JPS607885Y2 - 金型用ガス抜き装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はダイカストマシンなどの金型用ガス抜き装置に
係り、更に詳しくは、溶湯がガス抜き装置側に入らない
ように構成した金型用ガス抜き装置に関するものである
。

ダイカストマシンは固定金型と可動金型とを備え、両金
型の突き合わせ面に形成される金型キャビティ内に溶け
た金属である溶湯を注入して成形品を得る。

この成形特において金型内にガスが残存していると、こ
れが溶湯中に混入し、いわゆる巣を作ったり、或いは製
品の一部が欠落したりするため、キャビティ内のガス抜
きを行なうガス抜き装置が設けられることがある。

このようなガス抜き装置の従来構造を第１図に示す。

第１図において符号１で示すものは固定金型で、その側
面にキャビティ２が形成されており、このキャビティ２
に連通した状態でガス抜き路３が形成されており、この
ガス抜き路３は左右に分かれたガス排出路であるバイパ
ス４がその途中から分岐している。

ガス抜き路３の先端部には弁５の弁頭５ａが着座してい
る。

弁５は、固定金型１に対して昇降可能に嵌合されたスプ
ール６内に昇降自在に取り付けられており、引張ばね７
により常時上方への力を受けており、側面に設けた圧縮
ばね２０とボール２１などからなる係止具２２で上方へ
の移動が軽く押さえられている。

このスプール６の下端は前記バイパス４及びガス抜き路
３に連通しており、スプール６の側面にはガス抜き用の
開口部ωが形成されており、この開口部６ａは管路８を
介して排気装置９に接続されている。

排気装置９は、図示の例の場合、シリンダの形式をとり
、ピストン１０を有し、そのヘッドエンド側に前記管路
８が接続されている。

ピストン１０のピストンロッド１０ａはシリンダ１１の
ピストンｌｌａと一体化されており、シリンダ１１の作
動によりポンプ作用を行なう。

符号９ａは流体の出入口を示す。管路８の途中にはチェ
ックバルブ１２が設けられている。

前記スプール６はシリンダ１３のロッド１３ａに連結さ
れており、自由に昇降できる構成とされている。

以上のような構造を有するガス抜き装置は次のように作
用する。

まず、型締した状態で、低速射出に入り、鋳込スリーブ
の給湯口がプランジャチップでふさがれたら排気装置９
を作動させてキャビティ２内のガスをほとんど抜きとる
。

この状態で、高速射出にうつり、溶湯がキャビティ２内
に満たされ始めると、その溶湯に押し出されるようにし
てキャビティ内の残りのガスが押し出されるが、ガス抜
き路３の先端は弁頭５ａによってブロックされているた
めガスはバイパス４を回ってスプール６の下部に達する
。

この時は排気装置９が作動しているため、ガスは管路８
を通って開口部６ａから強制的に排出される。

やがて、溶湯がキャビティ２内を上昇してガス排出路３
に入ってくる。

溶湯は質量が大きく、シかも、高圧で射出されるため、
大きな運動エネルギをもっており、直進して弁頭５ａの
下面に撃突する。

その結果、弁５はその一部でボール２１を圧縮ばね２１
側に押しやって上昇し、弁頭５ａはスプール６の下端の
バイブシート６ｂに着座し、バイパス４をブロックし、
溶湯がバイパス４から回り込んで排出されないようにす
る。

ところが、以上のように構成された弁頭５ａの固定金型
１に対する着座部は、第２図に拡大して示すように、弁
頭５ａの周囲に、わずかな傾斜ではあるが、どうしても
必要な抜き勾配が形成されているため、その周囲と固定
金型の着座部１ａとの間にはわずかな隙間Ｓがある。

このため、高圧、高速で突進してくる溶湯は、弁５が締
りつつある途中でこの隙間を通ってスプール６側に跳び
込み、開口部６ａから細粒となって排出されたり、バル
ブシート６ｂの部分に付着し、弁６が確実に閉じるのを
阻止する恐れがある。

本考案は、以上のような従来の欠点を除去するためにな
されたもので、ガス抜き装置の弁の弁頭の周囲から溶湯
が装置内に直接跳び込むのを防止することができるよう
に構成した金型用ガス抜き装置を提供することを目的と
している。

本考案においては上記の目的を遠戚するために弁頭と金
型側の着座部とに互いに係合する段部を設け、この段部
により溶湯の直進を阻止し、溶湯が装置内に跳び込まな
いようにした構造を採用した。

以下、図面に示す実施例に基づいて本考案を詳細に説明
する。

第３図は本考案の１実施例を説明するもので、図中第１
，２図と同一部分又は相当する部分には同一符号を付し
、その説明は省略する。

本実施例にあっては、弁５の弁頭５ａの下端部に全周に
わたって小直径の段部５ｂを形成し、固定金型１側の着
座部にこの段部５ｂと互いに係合する段部１ｂとを形成
した。

このような構造を採用すると、ガス抜き路３を突進して
きた高速高圧の溶湯は弁頭５ａの周囲を抜けてガス抜き
装置側に跳び込もうとしても、そこに段部が形成されて
いるため、通路としての隙間が屈曲していて、溶湯の直
進が妨げられ、その分だけ時間が多くかかり、また、大
きな抵抗を受けて速度も弱まる。

したがって、ここを通る溶湯が上方へ抜ける前に弁５は
すでに締っており、溶湯が、直接装置内に跳び込むこと
はなくなる。

以上の実施例にあっては段部５ｂ及び１ｂはそれぞれ弁
５と金型１側のそれぞれに１個ずつ設けた例として示し
たが、勿論２段以上、多段にわたって形成してもよい。

以上の説明から明らかなように本考案によれば、溶湯の
噴出を阻止する弁の着座部に段部を設けた構成としてい
るため、弁頭と金型側の着座部の間に形成されるわずか
な隙間が屈曲した構造となるため、溶湯の直進は阻止さ
れ、屈曲した挟間のため抵抗が大きく、力即ち溶湯のも
つ運動エネルギーが弱まり、ガス抜き装置側に跳び込む
ような欠点は全くなくなる。

また、溶湯が屈曲部を通るのに多くの時間がかかるので
、溶湯が上側に抜ける前に弁はすでに締っており、この
ためにも、ガスがガス抜き装置側に入ることはない。

したがって、ガス抜き装置が作動不良になることはない
。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来構造を説明する縦断面図及び弁
頭部の一部拡大図、第３図は本考案の１実施例を示す弁
の着座部の一部拡大断面図である。 １・・・・・・固定金型、２・・・・・・キャビティ、
３・・・・・・ガス抜き路、４・・・・・・バイパス、
５・・・・・・弁、５ａ・・・・・・弁頭、ｌｂ、５ｂ
・・・・・・段部、６・・・・・・スプール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金型のキャビティに連続するガス排出路に、開閉する弁
   を設けた金型用ガス抜き装置において、前記弁の弁頭と
   、弁が開いているときに弁頭が着座する着座部とに、互
   いに係合する段部を設けたことを特徴とする金型用ガス
   抜き装置。