JPS61258830A - 導電性シ−トの連続製造方法 - Google Patents

導電性シ−トの連続製造方法

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Publication number
JPS61258830A
JPS61258830A JP10030485A JP10030485A JPS61258830A JP S61258830 A JPS61258830 A JP S61258830A JP 10030485 A JP10030485 A JP 10030485A JP 10030485 A JP10030485 A JP 10030485A JP S61258830 A JPS61258830 A JP S61258830A
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JP
Japan
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polymer
aniline
sheet
conductive
solution
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Application number
JP10030485A
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English (en)
Inventor
Shohei Tamura
田村 正平
Sadamitsu Sasaki
佐々木 貞光
Takeshi Sasaki
武 佐々木
Hiroshi Miyatake
宮武 宏
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は導電性シートの連続製造方法に関する。
(従来の技術) 導電性の不定形炭素や黒鉛、金属粉末等をゴムや樹脂と
混合し、これを押出、圧縮、圧延等の成形方法により、
また、ゴムや樹脂シートの表面に導電性金属を真空蒸着
或いはスパッタ蒸着して、導電性を有するシートを得る
ことは従来より知られている。
しかし、このようにして得られる導電性シートは、前者
の場合は、ゴムや樹脂と導電性物質との混合物をシート
に成形し得るためには、含有される導電性物質の量に自
ずから限界があるため、十分な導電性を得ることは一般
に困難である。また、一方において、従来より樹脂を水
混和性の有機溶剤に溶解した樹脂溶液を適宜の基材上に
流延塗布した後、水中に浸漬する所謂湿式法による多孔
質膜の製造方法が知られているが、樹脂溶液に上記のよ
うに導電性物質を含有させる場合も、製膜し得るために
はその含有量に限界があり、高導電性の多孔質膜を得る
ことは困難である。後者の場合は、表面に導電性を与え
ることはできても、シートは厚さ方向には通常、絶縁性
であり、しかも、可撓性の導電性シートを得ようとすれ
ば、シートの可撓性を保持するために導電性金属の蒸着
厚みが限定されるので、導電性もまたある範囲内に限定
される。
他方、アニリンの酸化重合体のあるものについては、例
えば、アニリンブラックに関連して古くより知られてい
る。特に、アニリンブラック生成の中間体として、式(
1)で表わされるアニリンの8量体がエメラルデイン(
emeraldine)としてTII認されており (
A、 G、 Green et al、、 J、 Ch
ew。
Soc、、97.2388(1910); 101.1
)17(1912))、これは80%酢酸、冷ピリジン
及びN、N−ジメチルホルムアミドに可溶性である。ま
た、このエメラルデインはアンモニア性媒体中で酸化さ
れて、式(n)で表わされるニグラニリン(nigra
nil 1ne)を生成し、これもエメラルデインと類
似した溶解特性を有することが知られている。
更に、近年になって、R,Buvetらによってこのエ
メラルデインの硫酸塩が高い導電性を有することが見い
出されている(J、 Polymer Sci、、 C
+旦。
2931 ; 2943(1967) ;競、 1)8
7(1969))。
また、既にアニリンの電解酸化重合によってエメラルデ
イン類似の有機物質を得ることができることも知られて
いる(D、 M、 Mohilner et al、、
 J。
Amer、 ChelIl、 Soc、、 84.36
18(1962)) 、即ち、これによれば、アニリン
の硫酸水溶液を白金電極を用い、水の電気分解を避ける
ために、標準カロメル電極に対して+〇、8Vの酸化電
位にて電解酸化重合し、80%酢酸、ピリジン及びN、
N−ジメチルホルムアミドに可溶性である物質が得られ
る。
そのほか、Diazら(J、 Electroanal
、 Chem、。
■1.1)1(1980)や、小山ら(高分子学会予稿
集。
30+ (7)、 1524(1981); J、 E
lectroanal、 Chem、。
161、399(1984))もアニリンの電解酸化重
合を試みているが、いずれも高分子被覆化学修飾電極を
目的としたものであって、電解はIV以下の電位で行な
っている。
尚、従来より既に種々の導電性有機重合体が知られてい
るが、一般的な傾向として安定性に劣る。
例えば、ポリアセチレンは理論的には興味深い導電性有
機重合体であるが、反面、橿めて酸化を受けやすく、空
気中で容易に酸化劣化して性質が大幅に変化する。ドー
ピングされた状態では一層酸化に対して敏感であり、空
気中の僅かな湿気によっても電導度が急激に減少する。
この傾向はn型半導体に特に著しい。
(発明の目的) 本発明者らは、安定で高導電性を有する有機重合体を得
るために、アニリンの酸化重合に関する研究を鋭意重ね
た結果、アニリンの酸化重合の反応条件を選択すること
により、上記エメラルデインよりも皇かに高分子量を有
し、且つ、既にその酸化重合段階で反応系に存在する電
子受容体によってドーピングされているために、新たな
ドーピング操作を要せずして安定で且つ高導電性を有す
る重合体を得ることができることを見出した(特願昭5
8−212280号及び特願昭58−212281号)
その後、本発明者らは、この重合体がキノンジイミン構
造を主たる繰返し単位として有する実質的に線状の高分
子量重合体であることを見出したが(特願昭59−19
8873号)、更に鋭意研究を進めた結果、連続した長
尺の基材シートをアニリン又はその誘導体の溶液に浸漬
させた後、これを酸化剤液に浸漬することにより、連続
シートに導電性有機重合体が直接に析出されてなる高導
電性可視性シートを容易に得ることができることを見出
して、本発明を完成したものである。
従って、本発明は、一般的には導電性シートを提供する
ことを目的とし、詳細には、上記した新規な導電性有機
重合体が直接に連続長尺シートに析出されてなる導電性
シートの連続製造方法を提供することを目的とする。
(発明の構成) 本発明による導電性シートの連続製造方法は、基材シー
トに一般式 (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)で表わされ
るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
る実質的に線状の重合体であって、ドーパントとしての
電子受容体を含む導電性有機重合体が析出されてなる導
電性シートを製造する方法において、基材シートにアニ
リン又はその誘導体の溶液を付着又は含浸させた後、酸
化剤液に接触させて、アニリン又はその誘導体の酸化重
合による導電性有機重合体を基材シートに析出させるこ
とを特徴とする。
先ず、本発明による導電性シートにおける新規な導電性
有機重合体について説明する。この導電性有機重合体は
、後述する方法に従って本発明による導電性シートを調
製し、これより導電性重合体を剥離して得ることができ
、又はシートの非存在下にアニリン又はその誘導体を所
定の条件下に酸化剤にて酸化重合することによって、粉
末として得ることができる。
かかる導電性有機重合体は、乾燥した粉末状態において
、通常、緑色乃至黒縁色を呈し、一般に導電性が高いほ
ど、鮮やかな緑色を呈している。
しかし、加圧成形した成形物は、通常、光沢のある青色
を示す。
本発明において、アニリン又はその誘導体を酸化重合さ
せて得られる導電性有機重合体は、水及び殆どの有機溶
剤に不溶性であるが、通常、濃硫酸に僅かに溶解し、又
は溶解する部分を含む。より詳細には、本発明における
導電性重合体の濃硫酸への溶解度は、重合体を生成させ
るための反応条件によっても若干具なるが、通常、0.
2〜10重量%の範囲であり、殆どの場合、0.25〜
5重量%の範囲である。但し、この溶解度は、特に高分
子量の重合体の場合には、重合体が上記範囲の溶解度を
有する部分を含むとして理解されるべきである。前記し
たように、エメラルデインが80%酢酸、冷ピリジン及
びN、N−ジメチルホルムアミドに可溶性であるのと著
しい対照をなす。
また、上記導電性重合体は、97%濃硫酸の0゜5 g
/di溶液が30℃において0.1〜1.0の範囲の対
数粘度を有し、殆どの場合、0.2〜0.6である。
この場合においても、特に高分子量の重合体の場合には
、濃硫酸に可溶性の部分が上記範囲の対数粘度を有する
として理解されるべきである。これに対して、同じ条件
下でのエメラルディン及びアニリンブラックの対数粘度
はそれぞれ0.02及び0.005であり、上記導電性
重合体が高分子量重合体であることが示される。更に、
熱重量分析結果も、上記導電性重合体が高分子量重合体
であることを示している。
本発明における導電性重合体の代表例として、アニリン
の酸化剤による酸化重合によって得られる導電性有機重
合体の赤外線吸収スペクトルを第1図に示し、比較のた
めにエメラルディン及びアニリンブラック(市販顔料と
してのダイヤモンド・ブラック)の赤外線吸収スペクト
ルをそれぞれ第2図及び第3図に示す。
本発明による導電性重合体の赤外線吸収スペクトルはエ
メラルデインのそれに類以するが、一方において、本発
明による重合体においては、エメラルデインに明瞭に認
められる一置換ベンゼンのC−H面外変角振動に基づく
吸収が殆どみられないのに対して、パラ置換ベンゼンに
基づく吸収が相対的に大きい。即ち、重合体鎖において
末端に位置する一置換ベンゼンBtと、重合体鎖におい
て末端以外に位置するベンゼン環Bとの数的な比率Bt
/Bが小さい。しかし、本発明の方法による重合体のス
ペクトルはアニリンブラックとは大幅に異なる。従って
、本発明の方法による重合体はパラ置換ベンゼンを多数
含むエメラルディン類以の構造を有する。
本発明の方法による重合体は、アニリン又はその誘導体
の酸化重合の段階で系中に存在する電子受容体によって
ドーピングされており、この結果として高導電性を有す
る。即ち、重合体から電子受容体への電荷移動が生じて
、重合体と電子受容体との間に電荷移動錯体を形成して
いる。本発明による重合体を例えばディスク状に成形し
て、これに一対の電極を取付け、これら電極間に温度差
を与えて半導体に特有の熱起電力を生ぜしめるとき、低
温電極側がプラス、高温電極側がマイナスの起電力を与
えるので、本発明による重合体はp型半導体であること
が示される。
更に、本発明による重合体は、アンモニア等にて化学補
償することによって導電性が大幅に減少し、また、外観
的にも黒縁色から紫色に変化し、これを再度硫酸等の電
子受容体にてドーピングすることにより、色も黒縁色に
戻ると共に、当初の高導電性を回復する。この変化は可
逆的であり、化学補償及びドーピングを繰り返して行な
っても同じ結果が得られる。第4図にこの化学補償及び
再ドーピングによる重合体の赤外線吸収スペクトルの変
化を示す。Aは当初の重合体、Bは化学補償した重合体
、及びCは再ドーピングした重合体を示す。Cのスペク
トルがAとほぼ完全に一致することが明らかであり、従
って、上記化学補償及び再ドーピングは重合体の骨格構
造の変化ではなく、重合体と化学補償試薬或いは電子受
容体との間の電子の授受である。このようにして、本発
明による重合体が酸化重合の段階で電子受容体にてドー
ピングされ、かくして、本発明による重合体はドーパン
トを含んでいることが理解される。
本発明による導電性重合体が含むドーパントとしては、
例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、塩化第二鉄
、四塩化スズ、二基化銅等のルイス酸、塩化水素、臭化
水素、硫酸、硝酸等の無機酸やピクリン酸、p−トルエ
ンスルホン酸等のを機成を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。
本発明による導電性有機重合体の化学構造は、上記した
赤外線吸収スペクトルのほか、重合体の元素分析によっ
て確認され、また、本発明による重合体をアンモニア等
で化学補償した重合体(以下、補償重合体という。)の
元素分析からも確認され、実質的に、前記繰返し単位か
らなる線状高分子重合体であり、π電子共役系がドーパ
ントを含むことによって高導電性を有するとみられる。
しかしながら、本発明の方法による重合体は、上記キノ
ンジイミン構造からなる繰返し単位と共に、その還元構
造である次の繰返し単位(IV)(IV) (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)を含んでい
てもよい。このような還元構造を含む重合体は、例えば
、本発明による重合体を部分的に還元することによって
容易に得ることができる。
また、前記(I)式で表わされる繰返し単位を有する本
発明の方法による導電性有機重合体を還元剤にて還元し
、上記(IV)式で表わされる繰返し単位を有する還元
構造重合体を得た後、電子受容体として有効な酸化剤に
より再び酸化することによって、本発明の方法による導
電性有機重合体を得ることもできる。
以上のように、本発明の方法に従って、アニリン又はそ
のSi 8体の酸化重合によって得られる導電性有機重
合体は、好ましくは、実質的に前記繰返し単位からなり
、その重合段階で既にプロトン酸等のドーパントによっ
てドーピングされているために、新たなドーピング処理
を要せずして高導電性を有し、しかも、長期間にわたっ
て空気中に放置しても、その導電性は何ら変化せず、従
来より知られているドーピングした導電性有機重合体に
比較して、特異的に高い安定性を有している。
次に、本発明による導電性シートの連続製造方法につい
て説明する。
本発明の方法は、基材シートにアニリン又はその誘導体
の溶液を付着又は含浸させた後、酸化剤液に接触させて
、アニリン又はその誘導体の酸化重合による導電性有機
重合体を基材シートに析出させるものである。
第6図は、かかる方法を実施するための好適な装置例を
示す。
即ち、基材シート1は、先ず、アニリン又はその誘導体
の溶液2を含む単量体槽3に導かれて、キスコーター4
によりアニリン又はその誘導体の溶液を含浸される。次
いで、乾燥器5にて乾燥された後、酸化剤液6を含む酸
化剤液槽7に導かれて、酸化剤液に浸漬される。上記ア
ニリン又はその誘導体の上記酸化剤液による反応は非常
に速やかであって、基材シートには速やかに導電性有機
重合体が析出する。次いで、基材シートは洗浄液槽8に
導かれ、洗浄される。洗浄液としては、通常、水が好適
であるが、前述したように、本発明による導電性有機重
合体は殆どの有機溶剤に不溶性であるので、必要に応じ
て、アセトン等の有機溶剤を用いることもできる。
このようにして導電性有機重合体が析出されたシートは
乾燥器9にて乾燥された後、必要に応じて、圧延ロール
10にて圧延されて、本発明による導電性シート1)を
得る。この導電性シートは、必要に応して、図示しない
製品巻取ロールに巻取られる。得られた導電性シートの
ロール圧延は、導電性重合体をシートに圧着するのに役
立ち、また、シートが多孔質膜の場合、その膜厚や微孔
孔径を調整するのにも役立つ。更に、シートに導電性重
合体を析出させた後、ロール圧延し、これに再び導電性
重合体を析出させる操作を繰り返してもよい。
上記において、アニリン誘導体としては、〇−メチルア
ニリン、m−メチルアニリン、0−エチルアニリン、m
−エチルアニリン等のアルキルアニリンや、アニリン又
は上記アルキルアニリンの塩が好ましく用いられる。ア
ニリン及びアルキルアニリンの塩としては、その溶液を
形成する溶剤に溶解すれば特に制限されるものではない
が、例えば、アニリン又はその誘導体の溶液として水溶
液を用いるのがを利であるので、この場合、水溶性の無
機酸塩が好ましく用いられる。通常、塩酸、硫酸等の鉱
酸塩が好適であるが、これらに限定されるものではない
。また、アニリン及びこれらのアルキルアニリンのなか
では、特に、高導電性重合体を与えるアニリンが好まし
く用いられる。
本発明においてアニリン又はその誘導体の溶液を形成す
るための溶剤には、水、水混和性有機溶剤及び水非混和
性有機溶剤の1種又は2種以上の混合物を用いることが
できるが、アニリン又はその誘導体の水溶性塩が用いら
れるときは、溶剤には通常、上記水溶性塩を溶解する水
、水混和性有機溶剤又はこれらの混合物が用いられ、ま
た、アニリン又はその誘導体自体が用いられるときは、
溶剤としては、アニリン又はアルキルアニリンのような
誘導体を溶解する水混和性有機溶剤又は水非混和性有機
溶剤が用いられる。例えば、水混和性有機溶剤としては
、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸等のケトン類、
エーテル類又は有機酸類が用いられ、また、水非混和性
有機溶剤としては四塩化炭素、炭化水素等が用いられる
本発明において用いる基材シートは、上記アニリン又は
その誘導体の溶液に対して濡れ性を有し、従って、基材
シートにアニリン又はその誘導体の溶液を付着又は含浸
させるときに、シート表面に上記溶液が付着し、或いは
溶液が内部にまで含浸され得るならば特に制限されるも
のではなく、得られる導電性シートの用途等に応じて適
宜に選ばれる。樹脂多孔質膜は、アニリン又はその誘導
体の溶液を内部まで一様に含浸し得るので、本発明にお
いで好ましく用いることができる基材シートである。
本発明の方法においては、基材シートは、上記したよう
に、アニリン又はその誘導体の溶液に濡れ性を有するこ
とが必要であるが、このため、アニリンやその水溶性塩
の溶液を用いるときは、基材シートがこれらに濡れ性を
有するように溶剤を選択してもよいが、また、基材シー
トをスパッタエツチング処理、紫外線や電子線の照射、
コロナ放電処理、アルカリ金属処理等の表面処理を施し
、用いるアニリン又はその誘導体の溶液に対して濡れ性
を付与することもできる。
例えば、アニリンやアルキルアニリンに対して良好な濡
れ性を有する親油性シートの場合は、アニリンやアルキ
ルアニリン又はその有機溶液を直接に基材シートに含浸
させてもよい。また、基材シートが親水性である場合に
は、アニリン水溶性塩の水溶液を基材シートに含浸させ
ればよい。
しかし、ポリテトラフルオロエチレンからなる基材シー
トのように、アニリンやアルキルアニリンに対しても、
また、これらの水溶性塩の水溶液に対しても良好な濡れ
性を有しない場合は、例えば、ポリテトラフルオロエチ
レンに対して親和性を有する有機溶剤、例えば、エタノ
ール等にアニリン又はその誘導体を溶解させ、これを基
材シートに付着又は含浸させればよい。尚、アニリン又
はその誘導体の溶液を基材シートに付着又は含浸させた
場合、その溶液を形成する溶剤が後述する酸化剤によっ
て酸化されるものであるときは、上記付着又は含浸後の
基材シートを乾燥し、溶剤を除去するのが望ましい。
用いる基材シートの素材は特に制限されず、得られる導
電性シートの用途によって適宜に選択されるが、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、セルロース
誘導体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリテ
トラフルオロエチレン及びポリフッ化ビニリデン等のフ
ッ素樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
イミド、ポリアミド等を挙げることができる。
用いる酸化剤は特に制限されるものではないが、好まし
く用い得る酸化剤として、例えば、重クロム酸カリウム
、重クロム酸ナトリウム等の重クロム酸塩、過酸化水素
、過マンガン酸カリウム、過塩素酸塩、ペルオキソ硫酸
塩、硝酸セリウム(IV)アンモニウム等を挙げること
ができる。プロトン酸の存在下に酸化作用を有する酸化
剤については、酸化剤はプロトン酸を含有するものとす
る。プロトン酸としては何ら制限されるものではないが
、通常、硫酸、塩酸、臭化水素酸、テトラフロオロホウ
酸(HBF4) 、ヘキサフルオロリン酸(HBF、)
等が用いられるが、特に塩酸、硫酸が好適である。
アニリン又はその誘導体の水溶性塩を形成するために鉱
酸を用いるとき、この鉱酸は上記プロトン酸と同じでも
、異なってもよい。
アニリン又はその誘導体の溶液を付着又は含浸させた基
材シートに酸化剤液を含浸させて、酸化重合を行なわせ
る際の反応温度、即ち、酸化剤液の温度は、高温である
ほど、得られる導電性シートの導電性が小さくなる傾向
があるので、高い導電性を有するシートを得る観点から
は常温以下が好ましい。
以上のようにして得られる本発明による導電性シートは
、析出された導電性アニリン重合体によって、通常、緑
色乃至黒縁色を呈し、一般に導電性が高いほど鮮やかな
緑色を呈している。しかし、このシートをロール加圧す
ると、通常、光沢のある青色を示す。
また、基材シートとして多孔質膜を用いる場合は、アニ
リン又はその誘導体の溶液が含浸された多孔質膜が酸化
剤液に浸漬されるとき、多孔質膜の微孔を形成する壁体
表面を含む多孔質膜表面に導電性酸化重合体が析出し、
全体として導電性の多孔質膜を与える。他方、例えば、
多孔質膜であっても、膜の片面にアニリン又はその誘導
体溶液や酸化剤液が透過しないフィルムを貼着しておけ
ば、一方の表面近傍のみに導電性有機重合体が析出され
てなる異方性導電性多孔質膜を得ることもできる。
本発明の型温度シートにおいて、形成されたアニリン又
はその誘導体の導電性重合体は、導電性シートの電導度
が10−63/c+++以上であるときは、その重合体
は水及び殆どの有機溶剤に不溶性であり、特に、N、N
−ジメチルホルムアミドにも実質的に不溶性であるが、
濃硫酸には可溶性である。
但し、濃硫酸に不溶性の部分を含むこともある。
このような重合体の溶解特性は、前記したように、エメ
ラルデインの溶解特性と著しく異なる。
(発明の効果) 以上のように、本発明による導電性シートは、シートに
析出された導電性重合体がドーパントを含有して高導電
性を有し、しかも、長期間にわたって空気中に放置して
も、その導電性は何ら変化せず、従来より知られている
ドーピングした導電性有機重合体に比較して、特異的に
高い安定性を有している。従って、本発明による導電性
シートは安定で、且つ高導電性を有する。
(実施例) 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこ
れら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 本実施例においては、本発明の方法による導電性アニリ
ン重合体の化学構造を決定すると共に、その他の物性を
評価するために、実験室的にバッチ方式にて先に規定し
た条件下にアニリンを酸化剤にて酸化重合させた。
(1)重合体の製造 300n+1容量のフラスコ中に水45gを入れ、濃塩
酸4mlを加え、更にアニリン5g(0,053゜7モ
ル)を溶解させ、アニリン塩酸塩水溶液を調製し、氷水
でフラスコを冷却した。
別に、水2 B、 8 gに濃硫酸4.61 g (0
,047モル)を加え、更に重クロム酸カリウム1.8
4 g(0,00625モル)を溶解させた酸化剤水溶
液(プロトン酸/重クロム酸カリウムモル比7.5)を
調製し、これを氷水で冷却した上記アニリンの塩酸塩水
溶液中に攪拌下、滴下ろうとから30分間を要して滴下
した。滴下開始後、最初の2〜3分間は溶液が黄色に着
色したのみであったが、その後、速やかに緑色固体が析
出し、反応液は黒縁色を呈した。
滴下終了後、更に30分間攪拌し、この後、反応混合物
をアセトン400m1中に投じ、2時間攪拌し、次いで
、重合体を濾別した。得られた重合体を蒸留水中で攪拌
洗滌し、濾別し、このようにして濾液が中性になるまで
洗滌を繰り返した。次いで、濾別した重合体をアセトン
により濾液が着色しなくなるまで洗滌を繰り返した。濾
別した重合体を五酸化リン上、室温で10時間真空乾燥
し、本発明による導電性有機重合体を緑色粉末として得
た。
(2)重合体の物性 上で得た重合体を室温において濃度97%の濃硫酸に加
え、攪拌して、その溶解度を調べたところ、溶解量は1
.2重量%であった。また、濃度0゜5g/dlとした
この重合体の97%濃硫酸溶液の温度30°Cにおける
対数粘度は0.46であった。比較のために、エメラル
デイン及びダイヤモンド・ブラックの同じ条件下での粘
度はそれぞれ0.02及び0.005であった。
更に、上記重合体及びエメラルデインについての空気中
における熱重量分析の結果を第5図に示す。昇温速度は
10°C/分である。
次に、上で得た重合体成形物120mgを瑞瑞製乳鉢で
粉砕した後、赤外分光光度計用錠剤成形器にて圧力60
00 kg/antで直径13+nのディスクに加圧成
形した。幅約1鰭の銅箔4本を銀ペースト又はグラファ
イトペーストでディスクの四隅に接着し、空気中でファ
ン・デル・ポウ法に従って測定した結果、電導度は2.
 OS / cmであった。この重合体成形物は、10
−2Torrの真空中で測定しても、はぼ同じ電導度を
示した。このディスクを4か月間空気中に放置したが、
電導度は実質的に変化しなかった。
尚、以下においても、導電性重合体及び導電性多孔質膜
の電導度の測定は上記四端子法によった。
(3)重合体の赤外線吸収スペクトル 上で得た重合体の赤外線吸収スペクトルを第1図に示す
。比較のために、エメラルディン及び市版ダイヤモンド
・ブラックの赤外線吸収スペクトルをそれぞれ第2図及
び第3図に示す。尚、エメラルデインは A、 G、 
Green らの方法によって調製した(八、 G、 
Green et al、+ J、 Chem、 So
c、、97゜2388 (1910) )。
本発明による重合体の赤外線吸収スペクトルは、エメラ
ルデインのそれと類似するが、同時に大きい差違もある
。即ち、エメラルデインには一置換ベンゼンに基づ(C
−H面外変角振動による69Qcm”’及び740cm
−’の明瞭な吸収が認められるが、本発明による重合体
においては、これらの吸収は殆ど認められず、代わりに
パラ置換ベンゼンを示す800cm−’の吸収が強く認
められる。これはエメラルデインが低分子量体であるた
めに、分子末端の一置換ベンゼンに基づく吸収が相対的
に強く現われるのに対して、本発明による重合体は高分
子量体であるために、高分子鎖をなすパラ置換ベンゼン
に基づく吸収が相対的に強く現われるからである。これ
に対して、アニリンブラックの赤外線吸収スペクトルは
本発明による重合体及びエメラルデインのいずれとも顕
著に相違し、特に、3200〜3400cm−’付近の
広幅の吸収、1680cm−’にあるキノン性カルボニ
ル基と認められる吸収、1200〜1300 cm−貫
のC−N伸縮振動領域、600cm−’以下の領域等に
おいて異なることが明らかである。
本発明による重合体における赤外線吸収スペクトルの帰
属は次のとおりである。
1610cm−’ (ショルダー、C=N伸縮振動)1
570.1480cm−’ (ベンゼン環C−C伸縮振
動) 1300.1240cm−’ (C−N伸縮振動)1)
20cm−’ (ドーパントに基づく吸収。ドーパント
の種類によらず、はぼ同じ位置に吸収を有する。) 800Cm−’(パラ置換ベンゼンC−H面外片角振動
) 740.690Cm−’ (−置換ベンゼンC−H面外
変角振動) また、本発明による上記重合体をアンモニア補償したと
きの赤外線吸収スペクトルを第4図Bに示し、これを5
N硫酸で再びドーピングした後の赤外線吸収スペクトル
を第4図Cに示す。この再ドーピング後のスペクトルは
第4図Aに示す当初のそれとほぼ完全に同じであり、更
に、電導度もアンモニア補償前と同じである。また、電
導度の変化は、補償前Aは0.45 S / cm、補
償後Bは1゜6X10−8S/Cl1)、再ドーピング
後Cは0.313/鍾であった。従って、本発明による
重合体は、その酸化重合の段階で用いたプロトン酸によ
って既にドーピングされていることが示される。
(4)重合体の化学構造 上で得た化学酸化法による導電性重合体の元素分析値を
示す。尚、重合体を水洗及びアセトン洗滌によって精製
を繰り返しても、元素分析後に無水酸化クロム(Crz
(h)の緑色粉末が残渣として残ることが認められるの
で、実測元素分析値と共に、その合計を100としたと
きのそれぞれの換算値を併せて示す。換算値が理論値と
一致することが認められる。
また、アンモニアにて化学補償した重合体についても結
果を示す。
(a)硫酸をドーパントとして含む重合体C1□HaN
z(IIzSO4)。、、8理論値   測定値   
換算値 C60,7958,1)60,99 H3,894,054,25 N   1).81   10.80   1).34
S    7.84    7.45    7.82
0  15.66    (14,87)   (15
,61)尚、理論式における硫酸量は、イオウの実測値
から算出し、この硫酸量に基づいて理論値における酸素
量を算出した。また、測定値における酸素量は、イオウ
の測定値から硫酸量を算出し、この硫酸量から算出した
(bl補償重合体 C1□1(eNz 理論値   測定値   換算値 C79,9873,2479,77 H4,484,344,73 N    15.54    14.23    15
.50実施例2 図示した装置において、アニリン溶液槽にアユリン25
重景%を含むエタノール溶液を、また、酸化剤液槽に重
クロム酸カリウムの硫酸酸性水溶液(重クロム酸カリウ
ム/硫酸/水重量比−2/15/60、プロトン酸/重
クロム酸カリウムモル比= 0.4 )を入れた。
ポリテトラフルオロエチレンからなる連続長尺の多孔質
膜(ダイキン工業■製ポリフロンペーパー)をアニリン
溶液槽に導いて、アニリン溶液を含浸させ、次いで、こ
れを酸化剤液槽に導いて酸化剤が含浸させた後、水洗、
乾燥して、導電性有機重合体を析出させた多孔質膜を得
た。
上記連続多孔質膜から試験片を切り取り、水洗し、アセ
トンが無色透明になるまでアセトンによる洗滌を繰り返
した後、60℃の温度で1時間乾燥して、本発明による
導電性多孔質膜を得た。この膜は4.5 X 10””
S/amの型温度を有していた。
実施例3 実施例2において、ポリプロピレンからなる連続多孔質
膜(ポリプラスチック社製ジュラガード)を用いた以外
は、実施例2と全く同様にして、導電性多孔質膜を得た
。この膜は2.9 x 10−2S/Cmの型温度を示
した。
実施例3 実施例2において、アニリン溶液として、塩酸アニリン
の10重量%水溶液を用い、且つ、多孔質膜としてエチ
レン−ビニルアルコール共重合体からなる多孔質膜を用
いた以外は、実施例2七全く同様にして、導電性多孔質
膜を得た。この膜は3.2 X L 0−2S/cmの
型温度を示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法による導電性有機重合体の赤外線
吸収スペクトル、第2図及び第3図はそれぞれエメラル
デイン及びアニリン・ブラックの赤外線吸収スペクトル
、第4図は化学酸化法による導電性重合体を化学補償し
たときのスペクトル変化を示し、Aは本発明による重合
体、Bはこの重合体をアンモニア補償して得られる重合
体、及びCはBの重合体を硫酸で再ドーピングして得ら
れる重合体のそれぞれの赤外線吸収スペクトルである。 第5図はアニリン重合体及びエメラルデインの加熱によ
る重量残存率を示すグラフである。 第6図は本発明の方法を実施するための好適な装置例を
示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)基材シートに一般式 ▲数式、化学式、表等があります▼ (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)で表わされ
    るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
    る実質的に線状の重合体であつて、ドーパントとしての
    電子受容体を含む導電性有機重合体が析出されてなる導
    電性シートを製造する方法において、基材シートにアニ
    リン又はその誘導体の溶液を付着又は含浸させた後、酸
    化剤液に接触させて、アニリン又はその誘導体の酸化重
    合による導電性有機重合体を基材シートに析出させるこ
    とを特徴とする導電性シートの連続製造方法。
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