JPH0235836Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は柔軟で編成性に優れたスエード調スリ
ツトテープに関する。

〔背景技術〕

近年、スリツト状にカツトした人造皮革を服飾
資材として、又は手編や横編機に掛けて編地を編
成する等の用途として広く使われ始めている。し
かし乍ら従来のスリツトテープ、例えば不織布を
基体として作成したテープは1.5〜２mm等の細巾
にカツトするとその強力が著しく小さくなり、又
伸度も乏しく、更にゴム弾性が強い為、編機に掛
けた時の編成性が劣り編地を作ることが極めて困
難であつた。

一方、トリコツト編地や起毛織物を用いてスリ
ツトテープを作ることも試みられているが、これ
等でできたテープは強力的には充分に耐えるもの
であるが、切口から糸がほつれ易く、風合的にも
しなやかさが欠け、更に高級感に乏しい等の問題
があつた。

本出願人は先に実開昭60−89300号にて編成性
の良好な皮革様スリツトテープを提案したが、実
用面で更に改良する余地があつた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は従来品の問題点を解消した柔軟
でしかも編成性に優れたスエード調スリツトテー
プを提供するにある。

〔考案の構成〕

本考案は、ダブルニツト組織からなる基布に単
繊維繊度が0.8デニール以下の極細繊維が交絡一
体化した構造を有し、かつその破断強度が0.08
Kg／mm以上、破断伸度が20〜150％を有する編成
性に優れたスエード調スリツトテープである。

以下図面に従つて本考案を詳細に説明すると、
図は本考案のスエード調スリツトテープの一例を
示す断面図で、同図において１は単繊維繊度が
0.8デニール以下の極細繊維からなるスエード面
層、２はダブルニツト組織の基布を示す。

本考案に用いるスリツトテープにする前のシー
ト構造体としては、強力及び伸度特性の点から編
地を基布として用い、この編地に極細繊維を交絡
させた不織布構造のものである。

基布として編地を用いるのはスリツトテープに
適度や伸度特性を持たせることにより、ソフト性
とドレープ性を付与し、且つ編成性と強力特性を
向上させる為である。

又、従来の人工皮革である不織布構造体を用い
た場合には特に細巾のテープに必要な強度を持た
せることが困難である。

本考案のスリツトテープの破断強度は0.08Kg／
mm以上であり、又破断伸度は20〜150％であり、
破断強度が0.08Kg／mm未満では加工時のテープ切
れが発生するばかりでなく、製品としての実用面
で問題がある。又、破断伸度が20％未満では編成
性とドレープ性が劣ると共に編成した製品におけ
る伸長特性が少ない為、気ごこちの悪いものとな
る。

逆に破断伸度が150％を越えると伸びが大きす
ぎる為、その回復力が問題となり、製品として適
さない。

尚スリツトテープ巾としては、スリツトの限界
もあり、又製品としての取扱い性の点から１mm以
上が必要である。

本考案において、基布となる編地の組織はダブ
ルニツト組織にする必要があり、シングルニツト
組織を用いた場合は、テープカツト後に張力が掛
るとカールする性質がある為、平テープとしては
使用できない難点がある。

又シングルニツト組織では細巾のテープとした
時の強力が充分でないという問題点もある。

これに対してダブルニツト組織のものを用いる
と、テープカツト後の張力による耳カールの問題
や強力の問題もなく、又テープとしての形態安定
性にも優れた特徴が発揮できる。

ダブルニツト組織としては特に制約はないが編
目が比較的揃つているスムース組織及びポンチロ
ーマ組織が均一な製品を作る上でより好ましい。

この基布として用いる繊維としては、特に制約
はないがテープカツト後の強力保持の点からポリ
エステル系繊維を用いたものがより好ましい。

本考案において0.8デニール以下の極細繊維を
用いた理由は天然皮革様のソフトでドレープ性の
ある風合を付与することを目的とした為であり、
0.8デニールを越えると天然皮革様の感触を得る
ことが難しい。

本考案のスリツトテープに適したシート構造体
の好適な製造法の例としては単繊維繊度が0.8デ
ニール以下、繊維長１〜10mmの極細繊維を抄紙す
ることによつて抄造ウエブを作り、これを編物か
らなる基布（好ましくは潜在収縮性繊維の編物か
らなる基布）上に重ね合わせて積層体を形成し、
次いで該積層体を実質的に表面平滑な支持体上に
積置し、高圧液体処理によつて交絡一体化せし
め、その後潜在収縮性の基布を使用した場合は該
基布の収縮処理を施こすことによつてシート構造
体を作る方法が挙げられる。

この様にして得られたシート構造体はその後、
染色及び好ましくは毛羽固定のためポリウレタン
を含浸処理することによつて形態的にも安定なも
のとなる。尚、この様にして得られたシート構造
体は、その交絡性に優れる為、含浸用のポリウレ
タン量を低減できる特徴があり、これが又柔軟性
に優れた製品を得る結果となつている。上記のよ
うな構成で得られたものは、その後、サンデイン
グ、柔軟処理、ブラツシング等の加工を行なうこ
とによりライテイングエフエクト性を向上させた
後製品とする。その後、この製品をスリツターに
掛けて適当な巾、例えば1.5mm、２mm、５mm等に
スリツトした後、ボビンに捲き取り、スリツトテ
ープとする。テープに用いた繊維の種類によつて
は、綛取りした後、綛の状態で染色することも可
能であり、小ロツトの加工に対応できるメリツト
があり、小廻りのきく糸作りが可能である。

〔考案の効果〕

このようにして得られたスエード調スリツトテ
ープはこのまま衣料用の付属としても用いること
ができるが、編機に掛けて単独で又は他の糸と共
に編地を作ることによつてその特長がより一層発
揮できる。例えば２mm巾にカツトしたスリツトテ
ープを３ゲージ横編機に掛けて編成すると、風合
的にも非常にソフトでドレープ性に優れ、且つ美
麗な編地を得ることができる。

又、その編成性も一般の糸を用いた編成と何ら
変わりなく、編成された編地は、天然のシープに
よるスリツトテープを用いた同組織の編地に比
し、目付も非常に軽く、又染色堅牢度も優れ、ド
ライクリーニング、洗濯等の取扱い面でも優れた
ものである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案のスエード調スリツトテープの一例
を示す断面図であり、 １は単繊維繊度が0.8デニール以下の極細繊維
からなるスエード面層、２はダブルニツト組織の
基布を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ダブルニツト組織からなる基布に単繊維繊度が
   0.8デニール以下の極細繊維が交絡一体化した構
   造を有し、かつその破断強度が0.08Kg／mm以上、
   破断伸度が20〜150％である編成性に優れたスエ
   ード調スリツトテープ。