JPS6123298B2 - - Google Patents
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- JPS6123298B2 JPS6123298B2 JP53044748A JP4474878A JPS6123298B2 JP S6123298 B2 JPS6123298 B2 JP S6123298B2 JP 53044748 A JP53044748 A JP 53044748A JP 4474878 A JP4474878 A JP 4474878A JP S6123298 B2 JPS6123298 B2 JP S6123298B2
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Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
- Woven Fabrics (AREA)
Description
本発明はしぼ織物、更に詳しくは強撚(緯糸)
しぼ織物の製造に際して、経糸として単繊維デニ
ールが極めて小さくしかも特殊な内部構造を有す
るポリエステルフイラメント糸を用いた織物を温
湯によりしぼ出しすることより成る、しぼ織物の
製造法に関する。 熱可塑性フイラメント糸の強撚糸を用いて、し
ぼ織物を得る場合、先ず前記フイラメント糸に糊
付処理を施してから強撚し、この強撚を一時的に
固定した状態で、製織工程に付するのが普通であ
る。かくして得られる織物は湯温中で強振作用を
受けることにより、しぼが発現するがこのしぼの
発現状態こそ最終製品(乾燥、巾出しセツト後)
の品質に多大なる影響を与えることは斯界におい
て、周く知られている所である。 元々、しぼの発現は主としてしぼ出し工程での
強撚糸の解撚モーメントの強弱に左右され、解撚
モーメントが大きくなればなる程しぼの発現換言
すれば巾入り率が大きくなる。しかしながら、斯
かる解撚モーメントの大きい強撚糸にあつてはビ
リ、スナールの頻繁な発生を伴い、糸取扱い性が
悪く製織性の点で種々の問題を残している。そし
て、通常の製織時の許容し得る解撚モーメントは
一般に高々100回/50cm好ましくは50回/50cmと
されているが、このようなトルクの糸は織物組織
による拘束された状態下においては満足すべきし
ぼ量が得られないばかりかしぼ斑さえも誘発さ
れ、所望のしぼ織物は到底望むべくもないのであ
る。 斯かる従来の欠点を克服せんとして、強撚され
る原糸の面から改良を加えた技術は種々提案され
ており、例えば特公昭51−23619号公報では、前
記の原糸として、3の比重を1.390以上としたも
のを糊付、強撚することを教えている。この方法
によれば確かにしぼの良好な発現という点に関す
る限り、或る程度の改良が為されるがそれでも時
としてはしぼ斑が不可避的に発生することが判明
したものである。この理由としては強撚糸(通常
緯糸として使用される)は経糸との間に高度の拘
束状態下に置かれており、この拘束力を上回る解
撚モーメントを平均して発生させることとが極め
て困難であるものと推察されるのである。 本発明者等は上述の如き事情に鑑み、強撚糸の
解撚モーメントを平均的に発生させることによ
り、しぼ斑がなくしても充分なしぼが発現したし
ぼ織物を提供せんとして鋭意研究した結果、しぼ
発現には強撚糸の解撚トルクのみならず、経糸性
状特にモジユラス、構造特性と関連した、経糸の
柔軟性が多いに寄与していることを究明し、本発
明に到達したのである。 即ち、本発明は緯糸が1800回/m以上の強撚
糸、経糸が任意の撚数のマルチフイラメント糸で
構成され、その際、前記経糸として下記特性(イ)〜
(ハ)を有する結晶性ポリエステルマルチフイラメン
ト糸を用いた織物をリラツクス熱処理することに
よりしぼ出しすることを特徴とするしぼ織物の製
造法である。 〔イ〕 単繊維デニール(de)≦0.9 〔ロ〕 フイラメント糸の沸水収縮率 (BWS)≦10% 〔ハ〕 フイラメントの非晶部配向度〔f
(a)〕 70%≧f(a)≧30% 但しf(a)は次式により求めた値とする。 f(a)=△n−0.212fcχρ/0.195(
1−χρ) ここで△nは偏光顕微鏡を用いてセナル
モ法により測定した複屈析率 fcはX線解折法により求めた結晶
配向度 χρは密度法により求めた結晶化度 である。 更に、これについて述べると、本発明は強撚糸
たる緯糸を織物組織上拘束する経糸として、特殊
なポリエステル糸マルチフイラメント糸を用いる
ことにより、拘束状態にある緯糸の自由度(すな
わちリラツクス時の緯糸の動き易さ)を可及的に
向上させ良好なしぼを発現させるという技術思想
に基くものである。そして、前記特殊なポリエス
テル系マルチフイラメント糸とは結晶性(即ちX
線広角回析法により繊維図形を明瞭に示す)であ
りながら従来のものとはその内部構造特にフイラ
メント非晶部の配向度f(a)が30〜70%(好ましく
は40%〜65%)の値をとり、しかも沸水収縮率が
高々10%以下(好ましくは8.0%以下)にして、
構成単繊維デニール(de)が0.9de以下(好まし
くは0.6de以下)であるようなものを指称する。
このような糸の特徴としては見掛上或は力学的物
性においては従来の結晶性フイラメント糸(延伸
糸)とほぼ同等の性状を示しつつも30%〜70%と
いうf(a)によつて特徴づけられる内部構造に起因
して、撚糸自身が極めて柔軟であることが挙げら
れる。唯このf(a)が30%未満となるとフイラメン
ト自身物性面で実用性を失することになる。一
方、f(a)が70%を越えると柔軟性が徐々に低下し
始め本発明の目的に合致しなくなる。因みに、従
来経糸として使用されてきたポリエステル延伸糸
のf(a)は少くとも75%以上である。)しかも、こ
の特徴は最大限に発揮させるには単繊維デニール
が0.9de以下であることが不可欠である。これは
形態的な面からみて、同一デニールのマルチフイ
ラメント糸であつても、単繊維デニールが少くな
る程、糸条全体としての曲げ剛性が低くなること
を利用して、緯糸の自由度を向上させるようとす
るものである。 この曲げ剛性の低下については、以下の如く説
明することができる。 直径がDで示されるモノフイラメント及びn本
のフイラメントより成り(単繊維の直径をdとす
る)トータルデニールは前記モノフイラメントの
太さに等しいマルチフイラメントの曲げ剛性
(EI)は夫々、次のように表すことができる。
(ここでモノフイラメントとマルチフイラメント
は同じヤング率Eをもつているとする。) () モノフイラメントの曲げ剛性 EI(M)=Eπ/64D4 () マルチフイラメント糸の曲げ剛性 nEI(F)=n・Eπ/64d4 また、両者のデニールが同じであることからD
とdとの間には以下の関係が成立する。 () D√・d そこで、両者のフイラメントの曲げ剛性を比較す
ると EI(M)/n・EI(F)=D4/nd4=n2
d4/nd4=n となり、結局マルチフイラメント糸の曲げ剛性は
同じ太さのモノフイラメントの1/nに相当するこ
とになる。 因みに、従来の経糸においては通常単繊維デニ
ールが1.5〜2.5程度であるマルチフイラメント糸
が使用されていたが、本発明ではこれらを0.9de
以下として用いるので剛性率の面からみても、従
来の糸の3/5以下の柔軟性を得ることができる。 以上のことからして、本発明は経糸として用い
るフイラメント糸条の構造的柔軟性を相俟つてこ
れに形態的(太さ)要因を相乗的に利用したもの
と言うことができるが、更に付加的要素として糸
条自身が過度の沸水収縮率を示さないことも必要
である。沸水収縮率が高い場合、布帛のリラツク
ス処理時に経糸が緯糸をより強く締め付ける結果
となるからである。この意味からフイラメント糸
の沸水収縮率は高々8%程度に抑えることが適当
である。 本発明において、経糸として使用する特殊なポ
リエステルマルチフイラメント糸条は例えばポリ
マーを口金より溶融吐出しドラフト率200〜700
(好ましくは300〜500)、紡糸速度3000〜5000m/
min(好ましくは3300〜4500m/minで紡糸して単
繊維デニールが0.9de以下のフイラメント糸を
得、これを定長下又は20%以下の伸長を与えつつ
100℃以上、融点以下(好ましくは140〜240℃)
の温度で0.01〜0.05秒程度熱処理することによつ
て得ることができる。この場合、口金の孔径は
0.1〜0.2mm撚糸(溶融)温度は290〜305℃が適当
で、吐出された糸条は横吹きの冷却風によつて冷
却固化される。また、上記の緊張熱処理時には工
程安定性の面から逆テーパーロール又は段付きロ
ールを使用するのが適当である。 ここで、“ポリエステル”とは、エチレンテレ
フタレート単位を主たる繰返し単位とするポリエ
ステルを指称し、主たる対象はポリエチレンテレ
フタレートであるが、その機能、性質を実質的に
損わない限り、通常15モル%以下で第3成分を共
重合したものであつてもよいし、更には種々の改
質剤、添加剤をブレンド、重合添加したものであ
つてもよい。 このようにして得られる結晶性ポリエステルマ
ルチフイラメント糸は通常のしぼ織物の製造に準
じて、経糸として供される。かかる経糸の撚数と
しては織物の種類、設計条件に応じて無撚状態か
ら強撚状態まで任意の撚数が採用できることは言
うまでもないが、高々500回/mの範囲であれば
更に好ましいしぼが得られる。 一方、緯糸としてはその素材、太さ、単繊維デ
ニール等には何等制限なく、従来使用されている
ものをそのまま供すればよい。素材にしても通常
のポリエステル或いは第3成分を添加した改質ポ
リエステルまで広く使用することができる。唯、
究極の目的がしぼ織物にあることから、緯糸に付
与する撚数だけは従来同様1800回/m以上好まし
くは2000回/m以上にすることが必要であり、こ
れにより本来しぼ発現に必要な解撚モーメントが
惹起される。しぼ発現処理に当つてはロータリー
ワツシヤー、或いはスチーム、ジエツト流による
処理等が採用でき、処理液としては90℃〜130℃
の熱水、精練浴、染色液等が利用される。 以上の如く、本発明は、緯糸として強撚糸を用
いた織物においてリラツクス処理時のしぼの均一
且つ高度の発現性を従来の概念とは全く異つた経
糸の物性形態改良という手段を通じて実現したも
のである。従つて、本発明によれば強撚糸である
限り如何なる素材のものを用いても対経糸との関
係における自由度は一段と向上する利点があり、
しぼ織物としての銘柄拡大に極めて有用である。
しかも経糸の単繊維デニールが小さいことはしぼ
発現の容易性のみならず、織物自身の風合特に柔
軟なしぼ織物にもつながることになる。しかも、
この経糸紡糸時、口金の孔を互いに異る断面で構
成して、異形混合糸という形で用いることにより
より付加価値の高いしぼ織物を提供することもで
きる。 実施例 1 〔〕 経糸として用いる結晶性ポリエステルフ
イラメント糸の製造 35℃のO―クロールフエノール溶液で測定した
極限粘度〔η〕が0.61のポリエチレンテレフタレ
ートチツプを孔数112ホールの紡糸口金を通して
298℃で溶融吐出し(ドラフト率430)吐出糸条を
紡糸筒内で吐出糸条を横切るように吹出す冷却風
によつて冷却固化したのち、オイリングローラー
により油剤を付与し、次いで一対のゴデツトロー
ラーで引取り、更に一対のネルソンローラー(緊
張率1.003、160℃に加熱)に5回巻きつけて0.03
秒熱処理してからインターレース処理に続き3400
m/minの捲取速度で捲取る。 かくして得たフイラメント糸50de/112fiの
主な物性を表―1に掲げる。 表 ― 1 単繊維デニール 0.45de f(a) 50% 沸水収縮率 7.1% 一次降伏強度 2.1g/de ヤング率 9.30Kg/mm2 〔〕 織物の製造 経糸……〔〕項で得た結晶性ポリエステ
ルフイラメント糸にS300回/m
に加撚 緯糸……普通ポリエステル延伸糸75de/
24fiを2400回/m(S,Z)に
加撚し、85℃で30min固定したも
の 経糸密度 63本/cm 緯糸密度 34本/cm (S,Z加撚糸を2本交互配列) 織布 113cm 〔〕しぼ発現処理 〔〕で得た生機を市販のロータリワツシヤー
にて、97℃の精練浴に浸漬しつつ30分間強振しぼ
立てを行う。 一方、比較のため、上記例において緯糸として
市販のポリエステル延伸糸50de/24fi(f(a)=
77.1%、沸水収縮率7.4%)を用いる以外、同様
にしてしぼ織物を得る。これら両者の例について
しぼ発現量(巾入り率)及び乾燥巾出しセツト後
のしぼ斑について比較した所、表―に示す如く
であつた。
しぼ織物の製造に際して、経糸として単繊維デニ
ールが極めて小さくしかも特殊な内部構造を有す
るポリエステルフイラメント糸を用いた織物を温
湯によりしぼ出しすることより成る、しぼ織物の
製造法に関する。 熱可塑性フイラメント糸の強撚糸を用いて、し
ぼ織物を得る場合、先ず前記フイラメント糸に糊
付処理を施してから強撚し、この強撚を一時的に
固定した状態で、製織工程に付するのが普通であ
る。かくして得られる織物は湯温中で強振作用を
受けることにより、しぼが発現するがこのしぼの
発現状態こそ最終製品(乾燥、巾出しセツト後)
の品質に多大なる影響を与えることは斯界におい
て、周く知られている所である。 元々、しぼの発現は主としてしぼ出し工程での
強撚糸の解撚モーメントの強弱に左右され、解撚
モーメントが大きくなればなる程しぼの発現換言
すれば巾入り率が大きくなる。しかしながら、斯
かる解撚モーメントの大きい強撚糸にあつてはビ
リ、スナールの頻繁な発生を伴い、糸取扱い性が
悪く製織性の点で種々の問題を残している。そし
て、通常の製織時の許容し得る解撚モーメントは
一般に高々100回/50cm好ましくは50回/50cmと
されているが、このようなトルクの糸は織物組織
による拘束された状態下においては満足すべきし
ぼ量が得られないばかりかしぼ斑さえも誘発さ
れ、所望のしぼ織物は到底望むべくもないのであ
る。 斯かる従来の欠点を克服せんとして、強撚され
る原糸の面から改良を加えた技術は種々提案され
ており、例えば特公昭51−23619号公報では、前
記の原糸として、3の比重を1.390以上としたも
のを糊付、強撚することを教えている。この方法
によれば確かにしぼの良好な発現という点に関す
る限り、或る程度の改良が為されるがそれでも時
としてはしぼ斑が不可避的に発生することが判明
したものである。この理由としては強撚糸(通常
緯糸として使用される)は経糸との間に高度の拘
束状態下に置かれており、この拘束力を上回る解
撚モーメントを平均して発生させることとが極め
て困難であるものと推察されるのである。 本発明者等は上述の如き事情に鑑み、強撚糸の
解撚モーメントを平均的に発生させることによ
り、しぼ斑がなくしても充分なしぼが発現したし
ぼ織物を提供せんとして鋭意研究した結果、しぼ
発現には強撚糸の解撚トルクのみならず、経糸性
状特にモジユラス、構造特性と関連した、経糸の
柔軟性が多いに寄与していることを究明し、本発
明に到達したのである。 即ち、本発明は緯糸が1800回/m以上の強撚
糸、経糸が任意の撚数のマルチフイラメント糸で
構成され、その際、前記経糸として下記特性(イ)〜
(ハ)を有する結晶性ポリエステルマルチフイラメン
ト糸を用いた織物をリラツクス熱処理することに
よりしぼ出しすることを特徴とするしぼ織物の製
造法である。 〔イ〕 単繊維デニール(de)≦0.9 〔ロ〕 フイラメント糸の沸水収縮率 (BWS)≦10% 〔ハ〕 フイラメントの非晶部配向度〔f
(a)〕 70%≧f(a)≧30% 但しf(a)は次式により求めた値とする。 f(a)=△n−0.212fcχρ/0.195(
1−χρ) ここで△nは偏光顕微鏡を用いてセナル
モ法により測定した複屈析率 fcはX線解折法により求めた結晶
配向度 χρは密度法により求めた結晶化度 である。 更に、これについて述べると、本発明は強撚糸
たる緯糸を織物組織上拘束する経糸として、特殊
なポリエステル糸マルチフイラメント糸を用いる
ことにより、拘束状態にある緯糸の自由度(すな
わちリラツクス時の緯糸の動き易さ)を可及的に
向上させ良好なしぼを発現させるという技術思想
に基くものである。そして、前記特殊なポリエス
テル系マルチフイラメント糸とは結晶性(即ちX
線広角回析法により繊維図形を明瞭に示す)であ
りながら従来のものとはその内部構造特にフイラ
メント非晶部の配向度f(a)が30〜70%(好ましく
は40%〜65%)の値をとり、しかも沸水収縮率が
高々10%以下(好ましくは8.0%以下)にして、
構成単繊維デニール(de)が0.9de以下(好まし
くは0.6de以下)であるようなものを指称する。
このような糸の特徴としては見掛上或は力学的物
性においては従来の結晶性フイラメント糸(延伸
糸)とほぼ同等の性状を示しつつも30%〜70%と
いうf(a)によつて特徴づけられる内部構造に起因
して、撚糸自身が極めて柔軟であることが挙げら
れる。唯このf(a)が30%未満となるとフイラメン
ト自身物性面で実用性を失することになる。一
方、f(a)が70%を越えると柔軟性が徐々に低下し
始め本発明の目的に合致しなくなる。因みに、従
来経糸として使用されてきたポリエステル延伸糸
のf(a)は少くとも75%以上である。)しかも、こ
の特徴は最大限に発揮させるには単繊維デニール
が0.9de以下であることが不可欠である。これは
形態的な面からみて、同一デニールのマルチフイ
ラメント糸であつても、単繊維デニールが少くな
る程、糸条全体としての曲げ剛性が低くなること
を利用して、緯糸の自由度を向上させるようとす
るものである。 この曲げ剛性の低下については、以下の如く説
明することができる。 直径がDで示されるモノフイラメント及びn本
のフイラメントより成り(単繊維の直径をdとす
る)トータルデニールは前記モノフイラメントの
太さに等しいマルチフイラメントの曲げ剛性
(EI)は夫々、次のように表すことができる。
(ここでモノフイラメントとマルチフイラメント
は同じヤング率Eをもつているとする。) () モノフイラメントの曲げ剛性 EI(M)=Eπ/64D4 () マルチフイラメント糸の曲げ剛性 nEI(F)=n・Eπ/64d4 また、両者のデニールが同じであることからD
とdとの間には以下の関係が成立する。 () D√・d そこで、両者のフイラメントの曲げ剛性を比較す
ると EI(M)/n・EI(F)=D4/nd4=n2
d4/nd4=n となり、結局マルチフイラメント糸の曲げ剛性は
同じ太さのモノフイラメントの1/nに相当するこ
とになる。 因みに、従来の経糸においては通常単繊維デニ
ールが1.5〜2.5程度であるマルチフイラメント糸
が使用されていたが、本発明ではこれらを0.9de
以下として用いるので剛性率の面からみても、従
来の糸の3/5以下の柔軟性を得ることができる。 以上のことからして、本発明は経糸として用い
るフイラメント糸条の構造的柔軟性を相俟つてこ
れに形態的(太さ)要因を相乗的に利用したもの
と言うことができるが、更に付加的要素として糸
条自身が過度の沸水収縮率を示さないことも必要
である。沸水収縮率が高い場合、布帛のリラツク
ス処理時に経糸が緯糸をより強く締め付ける結果
となるからである。この意味からフイラメント糸
の沸水収縮率は高々8%程度に抑えることが適当
である。 本発明において、経糸として使用する特殊なポ
リエステルマルチフイラメント糸条は例えばポリ
マーを口金より溶融吐出しドラフト率200〜700
(好ましくは300〜500)、紡糸速度3000〜5000m/
min(好ましくは3300〜4500m/minで紡糸して単
繊維デニールが0.9de以下のフイラメント糸を
得、これを定長下又は20%以下の伸長を与えつつ
100℃以上、融点以下(好ましくは140〜240℃)
の温度で0.01〜0.05秒程度熱処理することによつ
て得ることができる。この場合、口金の孔径は
0.1〜0.2mm撚糸(溶融)温度は290〜305℃が適当
で、吐出された糸条は横吹きの冷却風によつて冷
却固化される。また、上記の緊張熱処理時には工
程安定性の面から逆テーパーロール又は段付きロ
ールを使用するのが適当である。 ここで、“ポリエステル”とは、エチレンテレ
フタレート単位を主たる繰返し単位とするポリエ
ステルを指称し、主たる対象はポリエチレンテレ
フタレートであるが、その機能、性質を実質的に
損わない限り、通常15モル%以下で第3成分を共
重合したものであつてもよいし、更には種々の改
質剤、添加剤をブレンド、重合添加したものであ
つてもよい。 このようにして得られる結晶性ポリエステルマ
ルチフイラメント糸は通常のしぼ織物の製造に準
じて、経糸として供される。かかる経糸の撚数と
しては織物の種類、設計条件に応じて無撚状態か
ら強撚状態まで任意の撚数が採用できることは言
うまでもないが、高々500回/mの範囲であれば
更に好ましいしぼが得られる。 一方、緯糸としてはその素材、太さ、単繊維デ
ニール等には何等制限なく、従来使用されている
ものをそのまま供すればよい。素材にしても通常
のポリエステル或いは第3成分を添加した改質ポ
リエステルまで広く使用することができる。唯、
究極の目的がしぼ織物にあることから、緯糸に付
与する撚数だけは従来同様1800回/m以上好まし
くは2000回/m以上にすることが必要であり、こ
れにより本来しぼ発現に必要な解撚モーメントが
惹起される。しぼ発現処理に当つてはロータリー
ワツシヤー、或いはスチーム、ジエツト流による
処理等が採用でき、処理液としては90℃〜130℃
の熱水、精練浴、染色液等が利用される。 以上の如く、本発明は、緯糸として強撚糸を用
いた織物においてリラツクス処理時のしぼの均一
且つ高度の発現性を従来の概念とは全く異つた経
糸の物性形態改良という手段を通じて実現したも
のである。従つて、本発明によれば強撚糸である
限り如何なる素材のものを用いても対経糸との関
係における自由度は一段と向上する利点があり、
しぼ織物としての銘柄拡大に極めて有用である。
しかも経糸の単繊維デニールが小さいことはしぼ
発現の容易性のみならず、織物自身の風合特に柔
軟なしぼ織物にもつながることになる。しかも、
この経糸紡糸時、口金の孔を互いに異る断面で構
成して、異形混合糸という形で用いることにより
より付加価値の高いしぼ織物を提供することもで
きる。 実施例 1 〔〕 経糸として用いる結晶性ポリエステルフ
イラメント糸の製造 35℃のO―クロールフエノール溶液で測定した
極限粘度〔η〕が0.61のポリエチレンテレフタレ
ートチツプを孔数112ホールの紡糸口金を通して
298℃で溶融吐出し(ドラフト率430)吐出糸条を
紡糸筒内で吐出糸条を横切るように吹出す冷却風
によつて冷却固化したのち、オイリングローラー
により油剤を付与し、次いで一対のゴデツトロー
ラーで引取り、更に一対のネルソンローラー(緊
張率1.003、160℃に加熱)に5回巻きつけて0.03
秒熱処理してからインターレース処理に続き3400
m/minの捲取速度で捲取る。 かくして得たフイラメント糸50de/112fiの
主な物性を表―1に掲げる。 表 ― 1 単繊維デニール 0.45de f(a) 50% 沸水収縮率 7.1% 一次降伏強度 2.1g/de ヤング率 9.30Kg/mm2 〔〕 織物の製造 経糸……〔〕項で得た結晶性ポリエステ
ルフイラメント糸にS300回/m
に加撚 緯糸……普通ポリエステル延伸糸75de/
24fiを2400回/m(S,Z)に
加撚し、85℃で30min固定したも
の 経糸密度 63本/cm 緯糸密度 34本/cm (S,Z加撚糸を2本交互配列) 織布 113cm 〔〕しぼ発現処理 〔〕で得た生機を市販のロータリワツシヤー
にて、97℃の精練浴に浸漬しつつ30分間強振しぼ
立てを行う。 一方、比較のため、上記例において緯糸として
市販のポリエステル延伸糸50de/24fi(f(a)=
77.1%、沸水収縮率7.4%)を用いる以外、同様
にしてしぼ織物を得る。これら両者の例について
しぼ発現量(巾入り率)及び乾燥巾出しセツト後
のしぼ斑について比較した所、表―に示す如く
であつた。
【表】
巾入り率はしぼ発現に伴う生機の緯方向の
収縮量を示す尺度として用いられ、この値が
大きい程しぼ発現が良好であることを示す。 巾入り率 =織巾−しぼ発現処理後の緯巾/織巾×100(%) 実施例 2 実施例1の原糸製造時、ネルソンローラーへの
糸の捲付数を変え、熱処理時間を変化させf(a)及
びBWSの異るフイラメント糸を得、これらを
夫々、経糸として実施例1と同様に用いてしぼ織
物を得た。巾入り率、しぼ斑について表―に示
す。
収縮量を示す尺度として用いられ、この値が
大きい程しぼ発現が良好であることを示す。 巾入り率 =織巾−しぼ発現処理後の緯巾/織巾×100(%) 実施例 2 実施例1の原糸製造時、ネルソンローラーへの
糸の捲付数を変え、熱処理時間を変化させf(a)及
びBWSの異るフイラメント糸を得、これらを
夫々、経糸として実施例1と同様に用いてしぼ織
物を得た。巾入り率、しぼ斑について表―に示
す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 緯糸が1800回/m以上の強撚糸、経糸が任意
の撚数のマルチフイラメント糸で構成され、その
際前記経糸として下記特性(イ)〜(ハ)を有する結晶性
ポリエステルマルチフイラメント糸を用いた織物
をリラツクス熱処理することによりしぼ出しする
ことを特徴とするしぼ織物の製造法。 〔イ〕単繊維デニール(de)≦0.9 〔ロ〕フイラメント糸の沸水収縮率 (BWS)≦10% 〔ハ〕フイラメントの非晶部配向度〔f(a)〕 70%≧f(a)≧30% 但しf(a)は次式により求めた値とする。 f(a)=△n−0.212fcχρ/0.19
5(1−χρ) ここで△nは偏光顕微鏡を用いてセナルモ法
により測定した複屈析率 fcはX線回折法により求めた結晶配向度 χρは密度法により求めた結晶化度である。 2 経糸が500回/m以下に撚糸されたマルチフ
イラメントである特許請求の範囲第1項記載のし
ぼ織物の製造法。 3 経糸の沸水収縮率が8%以下である特許請求
の範囲第1項記載のしぼ織物の製造法。 4 経糸が、少くとも40本のフイラメントで構成
され、且つ単繊維デニールが0.6以下であるマル
チフイラメント糸である特許請求の範囲第1項記
載のしぼ織物の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4474878A JPS54138659A (en) | 1978-04-18 | 1978-04-18 | Production of crepe fabric |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4474878A JPS54138659A (en) | 1978-04-18 | 1978-04-18 | Production of crepe fabric |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS54138659A JPS54138659A (en) | 1979-10-27 |
JPS6123298B2 true JPS6123298B2 (ja) | 1986-06-05 |
Family
ID=12700060
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4474878A Granted JPS54138659A (en) | 1978-04-18 | 1978-04-18 | Production of crepe fabric |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS54138659A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57121642A (en) * | 1981-01-22 | 1982-07-29 | Teijin Ltd | Production of polyester creped fabric |
JPS57210037A (en) * | 1981-06-16 | 1982-12-23 | Teijin Ltd | Production of polyester creped fabric |
JPS5966538A (ja) * | 1982-10-01 | 1984-04-16 | 旭化成株式会社 | 高シボ強撚糸織物の製造方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5172676A (ja) * | 1974-12-19 | 1976-06-23 | Asahi Chemical Ind | |
JPS5182020A (en) * | 1975-01-13 | 1976-07-19 | Teijin Ltd | Horiesuterusenino seizohoho |
JPS5188723A (en) * | 1975-01-27 | 1976-08-03 | Horiesuterusenino seizoho |
-
1978
- 1978-04-18 JP JP4474878A patent/JPS54138659A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5172676A (ja) * | 1974-12-19 | 1976-06-23 | Asahi Chemical Ind | |
JPS5182020A (en) * | 1975-01-13 | 1976-07-19 | Teijin Ltd | Horiesuterusenino seizohoho |
JPS5188723A (en) * | 1975-01-27 | 1976-08-03 | Horiesuterusenino seizoho |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS54138659A (en) | 1979-10-27 |
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