JPS6112062Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は刺繍用ミシンに於て上糸のみ、あるい
は上下両糸を同時に切断すると共に上糸切断時糸
端が針より抜けないように最少必要限に糸を繰り
出した状態で自動的に切断するようになした糸端
の繰出切断装置に関するものである。

従来縫製用あるいは刺繍用ミシンに於ては上糸
及び下糸を自動的に切断する装置を具備せしめて
縫製あるいは刺繍作業の能率向上をはかつてい
る。然しこの上糸の切断時天秤が上昇して上糸が
繰り出されているが布に通され針孔を経て天秤に
至る上糸には天秤上昇により張力が与えられた状
態で該上糸の釜位置で切断されるため上糸に瞬時
に縮少しようとする力が作用し刺繍用などの滑り
易い上糸はその糸端が針孔より抜けてしまうこと
がしばしばある。この糸抜は次の作業に大きく影
響を及ぼすものである。

またこれを防止するために必要以上の糸端を繰
り出して切断するならば刺繍完了後この余分の糸
端を切除しなければならない。

本考案はこれに鑑みて滑り易い刺繍用の糸であ
つても針孔より糸端が抜けないようにし、且次の
縫製が行え、しかも必要以上の糸端を繰り出さな
いようにして糸端を切断せんとするものである。
尚本考案を刺繍用ミシンとして説明するが通常の
縫製用ミシン（家庭用・工業用）にも応用できる
もので、以下図示の実施例に基づいて説明する。

図に於て１は下糸を巻収したボビン及びこのボ
ビンを嵌挿したボビンケースを収納した釜を回転
自在に支持する刺繍用ミシンの下本体ブロツク
で、この下本体ブロツク１には釜軸２を水平にし
て下本体ブロツクの前面に突出するよう貫通し、
所望の駆動源より針の一運針行程に１回転（一回
転釜）もしくは２回転（二回転釜）するように駆
動せしめる。

この釜軸２の先端には外釜３を固定し、釜軸と
共に回動するようになすと共にこの外釜３内に内
釜４を嵌挿し、この内釜４に下本体ブロツク１に
固定された内釜回止めレバー５の一部を係止さ
せ、外釜の回動によつても内釜は回動しないよう
に支持せしめ、さらにこの内釜内には上記ボビン
を収納したボビンケースを装脱着自在に設けるも
ので、これは通常のミシンと同様に構成されてい
る。

また下本体ブロツク１には外釜の前方位に下糸
繰出装置６と上糸引掛装置７とを夫々摺動自在に
して設けるが、この下糸繰出装置６は下本体ブロ
ツク１を先方に向つて水平にして貫通して摺動自
在に支持した摺動杆６ａと、この摺動杆６ａの先
端に屈曲して設けられ且釜の上方位置となしたる
下糸引掛片６ｂとより成り、また上糸引掛装置７
は下本体ブロツクを貫通し摺動自在に支持した摺
動杆７ａとこの摺動杆先端に突設し釜の前面部と
当接されるようになしたフツク部７ｂとより成
り、之等両装置は摺動杆７ａ，６ａの後端にソレ
ノイドを個々に設けて摺動せしめるか又は図示の
如く一つのソレノイドSOLにて駆動せしめる。
この場合ソレノイドSOLには下本体ブロツクに
揺動自在に枢着したレバー８の一端を係着し、こ
のレバーの任意位置に摺動杆７ａの一端を、また
レバー８の先端には摺動杆６ａの一端を夫々枢着
せしめ、且つ該レバー８にはばね９を設け、ソレ
ノイドにて作動せしめられたレバーを復元せしめ
るようになす。

また釜の上方位置には所定長に繰出されたミシ
ン糸を切断する切断装置１０が設けられる。これ
は先端に刃物又はニクロム線などのミシン糸を切
断するに必要なカツター１０ａを具備したロツド
１０ｂの後端をソレノイドSOLと復帰用ばね１
０ｃにて出没摺動自在としたもので、この切断装
置１０は下糸繰出装置６、上糸引掛装置７と同調
して駆動されるものである。

この下糸繰出装置６は糸切断時に於て針の内側
即ち下本体ブロツク側よりソレノイドSOLの作
動にて該ブロツクより離間するよう外釜の前方向
に摺動させ、これにより該下糸引掛片の先端部に
下糸を引掛けて、下糸をその糸端が次工程で糸が
抜けない程度の必要最少限の長さとなるように繰
り出すようになす。上糸引掛装置７はその先端の
フツク部７ｂは外釜の回動により針に通された糸
が外釜の外側に沿つてループ状になつた部分を引
掛けられるようフツク状に形成されており、この
フツク部７ｂは糸切断時内釜より離れた待機位置
より内釜側面に接するように摺動せしめるもので
ある。

而して上述の如く、構成したるミシンに於て上
下両糸を切断せんとする場合、まず針が上昇して
いるとき下糸繰出装置６が摺動して下糸をループ
状に繰り出すと共に針が下降し、釜内に挿入さ
れ、次に針が上昇し始めるとき回転している外釜
の上糸引掛爪にて針孔に挿通されている上糸の一
部が引掛けられた後さらに針は上昇する。この針
は最上昇位置に達したとき天秤（図示省略）は上
昇途上で未だ最上昇位置に達していない。この状
態よりさらに天秤が上昇するとき上糸を巻収した
糸車より上糸の通常の繰り出しが行われる。さら
に外釜が回動すると外釜の上糸を引掛けるフツク
部に引掛けられた上糸の一部は外釜外側面に沿つ
てループ状となる。このとき上糸引掛装置のフツ
ク部は待機位置より摺動して内釜側面に密着する
ようにして沿つているため、外釜の回動により上
糸のループ部はフツク部に簡単に引掛けられる
と、このフツク部はそのソレノイドにより内釜よ
り離間する方向に揺動せしめられ、この状態で上
下両糸は針板裏面に設けられたカツターに接触し
て切断され、ミシンは停止するものである。従つ
て天秤上昇により上糸には張力が与えられている
が、切断と同時に該糸は瞬時に縮少しても上糸の
引掛レバーにてループ状に天秤による繰出量以上
を繰り出しているため、滑り易い上糸でもその糸
端長を糸抜けを防止できる必要最少長となるよう
にとつてあるため、糸端が針孔より抜けることが
ないものであり、次の縫製を順調に行うことがで
き、且刺繍後の余分の糸端を切除する必要もな
い。

上糸のみの切断を行う時は上糸引掛装置のみを
駆動するようにすればよい。

尚下糸繰出装置の前進方向前面には、テーパ面
となつたストツパーＳが具備されソレノイドにて
押し出された摺動杆先端の引掛片６ｂが外釜にそ
うようになす。

また第３図に示すものは異りたる実施例で、こ
れは上糸引掛装置の摺動杆７ａを本体の前後方向
に出没するのではなくソレノイドの操作にて摺動
杆の長軸心を中心として旋回し、フツク部７ｂが
釜に接離するように揺動せしめるものである。

第３図に示すものはソレノイドSOLにて前後
方向に摺動せしめられる摺動杆６ａの一部に突片
６ｃを突出し、下本体ブロツクに旋回自在に支持
した摺動杆７ａの後端側に設けたテーパ状の係片
７ｃと当接せしめ、摺動杆６ａが前進し突片６ｃ
が係片７ｃに当接するとテーパ状となつている係
片７ｃが突片６ｃにて押され、これにて摺動杆７
ａが復元用のばね７ｄに抗して旋回し、フツク部
７ｂが釜に接近するようになすものである。この
場合摺動杆７ａは直接又はリンクを介してソレノ
イドには接続されていない。また第４図に示すも
のはさらに異りたる実施例を示し、下本体ブロツ
クの前面所望位置に設けた上糸引掛装置を旋回自
在に支持し、これをロータリーソレノイドにて旋
回せしめるようになしたものである。

本考案によるときは針に挿通され外釜に沿つて
ループ状に供給される上糸を、下糸繰出装置の下
方位置に於てしかも前後方向に摺動自在あるいは
旋回自在にして内釜側面に接離するフツクにて引
つ掛けて天秤による通常の繰出以上に上糸を繰り
出した後下糸繰出装置にて繰り出された下糸と共
に切断装置にて針板下方の上糸引掛装置に近接し
た位置で切断するようになしているため針より糸
端までの長さを次の刺繍時に抜けない必要最少限
の長さとなるようになり、糸が針より抜けること
がなく、次の縫製もスムーズに行え、しかも完了
後余分な糸端が突出していないため切除する手数
も省け、しかもこの上糸引掛装置及び下糸繰出装
置の駆動源となるソレノイドを下本体ブロツクの
後部に配設するためブロツクが小形であつても容
易に取り付けられる等の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は要部のみを示した平面図、第２図は側
面図、第３図，第４図は異りたる実施例図であ
る。 １……下本体ブロツク、２……釜軸、３……外
釜、４……内釜、５……内釜回止めレバー、６…
…下糸繰出装置、７……上糸引掛装置、８……レ
バー、９……ばね、１０……切断装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外釜の上方位置で、しかもこの外釜を横方向に
   横切るようにして下糸引掛片を配設し、ボビンよ
   り繰り出される下糸を糸切断時外釜より前方向に
   ループ状に張り出すようにして繰り出すためのソ
   レノイドを前記下糸引掛片に備え、前記外釜の前
   面側部方向にあつて外釜前面側へ揺動し、かつ外
   釜前面にフツク先端が当接するように摺動するフ
   ツク部を具備した上糸引掛装置の摺動杆にソレノ
   イドを設けると共に外釜の前面位置にあつて外釜
   前面方向に向つて摺動するカツターを前記下糸引
   掛片と対向して配設して成る刺繍用ミシンに於け
   る糸端の繰出切断装置。