JPS6127805Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車等の車両における自動変速機
の出力軸に固定された駐車歯車の固定装置に関す
るものである。

従来、トルクコンバータおよび遊星歯車装置を
有する自動車の自動変速機において、変速レバー
が駐車位置に移行されると、これと連動したパー
キングポールを、該変速機の出力軸と一体的に設
けた駐車歯車に噛み合せて該出力軸を回転不能に
固定することが行われている。（例えば実開昭55
−56756号公報参照） そのような駐車歯車の固定装置の一例として、
第１図ないし第４図に示されるものについて説明
する。

自動変速機の出力軸と一体的に設けられた駐車
歯車１に対向して該駐車歯車１に噛合可能なパー
キングポール２が配設されている。該パーキング
ポール２は、支持ピン３にてケーシング４に揺動
可能に支承されるとともに、リターンスプリング
５にて駐車歯車１との噛合が解除される方向に常
時付勢されている。

パーキングポール２の揺動端部には、ケーシン
グ４側から順に第１平坦面６ａ、傾斜面６ｂ、第
２平坦面６ｃと配列されたカム面６が形成されて
いる。

クランク形状をなすパーキングロツド７は、そ
の先端にフオーク状のローラホルダ部８が形成さ
れ、該ホルダ部８にローラ９，９が回転自在に支
承されている。

また、ケーシング４にネジ２６によつて鍔部１
０ａが固定された断面Ｕ字状のガイド部材１０
は、その内周面でガイド溝１１が形成され、該ガ
イド溝１１の溝底面１１ａとカム面６との間に、
前記ローラ９，９が転動可能に位置している。し
かして、駐車時には、変速レバー１２の操作に伴
い、ローラ９，９が転動して移行し、該ローラ
９，９の一方が第１平坦面６ａを押圧し、リター
ンスプリング５の弾発力に抗してパーキングポー
ル２を回動させて駐車歯車１に噛み合す。

変速レバー１２はカウンタ１３が介装されたリ
ンク機構１４を介してセレクトレバー１５の一端
部に連係され、該セレクトレバー１５の他端部が
マニユアルバルブシヤフト１６に固設されてい
る。これにより、操作レバー１２は、セレクトレ
バー１５の回動中心０_１となるマニユアルバルブ
シヤフト１６を回転させることができる。このマ
ニユアルバルブシヤフト１６は、図示しないレバ
ーを介してマニユアルコントロールバルブを操作
し、油圧回路を切換えて自動変速機を各変速状態
に移行させるものである。

マニユアルバルブシヤフト１６の一端部にはマ
ニユアルプレート１７が固設され、該マニユアル
プレート１７のカム溝１７ａに、パーキングレバ
ー１８から突設された係合ピン１９が係合してい
る。パーキングレバー１８は、ケーシング４に設
けた支持ピン２０にて揺動可能に支持され、その
揺動先端部が、パーキングロツド７に摺動可能に
挿通されたブロツク片２１のピン２２に嵌合して
いる。

また、変速レバー１２を後退位置Ｒより駐車位
置Ｐに移行するときのみ、カム溝１７ａの後端部
が係合ピン１９に接し、マニユアルプレート１７
とともにパーキングレバー１８が揺動する。した
がつて、変速レバー１２が第１速位置と後退位置
Ｒとの間にあるときは、係合ピン１９はカム溝１
７ａにてマニユアルプレート１７と係連されず、
パーキングレバー１８は停止した状態を保持す
る。

さらに、ブロツク片２１は、該ブロツク片２１
とパーキングロツド７に固定のカラー２３との間
に介装されたスプリング２５によりパーキングロ
ツドに固定のフランジ２４側へ常時付勢される。
また、駐車歯車１の歯の位置がパーキングポール
２と噛み合わない位置にあるとき、変速レバー１
２を駐車位置Ｐにしても、スプリング２５は圧縮
状態に保たれたままで、しかる後可らかの原因で
車両がわずかに移動したときに、駐車歯車１がパ
ーキングポール２に噛み合うようにしている。

なお、マニユアルプレート１７の回動中心０_１
は、ピン２２とパーキングレバー１８の回動中心
０_２との間に位置するとともに、パーキングレバ
ー１８に突設した係合ピン１９はマニユアルプレ
ート１７の回動中心０_１とパーキングレバー１８
の回動中心０_２との間に位置し、マニユアルプレ
ート１７の揺動角をパーキングレバー１８により
拡大して伝達するようにしている。

以上の構成の従来の装置においては、変速レバ
ー１２を第１速位置と後退位置Ｒとの間で操作し
ているときはマニユアルプレート１７のカム溝１
７ａは係合ピン１９に係連しないが、変速レバー
１２が後退位置Ｒより駐車位置Ｐに移行すると、
カム溝１７ａの後端部が係合ピン１９に係連し、
マニユアルプレート１７の動きとともに、係合ピ
ン１９を移動させる。これにより、パーキングレ
バー１８は支持ピン２０を中心として揺動し、ブ
ロツク片２１がスプリング２５を介してカラー２
３に作用してパーキングロツド７を左行させ、ロ
ーラ９により、パーキングポール２のカム面６を
押圧し、パーキングポール２を駐車歯車１に噛み
合わす。

ところが、この従来の装置では、 パーキングロツド７先端のローラホルダ部８
がガイド溝１１に案内されて該ガイド溝１１内
を往復動するようにガイド溝１１の溝側面１１
ｂ，１１ｂとローラホルダ部８の両側面８ａ，
８ａとの間に間隙が存すること、 ローラホルダ部８から離隔したパーキングロ
ツド７の後端付近に、一端部をケーシング４に
回動自在に取付けたパーキングレバー１８の他
端部が係止されていること、 パーキングロツド７がクランク形状をしてい
ること、 駐車歯車１とパーキングポール２との噛合を
解除するのに力が必要であること（駐車歯車１
には回転しようとする力が作用している）、 などの諸点、特に）〜）の点より変速レバ
ー１２を後退位置Ｒから駐車位置Ｐに移行すると
き、パーキングレバー１８に力Ｆが働き、パーキ
ングロツド７の横の長さをｌとすれば（第４図参
照）、パーキングロツド７に回転モーメントFlが
作用する。

その結果、パーキングロツド７が、第５図ａ，
ｂに示すように、ガイド溝１１に対し傾斜した状
態となり、この状態のまま、駐車位置Ｐに保持さ
れることになる。

そのため、変速レバー１２を、駐車位置Ｐから
後退位置Ｒ、ニユートラル位置Ｎ等に移行する場
合、パーキングロツド７にｆ方向（第５図ａ，ｂ
参照）に操作力Ｆが加わると、ローラホルダ部８
の先端部、肩部がガイド溝１１の溝側面１１ｂ，
１１ｂに接触し、これにより、この接触部分に摩
擦力が生じ、パーキングロツド７がさらに傾斜角
度が大きくなるように傾斜する。つまり、パーキ
ングロツド７のローラホルダ部８がガイド溝１１
に対し、いわゆる〓こじれ作用〓を呈するもので
ある。

これにより、パーキングロツド７をｆ方向に移
行させる力、すなわち変速レバー１２の操作力Ｆ
が重くなるという不具合が生じる。

本考案は、かかる点に鑑みてなされたもので、
パーキングロツドのローラホルダ部を、駐車位置
において支持する突出部をガイド溝に設けること
により、変速レバーが駐車位置にある場合、ガイ
ド溝に対するローラホルダ部（パーキングロツ
ド）の傾きを略零として、上記不具合を解消した
駐車歯車固定装置を提供することを主目的とす
る。

以下、本考案の構成を、実施例につき、図面
（第６図、第７図）に沿つて説明する。なお、従
来例と全体構成は略同様であるから、同一部分の
説明を省略し、要部についてのみ説明する。

第６図に示すように、ガイド部材３１のガイド
溝３２における溝側面３２ａ，３２ａのケーシン
グ４側に突出部３２ｂ，３２ｂが対向して突設さ
れている。そして、該突出部３２ｂ，３２ｂは、
変速レバー１２が駐車位置Ｐすなわちローラ９が
パーキングポール２を押圧する位置になつたと
き、パーキングロツド７のローラホルダ部８が、
ガイド溝３２の溝側面３２ａ，３２ａに当接せ
ず、しかもローラホルダ部８の両側面８ａ，８ａ
がガイド溝３２の溝側面３２ａ，３２ａと略平行
になるように、ローラの両側面８ａ，８ａに密接
して該ローラホルダ部８を支持する一方、ローラ
９がパーキングポール２を押圧しない位置ではロ
ーラホルダ部８の両側面８ａ，８ａとの間に所定
の間隙が存するように構成されている。ガイド部
材３１はその鍔部３１ａがネジ２６にてケーシン
グ４に固定されている。

以上のように構成すれば、ローラホルダ部８の
側面８ａ，８ａと突出部３２ｂ，３２ｂとの間の
間隙が少なくなり、前記側面８ａ，８ａがガイド
溝３２の溝側面３２ａ，３２ａとほぼ平行になる
ので、変速レバー１２を駐車位置Ｐから後退位置
Ｒに移行する際、すなわち、走行運転開始時に、
パーキングロツド７がガイド溝３２の溝側面３２
ａ，３２ａと略平行に移動するため、ローラホル
ダ部８が突出部３２ｂ，３２ｂを通過した後も、
ガイド溝３２の溝側面３２ａ，３２ａに沿つて円
滑に移動する。換言すれば、ローラホルダ部８の
先端部と肩部のみがガイド溝３２の溝側面３２
ａ，３２ａに当接することなく、側面８ａ全体が
当接もしくは全く当接しない状態で移動するの
で、変速レバー１２を小さな操作力で操作でき
る。

また、第６図に示す突出部３２ｂ，３２ｂの他
に、第７図に示すように、ケーシング４とガイド
部材１０との間に、切欠部３３ａの幅がガイド溝
１１の幅より狭く、ローラホルダ部８の幅にほぼ
等しいコ字状のスペーサ部材３３を介設して同様
の働きをさせることもできる（ガイド部材１０は
従来例と同一である）。

さらに、図示していないが、ケーシングが構成
するガイド溝の溝側面に突出部を設けることもで
きる。

本考案は、上記のように、パーキングロツドの
ローラホルダ部の少なくとも１つのローラがパー
キングポールのカム面を押圧した状態において、
該ローラホルダ部を支持する突出部を、前記ロー
ラホルダ部が案内されるガイド溝に設けたため、
変速レバーを、駐車位置から後退位置に移行する
際、前記ローラホルダ部が傾斜して、その先端部
と肩部とがガイド溝側面に押圧されることなく、
前記ローラホルダ部の側面がガイド溝の溝側面に
ほぼ平行な状態で移行できることとなり、変速レ
バーの操作力が軽く、円滑に変速操作が行えると
いう実用上優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図ａ，ｂはそれぞれ従来の駐
車歯車固定装置を示し、第１図は変速レバーが駐
車位置にある駐車歯車固定装置の説明図、第２図
は変速レバーが後退位置にある同説明図、第３図
は第１図におけるＡ矢視図、第４図は第１図にお
けるＢ矢視図、第５図ａ，ｂはそれぞれガイド溝
とローラホルダ部との関係を示す説明図、第６図
および第７図はそれぞれ本考案の実施態様を例示
するもので、第６図はガイド溝とローラホルダ部
との関係を示す要部説明図、第７図は他の実施例
の同要部説明図である。 １……駐車歯車、２……パーキングポール、３
……支持ピン、４……ケーシング、５……リター
ンスプリング、６……カム面、６ａ……第１平坦
面、６ｂ……傾斜面、６ｃ……第２平坦面、７…
…パーキングロツド、８……ローラホルダ部、８
ａ……側面、９……ローラ、１０……ガイド部
材、１０ａ……鍔部、１１……ガイド溝、１１ａ
……溝底面、１１ｂ……溝側面、１２……変速レ
バー、１３……カウンタ、１４……リンク機構、
１５……セレクトレバー、１６……マニユアルバ
ルブシヤフト、１７……マニユアルプレート、１
７ａ……カム溝、１８……パーキングレバー、１
９……係合ピン、２０……支持ピン、２１……ブ
ロツク片、２２……ピン、２３……カラー、２４
……フランジ、２５……スプリング、２６……ネ
ジ、３１……ガイド部材、３１ａ……鍔部、３２
……ガイド溝、３２ａ……溝側面、３２ｂ……突
出部、３３……スペーサ部材、３３ａ……切欠
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 変速レバーを駐車位置にしてパーキングポール
   を、自動変速機の出力軸と一体的に設けた駐車歯
   車に噛み合せて該出力軸の回転を阻止する装置に
   おいて、先端にローラホルダ部が形成され、該ロ
   ーラホルダ部に少なくとも１つのローラが回転自
   在に軸支され、該ローラの少なくとも１つを介し
   て駐車時に前記パーキグポールに設けられたカム
   面を押圧するクランク形状のパーキングロツド
   と、断面Ｕ字状で、内周面に形成されるガイド溝
   に前記ローラの少なくとも１つが転動する溝底面
   を設けたガイド部材と、一端が前記パーキングロ
   ツドの後端近傍に係止されるとともに、他端がケ
   ーシングに回転自在に枢支され、前記変速レバー
   と連動して揺動するパーキングレバーとが設けら
   れ、前記ガイド部材のガイド溝側面は、前記ロー
   ラがパーキングポールを押圧しない位置ではホル
   ダ部側面との間に所定の間隙が設けられており、
   前記ローラがパーキングポールを押圧する位置で
   はホルダ部側面に密接してホルダ部を支持する突
   出部が設けられていることを特徴とする駐車歯車
   固定装置。