JPWO2002068738A1 - ポリケトン繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリケトン繊維及び該ポリケトン繊維の製造方法に関する。更に詳しくは、タイヤコード、ベルト、ホース、ロープ等の高度の耐疲労性が要求される分野へも応用可能なポリケトン繊維、及び該ポリケトン繊維を製造する方法に関するものである。
背景技術
一酸化炭素とエチレン、プロピレンのようなオレフィンとをパラジウムやニッケルなどといった遷移金属錯体を触媒として用いて重合させることにより、一酸化炭素とオレフィンが実質完全に交互共重合したポリケトンが得られることが知られている(工業材料、12月号、第5ページ、1997年)。また、ポリケトンを産業資材用繊維として用いる検討が多くの研究者によってなされており、ポリケトンの高強度及び高弾性率、並びに高温での寸法安定性、接着性、耐クリープ性に優れるという特性を生かして、撚糸コードの形態にしたポリケトン繊維をタイヤコードやベルト等の補強繊維といった複合材料用繊維として応用することが期待されている。
ポリケトンは溶融すると熱架橋しやすいので、繊維化する場合、湿式紡糸を適用することが好ましい。特に、優れた力学物性を有する、実質的に一酸化炭素とエチレンのみからなるポリケトン(ポリ(1−オキソトリメチレン))の繊維は、熱架橋しやすいため溶融紡糸が極めて困難であり、実質上、湿式紡糸でしか得ることができない。
ポリケトンを湿式紡糸する場合、用いる溶媒としてはヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール、レゾルシン/水といったフェノール系溶剤、レゾルシン/カーボネートといった有機溶剤が知られている(特開平2−112413号公報、特開平4−228613号公報、特表平7−508317号公報)。しかしながら、これらの溶剤を用い湿式紡糸によって得られた繊維は、フィブリル化しやすく、産業資材として使用するには耐疲労性及び加工性が不充分である。また、これらの溶剤は毒性や可燃性が高く、工業的規模の紡糸設備を作るのには、溶剤の毒性や可燃性に対する膨大な対策が必要になるという欠点がある。
また、特定濃度の塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛又は臭化リチウム、ヨウ化リチウム、チオシアン酸リチウム等のリチウム塩を含む水溶液にポリケトンを溶解したポリケトン溶液を用いて紡糸する方法が提案されている(WO99/18143、USP5955019)。これらの水溶液は、比較的安価で毒性も少なく非可燃性でありポリケトンの溶媒としては優れたものである。また、この文献では、実験室的にモノフィラメントで1.5GPaという強度が達成されるということが開示されている。しかしながら、本発明者らが追試したところ、この溶剤を用いて得られる繊維を産業資材用に必要なマルチフィラメントの形態にした場合、1.5GPaを越える強度の達成は困難であり、更に産業資材として使用するには耐疲労性及び加工性が不充分であった。また、毛羽や糸切れが少なく状態で安定に紡糸することも困難であった。
公知の紡糸方法で得られたポリケトン繊維の耐疲労性及び加工性の不充分さの原因を検討した結果、従来のポリケトン繊維はスキンコア構造を有しており、表面部は緻密であるが、中心部は疎であることが分かった。つまり、繊維内部が疎な構造では、繊維として高度な強度、弾性率を発現させることは困難であり、撚り、熱処理、織り編み等の加工時や、産業資材用として実際に使用される際にかかる圧縮や伸長の繰り返しに繊維が耐えきれず、強度や伸度の低下が起こり疲労性や加工性が不充分になっていると考えられる。そして、本発明者らのその後の検討によると、このようなスキンコア構造は、凝固段階における繊維表面と内部での凝固速度の違いによるものであるということが分かった。凝固段階においては、凝固浴の液が繊維表面から内部へと浸透して繊維を固化させるため、繊維の表面部と中心部では凝固速度に差が生じてしまうのである。
したがって、均一で緻密な内部構造を有するポリケトン繊維が製造できれば、耐疲労性や加工性に優れたものとなる可能性が高いが、従来そのような検討はほとんどなされておらず、均一で緻密な内部構造を有する繊維は未だ得られていない。
本発明の第一の目的は、均一で緻密な構造を有するポリケトン繊維を提供することであり、これによって、高強度、高弾性率であって、耐疲労性、加工性、耐熱性、寸法安定性に優れ、特に産業資材用に適したポリケトン繊維を提供することである。また、本発明の第二の目的は、このようなポリケトン繊維を製造する方法を提供することである。
発明の開示
すなわち、本発明のポリケトン繊維は、下記式(1)で示されるケトン単位を主たる繰り返し単位として含むポリケトンからなり、極限粘度が0.5dl/g以上であり、結晶配向度が90%以上であり、密度が1.300g/cm3以上であり、弾性率が200cN/dtex以上であり、熱収縮率が−1〜3%である。
また、本発明のポリケトン繊維は、0〜150℃の温度範囲に相分離温度を有するポリケトン溶液を湿式紡糸することで製造することができる。
発明を実施するための最良の形態
まず、本発明のポリケトン繊維を構成するポリケトンについて説明する。かかるポリケトンは、主たる繰り返し単位として上記式(1)で示されるケトン単位を含んでいる。なお、本発明においては、式(1)以外の繰り返し単位、例えば下記の式(2)に示したケトン単位を、全繰り返し単位に対して15モル%未満で含んでいてもよい。
式(2)において、Rはエチレン以外の炭素数1〜30の有機基であり、例えばプロピレン、ブチレン、1−フェニルエチレン等が例示される。これらの水素原子の一部または全部は、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、エーテル基で置換されていてもよい。もちろん、Rは2種以上の有機基からなっていてもよく、例えば、プロピレンと1−フェニルエチレンが混在していてもよい。
ただし、式(1)以外の繰り返し単位の量が増えると、ポリケトン繊維の強度、弾性率、寸法安定性、耐熱性が低下するので、好ましくは式(1)のケトン単位は、全繰り返し単位に対して97モル%以上であることが好ましく、より好ましくは98モル%以上、更に好ましくは99モル%以上である。本発明では、ポリケトン繊維が式(1)で示されるケトン単位のみ(全繰り返し単位に対して100モル%)からなることが最も好ましい。
また、これらのポリケトンは、必要に応じて、酸化防止剤、ラジカル抑制剤、他のポリマー、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属石鹸等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明のポリケトン繊維は、極限粘度が0.5dl/g以上、好ましくは1〜20dl/g、より好ましくは2〜10dl/g、特に好ましくは3〜8dl/gである。極限粘度が0.5dl/g未満では分子量が低すぎて、ポリケトン繊維の強度や耐疲労性が充分とはいえない。また、凝固糸の物性(強度、伸度)が低くなるため、紡糸時や乾燥時、延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発する。一方、極限粘度の上限については特に制限はないが、極限粘度が20dl/gを超えると重合反応に時間とコストがかかるばかりか、繊維製造時にポリケトンを均一に溶解させることが困難となり、紡糸性や繊維物性にも悪影響が出る。
本発明のポリケトン繊維は結晶配向度が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。結晶配向度が90%未満の場合、分子鎖の配向が不充分となり、繊維の強度、弾性率、耐疲労性及び寸法安定性が充分とはいえない。
本発明のポリケトン繊維は、密度が1.300g/cm3以上、好ましくは1.310g/cm3以上、更に好ましくは1.320g/cm3以上である。密度が1.300g/cm3未満のポリケトン繊維は、繊維中に空隙があったり、スキンコア構造が進行しているため、緻密性に欠け、耐疲労性が悪い。密度の上限については、耐疲労性の観点から1.350g/cm3以下とすることが好ましい。
本発明のポリケトン繊維は、弾性率が200cN/dtex以上である。産業資材、とりわけ剛性が必要とされるタイヤコード、ベルト、ホース、ロープ、テンションメンバー等の用途において充分な性能を発現させるという点からは、250cN/dtex以上の弾性率を有していることが好ましく、より好ましくは300cN/dtex以上、最も好ましくは400cN/dtex以上である。弾性率の上限については、耐疲労性の観点から1000cN/dtex以下とすることが好ましい。
本発明のポリケトン繊維は、150℃における熱収縮率が−1〜3%、好ましくは−1〜1.5%、より好ましくは0〜1.5%以下、特に好ましくは0〜1%である。熱収縮率が3%を超えると加工時や使用時の製品の寸法変化が大きくなり製品品位や品質の低下が起こる。一方、熱収縮率が−1%未満の場合にも同様の問題が発生する。
本発明のポリケトン繊維は、最大熱収縮応力が0.01〜0.7cN/dtexであることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.6cN/dtex、更に好ましくは0.02〜0.5cN/dtex、最も好ましくは0.03〜0.3cN/dtexである。熱収縮応力が高すぎると、巻き取り時に巻きしまりが起こり、巻き取り機からパッケージを抜き取ることが困難となったり、加工時や使用時において熱を受けた際、収縮して製品形態に歪みが生じたり、場合によっては変形によって製品性能が著しく低下する場合がある。一方、最大熱収縮応力が低すぎると、加工時に熱セットによる形態固定を行うことができず、製品に成形した際に緩みが発生しやすくなるという問題がある。
本発明のポリケトン繊維は、繊維の単糸膠着率が30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、更に好ましくは10%以下である。ここで、「単糸膠着率」とは以下の式で定義される値である。
単糸膠着率(%)={1−(見かけの単糸数/単糸数)}×100
式中、「見かけの単糸数」とは、黒色台紙上でポリケトン繊維をチョークで軽く20回擦り繊維を解繊し、100倍の拡大鏡にてフィラメント数を数え、膠着して分繊出来ないものについては1本の単糸として数えた単糸数である。評価は3回行い、その平均値を「見かけの単糸数」とする。具体的な例で説明すると、例えば、10個のホール数を持った紡口口金を用いて製造された繊維において、2本の単糸が膠着しているものが2組あるとすれば、単糸数は10で、見かけの単糸本数は8となり、単糸膠着率は20%となる。
単糸膠着率が大きくなると、繊維加撚時における強度保持率(撚糸後の強度を撚糸前の強度で除した値)の低下が大きく、また単糸切れが多く発生する等、タイヤコードのような産業資材用の繊維として使用するときに、繊維本来の性能を充分に発揮させることができない。
本発明のポリケトン繊維は、耐疲労性の改善という点から、390T/mの撚りを掛けた時の強度保持率が50%以上であることが好ましい。より好ましくは、60%以上であり、更に好ましくは70%以上である。
本発明のポリケトン繊維においては、繊維中に含まれるPd、Zn元素量の和が繊維重量に対して50ppm以下であることが好ましい。ポリケトン繊維中には重合触媒や溶剤に由来する金属残さが種々存在するが、特にPdとZnは強度、弾性率の発現、耐疲労性や耐熱性に悪影響を及ぼすので、その総和を減らすことが好ましい。Pd、Zn元素量の和を30ppm以下とすることがより好ましく、更に好ましくは10ppm以下である。
本発明のポリケトン繊維は、産業資材として充分な性能を発現させるという観点から、7cN/dtex以上の強度を有していることが好ましく、より好ましくは14cN/dtex以上、更に好ましくは17cN/dtexである。後述する本発明の製造方法を用いれば、いわゆるスーパー繊維の強度である17.6cN/dtex以上の強度を発現させることも可能である。
本発明のポリケトン繊維の繊度については特に制限はないが、単糸繊度は、通常、0.01〜10dtexであることが好ましい。ポリケトン繊維が高度の力学物性を保持するという観点からは、単糸繊度を0.5〜10dtexとすることがより好ましく、更に好ましくは0.7〜3dtexであり、特に好ましくは0.7〜1.8dtexである。また、総繊度についても特に制限はないが、通常は、5〜30000dtex、産業資材用として用いるためには100〜5000dtexとすることが好ましい。
本発明のポリケトン繊維は、形状に関しても何ら制限はなく、長繊維(フィラメント)、短繊維、パルプ状の繊維等のいずれの形状でもよい。長繊維では、必要に応じて交絡や撚りが入ってもよく、巻き取りパッケージからの解じょ性や加工のしやすさから、交絡度としては1〜1000が好ましい。また、短繊維における繊維長は特に制限ないが、紡績における加工性のよさから通常は0.5〜300mmであり、必要に応じて30mm当たり1個以上、好ましくは1〜30個の捲縮をさせてもよい。また、断面形状は丸、三角、楕円、おにぎり型、異形度(断面の外接円と内接円の比)が1.1以上の任意の異形断面とすることができる。
本発明のポリケトン繊維は、繊維−繊維間動摩擦係数(以下、μと略記する)が0.01〜3.0であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.7であり、更に好ましくは0.1〜2.5である。μが0.01未満では、繊維−繊維間の動摩擦が小さすぎて撚り工程ですべりが起こり、充分な撚り数を繊維に付与することはできない。また、μが3.0より大きくなると、以下に述べる仕上げ剤を付与していても繊維−繊維間の動摩擦が大きすぎて、撚り工程において繊維にダメージを与えやすく、その結果耐疲労性が低下しやすくなる。
本発明のポリケトン繊維においては、μを上記した範囲にするため、繊維表面に仕上げ剤を付着させることができる。仕上げ剤の付着量は、繊維重量に対して0.2〜7重量%とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5重量%、更に好ましくは、0.7〜1.5重量%である。仕上げ剤の繊維上への付着量が0.2重量%未満では、耐摩耗性向上の効果が小さくなる。また、7重量%を越えると、繊維の走行時の抵抗が大きくなりすぎたり、仕上げ剤がロール、熱板、ガイド等に付着しそれらを汚すこととなる。もちろん、仕上げ剤は、繊維内部へ一部浸透していてもよい。
ここで仕上げ剤とは、繊維表面、又は繊維表面及び繊維の表層部に付着した液状又は固体状の繊維表面状態を改質する剤である。本発明で使用する仕上げ剤の種類については特に制限はないが、以下の化合物(i)〜(iii)からなる群から選ばれる少なくとも1種を必須成分とし、必須成分の合計量を仕上げ剤全体の30〜100重量%とすることが好ましい。
(i)分子量300〜2000のエステル化合物
(ii)鉱物油
(iii)R1−O−(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)m−R2
ここで、R1、R2は、水素原子、炭素数1〜50の有機基であり、n、mは1〜500である。エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位はブロック共重合であってもランダム共重合であってもよい。
このような仕上げ剤をポリケトン繊維に付着させることにより、ポリケトン繊維の表面に強固な油膜が形成し、この油膜によって繊維表面が滑るので、撚りを掛けても繊維が短期間に摩耗することがない。
更に、繊維に制電性を付与するため、仕上げ剤は、公知のリン酸塩、亜リン酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩を0.5〜20重量%の範囲で含んでいてもよい。
続いて、本発明のポリケトン繊維の製造方法について説明する。
本発明者らは、凝固浴液が繊維表面から浸透して繊維を固化させる従来の凝固方法ではなく、高温では一相であるが低温では二相となる特定の温度範囲に相分離温度を有するポリケトン溶液を、まず相分離温度より高い温度にしておき、そして相分離温度以下の低温の凝固浴へ吐出するという方法を用いることで、ポリケトンをゲル化させ、内部まで緻密で均一な構造を有するポリケトン繊維が得られるということを見出した。
すなわち、本発明のポリケトン繊維は、上記式(1)で示されるケトン単位を主たる繰り返し単位として含み、分子量分布が1〜6、Pd量が50ppm以下であるポリケトン及びポリケトンを溶解する溶媒からなり、0〜150℃の温度範囲に相分離温度を有するポリケトン溶液を湿式紡糸して製造することができる。より具体的には、かかるポリケトン溶液を相分離温度よりも高い温度にし、次いで相分離温度よりも低い温度の凝固浴に押し出して繊維状物を形成させた後、該繊維状物からポリケトンを溶解する溶媒の一部又は全部を除去し、延伸後、巻取して製造することができる。
まず始めに、紡糸に用いるポリケトン(以下、「原料ポリケトン」と称する場合がある)について説明する。
原料ポリケトンの化学構造(モノマー組成)は、上で説明した通りである。
また、原料ポリケトンの極限粘度は、得られるポリケトン繊維の強度・耐疲労性の点から1dl/g以上であることが好ましく、延伸性との兼ね合いからは、2〜20dl/gとすることが好ましい。更に好ましくは4〜20dl/g、最も好ましくは4〜10dl/gである。
原料ポリケトンの分子量分布は、1〜6であることが必要である。6より大きいと、溶液状態から相分離温度より低い温度に急冷してもゲル状態になるまでの時間が長くなり、その結果部分的に凝固液による相分離が生じるために、繊維内部の構造が充分に均一になりにくくなり、得られる繊維の強度や弾性率、耐疲労性が充分に高くならない。好ましくは1〜4であり、更に好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2である。
原料ポリケトン中に含まれるPd元素量は、繊維重量に対して50ppm以下であることが必要である。50ppmを越えると、ポリケトン溶液の熱安定性が低下する。好ましくは30ppm以下、更に好ましくは10ppm以下であり、本発明においては、できる限り0ppmに近づけることが望ましい。
原料ポリケトンの製造方法については、公知の方法をそのまま、あるいは修正して用いることができる。例えば、一酸化炭素とエチレンやプロピレン等のオレフィンを、第9、10族遷移金属化合物、下記の式(3)で示されるリン系二座配位子、及びpKaが4以下の酸を含む触媒下で重合させ、合成することができる。
R3R4P−R5−PR6R7 …(3)
(式中、R3、R4、R6、R7は、それぞれ独立して炭素数1〜30の有機基であり、R5は炭素数2〜5の有機基である。)
第9、10族遷移金属化合物としては、パラジウム、ニッケル、コバルト等が挙げられるが、重合活性の観点から特に好ましくはパラジウムである。触媒として用いるためには、カルボン酸塩、特に酢酸塩として用いるのが好ましい。
また、リン系2座配位子については、上記式(3)のR3、R4、R6、R7の少なくとも1つが置換フェニル基であり、このフェニル基が、結合しているリン元素に対してオルトの位置にアルコキシ基を1つ以上含んでいることが好ましい。具体的には、o−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基が好ましい。もし無置換のフェニル基を用いると、分子量分布が大きくなる場合がある。また、2つのリン原子を結ぶR5は、トリメチレン基であることが好ましい。
pKaが4以下の酸としては、硫酸、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
重合は、メタノール、エタノールのような低級アルコール中に、第9、10族遷移金属化合物、上記式(3)で示されるリン系二座配位子、及びpKaが4以下の酸のアニオンからなる触媒を添加し、この溶液に一酸化炭素とオレフィンを導入して行う。一酸化炭素とオレフィンのモル比は、5:1〜1:5とすることが好ましい。触媒として用いられる第9、10族遷移化合物は、触媒活性の点から、重合に用いるオレフィン1モル当たり10−8〜0.1モル量相当の金属元素量にすることが好ましい。とりわけ、得られるポリケトンの総重量に対するPdの量が50ppm以下となるように、第9、10族遷移金属化合物の仕込み量を設定することが、本発明の目的を達成するためには好ましい。また、重合活性の観点から、リン系二座配位子は、第9、10族遷移金属化合物1モル当たり0.1〜20モルとすることが好ましく、より好ましくは1〜3モルである。更にまた、pKaが4以下の酸は、第9、10遷移族金属化合物1グラム原子当たり0.01〜150当量とすることが好ましく、特に好ましくは1〜50当量である。
重合時の温度は60〜200℃、圧力は4〜20MPaとすることが好ましい。重合温度が60℃未満であったり、200℃を越したりすると分子量分布が本発明の範囲をはずれる場合がある。
また、重合中の触媒活性を維持し、また、得られたポリケトンの耐熱性を高くするために、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン等のキノンを触媒金属元素のモル数に対して、0.1〜500倍添加してもよい。
ポリケトンは、上記で示した触媒を、ポリマー、無機粉体等に担持させる、いわゆる気相重合により製造してもよい。気相重合はポリケトンに触媒が残りにくいので、本発明にとっては、むしろ好ましい方法である。
得られたポリケトンは、濾過及び洗浄を行い、残存する触媒やキノン、あるいは微量存在するオリゴマーを洗い流し、Pd量及び分子量分布を好ましい範囲にした後、乾燥することが好ましい。この時の洗浄に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、2,4−ペンタンジオン等のケトン、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素等が挙げられる。洗浄温度の制限は特にないが、例えば0〜80℃であり、洗浄時間も制限はないが、例えば一回当たり10秒〜1時間である。
こうして得られた原料ポリケトンは、特定の溶媒に溶解させることによりポリケトン溶液とすることができる。
本発明のポリケトン繊維の製造に用いるポリケトン溶液は、0〜150℃の温度範囲に相分離温度を有していることが必要である。ポリケトン溶液が0〜150℃の範囲で相分離温度を有し、かつ相分離温度より高い温度にあるポリケトン溶液を紡口から押出し、相分離温度以下にした凝固浴で凝固すると、吐出したポリケトン溶液は直ちに繊維内部までゲル化して、緻密かつ均質な構造となる。そして、このゲル状繊維から溶剤を除去し、延伸すると、緻密でかつ均質なポリケトン繊維となり、繊維の単糸膠着率も低くなる。したがって、高強度、高弾性率であると共に、耐疲労性及び寸法安定性に優れた繊維が得られる。
相分離温度が150℃より高い場合、ポリケトン溶液の作成時にポリマーが化学架橋や分解を起こし、ポリケトン繊維の物性を低下させる場合がある。また、0℃以下では、スキンコア構造の繊維しか得られず、強度、耐疲労性が不充分となる。
本発明においては、相分離温度を20〜120℃とすることがより好ましく、更に好ましくは30〜100℃ある。
ここで、相分離温度とは、実質的に均一に溶解したポリケトン溶液を徐々に冷却したとき、溶剤にポリケトンが溶けなくなって溶液が不均一な状態になり始める温度のことである。この不均一な状態は、溶液の光透過性で判断することが可能である。本発明における相分離温度とは、以下に述べる2つの方法により求めることができるが、何れを用いても実質同じ値となるのでどちらを用いてもよい。最も簡便な方法は、直径25mm×長さ800mmのガラス容器に高温で均一なポリケトン溶液を満たし、その溶液を冷却し、特定の温度で少なくとも30分放置後、ガラス容器に対して直径方向の光を通さなくなる時の温度を相分離温度とする方法である。もう一つの方法は、レーザー光の透過度から求める方法である。ポリケトン溶液が不均一になると光の散乱が増加するため、実質的に均一に溶解したポリケトン溶液に比べ直線的に透過する光の量が小さくなる。実質的に均一に溶解されたポリケトン溶液(このときの溶液における光の透過度をT1とする)を1時間に10℃のスピードで徐々に冷却しながら、ポリケトン溶液の温度及び光の透過度を測定し(このときの溶液における光の透過度をT2とする)、以下の式より光の透過度の減少率を求める。
光の透過度の減少率(%)={(T1−T2)/T1}×100
そして、光の透過度の減少率が10%となった時のポリケトン溶液の温度を相分離温度とする。尚、試料長は10mm、光の透過度は、波長が632.8nmのレーザー光を光源に用いて測定した。
ポリケトン溶液の溶剤、すなわち、原料ポリケトンを溶解する溶媒としては、相分離温度が上記温度範囲となるようなものであれば特に制限はなく、水溶液であっても、有機溶剤であってもよい。
但し、得られるポリケトン繊維の強度、耐疲労性及び加工性の点から、原料ポリケトンを溶解する溶媒として、亜鉛塩、カルシウム塩、リチウム塩、チオシアン酸塩及び鉄塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩を含む溶液を用いることが好ましい。具体的に、亜鉛塩としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等が挙げられ、カルシウム塩としては、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等が挙げられ、チオシアン酸塩としては、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸バリウム等が挙げられ、リチウム塩としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられ、鉄塩としては、臭化鉄、ヨウ化鉄等が挙げられる。これらの金属塩の内、原料ポリケトンの溶解性、コスト、得られるポリケトン溶液の安定性の点から、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、臭化鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが特に好ましい。
上記金属塩を溶解する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることができる。これらの溶媒は必要に応じて2種以上を混合したものであってもよい。原料ポリケトンの溶解性の観点から、水、メタノールが好ましく、特に好ましくは不燃、無毒、安価であることから水を用いることである。
水については、工業的に用いることが可能なものであれば特に制限はなく、飲料水、河川水、イオン交換処理水等任意のものが使用できる。更に、上記金属塩を含む水溶液におけるポリケトン溶解力を阻害しない範囲、通常は水の30重量%以内で、メタノール、エタノール、エチレングリコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の有機溶剤を含有してもよい。
また、ポリケトン溶液の相分離温度の制御、溶解性向上、粘度低下、安定性向上のために、上記金属塩を溶解する溶媒に対して、より好ましくは50℃の水に対して1重量%以上溶解する塩を、上記した金属塩に加えて更に添加することは特に好ましい方法である。ここで、更に添加される塩の種類については、各種用途等に応じ適宜選択することができるが、例えば、ハロゲン化塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機塩、酢酸塩、ぎ酸塩、スルホン酸塩等の有機金属塩等が挙げられる。もちろん、先に述べた亜鉛塩、カルシウム塩、リチウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩を2種類以上混合して用いてもよい。具体例としては、塩化カルシウム、塩化リチウム、チオシアン酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、臭化バリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化バリウム、塩化鉄等の金属塩が挙げられ、塩化トリアルキルホスホニウム、臭化トリアルキルホスホニウム等の有機塩を用いてもよい。
ここで、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、リチウム塩及び鉄塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩の濃度は、15〜77重量%であることが好ましい。15重量%より低い場合には、紡糸工程において、浴中から引き上げたときの繊維状物がもろく切断しやすくなる傾向がある。また、金属塩濃度が77重量%より高くなると、凝固浴中でゲル化する速度が遅くなり、凝固浴中から引き上げるときに切断しやすくなる傾向がある。更に好ましくは30〜77重量%であり、40〜70重量%が最も好ましい。尚、ここでいう溶液中の金属塩濃度は、以下の式で定義される値である。
ここで、「金属塩を溶解する溶媒の重量」は、上記で説明した水、メタノール等の重量であって、原料ポリケトンの重量は含まれない。
また、上記金属塩に加えて更に添加される塩の濃度は、上記金属塩を溶解する溶媒の重量と全塩量の和(金属塩と更に添加される塩の総重量)に対して0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜40重量%、最も好ましくは1〜30重量%である。
ポリケトン溶液中の原料ポリケトン濃度は、1〜40重量%であることが好ましい。原料ポリケトン濃度が1重量%未満では濃度が低すぎて、紡糸工程において、ポリケトン溶液をゲル化させて繊維状に形成することが困難になる他、繊維の製造コストが高くなる。一方、40重量%を越えると、もはや原料ポリケトンが溶媒に溶解しなくなる。溶解性、紡糸のしやすさ、繊維の製造コストの観点から、原料ポリケトン濃度を1〜30重量%とすることがより好ましく、更に好ましくは3〜20重量%である。尚、ここでいう原料ポリケトン濃度は、以下の式で定義される値である。
なお、原料ポリケトンを溶解する溶媒が、上記金属塩、及び更に添加される塩を含有する溶液である場合、「原料ポリケトンを溶解する溶媒の重量」には、かかる金属塩、及び更に添加される塩の重量も含まれる。
0〜150℃の温度範囲に相分離温度を持つようなポリケトン溶液は、上述した原料ポリケトンの化学構造(モノマー組成)、極限粘度、原料ポリケトンを溶解する溶媒に添加される金属塩の種類・濃度、原料ポリケトン及び金属塩を溶解する溶媒の種類、原料ポリケトンの濃度等を調整することにより達成可能である。
例えば、ポリケトン溶液の相分離温度が0〜150℃の温度範囲となるように、金属塩の濃度を決定する手順は、以下の通りである。まず、原料ポリケトンを溶解する溶媒に、予め一定量の金属塩を添加しておき、次いで、ここに原料ポリケトンを所定量添加して混合し、実質的に均一で透明なポリケトン溶液となるまで温度を上昇させ攪拌溶解する。その後、上記した方法により相分離温度を測定する。このときの相分離温度が目標値より高いときは溶媒の金属塩濃度を増加させ、低いときは金属塩濃度を減少させる。このような操作を繰り返すことにより、目標の相分離温度を有するポリケトン溶液となる金属塩濃度が決定される。
具体的には、分子量分布が2、極限粘度が5.0dl/gのポリ(1−オキソトリメチレン)を、金属塩として塩化亜鉛及び塩化カルシウムを含む水溶液(塩化亜鉛と塩化カルシウムの重量比が45/55〜55/45)に、原料ポリケトン濃度が5〜15重量%となるように溶解させる時、相分離温度が0〜150℃の範囲であるポリケトン溶液を得るための金属塩濃度の範囲は55〜67重量%である。
また、同様のポリ(1−オキソトリメチレン)を、金属塩として塩化亜鉛及び塩化ナトリウムを含む水溶液(塩化亜鉛と塩化ナトリウムの重量比が75/25〜95/5)に、原料ポリケトン濃度が5〜15重量%となるように溶解させる時、相分離温度が0〜150℃の範囲であるポリケトン溶液を得るための金属塩濃度の範囲は65〜70重量%である。
以上述べてきた、原料ポリケトンを溶解する溶媒として用いられる上記特定の金属塩を含む溶液の種類、及び該溶液に含まれる金属塩の種類・組成のうち、高強度、高弾性率を有し、また良好な耐疲労性、寸法安定性を有するポリケトン繊維を得るためには、以下に示す4種類のものが特に好ましい。
(a)塩化亜鉛及び塩化カルシウムを含む水溶液:塩化亜鉛と塩化カルシウムの重量比が29/71〜44/56、更に好ましくは32/68〜39/61。塩化亜鉛及び塩化カルシウムの合計の金属塩濃度が58〜64重量%、更に好ましくは60〜63重量%。
(b)塩化亜鉛、塩化カルシウム及び塩化リチウムを含む水溶液:塩化亜鉛と塩化カルシウム及び塩化リチウムの合計の重量比が29/71〜44/56、更に好ましくは32/68〜41/59で、この時の塩化カルシウムと塩化リチウムの重量比が49/51〜91/9、好ましくは64/37〜88/18。塩化亜鉛、塩化カルシウム及び塩化リチウムの合計の金属塩濃度が58〜64重量%、更に好ましくは60〜63重量%。
(c)塩化亜鉛、塩化カルシウム及びチオシアン酸カルシウムを含む水溶液:塩化亜鉛と塩化カルシウム及びチオシアン酸カルシウムの合計の重量比が29/71〜44/56、更に好ましくは32/68〜41/59で、この時の塩化カルシウムとチオシアン酸カルシウムの重量比が76/24〜99.5/0.5、更に好ましくは85/15〜98.5/1.5。塩化亜鉛、塩化カルシウム及びチオシアン酸カルシウムの合計の金属塩濃度が58〜64重量%、更に好ましくは60〜63重量%。
(d)塩化亜鉛及びチオシアン酸カルシウムを含む水溶液:塩化亜鉛とチオシアン酸カルシウム金属塩の重量比が32/68〜49/51、更に好ましくは35/65〜46/54。塩化亜鉛及びチオシアン酸カルシウムの合計の金属塩濃度が57〜65重量%、更に好ましくは60〜63重量%。
上記したポリケトン溶液の製造方法としては特に制限はないが、以下好ましい製造例について説明する。
溶解機に原料ポリケトン及び原料ポリケトンを溶解する溶媒を入れ、目的とするポリケトン溶液の相分離温度より高い温度、好ましくは相分離温度よりも30℃以上高い温度で攪拌することにより、実質的に均一なポリケトン溶液を得ることが可能である。ただし、攪拌温度が200℃より高くなるとポリケトンの変性が起こる場合があるため、200℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以下である。
ポリケトン溶液は糸切れを抑制するために脱泡することが好ましい。ポリケトン溶液を減圧下または大気圧下で放置すれば、脱泡は可能となるが、ポリケトン溶液の粘度が高い場合には、多くの時間がかかる。よって、その場合は、上記した攪拌混合工程の前に、相分離温度より低い温度、好ましくは相分離温度より30℃以上低い温度で原料ポリケトンと原料ポリケトンを溶解する溶媒を混合し、攪拌しながら減圧することが好ましい。原料ポリケトンの溶解の進行が遅いために粘度の上昇が抑えられ脱泡が容易となる。ただし、混合攪拌する温度が−50℃以下となるとかえって粘度が高くなる場合があり、−50℃より高い温度であることが好ましい。この脱泡工程に続き、前述と同様にして相分離温度より高い温度で空気の進入を抑制しながら攪拌を行うことにより、気泡が無く実質的に均一なポリケトン溶液が得られる。
更にまた、溶解機に原料ポリケトンを入れ、好ましくは10kPa以下、更に好ましくは1kPa以下とした後、原料ポリケトンを溶解する溶媒を脱泡して注入し、空気の混入を抑制して前述のように相分離温度より高い温度で攪拌することにより、気泡が無く実質的に均一なポリケトン溶液を得ることもできる。この方法を用いると、更に高粘度ポリケトン溶液の脱泡が可能となる。
溶解機としては、1軸又は2軸の攪拌翼を有する、攪拌効率に優れた公知のものが適用できる。1軸攪拌の溶解機としては、スパイラルや二重スパイラル翼を有したものが適している。2軸攪拌のパッチ式溶解機としては、例えば、自転と公転を有するフックを攪拌翼とするプラネタリーミキサー、双腕型ニーダーやバンバリーミキサーが適用され、2軸攪拌の連続溶解機としては、例えば、スクリュー押出機やコニーダーが適用される。いずれの溶解機も密閉度が高い仕様であることが好ましい。
こうして得られたポリケトン溶液を必要に応じてフィルターで濾過し、ごみ、未溶解ポリマー、触媒残さ等を除去する。また、必要に応じて、ポリケトン溶液に酸化防止剤、耐光安定剤、艶消し剤等を添加してもよい。
以下、得られたポリケトン溶液の紡糸方法について説明する。
本発明のポリケトン溶液を紡口口金から押し出すときの温度は、相分離温度よりも高いことが必要である。相分離温度以下ではポリケトン溶液が不均一となり、糸切れや紡口詰まりが発生する。更に、押し出しの長期安定性を考慮すれば相分離温度よりも20℃以上高い温度で押し出すことが好ましい。ただし、180℃より高くなるとポリケトンの変性により押し出しが不安定となる場合があり、押し出し温度は180℃以下であることが好ましい。また、ポリケトン溶液を紡口口金から凝固浴へ押し出す際、押し出し時のポリケトン溶液の温度と凝固浴の温度の差が大きいときは、紡口を空気中に置いて紡口口金から出た繊維状物が空気相を経て凝固浴に入る方法、いわゆるエアギャップ法が好ましい。
本発明においては、ポリケトン溶液を紡口口金から押し出すときの温度が60〜150℃であることがより好ましく、更に好ましくは60〜100℃である。
凝固浴液の温度は、相分離温度よりも低いことが必要である。相分離温度より低い温度の凝固浴液に押し出されたポリケトン溶液は、全体的にあるいは部分的にゲル化した繊維状物を形成する。このようなゲル化した繊維状物となることにより、延伸時における欠陥の発生が抑えられ、結果的に、高強度であり、優れた耐疲労性を有するポリケトン繊維が得られる。凝固浴液の温度は、ゲル化繊維状物を形成する速度が速まり、紡糸速度の高速化を可能にするという点から、相分離温度より20℃以上低いことが好ましく、相分離温度より30℃以上低いことがより好ましい。ただし、凝固浴液の温度が−50℃より低くなると、逆に、ゲル化繊維状物を形成する速度が小さくなり、また冷却コストの点から、凝固浴液の温度は−50℃以上とすることが好ましい。
凝固浴液は、使用する温度において液状であれば、ポリケトン溶液への溶解性が高いものでも、溶解性が低いものでもかまわない。
例えば、溶媒が金属塩水溶液の場合、溶解性の高いものとしては、メタノール、アセトン、酢酸、アセトニトリル、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の水への溶解性が高い有機溶剤や、前記有機溶剤を混合した水溶液、硫酸、塩酸、リン酸、金属塩等の無機物を溶解した水溶液、水等が挙げられる。これらを凝固浴液に使用した場合、原料ポリケトンを溶解する溶媒との親和性が高いために、溶媒の一部がゲル化繊維状物から凝固浴液中へ拡散する。したがって、凝固浴外へ引き上げられた繊維状物においては、溶剤の一部が除去されており、加温することにより再び溶液状となる場合と、部分的にしか溶液状にならない場合、あるいは全く溶液状にならない場合とがある。凝固浴外へ引き上げた繊維状物の強度が強く、紡糸の高速化が可能であるという点から、凝固浴液は溶媒との溶解性が高い方が好ましく、水が30重量%以上含まれた水溶液であることが更に好ましい。特に、溶媒の回収コストを下げる点で、原料ポリケトンの溶媒に用いた金属塩を含む溶液であって、その金属塩の濃度がポリケトンを溶解しない低濃度の溶液を、凝固浴液として用いることが最も好ましい。
一方、溶解性が低いものとして、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、トルエン、エチルベンゼン、デカリン等の炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらを凝固浴液に使用した場合、ポリケトン溶液への溶解性が低いために、原料ポリケトンを溶解する溶媒は、ゲル化繊維状物から浴中へほとんど拡散しない。したがって、凝固浴外へ引き上げられた繊維状物は、押し出し時のポリケトン溶液とほぼ同じ組成であり、加温することにより再び溶液となる。
凝固浴を通過した繊維状物は凝固浴外へ引き上げられるが、高強度、高弾性率を有するポリケトン繊維を得るという観点から、凝固浴外へ引き上げる速度と紡口からドープを吐出する吐出線速度の比、すなわち凝固ドラフトを0.2〜2とすることが好ましい。凝固ドラフトのより好ましい範囲は0.5〜1.5であり、0.8〜1.2が更に好ましい。尚、凝固ドラフトは以下の式で計算される値である。
凝固浴外へ引き上げられた繊維状物は、溶媒の一部または全部を除去するために、洗浄剤で洗浄する必要がある。洗浄剤としては水やメタノール、エタノール、ヘキサン等の有機溶剤を用いることができる。また、洗浄前後に、必要に応じて残留した金属塩等を除去するために酸性溶剤で洗浄することができる。酸性溶剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の酸を含んだ水溶液を用いることができる。この場合の酸濃度は、通常、0.01重量%以上であればよく、この酸を除くために酸洗浄後更に上記洗浄液で洗ってもよい。洗浄液及び酸性溶剤の温度の制限はないが、20℃以上が好ましく、特に好ましくは50〜95℃である。洗浄方法としては、洗浄剤の入った浴中に繊維状物をくぐらせる方法や、繊維状物の上及び/または下から洗浄剤を吹きかける方法等があり、もちろんこれらの方法を組み合わせてもよい。
こうして溶媒の一部または全部を除去された繊維状物は、加熱して、好ましくは50℃以上の温度で乾燥して溶媒の一部又は全部を除くことが好ましい。乾燥方法としては、延伸しながら、定長で、あるいは、収縮させながら乾燥してもよい。乾燥時の温度としては、目標とする乾燥程度により、任意に設定できるが、通常50〜260℃であり、好ましくは、150〜245℃である。乾燥するための装置としては、トンネル型乾燥機、ロール加熱機、ネットプロセス型乾燥機等、公知の設備を用いればよい。
なお、高強度、高弾性率を有するポリケトン繊維を得るという観点から、乾燥時の乾燥ドラフトを0.5〜1.5とすることが好ましい。本発明においては、乾燥ドラフトを0.7〜1.3とすることがより好ましく、0.7〜1.2が更に好ましい。乾燥ドラフトとは、乾燥機の入口と出口の糸速の比であり、以下の式で計算される値である。
ポリケトン繊維の延伸法としては、糸を100℃よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、一段あるいは二段以上の多段にて延伸する。このような加熱延伸方法としては、加熱したロール上やプレート上、あるいは加熱気体中を走行させる方法や、走行糸にレーザーやマイクロ波、遠赤外線を照射する方法等のような従来公知の装置、方法を、そのままあるいは改良して採用することができる。伝熱効率、糸温度の均一性という観点から、加熱ロール、加熱プレート上での延伸が好ましく、ロールとプレートを併用した延伸法であってもよい。また、ロールやプレートの周囲を密閉し、密閉空間内に加熱気体を充填すると、より温度が均一な延伸が可能となり好ましい。
好ましい延伸温度範囲としては110〜290℃、更に好ましくは200℃〜280℃の範囲である。また、多段延伸を行う場合には延伸倍率の増加に伴って延伸温度が徐々に高くなっていく昇温延伸が好ましい。具体的な昇温延伸の条件としては例えば、1段目に220〜250℃、2段目に250〜260℃、3段目に260〜265℃、4段目に265℃〜融点というように延伸の状況に応じて適宜選択することができる。尚、ポリケトン繊維の融点は、延伸倍率で変化するので、融点を測定してから延伸温度を決めることが好ましい。
好ましい延伸倍率は総延伸倍率が5倍以上、より好ましくは10倍以上、特に好ましくは15倍以上である。
こうして得られたポリケトン繊維は、延伸終了後0.005〜0.5cN/dtexの張力で巻き取ることが好ましい。ポリケトン繊維を巻き取る時の張力が0.005cN/dtex未満の場合、処理時に糸のたるみが発生する問題、糸の品質がばらつく問題、パッケージのフォームが不良になる等の問題が生じることがある。一方、熱処理時の張力が0.5cN/dtexを超える場合、熱処理時に新たな残留応力が繊維内部に発生し、巻き締まりや熱収縮応力が充分に抑制できない。好ましくは0.01〜0.3cN/dtexの範囲である。
また、10倍以上の倍率まで引き伸ばされたポリケトン繊維は、非常に高い残留応力を有しており、巻き取った際にはパッケージの巻きしまりを起こしたり、加工時や使用時に熱を受けた際に強い収縮応力を発生する。したがって、このような高度の延伸を受けたポリケトン繊維における巻きしまりや熱収縮応力の発生を抑制するためは、延伸終了後、好ましくは100〜280℃、特に好ましくは150〜250℃で熱処理した後に又は熱処理しつつ、0.005〜0.5cN/dtexの張力で、巻き取ることが好ましい。
なお、延伸工程の後で繊維のばらけによる繊維の毛羽を抑制するという観点から、交絡処理を施してもよい。交絡数としては、1〜100個/m、好ましくは1〜10個/mである。
以上の紡糸工程において、繊維と延伸機との摩擦、静電気の発生を抑制し延伸を円滑にするために、乾燥から延伸の任意の段階で1ヶ所以上で仕上げ剤を付けることも好ましい方法である。
以上のようにして得れらたポリケトン繊維は、そのまま、あるいは必要に応じて撚糸、仮撚り、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工などの加工を施した加工糸として、さらには織物や編み物、あるいは不織布に加工した繊維製品として用いることができる。特に、本発明のポリケトン繊維を撚糸した撚糸物(撚糸コード)は、優れた寸法安定性を示し、加工や使用時に熱を受ける用途、例えばタイヤ、ベルト、ホース等の補強材料用途において極めて有用である。
撚糸の種類、方法、合撚本数については特に制限はなく、本発明のポリケトン繊維の撚り糸の種類としては例えば、片撚り糸、もろ撚り糸、ピッコもろ撚り糸、強撚糸などが挙げられる。合撚する本数も特に制限はなく1本撚り、2本撚り、3本撚り、4本撚り、5本撚りのいずれでもよく6本以上の合撚であってもよい。この時、ポリケトン繊維以外の繊維、例えば、ナイロン繊維、PET繊維、アラミド繊維、レーヨン等と合撚してもよい。
撚糸数についても、単糸繊度や総繊度によって変化するため特に制限はなく、加工条件、使用環境に応じて任意に撚糸数を選定すればよい。例えば、単糸繊度が0.01〜10dtex、総繊度が30〜100000dtexであるポリケトンマルチフィラメントからなる撚糸コードの場合には、下式で表される撚り係数Kが1000〜30000の範囲で撚糸されたものが、繊維の強度及び耐疲労性の点から好ましい。
K=Y×D0.5 (T/m・dtex0.5)
ここで、Yは撚糸コード1mあたりの撚り数(T/m)、Dは撚糸コードの総繊度(dtex)である。この総繊度は撚糸に用いた全ポリケトン繊維の繊度の和である。例えば、1660dtexのポリケトン繊維を3本撚り合わせた場合、撚糸物の総表示繊度は4980dtex(1660×3)となる。複数のポリケトン繊維を撚り合わせ、下撚り、上撚り等の多段の撚りを加えた場合、最後に加えた撚りの回数を撚り数Yとして撚り係数Kを算出する。
このようなポリケトン撚糸コードを、10〜30重量%のレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(以下、「RFL」と略記する)液で処理し、少なくとも100℃の熱をかけて撚糸コードにRFL樹脂を付着させることで、熱特性に優れるポリケトン処理コードを得ることができる。RFL樹脂のポリケトン撚糸コードへの付着量は、繊維重量に対して2〜7重量%が好ましい。RFL液の組成については、特に限定されず、従来公知の組成のものをそのまま、あるいは手を加えて使用することができる。RFL液の好ましい組成としては、レゾルシン0.1〜10重量%、ホルマリン0.1〜10重量%、ラテックス1〜28重量%であり、より好ましくはレゾルシン0.5〜3重量%、ホルマリン0.5〜3重量%、ラテックス10〜25重量%である。RFL液の乾燥温度としては、好ましくは120〜250℃、より好ましくは130〜200℃であり、少なくとも10秒、好ましくは20〜120秒間処理することが望ましい。また、乾燥後のRFL付着コードは、引き続きコードを定長に維持したまま一定時間熱処理を行うことが望ましい。かかる熱処理の条件としては、処理温度は好ましくはポリケトン撚糸コードの最大熱収縮温度±50℃、より好ましくは最大熱収縮温度±10℃、最も好ましくは最大熱収縮温度±5℃であり、処理時間は好ましくは10〜300秒、より好ましくは30〜120秒である。また、熱処理時においてはコードを定長に維持することが好ましく、具体的には、熱処理前後のコードの寸法変化が3%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下、最も好ましくは0%である。
実施例
本発明を、下記の実施例などにより更に詳しく説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例の説明において用いられる各測定値の測定方法は、次の通りである。
(1)極限粘度
原料ポリケトン及びポリケトン繊維の極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求めた。
式中、tは純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールの25℃での粘度管の流下時間であり、Tは純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトン希釈溶液の25℃での粘度管の流下時間である。また、Cは上記100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
(2)分子量分布
0.01Nのトリフルオロ酢酸ナトリウムを含有するヘキサフルオロイソプロパノール溶液にポリケトンを、ポリケトン濃度が0.01重量%となるように溶解し、以下の条件で測定した。
装置 :SHIMADZU LC−10Advp
カラム:下記のカラムを▲1▼、▲2▼、▲3▼の順番で連結して使用。
▲1▼:Shodex GPC HFIP−G
▲2▼:Shodex HFIP−606M
▲3▼:Shodex HFIP−606M
カラム温度:40℃
移動相:0.01Nのトリフルオロ酢酸ナトリウムを含有するヘキサフルオロイソプロパノール溶液
流量:0.5ml/分
検出器:示差屈折率
注入量:30μl
なお、標準試料としては、単分散の分子量分布を有するポリメチルメタクリレート(PMMA)を用い(濃度0.01wt%)、上記測定条件と同様の条件で得られたPMMAの検量線から、測定したポリケトンのPMMA換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、Mw/Mnを分子量分布として求めた。
(3)パラジウム元素量
高周波プラズマ発光分光分析により測定した。
(4)結晶配向度
株式会社リガク製イメージングプレートX線回折装置RINT2000を用いて下記の条件で繊維の回折像を取り込んだ。
X線源 : CuKα線
出力 : 40KV 152mA
カメラ長 : 94.5mm
測定時間 : 3分
得られた画像の2θ=21°付近に観察される(110)面を円周方向にスキャンして得られる強度分布の半値幅Hから、結晶配向度を下記式により算出した。
結晶配向度(%)={(180−H)/180}×100
(5)密度
ポリケトン繊維の密度は、密度勾配管(重液:四塩化炭素、軽液:n−ヘプタン)を用いて測定した。
(6)強度、伸度、弾性率
ポリケトン繊維の強度、伸度、弾性率は、JIS−L−1013に準じて測定した。
(7)熱収縮率
オーブン中150℃で30分間、ポリケトン繊維の乾熱処理を行い、処理前後の繊維長を、繊維の総繊度(dtex)×1/30の荷重(g数)をかけて計測し、下式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)={(Lb−La)/Lb}×100
式中、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後の繊維長である。
(8)最大熱収縮応力
東洋精機製作所(株)社製CORD−TESTER(Goodrich Type)を用いて、下記の条件で一定変位下におけるポリケトン繊維の最大熱収縮応力を測定した。
Temperature Program : EXPモード
ΘM : 250℃
T1 : 3分
初荷重 : 1/80(cN/dtex)
初期試料長 : 250mm
計測された温度−収縮力カーブから、最大の収縮力Fmax(cN)を読みとり、Fmaxを試料の繊度(dtex)で除して、最大収縮応力σmax(cN/dtex)を求めた。
(9)繊維−繊維間動摩擦係数
円筒の周りに、約690mのポリケトン繊維Aを、綾角15°で約10gの張力を掛けて巻き付けた。そして更に、ポリケトン繊維B(種類:ポリケトン繊維Aと同じ、長さ:30.5cm)を、ポリケトン繊維Aが巻き付けられた円筒に、ポリケトン繊維Aの巻き付け方向と平行となるように掛けた。グラム数で表した荷重の値が、円筒上に掛けたポリケトン繊維Bの総デニールの0.1倍になる重りを、ポリケトン繊維Bの片方の端に結び、他端にはストレインゲージを連結させた。次に、円筒を18m/minの周速で回転させ、張力をストレインゲージで測定する。こうして測定した張力から、繊維−繊維間動摩擦係数μを以下の式に従って求めた。
μ=(1/π)×ln(T2/T1)
ここで、T1は繊維に掛けた重りの重さ、T2は測定した時の張力、lnは自然対数、πは円周率を示す。
(10)撚糸コード及び処理コードの作成方法と物性評価、処理コードを補強繊維として用いた複合材料の耐疲労性評価
得られたポリケトン繊維を合糸し、総繊度1660dtexとした。得られたポリケトン繊維を上撚、下撚共390T/mで合燃して(撚り係数:22500)撚糸コードとした後、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(レゾルシン22部、30重量%ホルマリン水溶液30重量部、10重量%水酸化ナトリウム水溶液14重量部、水570重量部、ビニルピリジンラテックス41重量部)を付着させ、RFL処理コード(ディップコード)とした。撚糸コードの強度、処理コードの強度及び熱収縮率を上記方法に従い測定した。
また、得られた処理コードを、天然ゴム70重量%、SBR15重量%及びカーボンブラック15重量%配合の未加硫ゴム中に25本/インチで上下2層に配列し、加硫を行い(加硫条件:135℃、35kg/cm2、40分)、厚さ8mmのベルトを得た。このベルトを用いて、JIS−L1017−2.1(ファイアストン法)に従い、圧縮・曲げ疲労試験を行った(荷重:50kg、ベルト走向速度:100rpm、試験回数:20000回、圧縮率85%)。試験後、圧縮側のコードを取り出し、疲労試験前のコードに対する強度保持率(%)から耐疲労性を評価した。
(参考例1)
55リットルのオートクレーブにメタノール27リットルを加え、更に、酢酸パラジウム1.8ミリモル、1,3−ビス(ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ)プロパン2.2ミリモル、トリフルオロ酢酸36ミリモルを予めアセトン1リットル中で撹拌し調製した触媒液を加えた。その後、モル比1:1の一酸化炭素及びエチレンを含む混合ガスを充填し、5MPaの圧力を維持するように、この混合ガスを連続的に追加しながら、80℃で5時間反応を行った。
反応後、圧力を解放し、得られた白色ポリマーを、加熱したメタノール、1,3−ペンンタジオンで繰り返し洗浄後、単離した。収量は5.4kgであった。得られたポリケトンは、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル等の分析によりポリ(1−オキソトリメチレン)であることが分かった。また、その分子量分布は3.0、極限粘度は5.0dl/g、Pd含有量は30ppmであった。
(参考例2)
55リットルのオートクレーブにメタノール27リットルを加え、更に、酢酸パラジウム2.0ミリモル、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン2.4ミリモル、トリフルオロ酢酸40ミリモルを予めアセトン1リットル中で撹拌し調製した触媒液を加えた。その後、モル比1:1の一酸化炭素及びエチレンを含む混合ガスを充填し、5MPaの圧力を維持するように、この混合ガスを連続的に追加しながら、55℃で15時間反応を行った。
反応後、圧力を解放し、得られた白色ポリマーを、冷メタノールで繰り返し洗浄後、単離した。収量は3.9kgであった。得られたポリケトンは、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル等の分析によりポリ(1−オキソトリメチレン)であることが分かった。また、その分子量分布は6.2、極限粘度は5.0dl/g、Pd含有量は52ppmであった。
(実施例1)
塩化亜鉛及び塩化カルシウムを含む水溶液(塩化亜鉛/塩化カルシウムの重量比:35.5/64.5、金属塩濃度:62重量%)に、参考例1で得たポリケトンを7.5重量%となるように30℃で混合し、1.3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密閉し、これを85℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。このポリケトン溶液の相分離温度は35℃であった。得られたポリケトン溶液を、20μmのフィルターを通過させた後、直径0.15mmの穴が50個ある紡口口金からプランジャー型押出機を用いて、80℃、5m/分の速度で押し出し、エアギャップ長10mmを通過させ、そのまま凝固浴(凝固浴液:2℃の水)中を通した後、6m/分の速度で第1ネルソンロールを用いて引き上げた(凝固ドラフト=1.2)。次いで、第1ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、更に1%の塩酸浴を通して6m/分の速度で第2ネルソンロールを用いて引き上げた後、第2ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、220℃のホットプレート上を通して乾燥後、5.4m/分で巻き取った(乾燥ドラフト=0.9)。この繊維を、225℃、240℃、250℃、257℃で徐々に温度を高くしながら4段延伸を行った後、仕上げ剤(オレイン酸ソルビタンエステル/ポリエチレンオキシド10モル付加ヒマシ油エステル/ビスフェノールAラウリル酸エステル/ポリエチレンオキシド硬化ヒマシ油マレイン酸エステル/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/20/13/5/1/1(重量比))を1.5重量%付着させ、張力0.1N/dtexで巻取り、ポリケトン繊維を得た。得られたポリケトン繊維の物性を表1に示す。また、この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示さず均質な構造であった。この繊維は、高強度、高弾性率であると共に、耐熱性、寸法安定性、耐疲労性及び加工性にも優れていた。また、この繊維中のPd含量は25ppm、Zn量は10ppmであった。
(実施例2)
塩化亜鉛と塩化カルシウムの水溶液(塩化亜鉛/塩化カルシウムの重量比:35.5/64.5、金属塩濃度:62重量%)に、分子量分布1.5、極限粘度7.0dl/g、Pd残量5ppmのポリ(1−オキソトリメチレン)を6.5重量%となるように30℃で混合し、1.3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密閉し、これを85℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。このポリケトン溶液の相分離温度は30℃であった。得られたポリケトン溶液を20μmのフィルターを通過させた後、直径0.15mmの穴が50個ある紡口口金からプランジャー型押出機を用いて、85℃、5m/分の速度で押し出し、エアギャップ長10mmを通過させ、そのまま凝固浴(凝固浴液:2℃の水)中を通した後、5m/分の速度で第1ネルソンロールを用いて引き上げた(凝固ドラフト=1.0)。次いで、第1ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、更に1%の塩酸浴を通して5m/分の速度で第2ネルソンロールを用いて引き上げた後、第2ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、220℃のホットプレート上を通して乾燥後、5m/分で巻き取った(乾燥ドラフト=1.0)。この繊維を225℃で7.5倍、240℃で1.5倍、250℃で1.4倍、257℃で1.35倍の4段延伸(総熱延伸倍率=21.3)を行い、実施例1の仕上げ剤を1.6重量%付着させ、張力0.1cN/dtexで巻き取り、ポリケトン繊維を得た。得られたポリケトン繊維の物性を表1に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示さず均質な構造であった。この繊維は、高強度、高弾性率であると共に、耐熱性、寸法安定性、耐疲労性及び加工性にも優れていた。また、この繊維中のPd含量は25ppm、Zn量は10ppmであった。
(実施例3)
塩化亜鉛/塩化カルシウムの重量比を38.0/62.0とした以外は、実施例2と同じ条件に基づき、ポリケトン繊維を得た。なお、ポリケトン溶液の相分離温度は12℃であった。得られたポリケトン繊維の物性を表1に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示さず均質な構造であった。この繊維は、高強度、高弾性率であると共に、耐熱性、寸法安定性、耐疲労性及び加工性にも優れていた。また、この繊維中のPd含量は25ppm、Zn量は10ppmであった。
(実施例4)
凝固浴を、塩化亜鉛と塩化カルシウムの水溶液(塩化亜鉛/塩化カルシウムの重量比:35.5/64.5、金属塩濃度:62重量%)とし、凝固浴液として10重量%の塩化亜鉛と塩化カルシウムの水溶液(金属塩比は溶媒と同じ)を用い、凝固浴液の温度を−3℃とした以外は、実施例2と同じ条件に基づき、ポリケトン繊維を得た。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示さず均質な構造であった。この繊維は、高強度、高弾性率であると共に、耐熱性、寸法安定性、耐疲労性及び加工性にも優れていた。また、この繊維中のPd含量は25ppm、Zn量は10ppmであった。
(実施例5)
塩化亜鉛、塩化カルシウム及び塩化リチウムを含む水溶液(塩化亜鉛/塩化カルシウム/塩化リチウムの重量比:35.5/48.4/16.1、金属塩濃度:62重量%)に、参考例1で得たポリケトンを7.5重量%となるように30℃で混合し、1.3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密閉し、これを85℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。このポリケトン溶液の相分離温度は47℃であった。得られたポリケトン溶液を20μmのフィルターを通過させた後、直径0.15mmの穴が50個ある紡口口金からプランジャー型押出機を用いて、80℃、5m/分の速度で押し出し、エアギャップ長10mmを通過させ、そのまま凝固浴(凝固浴液:2℃の水)中を通した後、6m/分の速度で第1ネルソンロールを用いて引き上げた(凝固ドラフト=1.2)。次いで、第1ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、更に1%の塩酸浴を通して6m/分の速度で第2ネルソンロールを用いて引き上げた後、その第2ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、220℃のホットプレート上を通して乾燥後、5.4m/分で巻き取った(乾燥ドラフト=0.9)。実施例1と同様にして、この繊維を4段延伸し、その後張力0.1cN/dtexで巻取って、ポリケトン繊維を得た。得られたポリケトン繊維の物性を表1に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示さず均質な構造であった。この繊維は、高強度、高弾性率であると共に、耐熱性、寸法安定性、耐疲労性及び加工性にも優れていた。また、この繊維中のPd含量は23ppm、Zn量は7ppmであった。
(実施例6)
塩化亜鉛、塩化カルシウム及びチオシアン酸カルシウムの水溶液(塩化亜鉛/塩化カルシウム/チオシアン酸カルシウムの重量比:35.5/61.3/3.2、金属塩濃度:62重量%)に、参考例1で得たポリケトンを7.5重量%となるように30℃で混合し、1.3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密閉し、これを85℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。このポリケトン溶液の相分離温度は43℃であった。得られたポリケトン溶液を20μmのフィルターを通過させた後、直径0.15mmの穴が50個ある紡口口金からプランジャー型押出機を用いて、80℃、5m/分の速度で押し出し、エアギャップ長10mmを通過させ、そのまま凝固浴(凝固浴液:2℃の水)中を通した後、6m/分の速度で第1ネルソンロールを用いて引き上げた(凝固ドラフト=1.2)。次いで、第1ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、更に1%の塩酸浴を通して6m/分の速度で第2ネルソンロールを用いて引き上げた後、第2ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、220℃のホットプレート上を通して乾燥後、5.4m/分で巻き取った(乾燥ドラフト=0.9)。実施例1と同様にて、この繊維を4段延伸し、その後張力0.1cN/dtexで巻取ってポリケトン繊維を得た。得られたポリケトン繊維の物性を表1に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示さず均質な構造であった。この繊維は、高強度、高弾性率であると共に、耐熱性、寸法安定性、耐疲労性及び加工性にも優れていた。また、この繊維中のPd含量は25ppm、Zn量は6ppmであった。
(実施例7)
実施例1において、巻き取り前の繊維を、200℃のホットプレートを用い、張力0.03cN/dtexにて熱処理して巻き取った以外は、実施例1と同様にしてポリケトン繊維を得た。得られたポリケトン繊維の物性を表1に示す。得られた延伸糸における熱収縮率、最大熱収縮応力は更に低下し、寸法安定性がより向上した。また、この繊維中のPd含量は25ppm、Zn量は10ppmであった。
(比較例1)
塩化亜鉛と塩化カルシウムの水溶液(塩化亜鉛/塩化カルシウムの重量比:86.7/13.3、金属塩濃度:75重量%)に、参考例1で得たポリケトンを5.0重量%となるように30℃で混合し、1.3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密閉し、これを85℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。このポリケトン溶液は−5℃まで冷却しても相分離温度は観測されず、均一な溶液のままであった。このポリケトン溶液を用い、実施例1と同様にしてポリケトン繊維を得た。得られたポリケトン繊維の物性を表2に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示し、繊維内部には微細な空隙が存在していた。また、撚りを行った時に毛羽発生程度が多く、耐疲労性は不充分なものであった。
(比較例2)
参考例1のポリケトンの代わりに、参考例2のポリケトンを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリケトン繊維を得た。このポリマー溶液は着色が激しく、−3℃以下にしてもゲル状に固まりにくく、相分離温度を決定することができなかった。得られたポリケトン繊維の物性を表2に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示し、繊維内部には微細な空隙が存在していた。また、撚りを行った時に毛羽発生程度が多く、耐疲労性は不充分なものであった。また、この繊維中のPd含量は51ppm、Zn量は10ppmであった。
(比較例3)
実施例1のポリケトン溶液を100℃に加熱し、相分離温度よりも高い50℃の凝固浴に押し出した以外は、実施例1と同様にしてポリケトン繊維を得た。得られたポリケトン繊維の物性を表2に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示し、繊維内部には微細な空隙が存在していた。また、撚りを行った時に毛羽発生程度が多く、耐疲労性は不充分なものであった。
(比較例4)
金属塩濃度75重量%の塩化亜鉛水溶液に、参考例1で得たポリケトンを7.5重量%となるように30℃で混合し、1.3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密閉し、これを85℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。このポリケトン溶液は−5℃まで冷却しても相分離温度は観測されず、均一な溶液のままであった。このポリケトン溶液を用い、実施例1と同様に紡糸実験を行った。得られたポリケトン繊維の物性を表2に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示し、繊維内部には微細な空隙が存在していた。また、撚りを行った時に毛羽発生程度が多く、耐疲労性は不充分なものであった。
(比較例5)
ヘキサフルオロイソプロパノールに、参考例1のポリケトンを6.5重量%となるように25℃で混合し、1.3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密閉し、これを50℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。このポリケトン溶液は−5℃まで冷却しても相分離温度は観測されず、均一な溶液のままであった。このポリケトン溶液を凝固浴(凝固浴液:25℃のアセトン)中へ押出し、実施例1と同様にしてポリケトン繊維を得た。得られたポリケトン繊維の物性を表2に示す。この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示し、繊維内部には微細な空隙が存在していた。また、撚りを行った時に毛羽発生程度が多く、耐疲労性は不充分なものであった。
(実施例8)
実施例1の方法で得た1500dtex/750fのポリケトン繊維を下撚、上撚共に、390T/mで合撚し、撚糸コードを得た。この撚糸コードを20重量%のRFLで処理し、樹脂付着率が5重量%になるように130℃、225℃の乾燥機を通した。こうして得られた処理コードをタイヤコードとして用い、ラジアルタイヤを作成した。
こうして得られたラジアルタイヤを、1tの乗用車が200km/hrでアスファルト面を走行する場合と同じ接圧をかけながら、35℃のアスファルト面に接触させて、200km/hrで走行する場合と同じ回転数で回転させながら、96時間の回転試験を行った。
96時間後、タイヤからタイヤコードを取り出し、強度保持率を測定した。実施例1のポリケトン繊維を用いた場合は、RFL処理後のタイヤコードと比較して強度低下は殆ど起こっていなかった。比較として、同様の実験を比較例5のポリケトン繊維を用いて同様実験を行ったが、実験後のタイヤコードの強度は約12%低下していた。
(実施例9)
実施例1の方法で得た1500dtex/750fの繊維を50mmの短繊維に切断した。この短繊維2部、パルプ3部、ポルトランセメント57部、、シリカ38部を混合した後、湿式抄造しオートクレーブ中120℃で成型してスレート板を作成した。こうして得られたスレート板は強度に優れ、断面を観察したところポリケトン繊維は均一に分散していた。スレート板から取り出したポリケトン繊維の溶液粘度を測定したところ、粘度の低下はみられなかった。比較として、同様の実験を比較例5のポリケトン繊維を用いて同様実験を行ったが、実験後のポリケトン繊維の粘度は約6%低下していた。オートクレーブ成型の段階で、粘度低下が起こったものと思われる。
(実施例10)
実施例1と同様の方法で得た1500dtex/750fのポリケトン繊維を下撚、上撚共に、390T/mで合撚し、撚糸コードを得た。この撚糸コードをエポキシ樹脂で処理し、樹脂付着率が5重量%になるように230℃の乾燥機を通した。こうして得られた処理コードを用い、定法に従って、上帆布、クロロプレンゴムからなる圧縮ゴム層及び下帆布の構成からなる長さ1016mmのB型コグ付きVベルトを作成した。このVベルトを2つのプーリー間に通し、2000rpmで24時間回転させた。試験後、ポリケトン繊維をVベルトから取り出し強度を測定したところ、エポキシ処理後の強度に対して殆ど強度低下は起こっていなかった。比較として、同様の実験を比較例5のポリケトン繊維を用いて同様実験を行ったが、試験後のポリケトン繊維の強度は約7%低下していた。
産業状の利用可能性
本発明のポリケトン繊維は、高強度、高弾性率であると共に、耐疲労性、加工性、耐熱性、寸法安定性、更には接着性にも優れる。したがって、本発明のポリケトン繊維は、そのままの形態で、また、ポリケトン繊維コードとして、あるいは繊維製品に加工して、衣料用、産業用、生活資材等の幅広い用途に適用することが可能となる。特に、本発明のポリケトン繊維は、タイヤコードやホース、ベルト等のゴム補強材料、コンクリート補強材料、光ファイバーのテンションメンバーフィルターやハウスラップ等の不織布、更には、エアバッグやシート等の織物、漁網などの編み物、釣り糸、縫い糸、ロープなどの産業用資材、婦人用衣料、スポーツ用衣料、ユニフォーム、作業衣などの衣料用繊維、生活用資材などに幅広く使用することができる。
Claims (23)
- 最大熱収縮応力が0.01〜0.7cN/dtexである、請求項1記載のポリケトン繊維。
- 密度が1.310g/cm3以上である、請求項1又は2記載のポリケトン繊維。
- 下記式で表される単糸膠着率が30%以下である、請求項1又は2記載のポリケトン繊維。
単糸膠着率(%)={1−(見かけの単糸数/単糸数)}×100 - 繊維−繊維間動摩擦係数が0.01〜3.0である、請求項1又は2記載のポリケトン繊維。
- 繊維表面に繊維重量に対して0.2〜7重量%の仕上げ剤が付着されている、請求項5記載のポリケトン繊維。
- ポリケトンを溶解する溶媒が、亜鉛塩、カルシウム塩、リチウム塩、チオシアン酸塩及び鉄塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩を含む溶液である、請求項7記載のポリケトン溶液。
- 溶液中の金属塩濃度が15〜77重量%である、請求項8に記載のポリケトン溶液。
- 溶液が、前記金属塩以外に、更に、50℃の水に対して1重量%以上溶解する塩を0.1〜60重量%の範囲で含む、請求項8又は9記載のポリケトン溶液。
- 溶液が塩化亜鉛及び塩化カルシウムを含む水溶液であり、塩化亜鉛と塩化カルシウムの重量比が29/71〜44/56であり、塩化亜鉛及び塩化カルシウムの合計の金属塩濃度が58〜64重量%である、請求項8記載のポリケトン溶液。
- 溶液が塩化亜鉛、塩化カルシウム及び塩化リチウムを含む水溶液であり、塩化亜鉛と塩化カルシウム及び塩化リチウムの合計の重量比が29/71〜44/56であり、塩化カルシウムと塩化リチウムの重量比が49/51〜91/9であり、塩化亜鉛、塩化カルシウム及び塩化リチウムの合計の金属塩濃度が58〜64重量%である、請求項8記載のポリケトン溶液。
- 溶液が塩化亜鉛、塩化カルシウム及びチオシアン酸カルシウムを含む水溶液であり、塩化亜鉛と塩化カルシウム及びチオシアン酸カルシウムの合計の重量比が29/71〜44/56であり、塩化カルシウムとチオシアン酸カルシウムの重量比が76/24〜99.5/0.5であり、塩化亜鉛、塩化カルシウム及びチオシアン酸カルシウムの合計の金属塩濃度が58〜64重量%である、請求項8記載のポリケトン溶液。
- 溶液が塩化亜鉛及びチオシアン酸カルシウムを含む水溶液であり、塩化亜鉛とチオシアン酸カルシウムの重量比が32/68〜49/51であり、塩化亜鉛及びチオシアン酸カルシウムの合計の金属塩濃度が57〜65重量%である、請求項8記載のポリケトン溶液。
- ポリケトン溶液中のポリケトン濃度が1〜40重量%である、請求項7〜14のいずれか1項に記載のポリケトン溶液。
- 請求項7〜15のいずれか1項に記載のポリケトン溶液を相分離温度よりも高い温度にし、次いで相分離温度よりも低い温度の凝固浴に押し出して繊維状物を形成させた後、該繊維状物からポリケトンを溶解する溶媒の一部又は全部を除去し、延伸後、巻き取ることを特徴とする、ポリケトン繊維の製造方法。
- 請求項7〜15のいずれか1項に記載のポリケトン溶液を相分離温度よりも高い温度にし、次いで相分離温度よりも低い温度の凝固浴に押し出して繊維状物を形成させた後、凝固ドラフト0.2〜2で引き上げ、続いて該繊維状物からポリケトンを溶解する溶媒の一部又は全部を除去した後、又は除去しつつ、乾燥ドラフト0.5〜1.5で乾燥し、延伸後に得られた繊維を巻き取ることを特徴とする、ポリケトン繊維の製造方法。
- 延伸終了後、0.005〜0.5cN/dtexの張力で巻き取る、請求項16又は17記載のポリケトン繊維の製造方法。
- 延伸後に得られた繊維を、更に、100〜280℃で熱処理した後に又は熱処理しつつ、0.005〜0.5cN/dtexの張力で巻き取る、請求項16又は17記載のポリケトン繊維の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリケトン繊維からなる撚糸コードであって、下記式で表される撚り係数Kが1000〜30000の範囲である、撚糸コード。
K=Y×D0.5
(式中、Yは撚糸コード1mあたりの撚り数(T/m)、Dは撚糸コードの総繊度(dtex)である。) - 請求項20記載の撚糸コードに、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス樹脂が付着した、ポリケトン繊維処理コード。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリケトン繊維を含有する繊維強化複合材料。
- 繊維強化複合材料がタイヤ、ベルト又は建材のいずれかである、請求項22記載の繊維強化複合材料。
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