JPS6116929Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、市販の隅肉溶接機に、母材に隅肉
溶接される部材のフランジ部に当接しこれをガイ
ドとするならいローラを備え、オールポジシヨン
の隅肉溶接を安定して行なえるようにした隅肉溶
接装置に関する。

つぎにこの考案を、その実施例を示した図面と
もに詳細に説明する。

まず、１実施例を示した第１図ないし第４図に
ついて説明する。

これらの図面において、１は水平の母材、２は
母材１の上面に直交して隅肉溶接される前後方向
に長い長尺の断面逆Ｌ字形の垂直部材であり、垂
直部材２の上部に右方へ折曲したフランジ部３を
有する。

４は母材１の上面の垂直部材２の左方に設けら
れた市販の自動隅肉溶接機の走行台車、５は走行
台車４の２個の駆動輪であり、該駆動輪５の一部
が垂直部材２の左側面に当接し、駆動輪５が回転
することにより、走行台車４が垂直部材２に沿つ
て走行するようになつている。６は走行台車４の
前後両側にそれぞれ取り付けられたセツトプレー
ト、７は両セツトプレート６のそれぞれの上部外
側面に固定された左右方向の円筒状のシリンダ、
８は両シリンダ７の側壁に左右方向に透設された
スライド溝であり、スライド溝８の右端部に該ス
ライド溝８に連通する退避溝９が形成されてい
る。１０は両シリンダ７にそれぞれ挿通され垂直
部材２の長手方向に対し直交する方向、すなわち
左右方向にスライド自在に支持された支持シヤフ
ト、１１は先端のねじ部がスライド溝８を通して
支持シヤフト１０にねじ込まれたレバーであり、
支持シヤフト１０をスライド操作する。１２は支
持シヤフト１０の先端部に螺合された上下方向の
ねじ棒の吊りアームであり、ナツト１３の締着に
より位置固定される。１４は両吊りアーム１２の
下端部にそれぞれ回転自在に支持されたならいロ
ーラであり、それぞれ１対の大円板間に小円板を
設けた滑車状に構成され、両ならいローラ１４が
その大円板間に垂直部材２のフランジ部３を右方
から挿入させて当接し、走行台車４の走行に伴な
い両ならいローラ１４がフランジ部３に当接しな
がら回転し、走行台車４の走行がガイドされ、さ
らに、ならいローラ１４がその大円板間にフラン
ジ部３の端縁を挿入させて係合するため、走行台
車４の落下、脱落が防止される。

１５は両セツトプレート６の支持シヤフト１０
の左方にそれぞれ固定されたＬ字状の固定片、１
６は固定片１５に螺合されたばね止め金具、１７
は支持シヤフト１０の左端とばね止め金具１６と
の間に設けられ支持シヤフト１０を左方へ弾付勢
する引つ張りばねであり、当該ばね１７により支
持シヤフト１０を介してならいローラ１４がそれ
ぞれ左方、かなわちフランジ部３側に引き付けら
れ、フランジ部３のフランジ幅の精度不良に対応
できるようになつており、また、支持シヤフト１
０がスライド溝８に沿つてスライドし、これを引
つ張りばね１７により弾付勢することにより、各
種サイズのフランジ幅に対応できるようになつて
いる。ここで、引つ張りばね１７は露出構造とな
り、その両端が支持シヤフト１０および止め金具
１６に係脱自在になつているが、これはフランジ
部３のフランジ幅が大きく変化する場合にこれに
合つた引つ張りばね１７に取り替え自在にするた
めである。

１８は走行台車４の適所に立設された第１アー
ムであり、その上端に第１ジヨイント１９が回転
自在に設けられている。２０は第１ジヨイント１
９にスライド自在かつ回転自在に支持され第１ア
ーム１８に直交する第２アームであり、垂直部材
２の上面をまたぐように設けられ、第２アーム２
０の先端には円筒状の第２ジヨイント２１が固定
されている。２２は第２ジヨイント２１にスライ
ド自在に支持され第２アーム２０に直交する第３
アーム、２３は第３アーム２２の先端すなわち下
端に支持され母材１と垂直部材２との隅肉溶接を
行なう溶接トーチであり、アーム２０，２２をジ
ヨイント１９，２１に対しスライドし位置調節す
ることにより、溶接トーチ２３のねらい位置の調
節が行なわれる。この各アーム２０，２２のスラ
イドは各種サイズの垂直部材２への対応ともな
る。２４は第２アーム２０の中央部に第３ジヨイ
ント２５を介して支持され第２アーム２０に直交
する補助アームであり、当該アーム２４の下端に
はフランジ部３の上面に当接する補助ローラ２６
が設けられ、溶接トーチ２３を安定に補助する。

したがつて、前記実施例によると、市販の自動
隅肉溶接機に、記号６ないし１７で示す走行制御
部と記号１８ないし２２で示す溶接ホルダ部とを
備えることにより、ならいローラ１４が走行台車
４の反対側から垂直部材２のフランジ部３に当接
しこれがガイドとなるため、走行台車４垂直部材
２に沿つて確実かつ安定にならい走行させること
ができ、しかも、各アーム１８，２０，２２およ
び両ジヨイント１９，２１により溶接トーチ２３
のねらい位置の調整も容易に行なえるため、オー
ルポジシヨンの自動隅肉溶接を可能にすることが
でき、安定した隅肉溶接を実現できるものであ
る。また、ならいローラ１４を支持する支持シヤ
フト１０がスライド自在となり、これを引つ張り
ばね１７により弾付勢できるため、フランジ幅の
精度不良時においてもこれを吸収し安定走行が行
なえるのみならず、各種サイズのフランジ幅に対
応できるものであり、さらに、レバー１１により
支持シヤフト１０をスライド操作し、このレバー
１１を退避溝９に位置させることにより、ならい
ローラ１４をフランジ部３から容易に外すことが
できるため、溶接機のセツトオン、セツトオフが
極めて容易かつ安全に行なえ、取り扱いを向上で
きるものである。

なお、前記実施例では、母材１と垂直部材２と
右側の隅肉溶接について説明したが、左側、すな
わち走向台車４側の隅肉溶接を行なう場合は、第
１ジヨイント１９を第１アーム１８に対し90゜回
転させるとともに、第２アーム２０を第１ジヨイ
ント１９において所定角度回転させ、さらに、第
３アーム２２を第２ジヨイント２１に対してスラ
イド調節すれば、溶接トーチ２３が垂直部材２の
左側に立置し、その隅肉溶接が実現できるもので
ある。

つぎに、他の実施例を示した第５図について説
明する。

第５図は鉛直方向の母材１′に水平部材２′を隅
肉溶接する場合を示し、この場合、水平部材２′
の上方へのフランジ部３′の上面にならいローラ
１４を位置させるとともに、支持シヤフト１０に
対する吊りアーム１２の位置を調節し、ならいロ
ーラ１４をフランジ部３′の右側面に当接しこれ
をガイドさせるようにする。

したがつて、このような姿勢における隅肉溶接
においても、ならいローラ１４をフランジ部３′
の右側面をガイドレールとして走行させることが
できるため、走行台車４の安定した走行を得るこ
とができ、オールポジシヨンの隅肉溶接が実現で
きるものである。

なお、前記では断面Ｌ形の垂直部材２、水平部
材２′の隅肉溶接について説明したが、この部材
が等辺山形鋼、不等辺山形溝、溝形鋼、Ｔ形鋼等
の形鋼あるいはＴ形、L3形、L2形等のビルトア
ツプロンジ材であつても同様に行なうことがで
き、それぞれのフランジ部にならいローラ１４を
走行させるようにすればよい。

以上のように、この考案の隅肉溶接装置による
と、母材に隅肉溶接される長尺の部材の側面上を
転動する駆動輪を有し該部材に沿つて走行する走
行台車と、前記走行台車の前後両側に前記部材の
長手方向に対し直交する方向にスライド自在に支
持されたシヤフトと、前記両シヤフトの先端にそ
れぞれ吊りアームを介して回転自在に設けられ前
記部材のフランジ部の端縁に前記走行台車の反対
側から当接しかつ係合する滑車状のならいローラ
と、前記シヤフトを前記部材の側面方向に付勢す
るばねと、前記走行台車に立設された第１アーム
と、前記第１アームの先端に回転自在に支持され
該第１アームに直交する第２アームと、前記第２
アームの先端に該第２アームに直交して支持され
た第３アームと、前記第３アームの先端に支持さ
れ前記母材と前記部材との隅肉溶接を行なう溶接
トーチとを備えたことにより、走行台車の駆動輪
とならいローラとで部材を挾持するとともに、な
らいローラにより走行台車を支持してその落下、
脱落等を防止し、走行台車を部材に沿つて安定か
つ確実にならい走行させることができ、第１〜第
３アームにより溶接トーチのねらい位置の調整も
容易となり、市販の隅肉溶接機を用いてオールポ
ジシヨンの隅肉溶接を実現できるものであり、し
かも、走行台車が部材に支持されながら部材に沿
つて走行するため、母材に対して部材が直交する
場合に限らず、部材が母材に対して０〜180゜以
内の交差角を有する場合の隅肉溶接に適用できる
ものである。さらに、ならいローラを支持するシ
ヤフトがスライド自在となり、これをばねにより
弾付勢できるため、フランジ幅の精度不良時にお
いてもこれを吸収し安定走行が行なえるのみなら
ず、各種サイズのフランジ幅に対応できるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の隅肉溶接装置の実施例を示
し、第１図ないし第４図は１実施例を示し、第１
図は全体斜視図、第２図は正面図、第３図は平面
図、第４図は第２図のＡ−A′線切断側面図、第
５図は他の実施例の正面図である。 １，１′……母材、２……垂直部材、２′……水
平部材、３，３′……フランジ部、４……走行台
車、５……駆動輪、１０……支持シヤフト、１２
……吊りアーム、１４……ならいローラ、１８，
２０，２２……第１，第２，第３アーム、２３…
…溶接トーチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 母材に隅肉溶接される長尺の部材の側面上を転
   動する駆動輪を有し該部材に沿つて走行する走行
   台車と、前記走行台車の前後両側に前記部材の長
   手方向に対し直交する方向にスライド自在に支持
   されたシヤフトと、前記両シヤフトの先端にそれ
   ぞれ吊りアームを介して回転自在に設けられ前記
   部材のフランジ部の端縁に前記走行台車の反対側
   から当接しかつ係合する滑車状のならいローラ
   と、前記シヤフトを前記部材の側面方向に付勢す
   るばねと、前記走行台車に立設された第１アーム
   と、前記第１アームの先端に回転自在に支持され
   該第１アームに直交する第２アームと、前記第２
   アームの先端に該第２アームに直交して支持され
   た第３アームと、前記第３アームの先端に支持さ
   れ前記母材と前記部材との隅肉溶接を行なう溶接
   トーチとを備えた隅肉溶接装置。