JPS6343104B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は改良されたバイアル用ゴム栓、特に耐
薬品性で、かつ減圧バイアル製剤にも使用しうる
ゴム栓に関するものである。 従来、バイアル用ゴム栓としては、バイアル内
に充填した薬剤、薬液の変質、たとえば変色、混
濁、沈澱、あるいは有効成分の力価の低下などを
防止するため耐薬品性で、かつ密封性の材料を使
用するか、あるいは二種の材料を併用することが
知られている。たとえば天然ゴムなどのゴム栓本
体の薬液接触面に、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、クロロプレンなどの被膜を積層した改良ゴム
栓（実公昭26−3893、実公昭45−17831、実公昭
47−9095号公報、フランス特許第75922明細書な
ど）が知られているが、これらを減圧バイアルに
使用するとゴム成分の漏出等が起り充分な耐薬品
性を示さない。また、薬剤接触面にテフロンを用
いた栓（実開昭48−41642号公報、USP3552591
明細書など）は、一応目的を達するが高価にす
ぎ、また大量生産が困難であつて繁用薬品に使用
することはできない。 本発明者らは、フツ素ゴムが耐薬品性にすぐれ
ており、ガス不透過性等バイアル用ゴム栓として
望ましい性質を兼備していることを知り、これを
用いてバイアル用ゴム栓を製造し、実際に試験し
たところ、常圧においてはガス不透過性が一応認
められても、減圧時にはガス透過性を有すること
を知り、かつ再封性、コアリング性の点でも劣る
ことが認められた。 このため、本発明者らは、さらに鋭意改良を重
ねた結果、減圧バイアルにも使用しうる本発明の
バイアル用ゴム栓を完成した。 すなわち、本発明は、たとえば第１図に示すご
とく、容器口に嵌挿しうる足部３を有し、かつ容
器口内径D₂より大きい径のフツ素ゴム製栓本体
Ａと、その上に積層したガス非透過性合成ゴム層
Ｂを有するバイアル用ゴム栓である。 本発明で用いるフツ素ゴムは、分子中にフツ素
原子を含有する合成ゴムを意味し、たとえば、
CH₂CF₂−C₃F₆（C₃F₅H）系エラストマー（商品
名バイトン、デユポン社製、商品名ダイエル、ダ
イキン社製など）、フルオロシリコーン系エラス
トマー（商品名シラステイツクLS、ダウコーニ
ング社製など）、C₂F₄−C₃H₆系エラストマー（商
品名アフラス、旭硝子社製など）、フオスフアゼ
ン系エラストマー（商品名PNF、フアイヤスト
ーン社製）あるいはC₂F₄−C₂F₃OCF₃系エラスト
マー（商品名カルレツツ、デユポン社製）などが
ある。これらエラストマーを原料としてゴム栓本
体を製造する。これらフツ素ゴムエラストマーの
中でも、特に好ましいものとして、CH₂CF₂−
C₃F₆（C₃F₅H）系エラストマー（たとえば商品名
バイトン、デユポン）およびC₂F₄−C₃H₆系エラ
ストマー（たとえば商品名アフラス、旭硝子）が
ある。該エラストマーを用いてゴム栓本体を成
型、製造するには、たとえば、上記エラストマー
のいずれか１種または２種以上の混合物に、加硫
剤、安定剤、充填剤などの配合物を添加し、通常
用いられる方法で一次加硫し、次いで２次加硫処
理を行なう。たとえばC₂F₄−C₃H₆系エラストマ
ーを原料として用いる場合には150〜170℃で５〜
20分間１次加硫し、次いで150〜250℃で３〜30時
間２次加硫すれば良く、好ましくは170℃で10分
一次加硫し、次いで200℃で20時間二次加硫する
とよい。 本発明のフツ素ゴム製栓本体の容器口に嵌挿し
うる足部３はキヤツピングに際してセンタリング
の作用をするものであればいかなる形状のもので
あつてもよく、足部の高さは、容器口内径の大き
さによつて左右されるが一般にほぼ0.1〜３cm、
特にほぼ0.3〜2.0cmのものが好ましい。かかる足
部は通常は連続しているが第１４図に示すように
非連続の２本あるいは数本の足からなるものであ
つてもよい。また、第１３図に示すように足部に
一部切削した溝４をつけた形状のもの、あるいは
第１４図に示すように段落５をつけた形状を有し
ていてもよい。これら足部に溝４などを設けたも
のは減圧バイアル製剤のゴム栓として特に好適で
ある。 また、フツ素ゴム製栓本体の上面は、ガス非透
過性合成ゴムの積層に際して支障のない形状であ
ればよく、かかる栓本体の上面として好ましいも
のとしては、たとえば第１，４，６，７，１３お
よび１４図に示すごとく平面であるもの、同じ平
面であつても第５図に示すごとく、周辺上部に鍔
を有する形状のもの、第１１図に示すごとく週辺
部を斜めに切り込んだ形状のものがあり、これら
は両ゴム層の剥離が少ないなどの点で望ましい。
また、第２，３および８図に示すごとく周辺部が
肉厚をなすものは、強度その他の点で好ましい。
また、第８，９および１０図に示すごとく、ゴム
栓本体の上面一部を陥没させた形状のもの、また
第１２図に示すごとく上面に突起を設けたものは
剥離に対して更に強い抵抗力を示す。これらは、
第１２−１図に示すごとく連続状であつてもよい
し、また第１２−２図に示すごとく非連続であつ
てもよい。また、栓本体は、たとえば第１１−１
図に示すごとく、歯車状の周辺をなしていてもよ
い。 本発明のフツ素ゴム製栓本体として、好ましく
は、上記のごときが用いられるが、何もそれに限
定されるものではなく、利用目的によつて適宜選
択使用しうる。 かかる本発明におけるフツ素ゴム製栓本体は、
その容器口上端接触面の直径が容器口の内径D₂
よりも大きいことが必要であり、また容器口外径
D₁より小さいことが好ましい。特に好ましい栓
本体の直径としては、第１図に示すごとく容器口
内径から外径に至るほぼ中央部に位置する径のも
のであり、内径から外径に至る1/3〜2/3の所に位
置する径のものを有利に用いることができる。 このようなフツ素ゴム製栓本体の上にはガス非
透過性合成ゴム層が積層される。ここで、ガス非
透過性合成ゴムとは、水分を含め、その他のガス
体を透過しない合成ゴムをいい、たとえばブチル
ゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−酢酸
ビニルゴムなどが用いられるが、このうち特にブ
チルゴムが良い結果をもたらす。かかるブチルゴ
ムとしては、レギユラーブチルゴム、塩素化ブチ
ルゴムあるいは臭素化ブチルゴムなどがあり、特
にレギユラーブチルゴムが最適である。 かかるガス非透過性合成ゴムをフツ素ゴム製栓
本体に積層して、本発明のゴム栓を製造する方法
としては、たとえば前述２次加硫したフツ素ゴム
製栓本体を金型にはめ込み、その上面に、接着剤
を用い、または用いないでガス非透過性の合成ゴ
ムの混練物を装填し、これを金型を用いて加圧
下、加熱加硫してガス非透過性合成ゴムを積層さ
せゴム栓とする。 この際の接着剤としてはシリコン系の接着剤が
好ましい。また、加硫条件としては普通ブチルゴ
ムを加硫する際の条件、たとえば約150〜180℃の
温度で５〜30分、好ましくは160〜170℃、10〜20
分加硫することによりすぐれた本発明のゴム栓が
得られる。 本発明のバイアル用ゴム栓は、耐薬品性を有す
るだけでなく、水分などのガスの透過を完全に防
止する。特に減圧バイアル製剤に本発明のゴム栓
を適用しても水分の透過を完全に防止し、高度に
気密性を保つため製剤の品質を長期間にわたつて
安定に保つ。また、注射針を刺通した場合の再封
性にすぐれ、この部分からの液もれがないし、ま
た注射針を刺通したあとのコアリングもほとんど
ない。また、本発明のゴム栓はバイアルへの自動
キヤツピングの際にもすぐれており不良品の発生
が極めて少ない。 本発明のバイアル用ゴム栓を使用して、良好な
結果が得られる薬剤には、従来のゴム栓を用いる
と変質するもの、難溶性の固型剤、空気中の酸素
等と反応する薬物などが用いられ、具体的にはた
とえば、アスコルビン酸、アンピシリンナトリウ
ム、イソニアジド、イソフエンインシユリン、イ
ンシユリン、インフルエンザワクチン、乾燥抗毒
素類（たとえば乾燥まむし毒素）、スルホシリン
ナトリウム、セフアセトリールナトリウム、セフ
アゾリンナトリウム、カルベニシリンナトリウ
ム、塩酸セフオチアム、セフスロジン、セフフア
ロシンナトリウムなどがある。第１５図は、本発
明のバイアル用ゴム栓を使用した減圧バイアル製
剤であり、記号６は、7β−〔２−（２−アミノチ
アゾール−４−イル）アセタミド〕−３〔〔〔１−
（２−ジメチルアミノエチル）−1H−テトラゾー
ル−５−イル〕チオ〕メチル〕−セフ−３−エム
−４−カルボン酸ジ塩酸塩と炭酸ナトリウムの混
合物である。 以上説明するごとく、本発明のバイアル用ゴム
栓は、すぐれた作用ならびに効果を奏する極めて
有用なバイアル用ゴム栓である。 試験例 １ 水分透過性試験：本発明のゴム栓（第１図）お
よびフツ素ゴムのみからなる同形のゴム栓を用い
て試験を行なう。まずバイアル内に乾燥剤
（CaCl₂）１ｇを取りゴム栓を真空封栓、巻締め
する。このようにして得た検体（各20本）を電解
質塩の飽和水溶液で定湿としたデシケータに保存
（保存条件：40℃ 関係湿度90％）して試験を行
なうと次表に示す結果が得られる。

【表】 試験例 ２ 再封性試験：本発明のゴム栓（第１図）および
フツ素ゴムのみからなるゴム栓を用いて試験を行
なう。まず、バイアルに内容量の半分の水を入
れ、ゴム栓（各20検体）を旋栓、巻締めしたもの
に容間容積と同等の空気を注射器で注入し、倒立
して注射針を抜いた場合の水もれの有無を検査す
る。

【表】 試験例 ３ コアリング試験：本発明のゴム栓（第１図）お
よびフツ素ゴムのみからなるゴム栓を用いて試験
を行なう。バイアルにゴム栓（各100検体）を施
栓、巻締めしたものを注射針で刺通し、その際の
可視的ゴム片の混入を検査すると、次表に示す結
果が得られる。

【表】 【図面の簡単な説明】

第１図から第１５図までは本発明のバイアル用
ゴム栓を施栓した状態の断面図を示す。第１１−
１図は第１１図の、また第１２−１図、第１２−
２図は第１２図の栓本体の平面図を示す。第１３
−１図は第１３図の、また第１４−１図は第１４
図の栓本体の下面図を示す。 Ａ……フツ素ゴム製栓本体、Ｂ……ガス非透過
性合成ゴム、１……バイアル容器、２……ゴム栓
減封部、３……フツ素ゴム製栓本体の足部、D₁
……容器口外径、D₂……容器口内径。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 容器口に嵌挿しうる足部を有し、かつ容器口
   内径より大きい径のフツ素ゴム製栓本体と、その
   上に積層したガス非透過性合成ゴム層を有するバ
   イアル用ゴム栓。 ２ 栓本体の径が容器口外径より小さい特許請求
   の範囲１記載のバイアル用ゴム栓。