JPS61258832A - 導電性有機重合体及びその製造方法 - Google Patents

導電性有機重合体及びその製造方法

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JPS61258832A
JPS61258832A JP10030685A JP10030685A JPS61258832A JP S61258832 A JPS61258832 A JP S61258832A JP 10030685 A JP10030685 A JP 10030685A JP 10030685 A JP10030685 A JP 10030685A JP S61258832 A JPS61258832 A JP S61258832A
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JP
Japan
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conductive organic
polymer
organic polymer
precursor
aniline
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Application number
JP10030685A
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English (en)
Inventor
Yoshimi Yumoto
湯本 恵視
Masao Abe
正男 阿部
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規な導電性有機重合体及びその製造方法に関
し、詳しくは、アニリン又はその誘導体の酸化重合によ
り得られる新規な導電性有機重合体の製造方法に関する
(従来の技術) 殆どの有機物質は電気的に絶縁性であるが、しかし、有
機半導体として知られる導電性を有する有機重合体の一
群が近年、注目を集めている。−般にそれ自体が導電性
である有機物質は3種類に分類される。第1はグラファ
イトである。グラファイトは厳密には有機物質とはみな
されていないが、有機共役系の極限構造を有するとみる
こともできる。このグラファイトはそれ自体で既にかな
り高い導電性を有するが、これに種々の化合物をインタ
ーカレートすることにより、一層高い導電性を有せしめ
ることができ、遂には超電導体となる。しかし、グラフ
ァイトは二次元性が強く、成形加工が困難であるので、
その応用面において障害となっている。
第2は電荷移動錯体であって、例えば、テトラチアフル
バレンとテトラシアノキノジメタンをそれぞれ電子供与
体及び電子受容体として得られる結晶性物質は、室温で
400〜5003/amという非常に大きい電導性を有
するが、このような電荷移動錯体は重合体でないために
、実用的な応用を図るにはグラファイトと同様に成形加
工性に難点がある。
第3はポリアセチレンによって代表されるように、ドー
ピングによって高導電性を有するに至るπ電子共役系有
機重合体である。ドーピング前のポリアセチレンの型温
度は、トランス型が10−53 / cm、シス型が1
O−9S/cmであり、半導体乃至絶縁体に近い性質を
有している。しかし、このようなポリアセチレンに五フ
ッ化ヒ素、ヨウ素、二酸化イオウ、塩化第二鉄等のよう
な電子受容体或いはアルカリ金属のような電子供与体を
ドーピングすることにより、それぞれp型半導体及びn
型半導体を形成させることができ、更には103S /
 cmもの導体レベルの高い導電性を与えることもでき
る。上記ポリアセチレンは理論的には興味深い導電性有
機重合体であるが、反面、ポリアセチレンは極めて酸化
を受けやすく、空気中で容易に酸化劣化して性質が大幅
に変化する。ドーピングされた状態では一層酸化に対し
て敏感であり、空気中の僅かな湿気によっても型温度が
急激に減少する。この傾向は電子供与体をドーパントと
して含むn型半導体に特に著しい。
また、ポリ (p−フェニレン)やポリ (p−フェニ
レンサルファイド)もドーピング前はその型温度がそれ
ぞれ1O−9S/cm及び10−16S/cmであるが
、例えば前記した五フッ化ヒ素をドーピングすることに
より、それぞれ型温度は500S/ cm及びI S 
/ cmである導電性有機重合体とすることができる。
これらのドーピングされた有機重合体の電気的性質も程
度の差こそあれ、やはり不安定である。
更に、近年、ピロール、チオフェン等に代表さhる複素
環化合物を電解酸化することによって、導電性有機重合
体を得ることができることも知られている(K、 Ka
nazawa at at、、 Met、、 L 32
9(1980); G、 Tourillon et 
al、、 J、 Electroanal。
Chem、、 135.173(1982))。
このようにドーピングされた導電性有機重合体の電気的
性質が一般に環境に対して非常に不安定であることは、
この種の導電性有機重合体に共通する現象であって、こ
れらの実用的な応用の障害となっている。
以上のように、従来より種々の有機導電性物質が知られ
ているが、その実用的な応用を展開する観点からは成形
加工性にすぐれる重合体形態が好ましい。
一方、酸化染料としてのアニリンの酸化重合体に関する
研究も、アニリンブラックに関連して古くより行なわれ
ている。特に、アニリンブラック生成の中間体として、
式(I)で表わされるアニリンの8量体がエメラルデイ
ン(emeraldine)として確認されており (
A、 G、 Green et al、、 J。
Chem、 Soc、、 97.2388(1910)
: 101.1117(1912))、これは80%酢
酸、冷ピリジン及びN、N−ジメチルホルムアミドに可
溶性である。また、このエメラルデインはアンモニア性
媒体中で酸化されて、式(n)で表わされるニグラニリ
ン(nigrani 1ine)を生成し、これもエメ
ラルデインと類似した溶解特性を有することが知られて
いる。
更に、近年になって、R,Buvetらによってこのエ
メラルデインの硫酸塩が高い導電性を有することが見い
出されている(J、 Polymer Sci、、 C
+ 16+2931 ; 2943(1967); 2
2.1187(1969))。
また、既にアニリンの電解酸化重合によってエメラルデ
ィン類似の有機物質を得ることができることも知られて
いる(D、 M、 Mohilner et al、、
 J。
Amer、 Chem、 Soc、、 84.3618
(1962)) 、即ち、これによれば、アニリンの硫
酸水溶液を白金電極を用い、水の電気分解を避けるため
に、標準カロメル電極に対して+〇、8Vの酸化電位に
て電解酸化重合し、80%酢酸、ピリジン及びN、N−
ジメチルホルムアミドに可溶性である物質が得られる。
そのほか、Diazら(J、EIectroanal、
Chem、、  111、111(1980)や、小山
ら(高分子学会予稿集。
30、 (7)、 1524(1981); J、 E
lectroanal、 Chem、。
16L 399(1984))もアニリンの電解酸化重
合を試みているが、いずれも高分子被覆化学修飾電極を
目的としたものであって、電解は1■以下の電位で行な
っている。
(発明の目的) 本発明者らは、安定で高導電性を有する有機重合体を得
るために、アニリン及びその誘導体の酸化重合に関する
研究を鋭意重ねた結果、アニリンの酸化重合の反応条件
を選択することにより、上記エメラルデインよりも蟲か
に高分子量を有し、且つ、既にその酸化重合段階で電子
受容体によってドーピングされているために、新たなド
ーピング操作を要せずして、安定で且つp型半導体であ
る導電性有機重合体を得ることができることを見出した
(特願昭58−212280号及び特願昭58−212
281号)。
その後、本発明者らは更に鋭意研究した結果、この導電
性有機重合体がキノンジイミン構造を主たる繰返し単位
として有する実質的に線状の高分子量重合体であること
を見出す(特願昭59−198873号)と共に、この
p型厚電性有機重合体に電子供与体を作用させることに
よって、この電子供与体をドーパントとして含み、キノ
ンジイミン構造を主たる繰返し単位として有する実質的
に線状の高分子量重合体からなるn型導電性有機重合体
を得ることができることを見出して、本発明に至ったも
のである。
(発明の構成) 本発明による導電性有機重合体は、実質的に一般式 (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)で表わされ
るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
る実質的に線状の重合体であって、ドーパントとしての
電子供与体を含むことを特徴とする。
また、本発明によるn型導電性有機重合体は、実質的に
一般式 (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)で表わされ
るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
る実質的に線状の重合体であって、ドーパントとしての
電子受容体を含むp型厚電性有機重合体に電子供与体を
作用させることによって得ることができる。
先ず、本発明によるn型導電性有機重合体を製造する方
法において、前駆体として用いるp型温電性有機重合体
(以下、単に前駆体導電性有機重合体ということがある
。)について説明する。
前駆体導電性有機重合体は、アニリン又はその誘導体を
化学酸化剤にて酸化重合し、又は電解酸化重合すること
によって得ることができ、実質的に一般式 (但し、Rは水素又はアルキル基を示す、)で表わされ
るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
る実質的に線状の重合体であって、酸化重合反応系中に
存在する電子受容体をドーパントとして含み、型温度が
1O−6S/c++以上である。
このような前駆体導電性有機重合体は、乾燥した粉末状
態において、通常、緑色乃至黒縁色を呈し、一般に導電
性が高いほど、鮮やかな緑色を呈している。しかし、加
圧成形した成形物は、通常、光沢のある青色を示す。
先ず、アニリン又はその誘導体を化学酸化剤にて酸化重
合して得られる前駆体導電性有機重合体について説明す
る。
アニリン又はその誘導体を化学酸化して得られる前駆体
導電性有機重合体は水及び殆どの有機溶剤に不溶性であ
るが、通常、濃硫酸に僅かに溶解し、又は溶解する部分
を含む。濃硫酸への溶解度は、重合体を生成させるため
の反応方法及び反応条件によっても異なるが、通常、0
.2〜lO重量%の範囲であり、殆どの場合、0.25
〜5重量%の範囲である。但し、この溶解度は、特に高
分子量の重合体の場合には、重合体が上記範囲の溶解度
を有する部分を含むとして理解されるべきである。前記
したように、エメラルデインが80%酢酸、冷ピリジン
及びN、N−ジメチルホルムアミド      )に可
溶性であるのと著しい対照をなす。
また、上記前駆体導電性有機重合体は、97%濃硫酸の
0.5 g/di溶液が30℃において0.1〜1゜0
の範囲の対数粘度を有し、殆どの場合、0.2〜0.6
である。この場合においても、特に高分子量の重合体の
場合には、濃硫酸に可溶性の部分が上記範囲の対数粘度
を有するとして理解されるべきである。これに対して、
同じ条件下でのエメラルデイン及びアニリンブラックの
対数粘度はそれぞれ0.02及び0.005であり、上
記前駆体導電性有機重合体明による重合体が高分子量重
合体であることが示される。更に、示差熱分析結果も本
発明による重合体が高分子量重合体であることを示して
いる。
かかる前駆体導電性有機重合体の代表例として、アニリ
ンの化学酸化重合によって得られた重合体の赤外線吸収
スペクトルを第1図に示し、比較のためにエメラルデイ
ン及びアニリンブラック(市販顔料としてのダイヤモン
ド・ブラック)の赤外線吸収スペクトルをそれぞれ第2
図及び第3図に示す。
上記前駆体導電性有機重合体の赤外線吸収スペクトルは
、エメラルデインのそれに頻尿するが、一方において、
エメラルデインに明瞭に認められる一置換ベンゼンのC
−H面外変角振動に基づく吸収が殆どみられないのに対
して、バラ置換ベンゼンに基づく吸収が相対的に大きい
。即ち、重合体鎖において末端に位置する一置換ベンゼ
ンBtと、重合体鎖において末端以外に位置するベンゼ
ン環Bとの数的な比率Bt/Bが小さい。しかし、前駆
体導電性有機重合体のスペクトルはアニリンブラックと
は大幅に異なる。従って、前駆体導電性有機重合体は、
パラ置換ベンゼンを多数含むエメラルデイン頻尿の構造
を有する。
上記前駆体導電性有機重合体は、アニリン又はその誘導
体の化学酸化重合の段階で系中に存在する電子受容体に
よってドーピングされており、この結果として高導電性
を有する。即ち、重合体から電子受容体への電荷移動が
生じて、重合体と電子受容体との間に電荷移動錯体を形
成している。
前駆体導電性有機重合体を例えばディスク状に成形して
、これに一対の電極を取付け、これら電極間に温度差を
与えて半導体に特有の熱起電力を生せしめるとき、低温
電極側がプラス、高温電極側がマイナスの起電力を与え
るので、前駆体導電性有機重合体はp型半導体であるこ
とが示される。
更に、上記前駆体導電性有機重合体は、アンモニア等に
て化学補償することによって導電性が大幅に減少し、ま
た、外観的にも黒縁色から紫色に変化し、これを再度硫
酸等の電子受容体にてドーピングすることにより、色も
黒縁色に戻ると共に、当初の高導電性を回復する。この
変化は可逆的であり、化学補償及びドーピングを繰り返
して行なっても同じ結果が得られる。第4図にこの化学
補償及び再ドーピングによる重合体の赤外線吸収スペク
トルの変化を示す。スペクトル(A)は当初の重合体、
スペクトル(B)は化学補償した重合体、及びスペクト
ル(C)は再ドーピングした重合体を示す。スペクトル
(C)がスペクトル(A)とほぼ完全に一致することが
明らかであり、従って、上記化学補償及び再ドーピング
は重合体の骨格構造の変化ではなく、重合体と化学補償
試薬或いは電子受容体との間の電子の授受である。この
ようにして、本発明において用いる前記前駆体導電性有
機重合体が化学酸化重合の段階で電子受容体にてドーピ
ングされ、電子受容体をドーパントとして含んでいるこ
とが理解される。
本発明において、上記前駆体導電性有機重合体は、電子
受容体であるドーパントとしては、例えば、塩素、臭素
、ヨウ素等のハロゲン、塩化第二鉄、四塩化スズ、二基
化銅等のルイス酸、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸等
の無機酸やピクリン酸、p−トルエンスルホン酸等の有
機酸を挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。
上記前駆体導電性有機重合体の化学構造は、上記した赤
外線吸収スペクトルのほか、重合体の元素分析によって
確認され、また、前駆体導電性有機重合体をアンモニア
等で化学補償した重合体(以下、補償重合体という。)
の元素分析からも確認され、実質的に、前記繰返し単位
からなる線状高分子重合体であり、π電子共役系がドー
パントを含むことによって高導電性を有するとみられる
しかしながら、上記前駆体導電性有機重合体は、上記キ
ノンジイミン構造からなる繰返し単位と共に、その還元
構造である次の繰返し単位(IV)(TV) (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)を含んでい
てもよい。このような還元構造を含む重合体は、例えば
、前駆体導電性有機重合体を部分的に還元することによ
って容易に得ることができる。また、前記(III)式
で表わされる繰返し単位を有する上記前駆体導電性有機
重合体を還元剤にて還元し、上記(IV)式で表わされ
る繰返し単位を有する還元構造重合体を得た後、電子受
容体として有効な酸化剤により再び酸化することによっ
て、前駆体導電性有機重合体を得ることもできる。
以上のように、アニリン又はその誘導体の酸化重合によ
って得られる重合体であって、本発明の方法において、
n型導電性有機重合体の製造に用いる前駆体としてのp
型厚電性有機重合体は、好ましくは、実質的に前記繰返
し単位(III)からなり、その重合段階で既にプロト
ン酸等の電子受容体であるドーパントによってドーピン
グされているために、新たなドーピング処理を要せずし
て高導電性を有し、しかも、長期間にわたって空気中に
放置しても、その導電性は何ら変化せず、従来より知ら
れているドーピングした導電性有機重合体に比較して、
特異的に高い安定性を有している。
かかる前駆体導電性有機重合体は、好ましくは、標準水
素電極を基準として還元過程によって定まる標準電極電
位が0.6V以上である酸化剤と、必要に応じてプロト
ン供給体とを含む酸化剤液によってアニリン又はその誘
導体を酸化重合することによって得ることができる。
アニリン誘導体としては、0−メチルアニリン、m−メ
チルアニリン、0−エチルアニリン、m−エチルアニリ
ン等のアルキルアニリンが好ましく用いられる。また、
アニリン及びその誘導体の塩としては、反応媒体に溶解
すれば特に制限されるものではないが、例えば、反応媒
体が水であるとき、無機酸の水溶性塩が好ましく用いら
れる。通常、塩酸、硫酸等の鉱酸塩が好適であるが、こ
れらに限定されるものではない。アニリン及びこれらの
アルキルアニリンのなかでは、特に、高導電性重合体を
与えるアニリンが好ましく用いられる。
上記前駆体導電性有機重合体を得るには、好ましくは、
上記した酸化剤が用いられる。一般に、酸化剤の酸化力
の強さを表わす指標として、標準電極電位が知られてい
る。この標準電極電位とは、酸化剤が被酸化物から電子
を得て、自身は還元されるときの化学反応を、外部回路
から電子を受は入れる電極からなる半電池とみて、この
場合の半電池の起電力の大きさをいい、従って、この標
準電極電位によって酸化剤の酸化力を定量化することが
できる。電気化学の分野においては、よく知られている
ように、かかる標準電極電位のための基準電極として、
水素圧が1気圧であって、且つ、溶液中の水素イオン活
量が単位活量である標準水素電極を用い、この標準水素
電極の電位をOVとして、標準電極電位が定められる。
本発明においては、この標準電極電位は、標準水素電極
を基準とする還元半電池反応における起電力として定義
される。
即ち、一般に、酸化剤Oxが電子e−を得て、自身は還
元剤Redになる電極反応、 Ox + n e−−* Red における電極電位Eは、標準電極電位をEoとして、次
のネルンスト式で与えられる。
nF    ar、4 (但し、Fはファラデ一定数、nは反応に関与する電子
の数、aは活量、Rは気体定数、Tは絶対温度を示す。
) ここで、すべての活量aが1である標準状態においては
、上記式中の対数項が0となって、E=E0である。即
ち、電極電位Eは標準電極電位E0と等しい。
実際の酸化重合条件下での反応系における酸化剤の電位
は、厳密には、上記ネルンスト式によって活量を含む対
数項を考慮して計算する必要があるが、しかし、酸化剤
を選択するに際しては、酸化剤の酸化力の序列はこの標
準電極電位の序列にほぼ一致するので、活量項を含まな
い標準状態での電位、即ち、標準電極電位を用いても、
実質的に何ら問題がない。
尚、本発明においては標準電極電位は、CrzO?!−
のように、その還元半電池反応にプロトンが関与する場
合は、プロトンが関与する反応における標準電極電位に
よるものとし、アニリン又はその誘導体を酸化重合させ
る反応においては、反応系には所要量又はそれ以上のプ
ロトンを供給するプロトン供与体、代表的には硫酸、塩
酸等のプロトン酸を存在させるものとする。反対に、ペ
ルオキソ硫酸塩やセリウム(IV)塩は、その還元半電
池反応にプロトンは関与しない。従って、これらを酸化
剤として用いる場合は、反応系にはプロトン供与体を存
在させる必要はないが、しかし、反応系にプロトン供与
体を存在させることは何ら差支えなく、また、反応によ
って得られる有機重合体に高導電性を付与するために、
プロトン供与体を存在させることが好ましい場合がある
このような標準電極電位は、例えば2.r CRCハン
ドブック・オブ・ケミストリー・アンド・フィジックス
J  (CRCプレス社D−155〜D−160や、電
気化学便覧編「電気化学便覧」 (丸首@)第71〜7
4頁に記載されている。
更に、標準電極電位の高い酸化剤を用いる場合は、プロ
トン酸を選択して用いることが望ましい。
例えば、酸化剤として、標準電極電位がそれぞれ1.3
6V及び1.09Vである塩素及び臭素を用いる場合、
プロトン酸として塩酸や臭化水素酸を用いるとき、それ
ぞれ 2C1−−C12+ 2e − 2Br−→Brz + 2e − なる反応がアニリンやその誘導体の酸化よりも優先して
起こり、得られる前駆体導電性有機重合体の型温度が低
くなるので、プロトン酸としては硫酸を用いることが好
ましい。
種々の酸化剤の25℃における還元半電池反応とその標
準電極電位、本発明における前駆体導電性有機重合体を
得るための酸化剤としての適用性、及び得られた導電性
有機重合体の型温度を表に示す。この結果から、標準電
極電位が0.6 V以上である酸化剤を用いることによ
って、型温度が10−”S/am以上である前駆体導電
性有機重合体を得ることができることが理解される。尚
、表に示す結果は、塩酸アニリンを水溶液中で酸化剤に
よって酸化重合させたときの結果であり、且つ、酸化重
合の条件として、反応系中にプロトン酸が存在する方が
高導電性の前駆体重合体を得やすいので、反応系中には
酸化剤に対して十分な量の硫酸が添加されている。
上記のような酸化剤によってアニリン又はその誘導体を
化学酸化して、前駆体導電性有機重合体を得るに際して
は、反応媒体としては、水、水温相性有機溶剤及び水非
混和性有機溶剤の1種又は2種以上の混合物を用いるこ
とができるが、アニリン又はアルキルアニリンの水溶性
塩が用いられるときは、反応媒体には通常、これら水溶
性塩を溶解する水、水混和性有機溶剤又はこれらの混釡
物が用いられ、また、アニリンやアルキルアニリン自体
が用いられるときは、反応媒体としては、これらを溶解
する水混和性有機溶剤又は水非混和性有機溶剤が用いら
れる。尚、上記有機溶剤はいずれも用いる酸化剤によっ
て酸化されないことが必要である。例えば、水混和性有
機溶剤としては、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸
等のケトン類、エーテル類又は有機酸類が用いられ、ま
た、水非混和性有機溶剤としては、クロロホルム、四塩
化炭素、炭化水素等が用いられる。
化学酸化による前駆体導電性有機重合体の特に好ましい
製造方法は、アニリン若しくはアルキルアニリン又はこ
れらの塩を反応媒体中に溶解させ、この溶液に前記した
酸化剤液を徐々に加えて、酸化重合させる方法である。
しかし、アニリン、その誘導体又はこれらの塩を溶解さ
せた溶液中に所要量の酸化剤液を一度に加えてもよい。
また、酸化剤液中にアニリン、その誘導体又はこれらの
塩を溶解させた溶液を添加してもよい。前記したように
、反応系中にプロトン供与体を存在させる必要がある場
合は、アニリン又はその誘導体溶液及び/又は酸化剤液
中に含有させればよい。
反応温度は溶剤の沸点以下であれば特に制限されないが
、反応温度が高温になるほど、得られる酸化重合体の導
電性が小さくなる傾向があるので、高い導電性を有する
重合体を得る観点からは常温以下が好ましい。
上記のような方法によれば、反応開始後、通常、数分程
度の誘導期間を経た後、直ちに重合体が析出する。この
ように反応は直ちに終了するが、通常、その後数分乃至
数時間、熟成のために攪拌してもよい。次いで、反応混
合物を大量の水中又は有機溶剤中に投入し、重合体を濾
別し、濾液が中性になるまで水洗した後、アセトン等の
有機溶剤にてこれが着色しなくなるまで洗滌し、真空乾
燥して、前駆体導電性有機重合体を得る。
また、前駆体導電性有機重合体は、アニリン又はその誘
導体を電解酸化重合することによっても得ることができ
る。特に好ましくは、アニリン又はその誘導体と、これ
に対して当量以上のプロトン酸を含有するアニリン又は
その誘導体の溶液を標準カロメル電極に対して+1■よ
りも高い電解電位にて電流密度0.01mA/c11!
乃至I A / crAで電解酸化することによって、
電極上に前駆体導電性有機重合体を析出させることがで
きる。このようにして得られる前駆体導電性有機重合体
も、前述した化学酸化剤による前駆体導電性有機重合体
と実質的に同じ構造及び性質を有する。
本発明によるn型導電性有機重合体は、実質的に一般式 (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)で表わされ
るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
る実質的に線状の重合体であって、ドーパントとしての
電子供与体を含み、かかるn型導電性有機重合体は、ド
ーパントとしての電子受容体を含むp型厚電性有機重合
体である前記前駆体導電性有機重合体に電子供与体を作
用させることによって得ることができる。
電子受容体をドーパントとして含むp型前駆体導電性有
機重合体に電子供与体を作用させるには、この前駆体導
電性有機重合体を電子供与体の蒸気と接触させる方法に
よるのが好ましいが、また、カチオンを含む電解液中で
前駆体導電性有機重合体を電解還元して、上記カチオン
をドーパントとして含有させる方法によることもできる
前者の方法は、アルカリ金属、例えば、カリウム、セシ
ウム、リチウム、ナトリウム等をドーパントとして含む
n型導電性有機重合体を製造するのに好適である。グラ
ファイトに高温下、真空中でカリウムをインターカレー
トするために、このようにカリウム蒸気を用いる方法は
既に知られており (D、 E、 N1xon et 
al、、 Br1t、 J、 Appl、 Phys。
(J、  Phys、  D、)、  1968.  
Ser、  2.  Vol、  1.  p、  2
91)、本発明の方法においても同様の方法及び装置に
よって、前駆体導電性有機重合体にカリウムをドーパン
トとして含ませることができる。
このような方法によって、前駆体導電性有機重合体にア
ルカリ金属をドーピングさせるには、予めガラス基板や
ポリイミド樹脂シート基板のような耐熱性を有する基板
上に前駆体導電性有機重合体を薄膜状に析出させ、この
薄膜にアルカリ金属蒸気を作用させるのが好ましい。例
えば、前記したように、アニリン又はその誘導体を化学
酸化剤にて酸化して前駆体導電性有機重合体を得る場合
であれば、重合開始前に、又は重合開始直後にアニリン
又はその誘導体の溶液中に上記基板を浸漬することによ
って、この基板上に前駆体導電性有機重合体を薄膜状に
析出させることができる。他方、アニリン又はその誘導
体を電解酸化して前駆体導電性有機重合体を得る場合に
は、例えば、金属電極上に前駆体導電性有機重合体を薄
膜状に析出させることができる。
第6図に本発明の方法において前駆体導電性有機重合体
にアルカリ金属をドーピングするために好適に用いるこ
とができる装置例を示す。また、図示した装置は、前駆
体導電性有機重合体又は本発明によるn型導電性有機重
合体の型温度の温度依存性の測定にも使用し得る。
先ず、前述したように、ガラス基板11上に前記p型前
駆体導電性有機重合体12を薄膜状に析出させて、試料
を調製する。この前駆体導電性有機重合体は、電極13
を介して導線14を接続され、この導線はガラス管21
外に導かれて、直流電源15及び直流電流計16に接続
される。アルカリ金属をドーピングする場合は、アルカ
リ金属17は、不活性気体雰囲気中で試料から間隔をお
いてガラス管内に載置される。ガラス管は、内部を減圧
にするために、真空ポンプ18に接続されると共に、ガ
ラス管内を加熱するための加熱炉19内に挿入される。
加熱炉内には、加熱温度を測定するための熱電対20が
配設されている。
前駆体導電性有機重合体をアルカリ金属にてドーピング
するには、ガラス管内を真空とした後、加熱炉によって
加熱し、アルカリ金属を蒸発させればよい。また、前駆
体導電性有機重合体又は本発明によるn型導電性有機重
合体の型温度の熱的変化を調べるには、ガラス管を所定
の温度に加熱しつつ、電圧を重合体に印加し、直流電流
計にて電流値を測定すればよい。その雰囲気は重合体に
よって適宜に選ばれる。
このようにして、前駆体導電性有機重合体にアルカリ金
属をドーピングすることによって、重合体の色調は著し
く変化する。即ち、アルカリ金属によるドーピング前は
、前記したように、前駆体導電性有機重合体は緑色乃至
は黒縁色を呈しているが、ドーピングが進行するにつれ
て、先ず、アルカリ金属によって補償されるためである
とみられるが、黄色乃至黒赤色に変化し、次いで、当初
の緑色乃至は黒縁色を呈するようになる。また、ドーピ
ングによる重合体の型温度の変化も顕著である。即ち、
前駆体導電性有機重合体は、一般に、1O−bS/cm
以上、好ましい場合には10−38/口以上の型温度を
有するが、補償された重合体は通常の測定方法によって
は測定し得ない程度の小さい型温度を有するにすぎない
。しかし、最終的にアルカリ金属によってドーピングさ
れた重合体は、再び当初の1O−6S/cfl1以上、
好ましい場合には1O−3S/am以上の型温度を有す
る。しかし、このようにアルカリ金属をドーパントとし
て含む導電性有機重合体は、これに電極を接続し、電極
間に温度差を与えて、半導体特有の熱起電力を生ぜしめ
るとき、低温側電極が負、高温側電極が正の熱起電力を
与えるので、n型半導体であることが示される。
このようにして得られるn型導電性有機重合体は、前駆
体であるp型重合体と異なり、空気中で不安定である。
(発明の効果) 以上のように、本発明によれば、アニリン又はその誘導
体を酸化重合することによって得られるキノンジイミン
構造を主たる繰返し単位として有する実質的に線状の高
分子量重合体であって、既にその酸化重合段階で電子受
容体によってドーピングされているp型前駆体導電性有
機重合体に電子供与体を作用させることによって、新規
なn型導電性有機重合体を得ることができる。このよう
なn型導電性有機重合体は、例えば、エレクトロクロミ
ック材料や電池材料として好適に用いることができる。
(実施例) 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこ
れら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 (1)  ペルオキソ硫酸アンモニウムを用いてp型前
駆体導電性有機重合体を製造する例 500m1容量のガラス容器に蒸留水180 g−。
塩酸9ml及びアニリン9.0 g (0,097モル
)を溶解させ、更に、これに97%硫酸Logを加えた
このアニリン塩水溶液57g(アニリン0.026モル
を含む。)をビーカーに採り、氷水で冷却しながら、こ
れにペルオキソ硫酸アンモニウム6゜0g(0,026
モル)を加えて溶解させた。
この溶液に直ちに81n×3fl、厚さ1nのスライド
ガラス基板を静かに浸漬したところ、数分後に溶液は黒
縁色に着色した。約1時間後にはビーカー内が沈殿した
重合体で満たされた。約3時間後に前駆体導電性有機重
合体が付着した上記基板を取出し、蒸留水で洗浄した。
この後、基板を五酸化リン上で真空乾燥して、p型前駆
体導電性有機重合体が厚さ約1.crmに付着したガラ
ス基板を得た。
また、沈殿した重合体を濾別し、これを上記と同様にし
て精製し、乾燥することによって、p型前駆体導電性有
機重合体を粉末として得た。
(2) p型前駆体導電性有機重合体の物性上で得たp
型前駆体導電性有機重合体を室温において濃度97%の
濃硫酸に加え、攪拌して、その溶解度を調べたところ、
溶解量は1,2重量%であった。また、濃度0.−5 
g/d 1としたこの重合体の97%濃硫酸溶液の温度
30℃における対数粘度は0.43であった。比較のた
めに、エメラルデイン及びダイヤモンド・ブラックの同
じ条件下での粘度はそれぞれ0.02及び0.005で
あった。
更に、上記前駆体導電性有機重合体及びエメラルデイン
についての空気中における熱重量分析の結果を第5図に
示す。昇温速度は10℃/分である。
次に、上で得たp型前駆体導電性重合体粉末約120m
gを瑞瑞製乳鉢で粉砕した後、赤外分光光度計用錠剤成
形器にて圧力6000kg/−で直径13mのディスク
に加圧成形した。幅約1璽■の銅箔4本を銀ペースト又
はグラファイトペーストでディスクの四隅に接着し、空
気中でファン・デル・ボウ法に従って測定した結果、型
温度は8.6×1O−3S/amであった。この重合体
成形物は、10−”Torrの真空中で測定しても、は
ぼ同じ型温度を示した。このディスクを4か月間空気中
に放置したが、型温度は実質的に変化しなかった。
また、熱起電力を測定した結果、この前駆体導電性有機
重合体はp型半導体であることが確認された。
(3)p型前駆体導電性有機重合体の赤外線吸収スペク
トル 上で得たp型室合体の赤外線吸収スペクトルを第1図に
示す。比較のために、エメラルデイン及び市販ダイヤモ
ンド・ブラックの赤外線吸収スペクトルをそれぞれ第2
図及び第3図に示す。尚、エメラルデインは A、 G
、 Green らの方法によって調製した(A、 G
、 Green et al、、 J、 Chem、 
Soc、+97、2388 (1910) )。
p型前駆体導電性有機重合体の赤外線吸収スペクトルは
、エメラルデインのそれと類似するが、同時に大きい差
違もある。即ち、エメラルデインには一置換ベンゼンに
基づ< C−H面外変角振動による690cm−1及び
740cm−’の明瞭な吸収が認められるが、p型室合
体においては、これらの吸収は殆ど認められず、代わり
にバラ置換ベンゼンを示す800cm−’の吸収が強く
認められる。これはエメラルデインが低分子量体である
ために、分子末端の一置換ベンゼンに基づく吸収が相対
的に強く現われるのに対して、p型車合体は高分子量体
であるために、高分子鎖をなすパラ置換ベンゼンに基づ
く吸収が相対的に強く現われるからである。これに対し
て、アニリンブラックの赤外線吸収スペクトルは上記p
型車合体及びエメラルデインのいずれとも顕著に相違し
、特に、3200〜3400cm−’付近の広幅の吸収
、1680cm−’にあるキノン性カルボニル基と認め
られる吸収、1200〜1300cm−’のC−N伸縮
振動領域、600cm−’以下の領域等において異なる
ことが明らかである。
前駆体導電性有機重合体における赤外線吸収スペクトル
の帰属は次のとおりである。
1610cm−’(ショルダー、C=N伸縮振動)15
70.1480cm−’ (ベンゼン環C−C伸縮振動
) 1300.1240ロー’ (C−N伸縮振動)112
0cm−’ (ドーパントに基づく吸収。ドーパントの
種類によらず、はぼ同じ位置に吸収を有する。) 800cm−’(パラ置換ベンゼンC−H面外片角振動
) 740.690c+n−’(−置換ベンゼンC−H面外
変角振動) また、p型前駆体導電性有機重合体をアンモニア補償し
たときの赤外線吸収スペクトルを第4図(B)に示し、
これを5N硫酸で再びドーピングした後の赤外線吸収ス
ペクトルを第4図(C)に示す。この再ドーピング後の
スペクトルは第4図(A)に示す当初のそれとほぼ完全
に同じであり、更に、電導塵も゛アンモニア補償前と同
じである。
また、電導塵の変化は、補償前(A)は8.6×1O−
3S/am、補償後(B)は1.6 X 10−”S/
σ、再ドーピング後(C”)は4.2 X 10−’S
 7cmであった。従って、p型前駆体導電性有機重合
体は、その酸化重合の段階で用いた電子受容体、プロト
ン酸によって既にドーピングされていることが示される
(4)p型前駆体導電性有機重合体の化学構造上で得た
p型前駆体導電性有機重合体の元素分析値を示す。また
、アンモニアにて化学補償した重合体についても結果を
示す。
(a)硫酸をドーパントとして含む重合体C1□HII
Nz(HzSO4)。、、6理論値   測定値 C61,3061,06 H3,914,13 N   11.91   11.58 S    7.63    7.54 o   (15,24)   (15,05)尚、理論
式における硫酸量は、イオウの実測値から算出し、この
硫酸量に基づいて理論値における酸素量を算出した。ま
た、測定値における酸素量は、イオウの測定値から硫酸
量を算出し、この硫酸量から算出した。
(bl補償重合体 C1□It s N z 理論値   測定値 C79,9880,06 H4,484,75 N     15.54     15.19(4)p
型前駆体導電性有機重合体の電導塵の温度変化 第6図に示した装置によって、前記したようにして、前
駆体導電性有機重合体を単−回のみ低温から高温に昇温
しで、その電導塵の温度変化を調べた。結果を第7図に
示す。170°C付近からドーパントとして含まれてい
た硫酸が脱ドープされ、200″C付近から半導体本来
の電導塵の温度依存性が発現することが認められる。加
熱処理前は、明緑色を有し、その電導塵は1O−3S/
cmのオーダーであり、加熱処理後は、黄緑色を有して
、その電導塵は1O−8S/cmのオーダーであった。
次に、上記のようにして、約300℃まで加熱処理した
重合体の電導塵の温度依存性を第8図に示す。電導塵は
温度と共に上昇し、且つ、電導塵の対数と絶対温度との
間に直線関係が成り立つので、前駆体導電性有機重合体
は、バンド構造モデルに従う。バンド間のエネルギー・
ギャップは1゜5eVであった。
(5)p型前駆体導電性有機重合体へのカリウムのドー
ピング 第6図に示した装置を用いて、前述したようにして、p
型前駆体導電性有機重合体にカリウムをドーピングした
。硫酸が殆ど脱ドープされたとき、試料は明黄色を呈し
、電導塵は1O−8S/LJnのオーダーであった。カ
リウムのドーピングを約2分間続けたとき、色調は明黄
色から黄橙色に変化し、電導塵も10−”S/am以下
に低下した。更に、ドーピングを続けると、色調は橙色
から赤橙色へ、更に暗赤色に変化した。この色調変化の
間の電導塵は10−”S/cm以下であった。
ドーピング開始後約10分から色調は次第に黄色味を呈
し、電導塵も10−”37cmに回復した。
従って、前述した暗赤色の重合体は、電子受容体として
のドーパントである硫酸がカリウムによって完全に補償
された重合体であることが示される。
色調が再び黄色を呈してから、更に、ドーピングを続け
ると、約20分後に次第に緑色を呈するようになり、約
60分後に炉内温度は250 ’Cとなつた。
ここで、ドーピングを停止し、試料を真空下においたま
ま、ガラス管を加熱炉から取出し、常温まで放置して冷
却した。得られたn型導電性有機重合体は、硫酸をドー
パントとして含むp型前駆体導電性有機重合体と同じく
、黒縁色を有し、且つ、電導塵は10−2〜10−S/
cmの間にあった。
このn型導電性有機重合体の電導塵の温度依存性を第9
図に示す。電導塵は温度と共に上昇し、半導体特性を示
し、且つ、熱起電力の測定の結果、n型半導体であるこ
とが確認された。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法による導電性有機重合体の赤外線
吸収スペクトル、第2図及び第3図はそれぞれエメラル
デイン及びアニリン・ブラックの赤外線吸収スペクトル
、第4図において、スペクトルAは本発明による重合体
、Bはこの重合体をアンモニア補償して得られる重合体
及びCは上記Bの重合体を硫酸で再ドーピングして得ら
れる重合体のそれぞれの赤外線吸収スペクトルである。 第5図は本発明の方法による重合体及びエメラルデイン
の加熱による重量残存率を示すグラフである。 第6図は、本発明の方法に従って、p型前駆体導電性有
機重合体にアルカリ金属をドーピングして、n型導電性
有機重合体を得るために好適に用いることができる装置
の一例を示す断面図である。 第7図は、p型前駆体導電性有機重合体を単−回のみ低
温から高温に昇温したときの型温度の温度変化を示すグ
ラフ、第8図は、加熱処理したp型前駆体導電性有機重
合体の電導塵の温度依存性を示すグラフである 第9図は、本発明によるn型導電性有機重合体の電導塵
の温度依存性を示すグラフである。 11・・・基板、12・・・p型前駆体導電性有機重合
体、15・・・直流電源、16・・・直流電流計、17
・・・アルカリ金属、18・・・真空ポンプ、19・・
・加熱炉、20・・・熱電対。 第6図 第7図 逼度(’C) 第8図 10’/、  (k−’) 第9図 i%   とに−1)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)実質的に一般式 ▲数式、化学式、表等があります▼ (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)で表わされ
    るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
    る実質的に線状の重合体であつて、ドーパントとしての
    電子供与体を含むことを特徴とする導電性有機重合体。
  2. (2)電子供与体がアルカリ金属であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の導電性有機重合体。
  3. (3)実質的に一般式 ▲数式、化学式、表等があります▼ (但し、Rは水素又はアルキル基を示す。)で表わされ
    るキノンジイミン構造体を主たる繰返し単位として有す
    る実質的に線状の重合体であつて、ドーパントとしての
    電子受容体を含むp型導電性有機重合体に電子供与体を
    作用させることを特徴とする導電性有機重合体の製造方
    法。
  4. (4)電子供与体がアルカリ金属であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第3項記載の導電性有機重合体の製造
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61195137A (ja) * 1985-02-26 1986-08-29 Nitto Electric Ind Co Ltd 有機重合体のド−ピング方法
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