JPH081644Y2 - 脱穀機における二番物還元装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、脱穀機における二番物還元装置に係り、詳
しくは、穂切れ穀稈や杖梗付着粒等の二番物を揺動選別
体に還元して再選別するにあたり、上記二番物を揚上還
元経路内で前処理し、かつ前処理の性状に応じて単粒化
された穀粒と単粒化されない二番物との還元経路を比重
選別を妨げないように、それぞれ分離された別個の還元
経路を介して揺動選別体に還元し、もって揺動選別体に
よる比重選別を効率的に行わせることができる脱穀機に
おける二番物還元装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、穂切れ穀稈や杖梗付着粒等の二番物を揺動選別
体に還元して再処理する場合に、上記二番物を二番物還
元筒内で前処理してから揺動選別体に還元していたが
（実開昭64−20159号公報）、このものは、前処理した
二番物を揺動選別体上の被選別物と合流させて再選別す
るように還元していたので、還元した二番物を分散させ
るための均し移送体を別個に設ける必要があった。

このため、選別機構が複雑となる許りでなく、合流さ
れた二番物のうち、特に穀粒と分離されない二番物が揺
動選別体によって選別網に移送された際には、一番口に
回収される穀粒の漏下を妨げるという不具合があった。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は上記のような実状に鑑み、従来の不具合を一
掃すべく創案されたものであって、その目的とするとこ
ろは、穂切れ穀稈や杖梗付着粒等の二番物を揺動選別体
に還元して再選別するにあたり、上記二番物を揚上還元
経路内で前処理し、かつ前処理の性状に応じて単粒化さ
れた穀粒は揺動選別体上で比重選別された穀粒と合流す
るように還元して再選別し、単粒化されない二番物は比
重選別の妨げとならないように、扱室の排塵口から落下
する二番物と合流するように還元して再選別し、もって
揺動選別体による比重選別を常に最良の状態に保持して
選別性能を向上させ穀粒の回収効率を著しく高めること
ができる脱穀機における二番物還元装置を提供しようと
するにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するため、本考案が採用した技術手段
は、二番物を揺動選別体に還元する揚上還元経路内に、
二番物を処理する処理胴を回転自在に軸支し、該処理胴
の一側と揺動選別体の下段選別部との間に漏下還元通路
を形成すると共に、処理胴軸の下側には螺旋体を形成
し、処理胴の上端部側には漏下還元通路へ漏下しない二
番物を揺動選別体の上段選別部に放擲還元する跳出し体
を軸支したことを特徴とするものである。

〔考案の作用〕

したがって、本考案によれば、揚上還元経路内で処理
胴により前処理された二番物は、前処理の性状に応じて
単粒化された穀粒は漏下還元通路から漏下して揺動選別
体の下段選別部に還元され、漏下還元通路から漏下しな
かった二番物は処理胴の上端部へ揚上搬送されたのち、
跳出し体により揺動選別体の上段選別部に放擲される。
このため、単粒化された穀粒のみが揺動選別体上の被選
別物と合流するので、揉解作用が促進されて比重選別が
良好に行われ、選別性能を向上させることができる。

〔実施例〕

本考案の一実施例を添附図面を参照して詳細に説明す
る。第１図において、１は脱穀機の機筐であって、該機
筐１の一側には隔壁２および受網３に囲まれた扱室４が
形成されており、該扱室４内には扱胴５が機体の前後方
向に軸架されている。６は扱室６の機筐１の前側に形成
された穀稈供給口であって、該穀稈供給口６に連通して
扱室４の機筐１の側板の後方向には図示しない扱口が形
成されており、該扱口に沿って穀稈自動供給装置７が設
けられている。８は挾扼レールであって、該挾扼レール
８は機筐１の側板に装備した複数の弾機9,9,…を介して
弾持されている。10は扱室４の後側に形成された排塵口
であって、該排塵口10に連通して処理胴室11が設けられ
ており、該処理胴室11内には螺旋送り体12を一体的に形
成した処理胴13が軸架されている。

14は扱室４の受網３直下に位置して扱胴５の軸芯方向
に延設された揺動選別体であって、該揺動選別体14は受
網３の終端部下方と排塵口10の下方にかけて側板15,15
間に一連状に架設されたリターンパン16およびフィード
パン17と、該リターンパン16の下方でその始端側を受網
３の下方に臨ませて架設されたスイングシーブ18とから
なる上段選別部19と、上記スイングシーブ18の下方で一
番口20の上方に臨ませて架設したグレーンシーブ21と、
二番口22の上方に臨ませてグレーンシーブ21の終端部に
連設されたストローラック23とからなる下段選別部24と
から構成されている。そして、上記リターンパン16は無
孔の板状体で形成され、フィードパン17は無孔の段付板
状体で形成されており、両者は開口部25を有する接続部
材26を介して一連状に接続されている。

27は揺動選別体14の下方に形成された選別風路であっ
て、該選別風路27の始端側には圧風ファン28が設けられ
ており、その吐出口は扼胴５の軸芯方向後方に形成した
風選室29に指向するように形成されている。30は風選室
29の下方に設けられた吸引ファンであって、該吸引ファ
ン30の吸引筒31には機外後方に向けて開口された排出口
32が形成されている。33は一番口20と二番口22との間に
配設された補助圧風ファンである。34は二番物還元筒、
35は揚穀筒である。

上記二番物還元筒34内には第２図に示すように、下端
部に設けた伝動ギヤケース36に二番物縦搬送体37が軸支
されており、該二番物縦搬送体37の下方部には二番物横
移送螺旋体38によって移送された二番物を受継して揚上
移送する二番物縦移送螺旋体39が形成され、略中央部に
は揚上移送された二番物を処理する処理胴40が軸支され
ていると共に、該処理胴40の上端側には板状の跳出し体
41が軸支され、更に上端部には吸引ファン42が軸支され
ている。43は脱穀機の機筐１の側板の外側に位置して二
番物横移送螺旋体38の一側に軸支された伝動プーリ、44
は二番物還元筒34の外側に位置して二番物横移送螺旋体
38の他側に軸支された駆動スプロケットであって、該駆
動スプロケット44と伝動ギヤケース36に軸支された従動
スプロケット45間には伝動チェーン46が懸回されてお
り、かつ伝動ギヤケース36内に位置して二番物縦搬送体
37の下端部に軸支したベベルギヤ47に従動スプロケット
軸48に軸支したベベルギヤ49を噛合させている。したが
って、二番物縦搬送体37は二番物横移送螺旋体38の回転
に連動して回転するようになっている。

前記処理胴40に対面する揺動選別体14側の二番物還元
筒34には、該処理胴40により脱粒処理されて単粒化した
穀粒を漏下させる漏下板50が張設されており、該漏下板
50はクリンプ網でもなく、目抜き鉄板、コンケーブでも
よく、更にはルーバー状のものでもよい。そして、上記
漏下板50と揺動選別体14の下段選別部24に形成したグレ
ーンシーブ21との間には揺動選別体14の側板15に形成し
た開口部15aに穀粒を通過させる樋状の漏下還元通路51
が形成されている。また、処理胴40の上端部と二番物還
元筒34の上端部から連結部材52を介して上方に延出形成
された吸引ファン42の吸引筒53の下面との間には、前記
漏下還元通路51から漏下しない二番物を跳出し体41によ
って揺動選別体14の上段選別部19に形成したリターンパ
ン16に放擲するための吐出口54が形成されている。55は
吸引筒53の排塵口である。

前記揚穀筒35は第３図および第４図に示すように、脱
穀機の機筐１の側板にブラケット56を介して立設されて
おり、該揚穀筒35内には下端部に設けた伝動ギヤケース
57に穀粒揚上螺旋体58を形成した中空搬送体59が軸支さ
れており、該中空搬送体59の下端部には伝動ギヤケース
57内に位置して穀粒横移送螺旋体60の一端部に軸支した
ベベルギヤ61と噛合するベベルギヤ62が軸支されてい
る。したがって、中空搬送体59は穀粒横移送螺旋体60の
回転に連動して回転するようになっている。

上記揚穀筒35の上端部には穀粒吐出口63が形成されて
おり、該穀粒吐出口63は支承杆64を介して揚穀筒35に支
承されたホッパー65内に臨んでいる。上記ホッパー65は
上部カバー体66と穀粒収納部67およびシャッター部68か
ら構成されており、これらの構成部材は鉄板で形成され
ているが、上部カバー体66の下縁と穀粒収納部67の上縁
間には弾性体69が介装されていて、穀粒の充填量に応じ
てホッパーの高さが可変できるようになっている。

また、前記中空搬送体59の中空部には伝動ギヤケース
57の底部を貫通してパイプ70が遊嵌されており、該パイ
プ70の露出側はエンジンまたはコンプレッサー71に接続
されていて、穀粒吐出口63からホッパー65内に充填され
る穀粒をエンジンまたはコンプレッサー71から送られる
熱風により乾燥させるようになっている。

叙上の構成において、いま、穀稈自動供給装置７によ
って穀稈供給口６より扱室４内に供給された穀稈は、扱
胴５の回転によって脱穀され、受網３から漏下した穀粒
や藁屑は直接揺動選別体14のスイングシーブ18の始端側
に落下し、また、排塵口10から排出した長藁や穂切れ穀
稈、杖梗付着粒等の二番物はフィードパン17またはリタ
ーンパン16に落下してからスイングシーブ18の始端側に
落下する。そして、これらの混合物は始端側から終端側
へ向けて揺動移送される過程で、スイングシーブ18の隙
間からグレーンシーブ21に落下した穀粒や藁屑は圧風フ
ァン28から吐出される圧風により風選作用を受けながら
比重選別されるので、比重の小さい藁屑は上層に浮上し
て風選室29へ吹き飛ばされ、吸引ファン30に吸引されて
排出口32から機外後方へ放出されるが、比重の大きい穀
粒は下層に沈下し、グレーンシーブ21の網目から漏下し
て一番口20に落入して回収される。

一方、グレーンシーブ21に残留した長藁、穂切れ穀
稈、杖梗付着粒等の二番物のうち、主として長藁はグレ
ーンシーブ21の終端からストローラック23に放出され、
補助圧風ファン33から吐出される圧風により圧選室29へ
吹き飛ばされるが、穂切れ穀稈や杖梗付着粒などはグレ
ーンシーブ21の終端から二番口22に落入して回収され
る。そして、二番口22に回収された二番物は、二番物横
移送螺旋体38により二番還元筒34に移送され、更に二番
物縦移送螺旋体39により揚上移送されたうえ、処理胴40
により脱粒処理され、単粒化された穀粒は漏下板50から
漏下還元通路51へ漏下し、更に側板15の開口部15aを通
過して揺動選別体14のグレーンシーブ21に還元される
が、漏下板50から漏下還元通路へ漏下しない二番物は処
理胴40の上端部側に軸支した跳出し体41により吐出口54
から揺動選別体14のリターンパン16に放擲還元される。
したがって、単粒化された穀粒のみが揺動選別体14のグ
レーンシーブ21上の被選別物と合流するので、比重選別
が良好に行われ、選別性能を向上させることができる。

〔考案の効果〕

これを要するに本考案は、二番物を揺動選別体に還元
する揚上還元経路内に、二番物を処理する処理胴を回転
自在に軸支し、該処理胴の一側と揺動選別体の下段選別
部との間に漏下還元通路を形成すると共に、処理胴軸の
下側には螺旋体を形成し、処理胴の上端部側には漏下還
元通路へ漏下しない二番物を揺動選別体の上段選別部に
放擲還元する跳出し体を軸支してなるものであるから、
穂切れ穀稈や杖梗付着粒等の二番物を揺動選別体に還元
して再選別するにあたり、上記二番物を揚上還元経路内
で処理胴により前処理し、かつ前処理の性状に応じて単
粒化された穀粒は、これを漏下還元通路から揺動選別体
の下段選別部に還元して比重選別された穀粒と合流させ
て再選別することができ、単粒化されない二番物は比重
選別の妨げとならないように、処理胴の上端部から跳出
し体により揺動選別体の上段選別部に放擲還元して再選
別に供することができ、もって、揺動選別体による比重
選別を常に最良の状態に保持して選別性能を向上させ、
穀粒の回収効率を著しく高めることができる極めて有用
な実用的効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る脱穀機における二番物還元装置の一
実施例を示すものであって、第１図は内部構成を透視し
て示す脱穀機の全体側面図、第２図は、第１図のＡ−Ａ
線断面図、第３図はホッパーの正面図、第４図は揚穀筒
の縦断面図である。 14…揺動選別体、19…上段選別部、24…下段選別部、34
…二番物還元筒、37…二番物縦搬送体、39…二番物縦移
送螺旋体、40…処理胴、41…跳出し体、51…漏下還元通
路、

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】二番物を揺動選別体に還元する揚上還元経
   路内に、二番物を処理する処理胴を回転自在に軸支し、
   該処理胴の一側と揺動選別体の下段選別部との間に漏下
   還元通路を形成すると共に、処理胴軸の下側には螺旋体
   を形成し、処理胴の上端部側には漏下還元通路へ漏下し
   ない二番物を揺動選別体の上段選別部に放擲還元する跳
   出し体を軸支したことを特徴とする脱穀機における二番
   物還元装置。