JPS6245649B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は有機材料製電気絶縁碍子に関するもの
である。

有機材料製碍子には２つの種類がある。すなわ
ち、第１のものは電線用碍子であつて、これは引
張りまたは内部曲げ応力にさらされるものであ
り、第２のもの施設用碍子であつて、圧縮または
内部曲げ応力にさらされるものである。これら２
種類の碍子については、高汚染地域で使用される
装置においてよく見られる表面アーク発生現象を
低減することが常に最も重要なことである。

ここでは、有機材料製電線用碍子が対象であ
る。本発明の目的はこのような碍子において表面
アークの発生を防止するための技術的解決策を見
出すことにある。

実際既知のガラス製碍子または磁器製碍子にお
けるように、高汚染環境で使用される電線用また
は施設用碍子において表面アーク発生現象が生じ
る。このような現象は、碍子表面に伝導性汚染物
質の湿潤層が存在することに関係している。すな
わち漏洩電流が高電流密度域および高電流密度条
件においてこの湿潤層を乾燥し、乾燥域を短絡す
る電気アークの発生を促進する。

使用する碍子の型式によつては、２つの電極の
間に半導体帯域を与えて電界分布を変更すること
により表面アークの発生を起りにくくするという
原理に基いて、多数の解決法が提案されている。

公知の無機質碍子において、鉄、チタンまたは
錫の酸化物を含むエナメル質の表面被覆を設ける
ことが提案されている。これらの被覆は良好な電
子の伝導を伝える。ところが実用上では良好な品
質および絶縁材料と半導体材料との間の耐久性の
ある結合を得ることは通常非常に困難であつた。
また有機材料製電線碍子において鉄、チタンまた
は錫の酸化物を含浸させた外側ケーシング、ある
いはグラフアイト粉末またはカーボンブラツクを
含浸させたケーシングを設けること、特にエポキ
シ樹脂を含浸させたガラスフアイバーの棒を有す
る電線用碍子にそれらを適用することが提案され
ている。前記棒はフインを有するケーシングで覆
われ、このケーシングの機能は棒を保護し、漏洩
通路を長くすることである（このような棒は軽量
でありながら大きい引張り強度を与えている）。

しかしながら、これらの提案された解決策は技
術的に興味があるものであるが、屋外用碍子にお
いて実用に供することは非常に困難である。実
際、電気化学的腐蝕現象、ことに電極との接触点
における電気化学的腐蝕現象のために欠陥が生じ
ることが多い。

興味のある解決法が、有機材料製の施設用碍
子、特に成形含浸樹脂（一般にエポキシ―環式脂
肪族樹脂をベースとした含浸樹脂）の本体を有す
る施設用碍子に対して提案されている。この本体
の端部には、端部電極または金属端部片が少なく
とも部分的に埋め込まれている（電極または端部
片は絶縁製本体内に合体された薄い伝導性ロツド
により接続されている場合もある）。実際に、本
体全体に半導体材料を分散したもの、または中心
部分のみに半伝導性を付与した上述のものと同型
のケーシングがすでに提案されている。

しかしながら、これらの解決策は施設用碍子に
対しては適しているが、本発明が関係している電
線用碍子には直接に適用できない。何故ならば電
線用碍子は大きい引張り強度を絶対的に必要とす
るからであつて、このような強度は圧縮応力に耐
えるのに好適であるように設計された、端部片を
埋設した樹脂製の本体では得られない。

本発明は屋外使用時の表面アーク発生現象に耐
え、簡単な構造を有し比較的製造し易い電線用碍
子を提供することを目的としている。

本発明によれば前記目的は、硬化性合成樹脂で
固められた無機質又は有機質の繊維又は糸から成
る複合半導体材料から成る機械的引張り強度の高
い心棒と、半導体封止材料を介して前記心棒の末
端に係合する末端取付部材と、前記末端を除く前
記心棒の全表面の加硫によつて接着し、エラスト
マー製フインを備えた絶縁性エラストマー製の保
護鞘とからなる有機材料製電線用碍子によつて達
成される。

以下図面により本発明の具体例について説明す
る。

第１図に示すように、外部から見た電線用碍子
１は、固定用リング３を備えた二つの末端取付部
材としての固定取付部２を有する。両端部の固定
用リングの間には複数個のエラストマー材料製の
フイン４および５と前記固定取付部の近くに位置
するエラストマー絶縁結合片６とが配置されてい
て、後述の鞘８および心棒７のどの点も直接外側
に露出されておらず外部から損傷を受けることは
ないようになつている。

第２図に示すように、碍子１は心棒７を内部に
有する。この心棒７は機械的に高い引張り強度を
持つもので、硬化性合成樹脂で固められた無機質
あるいは有機質の繊維または糸から成る複合材料
で作られている。例えばガラスフアイバーにエポ
キシまたはポリエステル樹脂を含浸させたもので
あり、碍子１は保護用の鞘８を有する。この鞘は
エラストマー材料製で、端部に直接巻かれた封止
材料９により固定取付部２に埋込まれている両端
部を除いては棒７の全表面を覆つて固定されてい
る。封止材料９の双円錐形の形状および固定取付
部の埋込み凹部１０の双円錐形の形状およびその
形成方法に関しては、要すれば特開昭51−76572
（特願昭50−140355）を参照されたい。また、碍
子は鞘８に固定されたエラストマー材料製の複数
のフインを有している（第２図には最後のフイン
４だけが図示されている）。

さらに、少なくとも碍子の内方部分は、両固定
取付部間の全長に沿つて半伝導性としてある。こ
のためこの内方部分は、電解質と接触しないよう
に完全に保護されており、特に電極との接触部分
の電気化学的腐蝕という欠点をなくし、かつ電界
分布を好適化するものである。

第１の具体例によれば、半伝導性の内方部分は
保護鞘８から成るものとし、この鞘を囲むフイン
４，５は、良好な化学的耐性及び腐蝕耐性が得ら
れるように含浸されている絶縁性エラストマーで
作られる。鞘と固定取付部とは、鞘と同じ材料で
作られた半導体のリング１１により一体に結合さ
れている。すなわち鞘の各端部とこれに対応する
固定取付部の内壁とがこの半導体リング１１に固
定されている。

望ましい実施態様によれば、鞘８は処理された
心棒７の上に約120℃の温度において抽出成形さ
れ、従来のプライマで覆われ、それから加硫され
る。予め成形され鞘の上に取付けた半導体のリン
グを封止材料９に対して位置決めし、それから鞘
と固定取付部の内壁とに同時に加硫する。最後
に、端部同志を当接せしめたフイン４，５は加硫
により鞘に組付けられる。これらの加硫処理は非
常に強い接着性を与える。最後の工程は棒の端部
の固定で、これには例えば前述の特開昭51−
76572記載の方法を用いる。次いで結合片６を成
形しかつ加硫して、この結合片が鞘および固定取
付部の対向面に適宜接着するようにする。

保護用の鞘８を構成するエラストマーは、例え
ば高構造カーボンブラツク、適当な粒度のグラフ
アイト粉末、酸化鉄、酸化チタンまたは酸化錫の
ような化合物の少なくとも１種を含浸し、適度の
伝導性を有するようにしたものであることが好ま
しい。

第２の具体例によれば、半伝導性内方部分は心
棒７と、この心棒７の各端部および対応する固定
取付部の内壁に接触する封止材料９とで構成され
る。前記心棒７を囲む鞘８は絶縁性エラストマー
でできたものとする。この場合には半導体リング
を無くしてもよい。

心棒７はまた、非常に引張り強度が大きくかつ
エポキシ樹脂またポリエステル樹脂を含浸した伝
導性炭素繊維で少なくとも部分的に形成するのが
有利である。半導体の封止材料９は高構造カーボ
ンブラツクを混和したものから成り、心棒７と固
定取付部２との間の優れた電気的接触を与えるよ
うにする。

この第２の具体例の碍子は、鞘の押出成形およ
びその加硫に関してまた他の付属物の加硫に関し
て前述した第１の具体例のようにして製作され
る。

本発明は図示によつて与えられた具体例に限定
されるものではなく、特許請求の範囲に示された
本発明の一般的定義に当てはまるすべての変形お
よび等価的装置を使用する変形を含んでいる。特
に保護鞘および半導体リングに対して第１の具体
例に述べた半導体材料、および心棒および封止材
料に対して第２の具体例に述べた半導体材料は好
ましい例ではあるが、この材料のリストは限定的
なものとして解決されるべきものではない。

而して、本発明になる有機材料製電線用碍子で
は前述のごとく、エラストマー製フインを備えた
絶縁性エラストマー製の保護鞘が末端を除く前記
心棒の全表面に加硫によつて接着しているが故
に、末端を除く心棒の全表面が保護鞘によつて完
全に被覆され大気に露出しないので、心棒の表面
に直接汚染物質が堆積せず、汚染物質を流れる漏
洩電流に起因する心棒の損傷の発生を阻止して、
電線用碍子における引張りまたは内部曲げ応力を
負担する心棒を十分に保護し得、特に心棒の電気
化学的腐蝕現象による欠陥の発生を防止し得、加
えて電線用碍子の寿命を長くし得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による電線用碍子の部分立面
図、第２図は第１図に示された碍子の一端の拡大
軸断面図である。 １……碍子、２……固定取付部、３……固定用
リング、４，５……フイン、６……エラストマー
絶縁結合片、７……心棒、８……保護鞘、９……
封止材料、１０……埋込み凹部、１１……半導体
リング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 硬化性合成樹脂で固められた無機質又は有機
   質の繊維又は糸から成る複合半導体材料から成る
   機械的引張り強度の高い心棒と、半導体封止材料
   を介して前記心棒の末端に係合する末端取付部材
   と、前記末端を除く前記心棒の全表面に加硫によ
   つて接着し、エラストマー製フインを備えた絶縁
   性エラストマー製の保護鞘とからなる有機材料製
   電線用碍子。 ２ 前記心棒は少なくとも一部が非常に高い引張
   り強度を有し、エポキシ樹脂又はポリエステル樹
   脂を含浸させた伝導性カーボンフアイバーにより
   構成されている特許請求の範囲第１項に記載の碍
   子。 ３ 前記半導体封止材料は高構造カーボンブラツ
   クを混和して前記心棒と前記末端取付部材との間
   に優れた電気的接触が得られるように構成されて
   いる特許請求の範囲第１項又は第２項に記載の碍
   子。