JPS6348470Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は移動農機の変速牽制装置に関するもの
である。

一般に、比較的低馬力のエンジンを搭載した歩
行型の移動農機では、操向ハンドルを正規位置で
は機体に対し後方へ延長するように設けている
が、機体前方側へも選択的に反転できるように構
成されている。

ところで、操向ハンドルを変速レバーと共に機
体の前方側に反転した場合に、変速レバーを高速
前進位置に変速すると機体が前方側に向く操向ハ
ンドル側に向つて高速で走行する状態となるので
非常に危険であつた。また、反転可能に設けられ
た変速レバーは、変速ガイド板が対設されてな
く、点検・整備または組立の際、その移動範囲が
正確に把握されないという問題があつた。

前項の問題を防止するために、変速レバーを機
体前方側に反転させたときには、ストツパーなど
の牽制具を手動で切換えて変速レバーが高速位置
に変速できないようにしてあるのが普通である。

しかしながら、この種の牽制具を手動で切換え
る方式のものでは、往々にして切換忘れをするこ
とがあるため、その危険防止手段が有効に活用さ
れないという問題があつた。

この問題を解決するため、ハンドル枠体の機体
前方に向く反転操作に連動して高速前進位置を牽
制するものが提案されている（例えば、実公昭51
−38808号公報参照）。しかし、このものは、変速
レバーの反転操作に伴い高速前進位置が牽制され
ないという欠点があつた。

また、チエンジレバーの機体前方に向く反転操
作に連動してセレクトアームの上動回動を抑止
し、高速用シフトシヤフトを作動不能に規制する
ものも提案されている（例えば、実開昭51−
138514号公報参照）。しかし、このものは、ガイ
ド穴を有する変速ガイド板が対設されたものでは
ない。

そこで、本考案は上述した従来の実情に鑑み、
それらの問題を解消すべく創案されたもので、枝
アームが移動する変速ガイド板を利用し、変速レ
バーを操向ハンドルと共に機体前方側へ反転させ
ると、自動的に変速レバーが高速前進位置へ変速
できないようにした移動農機の変速牽制装置を提
供することにある。

上記目的を達成する本考案による移動農機の変
速牽制装置は、機体後方側に向く操向ハンドルと
変速レバーとを、ミツシヨンケースを中心にして
機体前方側に向けて反転可能に構成し、該変速レ
バーを、上記ミツシヨンケース内に設けられ互い
に平行移動可能な前進用シフタ軸および後進用シ
フタ軸と選択係合する変速アームに連結し、上記
シフタ軸を一側方へ移動すると高速変速位置、他
側方へ移動すると低速変速位置に移動するよう構
成した移動農機において、前記変速アームに固定
した枝アームを変速ガイド板に設けたガイド穴内
に移動自在に設けると共に、ガイド穴の高速前進
位置を牽制する牽制具を、前記変速レバーの機体
前方側に向く反転操作に連動して牽制位置に突出
すべく付勢弾持したことを特徴とするものであ
る。

以下、本考案を図に示す実施例により説明す
る。

第１図は本考案の変速牽制装置を設けた歩行型
の移動農機であり、操向ハンドル２は、機体１に
対し正規位置では後方へ延長するように設けられ
ている。同様に、ミツシヨンの変速を行うための
変速レバー３も機体後方へ延長するようにしてあ
る。この操向ハンドル２は、溝上げや覆土など作
業上必要であるときは、軸Ｃを中心にして、実線
で示す正規位置から鎖線で示す機体前方側へ反転
させることができるようにしてあり、またこれに
伴つて変速レバー３も機体前方側へ反転すること
ができるようにしてある。

第２図〜第４図に示すように、変速レバー３の
先端部は断面がコの字状に形成された支持ブラケ
ツト４に上下に貫通するように支持されている。
この支持ブラケツト４はその側部にボス部５を溶
接固定し、このボス部５は軸６に回動自在に支持
され、さらに軸６はミツシヨンケース７に固定さ
れている。支持ブラケツト４を貫通した変速レバ
ー３の下端にはスプリング１０が介挿され、変速
レバー３を下方へ向けて付勢している。また、支
持ブラケツト４よりも上方側に位置する変速レバ
ー３上には、プレート９が固定され、このプレー
ト９の下面に二つの突起９ａ，９ａが設けられて
いる。このプレート９と支持ブラケツト４との間
には、変速アーム８の連結部が介挿され、この連
結部に設けた連結穴８ａ，８ａがプレート９の突
起９ａ，９ａと嵌合し、この状態でスプリング１
０の弾性力により挾持されるようになつている。
このように変速アーム８の連結部が挾持された状
態で、変速レバー３を軸６を中心に前後に揺動さ
せると、変速アーム８の他端側が互いに平行配設
された変速シフタ軸１２，１２の切欠１２ａ，１
２ａのいずれか一方と係合し、さらにその係合状
態で変速レバー３を支持ブラケツト４の嵌合穴を
軸心として左右いずれかに操作すると、変速シフ
タ軸１２が軸方向に移動してミツシヨンを高速前
進、低速前進、後退のいずれかの位置にに切り換
えられるようになつている。

上記変速アーム８には枝アーム１３が上方へ突
出するように固設され、この枝アーム１３は変速
ガイド板１４のガイド穴１４ａに臨むようになつ
ている。ガイド穴１４ａには低速前進の１速(1)と
後退（Ｒ）との位置を設定するガイド凹部が右側
に設けられれ、また高速前進の２速(2)と３速(3)と
の位置を設定するガイド凹部が左側に設けられて
いる。また、変速ガイド板１４の裏面側には、上
記高速前進の２速(2)と３速(3)とのガイド凹部に臨
む位置に、牽制ロツド１５が摺動可能に設けられ
ている。

この牽制ロツド１５は、変速レバー３が正規位
置の機体後方側へ延長する位置にあるときは、第
３図Ａ，Ｂ，Ｃに示すように、スプリング１６に
よりガイド穴１４ａ側に向けて付勢された状態に
あると共に、この付勢された状態でＬ字状の屈曲
部１５ａを変速ガイド板１４の切欠部１４ｂに係
止された待避位置にある。

一方、変速レバー３の外側面にはピン１７が突
設されている。このピン１７は、操向ハンドル２
を機体前方側へ反転させたことに伴い変速レバー
３を同じく機体後方側へ反転させると、第４図
Ａ，Ｂに示すように、切欠部１４ｂ上方を横切
り、この切欠部１４ｂに係合している牽制ロツド
１５の屈曲部１５ａを払い除けてその係合を外す
ように作用する。このように係合を外された牽制
ロツド１５は、スプリング１６の弾性力によりガ
イド穴１４ａへ移動し、その高速前進の２速(2)及
び３速(3)のガイド凹部を閉塞する。

このように高速前進位置のガイド凹部が閉塞さ
れた状態では、そのガイド凹部に枝アーム１３が
侵入することができないため、変速レバー３を操
作しても高速前進位置へミツシヨンを切り換える
ことができないことになる。

したがつて、上記装置によると、操向ハンドル
２を正規位置から機体前方側へ反転させることに
伴つて、変速レバー３を同じく機体前方側へ反転
操作すると、それに連動して牽制ロツド１５が自
動的に高速前進位置を牽制することになる。した
がつて、この反転状態において変速レバー３を高
速前進位置にシフトしようとしても、ミツシヨン
はその高速前進位置にセツトすることはできな
い。したがつて、従来装置のようにストツパーの
操作忘れによる危険の発生という問題はないこと
になる。

また、変速レバー３と変速アーム８との係合離
脱を、実施例のようにプレート９の突起９ａと変
速アーム８の連結穴８ａとの係脱により行うよう
にすると、変速レバー３の係脱及び反転操作をワ
ンタツチで行うことができる。

第５図及び第６図は、本考案の他の実施例を示
したもので、変速アーム８に対し変速レバー３が
貫通している貫通穴８ｂが、その上下開口部で面
取りされ、断面において円弧Ｒを形成するように
なつている。また、プレート９の突起９ａは１個
だけとし、この一個の突起９ａが、変速レバー３
を正規位置と反転位置とに切り換えられるとき、
変速アーム８の二つの連結穴８ａ，８ａに交互に
嵌合するようにしてある。

この実施例の装置によると、変速レバー３の反
転操作を行うとき、第６図に示すように変速アー
ム８の連結穴８ｂの円弧Ｒにより、変速レバー３
が傾斜しても大きな摩擦を受けることなく引き上
げることができ、変速レバー３を一層円滑に反転
操作することができるようになる。

これを要するに、本考案による移動農機の変速
牽制装置は、機体後方側に向く操向ハンドルと変
速レバーとを、ミツシヨンケースを中心にして機
体前方側に向けて反転可能に構成し、この変速レ
バーを上記ミツシヨンケース内に設けられ互いに
平行移動可能な前進用シフタ軸および後進用シフ
タ軸と選択係合する変速アームに連結し、上記シ
フタ軸を一側方へ移動すると高速変速位置、他側
方へ移動すると低速変速位置に移動するよう構成
した移動農機にあつても、変速レバーの操作によ
り、変速アームに固定した枝アームを、変速ガイ
ド板のガイド穴内に移動させて変速できるので、
点検・整備または組立の際、変速レバーの移動範
囲を正確に把握できる。

しかも、この変速ガイド板を利用し、ガイド穴
の高速前進位置を牽制する牽制具を、変速レバー
の機体前方側に向く反転操作に連動させて突出さ
せることにより、変速レバーが高速前進位置に変
速されるのを確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の変速牽制装置が設けられた移
動農機の側面図、第２図は同装置の要部を示す斜
視図、第３図Ａ，Ｂ，Ｃはそれぞれ同装置におい
て変速レバーが正規位置にあるときの要部の平面
図、一部断面の側面図、第３図ＢにおけるＸ矢視
図、第４図Ａ，Ｂはそれぞれ同じく変速レバーを
機体前方側へ反転させたときの要部の平面図及び
一部断面の側面図、第５図は他の実施例の要部を
一部断面にして示す側面図、第６図は同装置の作
動状況を示す側面図である。 ２……操向ハンドル、３……変速レバー、４…
…支持ブラケツト、８……変速アーム、８ａ……
嵌合穴、９……プレート、９ａ……突起、１２…
…変速シフタ軸、１３……枝アーム、１４……変
速ガイド板、１４ａ……ガイド穴、１４ｂ……切
欠部、１５……牽制ロツド、１５ａ……屈曲部、
１６……スプリング、１７……ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体後方側に向く操向ハンドルと変速レバーと
   を、ミツシヨンケースを中心にして機体前方側に
   向けて反転可能に構成し、該変速レバーを、上記
   ミツシヨンケース内に設けられ互いに平行移動可
   能な前進用シフタ軸および後進用シフタ軸と選択
   係合する変速アームに連結し、上記シフタ軸を一
   側方へ移動すると高速変速位置、他側方へ移動す
   ると低速変速位置に移動するよう構成した移動農
   機において、前記変速アームに固定した枝アーム
   を変速ガイド板のガイド穴内に移動自在に設ける
   と共に、ガイド穴の高速前進位置を牽制する牽制
   具を、前記変速レバーの機体前方側に向く反転操
   作に連動して牽制位置に突出すべく附勢弾持した
   ことを特徴とする移動農機の変速牽制装置。