JPS6218195Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は脱穀機における選別装置に係り、詳し
くは一番物と二番物との選別を主選別風路からの
圧風によつて風選し、また二番物と三番物との選
別を副選別風路からの圧風によつて再風選すると
共に、特に朝露のある立毛穀稈等、いわゆる濡れ
材を刈取脱穀する場合に生ずる塊状になつた被選
別物を、副選別風路内に設けた回転拡散体により
分散して風選し、二番物の還元量と三番飛散を可
及的に少くして常に良好な選別作用を効率的に行
わせることができる脱穀機における選別装置に関
するものである。

従来、脱穀機の選別作用は穀粒揺動選別体の揺
動運動による比重選別作用と、唐箕からの圧風に
よる風選作用とによつて行われているが、朝露の
ある立毛穀稈等、いわゆる濡れ材を脱穀する場合
には、被選別物が塊状になり易く、このため穀粒
揺動選別体の揺動運動と唐箕からの圧風だけでは
塊状となつた被選別物に対する充分な分離ができ
ず、その結果、一番物の効率的な回収ができない
許りでなく、二番物の還元量や三番飛散が多くな
り、良好な選別ができない欠点があつた。

本考案は、上記のような欠点を一掃すべく創案
されたものであつて、特に風選室側に向けて穀粒
を揺動移送選別する穀粒揺動選別体の下方に設け
た選別風路を、一番樋を介して主選別風路と区画
される副選別風路に形成すると共に、上記副選別
風路には一番樋への流板と、その後方に形成され
た穀粒揺動選別体のチヤフシーブ間に位置して回
転拡散体を設けたことにより、一番物と二番物と
の選別を主選別風路からの圧風によつて風選し、
また二番物と三番物との選別を副選別風路からの
圧風により再風選すると共に、塊状となつた被選
別物については副選別風路内に設けた回転拡散体
により長藁、藁屑、穂切れ等に分散して風選し、
もつて二番物の還元量と三番飛散を可及的に少く
して常に良好な選別作用を行わせ、一番物を効率
的に回収することができる脱穀機における選別装
置を提供しようとするものである。

本考案の構成を図面に示された一実施例につい
て説明すれば、１は脱穀機の扱室であつて、該扱
室１内には受綱２が張設されていると共に、扱胴
３が機体の前後方向に軸架した扱胴軸３ａに回転
自在に軸着されている。４は扱室１の前方一側に
形成された穀粒供給口、５は扱室１の扱口であつ
て、該扱口５にはこれに沿つて穀稈自動供給装置
６が設けられており、その後方には排稈搬送装置
７が設けられている。８は扱室１に開設された送
塵口である。

９は扱室１の受綱２の直下から扱胴３の軸芯方
向と略平行に機体の後方へ向けて延設された穀粒
揺動選別体であつて、該穀粒揺動選別体９は機体
の機壁１ａ，１ａ間に前後方向揺動自在に架設さ
れており、その具体的構成は次のようになつてい
る。すなわち、機枠９ａ，９ａ間の上段には上記
送塵口８の下方に位置して段付グレーンパン１０
が、やや上り勾配に形成され、その後端にはスト
ローラツク１１が一体的に延設されており、また
機枠９ａ，９ａ間の下段には上記段付グレーンパ
ン１０の下方位置から順次後方に向けて段付グレ
ーンパン１２、一番物選別綱１３がやや上り勾配
に一体的に延設されていると共に、該一番物選別
網１３の後端から所定間隔を存して段付チヤフシ
ーブ１４、ストローラツク１５が同じく上り勾配
状に一体的に延設されている。

１６は上記一番物選別綱１３の下方に設けられ
た一番樋、１６ａは一番樋１６と平行して機体の
後方上方に向けて傾斜延設した一番樋１６の流
板、１６ｂは一番物搬出スクリユーコンベアであ
る。１７は穀粒揺動選別体９の下方に形成された
選別風路であつて、該選別風路１７は上記一番樋
１６を介して主選別風路１７ａと副選別風路１７
ｂとに区画形成されており、それらの基端側には
唐箕１８が設けられていると共に、該選別風路７
の吐出側は扱胴３の軸芯方向後方に配設した風選
室１９に臨ませてある。２０は風選室１９に装備
された吸引フアン、１９ａは排塵口である。２１
は風選室１９の下方に設けられた二番樋、２１ａ
は二番物搬送スクリユーコンベア、２１ｂは二番
物搬送スロワであつて、該二番物搬送スロワ２１
ｂの吐出口は、前記扱室１の受綱２外周面と扱胴
３の軸芯方向に沿う機壁（図示省略）内面および
受綱２下方の穀粒揺動選別体９の上面とで形成た
扱胴３の軸芯方向に長い空間を有する二番物還元
通路に臨ませてある。

２２は周面に羽根２２ａを植設した回転拡散体
であつて、該回転拡散体２２は前記副選別風路１
７ｂ内において、一番樋１６への流板１６ａと、
その後方に形成された段付状のチヤフシーブ１４
間に位置して穀粒揺動選別体９の機壁９ａ，９ａ
間に回転自在に架設されており、副選別風路１７
ｂからの圧風によつて回転するようになつてい
る。

次に叙上の如く構成された本考案の作用につい
て説明する。いま、穀稈自動供給装置６によつて
穀稈供給口４から扱室１内に供給された穀稈は、
扱口５に沿つて移送される過程で扱胴３の回転に
よつて脱穀され、受綱２の綱目から漏下した穀粒
および穂切れ穀稈や藁屑等は上記受綱２の直下に
架設された穀粒揺動選別体９の下段の段付グレー
ンパン１２上に落下し、また受綱２の綱目から漏
下しない長藁や大きな藁屑等は送塵口８から上段
の段付グレーンパン１０上に落下する。そして、
下段の段付グレーンパン１２上に落下した穀粒や
藁屑等は穀粒揺動選別体９の前後揺動運動に伴う
揉解作用により比重の小さい藁屑類は上層に浮上
し、比重の大きい穀粒は下層に沈下して二層状に
分離され乍ら順次後方の一番物選別綱１３上に移
送され、主選別風路１７ａを通じて送風される唐
箕１８の圧風Ａにより風選されて穀粒のみが上記
選別綱１３より一番樋１６に漏下し、一番物搬送
スクリユーコンベア１６ｂによつて機外へ搬出さ
れ、小さい藁屑類は風選室１９の吸引フアン２０
により吸引されて排塵口１９ａから後方機外へ搬
出される。一方、送塵口８より上段の段付グレー
ンパン１０上に落下した長藁や大きな藁屑等は、
穀粒揺動選別体９の前後揺動運動により後方のス
トローラツク１１に移送され、ストローラツク１
１上で主選別風路１７ａからの圧風Ａによつて風
選され乍ら吸引フアン０により吸引されて排塵口
１９ａから後方機外へ排出される。

ところで、上記脱穀および選別の過程におい
て、特に朝露のある穀稈等、いわゆる濡れ材を脱
穀した場合は、被選別物が塊状になり易く、この
ため、従来では塊状の被選別物は、該穀粒揺動選
別体９の揺動運動と主選別風路１７ａを通じて送
風される唐箕１８からの圧風Ａだけでは、その塊
状をほぐすことが不充分で分離されないまま一番
物選別綱１３上に残留し、その後端から後方の一
番樋１６の流板１６ａの上端を越えて二番樋２１
に落下したので、二番物の還元量が多くなり、そ
の結果、二番物搬送スロワ２１ｂに詰り現象が生
じたり、多量の二番物の還元により穀粒揺動選別
体９に過負荷がかかつて選別能力を低下させ、一
番物の効率的な回収ができなかつた。また、受綱
２を漏下しないで塊状のまま送塵口８から穀粒揺
動選別体９の上段の段付グレーンパン１０上に落
下した被選別物に対しても、上記同様に充分な分
離ができないままストローラツク１１上に移送さ
れ、風選室１９の吸引フアン２０により吸引され
て排塵口１９ａから後方機外に排出されていたの
で三番飛散が多くなり穀粒の損失を招いていた。

ところが、本考案においては、特に副選別風路
１７ｂ内に一番樋１６への流板１６ａと、その後
方に形成された穀粒揺動選別体９のチヤフシーブ
１４間に位置して、唐箕１８の圧風より回転する
回転拡散体２２を設けたことによつて、穀粒揺動
選別体９の下段のグレーンパン１２上の塊状のま
まの被選別物は、該穀粒揺動選別体９の前後揺動
運動により順次一番物選別綱１３上に移送され、
その後端から回転拡散体２２上に放出されると、
上記塊状の被選別物は、回転拡散体２２の羽根２
２ａにより的確にほぐされて分離されると同時
に、副選別風路１７ｂを通じて送風される唐箕１
８からの圧風Ｂにより長藁、藁屑、穂切れ等に吹
き分けられてチヤフシーブ１４上に分散落下し、
順次ストローラツク１５上に移送されるが、上記
ストローラツク１５上では前記回転拡散体２２の
下方で分流された圧風Ｃにより再風選されて長
藁、藁屑等は吸引フアン２０に吸引されて排塵口
１９ａから後方機外に排出され、穂切れはラツク
の間から二番樋２１に落下して再選別される。こ
のため、濡れ材に対する選別が良好に行われ、長
藁、藁屑等が二番物として還元される惧れがない
許りでなく、三番飛散も可及的に皆無ならしめる
ことができる。

また、塊状のまま送塵口８から穀粒揺動選別体
９の上段のグレーンパン１０上に落下した被選別
物も、ストローラツク１１の上に移送されてラツ
クの間から回転拡散体２２上に落下し、前記同様
の分散作用と風選作用を受けることは改めて詳述
するまでもない。

これを要するに、本考案は、扱胴の軸芯方向後
方に風選室を有し、扱室の下側に扱胴の軸芯方向
に沿い上記風選室側に向けて穀粒を揺動移送選別
する穀粒揺動選別体を設け、該穀粒揺動選別体の
下方には一番樋を介して主選別風路と区画される
副選別風路を形成すると共に、上記副選別風路に
は一番樋への流板と、その後方に形成された穀粒
揺動選別体のチヤフシーブ間に位置して回転拡散
体を設けたから、一番物と二番物との選別を主選
別風路からの圧風によつて的確に風選して一番樋
に回収することができ、また二番物と三番物との
選別を副選別風路からの圧風によつて的確に再風
選すると共に、特に塊状となつた濡れ材等の被選
別物については、これを回転拡散体により的確に
ほぐして分離させると同時に、副選別風路を通じ
て送風される圧風により長藁、藁屑、穂切れ等に
吹き分けて穂切れのみを二番物として還元し、風
選された長藁や藁屑を二番物として還元させるこ
となく機外へ排出することができ、したがつて、
二番物の還元量と三番飛散を可及的に少なくして
常に良好な選別作用を行わせることができる極め
て有用な実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る脱穀機における選別装置の
一実施例を示すものであつて、第１図は脱穀機全
体の縦断側面図、第２図は要部の作用説明図、第
３図は要部の縦断正面図である。 図中、１……扱室、２……受綱、３……扱胴、
９……穀粒揺動選別体、１３……穀粒揺動選別体
の一番物選別綱、１４……穀粒揺動選別体のチヤ
フシーブ、１６……一番樋、１６ａ……一番樋の
流板、１７……選別風路、１７ａ……主選別風
路、１７ｂ……副選別風路、１９……風選室、２
０……吸引フアン、２１……二番樋、２２……回
転拡散体である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 扱胴の軸芯方向後方に風選室を有し、扱室の下
   側に扱胴の軸芯方向に沿い上記風選室側に向けて
   穀粒を揺動移送選別する穀粒揺動選別体を設け、
   該穀粒揺動選別体の下方には一番樋を介して主選
   別風路と区画される副選別風路を形成すると共に
   上記副選別風路には一番樋への流板と、その後方
   に形成された穀粒揺動選別体のチヤフシーブ間に
   位置して回転拡散体を設けたことを特徴とする脱
   穀機における選別装置。