JPH0421864Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、港湾、護岸工事等に用いられる鋼管
矢板の防食構造、特に継手被覆用補助カバーの取
り付け部分が改善された防食構造に関する。

［従来の技術］ 鋼管矢板の干満域及び飛沫域は、マクロ電池の
作用によつて集中的に腐食することが知られてお
り、このため鋼管矢板の海側を耐食性のカバーで
個々に被覆し、各カバー内にモルタル等を充填す
る防食工事が行なわれている。しかし、この種の
防食構造では、各鋼管を接続している金属性継手
の防食が困難であるため、最近では、実開昭60−
45750号に示すように、鋼管の外面にブラケツト
やアングルを設けてブラケツトにカバーパネルの
端部を連結すると共に、補助カバーを一対のアン
グル内に上方から落とし込んでいる。この補助カ
バーは、内部にモルタルが充填されるとその膨張
圧で自動的にアングルの内側に圧接する。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、上記の防食構造は、新規工事には有効
であるが、補助工事のように鋼管の上方に既にコ
ンクリートが構築されていると、補助カバーをア
ングル間に落とし込めない欠点がある。一方、ア
ングルやブラケツトの外面に補助カバーを固着す
ることは可能であるが、この場合には多数のボル
ト及びナツトを要し、それらの締め付け作業にも
手間がかかることになる。

本考案は、かかる事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、ボルトやナツトを要せずに継
手の正面からアングルの内側へ補助カバーを取り
付けることができる鋼管矢板の防食構造を提供す
ることにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案における鋼管
矢板の防食構造は、各鋼管の海側面に固着された
複数のブラケツトと、ブラケツトに取り付けられ
た防食用のカバーパネルと、各ブラケツトに固着
され互いに内側へ屈曲可能なアングルと、一対の
アングルの内側に設置された継手被覆用の補助カ
バーと、一対のアングルを屈曲状態で固定するバ
ンドとから構成されている。

［作用］ これらの構成により、まず鋼管の外面にブラケ
ツトを溶接し、カバーパネルとアングルを各ブラ
ケツトにボルト等を用いて取り付ける。このと
き、一対のアングルは、フリーの状態で補助カバ
ーの幅よりも大きく開口している。次いで、補助
カバーをアングル間に挿入してアングルを互いに
内側へ屈曲させ、バンドで屈曲端部を連結する。
アングル内の補助カバーは、最終的に充填剤の膨
張圧によつてアングルの内面に圧接する。

［実施例］ 第１図は、本考案が適用された防食構造の簡略
平面図で、図中陸側をＡ、海側をＢで示してあ
る。

この図において鋼管矢板１０は、海中に打ち込
まれた複数の鋼管１２を継手１４により連結して
構築されている。各鋼管１８の海側外面には、溶
接によつて、複数のブラケツト１８が固着され、
二つのブラケツト１８，１８間に円弧状の防食カ
バーパネル１６が取り付けられている。カバーパ
ネル１６は、FRP等の耐食性材料で形成され、
鋼管１２の干満域及び飛沫域を被覆できる長さを
有している。

図示していないが、カバーパネル１６の下端は
内側に湾曲してその先端の環状シールが鋼管１２
の外面に圧接している。カバーパネル１６と鋼管
１２との間には、スペーサ２２が介装されて両者
の間を所定間隔に維持している。また、カバーパ
ネル１６の上端は、外側に広がつてフランジ１６
ａとなつている。

ブラケツト１８には、第２図に拡大して示すよ
うにカバーパネル１６と共にアングル２０がボル
ト２４及びナツト２６によつて連結されている。
アングル２０は、二枚のFRPパネル２８，３０
を硬質ゴム板３２に貼り付けて形成され、中央か
ら内側へ屈曲できるようになつている。

一対のアングル２０，２０の内面には、FRP
製の補助カバー３４が当接して継手１４の海側を
被覆している。各アングル２０の外面には、第３
図からも分かるように複数の突起３６が設けら
れ、突起３６間に弾性バンド３８が架装されてい
る。補助カバー３４の下端は、シール用底板４０
によつて支持され、この底板４０は溶接により継
手１４に固着されている。

以上のように構成された各部材の施工順序は、
次の通りである。

まず、シール用底板４０を継手１４の所定位置
に溶接で固着し、必要ならばロツドで吊り補強す
ると共に継手１４との間に詰物４２を充填する。
次いで、各鋼管１２の外面にブラケツト１８を溶
接し、ブラケツト１８にカバーパネル１６とアン
グル２０を取り付ける。このとき、カバーパネル
１６の両端に予めブラケツト１８とアングル２０
を連結しておけば、取り付け作業がより簡単に行
なえる。

この段階において一対のアングル２０は、第２
図に想像線で示すように前方（図中下方）に開口
しているから、ここから補助カバー３４を挿入し
て両側のアングル２０を実線位置に屈曲させて弾
性バンド３８を各突起３６に掛ける。従つて、鋼
管１２及び継手１４の上方にコンクリートがあつ
ても、補助カバー３４を前方からアングル２０の
内側へ挿入することができる。

最後に、カバーパネル１６及び補助カバー３４
の内部にモルタル等の充填剤を注入して固化させ
れば、補助カバー３４は充填剤の膨張圧により押
されてアングル２０の内面に圧接する。

尚、上記実施例では、アングル２０を二枚の
FRPパネル２８，３０とゴム板３２で形成した
が、一枚のパネルをヒンジによつて屈曲可能とし
てもよい。

［考案の効果］ 以上詳述したように、本考案における鋼管矢板
の防食構造では、一対のアングルを屈曲可能に形
成して、補助カバーの挿入後にバンドで連結して
いるので、鋼管の上方にコンクリートが既に構築
されていてもボルトやナツトを要せずに補助カバ
ーを正面から取り付けられる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例の防食構造を示す簡略平面
図、第２図は補助カバー取り付け部分の拡大平面
図、第３図は第２図の正面図である。 １０……鋼管矢板、１２……鋼管、１４……継
手、１６……カバーパネル、１８……ブラケツ
ト、２０……アングル、３４……補助カバー、３
８……弾性バンド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 各鋼管の海側に固着された複数のブラケツト
   と、ブラケツトに取り付けられた防食用のカバ
   ーパネルと、各ブラケツトに固着され互いに内
   側へ屈曲可能なアングルと、一対のアングルの
   内側に設置された継手被覆用の補助カバーと、
   一対のアングルを屈曲状態で固定するバンドと
   から成る鋼管矢板の防食構造。 (2) 前記アングルが、ゴム板と二枚の耐食性パネ
   ルを貼り合わせて形成されている実用新案登録
   請求の範囲第１項に記載の鋼管矢板の防食構
   造。