JPH0215136Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はPTO変速レバーにおけるPTO変速レ
バーの牽制装置に関し、安全性を高めると共に、
変速操作が従来と略同様に容易に行えるようにす
ることを目的とする。

トラクタにおいては、PTO系に変速レバーに
より高低２速に切換可能なPTO変速装置を備え
た場合には、不慮に変速レバーを低速位置から高
速位置に操作することがあり、このような際には
PTO軸の回転が増速されることによる事故の惧
れがあつた。従つて、上記のつうなPTO変速装
置を備えた場合には、何らかの安全対策が要望さ
れていた。特に、上記要望は海外向けトラクタに
おいて強かつた。

そこで、PTO変速レバーの牽制位置として、
実開昭57−159823号公報にて開示されたものが提
案されている。

これは、トラクタ車体に牽制部を有する牽制体
を、牽制部が変速レバーの高速位置と低速位置と
の間に位置する牽制位置と、牽制部が変速レバー
の操作域から離脱した非牽制位置との間で往復揺
動自在に枢支したものである。そして、牽制体が
牽制位置に位置する時において、牽制部における
変速レバーの低速位置側縁部を、変速レバーの低
速位置側から高速位置への移動を阻止する阻止部
とすると共に、牽制部における変速レバーの高速
位置側縁部を、変速レバーの高速位置から低速位
置側への移動時に変速レバーと接当して牽制体を
非牽制位置に移動させるカム部としている。ま
た、牽制体を牽制位置側に付勢する弾機を備える
と共に、牽制位置と非牽制位置とで牽制体のそれ
以上の揺動を規制するため、牽制体は固定側から
突出したピンに接当するものとされている。

しかし、上記従来の牽制位置は、トラクタ車体
の外部に露出したPTO変速レバーに適用される
ものである。そのため、PTO変速レバーを案内
板の案内溝に挿通し、PTO変速レバーの把持端
側のみを案内板の外部に突出させて防塵を図つた
り見栄えを良くしたようなPTO変速装置には、
そのまま適用できない。すなわち、牽制体が案内
板の裏側に位置するため、牽制体を案内板の外部
から揺動操作させるための手段が別途必要であ。
また、PTO変速レバーの動きは案内溝に沿うこ
とになるため、牽制体の位置も案内溝に対応して
定める必要があるが、牽制体と、牽制体の揺動規
制体と、案内板とを別個独立のものとして車体に
取付けると、製作や組付の誤差により牽制体を正
確に牽制位置と非牽制位置に位置決めできなくな
る虞れがある。

本考案は上記に鑑み、案内板の案内溝に挿通さ
れた変速レバーにより高低速切換可能とした
PTO変速装置に適用できる牽制装置を提供する
ことを目的とする。

本考案の特徴とするところは、案内板１７の案
内溝２９に挿通された変速レバー２３により高低
速に切換可能としたPTO変速装置において、案
内板１７の裏面に、牽制部３３を有する牽制体３
０を、牽制部３３が変速レバー２３の高速位置と
低速位置との間に位置する牽制位置Ｅと、牽制部
３３が変速レバー２３の操作域から離脱した非牽
制位置Ｆとの間で往復揺動自在に枢支し、牽制体
３０が牽制位置Ｅに位置する時において、牽制部
３３における変速レバー２３の低速位置側縁部
を、変速レバー２３の低速位置側から高速位置へ
の移動を阻止する阻止部３４とすると共に、牽制
部３３における変速レバー２３の高速位置側縁部
を、変速レバー２３の高速位置から低速位置側へ
の移動時に、変速レバー２３と接当して牽制体３
０を非牽制位置Ｆに移動させるカム部３５とし、
牽制体３０に、案内溝２９から案内板１７の外部
に突出する抓部３６を設け、この抓部３６が、牽
制体３０の牽制位置Ｅと非牽制位置Ｆとで前記案
内溝２９の内周縁に接当して牽制体３０のそれ以
上の揺動を規制するストツパを兼用し、牽制体３
０を牽制位置側に付勢する弾機３７を備えた点に
ある。

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第６図の
図面に基き説明すれば、第１図において、１はト
ラクタ車体、２は前輪、３は後輪、４はボンネツ
ト、５はステアリングハンドル装置、６は作業機
昇降用油圧装置、７は運転席、８は後輪フエンダ
である。

トラクタ車体１はミツシヨンケース９等から成
る、その内部には、走行系変速装置とPTO変速
装置が備えられ、走行系変速装置は、主変速装置
と前後進切換装置等を有する。

第２図にも示すように、ハンドル装置５は、ハ
ンドル１６と、外周ハンドル１６に上端が固設さ
れたハンドル軸と、ハンドル軸を覆被するハンド
ルポスト１０と、ハンドルポスト１０下端が固設
された操向ボツクス１１とから成り、操向ボツク
ス１１がミツシヨンケース９の幅方向中央部上面
に固設されている。ハンドルポスト１０の高さ方
向中途部及び下部側は、ボンネツト４から後方に
突出する平面視コ型の上カバー１２及び下カバー
１３により、両側方及び後方側が覆被されてい
る。

下カバー１３はミツシヨンケース９に上方側か
ら誇設されるもので、ミツシヨンケース９両側方
に配設された左右一対の側板部１４と、両側板１
４後端のミツシヨンケース９上方側部分を連結す
る後板部１５とから成る。後板部１５の左側に
は、矩形状開口部１６が形成されると共に、該開
口部１６を閉塞する案内板１７がボルト１８によ
り着脱自在に取付けられている。

１９は支持筒で、第３図にも示すように、ミツ
シヨンケース９上面における操向ボツクス１１左
側に取付板２０を介して立設され、該支持筒１９
に、PTO変速装置のシフタと連動する変速操作
軸２１が上下方向に揺動自在に備えられ、支持筒
１９上方に突出している。２２はブラケツトで、
支持筒１９後面側から上方に突出せしめられてい
る。

２３はPTO変速レバーで、Ｕ形状取付部２４
と、杆部２５と、把手部２６とを上記の順で後方
に向つて連設して成る。取付部２４内部の前後に
は、変速操作軸２１及びブラケツト２２の各上端
部が挿入され、取付部２４は変送操作軸２１に横
方向のピン２７により枢着されると共に、ブラケ
ツト２２に横方向のピン２８により枢支されて、
杆部２５が、第４図にも示すように、案内板１７
の右側部に上下方向に形成された案内溝２９を通
つて後方に延出されている。そして、変速レバー
２３をピン２８廻りに上下に揺動操作することに
より、変速操作軸２１が上下に摺動操作せしめら
れて、ピン変速装置が高低２速及び中立状態に切
換えられる。変速レバー２３は、第２図及び第４
図の実線で示す位置が中立位置Ｎとされ、上記両
図の中立位置Ｎよりも上方側の仮想線で示す位置
が低速位置Ｌとされ、上記両図の中立位置Ｎより
も下方側の仮想線で示す位置が高速位置Ｈとされ
ている。

３０は板を折曲げて成る牽制体で、第５図にも
示すように、案内板１７裏面に配設され、その基
部が、案内板１７の案内溝２９下部側の右側部側
にピン３２により枢支されることで上下回動自在
に支持されている。牽制体３０先端部側は略三角
形状の牽制部３３とされ、牽制体３０は、その回
動により、第４図の実線で示すように、牽制部３
３がPTO変速レバー２３の中立位置Ｎと高速位
置Ｈ間に位置する牽制位置Ｅと、第４図の仮想線
で示すように、変速レバー２３の操作域から離脱
して変速レバー２３の中立位置Ｎの右側方に位置
する非牽制位置Ｆとの間で往復揺動自在とされて
おり、牽制体３０の上記両位置Ｅ，Ｆ間き回動域
に変速レバー２３の中立位置Ｎが設けられてい
る。

そして、牽制体３０が牽制位置Ｅに位置する時
には、牽制部３３の上縁部は、PTO変速レバー
２３の中立位置Ｎ及び低速位置Ｌ側にあつて水平
状となる阻止部３４とされ、牽制部３３の下縁部
は、変速レバー２３の高速位置Ｈ側にあつて右側
に移行するに従つて下位となる傾斜状のカム部３
５とされており、阻止部３４は変速レバー２３の
中立位置Ｎから高速位置Ｈ側への移動を阻止し、
カム部３５は、変速レバー２３の高速位置Ｈから
低速位置Ｌへの移動時に変速レバー２３との接当
により牽制体３０を非牽制位置Ｆとする。

カム部３５の基部側には、第６図にも示すよう
に、案内溝２９から後方に突出する略三角形状の
抓部３６が屈曲形成されているが、抓部３６は牽
制体３０のストツパ兼用とされ、牽制体３０の牽
制位置Ｅで、抓部３６の基端部が案内溝２９の内
周の右側縁部と接当し、牽制体３０の非牽制位置
Ｆで爪部３６の先端部が案内溝２９の内周右側縁
部と接当する。これにより、オペレータは抓部３
６を持つて牽制体３０を往復揺動させることがで
きる。また、牽制体３０を牽制位置Ｅ側に向かつ
て揺動させ、抓部３６が案内溝２９の内周縁に接
当すると、牽制体３０は牽制位置Ｅに位置してそ
れ以上揺動することはなく、変速レバー２３が高
速位置に移動するのを規制できる。さらに、牽制
体３０を非牽制位置Ｆ側に向かつて揺動させ、抓
部３６が案内溝２９の内周縁に接当すると、牽制
体３０はそれ以上に揺動することはなく、牽制体
３０が案内板１７の裏側にあつて目視できないも
のであつても、オペレータは牽制体３０が非牽制
位置に位置したことを確認でき、変速レバー２３
を高速位置に移動させることができる。

３７は引張りコイルバネにて例示する弾機で、
案内板１７裏面の右側部側上部に固設された引掛
部３８と、牽制体３０の基部から前方に突設され
た引掛部３９との間に弾引状に介装されて、牽制
体３０を牽制位置Ｅ側に付勢している。

その他、４０は主変速操作装置、４１は前後進
切換操作装置であつて、前後進切換操作装置４１
は、取付板２０における支持筒１９後方側上に固
設された支持ブラケツト４２を有する。支持ブラ
ケツト４２には、横設された保持筒４３が支軸４
４を介して回動自在に備えられ、保持筒４３は外
側端部に固設された連動レバー４５が、連動ロツ
ド４６、連動片４７、切換操作軸４８を介して、
ハンドル装置５上部左側の前後進切換レバー４９
に連動連結されると共に、連動レバー４５は連動
リンク５０等を介して前後進切換装置に連動連結
されている。５１は保持筒４３に縦方向のピン５
２を介して回動自在に備えられたロツク体で、案
内板１７の右側下部に横方向に形成された案内溝
５３から後方に突出し、連動レバー４５に着脱自
在に係合することで、前後進切換操作装置４１を
中立位置にロツクする。５４は弾機で、ロツク体
５１を第３図及び第４図の実線で示すロツク位置
と、両図の仮想線で示すアンロツク位置とに不安
定切換する。

５５はフロアカバーで、ミツシヨンケース９に
誇設されている。

上記のように構成した実施例によれば、通常時
には、弾機３７の弾引力と抓部３６のストツパ機
能により、牽制体３０は第４図の実線で示す牽制
位置Ｅに位置する。

この場合において、PTO変速レバー２３が中
立位置Ｎ又は低速位置Ｌに位置する時に、変速レ
バー２３を不慮に高速位置Ｈ側である下方側に操
作しても、変速レバー２３は牽制体３０の阻止部
３４に阻止されて、高速位置Ｈまで移動すること
はなく、安全である。

そして、PTO変速レバー２３を中立位置Ｎ又
は低速位置Ｌに位置する時に、変速レバー２３を
高速位置Ｈに操作する際には、変速レバー２３が
低速位置に位置する時にはそのままで、又、変速
レバー２３が中立位置Ｎに位置する時には一旦変
速レバー２３を低速位置Ｌとした後、牽制体３０
を抓部３６を持つて第４図の仮想線で示す非牽制
位置Ｆに回動操作することにより、変速レバー２
３を容易に高速位置Ｈとできる。上記のように、
変速レバー２３が中立位置Ｎに位置する時には、
一旦、変速レバー２３を低速位置Ｌとした後でな
ければ、高速位置Ｈに操作することができず、安
全性が高められている。

又、逆に、PTO変速レバー２３が高速位置Ｈ
に位置する時に、変速レバー２３を中立位置Ｎ又
は低速位置Ｌにする際には、変速レバー２３を従
来同様引上げれば、変速レバー２３と牽制体３０
のカム部３５との接当により、牽制体３０は非牽
制位置Ｆに移動するので、変速レバー２３を容易
に中立位置Ｎ又は低速位置Ｌに操作することがで
きる。又、牽制体３０は弾機３７の弾引力により
非牽制位置Ｅに復帰する。

尚、実施例では、PTO変速レバーが３変速位
置を持つものとしたが、変速レバーの中立位置が
ないものに対して本考案は適用可能であり、その
場合には、第１図及び第２図における中立位置が
低速位置になるようにすればよい。

本考案によれば、PTO変速レバーが案内板の
案内溝に挿通され、牽制体が案内板の裏側に枢支
されたものであつても、牽制体に抓部を案内溝か
ら外部に突出するよう設けることで、牽制体の操
作に支障をきたすことはない。

また、抓部が案内溝の内周縁に接当すること
で、牽制体の牽制位置と非牽制位置でのそれ以上
の揺動を規制し、さらに、牽制体は案内板に枢支
されているため、牽制体と、牽制体の揺動規制手
段と、案内板とを別個独立に車体に取付けるのに
比べ、製作や組付の誤差の影響が小さく、案内溝
に対する牽制体の相対的な位置決めを正確に行な
え、牽制体を正確に牽制位置と非牽制位置とに位
置決めできる。

また、牽制体の抓部が揺動規制ストツパーを兼
用するため、部品点数を少なくできる。

さらに、牽制体と案内板とを組立てた後に、こ
れらをユニツトとして組み付けることがき、組付
作業の容易化を図れる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はトラ
クタの全体側面図、第２図は要部側面図、第３図
は第２図のＡ−Ａ線矢視断面図、第４図は第２図
のＢ矢視図、第５図は第４図のＣ−Ｃ線矢視断面
図、第６図は第４図のＤ矢視図である。 １……トラクタ車体、１７……案内板、２３…
…PTO変速レバー、２９……案内溝、３０……
牽制体、３３……牽制部、３４……阻止部、３５
……カム部、３６……抓部、３７……弾機。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 案内板１７の案内溝２９に挿通された変速レバ
   ー２３により高低速に切換可能としたPTO変速
   装置において、案内板１７の裏面に、牽制部３３
   を有する牽制体３０を、牽制部３３が変速レバー
   ２３の高速位置と低速位置との間に位置する牽制
   位置Ｅと、牽制部３３が変速レバー２３の操作域
   から離脱した非牽制位置Ｆとの間で往復揺動自在
   に枢支し、牽制体３０が牽制位置Ｅに位置する時
   において、牽制部３３における変速レバー２３の
   低速位置側縁部を、変速レバー２３の低速位置側
   から高速位置への移動を阻止する阻止部３４とす
   ると共に、牽制部３３における変速レバー２３の
   高速位置側縁部を、変速レバー２３の高速位置か
   ら低速位置側への移動時に、変速レバー２３と接
   当して牽制体３０を非牽制位置Ｆに移動させるカ
   ム部３５とし、牽制体３０に、案内溝２９から案
   内板１７の外部に突出する抓部３６を設け、この
   抓部３６が、牽制体３０の牽制位置Ｅと非牽制位
   置Ｆとで前記案内溝２９の内周縁に接当して牽制
   体３０のそれ以上の揺動を規制するストツパを兼
   用し、牽制体３０を牽制位置側に付勢する弾機３
   ７を備えたことを特徴とするPTO変速装置にお
   けるPTO変速レバーの牽制装置。