JPS6012752Y2 - 耕耘機におけるバック耕耘牽制装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、耕耘変速レバーを操作することなく単に走行
変速レバーのみを操作することによってバック耕耘する
ことができる耕耘機におけるバック耕耘牽制装置に係る
ものである。

従来の耕耘機にあっては、耕耘変速装置を一旦中立にす
るか、または安全装置を解除した後でなければ走行変速
レバーをバック変速に操作することができないので、い
わゆるバック耕耘を行う場合には、走行変速レバーの操
作を行う前に別途な操作をして安全装置を解除する必要
があり、このため、バック耕耘操作が煩雑であった詐り
でなく、安全装置のリセットを忘れ、あるいはバック耕
耘の操作を容易化するために怠慢により安全装置を解除
したままで放置し、不測の事故を引き起すことがあった
。

そのため、バック走行とバック耕耘とを走行変速レバー
の変速操作によって行なうことができるようにしたもの
も提案されているが、このものは、前・後進シフト軸の
他に後進時にのみ耕耘部への動力伝達を遮断するのに必
要な耕耘シフト軸を別個に設け、しかもこれら本数の多
いシフト軸で支持したシフトアームを選択するシフトア
ームを支持する変速杆をも設けたものであるので、変速
機構の構成が非常に複雑で大形化して重量が大となる欠
点があり、耕耘機のような小型の農機には適さなかった
。

本考案は上記のような実情に鑑み全く新しい構想のもと
に創案されたものであって、走行変速レバーの位置を誘
導案内する走行変速溝に走行バック溝と耕耘バック溝と
を別個に設けた前後進変速を行う走行変速装置において
、併設した複数のシフター軸の内、少なくとも後進位置
の切り換えを行うシフター軸は上記走行変速レバーの操
作により変速ケースに対して摺動移動するようになすと
共に、該シフター軸と平行に設けた原動機に連動連結し
た常時回転軸には耕耘クラッチを設ける一方、上記シフ
ター軸には走行変速レバーを走行バック溝に移動した際
にのみ上記耕耘クラッチを切状態とする係合部材を設け
て、走行変速レバーを耕耘バック溝に移動した際にはバ
ック耕耘可能に構成したことにより、耕耘機のように小
型の農機に適するよう構造を簡略化し、コンパクトで軽
量な変速装置でありながらバック走行とバック耕耘作業
を走行変速レバーの操作のみで迅速且つ安全確実に行う
ことができる耕耘機におけるバック耕耘牽制装置を提供
しようとするものである。

本考案の構成を図面に示された一実施例について説明す
れば、１は耕耘機の変速ケース、２は耕耘機のハンドル
シャーシであって、該ハンドルシャーシ２の端部には走
行変速溝３を形成したガイド板４が固定されている。

５は変速ケース１に内蔵された走行変速装置であって、
該走行変速装置５には変速ギヤ６．６′を軸方向摺動自
在に楔着保持した常時回転軸７が軸支されており、該回
転軸７の外端部に固定したプーリ８は図示しないエンジ
ンに主クラッチを介して連結されている。

９．９′は前記変速ギヤ６．６′を摺動制御するシフタ
ーであって、図示しないバックギヤと噛合し得る変速ギ
ヤ６に係合する一方のシフター９はシフター軸１０に回
動自在にのみ係着され、他方のシフター９′はシフター
軸１０′に軸方向移動可能に挿通されており、このシフ
ター軸１０′は、変速ケース１に固定されている。

１１は前記シフター軸１０をバック変速位置と第１変速
位置と中立位置とにそれぞれ弾圧係着するボール、１２
は該ボール１１を弾圧するスプリングである。

１３は前記両シフター９，９′に選択的に係合する走行
変速レバーであって、該走行変速レバー１３は球軸受１
４によって変速ケース１に支持されていると共に、走行
変速溝３を貫通して作業者の手許部まで延設されている
。

前記走行変速溝３は、走行バック溝３ａと、耕耘バック
溝３ｂと、第１速から第３速までの前進変速溝３ｃ、３
ｄ、３ｅによって形成されており、これらの前進変速溝
３ｃ。

３ｄ、３ｅと走行バック溝３ａとで横Ｈ字状の変速溝の
パターンを形成し、その外側部に走行バック溝３ａと平
行して耕耘バック溝３ｂを設けており、これら両バック
溝３ａ、３ｂに走行変速レバー１３を位置させれば変速
ギヤ６が図示しないバックギヤと噛合して耕耘機をバッ
クさせるようにしている。

１５は前記シフター軸１０に固定されたプレートであっ
て、該プレート１５はシフター９に形成した係合溝１６
と重合し、常時はスプリング１７の保持作用によって係
合溝１６の中央部に保持されており、走行変速レバー１
３を耕耘バック溝３ｂに位置させれば走行変速レバー１
３の先端部１３′によって第１図に二点鎖線で示すよう
に押圧回動され、シフター軸１０を回動させるようにな
っている。

１８は後述する耕耘部への動力を断続する際の係合部材
をなす前記シフター軸１０の端部に固定されたカムプレ
ートである。

１９は前記した常時回転軸７の端部に軸方向摺動自在に
楔着保持された耕耘クラッチで、スプリング２０の張圧
力によって図示しない耕耘変速装置の入力軸と噛合保持
されている。

２１は前記耕耘クラッチ１９のクラッチアームであって
、ピン２２によって変速ケース１に枢着されており、該
クラッチアーム２１の端部には前記カムプレート１８に
対向するボルト２３が止着され、シフター軸１０の突出
にともなってカムプレート１８とボルト２３とが衝接し
、クラッチアーム２１を揺動させてスプリング２０の張
力に抗して耕耘クラッチ１９を移動させることによって
、常時回転軸７から耕耘変速装置の入力軸に対する動力
の伝達を中断する牽制機構が構成されている。

２４は前記ハンドルシャーシ２とガイド板４との間に摺
動自在に挾み込み保持された表示板であって、走行変速
レバー１３を耕耘バック溝３ｂに位置させればスプリン
グ２５に抗してガイド板４の外側部に突出し、常時はス
プリング２５の張圧力によって耕耘バック溝３ｂを閉じ
るように没入している。

次に叙上の如く構成した本考案の作用について説明する
。

走行変速レバー１３を前進変速溝３Ｃ？ ３ｄｗ
３ｅに位置させた状態では、プーリ８から常時回転軸７
に入力された回転力が変速ギヤ６．６′のいずれかを介
して図示しないドリブンギヤに伝達されて機体を前進さ
せると共に、前記回転力が常時回転軸７に楔着した耕耘
クラッチ１９を介して耕耘変速装置に伝達されるのであ
る。

また、走行変速レバー１３を走行バック溝りａ内に位置
させると、変速ギヤ６が第４図の状態から右側に移動し
て図示しないバックギヤと噛合して機体をバックさせる
のであるが、このとき、変速ギヤ６と共にシフター９を
回動自在に楔着したシフター軸１０も同様に右側に横移
動する。

したがって、それまで離間していたカムプレート１８と
ボルト２３とがシフター軸１０の横移動によって衝突し
、このボルト２３がカムプレート１８によって右側に押
圧され、クラッチアーム２１を揺動させるのである。

このクラッチアーム２１の揺動にともなって常時回転軸
７に楔着されている耕耘クラッチ９がスプリング２０の
張圧力に抗して左側に移動し、常時回転軸７から耕耘変
速装置の入力軸に対する動力の伝達を中断し、この耕耘
変速装置を不作動状態に牽制するのである。

そのため、走行変速レバー１３を走行バック溝３ａに変
速操作すると、従来の耕耘機の場合と同様に耕耘変速レ
バーを操作しなくとも耕耘装置を停止させることができ
、作業者の安全を確保することができる。

他方、いわゆるバック耕耘作業を行うに際しては、走行
変速レバー１３を中立位置から耕耘バック溝３ｂに移動
させると、この移動にともなって表示板２４がガイド板
４より突出し、バック耕耘が行われることを表示して作
業者に注意を促すことができる。

そして、耕耘バック溝３ｂへの走行変速レバー１３の移
動にともなって先端部１３′がプレート１５を介してシ
フター軸１０を回動させ、ボルト２３に対向するカムプ
レート１８を回動退避させる。

そのために、変速ギヤ６をバックギヤに噛合させるべく
右側に移動させ、シフター軸１０がボルト２３側に横移
動して、走行バック溝３ａ位置と同一の横移動位置であ
っても、シフター軸１０の回動によってカムプレート１
Ｂとボルト２３とが衝接せず、クラッチアーム２１を揺
動させない。

したがって、走行変速レバー１３の走行バック溝３ａへ
の変速操作時に牽制されて動力伝達が中断された耕耘ク
ラッチ１９はシフター軸１０の横移動位置が両バック溝
３ａ、３ｂとで変化しないのにかかわらず牽制が解除さ
れてスプリング２０の張圧力によって耕耘変速装置の入
力軸との噛合状態を保持して入力軸を回転し続けるので
、機体をバックさせながら耕耘装置を駆動し続けること
ができ、バック耕耘を行い得るのである。

そして、耕耘バック溝３ｂから走行変速レバー１３を他
の部分に移動させれば、この耕耘バック溝３ｂは再び表
示板２４で閉じられ、シフター軸１０はスプリング１７
の張力によって復帰してその軸端に固定したカムプレー
ト１８とクラッチアーム２１のボルト２３とを再び対向
させ、初期の状態となるのである。

これを要するに本考案は、走行変速レバー１３の位置を
誘導案内する走行変速溝３に走行バック溝３ａと耕耘バ
ック溝３ｂとを別個に設けた前後進変速を行う走行変速
装置において、併設した複数のシフター軸１０．１０’
の内、少なくとも後進位置の切り換えを行うシフター軸
１０は上記走行変速レバー１３の操作により変速ケース
１に対して摺動移動するようになすと共に、該シフター
軸１０と平行に設けた原動機に連動連結した常時回転軸
７には耕耘クラッチ１９を設ける一方、上記シフター軸
１０には走行変速レバー１３を走行バック溝３ａに移動
した際にのみ上記耕耘クラッチ１９を切状態とする係合
部材を設けて、走行変速レバー１３を耕耘バック溝３ｂ
に移動した際にはバック耕耘可能に構成したものである
から、従来の耕耘機のバック耕耘牽制装置に比し、著し
く構造を簡略化でき、コンパクトで軽量となるばかりで
なく、その操作に当たっては、走行変速レバー１３を走
行バック溝３ａに操作した時には、シフター軸１０の摺
動移動により走行バック位置に切り換えられると同時に
耕耘部への動力伝達を遮断できてバック走行時の安全性
を確保でき、また、バック耕耘を行いたい場合には走行
変速レバー１３を耕耘バック溝３ｂに操作するだけで、
迅速確実に切り換えできるので、操作が簡単となる等の
実用的作用効果を多々奏するもので、これらにより小型
の農機である耕耘機に最適のバック耕耘牽制装置となる
。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る耕耘機におけるバック耕耘牽制装置
の一実施例を示すものであって、第１図は要部の縦断面
図、第２図は走行変速ガイド板の正面図、第３図は第２
図の縦断面図、第４図は第１図の横断面図、第５図は第
４図のＡ矢視図である。 図中、３ａは走行バック溝、３ｂは耕耘バック溝、５は
走行変速装置、７は常時回転軸、１０゜１０′はシフタ
ー軸、１３は走行変速レバー、１９は耕耘クラッチであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行変速レバー１３の位置を誘導案内する走行変速溝３
   に走行バック溝３ａと耕耘バック溝３ｂとを別個に設け
   た前後進変速を行う走行変速装置において、併設した複
   数のシフター軸１０，１０′の内、少なくとも後進位置
   の切り換えを行うシフター軸１０は上記走行変速レバー
   １３の操作により変速ケース１に対して摺動移動するよ
   うになすと共に、該シフター軸１０と平行に設けた原動
   機に連動連結した常時回転軸７には耕耘クラッチ１９を
   設ける一方、上記シフター軸１０には走行変速レバー１
   ３を走行バック溝３ａに移動した際にのみ上記耕耘クラ
   ッチ１９を切状態とする係合部材を設けて、走行変速レ
   バー１３を耕耘バック溝３ｂに移動した際にはバック耕
   耘可能に構成したことを特徴とする耕耘機におけるバッ
   ク耕耘牽制装置。