JPS6234707B2 - - Google Patents
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- JPS6234707B2 JPS6234707B2 JP56155698A JP15569881A JPS6234707B2 JP S6234707 B2 JPS6234707 B2 JP S6234707B2 JP 56155698 A JP56155698 A JP 56155698A JP 15569881 A JP15569881 A JP 15569881A JP S6234707 B2 JPS6234707 B2 JP S6234707B2
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Description
本発明は磁器組成物特に1000℃以下の低温で焼
結でき誘電率と比抵抗の積が高く、しかも機械的
強度の高い誘電体磁器組成物に関するものであ
る。 従来、誘電体磁器組成物として、チタン酸バリ
ウム(BaTiO3)などを主成分とする磁器組成物が
広く実用化されていることは周知のとおりであ
る。しかしながら、BaTiO3などを主成分とする
ものは焼結温度が通常1300〜1400℃の高温であ
る。このため、これを積層形コンデンサに利用す
る場合には、内部電極としてこの焼結温度に耐え
得る材料、例えば白金、パラジウム等の高価な貴
金属を使用しなければならず、製造コストが高く
つくという欠点がある。積層形コンデンサを安く
作るためには、銀、ニツケル等を主成分とする安
価な金属が内部電極に使用できるようなできるだ
け低温、特に1000℃以下の低い温度で焼結できる
磁器組成物が望まれている。 ところで磁器組成物を用い、実用的な積層形コ
ンデンサを作製するときに磁器組成物の電気的特
性として多くの項目が評価されなければならな
い。一般的に誘電率はできるだけ大きく、誘電損
失はできるだけ小さく、比抵抗はできるだけ大き
く、誘電率の温度変化は小さいことなどが要求さ
れる。 しかしながら、実際に積層形コンデンサを種々
の機器に用いる場合においては誘電率でなく、ま
ず容量、次に容量の温度変化率、誘電損失などの
値が必要とされる。積層形コンデンサにおいて、
容量は磁器組成物の誘電率に比例するが、しかし
その厚みに反比例し、電極面積、積層数に比例す
るので、一定の容量を得るためには磁器組成物の
誘電率が大きいことは必ずしも絶対的な要因でな
い。さらに容量の温度変化率(誘電率の温度変化
率)は用途により種々許容された範囲があり、磁
器組成物の誘電率の温度変化率も積層形コンデン
サを作製するときの絶対的な要因でない。 一方、誘電損失は用途により一定の値以下でな
ければならないという規定があり、室温で最大
5.0%以下である。この値を越えると積層磁器コ
ンデンサの信頼性に問題が生じてくる。さらに比
抵抗に関しては、例えばEIAJ規格(日本電子機
械工業会の電子機器用積層磁器コンデンサ(チツ
プ形)RC−3698B)に述べられているごとく、
積層コンデンサの絶縁抵抗として10000MΩ以上
または容量抵抗積で500μF・MΩ以上のいずれ
か小さい方以上と規定されている。これらいずれ
かの値を下回ると積層磁器コンデンサの信頼性に
問題が生じてくる。すなわち磁器組成物の誘電率
と比抵抗の積がある絶対値以上なければ、任意の
容量、特に大きな容量のコンデンサを実用的規格
に合せることができず、その用途が非常に限定さ
れ、実用的な意味がなくなる。この点を詳しく説
明すると次の様になる。積層形コンデンサでは、
n+1個の内部電極を構成して一般にn個の同じ
厚さの層からなる単一層コンデンサが積層された
構造になつている。この場合、単一層当りの容量
をCo、絶縁抵抗をRoとすれば、積層形コンデン
サの容量CはCoのn倍になり、絶縁抵抗Rは、
Roの1/nになる。ここで磁器組成物の誘電率
をε、真空の誘電率をεo、磁器組成物の比抵抗
をρ、単一層コンデンサの磁器の厚さをd、重な
る電極面積をSとすれば、単一層コンデンサの
Coは(εoεS/d)となり、Roは(ρd)/
Sとなる。従つてn層からなる積層コンデンサの
容量(C)と絶縁抵抗(R)の積C×Rは〔(ρ
d)/(nS)〕×〔(nεpεS)/d〕=εoερ
となる。すなわちどのような容量の積層コンデン
サもその容量・抵抗積C×Rは、磁器組成物のε
とρの積にεoを乗じた一定値(εoερ)に規
格化される。容量・抵抗積C×Rが500μF・M
Ωすなわち500F・Ω以上ということは、εo=
8.855×10-14F/cmより、C×R=εoερ=
8.855×10-14(F/cm)×ε×ρ500F・Ω、よ
つて、ερ5.65×1015Ω、となる要求がある。
例えばε=10000ではρ5.65×1011Ω・cm、ε
=3000ではρ1.88×1012Ω・cm、ε=500では
ρ1.13×1013Ω・cmが要求される。誘電率に応
じてこれらの値以上のρを持つ磁器組成物であれ
ばどのような大きな容量の積層コンデンサも容
量・抵抗積は500μF・MΩを満足する。もしε
が3000でρが要求値より1桁低い1.88×1011Ω・
cmとすればεoερ=50μF・MΩで500μF・
MΩは満足せず、絶縁抵抗として10000MΩすな
わち、1010Ω以上を満足するには容量Cとして
0.005μF以下に限定されなければならない。そ
れはこの積層コンデンサの容量・抵抗積(C×
R)は常に50μF・MΩを示しているので、Rが
10000MΩのとき、Cは0.005μFとなり、Cがこ
れより大きければRは10000MΩより小さくな
り、0.005μFが規格を満たす最高の容量となる
ためである。従つて磁器組成物の比抵抗が低いと
その材料の実用性、特に積層形コンデンサの特長
である小型大容量の特長を生かすことはできない
し、全く意味のないことにもなる。よつて磁器組
成物の誘電率と比抵抗の積がある値以上を持つこ
とが実用上極めて重要なことである。 また積層形チツプコンデンサの場合はチツプコ
ンデンサを基板に実装したときの基板とチツプコ
ンデンサを構成している磁器との熱膨張係数の違
いによりチツプコンデンサに機械的な歪みが加わ
り、クラツクの発生や、ひどい場合にはチツプコ
ンデンサが破損する場合が生じる。またエポキシ
系樹脂等を外装したデイツプコンデンサの場合も
外装樹脂の応力によつてデイツプコンデンサにク
ラツクが発生する場合がある。 いずれの場合もコンデンサを形成している磁器
の機械的強度が低いほどクラツクが生じやすくま
た、破損しやすいため、信頼性が低くなる。した
がつて磁器の機械的強度をできるだけ増大させる
ことは実用上きわめて重要なことである。 本発明者の実験によれば積層磁器コンデンサに
要求される信頼性を確保するためには、磁器の抵
抗強度が1000Kg/cm2以上であることが望ましい。 ところでPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3系磁
器組成物については既にエヌ・エヌ・クライニ
ク、エイ・アイ・アグロノフスカヤ(フイジコ
トベルドゴテラ Vol2・No.1 70〜72ページ
1月・1960年)〔N.N.Krainik and A.I.
Agranovskaya(Fiziko Tverdogo Tela、Vo2、
No.1、pp70〜72、January1960)〕より提案があ
つたが、誘電率とその温度変化についての記載の
みであつた。 また(SrxPb1-xTiO3)a(PbMg0.5W0.5O3)
b〔ただしxは0〜0.10、aは0.35〜0.5、bは
0.5〜0.65であり、そしてa+b=1〕はモノリ
シツクコンデンサおよびその製造方法として特開
昭52−21662号に開示され、また誘電体粉末組成
物として、特開昭52−21699号に開示されてい
る。しかしここでは誘電率(2000〜5500)と誘電
損失(2.0%〜4.4%)に関するデータの記載しか
ない。またPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3系を
含む三成分系については特開昭55−111011におい
てPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3−Pb
(Mg1/3Nb2/3)O3系が開示され、特開昭55−
117809においてPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3
−Pb(Mg1/3Ta2/3)O3系が開示されている。
これらにおいても誘電率や誘電損失および誘電率
の温度特性についてのみ記載されている。 以上いずれも比抵抗や機械的強度に関する開示
は全くされておらずその実用性については明らか
でなかつた。 さらに本発明者達は既に910〜950℃の温度で焼
結できPb(Mg1/2W1/2)O3とPbTiO32成分系
からなりこれを〔Pb(Mg1/2W1/2)O3〕x
〔PbTiO3〕1-xと表わしたときにxが0.65<x≦
1.00の範囲にある磁器組成物を提案している。こ
の磁器組成物は誘電率と比抵抗の積が高い値を持
ち、誘電損失の小さい優れた電気的特性を有して
いる。しかしながら、この組成物は、機械的強度
が低いため、その用途は自ら狭い範囲に限定せざ
るすなわち実用的な積層磁器コンデンサを得るた
めには容量抵抗積、誘電損失、機械的強度の3つ
の特性が同時に所定の特性値を示す磁器組成物が
必要となる。 本発明の目的は機械的強度の大きいしかも容量
抵抗積の高く誘電損失の小さな実用性に優れた磁
器組成物を提供することにある。すなわち本発明
は、亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)
O3]、マグネシウム・タングステン酸鉛[Pb
(Mg1/2W1/2)O3]からなる組成物を[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb(Mg1/2W1/2)
O3]1-xと表わしたときxが0.3≧x≧0.02の範囲
にあることを特徴とする磁器組成物であり、亜
鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)O3]、マグ
ネシウム・タングステン酸鉛[Pb
(Mg1/2W1/2)O3]、およびチタン酸鉛
[PbTiO3]からなる組成物を[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb(Mg1/2W1/2)
O3]y・[PbTiO3]zと表わしたとき(ただしX+Y
+Z=1.00)この3成分組成図において
結でき誘電率と比抵抗の積が高く、しかも機械的
強度の高い誘電体磁器組成物に関するものであ
る。 従来、誘電体磁器組成物として、チタン酸バリ
ウム(BaTiO3)などを主成分とする磁器組成物が
広く実用化されていることは周知のとおりであ
る。しかしながら、BaTiO3などを主成分とする
ものは焼結温度が通常1300〜1400℃の高温であ
る。このため、これを積層形コンデンサに利用す
る場合には、内部電極としてこの焼結温度に耐え
得る材料、例えば白金、パラジウム等の高価な貴
金属を使用しなければならず、製造コストが高く
つくという欠点がある。積層形コンデンサを安く
作るためには、銀、ニツケル等を主成分とする安
価な金属が内部電極に使用できるようなできるだ
け低温、特に1000℃以下の低い温度で焼結できる
磁器組成物が望まれている。 ところで磁器組成物を用い、実用的な積層形コ
ンデンサを作製するときに磁器組成物の電気的特
性として多くの項目が評価されなければならな
い。一般的に誘電率はできるだけ大きく、誘電損
失はできるだけ小さく、比抵抗はできるだけ大き
く、誘電率の温度変化は小さいことなどが要求さ
れる。 しかしながら、実際に積層形コンデンサを種々
の機器に用いる場合においては誘電率でなく、ま
ず容量、次に容量の温度変化率、誘電損失などの
値が必要とされる。積層形コンデンサにおいて、
容量は磁器組成物の誘電率に比例するが、しかし
その厚みに反比例し、電極面積、積層数に比例す
るので、一定の容量を得るためには磁器組成物の
誘電率が大きいことは必ずしも絶対的な要因でな
い。さらに容量の温度変化率(誘電率の温度変化
率)は用途により種々許容された範囲があり、磁
器組成物の誘電率の温度変化率も積層形コンデン
サを作製するときの絶対的な要因でない。 一方、誘電損失は用途により一定の値以下でな
ければならないという規定があり、室温で最大
5.0%以下である。この値を越えると積層磁器コ
ンデンサの信頼性に問題が生じてくる。さらに比
抵抗に関しては、例えばEIAJ規格(日本電子機
械工業会の電子機器用積層磁器コンデンサ(チツ
プ形)RC−3698B)に述べられているごとく、
積層コンデンサの絶縁抵抗として10000MΩ以上
または容量抵抗積で500μF・MΩ以上のいずれ
か小さい方以上と規定されている。これらいずれ
かの値を下回ると積層磁器コンデンサの信頼性に
問題が生じてくる。すなわち磁器組成物の誘電率
と比抵抗の積がある絶対値以上なければ、任意の
容量、特に大きな容量のコンデンサを実用的規格
に合せることができず、その用途が非常に限定さ
れ、実用的な意味がなくなる。この点を詳しく説
明すると次の様になる。積層形コンデンサでは、
n+1個の内部電極を構成して一般にn個の同じ
厚さの層からなる単一層コンデンサが積層された
構造になつている。この場合、単一層当りの容量
をCo、絶縁抵抗をRoとすれば、積層形コンデン
サの容量CはCoのn倍になり、絶縁抵抗Rは、
Roの1/nになる。ここで磁器組成物の誘電率
をε、真空の誘電率をεo、磁器組成物の比抵抗
をρ、単一層コンデンサの磁器の厚さをd、重な
る電極面積をSとすれば、単一層コンデンサの
Coは(εoεS/d)となり、Roは(ρd)/
Sとなる。従つてn層からなる積層コンデンサの
容量(C)と絶縁抵抗(R)の積C×Rは〔(ρ
d)/(nS)〕×〔(nεpεS)/d〕=εoερ
となる。すなわちどのような容量の積層コンデン
サもその容量・抵抗積C×Rは、磁器組成物のε
とρの積にεoを乗じた一定値(εoερ)に規
格化される。容量・抵抗積C×Rが500μF・M
Ωすなわち500F・Ω以上ということは、εo=
8.855×10-14F/cmより、C×R=εoερ=
8.855×10-14(F/cm)×ε×ρ500F・Ω、よ
つて、ερ5.65×1015Ω、となる要求がある。
例えばε=10000ではρ5.65×1011Ω・cm、ε
=3000ではρ1.88×1012Ω・cm、ε=500では
ρ1.13×1013Ω・cmが要求される。誘電率に応
じてこれらの値以上のρを持つ磁器組成物であれ
ばどのような大きな容量の積層コンデンサも容
量・抵抗積は500μF・MΩを満足する。もしε
が3000でρが要求値より1桁低い1.88×1011Ω・
cmとすればεoερ=50μF・MΩで500μF・
MΩは満足せず、絶縁抵抗として10000MΩすな
わち、1010Ω以上を満足するには容量Cとして
0.005μF以下に限定されなければならない。そ
れはこの積層コンデンサの容量・抵抗積(C×
R)は常に50μF・MΩを示しているので、Rが
10000MΩのとき、Cは0.005μFとなり、Cがこ
れより大きければRは10000MΩより小さくな
り、0.005μFが規格を満たす最高の容量となる
ためである。従つて磁器組成物の比抵抗が低いと
その材料の実用性、特に積層形コンデンサの特長
である小型大容量の特長を生かすことはできない
し、全く意味のないことにもなる。よつて磁器組
成物の誘電率と比抵抗の積がある値以上を持つこ
とが実用上極めて重要なことである。 また積層形チツプコンデンサの場合はチツプコ
ンデンサを基板に実装したときの基板とチツプコ
ンデンサを構成している磁器との熱膨張係数の違
いによりチツプコンデンサに機械的な歪みが加わ
り、クラツクの発生や、ひどい場合にはチツプコ
ンデンサが破損する場合が生じる。またエポキシ
系樹脂等を外装したデイツプコンデンサの場合も
外装樹脂の応力によつてデイツプコンデンサにク
ラツクが発生する場合がある。 いずれの場合もコンデンサを形成している磁器
の機械的強度が低いほどクラツクが生じやすくま
た、破損しやすいため、信頼性が低くなる。した
がつて磁器の機械的強度をできるだけ増大させる
ことは実用上きわめて重要なことである。 本発明者の実験によれば積層磁器コンデンサに
要求される信頼性を確保するためには、磁器の抵
抗強度が1000Kg/cm2以上であることが望ましい。 ところでPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3系磁
器組成物については既にエヌ・エヌ・クライニ
ク、エイ・アイ・アグロノフスカヤ(フイジコ
トベルドゴテラ Vol2・No.1 70〜72ページ
1月・1960年)〔N.N.Krainik and A.I.
Agranovskaya(Fiziko Tverdogo Tela、Vo2、
No.1、pp70〜72、January1960)〕より提案があ
つたが、誘電率とその温度変化についての記載の
みであつた。 また(SrxPb1-xTiO3)a(PbMg0.5W0.5O3)
b〔ただしxは0〜0.10、aは0.35〜0.5、bは
0.5〜0.65であり、そしてa+b=1〕はモノリ
シツクコンデンサおよびその製造方法として特開
昭52−21662号に開示され、また誘電体粉末組成
物として、特開昭52−21699号に開示されてい
る。しかしここでは誘電率(2000〜5500)と誘電
損失(2.0%〜4.4%)に関するデータの記載しか
ない。またPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3系を
含む三成分系については特開昭55−111011におい
てPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3−Pb
(Mg1/3Nb2/3)O3系が開示され、特開昭55−
117809においてPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3
−Pb(Mg1/3Ta2/3)O3系が開示されている。
これらにおいても誘電率や誘電損失および誘電率
の温度特性についてのみ記載されている。 以上いずれも比抵抗や機械的強度に関する開示
は全くされておらずその実用性については明らか
でなかつた。 さらに本発明者達は既に910〜950℃の温度で焼
結できPb(Mg1/2W1/2)O3とPbTiO32成分系
からなりこれを〔Pb(Mg1/2W1/2)O3〕x
〔PbTiO3〕1-xと表わしたときにxが0.65<x≦
1.00の範囲にある磁器組成物を提案している。こ
の磁器組成物は誘電率と比抵抗の積が高い値を持
ち、誘電損失の小さい優れた電気的特性を有して
いる。しかしながら、この組成物は、機械的強度
が低いため、その用途は自ら狭い範囲に限定せざ
るすなわち実用的な積層磁器コンデンサを得るた
めには容量抵抗積、誘電損失、機械的強度の3つ
の特性が同時に所定の特性値を示す磁器組成物が
必要となる。 本発明の目的は機械的強度の大きいしかも容量
抵抗積の高く誘電損失の小さな実用性に優れた磁
器組成物を提供することにある。すなわち本発明
は、亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)
O3]、マグネシウム・タングステン酸鉛[Pb
(Mg1/2W1/2)O3]からなる組成物を[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb(Mg1/2W1/2)
O3]1-xと表わしたときxが0.3≧x≧0.02の範囲
にあることを特徴とする磁器組成物であり、亜
鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)O3]、マグ
ネシウム・タングステン酸鉛[Pb
(Mg1/2W1/2)O3]、およびチタン酸鉛
[PbTiO3]からなる組成物を[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb(Mg1/2W1/2)
O3]y・[PbTiO3]zと表わしたとき(ただしX+Y
+Z=1.00)この3成分組成図において
【表】
の各点を結ぶ線上(ただしZ=0の部分は除く)
およびこの範囲内にあることを特徴とする磁器組
成物である。本発明の磁器組成物は積層形コンデ
ンサに利用する場合銀、ニツケル等を主成分とす
る安価な内部電極が使用可能な900℃〜1000℃の
温度で焼結でき容量・抵抗積が500μF・MΩ以
上でしかも誘電損失が小さく、機械的強度が高く
また誘電率も前記の範囲内で300〜6200程度の値
を持つ優れた材料である。 次に本発明を実施例によつて詳細に説明する。 実施例 出発原料として純度99.9%以上の酸化鉛
(PbO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛
(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステ
ン(WO3)および酸化チタン(TiO2)を使用し、
所定の配合比に秤量した。次にボールミル中で湿
式混合した後750℃〜800℃で予焼した。その後ボ
ールミルで粉砕し、口別、乾燥後有機バインダー
を入れ整粒後プレスし、直径16mm、厚さ約2mmの
円板を4枚と直径16mm、厚さ約10mmの円柱を作製
した。次に空気中において900℃〜1000℃で1時
間焼結した。焼結した円板の上下面に600℃で銀
電極を焼付け、デジタルLCRメーターで周波数
1KHz、電圧1Vr.m.sで容量と誘電損失(tanδ)
を測定し、誘電率を算出した。次に超絶縁抵抗計
で50Vの電圧を1分間印加して絶縁抵抗を測定し
た。4個の試料の平均値をとり、その値を各配合
比の代表値とした。 また機械的強度を抗折強度で評価するため円柱
試料から厚さ0.5mm幅2mm、長さ約13mmの矩形板
を切り出した。支点間の距離を9mmにとり、3点
法で破壊荷重Pm〔Kg〕を測定し、τ=3Pml/2Wt
2 〔Kg/cm2〕なる式により抗折強度τ〔Kg/cm2〕を
求めた。ただしlは支点間距離、tは試料の厚
み、Wは試料の巾である。値は試料10点の平均値
より求めた。試作した磁器組成物の組成配合比を
表に示す。また磁器組成物の配合比と容量・抵抗
積誘電率、誘電損失、抗折強度との関係を第1図
から第4図に示す。なお図中の曲線上の番号は表
の各番号に対応している。また第5図には表に示
した組成と本発明の請求範囲を示す。ここで示さ
れるようにPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3系組
成物、あるいはPb(Mg1/2W1/2)O3に対し
て、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3を固溶させてゆく
と、
およびこの範囲内にあることを特徴とする磁器組
成物である。本発明の磁器組成物は積層形コンデ
ンサに利用する場合銀、ニツケル等を主成分とす
る安価な内部電極が使用可能な900℃〜1000℃の
温度で焼結でき容量・抵抗積が500μF・MΩ以
上でしかも誘電損失が小さく、機械的強度が高く
また誘電率も前記の範囲内で300〜6200程度の値
を持つ優れた材料である。 次に本発明を実施例によつて詳細に説明する。 実施例 出発原料として純度99.9%以上の酸化鉛
(PbO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛
(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステ
ン(WO3)および酸化チタン(TiO2)を使用し、
所定の配合比に秤量した。次にボールミル中で湿
式混合した後750℃〜800℃で予焼した。その後ボ
ールミルで粉砕し、口別、乾燥後有機バインダー
を入れ整粒後プレスし、直径16mm、厚さ約2mmの
円板を4枚と直径16mm、厚さ約10mmの円柱を作製
した。次に空気中において900℃〜1000℃で1時
間焼結した。焼結した円板の上下面に600℃で銀
電極を焼付け、デジタルLCRメーターで周波数
1KHz、電圧1Vr.m.sで容量と誘電損失(tanδ)
を測定し、誘電率を算出した。次に超絶縁抵抗計
で50Vの電圧を1分間印加して絶縁抵抗を測定し
た。4個の試料の平均値をとり、その値を各配合
比の代表値とした。 また機械的強度を抗折強度で評価するため円柱
試料から厚さ0.5mm幅2mm、長さ約13mmの矩形板
を切り出した。支点間の距離を9mmにとり、3点
法で破壊荷重Pm〔Kg〕を測定し、τ=3Pml/2Wt
2 〔Kg/cm2〕なる式により抗折強度τ〔Kg/cm2〕を
求めた。ただしlは支点間距離、tは試料の厚
み、Wは試料の巾である。値は試料10点の平均値
より求めた。試作した磁器組成物の組成配合比を
表に示す。また磁器組成物の配合比と容量・抵抗
積誘電率、誘電損失、抗折強度との関係を第1図
から第4図に示す。なお図中の曲線上の番号は表
の各番号に対応している。また第5図には表に示
した組成と本発明の請求範囲を示す。ここで示さ
れるようにPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3系組
成物、あるいはPb(Mg1/2W1/2)O3に対し
て、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3を固溶させてゆく
と、
【表】
【表】
各特性値の変化は次のとおりである。すなわち抗
折強度はPb(Zn1/3Nb2/3)O3が2モル%付近
まで急激に増加し、その後2〜10モル%の間で
1100〜1400Kg/cm2の極大値をとつた後、除々に減
少し1000〜1300Kg/cm2程度の一定値に近づく。容
量抵抗積と誘電率もPb(Zn1/3Nb2/3)O3が2
〜10モル%の間で極大値をとりその後減少の傾向
を示す。誘電損失はPb(Zn1/3Nb2/3)O3と共
に除々に増加する。 ここで本発明の磁器組成物は第5図に示した範
囲であつて亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]、マグネシウム・タングス
テン酸鉛[Pb(Mg1/2W1/2)O3]からなる組
成物を[Pb(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb
(Mg1/2W1/2)O3]1-xと表わしたときXが0.3≧
x≧0.02の範囲と、亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]、マグネシウム・タングス
テン酸鉛[Pb(Mg1/2W1/2)O3]、およびチタ
ン酸鉛[PbTiO3]からなる組成物を[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb(Mg1/2W1/2)
O3]y・[PbTiO3]zと表わしたとき(ただしX+Y
+Z=1.00)この3成分組成図において
折強度はPb(Zn1/3Nb2/3)O3が2モル%付近
まで急激に増加し、その後2〜10モル%の間で
1100〜1400Kg/cm2の極大値をとつた後、除々に減
少し1000〜1300Kg/cm2程度の一定値に近づく。容
量抵抗積と誘電率もPb(Zn1/3Nb2/3)O3が2
〜10モル%の間で極大値をとりその後減少の傾向
を示す。誘電損失はPb(Zn1/3Nb2/3)O3と共
に除々に増加する。 ここで本発明の磁器組成物は第5図に示した範
囲であつて亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]、マグネシウム・タングス
テン酸鉛[Pb(Mg1/2W1/2)O3]からなる組
成物を[Pb(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb
(Mg1/2W1/2)O3]1-xと表わしたときXが0.3≧
x≧0.02の範囲と、亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]、マグネシウム・タングス
テン酸鉛[Pb(Mg1/2W1/2)O3]、およびチタ
ン酸鉛[PbTiO3]からなる組成物を[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb(Mg1/2W1/2)
O3]y・[PbTiO3]zと表わしたとき(ただしX+Y
+Z=1.00)この3成分組成図において
【表】
【表】
の各点を結ぶ線上(ただしZ=0の部分は除く)
およびこの範囲内に限定される。その理由はX>
0.3でしかも本発明の請求範囲に含まれない範囲
では容量抵抗積が500μF・MΩより小さくなつ
て実用上の規格より劣る。またX<0.02では抗折
強度が低くなつてしまう。一方Y<0.42の範囲、
及びZ>0.42でしかも本発明の請求範囲に含まれ
ない範囲では誘電損失が規格値の5.0%より大き
くなるか、あるいは容量抵抗積が500μF・MΩ
より小さくなる。 以上、本発明の磁器組成物は1000℃以上という
低温で焼成でき、銀やニツケル等を主成分とする
低価格金属を内部電極として使用できると共に、
省エネルギーや炉材の節約という経済的な面で極
めて有用な材料である。さらに特性面においても
容量抵抗積は十分に実用上の規格値より大きく、
また機械的強度が高いため高信頼性が得られ、さ
らに誘電損失が小さく、非常に優れた材料であ
る。
およびこの範囲内に限定される。その理由はX>
0.3でしかも本発明の請求範囲に含まれない範囲
では容量抵抗積が500μF・MΩより小さくなつ
て実用上の規格より劣る。またX<0.02では抗折
強度が低くなつてしまう。一方Y<0.42の範囲、
及びZ>0.42でしかも本発明の請求範囲に含まれ
ない範囲では誘電損失が規格値の5.0%より大き
くなるか、あるいは容量抵抗積が500μF・MΩ
より小さくなる。 以上、本発明の磁器組成物は1000℃以上という
低温で焼成でき、銀やニツケル等を主成分とする
低価格金属を内部電極として使用できると共に、
省エネルギーや炉材の節約という経済的な面で極
めて有用な材料である。さらに特性面においても
容量抵抗積は十分に実用上の規格値より大きく、
また機械的強度が高いため高信頼性が得られ、さ
らに誘電損失が小さく、非常に優れた材料であ
る。
第1図から第4図は磁器組成物の配合比と諸特
性との関係を示した図である。第1図は表の番号
1〜13、第2図は番号14〜27、第3図は番号28〜
33、第4図は番号34〜37のそれぞれの特性値であ
る。各図中の曲線aは容量抵抗積、bは抗折強
度、cは誘電率、dは誘電損失の特性をそれぞれ
示している。また図中の番号は表の各組成配合比
の番号に対応している。第5図は本発明の請求範
囲と表に示した各配合比の組成点を示した図であ
る。
性との関係を示した図である。第1図は表の番号
1〜13、第2図は番号14〜27、第3図は番号28〜
33、第4図は番号34〜37のそれぞれの特性値であ
る。各図中の曲線aは容量抵抗積、bは抗折強
度、cは誘電率、dは誘電損失の特性をそれぞれ
示している。また図中の番号は表の各組成配合比
の番号に対応している。第5図は本発明の請求範
囲と表に示した各配合比の組成点を示した図であ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)
O3]、マグネシウム・タングステン酸鉛[Pb
(Mg1/2W1/2)O3]からなる組成物を[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb(Mg1/2W1/2)
O3]1-xと表わしたときXが0.3≧x≧0.02の範囲
にあることを特徴とする磁器組成物。 2 亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)
O3]、マグネシウム・タングステン酸鉛[Pb
(Mg1/2W1/2)O3]、およびチタン酸鉛
[PbTiO3]からなる組成物を[Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3]x・[Pb(Mg1/2W1/2)
O3]y・[PbTiO3]zと表わしたとき(ただしX+Y
+Z=1.00)この3成分組成図において 【表】 の各点を結ぶ線上(ただしZ=0の部分は除く)
およびこの範囲内にあることを特徴とする磁器組
成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56155698A JPS5874569A (ja) | 1981-09-30 | 1981-09-30 | 磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56155698A JPS5874569A (ja) | 1981-09-30 | 1981-09-30 | 磁器組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5874569A JPS5874569A (ja) | 1983-05-06 |
JPS6234707B2 true JPS6234707B2 (ja) | 1987-07-28 |
Family
ID=15611562
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP56155698A Granted JPS5874569A (ja) | 1981-09-30 | 1981-09-30 | 磁器組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5874569A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62113755A (ja) * | 1985-11-13 | 1987-05-25 | 日本電気株式会社 | 磁器組成物 |
JP2616220B2 (ja) * | 1990-11-13 | 1997-06-04 | 日本電気株式会社 | 磁器組成物 |
JPH04243952A (ja) * | 1991-01-31 | 1992-09-01 | Nec Corp | 磁器組成物 |
JP2990088B2 (ja) * | 1997-02-28 | 1999-12-13 | 日本電気株式会社 | マンガン含有複合酸化物,およびその複合酸化物を用いた複合ぺロブスカイト化合物組成物の製造方法 |
-
1981
- 1981-09-30 JP JP56155698A patent/JPS5874569A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5874569A (ja) | 1983-05-06 |
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