JPS6347675B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車体を吊掛搬送手段により送りながら
自動車の組立てを行なう製造ラインにおいて、搬
送されてきた車体を加工ステーシヨンの所定位置
にセツトする、車体の吊掛位置決め装置に関する
ものである。

車体を搬送手段によつて搬送し、流れ作業によ
つて自動車を組み立てる製造ラインにおいては、
車体のキヤブサイドは立てかけた姿勢で搬送され
ることが省スペース上望まれる。このキヤブサイ
ドは概略１枚の板状をなしているので、上記のよ
うに立てかけた姿勢で搬送するために一般には、
該キヤブサイドをフツクに掛けて支持する吊掛け
ハンガーを有する搬送手段が用いられる。

上記のようにして搬送されるキヤブサイドは、
多数の加工ステーシヨンにおいて種々の加工、例
えば溶接の増打ち、小物類の取付け等を受ける
が、溶接ロボツト等の自動加工機を用いる場合に
は、加工ステーシヨンにおいて所定の位置に正確
に位置決めされる必要がある。そのため従来は、
例えば特開昭53―125249号公報に示されるよう
に、吊掛けハンガーに吊り下げられて搬送されて
きたキヤブサイドを加工ステーシヨンの搬送停止
位置で停止させた後、該キヤブサイドを吊掛けハ
ンガーから外して移動させ、治具に受けて所定位
置にセツトする位置決め装置が用いられてきた。

しかしこのように、加工ステーシヨンにおいて
いちいち吊掛けハンガーと治具との間で車体を受
け渡しする位置決め装置は、車体を受け渡しする
機構が必要となつて構造が複雑なものとなる。さ
らに車体の受け渡しのために時間を要し、作業時
間の短縮化の面でも好ましくないものである。

本発明は上記のような事情に鑑みてなされたも
のであり、吊掛けハンガーに吊り掛けられて搬送
されるキヤブサイド等の車体を、吊掛けハンガー
から外すことなく所定位置に位置決めする、車体
の吊掛位置決め装置を提供することを目的とする
ものである。

本発明の車体の吊掛位置決め装置は、搬送停止
位置に停止した車体の下側に対向する位置に配設
され上方に移動して該車体を吊掛けハンガーのフ
ツクから浮かした後所定位置で停止して車体の上
下方向の位置決めをする持ち上げ部材、搬送停止
位置の車体の側方に対向する位置に配設され前記
持ち上げ部材により浮かされた車体を吊掛けハン
ガー上方において左右方向で位置決めする倒れ防
止部材、車体の搬送ゾーン内に出退可能に形成さ
れ前記持ち上げ部材により浮かされた車体の前後
方向の位置決めを行なう前後位置決め部材、およ
び前記倒れ防止部材に車体左右方向に進退可能に
取付けられ、車体に設けられたピン穴に進入して
車体を位置決め支持する位置決めピンからなるも
のである。

上述のように、車体のフツク係合部が吊掛けハ
ンガーのフツク上方に浮いた状態で車体を位置決
めすれば、車体は搬送停止位置で停止されてから
極めて短時間内で加工用の所定位置に位置決めさ
れるようになる。勿論加工後も極めて短時間内で
吊掛けハンガーに戻され得る。そして吊掛けハン
ガーと加工用の所定位置との間の車体の移動は、
単に車体を持ち上げることによつて行なわれるの
で、装置の構造も非常に簡単なものとなる。

以下、図面を参照して本発明の実施例について
説明する。

第１図は本発明の１実施例による車体の吊掛位
置決め装置により、車体（キヤブサイド）が位置
決めされた状態を示している。キヤブサイド１
は、搬送手段２から下向きに延ばされた２本の吊
掛けハンガー３，４の下端部に外向きに形成され
たフツク３ａ，４ａに、下面１ａが係合されて該
吊掛けハンガー３，４に支持される。また、吊掛
けハンガー３，４の中間部にキヤブサイドの上部
１ｂと係合するフツク３ｂ，４ｂが設けてある。
フツク３ａ，４ａあるいはフツク３ｂ，４ｂのい
ずれかで吊掛け支持し他方で振れ止めをしてい
る。そして吊掛けハンガー３，４は搬送手段２に
よつて図中矢印Ａ方向に移動され、多数の加工ス
テーシヨンにキヤブサイド１を順次搬送する。

例えば溶接ロボツトにより増打ち溶接を行なう
加工ステーシヨン等に配置される本実施例の吊掛
位置決め装置は、ベース５上に配設された持ち上
げ部材６、倒れ防止部材７，８、前位置決め部材
９、後位置決め部材１０、および前記倒れ防止部
材７，８に支持された位置決めピン１１，１２か
らなる。第１図は車体左側のキヤブサイド１を位
置決めする位置決め装置のみを示しているが、通
常左右のキヤブサイドは１対の吊掛けハンガーに
よつて揃つて搬送され、同時に同じ加工を受ける
ので、上述のような位置決め装置は一般に左右の
キヤブサイド用に、１対が左右に対称に配置され
る。

前記持ち上げ部材６は、２本のガイド部材１
３，１４と２本の上昇端ストツパー１５，１６に
よつて上下方向に移動可能に支持されシリンダ１
７のピストン１７ａによつて上下に駆動されるベ
ース１８を有している。そしてこのベース１８の
前後両端近傍にはクランプ手段１９，２０が固定
されている。第２図は一方のクランプ手段１９を
拡大して示す、第１図のＢ―Ｂ線断面図である。
この第２図に示されているようにクランプ手段１
９はそれぞれ、シリンダ２１，２２，２３のピス
トン２１ａ，２２ａ，２３ａに連結されたクラン
プ部材２４，２５，２６を備えている。クランプ
部材２４はシリンダ２１により図中左右方向に、
クランプ部材２５はシリンダ２２により図中上下
方向に、そしてクランプ部材２６はシリンダ２３
とリンク機構２７により図中矢印Ｃ方向に移動さ
れ得る。他方のクランプ手段２０も基本的に上記
クランプ手段１９と同様に形成されている。

第３図は前方の倒れ防止部材７を詳細に示す、
第１図のＤ―Ｄ線断面図である。この第３図に示
されているように倒れ防止部材７は、ベース５に
支持された２つのシリンダ２８，２９を有し、シ
リンダ２８のピストン２８ａに固定された上下移
動部材３０は、該シリンダ２８によつて上下方向
に移動され得る。上下移動部材３０には、軸３１
を中心に図中矢印Ｅ方向に揺動し得る倒れ防止ア
ーム３２が設けられている。この倒れ防止アーム
３２の内側に固設されたピストン支持部材３３に
は、軸３４を中心に回動可能に、前記シリンダ２
９のピストン２９ａ先端部が連結され、シリンダ
２９の作動により、この倒れ防止アーム３２は前
記矢印Ｅ方向に揺動される。そして倒れ防止アー
ム３２の上端部には、ピストン３５ａが内方を向
くような姿勢でシリンダ３５が固定され、該シリ
ンダ３５のピストン３５ａの先端には位置決めピ
ン１１が固定されている。この位置決めピン１１
は、シリンダ３５の作動により図中左右方向に移
動して、倒れ防止アーム３２の内端面から出退可
能となつている。

第４図は後方の倒れ防止部材８を詳細に示す、
第１図のＦ―Ｆ線断面図である。この第４図に示
されているように倒れ防止部材８は、ベース５に
支持されたフレーム３７を有し、このフレーム３
７には該フレーム３７に沿つて図中上下方向に移
動し得る可動枠３８が取り付けられている。この
可動枠３８の下部には、フレーム３７に縦向きに
固定されたシリンダ３９のピストン３９ａの先端
部が支持されている。また可動枠３８の上部には
支点４０を軸として図中矢印Ｋ方向に回動可能に
倒れ防止アーム４１が支持されている。この倒れ
防止アーム４１の外側下部には、可動枠３８に縦
向きに固定されたシリンダ４２のピストン４２ａ
の先端部が軸４３において軸支されている。倒れ
防止アーム４１は内方すなわち車体の搬送ゾーン
側を向くように略Ｌ字形に形成され、先端近傍の
位置には軸４４を中心に回動し得るクランプ部材
４５を支持している。このクランプ部材４５の、
上記軸４４から上方に外れた位置には、倒れ防止
アーム４１に軸４６ｂを中心に回動可能に支持さ
れたシリンダ４６のピストン４６ａの先端部が軸
４７を中心に回動可能に支持されている。また倒
れ防止アーム４１の先端部には、シリンダ４８と
リンク機構４９によつて図中矢印Ｇ方向に揺動さ
れ得るクランプ部材５０が支持されている。そし
て可動枠３８には、シリンダ５１が固定され、こ
のシリンダ５１のピストンの先端部には、キヤブ
サイド１側面に対向する位置決めピン１２が固定
されている。この位置決めピン１２は、シリンダ
５１の作動により第４図中左右方向に移動して、
フレーム３７の内側面から出退可能となつてい
る。

第５図は後位置決め部材１０を詳細に示す、第
１図のＨ―Ｈ線断面図である。ベース５に支持さ
れた支持台５２の外側下部には、軸５３を中心に
回動自在にシリンダ５４が支持されている。ま
た、支持台５２の上部には略「く」の字形のアー
ム５５が支点５６を中心に図中矢印Ｊ方向に揺動
自在に支持されている。そしてこのアーム５５の
下部に形成された軸５７には、上記シリンダ５４
のピストン５４ａの先端部が軸支されている。ア
ーム５５の先端部には、第１図に示されるよう
に、ピストン５８ａがキヤブサイド１前方を向く
ように配されたシリンダ５８が固定されている。
該シリンダ５８のピストン５８ａの先端には、１
対のガイドロツド５９，６０に案内、支持されて
キヤブサイド１前後方向に移動し得る当接部材６
１が固定されている。

前位置決め部材９も上記後位置決め部材１０と
同様に形成されている。すなわち、アーム６２は
後位置決め部材１０のアーム５５の揺動方向（第
５図中矢印Ｊ方向）と同じ方向に揺動自在に形成
され、軸６３にシリンダ６４のピストン６４ａの
先端部を軸支している。アーム６２の先端部に
は、上記後位置決め部材１０のシリンダ５８とは
反対に、ピストン６５ａがキヤブサイド１後方を
向くように配されたシリンダ６５が固定され、該
ピストン６５ａの先端には、ガイドロツド６６，
６７に案内、支持された当接部材６８が固定され
ている。

以下、上記構成の本実施例の車体の吊掛位置決
め装置の作動を説明する。キヤブサイド１は前述
したように、その下面１ａが吊掛けハンガー３，
４のフツク３ａ，４ａおよび３ｂ，４ｂに掛けら
れ、搬送手段２によつて第１図矢印Ａ方向に送ら
れる。キヤブサイド１が所定の位置まで来ると搬
送手段２が停止される。

前述した前方の倒れ防止部材７の倒れ防止アー
ム３２は、キヤブサイド１の搬送中は第３図に２
点鎖線で示すように上部が外方に倒されている
が、上述のようにキヤブサイド１が搬送停止位置
で停止されて該倒れ防止アーム３２の内方に位置
すると、シリンダ２９のピストン２９が縮化さ
れ、倒れ防止アーム３２は第３図実線表示の位置
まで起立される。また後方の倒れ防止部材８の倒
れ防止アーム４１は、キヤブサイド１の搬送中は
第４図に２点鎖線で示す位置まで外方に倒れてい
るが、キヤブサイド１が搬送停止位置で停止され
て該倒れ防止アーム４１の内方に位置すると、シ
リンダ４２のピストン４２ａが伸長され、該倒れ
防止アーム４１はクランプ部材４５の内端面がキ
ヤブサイド１の外側面近傍に位置するまで内方に
揺動される。

上記のような倒れ防止部材７，８の操作と前後
して、後位置決め部材１０のシリンダ５４のピス
トン５４ａが伸長され、アーム５５は第２図に２
点鎖線で示される待機位置（キヤブサイド１搬送
中はこの位置を保つ）から、第５図実線図示の位
置、すなわちアーム５５先端部に支持された当接
部材６１がキヤブサイド１の端面に対向する位置
まで揺動される。このときシリンダ５８のピスト
ン５８ａは十分に縮化されており、当接部材６１
はキヤブサイド１に当たらない。

上記後位置決め部材１０の操作と平行して、前
位置決め部材９のアーム６２もシリンダ６４の操
作により、外方に倒れていた待機位置から、当接
部材６８がキヤブサイド１の端面に対向する位置
まで揺動される。この場合も当接部材６８は十分
前方に引かれており、キヤブサイド１に当たらな
い。

その後、持ち上げ部材６のシリンダ１７のピス
トン１７ａが伸長され、ベース１８が上昇され
る。するとこのベース１８に固定されているクラ
ンプ手段１９のクランプ部材２５と、該クランプ
部材２５に対応するクランプ手段２０のクランプ
部材（図示せず）が、キヤブサイド１の下面１ａ
に当接し、該下面１ａおよび上部１ｂをハンガー
３，４のフツク３ａ，４ａおよび３ｂ，４ｂから
上方に浮かせる。このときキヤブサイド１は外側
への倒れ勝手となるが、前述したように倒れ防止
アーム３２と、倒れ防止アーム４１のクランプ部
材４５内端面が該キヤブサイド１の外側面に近接
して配置されており、キヤブサイド１が外側に倒
れようとするとその外側面がこれら倒れ防止アー
ム３２，４１に当接するので、キヤブサイド１が
倒れることはない。

キヤブサイド１がハンガー３，４のフツク３
ａ，４ａ，３ｂ，４ｂから浮かされると、前位置
決め部材９、後位置決め部材１０のシリンダ６
５，５８のピストン６５ａ，５８ａが伸長され、
当接部材６８，６１がそれぞれキヤブサイド１の
端面に当接して該キヤブサイド１の前後方向位置
を規定する。

キヤブサイド１が前後方向に位置決めされると
次に、倒れ防止部材７のシリンダ２８のピストン
２８ａが伸長されて上下移動部材３０が上方に移
動し、倒れ防止アーム３２が上方に変位する。同
時に倒れ防止部材８のシリンダ３９のピストン３
９ａも伸長され、可動枠３８が上昇される。これ
らシリンダ２８，３９の作動は、倒れ防止アーム
３２に支持された位置決めピン１１および可動枠
３８に支持された位置決めピン１２が、キヤブサ
イド外側面の所定位置にあらかじめ開設されてい
るピン穴１ｃ，１ｄ（第３，４図参照）にそれぞ
れ対向する所定位置まで上昇したところで停止さ
れる。

この後、シリンダ３５，５１のピストンが伸長
され、位置決めピン１１，１２がそれぞれキヤブ
サイド１のピン穴１ｃ，１ｄに嵌入される。この
ように２つのピン穴１ｃ，１ｄに位置決めピン１
１，１２が嵌入されると、キヤブサイド１は所定
の姿勢に設定される。そこで次に、倒れ防止部材
８のシリンダ４６とシリンダ４８が作動され、ク
ランプ部材４５とクランプ部材５０によつてキヤ
ブサイド１の上端部がクランプされる。同時に持
ち上げ部材６のクランプ手段１９のシリンダ２
１，２２，３３が作動され、キヤブサイド１の下
部がクランプ部材２４，２５，２６によつてクラ
ンプされる。このとき、持ち上げ部材６のもう一
方のクランプ手段２０におても、上記クランプ部
材２４，２５，２６と同様のクランプ部材によつ
てキヤブサイド１の下部がクランプされる。

上記のようにキヤブサイド１が所定の姿勢でし
つかりと固定された後、該キヤブサイド１は例え
ば溶接ロボツトによる増打ち溶接等の加工を受け
る。所定の加工が終了すると、上記説明とほぼ逆
の手順でキヤブサイド１のクランプ解除、位置決
めピン１１，１２の退出、下降、倒れ防止部材
７，８、前後位置決め部材９，１０および持ち上
げ部材６の待機位置への復帰がなされ、キヤブサ
イド１はその下面１ａがフツク３ａ，４ａに受け
られて再度ハンガー３，４に吊り下げられる。

キヤブサイド１を吊り下げたハンガー３，４は
搬送手段２によつて移動されてキヤブサイド１を
次の加工ステーシヨンに搬送するが、この次の加
工ステーシヨンへのキヤブサイド搬送は極めて速
やかに行なわれ得る。すなわちキヤブサイド１
は、加工中、その下面１ａがフツク３ａ，４ａの
上方に、かつ上部１ｂがフツク３ｂ，４ｂの上方
に位置した状態で支持されているので、支持が解
除されれば直ちにハンガー３，４に戻され得、受
け渡し装置を用いて車体を搬送停止位置と加工位
置との間で受け渡しする場合のように搬送、加工
の合い間に長い時間を費すことがないのである。

上記説明の実施例は、１車種の自動車組立ライ
ンに適用されるものであるが、例えばクランプ手
段１９，２０やキヤブサイド１をクランプする倒
れ防止部材８を多種類車体前後方向に並べて配す
る、あるいは位置調節可能とする、さらに倒れ防
止部材７を車体前後方向に移動可能とする、等の
処理により本発明の位置決め装置は適宜、多車種
混流生産ラインにも適用され得る。

以上詳細に説明した通り本発明の車体の吊掛位
置決め装置は、構造が簡単であり、また車体の搬
送と加工の合い間の時間を極力短縮するもので、
車体の組立作業能率向上を図る上で極めて有利な
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例を示す側面図、第２
図は第１図のＢ―Ｂ線断面図、第３図は第１図の
Ｄ―Ｄ線断面図、第４図は第１図のＦ―Ｆ線断面
図、第５図は第１図のＨ―Ｈ線断面図である。 １…キヤブサイド、１ａ…キヤブサイドの下
面、１ｂ…キヤブサイドの上部、１ｃ，１ｄ…キ
ヤブサイドのピン穴、２…搬送手段、３，４…吊
掛けハンガー、３ａ，３ｂ，４ａ，４ｂ…ハンガ
ーのフツク、６…持ち上げ部材、７，８…倒れ防
止部材、９…前位置決め部材、１０…後位置決め
部材、１１，１２…位置決めピン、１７，３５，
４２，５１，５４，５８，６４，６５…シリン
ダ、１９，２０…クランプ手段、３２，４１…倒
れ防止アーム、５５，６２…アーム、６１，６８
…当接部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 吊掛けハンガーのアームに設けたフツクに車
   体の係合部を吊掛けて搬送し、搬送停止位置でこ
   の車体を吊掛けハンガー上で位置決め固定する車
   体の吊掛け位置決め装置において、搬送停止位置
   に停止した車体の下側に対向する位置に配設され
   上方に移動して該車体を前記フツクから浮かした
   後所定位置で停止して車体の上下方向の位置決め
   をする持ち上げ部材、搬送停止位置の車体の側方
   に対向する位置に配設され前記持ち上げ部材によ
   り浮かされた車体を吊掛けハンガー上方において
   左右方向で位置決めする倒れ防止部材、車体の搬
   送ゾーン内に出退可能に形成され前記持ち上げ部
   材により浮かされた車体の前後方向の位置決めを
   行なう前後位置決め部材、および前記倒れ防止部
   材に車体左右方向に進退可能に取付けられ、車体
   に設けられたピン穴に進入して車体を位置決め支
   持する位置決めピンからなる車体の吊掛位置決め
   装置。