JPS6334345B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動二輪車用変速機のシフト機構、
就中、シフトスピンドルに固着された揺動アーム
によるシフトドラムの駆動機構に関するものであ
る。

自動二輪車の変速シフト機構では、カムを使用
している。カムとしては、円筒面にカム溝を付し
たもの、および平面にカム溝を付したものがあ
り、前者、すなわちシフトドラムが一般的に使用
されている。このシフトドラムに形成されたカム
によつて、スライデイングギヤに嵌合しているシ
フトフオークを動かして変速を行うのである。

シフトドラムの回転駆動機構としては、種々の
ものが知られており、その一例として揺動アーム
（以下、シフトアームと称する）に付したギヤと、
シフトドラムに係合して回転を伝えるシフターに
設けたギヤとを噛合させるタイプの回転駆動機構
がある。その駆動機構を第１図に依り説明する。
駆動側は、トランスミツシヨンケース０１に回転
自在に枢支されるとゝもに、シフトペダルを備え
たシフトスピンドル０２と、同シフトスピンドル
０２と一体のシフトアーム０３とで構成され、シ
フトアーム０３の先端にギヤ０４が付設されてい
る。一方の従動側は、シフトドラムの一端部に一
体的に結合されたドラムセンター０７と、同ドラ
ムセンター０７とラチエツトポール０５ａを介し
て係合し得るとゝもに、ギヤ０６を備えたシフタ
ー０５とで構成されている。シフトアーム０３側
のギヤ０４とシフター０５側のギヤ０６とは、所
定のギヤ比で噛合されており、シフトペダルの操
作によつて、シフトスピンドル０２が回転し、シ
フトアーム０３が揺動して、シフター０５が回転
され、ラチエツトポール０５ａとドラムセンター
０７との係合関係で、ドラムセンター０７および
シフトドラムが回転せしめられるものである。

ところで、一般に、シフトスピンドルの回転角
は、シフトペダルによるシフトストローク、およ
びシフトアーム長からして、15゜程度が好ましく、
一方のシフトドラムは、５〜６段変速の場合、回
転角60゜〜72°を必要とする。したがつて、前記ギ
ヤ０４，０６のギヤ比は、略ぼ3.5〜4.5程度とな
る。しかして、ギヤ比は、略ぼギヤ半径の比であ
るから、モジユールが決まると、両ギヤの軸間距
離は自ずから限定されてくる。しかも、モジユー
ルは、ギヤの加工性、強度上の理由から実用範囲
が限定され、最少歯数に限度があるため、前記シ
フトスピンドル０２と、シフター０５の軸心、す
なわちシフトドラムの軸心との間隔は、然程自由
に接近させることはできない。この問題は、装置
をコンパクト化するための制約となつていた。

本発明は、斯かる事情を考慮して創案された従
来技術の改良に係り、シフトスピンドルに固着さ
れた揺動アームによりシフターを作動し、同シフ
ターを介してシフトドラムを駆動するタイプのシ
フト機構において、前記揺動アームを、同シフタ
ーの軸方向外方よりシフトドラムの軸心を越えて
延出させるとともに、同延出部にインターナルギ
ヤを内方に突設し、これと噛合いシフターの作動
角度内の必要歯数のギヤをシフトスピンドルと反
対側に形成したもので、その目的とする処は、シ
フトスピンドルとシフトドラムとを接近させると
ともに、揺動アームの作動範囲を縮小させ、全体
として大巾にコンパクト化された変速機のシフト
機構を提供することにある。

以下、本発明の一実施例を第２図ないし第１５
図に則して説明する。

自動二輪車用エンジン１は、クランクケースと
トランスミツシヨンケース２とが一体に形成され
ており、クランク軸３、中間軸４、主軸５、副軸
６が配設され、各軸上のギヤが相互に噛合状態に
ある。

また、主軸５および副軸６の下方には、シフト
ドラム１０が配設され、その円筒面に形成された
カム溝に係合するとゝもに、ガイド軸１１上を摺
動し得るシフトフオーク１２，１３，１４が、夫
れ夫れ主軸５、副軸６上のスライデイングギヤと
係合している（以上、第２図、第３図参照）。

そして、シフトドラム１０の一端部に、ドラム
センター２０が同軸的に結合され、同ドラムセン
ター２０に対しては、シフター３０が同軸的に嵌
合され、シフター３０は、ドラムセンター２０に
対して一体回転、および相対回転し得るように構
成されている（第３図参照）。

前記ドラムセンター２０の形状は、第５図ない
し第８図に示す通りであり、シフトドラム１０と
嵌合する軸筒部２１と、後記ラチエツトポール３
４と係合し得る変速段数と同数の六つの係合溝２
３を有するラチエツトハウジング２２と、その外
周に形成された変速段数と同数の六つの係合爪２
４と、六つの変速位置決め用係合凹部２６および
中立位置決め用係合凹部２７を備えた変速カム体
２５とで形成されている。

また、前記シフター３０の形状は、第９図ない
し第１２図に示しており、ドラムセンター２０の
中心軸孔に回転自在に嵌合する軸筒部３１と、ス
パーギヤ３２と、ドラムセンター２０のラチエツ
トハウジング２２内に遊嵌され、かつ一対のラチ
エツトポール３４および同ラチエツトポール３４
を放射方向に付勢するプランジヤー３５を担持す
るブロツク３３とで形成されている。シフター３
０は、ドラムセンター２０に対するセツテイング
状態では、トランスミツシヨンケース２に固着さ
れたガイドプレート５０によつてブロツク３３の
外側を規制され、かつ、シフター３０が回転した
時に、一方のラチエツトポール３４の頭がガイド
プレート５０によつて抑えられ、このラチエツト
ポール３４と係合溝２３とが係合しないように構
成されている（第３図、第４図、第１３図参照）。

一方、シフトドラム１０の後方に、同シフトド
ラム１０と平行に配設されたシフトスピンドル４
０に一体的に嵌着されたシフトアーム４１の先端
部には、インターナルギヤ４２が付設され、同イ
ンターナルギヤ４２は、前記シフター３０のスパ
ーギヤ３２と噛合されている。また、シフトスピ
ンドル４０上には、ストツパー４４，４５を備え
たプレート４３が一体に嵌着されており、シフト
アーム４１の両方向の揺動限で、ストツパー４
４，４５の一方が、前記ドラムセンター２０の係
合爪に係合して、シフトドラム１０の過回転を防
止し得るようになされている（第３図、第４図、
第１４図、第１５図参照）。

前記構成に於いて、リターンスプリング７０の
弾発力に抗してシフトペダルを操作し、シフトス
ピンドル４０を回転させると、シフトアーム４１
が揺動し、インターナルギヤ４２、スパーギヤ３
２を介してシフター３０が所定角度だけ回転され
る。この時、回転方向に応じて、一対のラチエツ
トポール３４の一方が、ラチエツトハウジング２
２内の係合溝２３と係合してドラムセンター２０
が、シフター３０と一体的に回転する。また、ド
ラムセンター２０の変速カム体２５には、付勢ス
プリングによつて付勢されたストツパーアーム６
０の位置決めローラ６１が常時当接しており、ド
ラムセンター２０が所定角度だけ回転した位置
で、対応する変速位置決め用係合凹部２６と位置
決めローラ６１とが係合する。

次に、シフトペダルに対する操作力を解除する
と、リターンスプリング７０の弾性復元力によ
り、シフトアーム４１が初期位置に復帰する。こ
の間、シフター３０も戻り回転するが、この回転
方向で動作するはずのラチエツトポール３４は、
ガイドプレート５０によつて頭を抑えられている
ので、ラチエツトハウジング２２の係合溝２３と
係合することなく、ドラムセンター２０は、スト
ツパーアーム６０によつて位置決め保持されたま
まである。

しかして、ドラムセンター２０が所定角度だけ
回転した時には、シフトドラム１０も一体的に回
転され、シフトフオーク１２，１３，１４が変位
して、スライデイングギヤが動かされ、所定ギヤ
比に変速される。そして、前記の如き回転操作を
操り返すことによつて、１〜６速の所望の変速を
行うことができる。

本実施例では、前記のように、シフトアーム４
１にインターナルギヤ４２を付設して、同ギヤ４
２をシフトドラム１０と同軸上のスパーギヤ３２
と噛合させる構造としたので所定のモジユールを
維持しつゝ、シフトドラム１０とシフトスピンド
ル４０の間隔を、従来のものに比して大幅に接近
させることができ、その結果、エンジン１がコン
パクト化され、軽量化が達成される。

次に、他の実施例を第１６図につき説明する。

シフトドラム８０の一端部には、螺子軸８１に
よつてドラムセンター８２が一体的に付設されて
おり、螺子軸８１の頭部にシフター８３が回転自
在に枢支されている。シフター８３は、スパーギ
ヤ８４を備えている他、ラチエツトポール、プラ
ンジヤーを備えている点で前実施例に於けるシフ
ター３０と同様な構造であり、対するドラムセン
ター８２のラチエツトハウジング８２ａの構造
も、前記ドラムセンター２０と同様な構造であ
る。

一方、シフトスピンドル９０上には、シフトア
ーム９１が嵌着され、その先端部にインターナル
ギヤ９２が付設されている。

前記インターナルギヤ９２とスパーギヤ８４と
は相互に噛合し、シフトペダル操作によつてシフ
トアーム９１が揺動回転すると、その回転はシフ
ター８３に伝達され、ラチエツト機構によつてド
ラムセンター８２、およびこれと一体のシフトド
ラム８０が回転して、シフトフオーク１００が変
位せられる。

この実施例に於いても、シフトドラム８０とシ
フトスピンドル９０の間隔が短縮されることは、
前実施例と同様である。

以上、実施例の説明から明らかなように、本発
明では、シフトスピンドルに固着された揺動アー
ムによりシフターを作動し、同シフターを介して
シフトドラムを駆動するタイプのシフト機構にお
いて、前記揺動アームを、同シフターの軸方向外
方よりシフトドラムの軸心を越えて延出させると
ともに、同延出部にインターナルギヤを内方に突
設し、これと噛合いシフターの作動角度内の必要
歯数のギヤをシフトスピンドルと反対側に形成し
たため、インターナルギヤ係合により二軸間距離
を縮小でき、しかもシフトスピンドル側にシフタ
ーのギヤを具備させないので、この二軸間距離を
より一層つめることができる。

また揺動アームがシフターの軸方向外方にオー
バーハングしているので、揺動アームを短縮する
ことができるとともに同アームの揺動範囲を可及
的に縮小でき、揺動に際し、他の部材に当接する
惧れが少ないので、ケースの壁等を内側に追い込
み、全体としてシフト機構のより一層のコンパク
ト化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は公知に係るシフト機構の説明図、第２
図は本発明の一実施例に係るシフト機構を備えた
エンジンの縦断側面図、第３図はその展開横断平
面図、第４図は第３図に於ける−線矢視図、
第５図はドラムセンターの縦断面図、第６図は第
５図に於ける−線矢視図、第７図は第５図に
於ける−線矢視図、第８図は第７図に於ける
−線切断図、第９図はシフターの側面図、第
１０図は第９図に於ける−線矢視図、第１１
図は第９図に於けるXI−XI線切断拡大断面図、第
１２図は第９図に於けるXII−XII線切断図、第１３
図はガイドプレートの平面図、第１４図はシフト
スピンドル組立体の断面図、第１５図は第１４図
に於ける−線矢視図、第１６図は他の実
施例に係るシフト機構の説明図である。 １……エンジン、２……トランスミツシヨンケ
ース、３……クランク軸、４……中間軸、５……
主軸、６……副軸、１０……シフトドラム、１１
……ガイド軸、１２，１３，１４……シフトフオ
ーク、２０……ドラムセンター、２１……軸筒
部、２２……ラチエツトハウジング、２３……係
合溝、２４……係合爪、２５……変速カム体、２
６……変速位置決め用係合凹部、２７……中立位
置決め用係合凹部、３０……シフター、３１……
軸筒部、３２……スパーギヤ、３３……ブロツ
ク、３４……ラチエツトポール、３５……プラン
ジヤー、４０……シフトスピンドル、４１……シ
フトアーム、４２……インターナルギヤ、４３…
…プレート、４４，４５……ストツパー、５０…
…ガイドプレート、６０……ストツパーアーム、
６１……位置決めローラ、７０……リターンスプ
リング、８０……シフトドラム、８１……螺子
軸、８２……ドラムセンター、８２ａ……ラチエ
ツトハウジング、８３……シフター、８４……ス
パーギヤ、９０……シフトスピンドル、９１……
シフトアーム、９２……インターナルギヤ、１０
０……シフトフオーク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シフトスピンドルに固着された揺動アームに
   よりシフターを作動し、同シフターを介してシフ
   トドラムを駆動するタイプのシフト機構におい
   て、前記揺動アームを、同シフターの軸方向外方
   よりシフトドラムの軸心を越えて延出させるとと
   もに、同延出部にインターナルギヤを内方に突設
   し、これと噛合いシフターの作動角度内の必要歯
   数のギヤをシフトスピンドルと反対側に形成した
   ことを特徴とする変速機のシフト機構。