造した。
実施例37
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例35と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=417,000、分子量分布(Mw/Mn)=136、融点が128.7℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.26×103g製造した。
実施例38
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例21で得た触媒3を0.05mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.03×103g製造した。
実施例39
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例38と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.06×102g製造した。
実施例40
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例38と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.44×103g製造した。
実施例41
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例38と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.68×103g製造した。
実施例42
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例21で得た触媒3を0.05mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.03×103g製造した。
実施例43
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例42と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.06×102g製造した。
実施例44
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例42と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.44×103g製造した。
実施例45
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例42と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=937,000、分子量分布(Mw/Mn)=82.5、融点が128.8℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.06×103g製造した。
実施例46
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(50μL)を仕込み、70℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例19で得た触媒1を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=223,000、分子量分布(Mw/Mn)=4.4、融点が124.3℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.65×105g製造した。
実施例47
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例46と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=545,000、分子量分布(Mw/Mn)=12.9、融点が125.6℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、4.51×103g製造した。
実施例48
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例46と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=565,000、分子量分布(Mw/Mn)=9.8、融点が125.9℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、8.17×103g製造した。
実施例49
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例46と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=302,000、分子量分布(Mw/Mn)=5.7、融点が127.3℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.20×104g製造した。
実施例50
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(60μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、あらかじめシリカ(デビソン社製市販品、SMR49−2903、平均粒径50μm)2.5mg、実施例19で得た重合触媒組成物(触媒1)0.04mg、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(10μモル)を接触させた触媒を加え、さらにMMAO(100μモル)を加えて30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=805,000、分子量分布(Mw/Mn)=10.6のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.94×105g製造した。
実施例51
重合温度を70℃、1−ヘキセンを50μL用いた以外は、実施例50と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=656,000、分子量分布(Mw/Mn)=10.9のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、3.55×104g製造した。
実施例52
触媒として実施例1で得たビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを0.04mg(0.1μモル)用いた以外は実施例50と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=285,000、分子量分布(Mw/Mn)=6.2のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、30.3×106g製造した。
実施例53
重合温度を70℃、1−ヘキセンを50μL用いた以外は、実施例52と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=180,000、分子量分布(Mw/Mn)=4.1のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、14.7×106g製造した。
実施例54
触媒として実施例2で得たビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを0.06mg(0.1μモル)用いた以外は実施例50と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=348,000、分子量分布(Mw/Mn)=5.1のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、29.2×106g製造した。
実施例55
重合温度を70℃、1−ヘキセンを50μL用いた以外は、実施例54と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=430,000、分子量分布(Mw/Mn)=6.8のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、8.2×106g製造した。
産業上の利用可能性
本発明により、得られる遷移金属錯体は、調製が簡便であり、良好な触媒活性を有する重合触媒成分として用いることができ、該成分を含有する重合触媒を用いるオレフィンの重合反応により工業的に有利に高分子量のポリマーを与える。
本発明は、遷移金属錯体、該遷移金属錯体を含有するオレフィン重合用触媒およびそれを用いるオレフィン重合体の製造方法に関する。
背景技術
メタロセン錯体を用いるオレフィン重合体の製造法については多くの報告がなされている。例えば、特開昭58−19309号公報において、メタロセン錯体とアルミノキサンを用いたオレフィン重合体の製造法に関して報告されている。WO9623010号公報において、ジイミン−ニッケル錯体、WO9827124号公報において、ピリジン架橋ジイミン−鉄錯体、特開平11−315109号公報において、フェノキシイミン−ジルコニウム錯体が報告されている。これらの錯体は、メタロセン錯体に比べ,安価である、新規なポリマーの製造の可能性がある、など次世代触媒としての可能性があるとされているものの、これらの錯体に用いられている配位子は、必ずしも入手が容易でないため、より入手の容易な配位子を用いた工業的に良好な活性を有する触媒が望まれていた。
また、Reedijkら(Inorg.Chim.Acta 1983,74,109)によりビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドが合成されている(同文献の112頁)が、その同定に関する記載があるのみで、オレフィン重合用触媒についてはなんら記載されていなかった。
発明の開示
本願発明によれば、調製が簡便な遷移金属錯体を含有するオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合させることによりオレフィン重合体を工業的に有利に製造することができる。
すなわち、本発明は、
1.式(1):
(式中、R1〜R3は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
A1〜A3は周期表第15族の原子を示し、
R2とR3は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される配位子と、式(2):
(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、
X1、X2、X3、X4は同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
または
炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
nは0または1の整数を示し、
X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される遷移金属化合物を反応させて得られる遷移金属錯体(ただし、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを除く。)、および
2.前記式(1)(式中R1〜R3およびA1〜A3は前記と同じ意味を表す。)の配位子と式(2)(式中、M、X1、X2、X3、X4およびnは、前記と同じ意味を表す。)で示される遷移金属化合物から得られる遷移金属錯体、および
化合物(A):下記化合物(A1)〜(A3)のいずれか、またはそれらの2種以上の混合物:
(A1):式E1 aAl(Z)3−aで示される有機アルミニウム化合物;
(A2):式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン;
(A3):式E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1〜E3は同一または相異なり、炭素原子数1〜8の炭化水素基を表わし、Zは同一または相異なり、水素原子またはハロゲン原子を表わし、aは1、2または3を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表わす。)とからなるオレフィン重合用触媒、および
3.前記オレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法、を提供するものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明について詳細に説明する。
式(1)の配位子および式(2)の遷移金属化合物より得られる遷移金属錯体についてまず説明する。該遷移金属錯体は、式(1)の配位子および式(2)の遷移金属化合物とから得られる。配位子としては、一種類の配位子を用いても良いし、異なるものを用いても良い。
本願発明の遷移金属錯体としては、例えば、下記式(3):
または式(4):
(式中、R1〜R6は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
A1〜A6はそれぞれ元素の周期表第15族の原子を示し、
MおよびX1〜X4は前記と同じ意味を表し、
R2とR3、R5とR6は互いに結合して環を形成していてもよく、
X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよく、
mおよびnは、それぞれ独立に0または1の整数を示す。ただし、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを除く。)で示される遷移金属錯体が例示される。
かかる遷移金属錯体は、配位子として、式(1)の化合物の他、式(1a):
(式中、A4〜A6およびR4〜R6は前記と同じ意味を表す。)で表される化合物と式(2)の遷移金属化合物を反応させることにより得られる。
式(1)および(1a)、(3)および(4)において、A1〜A6として示される元素の周期表第15族の原子としては、例えば窒素原子、リン原子、ヒ素原子などが例示され、好ましくは窒素原子が例示される。
R1〜R6およびX1〜X4については、以下説明する。
R1〜R6およびX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基において、無置換の炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が例示され、炭素数1〜10の置換アルキル基としては、例えば、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基が例示され、その具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、トリクロロメチル基などが例示され、好ましいものとしては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基等が例示される。
R1〜R6で表される置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基において、無置換の炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが例示され、炭素数2〜10の置換アルケニル基としては、例えば、ハロゲン原子で置換された炭素数2〜10のアルケニル基が例示され、好ましいものとしては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基において、無置換の炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が例示され、炭素数6〜20の置換アリール基としては、フッ素原子、アルキル基等から選ばれる基で置換された炭素数6〜20のアリール基が例示される。その具体例としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらの基がフッ素原子で置換されたアリール基が例示され、好ましくはフェニル基が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジフェニルメチル基等が例示され、その置換基としては、例えばフッ素原子、アルキル基等が例示される。置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジフェニルメチル基およびこれらの基がフッ素原子で置換されたアラルキル基が例示され、好ましいものとしてはベンジル基が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基が例示され、さらに炭素数1〜10の置換アルコキシ基としては、前期無置換アルコキシ基がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のフッ素置換アルコキシ基が例示され、好ましいものとしては、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基が例示され、炭素数6〜20の置換アリールオキシ基としては、フッ素原子、アルキル基等から選ばれる基で置換されたものが例示される。置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基の具体例としてはフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基、さらには、これらの例示された基がフッ素原子で置換されたフッ素置換アリールオキシ基が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される置換もしくは無置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基のアラルキルとしては、前記と同様のフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基で置換されたアルキル基が例示され、置換アラルキル基としては、ハロゲン原子およびアルキル基等から選ばれる基で置換されたアラルキル基が例示される。置換もしくは無置換の炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の具体例としては、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが例示され、好ましくはベンジルオキシ基が例示され、さらに前記例示のアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたアラルキルオキシ基が例示される。
R1〜R6で表される炭素数1〜20の置換もしくは無置換の炭化水素置換シリル基としては、炭素数1〜20の無置換の炭化水素基で置換されたシリル基が例示され、ここでの炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基などの炭素原子数1〜20のアリール基等が例示される。かかる炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの3置換シリル基等が例示され、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基が例示される。さらにはこれらの例示された置換シリル基の炭化水素基がフッ素原子で置換されたフッ素置換炭化水素で置換されたシリル基が例示される。
R1〜R6あるいはX1〜X4で表される炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基としては、2つの炭化水素基で置換されたアミノ基が例示される。ここで炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜20のアリール基等が例示される。かかる炭素数1〜20の炭化水素基二つで置換されたアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が例示され、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
X1〜X4間で隣接する基は互いに結合して環を形成していてもよく、またR1〜R6間で隣接する基は互いに結合して環を形成していてもよい。
式(2)〜(6)において、Mで示される遷移金属原子とは、元素の周期表第4族の遷移金属原子であり、例えばチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子などが例示され、好ましいものとしてはチタン原子が例示される。
X1〜X4で表されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは塩素原子である。
mは0または1の整数であって、好ましくは1である。
nは0または1の整数であって、好ましくは1である。
式(3)および式(4)の遷移金属錯体において、R2とR3、R5とR6が互いに結合して環を形成するとき、式(3)または(4)が表す遷移金属錯体としては、下記式(5)または式(6)で示される遷移金属錯体が例示される。
(式中、R7〜R11は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
MおよびX1〜X4は前記と同じ意味を表す。ここで
R7、R8、R9、R10のうちの隣接する2つの置換基は任意に結合して環を形成していてもよく、またX1〜X4は互いに結合して環を形成していてもよい。)。ここで、R7〜R11で表される置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基の例としては、R1〜R6に関して示されたものと同様のものが例示される。
式(5)または(6)において、R11は、好ましくは、炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基を表す。
式(1)で示される具体的な化合物としては、例えば1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−エチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−n−プロピル−1H−ベンゾトリアゾール、1−イソプロピル−1H−ベンゾトリアゾール、t−ブチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−フェニル−1H−ベンゾトリアゾール、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール、
1H−1,2,3−トリアゾール、1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−エチル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−n−プロピル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−イソプロピル−1H−1,2,3−トリアゾール、t−ブチル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−フェニル−1H−1,2,3−トリアゾール、1−トリメチルシリル−1H−1,2,3−トリアゾール、
1,3−ジメチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−メチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジメチル−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジエチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−メチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジエチル−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジフェニルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−メチルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−エチルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジフェニル−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジ(4−メチルフェニル)トリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−メチルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジ(4−メチルフェニル)−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジ(1−ナフチル)トリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−メチルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジ(1−ナフチル)−1−トリメチルシリルトリアゼン、
1,3−ジ(2−ナフチル)トリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−メチルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−エチルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−n−プロピルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−イソプロピルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−t−ブチルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−フェニルトリアゼン、1,3−ジ(2−ナフチル)−1−トリメチルシリルトリアゼン等が例示される。
上記、トリアゾール化合物は多くのものが市販品として入手容易であり、また上記、トリアゼン化合物は、例えば、J.Org.Chem.1990,55,2543に報告されている、アニリン誘導体と亜硝酸イソアミルとの反応や、Tetrahedron Lett.1995,36,8239に報告されているアニリン誘導体に一酸化窒素を吹き込む方法により容易に得ることができる。
式(2)で示される遷移金属化合物としては、例えば三塩化チタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどのハロゲン化チタン、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、ジクロロビス(ジメチルアミノ)チタン、トリクロロ(ジメチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタンなどのアミドチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ジクロロジイソプロポキシチタン、トリクロロイソプロポキシチタンなどのアルコキシチタン、テトラキス(ベンジル)チタン、ジクロロビス(ベンジル)チタンなどのアルキルチタンおよび上記各化合物のチタンをジルコニウム、ハフニウムに変更した化合物などが例示され、その使用量は式(1)で示される化合物(配位子)1モル当たり通常0.3〜3モル、好ましくは0.4〜0.6モルの範囲である。
式(3)〜(6)で示される遷移金属錯体の製造は、通常、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下において、溶媒の存在下に実施することができる。
反応に用いる溶媒は特に限定されないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類およびこれらの混合物が例示される。その使用量は、通常、式(3)〜(6)で示される遷移金属錯体1重量部に対して1〜200重量部であり、好ましくは3〜30重量部である。
反応温度としては、通常は−100℃〜溶媒の沸点において実施され、好ましくは0〜110℃である。
上記のようにして得られる式(3)〜(6)で示される遷移金属錯体の具体例としては、例えば、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタニウムテトラクロライド、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)ジルコニウムテトラクロライド、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)ハフニウムテトラクロライド、ビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタニウムテトラクロライド、ビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)ジルコニウムテトラクロライド、ビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)ハフニウムテトラクロライド等が例示される。
本発明のオレフィン重合用触媒には、上記遷移金属錯体等の触媒成分と化合物(A)、さらには化合物(B)を組み合わせて用いることができる。
化合物(A)、(A1)、(A2)および(A3)について以下説明する。
化合物(A1)乃至(A3)においてE1〜E3で表される炭素数1〜8の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が例示される。
Zで示されるハロゲン原子としては、前記と同様のものが例示される。
本発明において用いられる化合物(A)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。
式 E1 aAlZ3−aで示される有機アルミニウム化合物(A1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが例示される。
式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン(A2)、式E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で示される構造を有する線状のアルミノキサン(A3)における、E2、E3の具体例としては、好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基が例示される。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。さらに好ましくは、E2およびE3はメチル基、イソブチル基であり、bは2〜40、cは1〜40である。
上記のアルミノキサンは各種の方法でつくられる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じてつくればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させてつくる。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させてつくる方法が例示できる。
本発明において化合物(B)としては、
(B1)式BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物、
(B2)式Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物、
(B3)式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物のいずれか、またはそれらの2種以上の混合物を用いることができる。
式 BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物(B1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q3は、同一または互いに相異なり、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、1乃至3の炭素数1〜20炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または二つの炭素数2〜20炭化水素基で置換されたアミノ基を表す。
好ましいQ1〜Q3はハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Q1〜Q3で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。Q1〜Q3で示される炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、1から3の炭素数1〜20炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または二つの炭素数2〜20炭化水素基で置換されたアミノ基における炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ドデシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基などの炭素数6〜20のアリール基等、上記のような炭素数7〜20のアラルキル基が例示される。
炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては,前記炭化水素基がハロゲン原子で置換されたものが例示される。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、上記の炭素数1〜20のアルキル基と酸素原子からなるものが例示され、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基が例示される。
1〜3の炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基および二つのC2−20炭化水素基で置換されたアミノ基の例としては、前記と同様のものが例示される。
(B1)の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が例示されるが、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが例示される。
式Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物(B2)において、Z+は無機または有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の(B1)におけるQ1〜Q3と同様のものが例示される。
式 Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表される化合物の具体例としては、無機のカチオンであるZ+には、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるZ+には、トリフェニルメチルカチオンなどが例示される。(BQ1Q2Q3Q4)−には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが例示される。
これらの具体的な組み合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
また、式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物(B3)においては、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1〜Q4は上記の(B1)におけるQ1〜Q3と同様ものが例示される。
式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表される化合物の具体例としては、ブレンステッド酸であり、(L−H)+には、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが例示され、(BQ1Q2Q3Q4)−には、前述と同様のものが例示される。
これらの具体的な組み合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
各触媒成分の使用量は、化合物(A)/遷移金属錯体のモル比が0.1〜10000で、好ましくは5〜2000、化合物(B)/遷移金属錯体のモル比が0.01〜100で、好ましくは0.5〜10の範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
各触媒成分を溶液状態で使う場合の濃度については、遷移金属錯体が、0.0001〜5ミリモル/リットルで、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットル、化合物(A)が、Al原子換算で、0.01〜500ミリモル/リットルで、好ましくは、0.1〜100ミリモル/リットル、化合物(B)は、0.0001〜5ミリモル/リットルで、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルの範囲にあるように、各成分を用いることが望ましい。
本発明において、重合に使用するモノマーは、炭素原子数2〜20個からなるオレフィン、ジオレフィン等のいずれをも用いることができ、同時に2種類以上のモノマーを用いることもできる。かかるモノマーを以下に例示するが、本発明は下記化合物に限定されるものではない。かかるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキセン、2−ノルボルネン、シクロヘキセン等が例示される。ジオレフィン化合物としては、炭化水素化合物の共役ジエン、非共役ジエンが例示され、かかる化合物の具体例としては、非共役ジエン化合物の具体例として、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン等が例示され、共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等を例示することができる。
共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、プロピレンとブテン−1等、およびそれらにさらに5−エチリデン−2−ノルボルネンを使用する組み合わせ等が例示されるが、本発明は、上記化合物に限定されるものではない。
本発明では、モノマーとして芳香族ビニル化合物も用いることができる。芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が例示される。
重合方法も、特に限定されるべきものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、またはメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いる溶媒重合、またはスラリー重合、ガス状のモノマー中での気相重合等が可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
重合温度は、通常、−50℃〜250℃の範囲を取り得るが、より分子量の高いポリマーを製造するためには、特に、−20℃〜100℃程度の範囲が好ましく、重合圧力は、常圧(例えば、約0.1MPa)〜10MPa(100kg/cm2 G)が好ましい。また本発明は100℃以上および、あるいは10MPa以上の高温高圧での重合に用いることもできる。重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが、通常、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。また、本発明は共重合体の分子量を調節するために水素などの連鎖移動剤を添加することもできる。
本発明における重合は、溶媒に可溶な重合触媒を、担体などの固体に担持させることによって、溶媒に不溶な固体触媒として用いて実施することができ、重合触媒を担体などの固体に担持させ固体状態にすることによって、製造プロセスとして広く行われている気相重合法やスラリー重合法に適用できるようになる。例えば、前記遷移金属錯体、化合物(A)および化合物(B)のうちの少なくとも一つを担体(例えば、固体担体)に担持して用いても良い。担体の種類は特に限定されないが、無機担体、無機酸化物担体及び有機担体のいずれでも用いることができる。
具体的には、無機担体としては、MgCl2、Mg(OEt)2等のマグネシウム化合物やその錯塩、あるいはグリニャール試薬のごとき有機マグネシウム化合物などを例示できる。
無機酸化物としては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、MgO、ZrO2、TiO2、Fe2O3、B2O3、CaO、ZnO、BaOやこれらの混合物、例えば、シリカアルミナ、ゼオライト、フェライト、グラスファイバーなどが例示でき、これらの担体は少量の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等を含有していてもよい。これらの中では特にシリカ、アルミナが好ましい。
有機担体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、置換ポリスチレン、ポリアクリレート等の重合体や、スターチ、カーボンなどを例示することができる。
前記遷移金属錯体、化合物(A)および化合物(B)のうちの少なくとも一つを担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば次の方法を例示することができる。
1)前記遷移金属錯体、化合物(A)および(B)の少なくとも一つと担体とを混合する方法。
2)担体を有機アルミニウム化合物またはハロゲン含有ケイ素化合物で処理した後、不活性溶媒中で前記遷移金属錯体、化合物(A)および(B)の少なくとも一つと混合する方法。
3)前記遷移金属錯体、化合物(A)および(B)と担体と有機アルミニウム化合物またはハロゲン含有ケイ素化合物とを反応させる方法。
4)前記遷移金属錯体を担体に担持させた後、化合物(A)または(B)と混合する方法。
5)前記遷移金属錯体と化合物(A)または(B)との接触反応物を担体と混合する方法。
6)前記遷移金属錯体と化合物(A)または(B)の接触反応に際して担体を共存させる方法。
このようにして得られた触媒は、一度溶媒を留去し、固体を取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。また、本発明においては、前記遷移金属錯体および化合物(A)、化合物(B)のすくなくとも一つの担体への担持操作を重合系内で行うことにより触媒を生成させることもできる。
このようにして得られた担持触媒を用いた重合を行うことにより、高分子ポリマーを得ることができる。
実施例
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例中において用いられる略号MMAOは、下記のとおりの意味を表す。MMAO:Modified methyl aluminoxane(メチルアルミノキサンにトリイソブチルアルミニウムを添加して変性させたもの)
実施例1
窒素雰囲気下、1H−ベンゾトリアゾール1.19g(10.0ミリモル)のトルエン懸濁液(10.0mL)に、室温で四塩化チタン0.95g(5.00ミリモル)のトルエン溶液(5.0mL)を加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌した後、得られた固体をろ過し、トルエンおよびジクロロメタンで洗浄し、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを黄橙色粉末として定量的に得た。
実施例2
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール2.00g(10.5ミリモル)のトルエン溶液(10.0mL)に、室温で四塩化チタン0.99g(5.22ミリモル)のトルエン溶液(5.0mL)を加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌した後、得られた固体をろ過し、トルエンおよびヘキサンで洗浄し、ビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを黄土色粉末として定量的に得た。
1H−NMR(重ジクロロメタン、δ(ppm)):0.52(br s、18H)、7.47−7.49(m、4H)、7.84−8.20(m、4H)。
実施例3
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%A、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例1で得たビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライド0.04mg(0.1μモル)を加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.14×107g製造した。
実施例4
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、9.0×105g製造した。
実施例5
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.6×106g製造した。
実施例6
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例3と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、3.8×106g製造した。
実施例7
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(0.50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例1で得たビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライド0.04mg(0.1μモル)を加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=360,000、分子量分布(Mw/Mn)=8.7、融点が128.2℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.86×107g製造した。
実施例8
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例7と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=1,400,000、分子量分布(Mw/Mn)=11.8、融点が129.1℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、9.0×105g製造した。
実施例9
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例7と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=1,800,000、分子量分布(Mw/Mn)=12.5、融点が126.8℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.9×106g製造した。
実施例10
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例7と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=1,500,000、分子量分布(Mw/Mn)=20.6、融点が126.6℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.8×106g製造した。
実施例11
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例2で得たビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライド0.06mg(0.1μモル)を加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、3.47×107g製造した。
実施例12
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例11と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.0×106g製造した。
実施例13
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例11と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.0×106g製造した。
実施例14
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例11と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.3×106g製造した。
実施例15
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(0.50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%A、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例2で得たビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライド0.06mg(0.1μモル)を加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=150,000、分子量分布(Mw/Mn)=4.2、融点が126.7℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、3.58×107g製造した。
実施例16
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例15と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=560,000、分子量分布(Mw/Mn)=7.8、融点が124.6℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、1.5×106g製造した。
実施例17
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例15と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=510,000、分子量分布(Mw/Mn)=9.3、融点が125.3℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.0×106g製造した。
実施例18
メチルアルミノキサンの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例15と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=530,000、分子量分布(Mw/Mn)=18.7、融点が124.0℃のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、2.6×106g製造した。
実施例19
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール1.13g(5.92ミリモル)のトルエン溶液(10.0mL)に、室温で四塩化チタン0.53g(2.82ミリモル)のトルエン溶液(2.5mL)を加えた。混合物を110℃で6時間加熱攪拌した後、溶媒を留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥することにより赤褐色の重合触媒組成物(触媒1)1.59gを得た。
実施例20
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール2.26g(11.84ミリモル)のトルエン溶液(20.0mL)に、室温で四塩化ジルコニウム1.31g(5.64ミリモル)を加えた。混合物を110℃で6時間加熱攪拌した後、溶媒を留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥することにより白色の重合触媒組成物(触媒2)2.57gを得た。
実施例21
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール1.13g(5.92ミリモル)のトルエン溶液(10.0mL)に、室温で四塩化ハフニウム0.90g(2.82ミリモル)を加えた。混合物を110℃で6時間加熱攪拌した後、溶媒を留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥することにより白色の重合触媒組成物(触媒3)1.44gを得た。
実施例22
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例19で得た触媒1を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.29×105g製造した。
実施例23
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例22と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、3.61×104g製造した。
実施例24
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例22と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.34×104g製造した。
実施例25
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例22と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.87×104g製造した。
実施例26
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例19で得た触媒1を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=267,000、分子量分布(Mw/Mn)=2.9、融点が125.9℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.57×105g製造した。
実施例27
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例26と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=681,000、分子量分布(Mw/Mn)=6.5、融点が127.9℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.69×104g製造した。
実施例28
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例26と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=527,000、分子量分布(Mw/Mn)=8.9、融点が126.2℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.72×104g製造した。
実施例29
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例26と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=527,000、分子量分布(Mw/Mn)=6.1、融点が124.5℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.69×104g製造した。
実施例30
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例20で得た触媒2を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.51×103g製造した。
実施例31
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例30と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.51×102g製造した。
実施例32
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例30と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、3.26×103g製造した。
実施例33
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例30と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、4.77×103g製造した。
実施例34
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例20で得た触媒2を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.76×103g製造した。
実施例35
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例34と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.51×102g製造した。
実施例36
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例34と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=501,000、分子量分布(Mw/Mn)=166、融点が127.7℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.26×103g製造した。
実施例37
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例35と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=417,000、分子量分布(Mw/Mn)=136、融点が128.7℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.26×103g製造した。
実施例38
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mLを仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例21で得た触媒3を0.05mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.03×103g製造した。
実施例39
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例38と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.06×102g製造した。
実施例40
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例38と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.44×103g製造した。
実施例41
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例38と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.68×103g製造した。
実施例42
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(50μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例21で得た触媒3を0.05mg加え、30分間重合した。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.03×103g製造した。
実施例43
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例42と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.06×102g製造した。
実施例44
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例42と同様に重合を行った。重合の結果、ポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.44×103g製造した。
実施例45
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例42と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=937,000、分子量分布(Mw/Mn)=82.5、融点が128.8℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.06×103g製造した。
実施例46
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(50μL)を仕込み、70℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(100μモル)、実施例19で得た触媒1を0.04mg加え、30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=223,000、分子量分布(Mw/Mn)=4.4、融点が124.3℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.65×105g製造した。
実施例47
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ペンタフルオロフェニルボラン(0.30μモル)を用いた以外は実施例46と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=545,000、分子量分布(Mw/Mn)=12.9、融点が125.6℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、4.51×103g製造した。
実施例48
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例46と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=565,000、分子量分布(Mw/Mn)=9.8、融点が125.9℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、8.17×103g製造した。
実施例49
MMAOの代わりに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(40μL、1.0M、関東化学)、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.30μモル)を用いた以外は実施例46と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=302,000、分子量分布(Mw/Mn)=5.7、融点が127.3℃のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、2.20×104g製造した。
実施例50
窒素雰囲気下、オートクレーブにトルエン5.0mL、1−ヘキセン(60μL)を仕込み、40℃で安定させた後、エチレンを0.60MPaまで加圧し安定させた。ここに、あらかじめシリカ(デビソン社製市販品、SMR49−2903、平均粒径50μm)2.5mg、実施例19で得た重合触媒組成物(触媒1)0.04mg、MMAO(5.8重量%Al、東ソー・アクゾ社)(10μモル)を接触させた触媒を加え、さらにMMAO(100μモル)を加えて30分間重合した。重合の結果、分子量(Mw)=805,000、分子量分布(Mw/Mn)=10.6のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、1.94×105g製造した。
実施例51
重合温度を70℃、1−ヘキセンを50μL用いた以外は、実施例50と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=656,000、分子量分布(Mw/Mn)=10.9のポリマーを触媒1gあたり、1時間あたり、3.55×104g製造した。
実施例52
触媒として実施例1で得たビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを0.04mg(0.1μモル)用いた以外は実施例50と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=285,000、分子量分布(Mw/Mn)=6.2のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、30.3×106g製造した。
実施例53
重合温度を70℃、1−ヘキセンを50μL用いた以外は、実施例52と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=180,000、分子量分布(Mw/Mn)=4.1のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、14.7×106g製造した。
実施例54
触媒として実施例2で得たビス(1−トリメチルシリル−1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを0.06mg(0.1μモル)用いた以外は実施例50と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=348,000、分子量分布(Mw/Mn)=5.1のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、29.2×106g製造した。
実施例55
重合温度を70℃、1−ヘキセンを50μL用いた以外は、実施例54と同様に重合を行った。重合の結果、分子量(Mw)=430,000、分子量分布(Mw/Mn)=6.8のポリマーを触媒1モルあたり、1時間あたり、8.2×106g製造した。
産業上の利用可能性
本発明により、得られる遷移金属錯体は、調製が簡便であり、良好な触媒活性を有する重合触媒成分として用いることができ、該成分を含有する重合触媒を用いるオレフィンの重合反応により工業的に有利に高分子量のポリマーを与える。
Claims (19)
- 式(1):
(式中、R1〜R3は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
A1〜A3は周期表第15族の原子を示し、
R2とR3は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される配位子と、式(2):
(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、
X1、X2、X3、X4は同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
nは0または1の整数を示し、
X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを除く。)で示される遷移金属とを反応させることにより得られる遷移金属錯体。 - 遷移金属錯体が下記式(3):
または式(4):
(式中、R1〜R6は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
A1〜A6はそれぞれ元素の周期表第15族の原子を示し、
MおよびX1〜X4は式(2)に関して定義されたものと同じ意味を表し、
R2とR3、R5とR6は互いに結合して環を形成していてもよく、
X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよく、
mおよびnは、それぞれ0または1の整数を示す。ただし、ビス(1H−ベンゾトリアゾール)チタンテトラクロライドを除く。)で示される遷移金属錯体である請求項1記載の遷移金属錯体。 - 式(3)または(4)で表される遷移金属錯体が、下記式(5)または(6):
(式中、R7〜R11は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
MおよびX1〜X4は、式(3)および(4)において定義されたものと同じ意味を表し、
R7、R8、R9、R10のうちの隣接する2つの置換基は任意に結合して環を形成していてもよく、
X1〜X4は互いに結合して環を形成していてもよい。)で表される遷移金属錯体である請求項2に記載の遷移金属錯体。 - 式(1)において、A1〜A3がそれぞれ窒素原子である請求項1に記載の遷移金属錯体。
- A1〜A6がそれぞれ窒素原子である請求項2に記載の遷移金属錯体。
- 式(3)および式(4)において、mおよびnが共に1である請求項2に記載の遷移金属錯体。
- Mがチタン、ジルコニウムまたはハフニウムである請求項1から6のいずれかに記載の遷移金属錯体。
- 式(5)または(6)において、R11が炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基である請求項3に記載の遷移金属錯体。
- 式(1):
(式中、R1〜R3は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
A1〜A3は周期表第15族の原子を示し、
R2とR3は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される配位子と、式(2):
(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、
X1、X2、X3、X4は同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
nは0または1の整数を示し、
X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよい。)で示される遷移金属化合物とを反応させることにより得られるオレフィン重合用触媒成分と下記化合物(A)を組み合わせてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
化合物(A):下記化合物(A1)〜(A3)のいずれか、またはそれらの2種以上の混合物
(A1):式E1 aAl(Z)3−aで示される有機アルミニウム化合物;
(A2):式{−Al(E2)−O−}bで示される構造を有する環状のアルミノキサン;
(A3):式E3{−Al(E3)−O−}cAl(E3)2で示される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E1〜E3は同一または相異なり、炭素原子数1〜8の炭化水素基を表わし、Zは同一または相異なり、水素原子またはハロゲン原子を表わし、aは1、2または3を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表わす。) - 請求9に記載の重合触媒に下記化合物(B)をさらに組み合わせてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
化合物(B):下記化合物(B1)〜(B3)のいずれか、またはそれらの2種以上の混合物
(B1):式BQ1Q2Q3で表されるホウ素化合物;
(B2):式Z+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物;
(B3):式(L−H)+(BQ1Q2Q3Q4)−で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、
Q1〜Q4は同一または相異なり、ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20の炭化水素基、
炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、
炭素原子数1〜20の置換シリル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基または
炭素原子数2〜20の2置換アミノ基を示す。) - 遷移金属錯体が下記式(3):
または式(4):
(式中、R1〜R6は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
A1〜A6はそれぞれ元素の周期表第15族の原子を示し、
Mは元素の周期表第4族の遷移金属原子を示し、
X1〜X4は式(2)に関して定義されたものと同じ意味を表し、
R2とR3、R5とR6は互いに結合して環を形成していてもよく、
X1、X2、X3、X4は互いに結合して環を形成していてもよく、
mおよびnは、それぞれ独立に0または1の整数を示す。)で示される遷移金属錯体である請求項9または10に記載のオレフィン重合用触媒。 - 遷移金属錯体が、下記式(5)または(6):
(式中、R7〜R11は同一または相異なり、水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、
または炭素数1〜20の炭化水素置換アミノ基を示し、
MおよびX1〜X4は、式(3)および(4)において定義されたものと同じ意味を表し、
R7、R8、R9、R10のうちの隣接する2つの置換基は任意に結合して環を形成していてもよく、
X1〜X4は互いに結合して環を形成していてもよい。)で表される遷移金属錯体である請求項11に記載のオレフィン重合用触媒。 - 式(1)において、A1〜A3がそれぞれ窒素原子である請求項9または10に記載のオレフィン重合用触媒。
- 式(3)および式(4)において、A1〜A6がそれぞれ窒素原子である請求項11に記載のオレフィン重合用触媒。
- 式(3)および式(4)において、mおよびnが共に1である14に記載のオレフィン重合用触媒。
- Mがチタン、ジルコニウムまたはハフニウムである請求項9または10に記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項1に記載の式(1)で示される配位子と、式(2)で示される遷移金属化合物とを反応させることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。
- 請求項9から16のいずれかに記載の重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
- 重合用触媒が、重合用触媒成分、化合物(A)および化合物(B)の少なくとも一つを固体担体に担持させた重合用触媒であることを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
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