JPS6361170B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は他部品との固定用等に用いられる突起
部を有する樹脂中空体の製造方法に関するもの
で、例えば自動車用冷暖房装置の取付ブラケツト
部付デフロスタホース、エアーダクト等の製造に
採用して好都合である。

吹き込み成形法で、取付ブラケツト部を有する
樹脂中空体を成形するには、従来は金型の割り面
に、吹き込み成形機の樹脂押出ノズルより押出さ
れた円筒状樹脂（以下パリソンと呼ぶ）をパリソ
ンの押出方向全域にわたり挟むことにより成形す
るか、または別部品の金型内へのインサート方式
により、吹き込み成形された中空体にブラケツト
部を一体化していた。

しかし、これらの方法には下記のごとき問題が
ある。

(1) 金型割り面にパリソンを挟む方法 この方法によれば、ブラケツト部以外にも、
パリソン押出方向全域にわたりパリソンを挟ま
なければならないため、余分な材料が必要とな
り、いわゆる歩留りが悪くなり、それにより中
空体の軸方向側面の広範囲に生じた不要部分の
材料の除去が必要となる。これは、例えば蛇腹
部を有する中空体には腹性を損なう原因とな
る。また、この方法によれば、金型の割り面以
外にはブラケツト部を設けることができず、ブ
ラケツト部の成形位置を変えられない。

(2) 別部品のインサート方法 ブラケツト部を別部品とし何らかの方法で製
造しなければならず、コストアツプとなる。

また、吹き込み成形用金型内へのインサート
は入手によるか、自動送り機構が必要となり必
然的にコストアツプとなる。

そこで、本発明はパリソンの膨張時に、その一
部を中空体成形用の閉塞空間とは別の、製品突起
部より突起方向に大きな空間内に流入させ、この
別の空間内に安全に沿つた形状に膨張する前にこ
のパリソンを押しつぶして例えばブラケツト部な
どの中実状の突起部を成形することにより、従来
のごとく別部品によるインサート方法によらず任
意の位置にブラケツト部のような突起部を設ける
ことができ、別部品によるインサート方法と比べ
コストダウンが可能であり、また吹き込み成形用
金型の割り面上に突起部を成形する場合に比べて
余分な材料が不要になり、歩留向上が図られるな
どの数々の優れた利点をもつ樹脂中空体の製造方
法を提供することを目的とするものである。

以下本発明を具体的な実施例により詳細に説明
する。まず、製造装置について説明する。

第１図乃至第５図において、樹脂押出ノズル１
より押手されたパリソン２（ポリエチレン等）
は、型締機３に固定された、吹き込み成形用金型
４および吹き込み成形用金型５に挟まれ吹き込み
成形されるようになつている。吹き込み成形用金
型４，５によつて、パリソン２が導入されて第２
図の中空体１０を成形するための閉塞空間１２が
形成されている。吹き込み成形用金型４には閉塞
空間１２に連通溝４ａが形成してある。この溝４
ａ内には、第２図の取付ブラケツト部１１の形状
を断面形状として持つスライドコア６が往復運動
可能に嵌合してある。なお、スライドコア６の先
端には取付ブラケツト部１１に合致した形状の切
欠部６ａが設けてある。この切欠部６ａは、溝４
ａより突起方向に小さい。このスライドコア６
は、エアシリンダー取付用ブラケツト８に固定さ
れたエアシリンダー７より往運動するようになつ
ている。スライドコア６とエアシリンダー７とは
ナツト９により位置の調整およびゆるみ止めがさ
れている。第３図は吹き込み成形用金型４，５が
押出されたパリソン２を挟んで閉塞空間１２内に
封鎖した状態で、スライドコア６は開き、この先
端と溝４ａとの間にパリソン２が自由膨張できる
空間が確保されるようになつている。第４図は閉
塞空間１２内における金型４，５の壁面方向と前
記空間へと自由膨張しているパリソンの状態を示
している。この自由膨張をさせるために必要な圧
力は、吹込み成形に必要な吹き込み用エアー等の
回路を介してパリソン２内へエアー等を吹き込む
ことにより実施する。なお、この時のエアー等の
圧力はブラケツト部１１を成形するのに必要なパ
リソン２の量をコントロールしやすくするため
に、一般吹き込み圧よりやや低圧としてこれを一
次圧とし、その後、スライドコア６を進めて溝６
の空間を減じ一般吹き込み圧をパリソン２内へ吹
き込む。これを２次圧とする。これは、吹き込み
用エアー、電気回路等にタイマー、ソレノイドバ
ルブを設け、１次圧と２月圧を切り換えるように
すれば、容易に実施できる。ただし、吹き込み用
媒体はエアーに限らず炭酸ガス等、他の物質でも
よいことは言うまでもない。

上記構成において、次に作用を説明する。第１
図の円管状態のパリソン２は第３図のごとく閉塞
空間１２内に挿入される。この状態では、スライ
ドコア６がエアーシリンダー７により後退し、溝
４ａ内は閉塞空間１２と連通した状態であり、パ
リソン２が溝４ａ内に自由膨張できる空間を確保
している。また、この空間は製品となる突起部１
１より突起方向において大きく確保している。そ
の後、吹き込み１次圧によりパリソン２を閉塞空
間１２内で膨張させる。これに伴いパリソン２の
一部は溝４ａ内に流入し膨張するが、１次圧は前
述したとおり低圧として、第４図のごとく、溝４
ａ内の形状に完全に沿う状態までは膨張させな
い。その後、第５図のように、スライドコア６を
エアシリンダー７の前進により前記突起部１１と
直角方向に移動させて第４図のように自由膨張し
たパリソン２をスライドコア６の先端の切欠部６
ａと溝４ａの底部との間で、中実状の取付ブラケ
ツトブ１１が閉塞空間１２内の中空体１０と一体
に接続した状態で成形される。その後通常吹き込
み圧の２次圧を吹き込み、ブラケツト部１１を有
する中空体１０を一般の吹き込み成形し、所望の
最終形状を得る。

第６図のごとく、ブラケツト部１１が他の要因
により（例えば取付側の制約、中空体の口部の肉
厚分布を均一にするため）型割り面上にあり、か
つスライドコア６の作動方向にエアシリンダー７
を設置できない場合には、第７図乃至第９図に示
すように、スライドコア６の内部にカム溝６ｂを
設け、アンギユラカム１３によりスライドコア６
を作動させることにより、簡単に中空体を得るこ
とができる。なお、スライドコア６の先端には切
欠部６ａの他に円弧部６ｃが設けてある。この場
合も勿論、空間４ａは突起部１１より突起方向に
おける大きな空間となつている。図中、１４は取
付ステ、１５はエアシリンダー７とカム１３とを
連結するナツトである。なお、第６図の中空体１
０には屈曲自在な蛇腹部１０ａを設けてある。

以上述べた実施例では、スライドコア６の作動
にエアーシリンダによつて行なつたが、油圧シリ
ンダー等によつても同様に作動させることがで
き、その他、機械式、電気式、人力式等でもよい
ことは勿論である。また、本発明は自動車用冷暖
房装置のデフロスタホース、エアーダクトに限定
されず、把手部を有する樹脂コツプ類、あるいは
取付ブラケツト部を有する樹脂フース類など製造
にも勿論適用できる。また、突起部は中空体の全
長に亘つて一体成形することもできる。

以上詳述した本発明によれば、次のごとき効果
がある。

(1) インサート方法のように別部品を用いずに樹
脂中空体の任意の位置に突起部を一体成形で
き、従つて予め別部品を成形するためのコスト
アツプをなくすことができるとともに、別部品
の吹き込み成形用金型内への配置という手間と
コストアツプを伴う工程を廃止できる。

(2) 吹き込み成形用金型内の割り面上にて突起部
を成形する場合に比べて、突起部を中空体の任
意の位置に成形できて自由度が増し、しかも突
起部を成形する際の余分な樹脂材料をごくわず
かしか必要とせず、かつこれに伴なう面倒なバ
リ取りを大幅に低減できる。

(3) 突起部１１を成形するための空間４ａへパリ
ソンの一部を膨張流入せしめが、そのパリソン
は空間４ａの形状に完全に沿う状態に膨張する
前にスライドコア６を突起部と直角方向に移動
せしめて該スライドコア６にてパリソンを圧縮
しているから、空間４ａの形状に完全に沿うま
で、つまり空間４ａの内壁にぴつたり合うまで
パリソンを膨張させた場合のように空間４ａの
内部への接触によつてパリソン自身の温度
（熱）が下がることがなく、しかもスライドコ
ア６によるパリソンの圧縮時にパリソンの材料
を空間４ａ内に逃がすことができ、従つてスラ
ンドコア６によつてパリソンを確実に圧縮でき
るとともに、圧縮した際にパリソンを熱融着
（ホツトメルト接着）できるため、所望形状の
良好なる突起部１１を形成できる。

これは、従来公知の特公昭36−9586特開昭56−
68870では膨張させる方向が最終物品の突起形状
と突起方向の寸法が同一のため、膨張部パリソン
の肉厚が1μｍ以下程度の薄肉の場合には急激に
パリソンが温度低下をおこし、融着不可能とな
る。

つまり、これは突起量の大きい突起部を成形し
ようとした場合、突然空間内へ大きく膨張しなけ
ればならず、膨張によるパリソンの薄肉化による
温度低下を招き成形不可能となる。例えば、膨張
根本部のパリソン肉厚を1μｍとして、膨張空間
の平面形状を15mm×15mmの正方形とし膨張量つま
り突起量を10mmとした場合には先端部肉厚は0.3
mm程度となり成形不可能であつた。

これに対し、本発明は以上述べてきたように最
終部品の突起形状より突起方向へ大きな空間にパ
リソンを膨張させ、金型に密着する以前にスライ
ドコアを突起部と直角方向に移動し突起部を成形
するため、このような条件でも成形が可能であ
る。

このように、従来技術では肉厚が１〜1.5mm程
度の製品へ突起部を設けようとした場合には、そ
の突起量は２〜３mm程度のせいぜい補強リブ程度
の突起部しか成形することができなかつたが、本
発明によれば例えば突起量10mm程度の例えば取付
ブラケツトとして、十分の量の突起部を成形する
ことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は吹き込み成形機の樹脂押出ノズル部お
よび型締め部を示す正面図、第２図は本発明製造
法の一実施例で製造した中空体を示す斜視図、第
３図乃至第５図は本発明装置の一実施際を示すも
ので、パリソン２の膨張過程を説明している断面
図、第６図は本発明製造法の他の実施例で製造し
た中空体を示す正面図、第７図乃至第９図は本発
明装置の他の実施例を示すもので、パリソン２の
膨張過程を説明している断面図である。 ２……パリソン、４，５……吹き込み成形用金
型、４ａ……別の空間を構成する連通溝、６……
スライドコア、７……エアシリンダー、１０……
中空体、１１……取付ブラケツト部、１２……閉
塞空間。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 樹脂製筒状中空体の外周に中実状突起部を一
   体形成する方法において、前記中空体の最終物品
   の外周形状に対応した形状を有していて管状の樹
   脂パリソンが導入される閉塞空間、該閉塞空間の
   外周に位置してこれと連通し、前記パリソンの一
   部が導入される別の空間、および該別の空間内に
   導入された前記パリソンの圧縮方向、ならびに圧
   縮解除方向に移動可能に作動するスライドコアを
   具備した成形型を有し、 前記パリソンを前記閉塞空間内に導入し該空間
   内で膨張させるとともに、そのパリソンの一部を
   製品となる突起部より突起方向に大なる前記別の
   空間内に膨張流入せしめ、このパリソンの一部が
   前記別の空間内に沿つた形状となる前の状態で前
   記スライドコアを前記突起部と直角方向に移動せ
   しめて該スライドコアにて前記パリソンの一部を
   圧縮して前記突起部を形成し、その後前記閉塞空
   間内に導入されているパリソンを最終物品の前記
   中空体となるまで膨張させることを特徴とする中
   実状突起部を有する樹脂中空体の製造方法。 ２ 前記別の空間内に前記パリソンの一部を膨張
   流入せしめる際の吹き込み圧は前記閉塞空間内に
   導入されたパリソンを最終物品の中空体となるま
   で膨張させる際の吹き込み圧より低くしてある特
   許請求の範囲第１項記載の中実状突起部を有する
   樹脂中空体の製造方法。 ３ 前記スライドコアの先端面に前記突起部の形
   状に対応し、前記別の空間より突起方向に小なる
   切欠部が設けられている特許請求の範囲第１項ま
   たは第２項記載の中実状突起部を有する樹脂中空
   体の製造方法。