JPS6238161B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、タイヤケーシングの改良に関し、特
に高速用に設計されたタイヤのためのタイヤトレ
ツドパターン、設計または構造を要旨として有す
る。

本発明は、トレツドパターンが、いくつかの円
周リブと、それぞれが２つのリブの間に位置した
直線状円周溝と、各リブに設けられていてかつ円
周溝に対し所定の角度で円周溝まで横に延びてい
る切欠きまたはノツチ（notch）とを有し、前記
切欠きがリブの円周にわたつて一様に分配され、
各グループの切欠きが縁または円周溝からリブの
内部に向つて延びているタイヤに関する。

横の切欠きまたはスロツトにより側方へ水を流
出または除去できることが知られている。また、
強力に構成された、すなわち比較的重要な数の隆
起した要素を含むリブを備えたタイヤトレツドが
トレツド要素のひずみに対する抵抗の減少のため
乗物の正確なかじ取に通常有利であることも知ら
れている。また、特に特別な状況において、例え
ばトレツドの円周方向に連続的な隆起構造が設け
られているときに、加速または減速する場合に、
または旋回する際に乗物のかじ取が容易になるこ
とも知られている。

上記の種々の必要条件の性質が相入れないた
め、現在までこの複雑な問題を満足に解決するタ
イヤが提案されていない。

いくつかの周知のタイヤでは、切欠きがリブの
到る所に延びており、各切欠きがトレツドの円周
方向に対し垂直な２つの部分で形成され、その各
部分が溝に開口していてかつ実質的にリブの中央
まで延びている。それらの２つの部分が互に円周
方向にずらされかつ直線状の切欠き部分により相
互に連結されている。結合した切欠き部分の幅は
他の２つの部分より狭くて、減速、加速中または
旋回するときに閉じようとする。かくして、その
ような特別な状況において連続的なリブの性質を
有するリブを得ようと努めた。しかしながら、そ
のようなトレツドパターンをその問題に対する十
分に満足なアプローチと考えることができず、リ
ブの確定した連続性を保証するようにしても、む
しろ通常の運転条件の下や高速では完全に不十分
であるのでなおさら満足なアプローチと考えるこ
とができない。いくつかの連続的な円周リブであ
るが、実際には初期の横切欠きのみを有する円周
リブを備えた他のタイヤトレツドが知られてい
る。前記リブの間に位置する隆起した円周領域に
は、これらの隆起した領域の側方を区画する直線
状円周溝を連結する幅の広い機構が設けられてい
る。しかしながら、この解決も不満足である。と
いうのは、このようなタイヤトレツドでは、水の
流出のために設計された円周領域および乗物の正
確なかじ取を有利にする連続的なリブが並置され
ているにすぎない。このような単なる並置では、
水の除去も正確なかじ取も有効に保証されない。

本発明の目的は、良好な排水挙動、良好なカー
ブ走行挙動、高速時の正確なかじ取り、およびタ
イヤパターンの騒音発生の減少を同時に解決でき
る、幅の広い特に高速用の自動車タイヤのトレツ
ドパターンを提供することである。

この目的を達成するために、本発明によるタイ
ヤトレツドでは、同じグループに所属していてか
つ円周方向に前後して続いている、円周方向リブ
の二つの横方向溝の接合開口と、同じ円周方向溝
に接する、隣接した円周方向リブの横方向溝の接
合開口であつて、円周方向に前記二つの横方向溝
の間にある接合開口との間隔が、１と異なる比率
ｍ：ｎを有し、円周方向溝Ｒと横方向溝Ｄの幅が
それらの全深さにわたつてそれぞれ一定である。

本発明のタイヤトレツドパターンでは、直線状
の円周方向溝の結果として直線の縁が形成された
リブがほとんど分割されずに連続的に配置されて
いるので、良好な方向安定性または正確なかじ取
りが確保され、また直線状の円周方向溝と、円周
方向溝の開口から円周方向リブの中心までまたは
中心を越えて延びている横方向溝との配置により
良好な排水挙動を有する。さらに、横方向溝の幅
が円周方向溝より狭く形成され、円周方向溝と横
方向溝の幅がそれらの全深さにわたつて一定であ
り、かつ同じ深さを有することにより、良好なカ
ーブ走行挙動が確保される。さらに、直線状の円
周方向溝と、同じ周方向溝に開口する横方向溝
の、１と異なるずらされた比率ｍ：ｎとを組合わ
せたので、幅の広い自動車タイヤの騒音発生を著
しく減少させることができる。

本発明のいくつかの実施例を示す例としてのみ
を与えられた概略図を参照して次の記載を読め
ば、本発明がいつそう良く理解されかつ本発明の
他の目的、特徴、詳細および利点がいつそう明瞭
になるだろう。

第１図乃至第３図には、本発明によるタイヤト
レツドパターン、設計または彫刻の原理を概略的
に示してある。タイヤトレツドの要素を文字で総
括的に示してあり、その文字に、同一の性質の要
素の間を区別することが本発明をより良く理解す
るために望ましい場合には指示数を付してある。

これらの図は円周方向と横方向に部分的に破断
した図である。図から分るように、タイヤトレツ
ドには、円周溝Ｒにより側方を区画された円周リ
ブＮがある。リブＮと溝Ｒは実質的に直線的であ
る。案内のみのためには、トレツドは少なくとも
３つのリブおよび２つの溝と多くて10のリブおよ
び９つの溝の間を有するのが一般的であり、この
とき側方のリブ、すなわちトレツドの縁に位置し
たリブが溝により区画されないで、直接タイヤケ
ーシングの側壁に隣接しているものと解される。

図に見られるように、各リブＮには、横切欠き
と呼ばれるが、トレツド中心線XXの方向と角度
αを形成する切欠きＤを設けてある。この角度α
は30゜乃至90゜の程度であるが、60゜乃至80゜の
程度が望ましい。

本発明により、円周溝Ｒから走つている切欠き
Ｄが、リブＮの円周方向円心線Ｌを、ａで示した
所定の距離だけ越えて延びている。距離ａは、リ
ブの幅の半分の1/2乃至2/3の程度で良い。各リブ
Ｎには切欠きD′，D″の２つのグループが設けら
れており、一方のグループの切欠きD′は２つの
円周溝のうちの一つに、例えば左側のリブN₁を
区画する溝R₁に開口し、他方のグループの切欠
きD″が他の溝、すなわち溝R₂に開口している。
１つのグループの切欠きが互に平行であり、同一
グループの２つの切欠きの間のリブの円周方向距
離１はリブのいたる所で変化する。かくして、両
グループの切欠きD′，D″が、リブの円周方向中
心線Ｌをまたぐ範囲で相互に重なる配置が得られ
る。

本発明の有意な特徴は、１つのリブの１つのグ
ループの切欠きＤ、例えば全ての切欠きが同一の
円周溝R₂に開口する、リブN₁の切欠きD″および
隣り合うリブN₂の切欠きD′を円周方向に互にず
らしてあることである。図面を見ると、前記のず
れは、中心線XXの円周方向における距離例えば
リブN₂の切欠きD′が溝R₂に開口する領域と、そ
れぞれ切欠D′の上下に位置した、隣り合うリブ
N₁の２つの切欠きD″が同一の溝R₂に開口する領
域の間の距離をそれぞれ示す分割距離ｍとｎによ
り定義されることが分る。図面から分るように、
分割距離ｍとｎは互に異なつている。ｍとｎを適
当に選択することにより、不快な走行雑音が起ら
ないように防止することができる。

図面に示すように、切欠きがそれらの対応する
溝に多少鋭角をなして開口しており、このため比
較的鋭い縁の形態の隆起部分Ｅが形成されること
になる。このような縁は急速に摩耗しやすい。本
発明により、このような縁に実質的に切欠きの底
まで斜角をつけるか、または丸みをつける。これ
によつて、タイヤトレツドの寿命を増加させるこ
とができる。

横切欠きの幅や深さのような寸法は円周溝の寸
法に等しくても良いし、または異なつていても良
いことに注意しなければならない。寸法を等しく
しない場合には、切欠きの寸法を溝の対応する寸
法より小さくする。

今述べた特徴は、第１図乃至第３図に概略的に
示した３つの形態の実施例に共通である。これら
の３つの形態の実施例は原理において相違し、特
に同一リブの２つのグループの切欠きの方向と、
隣り合うリブに設けられた切欠きに対するリブの
２つのグループの切欠きの方向において相違す
る。

第１図によると、リブN₁，N₂の全ての切欠き
D′，D″が平行であり、リブの中心線Ｌで同一距
離1/2だけ間隔を置いており、さらに中心線XXの
方向に関して、隣り合うN₂の切欠きと同じ角度
に方向づけられている。このように全てのリブの
切欠きの方向を同じにすると、一方の走行または
ころがり方向が他方より大きい横力成分の発生を
トレツドパターンが助ける指向効果が得られる。

この指向効果は、第２図に示したパターンの場
合には現われない。この図では、同一のリブ、例
えばリブN₁に設けられた切欠きＤが再び平行で
あるが、方向XXに関して、隣り合うリブN₂の切
欠きＤの方向と反対の角度方向に延びている。

第３図に示した実施例の形態は、同一のリブ
N₁，N₂において、切欠きD′がトレツドの円周方
向に関して切欠きD″の方向に対し反対方向に延
びている点で、第２図の形態と相違する。

第１図乃至第３図には、前述の実施例の３つの
形態のそれぞれにおいて、横切欠きＤが決してリ
ブの至る所に広がつていないから、各リブN₁と
N₂は円周方向の連続構造を呈する。円周方向お
よびこの方向を横切る方向におけるトレツドの性
質、例えば弾性または可撓性を、リブの幅、切欠
きの方向およびリブの中心線Ｌを越えて延びる切
欠きの程度（この程度は対応するリブの幅に対す
る距離ａの比率により定義される）を適当に選択
することにより左右できることは明らかである。
このトレツドは、切欠きがリブの中心線を越えて
延びる距離ａが、リブの幅の半分の1/2乃至2/3の
前記程度であるときに、良好な水排除能力を発揮
すると共に同時に乗物の正確なかじ取を保証す
る。かくして、ハイドロプレーニングの影響が有
効に減少する。しかしながら、ある状況では、ａ
はゼロでもまたは負の値でも良い。

第４図乃至第６図には、前述したトレツドパタ
ーンの構成要素により与えられる有利な可能性を
利用できる３つのトレツドパターンを示してあ
る。これらのパターンは、高速用に設計されたタ
イヤケーシングに用いるのに特に適している。

第４図には、195/70HR14サイズのタイヤに好
適に使用できるトレツドパターンを示してある。
このトレツドは、６つのリブN₁―N₆と５つの溝
R₁―R₅を有する。中間にある２つのリブN₃―N₄
および側方のリブN₁―N₆の幅は中間のリブN₂，
N₅の幅より小さい。第４図のパターンの特色
は、内側リブN₂乃至N₅のそれぞれにおいて、切
欠きが中心線Ｌを越えて延びる距離ａが切欠き
D′，D″の２つのグループで異なり、かつ溝R₂と
R₄に開口する切欠きが他方のグループの切欠き
より長いことにある。さらに、幅の広いリブにあ
る比較的長い切欠き、すなわちトレツドの縁に向
いているリブN₂の切欠きD″とリブN₅のD′は、そ
れぞれ、中間にある幅の狭いリブN₃とN₄の切欠
きD′とD″より中心線を越えて延びる程度がいつ
そう大きい。また、注意すべきことは、さらに第
５図と第６図のように、円周方向に関して１つの
グループの切欠きから次のグループへ方向が変わ
ることである。

これらのように設けることにより、トレツドパ
ターンの弾性にその円周方向で影響を与えること
ができる。というのは、切欠きが中心線を越えて
延びる程度が比較的大きいリブの側部は、中心線
を越えて切欠きが延びる程度が小さい側部より
も、牽引力または制動力の作用を受けた状態でい
つそう大きい弾性を発揮するからである。かくし
て、第４図のトレツドパターンにより、地面に対
するタイヤの粘着力が増加し、かつタイヤのすべ
りに対する抵抗がいつそう高くなる。

第５図に示したパターンは、弾性と水案内能力
がトレツドの中央から側縁に向つて徐々に増加す
るように設計されている。この目的のために、18
５／６０HR14のタイヤ寸法に用いるのに特に適した
トレツドは、５つのリブN₁―N₅と４つの溝R₁―
R₄を有する。側方のリブN₁とN₅はリブN₂，N₃，
N₄より幅が広い。図面から明らかなように、切
欠きD′とD″の長さがリブN₂，N₃，N₄でそれぞれ
等しいが、リブN₂，N₄に設けられた切欠きがリ
ブN₃の切欠きより長い。これに対して、中央の
リブより幅が広い側方のリブN₁，N₅では、溝R₁
とR₄からそれぞれトレツドの縁へ向つて延びる
切欠きが、逆向きの切欠き、すなわちトレツドの
中央へ向つて延びる切欠きよりも長い。さらに、
より長い切欠き（リブN₁のD″とリブN₅のD′）が
中心線を越えて延びる程度が、リブN₂，N₃，N₄
に設けられた切欠きの程度より大きい。

第５図には、中間のリブN₃の切欠きがリブの
中心線まで達せず、かつリブN₂とN₃では、切欠
きが中心線を越えて延びる距離が非常に小さい
か、またはゼロであるけれども、前記の切欠きを
もつと長くできることに注意しなければならな
い。重要なことは、トレツドの中央からその縁へ
向つて切欠きの長さおよび組織化された全体の中
の部分の相互関係の長さが徐々に増加することで
ある。

第６図によるパターンは、特に190/65HR390の
タイヤ寸法に適している。このパターンは、リブ
の幅が中間のリブN₃からトレツドの縁に向つて
増加する点で第５図のパターンと相違する。リブ
N₂，N₃，N₄は、それぞれ、第５図に示したパタ
ーンの対応するリブより幅が広い。リブN₂とN₄
の切欠きのようにリブN₃の切欠きがそれらのリ
ブの中心線を越えて延びている。このような設計
によれば、トレツドパターンの全範囲で平衡した
弾性、高速で使用するように意図されたタイヤで
は特に有利な性質を得ることができる。

前述した実施例の全ての形態では、トレツドの
円周リブＮの幅が互に異なり、かつ切込みＳを適
当に仕方で、例えば第４図乃至第６図に示したよ
うに、トレツドのリブＮに設けることができるこ
とにも注意しなければならない。

もちろん、本発明は、例としてのみ述べかつ例
証した実施例の形態に決して限定されるものでは
ない。特に、本発明は、記載された手段と技術的
均等物を構成する全ての手段を含み、同様に、こ
れらの手段の組合わせをその要旨に従つて実施
し、かつ特許請求の範囲内で用いる場合には、そ
の組合わせも含む。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は、本発明によるタイヤトレ
ツドの本質的な特徴を示す概略的な破断頂面図、
第４図乃至第６図は、本発明によるタイヤトレツ
ドの実施例の３つの形態を示す平面図で、トレツ
ドの円周方向中心線に対し横方向に部分的に破断
された図である。 Ｎ…円周リブ、Ｒ…円周溝、D′，D″…２つの
グループの切欠き、Ｌ…リブの円周方向中心線、
ａ…所定の距離。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 多数の直線状の円周方向リブＮを有し、これ
   らのリブが、円周方向に走る直線状の円周溝Ｒに
   より互に分離され、かつそれぞれ二つのグループ
   の横方向溝または切欠きＤを有し、これらの切欠
   きが円周に間隔をおいて配置され、かつそれぞれ
   円周方向リブＮの両方の外縁から出発し、円周方
   向リブの中央の線までまたはこの中央の線を越え
   て一定の範囲だけ直線状に延びて、円周方向リブ
   に途中で終つており、その際円周方向リブに付設
   された両方のグループの横方向溝が円周方向に互
   いにずらして配置され、かつ交互しており、およ
   び横方向溝に付設された円周方向溝と同じ深さを
   有する、高速用の幅の広い自動車タイヤのための
   トレツドパターンにおいて、同じグループに所属
   していてかつ円周方向に前後して続いている、円
   周方向リブNiの二つの横方向溝D″の接合開口
   と、同じ円周方向溝Ｒに接する、隣り合う円周方
   向リブN₂の横方向溝D′の接合開口であつて、円
   周方向に前記二つの横方向溝の間にある接合開口
   との間隔ｍ，ｎが、１と異なる比率ｍ：ｎを有
   し、円周方向溝Ｒと横方向溝Ｄの幅がそれらの全
   深さにわたつてそれぞれ一定であることを特徴と
   するトレツドパターン。 ２ 少なくとも二つの円周方向リブN₂，N₅また
   はN₁，N₅、特に同じ円周方向溝により分離され
   ない外側リブが、残りの円周方向リブN₁，N₃，
   N₄，N₆またはN₂〜N₄より大きい幅を有し、かつ
   所属の横方向溝D′とD″が残りの円周方向リブの
   長さより大きい長さを有する、特許請求の範囲第
   １項に記載のトレツドパターン。 ３ 両方の外側リブN₁，N₅の両方の横方向溝グ
   ループD′，D″の横方向溝が、外側リブの長さ方
   向中心線Ｌに対して対抗する傾斜αで延びてい
   る、特許請求の範囲第１項または第２項に記載の
   トレツドパターン。 ４ トレツドの中心Ｘ―Ｘからトレツドの縁まで
   幅が増加している少なくとも五つの円周方向リブ
   N₁〜N₅が設けられ、その場合横方向溝Ｄが、そ
   れぞれ、関連する円周方向リブの中心Ｌを越えて
   突出する量ａが、同様に増加している、特許請求
   の範囲第３項に記載のトレツドパターン。 ５ 一方のグループの横方向溝が所属の円周方向
   リブの中心Ｌを越えて延びている範囲ａが、同じ
   円周方向リブの他方のグループの横方向溝の関連
   する範囲ａと異なる、特許請求の範囲第３項また
   は第４項に記載のトレツドパターン。 ６ 外側リブをそれぞれトレツドパターンの中心
   の方向で区画している円周方向溝R₁，R₄に接す
   る、いつそう幅の広い外側リブN₁，N₅の横方向
   溝Ｄが、同じ外側リブの他方の横方向グループの
   横方向溝より大きい長さを有する、特許請求の範
   囲第５項に記載のトレツドパターン。