JP2528317Y2 - 脱穀選別装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はコンバインや自走式の脱
穀機に搭載する脱穀選別装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンバインに搭載された脱穀選別
装置として、扱室の下方に、揺動始端側からフィ−ドパ
ンとチャフシ−ブを設けそのチャフシ−ブの下側にグレ
ンシ−ブを配設してなる揺動選別体と、この揺動選別体
の始端側の下側に圧風ファンを配置して選別風を揺動方
向に吹流させる選別風路とからなる選別部を設けて扱室
からの脱穀物を選別するものにおいては例えば特開昭６
２−６１５１８号公報に開示されるような選別部の構成
にしたものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】すなわち、この同公報
に記載された選別部の構成によると、圧風ファンの吐出
口部から吹出する選別風は扱室から揺動選別体上に落下
する途上の脱穀物中の塵埃と、揺動選別体のチャフシ−
ブからグレンシ−ブを通過したものを風選するもので、
揺動選別体による揺動選別作用を積極的に助長しようと
するものでないのであるから、本考案は従来の構成が前
記のようなものである点に鑑み、その選別風の風選作用
を揺動選別体の揺動作用を積極的に助長するものに転換
して脱穀物の選別を一段と向上させるのを目的として考
案されたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで本考案は、前項に
記載の目的を遂行させるために、扱室の下方に、揺動始
端側からフィ−ドパンとチャフシ−ブを設けそのチャフ
シ−ブの下側にグレンシ−ブを配設してなる揺動選別体
と、この揺動選別体の始端側の下側に圧風ファンを配置
して選別風を揺動方向に吹流させる選別風路とからなる
選別部を設けて扱室からの脱穀物を選別するものにおい
て、前記フィ−ドパン、とチャフシ−ブを通過したもの
をグレンシ−ブに案内するグレンパンを目抜き鉄板に
し、前記圧風ファンの吐出口部に風向案内板を設けて吐
出口部から吹出する選別風を前記のフィ−ドパンとグレ
ンパンの目抜き部から吹き上げるものとグレンシ−ブの
下側を吹流するものとに分割して選別する構成にしたの
である。

【０００５】

【作用】このように構成されているから、扱室から揺動
選別体上に落下する脱穀物は主として始端側のフィ−ド
パン上に落下してチャフシ−ブへと揺動移送され、チャ
フシ−ブで篩い選別されて通過して落下するものはグレ
ンパンからグレンシ−ブに供給されて２段選別されるの
であるが、このとき圧風ファンの吐出口部から吹出する
選別風は風向案内板によって前記フィ−ドパンの下側お
よびグレンパン側とグレンシ−ブの下側に向けて分割さ
れ、この分割された選別風のうちフィ−ドパンの下側に
至ったものはその目抜き部から吹き上げて脱穀物中の塵
埃を浮上させながら移送排出を促進してチャフシ−ブで
の選別能率をよくし、またグレンパン側に分流した選別
風はその目抜き部から吹き上げるようになってチャフシ
−ブを通過してグレンシ−ブに落下する前に風選しこの
風選したものをグレンシ−ブが選別するようになって選
別作用を増進し、グレンシ−ブを通過したものはこの下
側を吹流する選別風によって仕上げ風選されるのであ
る。

【０００６】

【実施例】以下本考案について実施例図を参照して説明
するのであるが、先ずこの例図に示すコンバインについ
て「図２」によりその概要を記載すると、（８）は機台
（９）を支持する走行装置で、この機台（９）上の左側
にはスクリュ−式の扱胴（１０）を前後方向にして収蔵
軸架し、扱胴（１０）の下周り側をコンケ−ブ（１１）
によって形成した扱室（１）と、この扱室（１）の下方
に、扱室（１）からの脱穀物を選別する揺動選別体
（ａ）と選別風路（ｂ）を上下に配設してなる選別部と
から構成する脱穀選別装置(B) を搭載し、その右側には
操縦部（１２）・穀粒タンク（１３）・エンジン（図示
省略）を前後に設け、前記脱穀選別装置（Ｂ）と操縦部
（１２）の前方にフィ−ダ−ハウス（１４）を介して刈
取部（Ａ）を連設し刈取部（Ａ）での刈取穀稈をフィ−
ダ−ハウス（１４）内を送上させて扱室（１）に供給す
るようにしてある。

【０００７】刈取部（Ａ）には刈刃（１５）と掻き込み
オ−ガ（１６）が横設され、刈刃（１５）の前側上方に
掻き込みリール（１７）が設けられて、前記扱室（１）
の下周り側には始端側から終端側にかけて弧状の前記コ
ンケ−ブ（１１）が張設され、終端部には下向き開口の
排稈口（１８）を開設している。

【０００８】また、揺動選別体（ａ）は揺動始端側から
終端側にかけてフィ−ドパン（２）・チャフシ−ブ
（３）・スポ−ク体（１９）・選別棚（２０）が順次設
けられ、チャフシ−ブ（３）の下側にグレンシ−ブ
（４）を配設して、これらフィ−ドパン（２）・チャフ
シ−ブ（３）・スポ−ク体（１９）・選別棚（２０）・
グレンシ−ブ（４）が一体となって前後に揺動するよう
になっている。

【０００９】前記の揺動選別体（ａ）の下側に形成する
選別風路（ｂ）にはフィ−ドパン（２）の下側に設ける
圧風ファン（５）によって起風される選別風が揺動選別
体（ａ）の揺動方向にそって吹流して吹き抜けるように
なり、選別風路（ｂ）の底部でグレンシ−ブ（４）の下
方に設けられる１番物回収部（２１）によって１番物は
前記の穀粒タンク（１３）に貯溜され、２番物回収部
（２２）内のものは揚穀筒（２３）により扱室（１）に
還元される構成にし、また、１番物回収部（２１）と２
番物回収部（２２）の間には補助圧風ファン（２４）が
設けられて揺動選別体（ａ）終端側の選別棚（２０）の
下側から選別風を吹き上げるようにしている。

【００１０】なお、（２５）は矢印方向に回転する掻き
出し刀であり、（２６）は排塵カバ−で排塵口（２７）
が開設され、（２８）は上下動と左右に旋回自在に装着
されて穀粒タンク（１３）内に貯溜された１番物を取出
す排出オ−ガである。

【００１１】したがって、コンバインを走行装置（８）
によって前進させると、植立穀稈は掻き込みリ−ル（１
７）で掻き込まれながら刈刃（１５）で刈取られ、この
刈取られた穀稈は掻き込みオーガ（１６）によって集合
されてフィ−ダ−ハウス（１４）内を送上ののち扱室
（１）の始端側に供給されてスクリュ−式の扱胴（１
０）で終端側に移送されながら脱穀され、この脱穀によ
ってコンケ−ブ（１１）から落下した脱穀物は前後に揺
動する揺動選別体（ａ）に受止められ、フィ−ドパン
（２）・チャフシ−ブ（３）・スポ−ク体（１９）・選
別棚（２０）・グレンシ−ブ（４）の揺動作用と圧風フ
ァン（５）と補助圧風ファン（２４）によって起風され
る選別風によって選別されて、１番物は１番物回収部
（２１）から穀粒タンク（１３）に貯溜され２番物は２
番物回収部（２２）に落下して扱室（１）に還元され再
処理されるようになり、また、コンケ−ブ（１１）から
落下しない藁切れなどの排塵物は終端部の排稈口（１
８）から排出され、選別棚（２０）の終端部から排出さ
れるものと一緒になり掻き出し刀（２５）によって排塵
口（２７）から機外に掻出されるようになる。

【００１２】次に本考案の要部の構成について「図１」
により記載すると、前記のフィ−ドパン（２）はその始
端側を無孔のものにし終端側を通風可能の目抜き鉄板に
してあり、グレンシ−ブ（４）は前半部を無孔にし後半
部を網体にしてあって、前記フィ−ドパン（２）の終端
側を形成する目抜き鉄板の終端から前記圧風ファン
（５）の吐出口部の中程部に向けて導風板（２９）を斜
め下向きに延出し、この導風板（２９）の裏面側とグレ
ンシ−ブ（４）の無孔の前半部前端とをグレンパン
（６）で連結して前記のチャフシ−ブ（３）を通過した
ものをグレンシ−ブ（４）に案内するようにするととも
に、そのグレンパン（６）も通風し得る目抜き鉄板のも
ので構成し、グレンシ−ブ（４）の無孔の前半部はグレ
ンパン（６）の連結部よりもさらに前方に若干延出して
ある。

【００１３】そして、前記圧風ファン（５）の吐出口部
におけるグレンシ−ブ（４）の前方位置には逆三角形の
風向案内板（７）が設置されて矢印（イ）方向に回転し
て起風され吐出口部から吹出する選別風は上下に２分割
されて、この風向案内板（７）によって上向きに変向さ
れる選別風は前記の導風板（２９）によって仕切られて
フィ−ドパン（２）終端側目抜き鉄板の目抜き部（２
ａ）からとグレンパン（６）の目抜き部（６ａ）とから
上方に吹き上げるように構成するとともに、風向案内板
（７）の下側を通ってグレンシ−ブ（４）の下面にそっ
て吹流するようにしてある。

【００１４】要部の構成は以上のようなものになってい
るから、以下その作用について記載すると、矢印（イ）
方向に回転して起風され吐出口部から吹出する選別風は
風向案内板（７）によっ上下に２分割されて上側に分流
された選別風は導風板（２９）により仕切られて矢印
（ロ）（ハ）のようにフィ−ドパン（２）の目抜き鉄板
と目抜き鉄板で構成されたグレンパン（６）のそれぞれ
の下側に向かい目抜き部（２ａ）（６ａ）から吹き上げ
るようになり、また下側に分流された選別風は矢印
（ニ）の如くグレンシ−ブ（４）の下面にそって吹流す
るようになる。

【００１５】そして、前記のフィ−ドパン（２）の目抜
き部（２ａ）から吹き上げる選別風は脱穀物中の塵埃を
浮上させながら移送排出を促進し、またグレンパン
（６）の目抜き部（６ａ）から吹き上げる選別風はチャ
フシ−ブ（３）を通過してグレンシ−ブ（４）に落下す
る前に風選し、この風選されたものがグレンシ−ブ
（４）で選別されるようになり、グレンシ−ブ（４）を
通過したものは下側に分流して（ニ）のように吹流する
選別風によって仕上げ風選される。

【００１６】なお、この実施例の説明では、圧風ファン
（５）によって起風される選別風を風向案内板（７）で
上下に分割してフィ−ドパン（２）の目抜き部（２ａ）
とグレンパン（６）の目抜き部（６ａ）とを吹き上げる
ようにするとともにグレンシ−ブ（４）の下側も吹流さ
せる構成のものにしてあるが、風向案内板（７）を吐出
口部に間隔をおいて２個設置して選別風を３分割しそれ
ぞれへ分流させるようにしてもよいのである。

【００１７】

【考案の効果】本考案は以上の説明からわかるように、
扱室（１）の下方に、揺動始端側からフィ−ドパン
（２）とチャフシ−ブ（３）を設けそのチャフシ−ブ
（３）の下側にグレンシ−ブ（４）を配設してなる揺動
選別体（ａ）と、この揺動選別体（ａ）の始端側の下側
に圧風ファン（５）を配置して選別風を揺動方向に吹流
させる選別風路（ｂ）とからなる選別部を設けて扱室
（１）からの脱穀物を選別するものにおいて、前記フィ
−ドパン（２）と、チャフシ−ブ（３）を通過したもの
をグレンシ−ブ（４）に案内するグレンパン（６）を目
抜き鉄板にし、前記圧風ファン（５）の吐出口部に風向
案内板（７）を設けて吐出口部から吹出する選別風を前
記のフィ−ドパン（２）とグレンパン（６）の目抜き部
（２ａ）（６ａ）から吹き上げるものとグレンシ−ブ
（４）の下側を吹流するものとに分割して選別する構成
にしてあることを特徴とするものであるから、圧風ファ
ン（５）の吐出口部から吹出する選別風は風向案内板
（７）によって上下に分割されて前記フィ−ドパン
（２）の下側およびグレンパン（６）側とグレンシ−ブ
（４）の下側に向けて分流して、この分割された選別風
のうちフィ−ドパン（２）の下側に至ったものはその目
抜き部（２ａ）から吹き上げて脱穀物中の塵埃を浮上さ
せながら移送排出を促進してチャフシ−ブ（３）での選
別能率をよくし、またグレンパン（６）側に分流した選
別風はその目抜き部（６ａ）から吹き上げるようになっ
てチャフシ−ブ（３）を通過してグレンシ−ブ（４）に
落下する前に風選しこの風選したものをグレンシ−ブ
（４）が選別するようになって選別作用を増進するの
で、選別風は揺動選別体（ａ）の揺動作用を積極的に助
長して支援するものとなり選別を一段と向上できるもの
となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】脱穀選別装置要部の縦断側面図である。

【図２】コンバイン全体を示した概要側面図である。

【符号の説明】

１ 扱室 ２ フィ−ドパン ３ チャフシ−ブ ４ グレンシ−ブ ａ 揺動選別体 ５ 圧風ファン ｂ 選別風路 ６ グレンパン ７ 風向案内板 ２ａ 目抜き部 ６ａ 目抜き部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 扱室（１）の下方に、揺動始端側からフ
   ィ−ドパン（２）とチャフシ−ブ（３）を設けそのチャ
   フシ−ブ（３）の下側にグレンシ−ブ（４）を配設して
   なる揺動選別体（ａ）と、この揺動選別体（ａ）の始端
   側の下側に圧風ファン（５）を配置して選別風を揺動方
   向に吹流させる選別風路（ｂ）とからなる選別部を設け
   て扱室（１）からの脱穀物を選別するものにおいて、前
   記フィ−ドパン（２）と、チャフシ−ブ（３）を通過し
   たものをグレンシ−ブ（４）に案内するグレンパン
   （６）を目抜き鉄板にし、前記圧風ファン（５）の吐出
   口部に風向案内板（７）を設けて吐出口部から吹出する
   選別風を前記のフィ−ドパン（２）とグレンパン（６）
   の目抜き部（２ａ）（６ａ）から吹き上げるものとグレ
   ンシ−ブ（４）の下側を吹流するものとに分割して選別
   する構成にしてあることを特徴とする脱穀選別装置。