JPS634722Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は特殊な鉱物繊維製マツト状物を硬質基
材とフオーム状芯材間に介在させ、しかもフオー
ム状芯材の硬質基材との反対面に高輻射箔体を設
けて低温域から高温域まで高断熱性能を発揮する
と共に、軽量にして高耐火性を有する耐火・断熱
パネルに関する。 一般に断熱パネルとしては、ポリウレタンフオ
ームの両面に金属板、あるいはシート状物を貼着
した構造が普通である。しかしながら、この種パ
ネルは耐火・断熱性に欠け、準不燃材試験に合格
しえなかつた。また、これを改善したパネルとし
ては、特開昭55−27267号公報等が存在する。そ
して、このパネルは準不燃材試験に合格する程度
の耐火・耐熱性能を有するものである。しかし、
この種パネルは、亀裂が大きく、かつ殆ど炭化物
となり、裏面温度が上昇し、防火構造試験（JIS
−Ａ−1301号の木造下地）等に合格できる耐火性
等を具備し得ないものであつた。 本考案はこのような欠点を除去するため、芯材
として高熱下で燃焼後に炭化層となるフオーム状
芯材を用い、火炎にさらされる硬質基材の背面と
フオーム状芯材の表面間に低密度の鉱物繊維製マ
ツト状物を介在させ、かつフオーム状芯材の硬質
基材との反対面に高輻射箔体を貼着し、防火構造
等試験に十分に合格しうると共に、高熱下で燃焼
した後の炭化層を鉱物繊維製マツト状物によつて
補強し、フオーム状芯材の亀裂を防止し、高温域
から低温域までの断熱性に優れた耐火・断熱パネ
ルを提案する。 以下に図面を用いて本考案に係る耐火・断熱パ
ネル（以下、単にパネルという）の一実施例につ
いて詳細に説明する。第１図は上記パネルの代表
的な一例を示す斜視図であり、１はフオーム状芯
材（以下、単に芯材という）で低温域から高温域
（約1000℃以上）までの断熱性に富む独立気泡組
織のフオームであり、断熱材およびフオーム形成
時に下記する構成材の接着剤として機能する。特
に高熱下で燃焼した場合炭化層を形成し、体積収
縮、亀裂が少なく、保形性に富み、準不燃材程度
の試験では相当厚さに亘つて通常状態のフオーム
で存在するものである。具体例を挙げれば、芯材
１としてはポリイソシアヌレートフオーム（ウレ
タン変性、フエノール変性も含む）、フエノール
フオーム、ポリアミドフオーム等である。その厚
さｔは約10〜50mm、好ましくは20〜30mm、密度は
約20〜70Kg／m³位である。２は鉱物繊維製マツト
状物（以下、単にマツトという）で芯材１の表面
１ａ全面に積層し、外部からの高熱の伝導を低減
すると共に、芯材１の含浸により、高熱において
芯材１が炭化層となる際の骨格となるため、芯材
１の高温下における亀裂防止と体積収縮阻止およ
び寸法変化を抑制するのに役立つものである。特
にマツト２は厚さが薄く、低密度であり、芯材１
の原料を第２図に第１図イ部を拡大して示すよう
に透過させうる構造であり、例えば密度が約0.02
〜0.3g／cm²、自然状態での厚さは約0.5〜４mm位
である。具体的にはアスベスト、ガラス繊維、ロ
ツクウール、セルロース、石膏紙等からなるマツ
ト状、不織布状等である。すなわち、マツト２
は、その裏面に芯材１の原料を吐出すると、原料
が含浸、浸透し、硬質基材３と芯材１の自己接着
性を介して一体化されるものである。なお、不織
布状の場合には、厚さが0.5mm以下の場合もある。
硬質基材３は不燃性であり、主に内外装材として
機能するものである。その素材としては、金属薄
板（Fe、Cu、Al、ステンレス、カラー鋼板）、
石膏ボード、スレート板、石膏とスラグの成形
体、炭酸カルシウム板、パーライト板、珪酸カル
シウム板等である。また、硬質基材３の断面形状
としては、平板に限らず所定断面形状に成形した
り、エンボス加工板、リシン塗装等の表面化粧を
施した基材も含むものである。特に、金属薄板
は、例えば第３図ａ〜ｇに示すように成形した板
体も使用できる。なお、図における二点鎖線はパ
ネルの最終断面形状を示す。４は高輻射箔体で硬
質基材３が高熱にさらされた際に芯材１の受ける
高熱を熱輻射作用により均一化し、収縮ズレ、亀
裂を防止して芯材１を保護するものである。すな
わち高輻射箔体４を芯材１の裏面、すなわちマツ
ト２と反対面全面に積層するため、パネル部分的
に高熱を受けても、熱輻射作用により分散、均一
化し、芯材１の部分的収縮による亀裂、および収
縮ズレを阻止するのに役立つものである。その具
体例としてはアルミニウム箔、銀箔等であり、そ
の高輻射箔体４の片面が少なくとも鏡面状態の平
面４ａを用いて、効果的に熱輻射を行なう。５は
補強材でアスベスト紙、クラフト紙、石膏紙、ガ
ラスフアイバーシート、ターポリン紙等の一種以
上からなり、高輻射箔体４を補強すると共に、吸
湿、調湿作用を有することが好ましい。なお、通
常高輻射箔体４は補強材５と一体ラミネートの所
謂アルミアスベスト紙を用いる。勿論、高輻射箔
体４は単体で用いることもある。 次に製造法につき説明する。 まず、芯材１の原料としては、ポリイソシアヌ
レートフオームでその配合比はポリオール100重
量部（商品名、ヘキサカールH₁）、ポリイソシア
ネート393重量部（ジフエニールメタンジイソシ
アネート、所謂MDI）、発泡剤130重量部（トリ
クロロモノフルオロメタン）、三量化触媒0.2重量
部（酢酸カリ）、整泡剤３重量部（商品名HS−
190、トーレシリコン社製）、ミキシング時間５
秒、クリームタイム12秒、ライズタイム55〜60
秒、NCO／OH＝498である。また、マツト２と
しては密度0.035g／cm²、厚さ３mmのアスベストシ
ートを用いた。硬質基材３としてはカラー鋼板
（板厚0.27mm）、高輻射箔体４としてはアルミニウ
ム箔（0.15mm、0.2mm）補強材５としてはアスベ
スト紙（板厚0.1mm）を用いる。まず、硬質基材
３の背面にマツト２を敷設し、その上にミキシン
グ後の上記原料を吐出し、その後に高輻射箔体４
であるアルミニウム箔、または高輻射箔体４と補
強材５とを一体にラミネートしたシート状物を第
１図に示すように貼着する。次にこのように積層
したものを加温（30〜100℃）された型（図示せ
ず）に送給し、養生して所定形状のパネルをう
る。そこで、このパネルの耐火・断熱性を測定す
るため、第４図に示すようにブンゼンバーナＡの
炎をカラー鋼板３の表面と直交するように当て、
その延長線上の裏面Ｂ点の温度を測定した。な
お、ブンゼンバーナＡの加熱曲線はJIS−Ａ−
1301号に示す屋外２級加熱曲線に沿つて行なつ
た。また、比較例として硬質基材３−芯材１−補
強材５の構成とし、素材は実施例と同じものを用
いた。また、芯材１の密度は55Kg／m³、パネルの
全厚みは25mmとした。その結果は次表に示すよう
になつた。

【表】 上記の表から明らかなように、実施例において
は裏面温度が低く、また高温下においても平常の
フオームが残存し、高断熱性のパネルとなつてい
た。従つて、JIS−Ａ−1301号の防火試験の基準、
特に裏面温度が260℃以下を十分に満足すると共
に、防火上の有害な変形、亀裂を生じないためそ
の試験に合格しうるものである。 以上説明したのは、本考案に係る耐火・断熱パ
ネルの一実施例にすぎず、亀裂防止剤PCP（ペン
タクロロフエノール）、減炎剤としてフマル酸を
芯材１に添加することもできる。さらに、芯材１
にガラス繊維、ロツクウール、炭素繊維等の不燃
性の繊維状物を添加することもできる。また高輻
射箔体４、補強材５の厚さは種々組合せることも
できるし、芯材１に対し積層順序を逆にすること
もできる。その他、高輻射箔体４−補強材５−高
輻射箔体４のようにラミネートしたシート状物と
することもできる。 上述したように、本考案に係る耐火・断熱パネ
ルによれば、高温下にさらされても裏面温度が
260℃以下に保ち得る耐火・耐熱性と断熱性を有
する特徴がある。また、マツトは薄く低密度とし
たため、芯材の原料が含浸・透過し、芯材の持つ
自己接着性により硬質基材、芯材と一体化するた
め、接着剤を用いることがない。さらにマツトを
硬質基材と芯材との中間に全面に介在するように
配設したため、マツトへの芯材の含浸、接着によ
る一体化により、寸法変形阻止と断熱性向上を図
ることができる特徴がある。しかもパネルを高熱
下で燃焼した場合はマツトが芯材の炭化層の骨格
となるため、芯材の亀裂、体積収縮、寸法変形を
阻止することができる。また、芯材の裏面には高
輻射箔体を全面に積層しているため、高熱下で芯
材の受ける高熱を均一に分散し、芯材の収縮ズ
レ、亀裂を防止する特徴がある。また、従前と殆
ど同じ工程で生産できるため新規設備もあまり必
要でなく、大量に生産できる利点がある。その
他、接着剤として、芯材の一部が機能するため経
済的である利点を有する。さらに、芯材は独立気
泡組織からなるため通常状態における耐火・断熱
パネルの断熱性は抜群である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る耐火・断熱パネルの一実
施例を示す斜視図、第２は第１図のイ部を拡大し
て示す断面図、第３図ａ〜ｇは硬質基材の形状例
を示す説明図、第４図は耐火・耐熱試験法を示す
説明図である。 １……フオーム状芯材、２……鉱物繊維製マツ
ト状物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 不燃性の硬質基材と燃焼後に炭化層となる独立
   気泡組織からなるフオーム状芯材との中間に薄く
   低密度の鉱物繊維製マツト状物を全面に介在さ
   せ、またフオーム状芯材の硬質基材との反対面を
   高輻射箔体で全面に積層、被覆すると共に、上記
   フオーム状芯材形成時に全構成材をその自己接着
   性により一体に固着したことを特徴とする耐火・
   断熱パネル。