JPS6136600Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は鋼管矢板を海水等から保護する防食カ
バーを取付けるための鋼管矢板用防食カバー構造
に関する。

複数本の鋼管を所定間隔で打ち込んで連結する
ことにより構成した鋼管矢板が護岸用等として用
いられており、この鋼管矢板がその片側を海水接
触面として用いる場合には耐腐食性を考慮する必
要がある。特に海水表面と大気とが間断なく接触
する飛沫帯（スプラツシユゾーン）にあつては腐
食度合が著しい。このため従来、鋼管に塗装を施
したり、鋼管矢板の片側に型枠を組み立て、この
型枠と矢板間にコンクリートを打設する等の防食
構造が用いられている。しかし塗装は耐腐食性が
低く、また型枠組立てによるコンクリート打設作
業は水中での施工工事となるため著しい困難さを
伴う。

本考案は上記事実を考慮し、耐食性が高く、施
工が比較的簡単な鋼管矢板用防食カバー構造を得
ることが目的である。

本考案に係る鋼管矢板用防食カバー構造はブラ
ケツトを鋼管矢板へ固着し、弧状防食カバーの両
端部をブラケツトへ取付けることにより鋼管矢板
の片側を防食カバーで覆うようになつている。

以下本考案の実施例を図面に従い説明する。

第１，２図には本実施例に係る防食カバー構造
が示されており、複数本の鋼管１０は互に等間隔
で軸心を垂直として配置されており、図示しない
下端部は土中へ打ち込まれている。

これらの鋼管１０の外周一側にはＴ字状突起１
２が鋼管の軸心と平行に固着されており、またこ
のＴ字状突起１２と鋼管の軸心を挾んだ反対側外
周には受金具１４が鋼管軸心と平行に固着されて
いる。この受金具１４としては断面Ｌ字型の山形
鋼が所定間隔をおいて２個配置されており、これ
らの山形鋼間にＴ字状突起１２の頭部を受け入れ
る矩形状間隙を形成している。

従つてＴ字状突起１２は隣接する鋼管の受金具
１４内へ挿入されて隣接する２本の鋼管を連結す
るようになつており、これによつて複数本の鋼管
１０が互に連結された矢板構造となつており、こ
の鋼管矢板の一側が陸側１６、他側が海側１８と
なつている。

これらの鋼管矢板の海側１８方向からは第３図
にも示される如く鉄製ブラケツト２０が固着され
ている。この鉄製ブラケツト２０は矩形状板であ
り、両側部が隣接する２本の鋼管１０の外周部へ
溶着されている。またこの鉄製ブラケツト２０に
は上下方向に所定間隔をおいて複数個の雌ねじ２
２が刻設されている。また下端部には折曲部２０
Ａが形成されており、この折曲部２０Ａは鋼管外
周へ接近して、充填されるモルタルの脱落防止用
ストツパとなつている。

従つて鉄製ブラケツト２０は複数本の鋼管１０
の間へそれぞれ配置されて互に等間隔となつてお
り、これらの鉄製ブラケツト２０には防食カバー
２４の両側部が取付けられている。

これらの防食カバー２４は好ましくはFRP
（繊維強化プラスチツク）で製作され、第４図に
も示される如く円弧状でその両側部に平板取付部
２６が連結されている。この取付部２６へ上下方
向に適宜間隔をおいて複数個の円孔２８が穿設さ
れており、これらの円孔２８は鉄製ブラケツト２
０の雌ねじ２２と対応している。

この防食カバー２４の長手方向一端部である下
端部からは防食カバーの曲率内側に向けて所定長
さの底板３０が突出されている。この底板３０の
先端部３２が第５図に示される如く防食カバー２
４を取付けた場合に鋼管１０の外周と若干の間隔
を形成するかまたは鋼管１０の外周へ接触する寸
法となるように底板３０の幅寸法が決定されてい
る。

この底板３０の長手方向適宜位置には防食カバ
ー２４の曲率中心から放射方向の配置とされるス
リツト３４が形成されて底板３０を複数個に分割
している。このスリツト３４は防食カバー２４に
その曲率半径を変化させる撓みが発生した場合に
スリツト間隔が変化して底板３０の変形を防止す
るようになつている。

防食カバー２４の下端部は鋼管１０の外周へ固
着された下部ストツパ３６で支持されてモルタル
充填時の半径方向広がり（第５図左方向）が防止
され、また上端部は吊り金具３８で鋼管１０から
吊り下げられており、また中間部内周と鋼管１０
の外周との間にはモルタル４０が充填さされてい
る。このモルタル４０は防食カバー底板３０上へ
載置される円弧状ゴムパツキン４２によつて鋼管
外周と底板３０との間の隙間から脱落しないよう
になつている。また鉄製ブラケツト２０とＴ字状
突起１２及び受金具１４との間にはモルタル４４
が充填されており、このモルタル４４は鉄製ブラ
ケツト２０の折曲部２０Ａによつて脱落が防止さ
れており、また受金具１４と鋼管１０の外周との
間へ押し込まれた袋づめモルタル４６によつて陸
側１６と遮断されている。

なお、吊り金具３８には貫通孔３９（第５図）
が穿設されており、鋼管上に桟橋等が設置される
場合にこの貫通孔３９を用いて桟橋等から吊り下
げる構造とすることもできる。

次にこのように構成された本実施例の施工手順
を説明する。

土中へ打ち込まれた鋼管１０の海側１８方向か
ら鉄製ブラケツト２０を鋼管外周へそれぞれ溶接
する。これらの鉄製ブラケツト２０へ取付ボルト
４８を用いて防食カバー２４の平板取付部２６を
締着し、複数個の防食カバー２４により波形の壁
を形成する。

この防食カバー２４の取付時に防食カバー２４
は撓んで複数個の鉄製ブラケツト２０間の取付寸
法誤差を吸収する。すなわち複数本の鋼管１０は
その打ち込み位置にバラツキ（約20mm程度）を有
しているため隣接する２枚の鉄製ブラケツト２０
の雌ねじ２２はその間隔が不均一となつており、
この寸法誤差を防食カバーが組付時に変形して吸
収するようになつている。

防食カバー２４の上端部はカバーもしくは鋼管
に固着された吊り金具３８で鋼管１０の外周から
吊り下げることによりボルト４８の締付け作業が
容易になる。

下部ストツパ３６を鋼管１０の外周へ溶接した
後に袋づめモルタル４６を受金具１４と鋼管１０
の外周へ押し込み、モルタル４０，４４をそれぞ
れ防食カバー２４と鉄製ブラケツト２０との間及
び鉄製ブラケツト２０と受金具１４との間へ充填
すれば施工作業が終了する。

これによつて第５図に示される如く鋼管１０の
飛沫帯Ａに面する外周部は確実に防食カバー２４
で覆われており、鋼管１０が腐食する虞れは全く
ない。また通常陸側１６には土砂が積み込まれる
が、この土砂は海側と鋼管矢板のＴ字状突起及び
受金具、袋づめモルタル４６、モルタル４０，４
４を介して確実に遮断されているので陸側の土砂
が流出することはない。

なおこの実施例においては防食カバー２４を円
弧状に形成した実施例を示したが、防食カバー２
４は組付時に変形して寸法誤差を吸収できる形状
であれば全て適用可能であり、コ字状等の他の弧
状形状が採用可能である。

以上説明した如く本考案に係る鋼管矢板用防食
カバー構造は鋼管間へ固着したブラケツトへ弧状
防食カバーの両端部を取付けるので、施工が容易
で確実に鋼管矢板の耐食性を向上することができ
る優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る鋼管矢板用防食カバー構
造の実施例を示す部分斜視図、第２図は第１図の
平面図、第３図は鉄製ブラケツトの取付け状態を
示す分解斜視図、第４図は防食カバーの斜視図、
第５図は第１図−線断面図である。 １０……鋼管、１２……Ｔ字状突起，１４……
受金具、２０……鉄製ブラケツト、２４……防食
カバー、２６……平板取付部、４０，４４……モ
ルタル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 所定間隔で打ち込まれて矢板を構成する複数の
   鋼管間へ複数個のブラケツトを固着し、これらの
   ブラケツトへ弧状防食カバーの両端部をそれぞれ
   取付けたことを特徴とする鋼管矢板用防食カバー
   構造。