JPS6227025B2 - - Google Patents
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- JPS6227025B2 JPS6227025B2 JP58127222A JP12722283A JPS6227025B2 JP S6227025 B2 JPS6227025 B2 JP S6227025B2 JP 58127222 A JP58127222 A JP 58127222A JP 12722283 A JP12722283 A JP 12722283A JP S6227025 B2 JPS6227025 B2 JP S6227025B2
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Landscapes
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- Ceramic Capacitors (AREA)
- Inorganic Insulating Materials (AREA)
Description
本発明は磁器組成物、特に、1000℃以下の低温
で焼結でき、誘電率と比抵抗の積が高く、しかも
機械的強度の高い磁器組成物に関するものであ
る。 従来、誘電体磁器組成物として、チタン酸バリ
ウム(BaTiO3)を主成分とする磁器組成物が広く
実用化されていることは周知のとおりである。し
かしながら、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成
分とするものは、焼結温度が通常1300〜1400℃の
高温である。このためこれを積層形コンデンサに
利用する場合には内部電極としてこの焼結温度に
耐える材料、例えば白金、パラジウムなどの高価
な貴金属を使用しなければならず、製造コストが
高くつくという欠点がある。積層形コンデンサを
安く作るためには銀、ニツケルなどを主成分とす
る安価な金属が内部電極に使用できるような、で
きるだけ低温、特に1000℃以下で焼結できる磁器
組成物が必要である。 ところで磁器組成物を用い、実用的な積層形コ
ンデンサを作製するときに磁器組成物の電気的特
性として多くの項目が評価されなければならな
い。一般的に誘電率はできるだけ大きく、誘電損
失はできるだけ小さく、比抵抗はでぎるだけ大き
く、誘電率の温度変化は小さいことなどが要求さ
れる。 しかしながら、実用上積層形コンデンサにおい
ては誘電率でなく、まず容量、次に容量の温度変
化率、誘電損失などの値が必要とされる。積層形
コンデンサにおいて、容量は磁器組成物の誘電率
に比例するが、しかしその厚みに反比例し、電極
面積、積層数に比例するので、一定の容量を得る
ためには磁器組成物の誘電率が大きいことは必ず
しも絶対的な要因でない。さらに容量の温度変化
率(誘電率の温度変化率)は用途により種々許容
された範囲があり、磁器組成物の誘電率の温度変
化率も積層形コンデンサを作製するときの絶対的
な要因でない。 一方誘電損失は用途により一定の値以下でなけ
ればならないという規定があり室温で最大5.0%
以下である。さらに比抵抗に関しては、例えば
EIAJ規格〔日本電子機械工業会の電子機器用積
層磁器コンデンサ(チツプ形)RC−3698B〕に
述べられているごとく、積層コンデンサの絶縁抵
抗として10000MΩ以上または容量抵抗積で500μ
F・MΩ以上のいずれか小さい方以上と規定され
ている。すなわち磁器組成物の誘電率と比抵抗の
積がある絶対値以上なければ、任意の容量、特に
大きな容量のコンデンサを実用的規格に合せるこ
とができず、その用途が非常に限定され、実用的
な意味がなくなる。この点を詳しく説明すると次
の様になる。積層形コンデンサでは、n+1個の
内部電極を構成して一般にn個の同じ厚さの層か
らなる単一層コンデンサが積層された構造になつ
ている。この場合、単一層当りの容量をCo、絶
縁抵抗をRo、とすれば、積層形コンデンサの容
量CはCoのn倍になり、絶縁抵抗RはRoの1/
nになる。ここで磁器組成物の誘電率をε、真空
の誘電率をεp、磁器組成物の比抵抗をρ、単一
層コンデンサの磁器の厚さをd、重なる電極面積
をSとすれば、単一層コンデンサのCoは(εpε
S)/dとなりRoは(ρd)/Sとなる。従つ
てn層からなる積層コンデンサの容量Cと絶縁抵
抗Rの積C×Rは〔(ρd)/(nS)〕×〔(nεp
εS)/d〕=εpερとなる。すなわちどのよう
な容量の積層コンデンサもその容量・抵抗積(C
×R)は、磁器組成物のεとρの積にεpをを乗
じた一定値(εpερ)に規格化される。容量・
抵抗積C×Rが500μF・MΩすなわち500F・Ω
以上ということは、εp=8.855×10-14F/cmよ
り、C×R=εpερ=8.855×10-14(F/cm)×
ε×ρ≧500F・Ω、よつてερ≧5.65×10-15
Ω・cmなる要求がある。例えばε=10000ではρ
≧5.65×1011Ω・cm、ε=3000ではρ≧1.88×
1012Ω・cmε=500ではρ≧1.13×1013Ω・cmが要
求される。誘電率に応じてこれらの値以上のρを
持つ磁器組成物であればどのように大きな容量の
積層コンデンサも容量・抵抗積は500μF・MΩ
を満足する。もしεが3000でρが要求値より1桁
低い1.88×1011Ω・cmとすればεpερ=50μF・
MΩで500μF・MΩは満足せず、絶縁抵抗の規
格値である10000MΩすなわち、1010Ω以上を満
足するには容量Cとして0.005μF以下に限定さ
れなければならない。それはこの積層コンデンサ
の容量・抵抗値(C×R)は常に50μF・MΩを
示しているので、Rが10000MΩのとき、Cは
0.005μFとなり、Cがこれより大きければRは
10000MΩより小さくなり、0.005μFが規格を満
たす最高の容量となるためである。従つて磁器組
成物の比抵抗が低いとその材料の実用性、特に積
層形コンデンサの特長である小型大容量の特長を
生かすことはできないし、全く意味のないことに
もなる。よつて磁器組成物の誘電率と否抵抗の積
がある値以上を持つことが実用上極めて重要なこ
とである。 また、積層形チツプコンデンサの場合は、チツ
プコンデンサを基板に実装したとき、基板とチツ
プコンデンサを構成している磁器組成物との熱膨
張係数の違いにより、チツプコンデンサに機械的
な歪が加わり、チツプコンデンサにクラツクが発
生したり、破損したりすることがある。またエポ
キシ系樹脂等を外装したデイツプコンデンサの場
合も外装樹脂の応力でデイツプコンデンサにクラ
ツクが発生する場合がある。いずれの場合もコン
デンサを形成している磁器の機械的強度が低いほ
ど、クラツクが入りやすく容易に破損するため、
信頼性が低くなる。したがつて、磁器の機械的強
度をできるだけ増大させることは実用上極めて重
要なことである。 ところでPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3系磁
器組成物については既にエヌ.エヌ.クライニク
とエイ.アイ.アグラノフスカヤ〔N.N.Krainik
and A.I.Agranovskaya(Fiziko Tverdogo
Tela、Vo.2、No.1、pp70〜72、Janvara 1960)〕
より提案があつたが、積層形コンデンサを作製す
る際に評価されるべき特性の中で誘電率とその温
度特性の記載しかなく、その実用性は明らかでな
かつた。また(SrxPb1-xTiO3)a
(PbMg0.5W0.5O3)b〔ただし、x=0〜
0.10、aは0.35〜0.5、bは0.5〜0.65であり、そ
してa+b=1〕について、モノリシツクコンデ
ンサおよびその製造方法として特開昭52−21662
号公報に開示され、また誘電体粉末組成物として
特開昭52−21699号公報に開示されている。ここ
においても組成物の特性として誘電率が約2000〜
8000、誘電損失が0.5%〜5.0%という記載はある
が比抵抗あるいは容量抵抗積については全く記載
がなく実用性は明らかでなかつた。さらにPb
(Mg1/2W1/2)O3とPbTiO3を主とする組成物で
あつて、Pb(Mg1/2W1/2)O3が20.0〜70.0モル
%、PbTiO3が30.0〜80.0モル%の範囲の組成物
に対し、MgO量を計算値の30%以下添加含有し
たことを特徴とする高誘電率磁器組成物が特開昭
55−144609号公報として開示されている。しかし
ながらこの特許においても誘電率が約2300〜7100
で誘電損失が0.3%〜2.1%という記載のほかに誘
電率の温度特性の記載はあるが、比抵抗あるいは
容量抵抗積に関する記載はなくこの組成物につい
ても実用性は明らかでない。次に本発明者達は既
に910℃〜950℃の温度で焼結でき、Pb
(Mg1/2W1/2)O3とPbTiO3系二成分からなり、
これを〔Pb(Mg1/2W1/2)O3〕x
〔PbTiO3〕1-xと表わしたときにxが0.65<x≦
1.00の範囲にある組成物を提案している。この組
成物は、誘電率と比抵抗の積が5.65×1015Ω・cm
以上の高い値を持ち、誘電損失の小さい優れた電
気的特性を有している。しかしながら上記組成物
は、いずれも機械的強度が低いため、その用途は
自ら狭い範囲に限定せざるを得なかつた。 本発明は以上の点にかんがみ900〜1000℃の低
温領域で焼結でき、かつ誘電率と比抵抗の積が
5.65×1015Ω・cm(すなわち容量抵抗積が500μ
F・MΩ)以上の高い値を持ち、誘電損失が小さ
い優れた電気的特性を有し、更に機械的強度も大
きい磁器組成物を提供しようとするものであり、
マグネシウム・タングステン酸鉛〔Pb
(Mg1/2W1/2)O3〕とチタン酸鉛〔PbTiO3〕から
なる二成分組成物をPb〔Mg1/2W1/2)O3〕x
〔PbTiO3〕1-xと表わしたときにxが0.50≦x≦
1.00の範囲内にある主成分組成物に副成分とし
て、マンガン・タングステン酸鉛〔Pb
(Mn1/2W1/2)O3〕を主成分に対して0.05〜3mol
%添加含有せしめることを特徴とするものであ
る。 以下本発明を実施例により詳細に説明する。 出発原料として純度99.9%以上の酸化鉛
(PbO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タング
ステン(WO3)、酸化チタン(TiO2)、および炭
酸マンガン(MnCO3)を使用し、表に示した配合
比となるように各々秤量する。次に秤量した各材
料をボールミル中で湿式混合した後750〜300℃で
予焼を行ない、この粉末をボールミルで粉砕し、
口別、乾燥後、有機バインダーを入れ整粒後プレ
スし、直径16mm、厚さ約2mmの円板4枚と、直径
16mm、厚さ約10mmの円柱を作製した。次に空気中
900〜1000℃の温度で1時間焼結した。焼結した
円板4枚の上下面に600℃で銀電極を焼付け、デ
ジタルLCRメーターで周波数1KHz、電圧1Vr.m.
s、温度20℃で容量と誘電損失を測定し、誘電率
を算出した。次に超絶縁抵抗計で50Vの電圧を1
分間印加して絶縁抵抗を温度20℃で測定し、比抵
抗を算出した。機械的性質を抗折強度で評価する
ため、焼結した円柱から厚さ0.5mm、幅2mm、長
さ約13mmの矩形板を10枚切り出した。支点間距離
を9mmにより、三点法で破壊荷重Pm〔Kg〕を測
定し、r=3Pm/2wt2〔Kg/cm2〕なる式に従
い、抵抗 強度τ〔Kg/cm2〕を求めた。ただしは支点間距
離、tは試料の厚み、wは試料の幅である。電気
的特性は円板試料4点の平均値、抗折強度は矩形
板試料10点の平均値より求めた。このようにして
得られた磁器の主成分〔Pb(Mg1/2W1/2)
O3〕x〔PbTiO3〕1-xの配合比xおよび副成分添
加量と抗折強度、誘電率、誘電損失および容量抵
抗積(表ではεpερと表示した)の関係を表に
示す。
で焼結でき、誘電率と比抵抗の積が高く、しかも
機械的強度の高い磁器組成物に関するものであ
る。 従来、誘電体磁器組成物として、チタン酸バリ
ウム(BaTiO3)を主成分とする磁器組成物が広く
実用化されていることは周知のとおりである。し
かしながら、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成
分とするものは、焼結温度が通常1300〜1400℃の
高温である。このためこれを積層形コンデンサに
利用する場合には内部電極としてこの焼結温度に
耐える材料、例えば白金、パラジウムなどの高価
な貴金属を使用しなければならず、製造コストが
高くつくという欠点がある。積層形コンデンサを
安く作るためには銀、ニツケルなどを主成分とす
る安価な金属が内部電極に使用できるような、で
きるだけ低温、特に1000℃以下で焼結できる磁器
組成物が必要である。 ところで磁器組成物を用い、実用的な積層形コ
ンデンサを作製するときに磁器組成物の電気的特
性として多くの項目が評価されなければならな
い。一般的に誘電率はできるだけ大きく、誘電損
失はできるだけ小さく、比抵抗はでぎるだけ大き
く、誘電率の温度変化は小さいことなどが要求さ
れる。 しかしながら、実用上積層形コンデンサにおい
ては誘電率でなく、まず容量、次に容量の温度変
化率、誘電損失などの値が必要とされる。積層形
コンデンサにおいて、容量は磁器組成物の誘電率
に比例するが、しかしその厚みに反比例し、電極
面積、積層数に比例するので、一定の容量を得る
ためには磁器組成物の誘電率が大きいことは必ず
しも絶対的な要因でない。さらに容量の温度変化
率(誘電率の温度変化率)は用途により種々許容
された範囲があり、磁器組成物の誘電率の温度変
化率も積層形コンデンサを作製するときの絶対的
な要因でない。 一方誘電損失は用途により一定の値以下でなけ
ればならないという規定があり室温で最大5.0%
以下である。さらに比抵抗に関しては、例えば
EIAJ規格〔日本電子機械工業会の電子機器用積
層磁器コンデンサ(チツプ形)RC−3698B〕に
述べられているごとく、積層コンデンサの絶縁抵
抗として10000MΩ以上または容量抵抗積で500μ
F・MΩ以上のいずれか小さい方以上と規定され
ている。すなわち磁器組成物の誘電率と比抵抗の
積がある絶対値以上なければ、任意の容量、特に
大きな容量のコンデンサを実用的規格に合せるこ
とができず、その用途が非常に限定され、実用的
な意味がなくなる。この点を詳しく説明すると次
の様になる。積層形コンデンサでは、n+1個の
内部電極を構成して一般にn個の同じ厚さの層か
らなる単一層コンデンサが積層された構造になつ
ている。この場合、単一層当りの容量をCo、絶
縁抵抗をRo、とすれば、積層形コンデンサの容
量CはCoのn倍になり、絶縁抵抗RはRoの1/
nになる。ここで磁器組成物の誘電率をε、真空
の誘電率をεp、磁器組成物の比抵抗をρ、単一
層コンデンサの磁器の厚さをd、重なる電極面積
をSとすれば、単一層コンデンサのCoは(εpε
S)/dとなりRoは(ρd)/Sとなる。従つ
てn層からなる積層コンデンサの容量Cと絶縁抵
抗Rの積C×Rは〔(ρd)/(nS)〕×〔(nεp
εS)/d〕=εpερとなる。すなわちどのよう
な容量の積層コンデンサもその容量・抵抗積(C
×R)は、磁器組成物のεとρの積にεpをを乗
じた一定値(εpερ)に規格化される。容量・
抵抗積C×Rが500μF・MΩすなわち500F・Ω
以上ということは、εp=8.855×10-14F/cmよ
り、C×R=εpερ=8.855×10-14(F/cm)×
ε×ρ≧500F・Ω、よつてερ≧5.65×10-15
Ω・cmなる要求がある。例えばε=10000ではρ
≧5.65×1011Ω・cm、ε=3000ではρ≧1.88×
1012Ω・cmε=500ではρ≧1.13×1013Ω・cmが要
求される。誘電率に応じてこれらの値以上のρを
持つ磁器組成物であればどのように大きな容量の
積層コンデンサも容量・抵抗積は500μF・MΩ
を満足する。もしεが3000でρが要求値より1桁
低い1.88×1011Ω・cmとすればεpερ=50μF・
MΩで500μF・MΩは満足せず、絶縁抵抗の規
格値である10000MΩすなわち、1010Ω以上を満
足するには容量Cとして0.005μF以下に限定さ
れなければならない。それはこの積層コンデンサ
の容量・抵抗値(C×R)は常に50μF・MΩを
示しているので、Rが10000MΩのとき、Cは
0.005μFとなり、Cがこれより大きければRは
10000MΩより小さくなり、0.005μFが規格を満
たす最高の容量となるためである。従つて磁器組
成物の比抵抗が低いとその材料の実用性、特に積
層形コンデンサの特長である小型大容量の特長を
生かすことはできないし、全く意味のないことに
もなる。よつて磁器組成物の誘電率と否抵抗の積
がある値以上を持つことが実用上極めて重要なこ
とである。 また、積層形チツプコンデンサの場合は、チツ
プコンデンサを基板に実装したとき、基板とチツ
プコンデンサを構成している磁器組成物との熱膨
張係数の違いにより、チツプコンデンサに機械的
な歪が加わり、チツプコンデンサにクラツクが発
生したり、破損したりすることがある。またエポ
キシ系樹脂等を外装したデイツプコンデンサの場
合も外装樹脂の応力でデイツプコンデンサにクラ
ツクが発生する場合がある。いずれの場合もコン
デンサを形成している磁器の機械的強度が低いほ
ど、クラツクが入りやすく容易に破損するため、
信頼性が低くなる。したがつて、磁器の機械的強
度をできるだけ増大させることは実用上極めて重
要なことである。 ところでPb(Mg1/2W1/2)O3−PbTiO3系磁
器組成物については既にエヌ.エヌ.クライニク
とエイ.アイ.アグラノフスカヤ〔N.N.Krainik
and A.I.Agranovskaya(Fiziko Tverdogo
Tela、Vo.2、No.1、pp70〜72、Janvara 1960)〕
より提案があつたが、積層形コンデンサを作製す
る際に評価されるべき特性の中で誘電率とその温
度特性の記載しかなく、その実用性は明らかでな
かつた。また(SrxPb1-xTiO3)a
(PbMg0.5W0.5O3)b〔ただし、x=0〜
0.10、aは0.35〜0.5、bは0.5〜0.65であり、そ
してa+b=1〕について、モノリシツクコンデ
ンサおよびその製造方法として特開昭52−21662
号公報に開示され、また誘電体粉末組成物として
特開昭52−21699号公報に開示されている。ここ
においても組成物の特性として誘電率が約2000〜
8000、誘電損失が0.5%〜5.0%という記載はある
が比抵抗あるいは容量抵抗積については全く記載
がなく実用性は明らかでなかつた。さらにPb
(Mg1/2W1/2)O3とPbTiO3を主とする組成物で
あつて、Pb(Mg1/2W1/2)O3が20.0〜70.0モル
%、PbTiO3が30.0〜80.0モル%の範囲の組成物
に対し、MgO量を計算値の30%以下添加含有し
たことを特徴とする高誘電率磁器組成物が特開昭
55−144609号公報として開示されている。しかし
ながらこの特許においても誘電率が約2300〜7100
で誘電損失が0.3%〜2.1%という記載のほかに誘
電率の温度特性の記載はあるが、比抵抗あるいは
容量抵抗積に関する記載はなくこの組成物につい
ても実用性は明らかでない。次に本発明者達は既
に910℃〜950℃の温度で焼結でき、Pb
(Mg1/2W1/2)O3とPbTiO3系二成分からなり、
これを〔Pb(Mg1/2W1/2)O3〕x
〔PbTiO3〕1-xと表わしたときにxが0.65<x≦
1.00の範囲にある組成物を提案している。この組
成物は、誘電率と比抵抗の積が5.65×1015Ω・cm
以上の高い値を持ち、誘電損失の小さい優れた電
気的特性を有している。しかしながら上記組成物
は、いずれも機械的強度が低いため、その用途は
自ら狭い範囲に限定せざるを得なかつた。 本発明は以上の点にかんがみ900〜1000℃の低
温領域で焼結でき、かつ誘電率と比抵抗の積が
5.65×1015Ω・cm(すなわち容量抵抗積が500μ
F・MΩ)以上の高い値を持ち、誘電損失が小さ
い優れた電気的特性を有し、更に機械的強度も大
きい磁器組成物を提供しようとするものであり、
マグネシウム・タングステン酸鉛〔Pb
(Mg1/2W1/2)O3〕とチタン酸鉛〔PbTiO3〕から
なる二成分組成物をPb〔Mg1/2W1/2)O3〕x
〔PbTiO3〕1-xと表わしたときにxが0.50≦x≦
1.00の範囲内にある主成分組成物に副成分とし
て、マンガン・タングステン酸鉛〔Pb
(Mn1/2W1/2)O3〕を主成分に対して0.05〜3mol
%添加含有せしめることを特徴とするものであ
る。 以下本発明を実施例により詳細に説明する。 出発原料として純度99.9%以上の酸化鉛
(PbO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タング
ステン(WO3)、酸化チタン(TiO2)、および炭
酸マンガン(MnCO3)を使用し、表に示した配合
比となるように各々秤量する。次に秤量した各材
料をボールミル中で湿式混合した後750〜300℃で
予焼を行ない、この粉末をボールミルで粉砕し、
口別、乾燥後、有機バインダーを入れ整粒後プレ
スし、直径16mm、厚さ約2mmの円板4枚と、直径
16mm、厚さ約10mmの円柱を作製した。次に空気中
900〜1000℃の温度で1時間焼結した。焼結した
円板4枚の上下面に600℃で銀電極を焼付け、デ
ジタルLCRメーターで周波数1KHz、電圧1Vr.m.
s、温度20℃で容量と誘電損失を測定し、誘電率
を算出した。次に超絶縁抵抗計で50Vの電圧を1
分間印加して絶縁抵抗を温度20℃で測定し、比抵
抗を算出した。機械的性質を抗折強度で評価する
ため、焼結した円柱から厚さ0.5mm、幅2mm、長
さ約13mmの矩形板を10枚切り出した。支点間距離
を9mmにより、三点法で破壊荷重Pm〔Kg〕を測
定し、r=3Pm/2wt2〔Kg/cm2〕なる式に従
い、抵抗 強度τ〔Kg/cm2〕を求めた。ただしは支点間距
離、tは試料の厚み、wは試料の幅である。電気
的特性は円板試料4点の平均値、抗折強度は矩形
板試料10点の平均値より求めた。このようにして
得られた磁器の主成分〔Pb(Mg1/2W1/2)
O3〕x〔PbTiO3〕1-xの配合比xおよび副成分添
加量と抗折強度、誘電率、誘電損失および容量抵
抗積(表ではεpερと表示した)の関係を表に
示す。
【表】
【表】
表に示した結果からも明らかなように副成分と
して、マンガン・タングステン酸鉛〔Pb
(Mn1/2W1/2O3〕を添加含有せしめることによ
り、抗折強度および容量抵抗積を共に高め、しか
も低い誘電損失の値を保つた信頼性の高い実用性
に富む優れた高誘電率磁器組成物が得られること
がわかる。こうした優れた特性を示す本発明の磁
器組成物は焼結温度が1000℃以下の低温であるた
め積層コンデンサの内部電極の低価格化を実現で
きると共に、省エネルギーや炉材の節約にもなる
という極めて優れた効果も生じる。 なお主成分配合比xが0.5未満では、容量抵抗
積が規格値より小さくなり、誘電損失も0.5%を
越えるため実用的でない。また副成分であるPb
(Mn1/2W1/2)O3の添加量が0.05%未満では抗
折強度の改善効果が小さく、3mo%を超えると
逆に抗折強度が小さくなり実用的でない。
して、マンガン・タングステン酸鉛〔Pb
(Mn1/2W1/2O3〕を添加含有せしめることによ
り、抗折強度および容量抵抗積を共に高め、しか
も低い誘電損失の値を保つた信頼性の高い実用性
に富む優れた高誘電率磁器組成物が得られること
がわかる。こうした優れた特性を示す本発明の磁
器組成物は焼結温度が1000℃以下の低温であるた
め積層コンデンサの内部電極の低価格化を実現で
きると共に、省エネルギーや炉材の節約にもなる
という極めて優れた効果も生じる。 なお主成分配合比xが0.5未満では、容量抵抗
積が規格値より小さくなり、誘電損失も0.5%を
越えるため実用的でない。また副成分であるPb
(Mn1/2W1/2)O3の添加量が0.05%未満では抗
折強度の改善効果が小さく、3mo%を超えると
逆に抗折強度が小さくなり実用的でない。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 マグネシウム・タングステン酸鉛〔Pb(Mg
1/2W1/2)O3〕とチタン酸鉛〔PbTiO3〕からなる
二成分組成物を〔Pb(Mg1/2W1/2)O3〕x
〔PbTiO3〕1-xと表わしたときにxが0.50≦x≦
1.00の範囲内にある主成分組成物に副成分として
マンガン・タングステン酸鉛〔Pb
(Mn1/2W1/2)O3〕を主成分に対して0.05〜3mo
%添加含有せしめることを特徴とする磁器組成
物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58127222A JPS6021860A (ja) | 1983-07-13 | 1983-07-13 | 磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58127222A JPS6021860A (ja) | 1983-07-13 | 1983-07-13 | 磁器組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6021860A JPS6021860A (ja) | 1985-02-04 |
JPS6227025B2 true JPS6227025B2 (ja) | 1987-06-11 |
Family
ID=14954744
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP58127222A Granted JPS6021860A (ja) | 1983-07-13 | 1983-07-13 | 磁器組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6021860A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6033255A (ja) * | 1983-07-28 | 1985-02-20 | 日本電気株式会社 | 磁器組成物 |
JPS6336283A (ja) * | 1986-07-31 | 1988-02-16 | Showa Electric Wire & Cable Co Ltd | 熱定着ロ−ラ |
JP2673721B2 (ja) * | 1989-05-24 | 1997-11-05 | キヤノン株式会社 | 定着装置 |
-
1983
- 1983-07-13 JP JP58127222A patent/JPS6021860A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6021860A (ja) | 1985-02-04 |