JPS6238505Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、二条植型式の歩行型田植機に関す
る。

従来、二条植型式の歩行型田植機は、左右一対
の走行車輪の間に広巾な、かつ、長大な一つのフ
ロートを配置して、このフロートにより、車輪の
駆動に伴つて生じる駆動反力によつて機体後部が
沈み込むことを防止するとともに、植付部の整地
をも行わせるように構成していたものである。従
つて、泥面を整地しなければならないフロートを
大きく沈み込ませることはできず、いきおい、駆
動反力に抗して適正な整地を行うに足る広巾な接
地面積を有したフロートを備えなければならない
ものであつた。そのため、機体重量によるフロー
トの泥面内への沈込みに伴なつてフロートの横外
側に多量の泥土が押し出され、この押し出された
泥土や泥波がフロート両横外側方の既植苗に勢い
良くぶつかつて、既植苗姿勢の乱れや倒伏等とい
つた悪影響を招いていた。

そこで、本出願人は、先に出願した、実願昭53
−64378号において、機体前方側に一つの整地用
フロートを配置し、左右車輪の後方に左右一対の
接地専用のフロートを配置し、その左右の接地フ
ロート間に二条の苗を植付けるように構成した田
植機に関する技術を提案した。このように構成す
れば、後部の接地フロートは整地機能を備えなく
て良いので、植付け深さを適正に保つために泥表
面に均らすという整地作用のためにフロートの沈
み込み深さが制限されることなく、自由にフロー
トを深く沈み込ませることができて、その結果、
充分フロート巾を狭まくした泥押しの少ないフロ
ートを得られるものである。しかしながら、この
ような型式のフロートを用いた場合でも、例え
ば、第４図ロ、第５図ロに示すように、畦際近く
での作業では、フロート０２によつて押し出され
る泥土が畦Ａ側には余り流れず、フロート０２の
内方側に集中するため、既植苗ａへの悪影響があ
り、未だ改善されるべき余地がある。

本考案が解決しようとする技術的課題は、上述
の如き、フロートによる泥押しの少ない二輪三フ
ロート型式の歩行型田植機において、フロートの
外観形状を改良することにより、畦際等において
も泥土の流れによる悪影響を避けられるように工
夫することである。

上記課２３を解決するために講じた本考案の技
術手段は、左右一対の走行車輪の車軸よりも機体
前方側の左右方向中央位置に、左右一対の整地部
を備えた整地用フロートを配設し、前記各車輪の
夫々の真後に植付条間よりも巾狭の接地フロート
を配設し、かつ、前記一対の接地フロート間に二
条の苗を植付ける植付け装置を配設した歩行型田
植機において、前記接地フロートの左右両側面
を、上方ほど巾狭となる傾斜面に形成してあるこ
とを特徴としたことである。

上記技術手段を講じたことによる作用効果は次
の通りである。

すなわち、本考案は、接地フロートの左右両側
面を上方ほど巾狭となる傾斜面に形成するとい
う、フロートの外観形状を一部改良するだけの極
く簡単な手段をもつて、接地フロートの沈み込み
に伴ない押出される泥土による既植苗への悪影響
を十分に抑制できるに至つた。その上、傾斜面を
もつて接地フロートの左右両側面を実質的に内方
に入込ませてあるので、接地フロートの沈み込み
により泥土が側面上に流れ込むも、この流れ込み
泥土を円滑に後方に流動排出させ得て、接地フロ
ート上に泥土が堆積することを防止でき、このこ
とは、特に、第４図イ、第５図イに示す畦際近く
での作業において畦Ａ側に押出される泥土の後方
への流れが円滑化されるので、接地フロート２に
より押出される泥土が既植苗ａ側に集中排出され
ることに伴なう既植苗ａの倒れ防止の面で非常に
有利である。

また、このように接地フロート側面を傾斜面に
形成してあれば、畦際以外での通常の植付作業中
にも、傾斜面を有した接地フロートが沈み込むこ
とによつて、既植苗ａと接地フロート側面との実
質的な離間距離が傾斜面を形成していない接地フ
ロートと比べて拡がり、その分だけ既植苗に対す
る接地フロートによる泥押しの影響を少なくでき
る点でも有利である。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、揺動昇降自在な左右一対の耕盤走行車輪
３，３を備えた機体の前部に、左右一対の整地部
１ａ，１ａをもつ接地用フロートとしての前部フ
ロート１を配設するとともに、車輪３，３走行跡
泥面上を滑走する左右一対の接地フロートとして
の後部フロート２，２を配設し、かつ、前記の前
部フロート１における整地部１ａ，１ａの移動跡
で、後部フロート２，２の前端より後方の内側方
箇所夫々に同時に植付けを行なう二条式植付け装
置４と後方に延びる操縦ハンドル５とを設けてあ
る歩行型田植機において、前記後部フロート２，
２をともに比較的、巾狭に（数値的には140〜150
mm巾）に構成するとともに、後部フロート２，２
における上半部２Ａ，２Ａを前面視台形に構成さ
せて、これら上半部２Ａ，２Ａの左右両側面２
ａ，２ａ……を上方ほど巾狭になるような傾斜面
に形成してある。尚、上半部２Ａの高さHaと下
半部２Ｂの高さHbとの比は、２〜2.5：１にして
ある。又、傾斜側面２ａの水平面に対する傾斜角
は略45度である。

前記植付け装置４は、前方下方への苗送り作用
をもつ前下り傾斜姿勢の苗のせ台４Ａを横往復移
動自在に設けるとともに、この苗のせ台４Ａの傾
斜下端に形成させた一対の苗取出し口４ａ，４ａ
と泥面との間で、前記苗のせ台４Ａの横移動に連
動して循環作動することにより、苗のせ台４Ａ上
の苗を植付け単位量づつ取出して植付ける一対の
植付け爪４Ｂ，４Ｂを設けて構成してある。

図中６は、車輪３，３の前部位置に搭載した原
動部である。

尚、前記後部フロート２，２は、その後部近く
を支点Ｒ，Ｒとして、泥面の凹凸変化に追従して
上下揺動すべく構成してあり、かつ、その揺動支
点Ｒ，Ｒの高さを変更することにより、植付け装
置４の対泥面高さ、つまり、植付け深さを調節す
べく構成してある。前記後部フロート２，２の揺
動支点Ｒ，Ｒを高さ変更させる操作機構は、機体
に連設の支点Ｒ，Ｒ構成部材７，７を単独に上下
揺動自在に構成するとともに、これら支点構成部
材７，７の揺動操作レバー８，８を、単独並びに
同時に握持操作可能なように近接配置し、各レバ
ー８，８の揺動経路脇固定部に、レバー８，８を
複数位置において選択係止可能なレバー係止部
９，９を設け、もつて、両揺動支点Ｒ，Ｒを単独
並びに同時に変更して位置固定すべく構成してあ
る。

上記構成によれば、後部フロート２，２が、そ
の上半部２Ａ，２Ａをも泥内に浸漬させるように
沈込んだ場合、この後部フロート２，２の沈込み
により押出された泥土を内方に入込む後部フロー
ト２，２の傾斜左右両側面２ａ，２ａ……上に流
れ込ませて、押出し泥土の横外方既植苗ａ側への
流れ込み量を少なくできる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る歩行型田植機の実施例を示
し、第１図は全体側面図、第２図は全体平面図、
第３図は要部の一部切欠き拡大背面図であり、第
４図イ、第５図イは畦際作業状態を示す概略平面
図と概略背面図、第４図ロ、第５図ロは比較例と
しての歩行型田植機による畦際作業状態を示す概
略平面図と概略背面図である。 １……整地用フロート、１ａ……整地部、２…
…接地フロート、２ａ……側面、３……走行車
輪、４……植付装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右一対の走行車輪３，３の車軸よりも機体前
   方側の左右方向中央位置に、左右一対の整地部１
   ａ，１ａを備えた整地用フロート１を配設し、前
   記各車輪３，３の夫々の真後に植付条間よりも巾
   狭の接地フロート２，２を配設し、かつ、前記一
   対の接地フロート２，２間に二条の苗を植付ける
   植付け装置４を配設した歩行型田植機において、
   前記接地フロート２，２の左右両側面２ａ，２ａ
   を、上方ほど巾狭となる傾斜面に形成してあるこ
   とを特徴とする歩行型田植機。