JPS6328767Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、棟包板又は壁取合水切材等の水上側
取合材を取付けることが簡易且つ迅速にでき、棟
部箇所等に発生する熱歪を防止でき、スライド金
具の取付も簡単にできる折板状屋根の水上側修め
構造に関する。

〔従来の技術及びその問題点等〕

従来より、山部と谷部とが連続する折板状屋根
の棟等の水上側修めは、一般に長手方向に適宜の
長さの棟包材で取付け、その棟包材を伸縮可能に
取付けていたものもあつたが、それでは、折板状
屋根の熱伸縮によつてその棟包材が金属疲労して
その中間部に亀裂が入つたりして破損しそこから
雨水が浸入する等の重大な問題点がありこれを解
決することが要望されている。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで考案者は、前記の問題点を解決すべく鋭
意、研究を重た結果、本考案を、帯板を適宜屈曲
したコ字状部の上面片の外端より、該コ字状部の
下面片の外端寄りの下側に張出す挟持部を形成し
たスライド金具を折板状屋根の水上側寄りの山部
の頂面に挿入係止し、且つ該頂面に対してスライ
ド金具を摺動可能とし、その上面片に、水上側取
合材に形成した緩傾斜部を固着した折板状屋根の
水上側修め構造としたことにより、棟包板又は壁
取合水切材等の水上側取合材を取付けることが簡
易且つ迅速にでき、棟部箇所等に発生する熱歪を
防止でき、スライド金具の取付も簡単にでき、前
記の問題点等を解決したものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第７図に基
づいて説明する。

Ａは金属製のスライド金具であつて、側面から
みてコ字状をなしたコ字状部１が帯板等で屈曲形
成され、該コ字状部１は上面片１ａと側片１ｂと
下面片１ｃとで構成されている。そのコ字状部１
の上面片１ａの外端より、下面片１ｃの外端寄り
の下側に張出す弾性を有した挟持部２が一体形成
されている。該挟持部２の下側片と前記下面片１
ｃとの間でクリツプとしての役割をなす。前記下
面片１ｃの外側端に上側に屈曲縁１ｄが形成され
ている。又、前記挟持部２の下側片端にも一端上
側に昇り再び下がるように屈曲した屈曲縁２ａが
一体形成されている。この屈曲縁１ｄ，２ａは何
れも挿入しやすくできると共に挿入後建築用板３
に傷等の損傷を与えないようにするためである。

前記折板状屋根Ｂは、山部３ｂと谷部３ａとが
連続するように構成され、この建築用板３は谷部
３ａの両側に山部３ｂ，３ｂが一体形成され、こ
れが長手方向に適宜の長さ又は長尺な金属板にて
形成されている。その谷部３ａの底部が幅広の場
合には必要に応じて中間山状部が膨出形成されて
いる。その折板状屋根Ｂは、建築用板３の一側の
山部３ｂが屋根受金具４上に載せられ、その建築
用板３の山部３ｂの上に隣接の建築用板３の山部
３ｂが重合され、その山部３ｂ，３ｂと屋根受金
具４とがドリルビス又はボルト・ナツト等にて固
着され、これらが順次繰返されて折板状屋根Ｂが
施工され、該折板状屋根Ｂの水上側上端の山部３
ｂが、棟部箇所の梁材５上の屋根受金具４に載置
される。又、この折板状屋根Ｂは高さの低い山部
３ｂにしたり、或いはその谷部３ａの底部を幅広
にすることも多い。さらにその山部３ｂの頂面は
第１図、第５図に示すように、略平坦状をなして
いるが、これを断面ハツト形にしたり（第６図参
照）、断面山形円弧状にすることもある（第７図
参照）。前記スライド金具Ａの形状は、その山部
３ｂの頂部の形状に適宜対応するように形成され
ている。

その折板状屋根Ｂ，Ｂが棟部を境に両側下向き
に形成され、その棟部箇所に開口部６が形成され
て全体の屋根が施工されたり、或いはその折板状
屋根Ｂの水上側上端に壁部Ｃが設けられている。
又、折板状屋根Ｂの建築用板３の谷部３ａの水上
側上端に止面戸７が固着されたり（第１図乃至第
３図参照）、或いは立上り部が屈曲形成されてい
る。該立上り部を形成するのには、八千代折りし
つゝ屈曲形成する。

８は金属製の長尺又は適宜の長さの棟包板であ
つて、緩傾斜部８ａ，８ａが対称的に形成されて
断面略へ字状の山形部となつている。該山形部の
両端より下方に折返し縁が形成されていることも
ある。９は金属製の長尺又は適宜の長さの壁取合
水切材であつて、緩傾斜部９ａの一側に垂直状部
９ｂが形成されている。その緩傾斜部９ａの他側
に折返し縁が一体的に形成されていることもあ
る。

その棟包板８と壁取合水切材９とを総称して水
上側取合材と称する。

まず、棟修めを施工するには、そのスライド金
具Ａが棟部箇所の対向する山部３ｂ，３ｂの頂面
に挿入係止される。実施例では単にそのスライド
金具Ａの挟持部２の下面片と、下面片１ｃとの間
で、棟部箇所より建築用板３の山部３ｂの頂面に
挿入係止される。このときの挿入係止は、第２図
等に示すように左右側に、全部挿入しないように
する。このように挿入係止したスライド金具Ａは
その建築用板３の長手方向に適宜摺動可能で且つ
垂直方向に移動不能に取付けられる。そして、棟
包板８が棟部箇所の左右の両スライド金具Ａ，Ａ
を覆うようにして載せられ、その棟包板８の両側
部が左右の両スライド金具Ａ，Ａに固着されてい
る。実施例では、棟包板８の緩傾斜部８ａ，８ａ
が棟部箇所の左右の両スライド金具Ａ，Ａ及び折
板状屋根Ｂの棟部箇所に被覆され、その緩傾斜部
８ａとスライド金具Ａのコ字状部１の上面片１ａ
とがドリルビス又はリベツト等にて固着されてい
る。該固着は、第２図、第５図乃至第７図に示す
ようにスライド金具Ａと棟包板８とを固着するも
ので、スライド金具Ａと建築用板３の山部３ｂと
は固着しないことが必要である。１０は面戸板
で、棟包板８の緩傾斜部８ａの水下側又は壁取合
水切材９の緩傾斜部９ａの水下側に一体又は別体
に設けられている。

又、壁取合修を施工するには、第３図に示すよ
うに壁取合水切材９の垂直状部９ｂが壁部Ｃにボ
ルト等にて固着され、壁取合水切材９の緩傾斜部
９ａにてスライド金具Ａ及び折板状屋根Ｂの水上
側寄り（壁取合部箇所）に被覆され、その壁取合
水切材９の緩傾斜部９ａがスライド金具Ａの上面
片１ａにドリルビス又はリベツト等で固着されて
いる。１１は胴縁である。

〔考案の効果〕

本考案においては、帯板を適宜屈曲したコ字状
部１の上面片１ａの外端より、該コ字状部１の下
面片１ｃの外端寄りの下側に張出す挟持部２を形
成したスライド金具Ａを折板状屋根Ｂの水上側寄
りの山部３ｂの頂面に挿入係止し、且つ該頂面に
対してスライド金具Ａを摺動可能とし、その上面
片１ａに、水上側取合材に形成した緩傾斜部８
ａ，９ａを固着した折板状屋根の水上側修め構造
としたことにより、第１に棟部箇所等に発生する
熱歪を防止できるし、第２に棟包板８又は壁取合
水切材９等の水上側取合材を取付けることが簡易
且つ迅速にでき、特にスライド金具Ａの取付も簡
単にできる等の効果を奏する。

該効果を詳述すると、先ず、スライド金具Ａを
介して棟包板８や壁取合水切材９等の水上側取合
材を取付けることで、折板状屋根Ｂを構成する建
築用板３が該長手方向に外気温に対応して適宜熱
伸縮して、その折板状屋根Ｂの棟部箇所又は壁取
合箇所に伸縮が表れたとしても、その棟包板８や
壁取合水切材９等の水上側取合材はスライド金具
Ａを介して屋根に取付けた構成であり、該スライ
ド金具Ａ，Ａが山部３ｂ，３ｂ上を該長手方向に
適宜摺動するようになつて、棟包板８又は壁取合
水切材９等の水上側取合材及び折板状屋根Ｂを構
成する建築用板３には一切熱応力が生ぜず、熱歪
の発生を確実に防止できる。又、その熱伸縮によ
る板鳴現象も防止できる。

又、そのスライド金具Ａの挟持部２とコ字状部
１の下面片１ｃとを折板状屋根Ｂの水上側寄りの
山部３ｂの頂面に挿入係止するのみで取付けら
れ、極めて簡易且つ迅速にできる利点がある。こ
のようにして棟包板８等の水上側取合材を取りつ
けても、そのスライド金具Ａは複数（多数）存在
するため、係止のみでも、水上側取合材が外れる
ことなく、充分に強度を有して取りつけることが
できる。これがため、全体の折板状屋根の水上側
修め構造の施工も簡易且つ迅速にできる。

本考案では、特に、スライド金具Ａの挟持部２
は、コ字状部１の上面片１ａの外端より、該コ字
状部１の下面片１ｃの外端寄りの下側に張出す挟
持部２を形成したことで、挟持部２はスライド金
具Ａの下部側位置となり、その挟持部２を折板状
屋根Ｂの山部３ｂの頂面に挿入係止すると、その
スライド金具Ａの大半は、山部３ｂの頂面上に突
出させたこととなり、水上側取合材を上からドリ
ルビス等の固着具等で固着しても、その山部３ｂ
の頂面は固着されず、コ字状部１のみに固着で
き、熱伸縮に良好に対応できるように容易に取り
つけられる。

又、そのスライド金具Ａは構成や形状が極めて
簡易であるし、その加工も単に板材をプレスする
のみであり、頗る安価に製作できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の棟部修めの斜視図、第２図は
第１図の縦断側面図、第３図は本考案の別の実施
例の壁取合修めの縦断側面図、第４図はスライド
金具の斜視図、第５図乃至第７図は折板状屋根の
山部の傾斜端縁にスライド金具を係止した状態の
断面図である。 Ａ……スライド金具、１……コ字状部、１ａ…
…上面片、１ｃ……下面片、２……挟持部、Ｂ…
…折板状屋根、３ｂ……山部、８ａ，９ａ……緩
傾斜部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 帯板を適宜屈曲したコ字状部の上面片の外端よ
   り、該コ字状部の下面片の外端寄りの下側に張出
   す挟持部を形成したスライド金具を折板状屋根の
   水上側寄りの山部の頂面に挿入係止し、且つ該頂
   面に対してスライド金具を摺動可能とし、その上
   面片に、水上側取合材に形成した緩傾斜部を固着
   したことを特徴とした折板状屋根の水上側修め構
   造。