JPS61108644A - 導電性多孔質膜 - Google Patents

導電性多孔質膜

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JPS61108644A
JPS61108644A JP23184884A JP23184884A JPS61108644A JP S61108644 A JPS61108644 A JP S61108644A JP 23184884 A JP23184884 A JP 23184884A JP 23184884 A JP23184884 A JP 23184884A JP S61108644 A JPS61108644 A JP S61108644A
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porous membrane
polymer
aniline
conductive
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Shohei Tamura
田村 正平
Sadamitsu Sasaki
佐々木 貞光
Takeshi Sasaki
武 佐々木
Takashi Ichinose
一瀬 尚
Masao Abe
正男 阿部
Keiji Nakamoto
中本 啓次
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Nitto Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は新規な導電性多孔質膜に関する。
導電性の不定形炭素や黒鉛、金属粉末等をゴムや樹脂と
混合し、これを押出、圧縮、圧延等の成形方法により、
また、ゴムや樹脂シートの表面に導電性金属を真空蒸着
或いはスパッタ蒸着して、導電性を有するシートを得る
ことは従来より知られている。
しかし、このようにして得られる導電性シートは、前者
の場合は、ゴムや樹脂と導電性物質との混合物をシート
に成形し得るためには、含有される導電性物質の量に自
ずから限界があるため、十分な導電性を得ることは一般
に困難である。また、一方において、従来より樹脂を水
混和性の有機溶剤に溶解した樹脂溶液を適宜の基材上に
流延塗布した後、水中に浸漬する所謂湿式法による多孔
質膜の製造方法が知られているが、樹脂溶液に上記のよ
うに導電性物質を含有させる場合も、製膜し得るために
はその含有量に限界があり、高導電性の多孔質膜を得る
ことは困難である。後者の場合は、表面に導電性を与え
ることはできても、シートは厚さ方向には通常、絶縁性
であり、しかも、可撓性の導電性シートを得ようとすれ
ば、シートの可撓性を保持するために導電性金属の蒸着
厚みが限定されるので、導電性もまたある範囲内に限定
される。
本発明者らは導電性樹脂シートにおける上記した問題を
解決し、樹脂シート、特に多孔質膜に導電性を付与する
方法について鋭意研究した結果、アニリンの所定条件下
での化学酸化剤による酸化重合体が重合段階で既にドー
ピングされて、特異的に安定で高い導電性を有し、多孔
質膜に直接にこれら重合体を析出させることにより、高
導電性の多孔質膜を得ることができることを見出した。
アニリンの酸化重合体のあるものについては、例えば、
アニリンブラックに関連して古(より知られている。特
に、アニリンブラック生成の中間体として、式(1)で
表わされるアニリンの8量体がエメラルデイン(eme
raldine)として確認されており (^、 G、
 Green et allJ、 CheIIl、 S
oc、+虹、 2388(1910);匪1)17(1
912))、これは80%酢酸、冷ピリジン及びN、N
−ジメチルホルムアミドに可溶性である。また、このエ
メラルディンはアンモニア性媒体中で酸化されて、式(
n)で表わされるニグラニリン(nigranilin
e)を生成し、これもエメラルディンと類似した溶解特
性を有することが知られている。
更に、近年になって、R,Buvetらによってこのエ
メラルデインの硫酸塩が高い導電性を有することが見い
出されている(J、 Polymer Sci、、 C
,16゜2931 ; 2943(1967) ;共、
 1)87(1969))。
また、既にアニリンの電解酸化重合によってエメラルデ
イン類偵の有機物質を得ることができることも知られて
いる(D、 M、 Mohilner at al、、
 J。
Amer、 Che+o、 Soc、、 84.361
8(1962)) 、即ち、これによれば、アニリンの
硫酸水溶液を白金電極を用い、水の電気分解を避けるた
めに、標準カロメル電極に対して+〇、8Vの酸化電位
にて電解酸化重合し、80%酢酸、ピリジン及びN、N
−ジメチルホルムアミドに可溶性である物質が得られる
そのほか、Diazら(J、 Electroanal
、 Chem。
■1.1)1(1980)や、小山ら(高分子学会予稿
集。
30、 (7)、 1524(1981); J、 E
lectroanal、 Chew、。
161、399(1984))もアニリンの電解酸化重
合を試みているが、いずれも高分子被覆化学修飾電極を
目的としたものであって、電解はIV以下の電位で行な
っている。
尚、従来より既に種々の導電性有機重合体が知られてい
るが、一般的な傾向として安定性に劣る。
例えば、ポリアセチレンは理論的には興味深い導電性有
機重合体であるが、反面、極めて酸化を受けやすく、空
気中で容易に酸化劣化して性質が大幅に変化する。ドー
ピングされた状態では一層酸化に対して敏感であり、空
気中の僅かな湿気によっても電導度が急激に減少する。
この傾向はn型半導体に特に著しい。
本発明者らは、安定で高導電性を有する有機材料、特に
、導電性有機重合体を得るために、アニリンの酸化重合
に関する研究を鋭意重ねた結果、アニリンの酸化重合の
反応条件を選択することにより、上記エメラルデインよ
りも逼かに高分子量を有し、且つ、既にその酸化重合段
階でドーピングされているために、新たなドーピング操
作を要せずして安定で且つ高導電性を有する重合体を得
ることができることを見出した(特願昭58−2122
80号及び特願昭58−212281号)。
本発明者らはこのような知見に基づき、導電性多孔質膜
の製造について鋭意研究した結果、この重合体がキノン
ジイミン構造を主たる繰返し単位として有する実質的に
線状の高分子量重合体であり、多孔質膜に直接に化学酸
化剤による上記したようなアニリン若しくは、アニリン
誘導体の導電性重合体を析出させることによって、非常
に高導電性であって、多孔質膜が可撓性を有する場合は
、その可撓性を保持した導電性多孔質膜を容易に得るこ
とができることを見出して、本発明を完成したものであ
る。
従って、本発明は、一般的には導電性多孔質膜を提供す
ることを目的とし、詳細には、上記した新規な導電性有
機重合体が直接に多孔質膜に析出され、かくして、高導
電性を有する新規な導電性多孔質膜を提供することを目
的とする。
本発明による導電性多孔質膜は、一般式(但し、Rは水
素又はアルキル基を示す。)で表わされるキノンジイミ
ン構造体を主たる繰返し単位として有する実質的に線状
の重合体であって、ドーパントとしての電子受容体を含
む導電性重合体が析出されてなることを特徴とする。
先ず、本発明による導電性多孔質膜における新規な導電
性重合体について説明する。この導電性重合体は、後述
する方法に従って本発明による導電性多孔質膜を調製し
、これより導電性重合体を剥離して得ることができ、又
は多孔質膜の非存在下にアニリン若しくはアニリン誘導
体を所定の条件下に化学酸化重合することによって単離
することができる。
かかる導電性重合体は、乾燥した粉末状態において、通
常、緑色乃至黒縁色を呈し、一般に導電性が高いほど、
鮮やかな緑色を呈している。しかし、加圧成形した成形
物は、通常、光沢のある青色を示す。
本発明において、アニリン若しくはその誘導体の化学酸
化によって得られる導電性有機重合体は、水及び殆どの
有機溶剤に不溶性であるが、通常、濃硫酸に僅かに溶解
し、又は溶解する部分を含む。
より詳細には、本発明における導電性重合体の濃硫酸へ
の溶解度は、重合体を生成させるための反応条件によっ
ても若干異なるが、通常、0.2〜10重量%の範囲で
あり、殆どの場合、0.25〜5重量%の範囲である。
但し、この溶解度は、特に高分子量の重合体の場合には
、重合体が上記範囲の溶解度を有する部分を含むとして
理解されるべきである。前記したように、エメラルデイ
ンが80%酢酸、冷ピリジン及びN、N−ジメチルホル
ムアミドに可溶性であるのと著しい対照をなす。
また、上記導電性重合体は、97%濃硫酸の0゜5g/
at溶液が30℃において0.1〜1.0の範囲の対数
粘度を有し、殆どの場合、0.2〜0.6である。
この場合においても、特に高分子量の重合体の場合には
、濃硫酸に可溶性の部分が上記範囲の対数粘度を有する
として理解されるべきである。これに対して、同じ条件
下でのエメラルディン及びアニリンブラックの対数粘度
はそれぞれ0.02及びo、oosであり、上記導電性
重合体が高分子量重合体であることが示される。更に、
熱重量分析結果も、上記導電性重合体が高分子量重合体
であることを示している。゛ 本発明における導電性重合体の代表例として、アニリン
の化学酸化剤による酸化重合によって得られた導電性重
合体の赤外線吸収スペクトルを第1図に示し、比較のた
めにエメラルディン及びアニリンブラック(市販顔料と
してのダイヤモンド・ブラック)の赤外線吸収スペクト
ルをそれぞれ第2図及び第3図に示す。
本発明における導電性重合体の赤外線吸収スペクトルは
エメラルデインのそれに類以するが、一方において、本
発明における導電性重合体においては、エメラルデイン
に明瞭に認められる一置換ベンゼンのC−H面外変角振
動に基づ(吸収が殆どみられないのに対して、パラ置換
ベンゼンに基づく吸収が相対的に大きい。しかし、本発
明における導電性重合体のスペクトルはアニリンブラッ
クとは大幅に異なる。従って、本発明における重合体は
バラ置換ベンゼンを多数含むエメラルデイン類以の構造
を有する。
本発明における導電性重合体は、アニリン又はその誘導
体の酸化重合の段階で系中に存在する電子受容体によっ
てドーピングされており、この結果として高導電性を有
する。即ち、重合体から電子受容体への電荷移動が生し
て、重合体と電子受容体との間に電荷移動錯体を形成し
ている。かかる重合体を例えばディスク状に成形して、
これに一対の電極を取付け、これら電極間に温度差を与
えて、半導体に特有の熱起電力を生せしめるとき、al
       低温電極側がプラス、高温電極側がマイ
ナスの起電力を与えるので、本発明における導電性重合
体はp警手4体であることが示される。
更に、本発明における導電性重合体は、アンモニア等に
て化学補償することによって導電性が大幅に減少し、ま
た、外観的にも緑色乃至黒縁色から紫色に変化し、これ
を再度硫酸や塩酸等の電子受容体にてドーピングするこ
とにより、色も緑色乃至黒縁色に戻ると共に、当初の高
導電性を回復する。この変化は可逆的であり、化学補償
及びドーピングを繰り返して行なっても同じ結果が得ら
れる。第4図にこの化学補償及び再ドーピングによる重
合体の赤外線吸収スペクトルの変化を示す。
Aは当初の重合体、Bは化学補償した重合体、Cは再ド
ーピングした重合体を示す、CのスペクトルがAのスペ
クトルとほぼ完全に一致することが明らかであり、従っ
て、上記化学補償及び再ドーピングは重合体の骨格構造
の変化ではなく、重合体と化学補償試薬或いは電子受容
体との間の電子の授受である。このようにして、本発明
における導電性重合体が酸化重合の段階で電子受容体に
てドーピングされ、かくして、重合体はドーパントを含
んでいることが理解される。
本発明における導電性重合体が含むドーパントとしては
、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、塩化第二
鉄、四塩化スズ、二塩化銅等のルイス酸、塩酸、臭化水
素酸、硫酸、硝酸等の無機酸や、ピクリン酸、p−トル
エンスルホン酸等の有機酸を挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。
本発明における導電性有機重合体の化学構造は、上記し
た赤外線吸収スペクトルのほか、重合体の元素分析によ
って確認され、また、重合体をアンモニア等で化学補償
した重合体(以下、補償重合体という。)の元素分析か
らも確認され、実質的に、前記繰返し単位からなる線状
高分子重合体であり、π電子共役系がドーパントを含む
ことによって高導電性を有するとみられる。
しかしながら、本発明における感電性重合体は、上記キ
ノンジイミン構造からなる繰返し単位と共に、その還元
構造である次の繰返し単位(IV)(r/ ) (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)を含んでい
てもよい。このような還元構造を含む重合体は、例えば
、本発明における導電性重合体を部分的に還元すること
によって容易に得ることができる。
上記のような還元構造を有する重合体は、電子受容体と
して有効な酸化剤により酸化すると共にドーピングする
ことにより、再び前記のようなキノンジイミン構造を有
する導電性重合体とすることもできる。この場合におい
て、酸化剤を選択することによって、導電性重合体に含
まれるドーパントを変更することができる。このような
酸化剤として、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲ
ン、塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第二銅等のルイス
酸を挙げることができる。このように、本発明の導電性
多孔質膜においては、種々のドーパントを含むことがで
きる。
以上のように、アニリン又はその誘導体の化学酸化重合
によって得られる本発明における導電性有機重合体は、
好ましくは、実質的に前記繰返し単位からなり、その重
合段階で既にプロトン酸によってドーピングされている
ために、新たなドーピング処理を要せずして高導電性を
有し、しかも、長期間にわたって空気中に放置しても、
その導電性は何ら変化せず、従来より知られているドー
ピングした導電性有機重合体に比較して、特異的に高い
安定性を有している。
次に、本発明の導電性多孔質膜の好ましい製造方法につ
いて説明する。
本発明による導電性多孔質膜は、好ましくは、アニリン
、その誘導体又はその水溶性塩を含浸させた多孔質膜を
プロトン酸と酸化剤とを含有する反応媒体と接触させ、
上記アニリン又はその誘導体を酸化重合させると共に、
上記多孔質膜に析出させることによって製造される。
アニリン誘導体としてはアルキルアニリンが好ましく、
例えば、0−メチルアニリン、m−メチルアニリン、0
−エチルアニリン、m−エチルアニリン等が好ましく用
いられる。しかし、アニリン及び上記アルキルアニリン
のなかでは、アニリンが特に高電導性の多孔質膜を与え
るので、好ましく用いられる。
本発明において用いる多孔質膜は、アニリン若しくはア
ルキルアニリン又はその水溶性塩の溶液を含浸し得る程
度に多孔質であると共に、これらに対して濡れ性を有す
ることが必要である。このため、アニリンやその水溶性
塩の溶液を用いるときは、多孔質膜がこれらに濡れ性を
有するように溶剤を選択してもよいが、また、多孔質膜
をスパッタエツチング処理、紫外線や電子線の照射、コ
ロナ放電処理、アルカリ金属処理等の表面処理を施し、
用いるアニリン溶液に対して濡れ性を付与することもで
きる。
例えば、アニリンやアルキルアニリンに対して良好な濡
れ性を有する親油性多孔質膜の場合は、アニリンやアル
キルアニリン又はその有機溶液を直接に多孔質に含浸さ
せてもよい。また、多孔質膜が親水性である場合には、
アニリン水溶性塩の水溶液を多孔質膜に含浸させればよ
い。かかるアニリンやその誘導体の親水性塩としては、
これらのプロトン酸塩が好適であり、具体例として、例
えば、塩酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、臭化水素
酸塩、ホウフッ化酸塩、フッ化リン酸塩等を挙げること
ができる。
しかし、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質膜
のように、アニリンやアルキルアニリンに対しても、ま
た、これらの水溶性塩の水溶液に対しても良好な濡れ性
を有しない場合は、例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ンに対して親和性を有する有機溶剤、例えば、エタノー
ル等にアニリン、その誘導体又はその塩を溶解させ、こ
れを多孔質膜に含浸させればよい。尚、アニリンやその
誘導体、又はその塩の溶液を多孔質膜に含浸させた場合
、溶剤が酸化剤により酸化されるものであるときは、上
記含浸後の多孔質膜を乾燥し、溶剤を除去するのが望ま
しい。
用いる多孔質膜の素材は特に制限されず、得られる導電
性多孔質膜の用途によって適宜に選択されるが、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、セルロース
誘導体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリテ
トラフルオロエチレン及びポリフッ化ビニリデン等のフ
ッ素樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
イミド、ポリアミド等を挙げることができる。
本発明による導電性多孔質膜を製造するための特に好ま
しい方法は、アニリン、アルキルアニリン又はこれらの
水溶性塩を多孔質膜に含浸させ、これをプロトン酸含有
反応媒体中で酸化剤で酸化重合させて、アニリン又はそ
の誘導体の酸化重合体を上記多孔質膜に析出させるに際
して、上記酸化剤を含む反応媒体におけるプロトン酸/
重クロム酸カリウムのモル比を1.2以上、好ましくは
2〜50として、電導度が10−63/am以上である
導電性多孔質膜を得るものである。
このような方法によれば、アニリン、その誘導体又はこ
れらの水溶性塩が含浸された多孔質膜がプロトン酸と酸
化剤とを含有する酸化剤水溶液中に浸漬され、酸化剤に
よりアニリン又はその誘導体が酸化重合して多孔質膜中
に導電性重合体を析出形成するので、多孔質膜の微孔を
形成する壁体表面を含む多孔質膜表面に導電性酸化重合
体が析出し、全体として導電性の多孔質膜を与える。
用いる酸化剤は特に制限されるものではないが、酸化ク
ロム(IV)や、重クロム酸カリウム、重クロム酸ナト
リウム等の重クロム酸塩が好適であり、特に、重クロム
酸カリウムが最適である。しかし、クロム酸、クロム酸
塩、酢酸クロミル等のクロム系酸化剤や過マンガン酸カ
リウムのようなマンガン系酸化剤も必要に応じて用いる
ことができる。
また、プロトン酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、
テトラフロオロホウ酸(HBF4) 、ヘキサフルオロ
リン酸(HBF、)等が用いるれるが、特に塩酸、硫酸
が好適である。アニリン又はその誘導体の水溶性塩を形
成するために鉱酸を用いるとき、この鉱酸は上記プロト
ン酸と同じでも、異なってもよい。
反応媒体としては水、水混和性有機溶剤及び水非混和性
有機溶剤の1種又は2種以上の混合物を用いることがで
きるが、アニリン又はその誘導体の水溶性塩が用いられ
るときは、反応媒体には通常、上記水溶性塩を溶解する
水、水混和性有機溶剤又はこれらの混合物が用いられ、
また、アニリン又はその誘導体自体が用いられるときは
、反応媒体としては、アニリン又はアルキルアニリンの
ような誘導体を溶解する水混和性有機溶剤又は水非混和
性有機溶剤が用いられる。尚、上記を機溶剤はいずれも
用いる酸化剤によって酸化されないことが必要である。
例えば、水混和性有機溶剤としては、アセトン、テトラ
ヒドロフラン、酢酸等のケトン類、エーテル類又は有機
酸類が用いられまた、水非混和性有機溶剤としては四塩
化炭素、炭化水素等が用いられる。
尚、酸化剤水溶液におけるプロトン酸の濃度は特に制限
されるものではないが、通常、1〜10Nの範囲である
。但し、この化学酸化法においては、プロトン酸を予め
多孔質膜にアニリンやその誘導体の水溶性塩と共に含浸
させることを妨げるものではない。
多孔質膜に導電性酸化重合体を析出させるための酸化重
合の反応温度は、溶剤の沸点以下であれば特に制限され
ないが、反応温度が高温になるほど、得られる導電性多
孔質膜の導電性が小さくなる傾向があるので、高い導電
性を有する多孔質膜を得る観点からは常温以下が好まし
い。多孔質膜を酸化剤水溶液と接触させると、通常、重
合体の析出反応は直ちに終了する。次いで、重合体の析
出した多孔質膜を水中又は有機溶剤中に投入し、濾液が
中性になるまで水洗した後、アセトン等の有機溶剤にて
これが着色しなくなるまで洗滌し、乾燥して、化学酸化
法による導電性多孔質膜を得る。
必要に応じて、この導電性多孔質膜に再度、アニリン、
その誘導体又はこれらの水溶性塩を含浸させ、これを前
記したようなプロトン酸含有反応媒体中で酸化剤で酸化
重合させて導電性重合体を多孔質膜に析出させ、洗滌、
乾燥する操作を繰り返してもよい。また、得られた導電
性多孔質膜をロール圧延等によって加圧圧縮し、導電性
重合体を膜に圧着することができる。このようなロール
圧延はまた、多孔質膜の膜厚や微孔孔径を調整するのに
も役立つ。更に、多孔質膜に導電性重合体を析出させた
後、ロール圧延し、これに再び導電性重合体を析出させ
る操作を操り返してもよい。
以上のようにして得られる導電性多孔質膜の導電性は、
アニリンの酸化重合が行なわれるプロトン酸と酸化剤と
を含有する反応媒体の組成に密接に関連しており、多孔
質膜に高導電性の酸化重合体を析出させるためには、上
記反応媒体の組成を最適に選択することが好ましい。電
導度が10−”S/am以上の高導電性の多孔質膜を得
るためには、反応の行なわれる反応媒体におけるプロト
ン酸/重クロム酸カリウムモル比を1.2以上、好まし
くは2〜50とすることが好ましい。通常、このような
条件下での酸化重合によって電感度が10−b〜106
S/amである導電性多孔質膜を得ることができる。
このようにアニリン又はその誘導体の酸化重合が行なわ
れる反応媒体中におけるプロトン酸/重クロム酸カリウ
ムのモル比が一定であれば、得られる導電性重合体の導
電性は実質的に同じである。
即ち、再現性よく所定の導電性を有する重合体を多孔質
膜に析出させることができる。他方、アニリン又はその
誘導体と接触する重クロム酸カリウムの量は、多孔質膜
において析出される重合体の収率を決定する。従って、
酸化重量の行われる反応媒体中におけろ多孔質膜の浸漬
時間と共に多孔質膜中に析出する重合体量は増加する。
しかし、重合体の導電性は、用いる重クロム酸カリウム
の量によっては実質的に影響を受けない。従って、所定
のプロトン酸/重クロム酸カリウムのモル比の酸化剤水
溶液を用い、且つ、重クロム酸カリウムをアニリン又は
その誘導体に対して当量若しくはそれ以上用いて、一定
時間酸化重合するとき、所定の導電性を有する多孔質膜
を安定して得ることができる。
このようにして得られる導電性多孔質膜は、形成された
導電性アニリン重合体によって、通常、緑色乃至黒縁色
を呈し、一般に導電性が高いほど鮮やかな緑色を呈して
いる。しかし、この多孔質膜をロール加圧すると、通常
、光沢のある青色を示す。
多孔質膜に形成されたアニリン又はそのm1)体の導電
性重合体は、導電性多孔質膜の電導度がIQ−63/a
n以上であるときは、その重合体は水及び殆どの有機溶
剤に不溶性であり、特に、N、N−ジメチルホルムアミ
ドにも実質的に不溶性であるが、濃硫酸には可溶性であ
る。但し、濃硫酸に不溶性の部分を含むこともある。こ
のような重合体の溶解特性は、前記したように、エメラ
ルディンの溶解特性と著しく異なる。
以上のように、本発明による導電性多孔質膜は、多孔質
膜に析出された導電性重合体がドーパントを含有して高
導電性を有し、しかも、長期間にわたって空気中に放置
しても、その導電性は何ら変化せず、従来より知られて
いるドーピングした導電性有機重合体に比較して、特異
的に高い安定性を有している。従って、本発明による導
電性多孔質膜は安定で、且つ高導電性を有するので、例
えば、特開昭58−95502号公報に記載されている
ように、フッ素樹脂等の疎水性IΩ水性樹脂からなる誘
電体多孔質膜と複合膜化して溶液分離膜を構成し、導電
性多孔質膜に高周波電圧を印加して、分離膜面にマイク
ロ波振動を発生させることにより溶液の分離を行なうた
めの導電性多孔質膜として好適に用いることができる。
但し、本発明による導電性多孔質膜は、その用途におい
て何ら制限されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこ
れら実施例により何ら限定されるものではない。
叉施炭土 本実施例においては、化学酸化剤を用いて得られる導電
性アニリン重合体の化学構造を決定すると共に、その他
の物性を評価するために、多孔質膜の非存在下に、先に
規定した条件下にアニリンを化学酸化剤にて酸化重合さ
せた。
(1)重合体の製造 300m1容量のフラスコ中に水45gを入れ、濃塩酸
4mlを加え、更にアニリン5g(0,0537モル)
を溶解させ、アニリン塩酸塩水溶液を調製し、氷水でフ
ラスコを冷却した。
別に、水28.8 gに濃硫酸4.61 g (0,0
47モル)を加え、更に重クロム酸カリウム1.84 
g(0,00625モル)を溶解させた酸化剤水溶液(
プロトン酸/重クロム酸カリウムモル比7.5 )を調
製し、これを氷水で冷却した上記アニリンの塩酸塩水溶
液中に攪拌下、滴下ろうとから30分間を要して滴下し
た。滴下開始後、最初の2〜3分間は溶液が黄色に着色
したのみであったが、その後、速やかに緑色固体が析出
し、反応液は黒縁色を呈した。
滴下終了後、更に30分間攪拌し、この後、反応混合物
をアセトン400m1中に投じ、2時間攪拌し、次いで
、重合体を濾別した。得られた重合体を蒸留水中で攪拌
洗滌し、濾別し、このようにして濾液が中性になるまで
洗滌を繰り返した。次いで、濾別した重合体をアセトン
により濾液が着色しなくなるまで洗滌を繰り返した。濾
別した重合体を五酸化リン上、室温で10時間真空乾燥
し、本発明による導電性存機重合体を緑色粉末として得
た。
(2)  重合体の物性 上で得た重合体を室温において濃度97%の濃硫酸に加
え、攪拌して、その溶解度を調べたところ、溶解量は1
.2重量%であった。また、濃度0゜58/diとした
この重合体の97%濃硫酸溶液の温度30℃における対
数粘度は0.46であった。比較のために、エメラルデ
イン及びダイヤモンド・ブラックの同じ条件下での粘度
はそれぞれ0.02及び0.005であった。
更に、上記重合体及びエメラルデインについての空気中
における熱重量分析の結果を第5図に示す。昇温速度は
10℃/分である。
次に、上で得た重合体成形物120■を瑞瑞製乳鉢で粉
砕した後、赤外分光光度社用錠剤成形器にて圧力600
0kg/aaで直径13mのディスクに加圧成形した。
幅約1flの銅箔4本を銀ペースト又はグラファイトペ
ーストでディスクの四隅に接着し、空気中でファン・デ
ル・ポウ法に従って測定した結果、電導度は2.O3/
amであった。この重合体成形物は、10−”Torr
の真空中で測定しても、はぼ同じ電導度を示した。この
ディスクを4か月間空気中に放置したが、電導度は実質
的に変化しなかった。
尚、以下においても、導電性重合体及び導電性多孔質膜
の電導度の測定は上記四端子法によった。
(3)重合体の赤外線吸収スペクトル 上で得た重合体の赤外線吸収スペクトルを第1図に示す
。比較のために、エメラルデイン及び市販ダイヤモンド
・ブラックの赤外線吸収スペクトルをそれぞれ第2図及
び第3図に示す。尚、エメラルデインは A、G、 G
reenらの方法によって調製した(A、 G、 Gr
een et al、、 J、 Chem、 Soc、
、97゜2388 (1910) )。
本発明による重合体の赤外線吸収スペクトルは、エメラ
ルデインのそれと類似するが、同時に大きい差違もある
。即ち、エメラルデインには一置換ベンゼンに基づ< 
C−H面外変角振動による699cm−’及び740c
m−’の明瞭な吸収が認められるが、本発明による重合
体においては、これらの吸収は殆ど認められず、代わり
にパラ置換ベンゼンを示す800an−’の吸収が強く
認められる。これはエメラルデインが低分子量体である
ために、分子末端の一置換ベンゼンに基づく吸収が相対
的に強く現われるのに対して、本発明による重合体は高
分子量体であるために、高分子鎖をなすバラ置換ベンゼ
ンに基づく吸収が相対的に強く現われるからである。こ
れに対して、アニリンブラックの赤外線吸収スペクトル
は本発明による重合体及びエメラルデインのいずれとも
顕著に相違し、特に、3200〜3400cm−’付近
の広幅の吸収、1680cm−’にあるキノン性カルボ
ニル基と認められる吸収、1200〜1300cm−’
のC−N伸縮振動領域、600cm−’以下の領域等に
おいて異なることが明らかである。
本発明による重合体における赤外線吸収スペクトルの帰
属は次のとおりである。
1610cm−’ (ショルダー、C=N伸縮振動)1
570.1480cm−’(ベンゼン環C−C伸縮振動
) 1300.1240cm−’ (C−N伸縮振動)1)
20cm−’(ドーパントに基づく吸収。ドーパントの
種類によらず、はぼ同じ位置に吸収を有する。) 800 cm−’ (><う置換ベンゼンC−H面外片
角振動) 740.690ロリ(−置換ベンゼンC−)(面外変角
振動) また、本発明による上記重合体をアンモニア補償したと
きの赤外線吸収スペクトルを第4図已に示し、これを5
N硫酸で再びドーピングした後の赤外線吸収スペクトル
を第4図Cに示す。この再ドーピング後のスペクトルは
第4図Aに示す当初のそれとほぼ完全に同じであり、更
に、電導度もアンモニア補償前と同じである。また、電
導度の変化は、補償前Aは0.45・S /cm、補償
後Bは1゜6 X 10−6S/crn、再ドーピング
後Cは0; 31 S/ amであった。従って、本発
明による重合体は、その酸化重合の段階で用いたプロト
ン酸によって既にドーピングされていることが示される
(4)重合体の化学構造 上で得た化学酸化法による導電性重合体の元素分析値を
示す。尚、重合体を水洗及びアセトン洗滌によって精製
を繰り返しても、元素分析後に無水酸化クロム(Crz
(h)の緑色粉末が残渣として残ることが認められるの
で、実測元素分析値と共に、その合計を100としたと
きのそれぞれの換算値を併せて示す。換算値が理論値と
一致することが認められる。
また、アンモニアにて化学補償した重合体についても結
果を示す。
(a)硫酸をドーパントとして含む重合体C1□HsN
zCHzSOa)。、、8理論値   測定値   換
算値 C60,7958,1)60,99 H3,894,054,25 N   1).81   10.80   1).34
S    7.84    7.45    7.82
0  15.66    (14,87)   (15
,61)尚、理論式における硫酸量は、イオウの実測値
から算出し、この硫酸量に基づいて理論値における酸素
量を算出した。また、測定値における酸素量は、イオウ
の測定値から硫酸量を算出し、この硫酸量から算出した
山)補償重合体 C+ zHsT。
理論値   測定値   換算値 C79,9873,2479,77 H4,484,344,73 N   15.54   14.23   15.50
実施例2 ポリプロピレンからなる多孔質膜(ポリプラスチック■
製ジュラガード)を10重量%塩酸アニリンのエタノー
ル溶液に室温で30分間浸漬した後、60℃で30分間
乾燥させた後、重クロム酸カリウムの硫酸酸性水溶液(
重クロム酸カリウム/硫酸/水重量比=5/15/75
、プロトン酸/重クロム酸カリウムモル比÷9.0)に
25℃で10分間浸漬し、アニリンを酸化重合させて、
多孔質膜に析出させた。
次いで、多孔質膜を水洗し、アセトンが無色透明になる
までアセトンによる洗滌を繰り返した後、60℃の温度
で1時間乾燥し、この後、このような操作を3回繰り返
して、本発明による導電性多孔質膜を得た。この膜は5
.5 X L O’−3S / amの電導度を有して
いた。
実施例3 実施例2において、エチレン−ビニルアルコール共重合
体からなる多孔質膜を用いた以外は、実施例2と全く同
様にして、導電性多孔質膜を得た。
この膜は3.4X10−”37cmの電導度を示した。
実施例4 ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質膜(ダイキ
ン工業■製ポリフロンペーパー)を10重重量塩酸アニ
リンのエタノール溶液に浸漬した以外は、実施例2と全
く同様にして、導電性多孔質膜を得た。この膜は9.2
 X 10−”S/amの電導度を示した。
上記多孔質膜の表面、拡大した表面及び断面の電子顕微
鏡写真をそれぞれ第6図A、B及びCに示す。また、上
記のようにして得た本発明の導電性多孔質膜の表面、拡
大した表面及び断面をそれぞれ第7図A、B及びCに示
す。導電性重合体が膜に析出していることが認められる
実施例5 実施例2において、I X 10−”Torrの水蒸気
中で放電電圧100W、放電時間30秒にてスパッタエ
ツチング処理したポリテトラフルオロエチレン多孔質膜
を用いた以外は、実施例2と同様に処理して、3.4 
X 10−6S/amの電導度を有する導電性多孔質膜
を得た。
実施例6 実施例2において、空気中で1鶴の空隙を設けてコロナ
放電処理(印加電圧10KV)を30分間施した以外は
、実施例2と同様に処理して、7゜5 X 10−6S
 /amの電導度を有する導電性多孔質膜を得た。
【図面の簡単な説明】
第1図は化学酸化法による導電性有機重合体の赤外線吸
収スペクトル、第2図及び第3図はそれぞれエメラルデ
イン及びアニリン・ブラックの赤外線吸収スペクトル、
 第4図は化学酸化法による導電性重合体を化学補償し
たときのスペクトル変化を示し、Aは本発明による重合
体、Bはこの重合体をアンモニア補償して得られる重合
体、及びCはBの重合体を硫酸で再ドーピングして得ら
れる重合体のそれぞれの赤外線吸収スペクトルである。 第5図はアニリン重合体及びエメラルディンの加熱によ
る重量残存率を示すグラフである。 第6図は用いた多孔質膜の一例の電子顕微鏡写真を示し
、Aは表面、Bは拡大表面、Cは断面を示す。第7図は
本発明による導電性多孔質膜の一例の電子顕微鏡写真を
示し、Aは表面、Bは拡大表面、Cは断面を示す。 第7図 30pwt。 手続補正書(方式) 昭和60年 3月18日 迩

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)多孔質膜に一般式 ▲数式、化学式、表等があります▼ (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)で表わされ
    るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
    る実質的に線状の重合体であって、ドーパントとしての
    電子受容体を含む導電性重合体が析出されてなることを
    特徴とする導電性多孔質膜。
  2. (2)導電性重合体が10^−^6S/cm以上の電導
    度を有することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の導電性多孔質膜。
  3. (3)10^−^6S/cm以上の電導度を有すること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の導電性多孔質
    膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61206106A (ja) * 1985-03-08 1986-09-12 昭和電工株式会社 導電性物品の製造方法
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JPH03504872A (ja) * 1988-08-01 1991-10-24 ロッキード コーポレーション 高い使用温度における導電性ポリマーとその製造方法

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