JPS6343505B2

JPS6343505B2 -

Info

Publication number: JPS6343505B2
Application number: JP55034718A
Authority: JP
Inventors: Masaaki Sakai; Seiichi Yamagata; Shigeru Oomae
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1980-03-21
Filing date: 1980-03-21
Publication date: 1988-08-31
Also published as: JPS56134273A

Description

【発明の詳細な説明】本発明はミンク、キツネ等のごとき高級毛皮の
構造、外観、感触を具備した人工毛皮に関するも
のであり、新規な毛皮様構造体の製造方法に関す
るものである。

一般に天然の毛皮は「わた毛」として0.5〜５
デニールのケン縮を有した細い毛が密生し、圧縮
弾性、保温性を与え、「さし毛」として該「わた
毛」の繊度の５〜50倍で先端と根元が細くケン縮
のない長い毛が外観を覆い光沢と滑らかな感触を
与えているものである。

特に本発明者らの知見によれば、ミンク類の毛
皮は、毛の長さは「さし毛」が20〜30mm、「わた
毛」が10〜20mmで毛孔の密度は1000〜2500孔／
cm²、毛の密度は「さし毛」が800〜2500本／cm²、
「わた毛」が10000〜40000本／cm²である。また該
「さし毛」と「わた毛」の重量比は１：１程度で
ある。

従来より合成繊維を使用した疑似毛皮パイル布
帛を前記天然毛皮の持つ優れた外観、感触および
性能に近づけるべく「さし毛」パイルと「わた
毛」パイルが混在するパイル布帛の製造方法に関
して種々の提案がなされている。例えば、特公昭
48−7912号公報、特公昭49−3456号公報、特公昭
49−45743号公報に記載されるごとき繊維の熱収
縮差を利用して「さし毛」、「わた毛」の毛の長さ
の差を得んとするものや、特公昭48−4910号公
報、特公昭48−20474号公報、特公昭52−47053号
公報のごとき「さし毛」に獣毛調の工夫をこらし
たものや、その他特公昭48−20914号公報、特公
昭52−10956号公報等の多くの方法が提案されて
いる。しかし、このような方法では天然毛皮の様
な高密度、明確な「さし毛」、「わた毛」の長短差
を得ることは困難であり、ましてやこのような方
法で得られるものは天然毛皮の感触とはほど遠
く、いかにも人造の安物感を脱し得ない状態のも
のである。

本発明者らは、前記従来の人工毛皮の有する諸
問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、天然
毛皮調の構造、外観、感触を有する新規な毛皮様
構造体の製造方法を完成させたものである。

すなわち、本発明の毛皮様構造体の製造方法
は、パイル織機、シールフライス編機、ダブルラ
ツセル編機、タフト機等のパイル布帛製造機を用
いて天然毛皮の「わた毛」に相当するパイル布帛
を作り、次いで該パイル布帛のパイル面にブラツ
シング、シヤーリング、ポリシングを適宜くり返
し、より天然毛皮の「わた毛」調にした後、該パ
イル布帛のパイル面に「さし毛」用ステープル繊
維を配置し、次いでニードルパンチ機にて、パン
チング処理を行ない、該「さし毛」用ステープル
繊維を該パイル布帛のパイル面に立毛させ、裏面
をバツキングして、「わた毛」と「さし毛」のパ
イルをパイル布帛基布に接着、固定せしめた後、
パイル面に再度ブラツシング、ポリシングを適宜
くり返し行なうことにより、構造、外観、感触等
において天然毛皮調の毛皮様構造体を得るもので
ある。

以下、本発明の毛皮様構造体の製造方法につい
て更に詳しく説明する。

本発明に用いられる繊維素材としては天然繊
維、再生繊維、合成繊維等を単独または混合した
状態で使用することができる。繊維の選択にあた
つては、素材、繊度、繊維長、ケン縮特性、断面
形状、付与する油剤等を考慮して、得ようとする
毛皮様構造体の特性に合わせて用いるのが肝要で
ある。一般的に「わた毛」の選択は、ボリユーム
感のある立毛を得るにはケン縮数およびケン縮度
の大きい繊維を、柔らかい感触の立毛を得るには
繊度の小さい繊維を用いる。「さし毛」の選択は、
長い立毛長を得るには長い繊維長のステープル繊
維を、粗硬な外観、感触を特るには繊度の大きい
ステープル繊維を、また粗硬な外観を呈していて
も柔らかい感触を得るには特開昭54−38922号公
報記載の方法による両端尖鋭のステープル繊維を
用いる等が適当な手段である。

さらに、熱収縮性繊維を用い、ハイバルキー糸
として「わた毛」用繊維に使用すれば「わた毛」
パイルの解繊性、ボリユーム感、反発性を得るの
に有効である。

上記の如くに得ようとする毛皮様構造体に合わ
せて選択された繊維を用いて、毛布、カーペツ
ト、モケツト等のパイル布帛の製造方法として周
知のシールフライス編機、ダブルラツセル編機、
タフト機、パイル織機、電着植毛機等を用いて
「わた毛」調のパイル布帛を得る。

たとえば、シールフライス編による「わた毛」
調パイル布帛は次のようにして得ることができ
る。

すなわち、１例として、アクリル繊維のトウを
用い、トウ紡績法によりハイバルキー糸の原糸2/
３２Ｎｍを紡績し、カセに取り、回転バツク染色機
で染色と同時にバルキー出しを行ないハイバルキ
−糸2/26Ｎｍを得る。次いで該ハイバルキ−糸を
パイル糸に、綿糸30Sを地糸に用い16Gシールフ
ライス編機にかけ、該編機のダイヤル針とシリン
ダ針の間隔、シリンダ針の働き幅を適宜設定する
ことによりパイル高さが15mmのパイル布帛を得、
次いで必要に応じて裏面にノリ材をスプレーし乾
燥さすことによりバツキングを行ないパイル糸の
抜けを防いだ後、ブラツシング、シヤーリング、
ポリシングを適宜くり返し行つて編ボアー毛布様
の「わた毛」調パイル布帛を得ることができる。

次に、該パイル布帛のパイル面に、前記の如く
得ようとする毛皮様構造体に合わせて選択された
「さし毛」用ステープル繊維を十分に解繊した状
態で均一な厚さに配置した後、ニードルパンチ機
により、「さし毛」用ステープル繊維を配置した
上面よりパンチング処理することにより「さし
毛」用ステープル繊維を「わた毛」パイルを把持
しているパイル布帛の基布に立毛植毛させる。か
かるパンチング処理に際しては、ニードルパンチ
機の条件設定を選択することにより「さし毛」用
ステープル繊維の立毛状態を天然毛皮に著しく近
づけることが可能である。すなわち、たとえばパ
ンチング処理の回数を多くすれば立毛密度の大な
るものが容易に得られ、また、ニードルのバーブ
の形状、ストローク位置等を選ぶことにより、前
記両端尖鋭「さし毛」用ステープル繊維の片端を
パイル基布に立毛させることができ、該両端尖鋭
「さし毛」用ステープル繊維を先端尖鋭で、かつ
根元が細い状態で立毛させることが可能となる。

次に該パイル布帛の裏面を重合体でバツキング
して基布より立毛している「わた毛」、「さし毛」
のパイルを基布に接着、固定、把持する。この時
用いられる重合体としては、水溶性接着剤、溶剤
可溶性接着剤、ビスコース液、各種ラテツクス
類、合成樹脂粉末、接着用繊維等を用いることが
できるが、より好ましい毛皮様構造体とするため
に、ポリアミド系、ウレタン系等の重合体を用い
て製造されている公知の皮革様の基布などを応用
するのが適当である。

次に該パイル布帛表面にブラツシング処理を行
なう。ブラツシング方法は、カーペツトの毛さば
き法、パイル織物の山だち法等として行なわれて
いる各種ブラツシング法を活用することができ
る。このブラツシング処理により基布に把持され
ていない「さし毛」用ステープル繊維を除去する
とともに、「わた毛」パイルのニードルパンチン
グ処理による交絡を解じよし、安定した形で基布
に直立させることができる。

次にポリシング処理を行なう。該ポリシング処
理時においては、加熱シリンダの温度、パイル面
への接圧力、回転数、エツジの形状等の条件を選
択し「さし毛」繊維に直立性と艶を付与するよう
に設定するのが望ましい。

上述の方法により、立毛密度、立毛長、「さし
毛」、「わた毛」の明確な形態差等において天然毛
皮調の毛皮様構造体を得ることができる。

以下、図面に基づいて本発明を説明する。第１
図は「わた毛」パイル布帛上に「さし毛」用ステ
ープル繊維を配置したニードルパンチング処理直
前の状態を示したもので、１は「わた毛」パイ
ル、２は基布、３は「さし毛」用ステープル繊維
である。第２図はニードルパンチング処理後のパ
イル布帛で、「さし毛」用ステープル繊維３がニ
ードルパンチング処理により基布に立毛された状
態を示すものである。第３図は重合体により「さ
し毛」・「わた毛」パイルを基布に接着、固定、把
持した後、ブラツシング、ポリシングの仕上を施
した本発明による毛皮様構造体の断面図で、４は
「さし毛」パイル、５は重合体のバツキングをさ
れた後の基布層であり、第２図の状態で立毛され
ず残余されている「さし毛」用ステープル繊維や
完全に立毛されていない該繊維が除去されてい
る。

以上述べた通りの本発明によれば、従来知られ
ている毛皮類似品と比べて著しく毛皮に近い感
触、外観、構造を有する毛皮様構造体が得られる
ものである。

以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。

実施例アクリル繊維のトウ50万デニール（単糸1.5デ
ニール）を用い、牽切紡機にて熱水収縮率が27％
のスライバと、該スライバに熱処理を施した熱水
収縮率が０％のスライバの２種を得た。次いで熱
水収縮率が27％のスライバを40％、０％のスライ
バを60％の割合で混合し、周知の紡績工程を経て
２／３２Ｎｍの糸を得た。次いで該糸をカセにとり、
回転バツク染色機にかけ染色と同時に熱水処理に
よる繊維の収縮差でハイバルキー糸2/26Ｎｍを得
た。次いで該糸を16Gのシールフライス編機にか
け、地糸に綿糸30Sを用い、それぞれ４口給糸で
該ハイバルキー糸がパイル長15mmのパイルを構成
しているパイル布帛を製編した。このパイル布帛
の裏面にノリ材をスプレー後ブラツシング、シヤ
ーリング、ポリシングを適宜くり返し天然毛皮の
「わた毛」調のパイル布帛を得た。次いで該パイ
ル布帛をニードルパンチ機にかけ、供給ラチス上
で、該パイル布帛のパイル上面に、「さし毛」用
として特開昭54−38922号公報記載の方法による
両端尖鋭の平均繊度が30デニールで繊維長が40mm
のステープル繊維を500ｇ／m²の割合で均一に配
置した後該「さし毛」ステープル繊維の上面より
ニードルパンチング処理を施した。次に該パイル
布帛の裏面をウレタン系の重合体を用いてバツキ
ングして基布より立毛している「わた毛」「さし
毛」のパイルを基布に接着、固定、把持した基布
層を形成した。次に該パイル布帛表面に再度ブラ
ツシング、ポリシングを適宜くり返し行なつたと
ころ、長さ25〜40mmの先端尖鋭で根元細の「さし
毛」パイルと、長さ15mmの「わた毛」パイルが長
短２層構造で混在するミンク類の毛皮に似た外
観、感触、構造の毛皮様構造体を得ることができ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は「わた毛」パイル布帛のパイル上に
「さし毛」用ステープル繊維を配置したものの断
面図、第２図は本発明にかかるニードルパンチン
グ処理直後のパイル布帛の断面図で、第３図は本
発明による「さし毛」「わた毛」繊維が基布層よ
り立毛した毛皮様構造体の断面図であり、第１図
〜第３図において、１は「わた毛」パイル、２は
基布、３は「さし毛」用ステープル繊維、４は
「さし毛」パイル、５は重合体のバツキングされ
た後の基布層である。

Claims

【特許請求の範囲】

１「わた毛」パイル布帛に、「さし毛」繊維を
ニードルパンチング処理で立毛させることによ
り、高パイル長「さし毛」パイルと低パイル長
「わた毛」パイルが混在するパイル布帛を得て後、
前記パイル布帛の裏面をバツキング加工して前記
「わた毛」と「さし毛」のパイルをパイル布帛基
布に接着、固定せしめることを特徴とする毛皮様
構造体の製造方法。