JPWO2002044506A1 - 下枠上面がフラットの屋外用サッシ構造 - Google Patents
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Abstract
サッシ下枠の上面から突条レール及び出入方向の段差を無くし、略フラットに形成したバリアフリータイプで風圧を伴った雨水等の排水性に優れ、室内漏水に対する水密性が高い、下枠上面がフラットの屋外用サッシ構造の提供にある。その解決手段は、障子に屋外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子と下枠の間にシール手段を備え、下枠フラット上面に排水溝(11a、11b)及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部(12a、12b)を備え、当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部(13)及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通しているサッシ構造とした。なお、上記シール手段として、スライド片(51a、61a)を障子下框室内側側壁に設け、下枠凹部の室内側側壁との間に横タイト材(14a、14b)を設けるのが好ましい。
Description
技術分野
本発明は、建築物の屋外開口部に取り付けられるサッシ構造に関し、特にサッシ下枠上面をフラットに形成した場合に、暴風雨時においてもこのフラット面からの排水性に優れ、室内への気密・水密性に優れる下枠上面が略フラットの屋外用サッシ構造に係る。
背景技術
住宅等の部屋の出入口や浴室の出入口の段差を解消したバリアフリー構造は公知である。
しかし、建築物の屋外開口部に取り付けられるサッシ構造においては、従来の突条レール式下枠(図20参照)の上面から突条レールを無くし、出入り方向の段差を無くしたフラットにしただけの構造では暴風雨時に大きい風圧とともに障子戸等にふき付ける大量の雨水がこのフラット面に流れ込み、風の流れとともに雨水が室内に浸入する恐れが高く、一方、下枠フラット面に溝を設け、その下に排水空間を大きくとると戸の重量や出入りする人の重量を支えるだけの強度や剛性が確保できず、日本工業規格等にも非常にきびしい品質基準が定められていて屋外開口部のバリアフリー化は困難とされていた。
例えば、日本国公開実用新案公報、実開平3−68285号には、サッシの下枠の上面(引き違い障子の走行部)をほぼ平坦に形成した例が開示されているが、あくまで気密性をねらいとしているから、突片の両側にタイト材を設けることを構成要件としている。その結果、両側のタイト材の抵抗にて障子の開閉操作力が大きくなり、突片の両側のタイト材にて外気が下枠凹部に入るのを阻止しているので、外気の圧力と下枠凹部の圧力差が大きくなり、突片の長手方向全長にわたって安定してシールすることが難しいために、シールの弱い部分からこの圧力差により雨水が集中的に流れ込み、室内側に浸入してしまうという技術的課題があった。
また、日本国公開特許公報、特開2000−96934号には、下枠の上面から突条レールを無くしたフラットにし、ガイド溝を設け、この溝(1)に建具本体の下方に案内板を垂設し、挿入した例が開示されている。
しかし、案内板をコ字状下部ガイドを用いてガイド溝の一周端をコ字状ゴム(10)にて空隙なく係合させている点は、上記実開平3−68285号の両側からタイト材を当接させているのと同じねらいであり、スライド操作性が良くない点及び下部ガイドに滞留した雨水が毛細管現象と室内側の圧力差にて室内側に浸入する技術的課題がある。
また、排水路を単なるアイディアとして開示しているだけで戸の重量及び出入りする人の体重を支えるだけの強度が得られない。
発明の開示
本発明は屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着されるサッシ構造であって、サッシ下枠の上面から突条レールを無くすとともに出入方向の段差を無くし、略フラットに形成したバリアフリータイプで風圧を伴った雨水等の排水性に優れ、室内漏水に対する水密性が高い、屋外用下枠フラットサッシ構造の提供にあり、特に上記フラット面に条状の排水溝を設けた場合に、下枠の強度、剛性を確保しつつ雨水等の排水性を向上させるのに効果的な構造の提供を目的とする。
屋外開口部サッシ構造の日本工業規格に定められた品質基準は、試験区分50等級では1分間当たり4リットル/1平方メートルの水を噴霧し、上限750Pa、下限風圧250Paの平均圧力差500Paの脈動圧を加えても室内側に漏水しないという非常に厳しいものである(以下500Pa級試験という)。
この脈動圧に対して、障子とサッシ枠の間に安定したシール構造と、下枠のフラット面に大量に流れ込む雨水を確実に排水でき、スライド開閉する戸の重量及び、出入りする人の重量等に耐え得るだけの強度及び剛性が確保できる構造を精意検討した結果、次のような構造を見い出したものである。
まず、脈動する風圧に対して障子戸とサッシ枠の間に安定したシール機能を得る手段として、障子に室外側から風圧を受ければ受ける程強く押圧するシール構造として障子の室内側とサッシ枠の間に弾性材からなるタイト材を介在させた。
次にフラット面から雨水を安定して排水し、強度が高い構造として、フラット面に条状の幅の狭い溝を障子スライド方向に設け、この直下にこの溝より幅の広い集水凹部を設けて雨水を受け入れるふところとし、この集水凹部の直下に、屋外に雨水を案内する案内中空部を設け、集水凹部の底部に設けた排水口と連通させる。
さらに、案内中空部の屋外側に屋外排水口を設け、上記下枠集水凹部及び案内中空部を外気に連通させた集水凹部及び案内中空部の二段構造とした。
このようなサッシ構造が気密・水密性及び排水性に対してどのように作用するかを、サッシ構造の模式図及び実験結果に基づいて以下詳細に説明する。
図5に示した模式図は、障子に風雨が負荷されていない状態を示す。
上面がフラットに形成された下枠に排水溝11a、11bを設けてこの間に外障子50及び内障子60の下框に設けた垂下片51a、61aを挿入し、障子開閉方向にスライド可能になっていてこの垂下片の室内側にタイト材14a、14bを配設した構造になっている。
従って、下框に設けた垂下片は、シール部を形成するとともに、障子が開閉する際のスライド片としての機能を有し、下枠上面に設けた排水溝は、下框に設けた垂下片(スライド片)がスライドするスライド溝としても機能する。
この排水溝の直下に、排水溝の幅より広幅な集水凹部12a、12bが設けられ、その底部に凹部排水口17a、17bが備えられ、この凹部排水口から流入した雨水を屋外に排水するための屋外排水口18に案内する案内中空部13が設けられている。
図6に風雨が加わっている状態の模式図を示す。
室外から風圧P1が負荷されると障子は押圧されて下框に設けた垂下片(スライド片)とタイト材が圧接することになり、気密・水密性等のシール性能が確保される。
戸の室外面等に風圧を伴って降ってきた雨水は、下枠のフラット面から排水溝を通して下枠内の集水凹部に流れ、さらに凹部排水口及び案内中空部に流れ込み、屋外排水口から屋外に排水される。
ここで下框に設けた垂下片とタイト材が圧接してシールラインが形成された直下に集水凹部が設けられているので、シール部分に雨水が溜まることが無く毛細管現象にて室内側に雨水が浸入するのを防止できる。
また、障子下框室内側側壁から垂下したスライド片と下枠凹部の室内側側壁との間には、シール手段として横タイト材が設けられているが、このスライド片の室外側(屋外側)と下枠凹部の側壁との間に横タイト材が設けられていなく、排水をねらいとしたスライド溝が存在するのでこの隙間により、障子戸の開閉がスムーズに行なえ、風圧が室外側から戸面に負荷されるとこのスライド片の室内側側壁と横タイト材が風圧により強く押圧されることによりシール性が向上するとともに、このスライド片とスライド溝壁の室外側の隙間K(図5参照)が風圧に比例して大きくなり、スライド溝から下枠凹部に外気とともに雨水が流れる。
本発明において、スライド片を下框室内側側壁に設けると次のように作用する。
まず、比較説明のためにスライド片が下框室外側側壁にある場合を図7にて説明すると、障子下框等の障子部材とガラス200の間にガラス押さえパッキン201を設けてこの間をシールしているが、戸面に大きい風圧が負荷されるとガラスが室内側に強く押圧され、パッキン材部の室外側のシールが弱くなる恐れが高く、この部分から雨水が浸入してくることになる。
下框にはガラス間口排水口203や下框下部排水口204及び戸車取り付け部の切り欠き加工部等があり、スライド片が室外側側壁にあると図7に示すように、下框の内部は、室内側に連通することになるので、風圧によりこのガラス間口と室内の圧力差が大きくなるため、この圧力差にて大量の雨水が浸入してくることになる。
一方、スライド片を室内側側壁に設けると、図8に示すように下框内部は外気と連通することになるので、ガラス間口202の圧力が外気と近似し、上記ガラス間口排水口や下框下部排水口から下枠フラット面に大量に流れ出るのを抑えるように作用する。
また、図7、図8は外障子と内障子の断面を便宜上並べて記載してあるが、実際の外障子と内障子を閉鎖した状態では、下框の枠内にガラスシール面から浸入した雨水が下枠のフラット面に落下してくるとスライド片が室外側に設けてあるとそのまま室内に流れ込むことになってしまうが、スライド片を室内側側壁に設けるとガラス間口の圧力が外気と近似するだけでなく、この室内側側壁に設けたスライド片が雨水の室内への浸入を防止するように作用する。
このような構造を採用した場合に、図6にて説明すると風圧の変化に対して前述した日本工業規格に定められた品質基準をクリアーするために必要な集水凹部(X1)の必要体積(V1)、凹部排水口の必要面積(A1)、案内中空部(X2)の必要体積(V2)、屋外排水口の必要面積(A2)を明確にするために実験して得られた結果を図1(表1)に示し、風圧の圧力差と下枠内に浸入する水量(Q)との関係を図2(グラフ1)に、圧力差と集水凹部の必要体積(V1)及び凹部排水口の必要面積(A1)との関係を図3(グラフ2)に、圧力差と案内中空部の必要体積(V2)及び屋外排水口の必要面積(A2)との関係を図4(グラフ3)に示す。
なお、試験に供した下枠サッシの全長は1800mmである。
グラフ1の結果から、排水溝等から下枠内に雨水が浸入する面積が一定の下で風圧が高くなると、下枠内に浸入する水量が増大し、強い正の相関があることが明らかになりこれに伴い、日本工業規格の品質基準をクリアーするために実験で得られたように必要体積(V1)、(V2)及び必要面積(A1)、(A2)も増大させる必要があることが明らかになった。
また、表1の結果から例えば、500Paの欄の値を左から右方向に横に比較すると、A0(5050)<A1(5130)<A2(5300)の関係が必要であることも明らかになった。
このような結果が得られた原理を図5及び図6に示す模式図に基づいて説明すると、風雨が全く無い状態では、下枠の上面に設けた排水溝、集水凹部、凹部排水口、案内中空部、屋外排水口は連通していて、外気が排水溝と屋外排水口側から浸入するために、集水凹部の圧力及び案内中空部の圧力は外気と等圧になっている。
しかし、風圧が加わると間隙Kが広がるが、それでも排水溝幅が4mm程度と狭く、雨水により水膜が形成され、この集水凹部に外気の導入が完全にはされないために、室外と集水凹部に若干の圧力差が生じる。これにより、集水凹部へ雨水が吸い込まれることになる。
その結果、室外の圧力が大きくなると室外と集水凹部の圧力差が増大し、集水凹部へ浸入する水量が増大する。
一方、集水凹部から案内中空部へ凹部排水口を通して排水されるが、案内中空部から集水凹部への空気導入も雨水が流れてくる同じ凹部排水口を通して行われるため、集水凹部の圧力と案内中空部の圧力は完全に等圧にはならずに圧力差が生じる原因となる。
従って本発明において半等圧とは、風雨が全く無い場合には下枠内部の圧力が外気と等圧であり、風圧を伴った雨水が生じ風圧が増大するにつれて下枠内部の圧力が外側の圧力に比較して小さくなることを意味する。
上記の状態にて雨水の流れを維持することを本発明において以下ウオーターバランスというが、室外の圧力が増大すると集水凹部及び案内中空部への浸入する水量が多くなるため、集水凹部及び案内中空部の容量を大きくし、かつ排水口を適切な大きさで設定することにより、下枠内に浸入する雨水を溜めないようにする。つまり、浸入する水量と排水する水量のバランスを保つことを意味する。
このような半等圧ウオーターバランス構造に基づいて本発明がされたもので、風圧により障子とサッシ枠の間に設けたシール部が押圧されることにより、気密・水密性を確保しつつ、下枠の排水構造を半等圧ウオーターバランス構造により形成するために、屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着される上下枠及び左右の縦枠からなるサッシの内側を障子がスライド開閉するサッシ構造において、障子に屋外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子と下枠の間にシール手段を備え、このシール手段にかかった雨水も排水されるように下枠フラット上面に排水溝及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備えた。
この集水凹部からの排水を目的に当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通している。
半等圧ウオーターバランス構造を引き違い戸に適用する場合には、屋内外を隔てる建物開口部の出入口に装着される上下枠及び左右の縦枠からなるサッシの内側を引き違い戸がスライド開閉するサッシ構造において、障子に室外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子下框に設けた垂下片と下枠の間、及び障子縦框と縦枠の間にシール手段を備え、かつ障子召合部と下枠上面の間に室内と室外を仕切るシール手段、及び内障子召合部下部に位置する内障子集水凹部に止水ブロックを備え、下枠フラット上面に排水溝、及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備え、当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通している。
なお、引き違い戸の場合には、召合部と下枠上面の間にシール手段を設ける必要があり、一重のシール部材では毛細管現象により雨水が浸入する恐れがあり、二重以上のシール部材を取り付けるのが望ましい。
また、下枠排水溝と内障子スライド溝を同一溝にした場合には、内障子用下枠集水凹部に沿って室内側に雨水が浸入するのを防止するために、召合部下枠集水凹部に止水ブロックを取り付けるのが望ましい。
半等圧ウオーターバランス構造を片引き戸に適用する場合には、上枠と下枠の間にスライド自在に障子を装着し、建屋開口部と障子収納部を有する屋外用片引き戸において、障子に室外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子下框に設けた垂下片と下枠の間にシール手段を備え、かつ上枠と下枠の間に上下方向に配設した縦骨と障子召合框の間、及び障子戸当框と縦枠の間にシール手段を備え、下枠フラット上面に排水溝、及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備え、当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通している。
下枠の構造を下粋ベース部材と上面部材に分割すると、集水凹部及び排水溝の形成を容易にし、凹部排水口の加工も容易になることをねらい、屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着される四方枠からなるサッシであって、下枠は中空断面形状で上部に凹部排水口、下部に屋外排水口を具備した下枠ベース部材と上面略フラットな上面部材とで構成し、当該下枠ベース部材はその上方に上面部材を嵌着する嵌着部を備え、前記上面部材は、下枠ベース部材の嵌着部に嵌着可能な被嵌着部を備えて、上面部材をベース部材に嵌着することにより、下枠ベース部材とで下枠排水溝が形成されると共に排水溝の下部が当該排水溝より広幅の集水凹部を形成し、下枠排水溝と屋外排水口とは集水凹部、凹部排水口、案内中空部を介して外気と連通させた。
本発明においては、下枠上面から突条レールを廃止し、下枠の上面を略フラットに形成し、下枠の上面に細い条状の排水溝を設けてこの直下に幅広の集水凹部が備えられ、凹部排水口、案内中空部及び屋外排水口を介して外気と連通させた集水凹部及び案内中空部の二重構造としたことにより下枠の強度及び剛性を確保しつつ風圧を伴って降ってきた雨水は、屋外と下枠内部に圧力が生じ、上記集水凹部に流れ込むように作用し、優れた排水性を得ることができるとともに、集水凹部に多少の雨水が溜まってもシール部分に雨水がかかることが無く、毛細管現象にて室内側に浸入してくるのを防止できる。
また、引き違い戸及び片引き戸等、戸の開閉構造に合わせて屋外(室外)と屋内(室内)を仕切るシール手段を備え、このシール部に対応して排水溝及び排水口を設けたのでシール部にて外気及び雨水の流れを止め、下側に雨水を流れさせることができるので下枠の強度及び剛性を確保しつつ、優れた気密・水密性を得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の望ましい実施の形態を引き違い戸サッシ構造に適用した場合を例に以下説明する。
図19に本発明による屋外用バリアフリーサッシの施工イメージ図を示し、図18にその屋外開口部の断面を示す。
ビル住宅の戸の屋外には排水用のグレーチング1を取り付け、その外側に段差調整ブロック3を敷いて、図示していないがバルコニーが配設され、さらに外側には手摺り等の安全柵が取り付けられている。
室内からバルコニーへの出入り口に本発明に係るサッシ構造が採用されている。
本発明に係るサッシ構造の下枠サッシ部分の縦断面図を図9に、横断面図を図10に示す。図9及び図18に示すように躯体にアンカー8にて取り付けられた下枠10及び上枠40と、図10に示すように左縦枠20及び右縦枠30のサッシにて枠体を形成し、その内側に屋外側から、外障子50、内障子60が装着されている。
図18に示すように、下枠には従来のような突条のレールが無く、下枠上面に障子下框の障子スライド片のほぼ肉厚に相当する2条の溝が形成されたフラット面になっていて、マンション等のベランダと室内側との境界に段差が無くなり、室内フローリング床面2、下枠10の上面、グレーチング1を介してバルコニーの床面3がほぼ水平に配置されたバリアフリー構造になっている。
図9及び図10に示すように、外障子50は外障子下框51及び上框55と、外障子戸当框52及び外障子召合框53にて枠を形成し、内側にガラス等が装着されている。
外障子下框51の室内側には外障子スライド片51aが垂下されている。また、下框の下框凹部51bには外障子戸車54が取り付けられ、下枠10の略フラットな上面11を移動する。
内障子60も外障子と同様に、内障子下框61及び上框65と、内障子戸当框62及び内障子召合框63にて枠を形成し、内側にガラス等が装着されている。
内障子下框61の室内側には内障子スライド片61aが垂下され、下框の下框凹部61bには内障子戸車64が取り付けられ下枠10の略フラットな上面11を移動する。
下枠10には外障子及び内障子の下框に垂下した外障子スライド片51a、内障子スライド片61aがスライドする外障子スライド溝11a、内障子スライド溝11bを有する外障子用下枠集水凹部12a、内障子用下枠集水凹部12bを設け、凹部の室内側側壁に外障子用横タイト材嵌合溝及び内障子用横タイト材嵌合溝を設けて、外障子用横タイト材14a、内障子用横タイト材14bを配設し、これらの横タイト材は障子のスライド片に摺接している。
下枠10はアルミニウム合金等を用いて押出成形された案内中空部13を有するベース部材10a、及び上面部材10b、10cを嵌合組み合わせて構成されている。
これにより、下枠フラット面の切り欠き加工、下枠集水凹部の排水口の加工及び下枠集水凹部止水ブロックの取付等が容易になっている。
図10に示すように、左縦枠20の枠内側には外障子の戸当框を受ける左縦枠凹部21が設けられ、この左縦枠凹部室内側側壁に左縦枠縦タイト材嵌合溝22を設け左縦枠縦タイト材23が配設されている。
右縦枠30の内側にも外障子の場合と同様に、内障子の戸当框を受ける右縦枠凹部31が設けられ、この右縦枠凹部の室内側側壁に右縦枠縦タイト材嵌合溝32を設け、右縦枠縦タイト材33が配設されている。
図11に示すように、外障子、内障子においてそれぞれ横タイト材とスライド片のシール面及び縦タイト材と戸当框のシール面がほぼ同一になるように配設されているから風圧や障子の建て付け調整に対して安定して確実にシールするように作用するので室内への雨水等の浸入を防止することが出来る。
なお、本発明においては、横タイト材のシール面は縦タイト材のシール面とほぼ同一面になるように形成されていれば良く、タイト材は障子側と枠側のどちら側に取り付けても良く選択的に採用される。
召合わせ部においては図10に示すように、外障子50の外障子召合框53及び内障子60の内障子召合框63に設けた外障子突き合わせ片53aと内障子突き合わせ片63aが障子閉鎖時に当接し、内障子召合わせ部に設けた召合框タイト材嵌合溝63bに、召合框タイト材66が取り付けられ外障子側面と摺接している。
なお、この召合框タイト材は気密性、水密性が確保されれば良く、外障子側に設けても良い。
また、図11に示すように下枠にフラット面排水口15、左コーナー部排水口16a、右コーナー部排水口16b、外障子用下枠凹部排水口17a、内障子用下枠凹部排水口17b及び下枠屋外排水口18が設けられていて、(b)が障子召合わせ部、(a)及び(c)がコーナー部の斜視図である。
なお、フラット面排水口の位置は上記内障子と外障子の召し合わせ部に限定されるものでなく、下枠フラット面に等間隔に複数個設けてもよく、また召合框止水ブロックの位置に関係なく設けてもよいが、特に召し合わせ部に雨水が集中しやすく、この部分に排水口を設けると外部から見えず外観見栄えも良いため、本実施の形態ではこの召し合わせ部分に設けたものである。
また、下枠屋外排水口18の外側には排水口を覆うように逆風、逆水止め部材19が上部で枢着されている。
フラット面排水口に対応する内障子召合框の底部には図12に示すように、召合框止水ブロック70がビス等の召合框止水ブロック係止部材にて取り付けられている。
召合框止水ブロック70には召合框止水ブロックベース部材73に弾性材からなるヒレ状のレインバリア71とヒレ状のウインドバリア72が設けれていて下枠上面及び外障子室内側側面に当接するように配設されている。
従来のようなレール等の段差が無いため、引き違い障子の召し合わせ下部の室外側に溜まる水量が特に多くなるので、この部分の排水性を高めるとともに室内への浸入を防止するために外障子と内障子の召し合わせ位置に対応して下枠にフラット面排水口を設け、内障子召合框の底部に取り付けた召合框止水ブロックに弾性材からなるヒレ状のレインバリアとともにウインドバリアを設けたもので、これにより、下枠フラット面を内外障子召し合わせ部に向けて風圧とともに勢い良く流れてきた雨水はこの召合框止水ブロックに設けられた弾性材からなるヒレ状のレインバリアにて流れの勢いが抑えられるとともに、弾性材からなるヒレ状のウインドバリアにより、召合框の底部と下枠のフラット面が遮蔽され、召し合わせ部の気密性が確保され、当該レインバリアとウインドバリアの間に設けられたフラット面排水口への雨水の落下、排水が促進されるように作用する。
内障子召合框のスライド方向側壁には図12に示すようにゴム等の弾性材からなるヒレ状のウォーターバリア90がウォーターバリア取り付け部材91を介してウォーターバリア係止部材92にて取り付けられている。
その位置関係を図14に示すように、樹脂製のウォーターバリア取り付け部材には長孔のウォーターバリア取り付け孔91aが設けられ、上下方向にスライド調整が出来る構造になっていて、ウォーターバリアを外障子下框の側壁に当てながら上下させて下枠の略フラット面及び下枠集水凹部止水ブロックに当接するように調整した後にウォーターバリア係止部材92にて固定される。
これにより、召し合わせ部に風圧とともに流れ込んで来たいきおいのある雨水は召合框止水ブロックにより流れが止められ排水され、その室内側にさらにウォーターバリアを取り付けたことにより、召し合わせ部のシールラインが、三重構造になるので確実に室内側への漏水を防ぐことができる。
内障子用下枠集水凹部の内外障子召し合わせ部には、図10及び図14に示すように内障子の止水ライン線上で、かつ、内障子と外障子の召し合わせ部位置にほぼ対応させて内障子用下枠集水凹部に内障子用下枠集水凹部形状を塞ぐように弾性体からなる下枠集水凹部止水ブロック80が設けられていて内障子の下枠集水凹部に沿って外障子室内側に雨水が流れ込むのを防止している。
この下枠集水凹部止水ブロック80はその斜視図を図13に示すように止水ブロック弾性体81を止水ブロック取り付け具82に固定し、これを下枠集水凹部の底部にビス等の止水ブロック係止部材で取り付けた。
また、図14に示すように下枠集水凹部止水ブロックの止水ブロック弾性体81は下枠集水凹部の溝の深さ、幅に対応して挿入されていて内障子スライド片61aと摺接している。
図11に示すように、下枠のフラット面排水口15は外障子用下枠凹部排水口17a及び下枠屋外排水口18を介して外気と連通している。
また、フラット面排水口の上部は、図14上面図(a)に示すように外障子召合框53及び内障子召合框63とこれらに設けた外障子突き合わせ片53a、内障子突き合わせ片63a(煙返し部)、召合框タイト材66で形成する空間部に連通している。
本発明の望ましい実施の形態を内障子部分をガラスを嵌め殺し方式に取り付けた固定障子とし、外障子をスライド自在に取り付けた外動片引き戸に適用した例について以下説明するが、内動片引き戸や、固定障子の部分が建築物躯体内に設けた障子収納部としたタイプの片引き戸においても同様に適用できる。
図16に外動片引き戸構造の横断面図を示し、図15にその縦断面図を示し、(A−A断面図)が可動障子部で(B−B断面図)が嵌め殺し部を示す。
サッシ枠は下枠110と上枠140及び室内から室外に向かって左縦枠120、右縦枠130にて方形形状に構されている。
このサッシ枠内屋外側にスライド自在に可動障子150が装着され、室内側に固定障子160が取り付けられている。
可動障子150は障子下框151と障子上框154、及び障子戸当框152と障子召合框153にて枠を形成し、内側にガラス156等が装着されている。
一方固定障子は下枠110と固定障子上框164、右枠130と縦骨170にていわゆる嵌め殺し方式にてガラス166が装着されている。
可動障子150の障子下框151には障子スライド片151aが垂下され、障子下框凹部151bに障子戸車155が取り付けられ下枠110の略フラット面を障子が案内条に沿って移動する。
下枠110には障子下框に垂下した障子スライド片151aがスライドする障子スライド溝111を有する下枠集水凹部112aを設け、この下枠集水凹部の室内側側壁に横タイト材嵌合溝を設けて横タイト材114を配設し、障子スライド片151aに摺接させている。
下枠110はアルミニウム合金等を用いて押出成形された案内中空部113を有する下枠ベース部材110a、目板材110b、上面部材110cを嵌合又はネジ止め等にて組み合わせて構成されている。
上面部材が分割して取り付けられているので、下枠ベース部材の排水口の加工やタイト材の取り替えが容易になり、網戸の取り付けの有無により上面部材を取り替えることが出来、ペアガラス仕様等の重量のある障子を取り付ける場合には対応する肉厚の厚い障子スライド片が必要となったり横タイト材を障子スライド片側に設けたりする場合等、用途に合わせた下枠の障子スライド溝幅になるように上面部材を選定し取り付けることが出来る。
即ち、一種類の下枠ベース部材に各種の上面部材を組み合わせることにより、それぞれの用途に対応できる下枠の構造としたものである。
なお、下枠をアルミニウム形材で形成した場合に嵌め殺し部のガラスを装着する下枠凹部112cが必要となるために、障子が走行する開口部の当該凹部を塞ぐために目板材110bを嵌着又はネジ止めしたのもである。
また、図17に示すようにサッシ枠見付け方向の中央部で上枠と下枠の間に上下方向に設けた縦骨の室外側側面に縦タイト材嵌合溝172を設けて縦タイト材173を配設し、縦方向シールラインを形成している。
ここで縦タイト材は縦骨と障子召合框間の縦方向のシールラインを形成するのが目的であり、必ずしも縦骨側に取り付ける必要はなく障子側に取り付けてもよい。
一方、左縦枠120には図16に示すように障子戸当框152との係合部121を設け、この係合部に設けた縦タイト材嵌合溝122に縦タイト材123を配設し、縦方向シールラインを形成している。
次に雨水の排水の流れを説明すると、図17に召合部の下枠斜視図(a)(分かりやすくするために下枠の枠部材110cを外した状態を示す)、戸当部の下枠コーナー部斜視図(b)を示すように下枠上面のフラット面に流れて来る雨水はスライド溝111から下枠集水凹部112aに流れ込み、次に下枠集水凹部に設けた凹部排水口117aから下枠ベース110aの案内中空部に流れ、下枠屋外排水口118から屋外に流れ出る。
なお、下枠屋外排水口118の外側には排水口を覆うように逆風、逆水止め部材119が上部で枢着されている。
また、縦骨170の突き合わせ片171から浸入してきた雨水はフラット面排水口115より排水され、戸当部コーナー部に設けたコーナー部排水口116からも排水される。
産業上の利用可能性
本発明は、風圧を伴った雨水の室内への浸入を防止するサッシ構造にあるので、ビル住宅等の高層階の屋外開口部に設けられるサッシ構造に最も効果を発揮することになるが、一戸建て住宅等の低層住宅においては、従来以上に、より高気密、高水密性が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1(表1)は、風圧の圧力差による評価結果を示す。
図2(グラフ1)は、圧力差と下枠内に浸入する水量(Q)との関係を示す。
図3(グラフ2)は、圧力差と集水凹部の必要体積(V1)及び凹部排水口の必要面積(A1)との関係を示す。
図4(グラフ3)は、圧力差と案内中空部の必要体積(V2)及び屋外排水口の必要面積(A2)との関係を示す。
図5は、障子に風圧が負荷されていない状態の模式図を示す。
図6は、障子に風圧が加わっている状態を示す。
図7は、障子スライド片が室外側にある場合の雨水の流水を示す。
図8は、障子スライド片が室内側にある場合の流れを示す。
図9は、本発明を引き違い戸に適用した縦断面図を示す。
図10は、本発明を引き違い戸に適用した横断面図を示す。
図11は、排水口の配置を示す。
図12は、召合部の外観斜視図を示す。
図13は、内障子集水凹部止水ブロックを示す。
図14は、召合部止水ブロックとウオーターバリアの位置関係を示す。
図15は、本発明を片引き戸に適用した縦断面図を示す。
図16は、本発明を片引き戸に適用した横断面図を示す。
図17は、召合部及びコーナー部の斜視図を示す。
図18は、建物開口部断面図を示す。
図19は、本発明による屋外用バリアフリーサッシの施工イメージ図を示す。
図20は、従来の段差のあるサッシの施工イメージ図を示す。
本発明は、建築物の屋外開口部に取り付けられるサッシ構造に関し、特にサッシ下枠上面をフラットに形成した場合に、暴風雨時においてもこのフラット面からの排水性に優れ、室内への気密・水密性に優れる下枠上面が略フラットの屋外用サッシ構造に係る。
背景技術
住宅等の部屋の出入口や浴室の出入口の段差を解消したバリアフリー構造は公知である。
しかし、建築物の屋外開口部に取り付けられるサッシ構造においては、従来の突条レール式下枠(図20参照)の上面から突条レールを無くし、出入り方向の段差を無くしたフラットにしただけの構造では暴風雨時に大きい風圧とともに障子戸等にふき付ける大量の雨水がこのフラット面に流れ込み、風の流れとともに雨水が室内に浸入する恐れが高く、一方、下枠フラット面に溝を設け、その下に排水空間を大きくとると戸の重量や出入りする人の重量を支えるだけの強度や剛性が確保できず、日本工業規格等にも非常にきびしい品質基準が定められていて屋外開口部のバリアフリー化は困難とされていた。
例えば、日本国公開実用新案公報、実開平3−68285号には、サッシの下枠の上面(引き違い障子の走行部)をほぼ平坦に形成した例が開示されているが、あくまで気密性をねらいとしているから、突片の両側にタイト材を設けることを構成要件としている。その結果、両側のタイト材の抵抗にて障子の開閉操作力が大きくなり、突片の両側のタイト材にて外気が下枠凹部に入るのを阻止しているので、外気の圧力と下枠凹部の圧力差が大きくなり、突片の長手方向全長にわたって安定してシールすることが難しいために、シールの弱い部分からこの圧力差により雨水が集中的に流れ込み、室内側に浸入してしまうという技術的課題があった。
また、日本国公開特許公報、特開2000−96934号には、下枠の上面から突条レールを無くしたフラットにし、ガイド溝を設け、この溝(1)に建具本体の下方に案内板を垂設し、挿入した例が開示されている。
しかし、案内板をコ字状下部ガイドを用いてガイド溝の一周端をコ字状ゴム(10)にて空隙なく係合させている点は、上記実開平3−68285号の両側からタイト材を当接させているのと同じねらいであり、スライド操作性が良くない点及び下部ガイドに滞留した雨水が毛細管現象と室内側の圧力差にて室内側に浸入する技術的課題がある。
また、排水路を単なるアイディアとして開示しているだけで戸の重量及び出入りする人の体重を支えるだけの強度が得られない。
発明の開示
本発明は屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着されるサッシ構造であって、サッシ下枠の上面から突条レールを無くすとともに出入方向の段差を無くし、略フラットに形成したバリアフリータイプで風圧を伴った雨水等の排水性に優れ、室内漏水に対する水密性が高い、屋外用下枠フラットサッシ構造の提供にあり、特に上記フラット面に条状の排水溝を設けた場合に、下枠の強度、剛性を確保しつつ雨水等の排水性を向上させるのに効果的な構造の提供を目的とする。
屋外開口部サッシ構造の日本工業規格に定められた品質基準は、試験区分50等級では1分間当たり4リットル/1平方メートルの水を噴霧し、上限750Pa、下限風圧250Paの平均圧力差500Paの脈動圧を加えても室内側に漏水しないという非常に厳しいものである(以下500Pa級試験という)。
この脈動圧に対して、障子とサッシ枠の間に安定したシール構造と、下枠のフラット面に大量に流れ込む雨水を確実に排水でき、スライド開閉する戸の重量及び、出入りする人の重量等に耐え得るだけの強度及び剛性が確保できる構造を精意検討した結果、次のような構造を見い出したものである。
まず、脈動する風圧に対して障子戸とサッシ枠の間に安定したシール機能を得る手段として、障子に室外側から風圧を受ければ受ける程強く押圧するシール構造として障子の室内側とサッシ枠の間に弾性材からなるタイト材を介在させた。
次にフラット面から雨水を安定して排水し、強度が高い構造として、フラット面に条状の幅の狭い溝を障子スライド方向に設け、この直下にこの溝より幅の広い集水凹部を設けて雨水を受け入れるふところとし、この集水凹部の直下に、屋外に雨水を案内する案内中空部を設け、集水凹部の底部に設けた排水口と連通させる。
さらに、案内中空部の屋外側に屋外排水口を設け、上記下枠集水凹部及び案内中空部を外気に連通させた集水凹部及び案内中空部の二段構造とした。
このようなサッシ構造が気密・水密性及び排水性に対してどのように作用するかを、サッシ構造の模式図及び実験結果に基づいて以下詳細に説明する。
図5に示した模式図は、障子に風雨が負荷されていない状態を示す。
上面がフラットに形成された下枠に排水溝11a、11bを設けてこの間に外障子50及び内障子60の下框に設けた垂下片51a、61aを挿入し、障子開閉方向にスライド可能になっていてこの垂下片の室内側にタイト材14a、14bを配設した構造になっている。
従って、下框に設けた垂下片は、シール部を形成するとともに、障子が開閉する際のスライド片としての機能を有し、下枠上面に設けた排水溝は、下框に設けた垂下片(スライド片)がスライドするスライド溝としても機能する。
この排水溝の直下に、排水溝の幅より広幅な集水凹部12a、12bが設けられ、その底部に凹部排水口17a、17bが備えられ、この凹部排水口から流入した雨水を屋外に排水するための屋外排水口18に案内する案内中空部13が設けられている。
図6に風雨が加わっている状態の模式図を示す。
室外から風圧P1が負荷されると障子は押圧されて下框に設けた垂下片(スライド片)とタイト材が圧接することになり、気密・水密性等のシール性能が確保される。
戸の室外面等に風圧を伴って降ってきた雨水は、下枠のフラット面から排水溝を通して下枠内の集水凹部に流れ、さらに凹部排水口及び案内中空部に流れ込み、屋外排水口から屋外に排水される。
ここで下框に設けた垂下片とタイト材が圧接してシールラインが形成された直下に集水凹部が設けられているので、シール部分に雨水が溜まることが無く毛細管現象にて室内側に雨水が浸入するのを防止できる。
また、障子下框室内側側壁から垂下したスライド片と下枠凹部の室内側側壁との間には、シール手段として横タイト材が設けられているが、このスライド片の室外側(屋外側)と下枠凹部の側壁との間に横タイト材が設けられていなく、排水をねらいとしたスライド溝が存在するのでこの隙間により、障子戸の開閉がスムーズに行なえ、風圧が室外側から戸面に負荷されるとこのスライド片の室内側側壁と横タイト材が風圧により強く押圧されることによりシール性が向上するとともに、このスライド片とスライド溝壁の室外側の隙間K(図5参照)が風圧に比例して大きくなり、スライド溝から下枠凹部に外気とともに雨水が流れる。
本発明において、スライド片を下框室内側側壁に設けると次のように作用する。
まず、比較説明のためにスライド片が下框室外側側壁にある場合を図7にて説明すると、障子下框等の障子部材とガラス200の間にガラス押さえパッキン201を設けてこの間をシールしているが、戸面に大きい風圧が負荷されるとガラスが室内側に強く押圧され、パッキン材部の室外側のシールが弱くなる恐れが高く、この部分から雨水が浸入してくることになる。
下框にはガラス間口排水口203や下框下部排水口204及び戸車取り付け部の切り欠き加工部等があり、スライド片が室外側側壁にあると図7に示すように、下框の内部は、室内側に連通することになるので、風圧によりこのガラス間口と室内の圧力差が大きくなるため、この圧力差にて大量の雨水が浸入してくることになる。
一方、スライド片を室内側側壁に設けると、図8に示すように下框内部は外気と連通することになるので、ガラス間口202の圧力が外気と近似し、上記ガラス間口排水口や下框下部排水口から下枠フラット面に大量に流れ出るのを抑えるように作用する。
また、図7、図8は外障子と内障子の断面を便宜上並べて記載してあるが、実際の外障子と内障子を閉鎖した状態では、下框の枠内にガラスシール面から浸入した雨水が下枠のフラット面に落下してくるとスライド片が室外側に設けてあるとそのまま室内に流れ込むことになってしまうが、スライド片を室内側側壁に設けるとガラス間口の圧力が外気と近似するだけでなく、この室内側側壁に設けたスライド片が雨水の室内への浸入を防止するように作用する。
このような構造を採用した場合に、図6にて説明すると風圧の変化に対して前述した日本工業規格に定められた品質基準をクリアーするために必要な集水凹部(X1)の必要体積(V1)、凹部排水口の必要面積(A1)、案内中空部(X2)の必要体積(V2)、屋外排水口の必要面積(A2)を明確にするために実験して得られた結果を図1(表1)に示し、風圧の圧力差と下枠内に浸入する水量(Q)との関係を図2(グラフ1)に、圧力差と集水凹部の必要体積(V1)及び凹部排水口の必要面積(A1)との関係を図3(グラフ2)に、圧力差と案内中空部の必要体積(V2)及び屋外排水口の必要面積(A2)との関係を図4(グラフ3)に示す。
なお、試験に供した下枠サッシの全長は1800mmである。
グラフ1の結果から、排水溝等から下枠内に雨水が浸入する面積が一定の下で風圧が高くなると、下枠内に浸入する水量が増大し、強い正の相関があることが明らかになりこれに伴い、日本工業規格の品質基準をクリアーするために実験で得られたように必要体積(V1)、(V2)及び必要面積(A1)、(A2)も増大させる必要があることが明らかになった。
また、表1の結果から例えば、500Paの欄の値を左から右方向に横に比較すると、A0(5050)<A1(5130)<A2(5300)の関係が必要であることも明らかになった。
このような結果が得られた原理を図5及び図6に示す模式図に基づいて説明すると、風雨が全く無い状態では、下枠の上面に設けた排水溝、集水凹部、凹部排水口、案内中空部、屋外排水口は連通していて、外気が排水溝と屋外排水口側から浸入するために、集水凹部の圧力及び案内中空部の圧力は外気と等圧になっている。
しかし、風圧が加わると間隙Kが広がるが、それでも排水溝幅が4mm程度と狭く、雨水により水膜が形成され、この集水凹部に外気の導入が完全にはされないために、室外と集水凹部に若干の圧力差が生じる。これにより、集水凹部へ雨水が吸い込まれることになる。
その結果、室外の圧力が大きくなると室外と集水凹部の圧力差が増大し、集水凹部へ浸入する水量が増大する。
一方、集水凹部から案内中空部へ凹部排水口を通して排水されるが、案内中空部から集水凹部への空気導入も雨水が流れてくる同じ凹部排水口を通して行われるため、集水凹部の圧力と案内中空部の圧力は完全に等圧にはならずに圧力差が生じる原因となる。
従って本発明において半等圧とは、風雨が全く無い場合には下枠内部の圧力が外気と等圧であり、風圧を伴った雨水が生じ風圧が増大するにつれて下枠内部の圧力が外側の圧力に比較して小さくなることを意味する。
上記の状態にて雨水の流れを維持することを本発明において以下ウオーターバランスというが、室外の圧力が増大すると集水凹部及び案内中空部への浸入する水量が多くなるため、集水凹部及び案内中空部の容量を大きくし、かつ排水口を適切な大きさで設定することにより、下枠内に浸入する雨水を溜めないようにする。つまり、浸入する水量と排水する水量のバランスを保つことを意味する。
このような半等圧ウオーターバランス構造に基づいて本発明がされたもので、風圧により障子とサッシ枠の間に設けたシール部が押圧されることにより、気密・水密性を確保しつつ、下枠の排水構造を半等圧ウオーターバランス構造により形成するために、屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着される上下枠及び左右の縦枠からなるサッシの内側を障子がスライド開閉するサッシ構造において、障子に屋外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子と下枠の間にシール手段を備え、このシール手段にかかった雨水も排水されるように下枠フラット上面に排水溝及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備えた。
この集水凹部からの排水を目的に当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通している。
半等圧ウオーターバランス構造を引き違い戸に適用する場合には、屋内外を隔てる建物開口部の出入口に装着される上下枠及び左右の縦枠からなるサッシの内側を引き違い戸がスライド開閉するサッシ構造において、障子に室外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子下框に設けた垂下片と下枠の間、及び障子縦框と縦枠の間にシール手段を備え、かつ障子召合部と下枠上面の間に室内と室外を仕切るシール手段、及び内障子召合部下部に位置する内障子集水凹部に止水ブロックを備え、下枠フラット上面に排水溝、及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備え、当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通している。
なお、引き違い戸の場合には、召合部と下枠上面の間にシール手段を設ける必要があり、一重のシール部材では毛細管現象により雨水が浸入する恐れがあり、二重以上のシール部材を取り付けるのが望ましい。
また、下枠排水溝と内障子スライド溝を同一溝にした場合には、内障子用下枠集水凹部に沿って室内側に雨水が浸入するのを防止するために、召合部下枠集水凹部に止水ブロックを取り付けるのが望ましい。
半等圧ウオーターバランス構造を片引き戸に適用する場合には、上枠と下枠の間にスライド自在に障子を装着し、建屋開口部と障子収納部を有する屋外用片引き戸において、障子に室外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子下框に設けた垂下片と下枠の間にシール手段を備え、かつ上枠と下枠の間に上下方向に配設した縦骨と障子召合框の間、及び障子戸当框と縦枠の間にシール手段を備え、下枠フラット上面に排水溝、及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備え、当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通している。
下枠の構造を下粋ベース部材と上面部材に分割すると、集水凹部及び排水溝の形成を容易にし、凹部排水口の加工も容易になることをねらい、屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着される四方枠からなるサッシであって、下枠は中空断面形状で上部に凹部排水口、下部に屋外排水口を具備した下枠ベース部材と上面略フラットな上面部材とで構成し、当該下枠ベース部材はその上方に上面部材を嵌着する嵌着部を備え、前記上面部材は、下枠ベース部材の嵌着部に嵌着可能な被嵌着部を備えて、上面部材をベース部材に嵌着することにより、下枠ベース部材とで下枠排水溝が形成されると共に排水溝の下部が当該排水溝より広幅の集水凹部を形成し、下枠排水溝と屋外排水口とは集水凹部、凹部排水口、案内中空部を介して外気と連通させた。
本発明においては、下枠上面から突条レールを廃止し、下枠の上面を略フラットに形成し、下枠の上面に細い条状の排水溝を設けてこの直下に幅広の集水凹部が備えられ、凹部排水口、案内中空部及び屋外排水口を介して外気と連通させた集水凹部及び案内中空部の二重構造としたことにより下枠の強度及び剛性を確保しつつ風圧を伴って降ってきた雨水は、屋外と下枠内部に圧力が生じ、上記集水凹部に流れ込むように作用し、優れた排水性を得ることができるとともに、集水凹部に多少の雨水が溜まってもシール部分に雨水がかかることが無く、毛細管現象にて室内側に浸入してくるのを防止できる。
また、引き違い戸及び片引き戸等、戸の開閉構造に合わせて屋外(室外)と屋内(室内)を仕切るシール手段を備え、このシール部に対応して排水溝及び排水口を設けたのでシール部にて外気及び雨水の流れを止め、下側に雨水を流れさせることができるので下枠の強度及び剛性を確保しつつ、優れた気密・水密性を得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の望ましい実施の形態を引き違い戸サッシ構造に適用した場合を例に以下説明する。
図19に本発明による屋外用バリアフリーサッシの施工イメージ図を示し、図18にその屋外開口部の断面を示す。
ビル住宅の戸の屋外には排水用のグレーチング1を取り付け、その外側に段差調整ブロック3を敷いて、図示していないがバルコニーが配設され、さらに外側には手摺り等の安全柵が取り付けられている。
室内からバルコニーへの出入り口に本発明に係るサッシ構造が採用されている。
本発明に係るサッシ構造の下枠サッシ部分の縦断面図を図9に、横断面図を図10に示す。図9及び図18に示すように躯体にアンカー8にて取り付けられた下枠10及び上枠40と、図10に示すように左縦枠20及び右縦枠30のサッシにて枠体を形成し、その内側に屋外側から、外障子50、内障子60が装着されている。
図18に示すように、下枠には従来のような突条のレールが無く、下枠上面に障子下框の障子スライド片のほぼ肉厚に相当する2条の溝が形成されたフラット面になっていて、マンション等のベランダと室内側との境界に段差が無くなり、室内フローリング床面2、下枠10の上面、グレーチング1を介してバルコニーの床面3がほぼ水平に配置されたバリアフリー構造になっている。
図9及び図10に示すように、外障子50は外障子下框51及び上框55と、外障子戸当框52及び外障子召合框53にて枠を形成し、内側にガラス等が装着されている。
外障子下框51の室内側には外障子スライド片51aが垂下されている。また、下框の下框凹部51bには外障子戸車54が取り付けられ、下枠10の略フラットな上面11を移動する。
内障子60も外障子と同様に、内障子下框61及び上框65と、内障子戸当框62及び内障子召合框63にて枠を形成し、内側にガラス等が装着されている。
内障子下框61の室内側には内障子スライド片61aが垂下され、下框の下框凹部61bには内障子戸車64が取り付けられ下枠10の略フラットな上面11を移動する。
下枠10には外障子及び内障子の下框に垂下した外障子スライド片51a、内障子スライド片61aがスライドする外障子スライド溝11a、内障子スライド溝11bを有する外障子用下枠集水凹部12a、内障子用下枠集水凹部12bを設け、凹部の室内側側壁に外障子用横タイト材嵌合溝及び内障子用横タイト材嵌合溝を設けて、外障子用横タイト材14a、内障子用横タイト材14bを配設し、これらの横タイト材は障子のスライド片に摺接している。
下枠10はアルミニウム合金等を用いて押出成形された案内中空部13を有するベース部材10a、及び上面部材10b、10cを嵌合組み合わせて構成されている。
これにより、下枠フラット面の切り欠き加工、下枠集水凹部の排水口の加工及び下枠集水凹部止水ブロックの取付等が容易になっている。
図10に示すように、左縦枠20の枠内側には外障子の戸当框を受ける左縦枠凹部21が設けられ、この左縦枠凹部室内側側壁に左縦枠縦タイト材嵌合溝22を設け左縦枠縦タイト材23が配設されている。
右縦枠30の内側にも外障子の場合と同様に、内障子の戸当框を受ける右縦枠凹部31が設けられ、この右縦枠凹部の室内側側壁に右縦枠縦タイト材嵌合溝32を設け、右縦枠縦タイト材33が配設されている。
図11に示すように、外障子、内障子においてそれぞれ横タイト材とスライド片のシール面及び縦タイト材と戸当框のシール面がほぼ同一になるように配設されているから風圧や障子の建て付け調整に対して安定して確実にシールするように作用するので室内への雨水等の浸入を防止することが出来る。
なお、本発明においては、横タイト材のシール面は縦タイト材のシール面とほぼ同一面になるように形成されていれば良く、タイト材は障子側と枠側のどちら側に取り付けても良く選択的に採用される。
召合わせ部においては図10に示すように、外障子50の外障子召合框53及び内障子60の内障子召合框63に設けた外障子突き合わせ片53aと内障子突き合わせ片63aが障子閉鎖時に当接し、内障子召合わせ部に設けた召合框タイト材嵌合溝63bに、召合框タイト材66が取り付けられ外障子側面と摺接している。
なお、この召合框タイト材は気密性、水密性が確保されれば良く、外障子側に設けても良い。
また、図11に示すように下枠にフラット面排水口15、左コーナー部排水口16a、右コーナー部排水口16b、外障子用下枠凹部排水口17a、内障子用下枠凹部排水口17b及び下枠屋外排水口18が設けられていて、(b)が障子召合わせ部、(a)及び(c)がコーナー部の斜視図である。
なお、フラット面排水口の位置は上記内障子と外障子の召し合わせ部に限定されるものでなく、下枠フラット面に等間隔に複数個設けてもよく、また召合框止水ブロックの位置に関係なく設けてもよいが、特に召し合わせ部に雨水が集中しやすく、この部分に排水口を設けると外部から見えず外観見栄えも良いため、本実施の形態ではこの召し合わせ部分に設けたものである。
また、下枠屋外排水口18の外側には排水口を覆うように逆風、逆水止め部材19が上部で枢着されている。
フラット面排水口に対応する内障子召合框の底部には図12に示すように、召合框止水ブロック70がビス等の召合框止水ブロック係止部材にて取り付けられている。
召合框止水ブロック70には召合框止水ブロックベース部材73に弾性材からなるヒレ状のレインバリア71とヒレ状のウインドバリア72が設けれていて下枠上面及び外障子室内側側面に当接するように配設されている。
従来のようなレール等の段差が無いため、引き違い障子の召し合わせ下部の室外側に溜まる水量が特に多くなるので、この部分の排水性を高めるとともに室内への浸入を防止するために外障子と内障子の召し合わせ位置に対応して下枠にフラット面排水口を設け、内障子召合框の底部に取り付けた召合框止水ブロックに弾性材からなるヒレ状のレインバリアとともにウインドバリアを設けたもので、これにより、下枠フラット面を内外障子召し合わせ部に向けて風圧とともに勢い良く流れてきた雨水はこの召合框止水ブロックに設けられた弾性材からなるヒレ状のレインバリアにて流れの勢いが抑えられるとともに、弾性材からなるヒレ状のウインドバリアにより、召合框の底部と下枠のフラット面が遮蔽され、召し合わせ部の気密性が確保され、当該レインバリアとウインドバリアの間に設けられたフラット面排水口への雨水の落下、排水が促進されるように作用する。
内障子召合框のスライド方向側壁には図12に示すようにゴム等の弾性材からなるヒレ状のウォーターバリア90がウォーターバリア取り付け部材91を介してウォーターバリア係止部材92にて取り付けられている。
その位置関係を図14に示すように、樹脂製のウォーターバリア取り付け部材には長孔のウォーターバリア取り付け孔91aが設けられ、上下方向にスライド調整が出来る構造になっていて、ウォーターバリアを外障子下框の側壁に当てながら上下させて下枠の略フラット面及び下枠集水凹部止水ブロックに当接するように調整した後にウォーターバリア係止部材92にて固定される。
これにより、召し合わせ部に風圧とともに流れ込んで来たいきおいのある雨水は召合框止水ブロックにより流れが止められ排水され、その室内側にさらにウォーターバリアを取り付けたことにより、召し合わせ部のシールラインが、三重構造になるので確実に室内側への漏水を防ぐことができる。
内障子用下枠集水凹部の内外障子召し合わせ部には、図10及び図14に示すように内障子の止水ライン線上で、かつ、内障子と外障子の召し合わせ部位置にほぼ対応させて内障子用下枠集水凹部に内障子用下枠集水凹部形状を塞ぐように弾性体からなる下枠集水凹部止水ブロック80が設けられていて内障子の下枠集水凹部に沿って外障子室内側に雨水が流れ込むのを防止している。
この下枠集水凹部止水ブロック80はその斜視図を図13に示すように止水ブロック弾性体81を止水ブロック取り付け具82に固定し、これを下枠集水凹部の底部にビス等の止水ブロック係止部材で取り付けた。
また、図14に示すように下枠集水凹部止水ブロックの止水ブロック弾性体81は下枠集水凹部の溝の深さ、幅に対応して挿入されていて内障子スライド片61aと摺接している。
図11に示すように、下枠のフラット面排水口15は外障子用下枠凹部排水口17a及び下枠屋外排水口18を介して外気と連通している。
また、フラット面排水口の上部は、図14上面図(a)に示すように外障子召合框53及び内障子召合框63とこれらに設けた外障子突き合わせ片53a、内障子突き合わせ片63a(煙返し部)、召合框タイト材66で形成する空間部に連通している。
本発明の望ましい実施の形態を内障子部分をガラスを嵌め殺し方式に取り付けた固定障子とし、外障子をスライド自在に取り付けた外動片引き戸に適用した例について以下説明するが、内動片引き戸や、固定障子の部分が建築物躯体内に設けた障子収納部としたタイプの片引き戸においても同様に適用できる。
図16に外動片引き戸構造の横断面図を示し、図15にその縦断面図を示し、(A−A断面図)が可動障子部で(B−B断面図)が嵌め殺し部を示す。
サッシ枠は下枠110と上枠140及び室内から室外に向かって左縦枠120、右縦枠130にて方形形状に構されている。
このサッシ枠内屋外側にスライド自在に可動障子150が装着され、室内側に固定障子160が取り付けられている。
可動障子150は障子下框151と障子上框154、及び障子戸当框152と障子召合框153にて枠を形成し、内側にガラス156等が装着されている。
一方固定障子は下枠110と固定障子上框164、右枠130と縦骨170にていわゆる嵌め殺し方式にてガラス166が装着されている。
可動障子150の障子下框151には障子スライド片151aが垂下され、障子下框凹部151bに障子戸車155が取り付けられ下枠110の略フラット面を障子が案内条に沿って移動する。
下枠110には障子下框に垂下した障子スライド片151aがスライドする障子スライド溝111を有する下枠集水凹部112aを設け、この下枠集水凹部の室内側側壁に横タイト材嵌合溝を設けて横タイト材114を配設し、障子スライド片151aに摺接させている。
下枠110はアルミニウム合金等を用いて押出成形された案内中空部113を有する下枠ベース部材110a、目板材110b、上面部材110cを嵌合又はネジ止め等にて組み合わせて構成されている。
上面部材が分割して取り付けられているので、下枠ベース部材の排水口の加工やタイト材の取り替えが容易になり、網戸の取り付けの有無により上面部材を取り替えることが出来、ペアガラス仕様等の重量のある障子を取り付ける場合には対応する肉厚の厚い障子スライド片が必要となったり横タイト材を障子スライド片側に設けたりする場合等、用途に合わせた下枠の障子スライド溝幅になるように上面部材を選定し取り付けることが出来る。
即ち、一種類の下枠ベース部材に各種の上面部材を組み合わせることにより、それぞれの用途に対応できる下枠の構造としたものである。
なお、下枠をアルミニウム形材で形成した場合に嵌め殺し部のガラスを装着する下枠凹部112cが必要となるために、障子が走行する開口部の当該凹部を塞ぐために目板材110bを嵌着又はネジ止めしたのもである。
また、図17に示すようにサッシ枠見付け方向の中央部で上枠と下枠の間に上下方向に設けた縦骨の室外側側面に縦タイト材嵌合溝172を設けて縦タイト材173を配設し、縦方向シールラインを形成している。
ここで縦タイト材は縦骨と障子召合框間の縦方向のシールラインを形成するのが目的であり、必ずしも縦骨側に取り付ける必要はなく障子側に取り付けてもよい。
一方、左縦枠120には図16に示すように障子戸当框152との係合部121を設け、この係合部に設けた縦タイト材嵌合溝122に縦タイト材123を配設し、縦方向シールラインを形成している。
次に雨水の排水の流れを説明すると、図17に召合部の下枠斜視図(a)(分かりやすくするために下枠の枠部材110cを外した状態を示す)、戸当部の下枠コーナー部斜視図(b)を示すように下枠上面のフラット面に流れて来る雨水はスライド溝111から下枠集水凹部112aに流れ込み、次に下枠集水凹部に設けた凹部排水口117aから下枠ベース110aの案内中空部に流れ、下枠屋外排水口118から屋外に流れ出る。
なお、下枠屋外排水口118の外側には排水口を覆うように逆風、逆水止め部材119が上部で枢着されている。
また、縦骨170の突き合わせ片171から浸入してきた雨水はフラット面排水口115より排水され、戸当部コーナー部に設けたコーナー部排水口116からも排水される。
産業上の利用可能性
本発明は、風圧を伴った雨水の室内への浸入を防止するサッシ構造にあるので、ビル住宅等の高層階の屋外開口部に設けられるサッシ構造に最も効果を発揮することになるが、一戸建て住宅等の低層住宅においては、従来以上に、より高気密、高水密性が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1(表1)は、風圧の圧力差による評価結果を示す。
図2(グラフ1)は、圧力差と下枠内に浸入する水量(Q)との関係を示す。
図3(グラフ2)は、圧力差と集水凹部の必要体積(V1)及び凹部排水口の必要面積(A1)との関係を示す。
図4(グラフ3)は、圧力差と案内中空部の必要体積(V2)及び屋外排水口の必要面積(A2)との関係を示す。
図5は、障子に風圧が負荷されていない状態の模式図を示す。
図6は、障子に風圧が加わっている状態を示す。
図7は、障子スライド片が室外側にある場合の雨水の流水を示す。
図8は、障子スライド片が室内側にある場合の流れを示す。
図9は、本発明を引き違い戸に適用した縦断面図を示す。
図10は、本発明を引き違い戸に適用した横断面図を示す。
図11は、排水口の配置を示す。
図12は、召合部の外観斜視図を示す。
図13は、内障子集水凹部止水ブロックを示す。
図14は、召合部止水ブロックとウオーターバリアの位置関係を示す。
図15は、本発明を片引き戸に適用した縦断面図を示す。
図16は、本発明を片引き戸に適用した横断面図を示す。
図17は、召合部及びコーナー部の斜視図を示す。
図18は、建物開口部断面図を示す。
図19は、本発明による屋外用バリアフリーサッシの施工イメージ図を示す。
図20は、従来の段差のあるサッシの施工イメージ図を示す。
Claims (5)
- 屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着される上下枠及び左右の縦枠からなるサッシと、
その内側をスライド開閉する障子を有し、
障子に屋外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子と下枠の間にシール手段を備え、
このシール手段にかかった雨水が排水されるように下枠上面に排水溝を備え、
この排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備えたことを特徴とする屋外用下枠フラットサッシ構造。 - 屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着される上下枠及び左右の縦枠からなるサッシと、
その内側をスライド開閉する障子を有し、
障子に屋外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子と下枠の間にシール手段を備え、
下枠フラット上面に排水溝及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備え、
当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、
この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部が外気と連通していることを特徴とする屋外用下枠フラットサッシ構造。 - 屋内外を隔てる建物開口部の出入口に装着される上下枠及び左右の縦枠からなるサッシと、
その内側をスライド開閉する引き違い戸を有し、
障子に室外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子下框に設けた垂下片と下枠の間及び障子縦框と縦枠の間にシール手段を備え、
障子召合部と下枠上面の間に室内と室外を仕切るシール手段を備え、
内障子召合部下部に位置する内障子集水凹部に止水ブロックを備え、
下枠フラット上面に排水溝及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備え、
当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、
この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、
上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通していることを特徴とする下枠上面フラットの屋外用サッシ構造。 - 建屋開口部と障子収納部を形成した上枠と下枠の間にスライド自在に装着した屋外用片引き戸を有し、
障子に室外側から風圧が負荷されるとシール部が押圧されるように障子下框に設けた垂下片と下枠の間にシール手段を備え、
上枠と下枠の間に上下方向に配設した縦骨と障子召合框の間及び障子戸当框と縦枠の間にシール手段を備え、
下枠フラット上面に排水溝及びこの排水溝の直下に排水溝幅より広い幅を有する集水凹部を備え、
当該集水凹部の底部に凹部排水口を設け、
この凹部排水口の直下に雨水を屋外に案内する案内中空部及び案内中空部屋外側に屋外排水口を設け、
上記集水凹部及び案内中空部が外気と連通していることを特徴とする下枠上面フラットの屋外用サッシ構造。 - 屋内外を隔てる建物開口部出入口に装着される四方枠からなるサッシを有し、
下枠は中空断面形状で上部に凹部排水口及び下部に屋外排水口を具備した下枠ベース部材と、
上面略フラットな上面部材とで構成し、
当該下枠ベース部材はその上方に上面部材を嵌着する嵌着部を備え、
前記上面部材は下枠ベース部材の嵌着部に嵌着可能な被嵌着部を備えて、
上面部材をベース部材に嵌着することにより、
下枠ベース部材とで下枠排水溝が形成されると共に排水溝の下部が当該排水溝より広幅の集水凹部を形成し、
下枠排水溝と屋外排水口とは集水凹部と凹部排水口及び案内中空部を介して外気と連通させたことを特徴とする下枠上面フラットの屋外用サッシ構造。
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