JPS5917487Y2 - ダイカストマシンの金型装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はダイカストマシンの金型装置に係り、さらに詳
細には、金型キャビティ内のガスを排出する装置を備え
たダイカストマシンの金型装置に関するものである。

最近、本出願人は、巣のない射出製品を得るために、ダ
イカストマシンの金型にガス排出用の弁を取付けて射出
実験を行った。

このガス排出用の弁は、金型キャビティ内に高速で射出
されてくる溶融金属によって、まずキャビティ内のガス
のみをこの弁を通して充分外に排出し、ガスに続いて進
行して来た溶融金属の大きな慣性力の作用によって弁を
自動的に閉じ、溶融金属が外に出ないようにしたもので
あり、極めて効果のあるものである。

しかし、従来の金型キャビティ内のガスを排出する装置
は、第１図に示すような構造であり、この装置において
は圧縮ばね７の弾発力は、常に弁５を開く方向に作用し
ており、ガス抜き溝であるエヤベント３に入る溶融金属
弁５の弁頭５ｂに激突することにより、弁５か圧縮ばね
７の弾発力に抗して図中上方へ移動し、弁頭５ｂの周面
がスリーブ６の開放端に形成された弁座６Ｃに当接する
ことにより、ガス抜き用のバイパス４，４の開口端を閉
鎖し、溶融金属がガス抜き用バイパス４から外部へもれ
ることのないように構成されている。

しかし、上記装置においては、弁５の安定した作動を行
わせるためには、エヤベント３に連続して溶融金属が入
って来ることが必要であり、またその連続性は溶融金属
がキャビティ２に充満して、昇圧するまで保持される必
要がある。

しかし図示していない射出スリーブを介して射出プラン
ジャによりキャビティ２内に供給される溶融金属は、キ
ャビティ２内に巣をつくらずに充満させるために、立上
がりは比較的低速で射出されるため、必ずしも連続的に
弁５まで達せず、最初に少量の溶融金属がエヤベント３
に供給され、少し時間を隔てて大量の溶融金属が連続し
てエヤベント３に進入するような場合も起こり得る。

このようにエヤベン１〜３に入る溶融金属が断続的にな
ると、溶融金属がとぎれたときには弁５を閉じる方向へ
動かす力がないので、圧縮ばね７の弾発力により、弁５
は再び開の状態になり、次に溶融金属が入って来た場合
には、すでに弁の底部には前の溶融金属が入っていて凝
固しかかつているので、弁を閉じる力が作用せず、溶融
金属がガス抜きバイパス４を通って外部へもれる危険が
ある。

したがって本考案の課題は、上述の欠点を解消し、連続
的に溶融金属がエヤベント内に供給され、弁を完全に閉
鎖し、ガス抜き用バイパスから溶融金属が外部へ漏れる
ことのないダイカスＩ・マシンの金型装置を提供するに
ある。

以下、図面に示す実施例とともに本考案の詳細を説明す
る。

図において、第１図と同様な部分には同一の符号を付し
である。

第２図は本考案の１実施例を説明するもので、図におい
て符号１で゛示すものは固定金型（可動金型でもよい）
であり、固定金型１と図示していない可動金型の分割面
には被射出溶融物である溶融金属が注入されるキャビテ
ィ２が形成されており、このキャビティ２に連通ずるか
ぎ形のガス抜き溝であるエヤベンｌ−３が形成されてい
る。

このかぎ形のエヤベント３の入口部分、すなわちキャビ
ティ２から直接導びかれる第１の直線部分３ａの終端に
は第１の油溜り９が形成され、前記第１の直線部分の終
端近くからかぎ状に曲がって図中左方へ延びる第２の直
線部分３ｂの終端には第２の湯溜り１０が形成され、こ
の第２の直線部分３ｂの終端近くからエヤベント３は、
第３の直線部分３Ｃとして、再度かぎ状に曲がって図中
上方へ延びている。

このエヤベン１へ３の第３の直線部分３Ｃの途中からは
、金型の合わせ面に沿って左右一対のガス抜き用バイパ
ス４，４が形成されている。

エヤベント３の終端部分には、弁５が配置されている。

そして、固定金型１と可動金型の分割面に設けた半割の
穴の中には下端部に弁座部６Ｃを有するスリーブ６が昇
降自在に嵌合され、弁５がこのスリーブ６中に摺動自在
に嵌合されている。

弁５の下端部には弁頭５ｂが形成されており、この弁頭
５ｂが通路３の外方端と対向しており、上端部のストッ
パ５ａはスリーブ６の仕切り壁６ａに当接して移動限を
規制されている。

ストッパ５ａとスリーブ６上端の内面間には、圧縮ばね
７が弾装されており、弁５を押動させ、弁頭５ｂによっ
てエヤベント３の上端をブロックする力を与えている。

そして前記バイパス４の他端は弁５の移動路の後方に開
口している。

従って、スリーブ６の側面に設けられた開口部６ｂとバ
イパス４とは連通されている。

一方、スリーブ６の先端は固定金型１に固定したシリン
ダ８のピストンロッド８ａの先端に固定されており、ス
リーブ６自身を進退させることができる。

次に以上のように構成された本実施例の動作を説明する
。

まず、型締を行った後、スリーブ６や弁５を図示した状
態に位置させたら、図示していない射出スリーブに溶融
金属を給湯した後、射出プランジャを作動し、溶融金属
をキャビティ２内に供給する。

それにより、資量の小さいキャビティ２内の空気はエヤ
ベン１〜３、バイパス４、弁５部を通って、開口部６ｂ
から排出される。

このとき空気は慣性力が極めて小さいので、弁５は上昇
しない。

キャビティ２内にほぼ充満した溶融金属はエヤベント３
内に侵入して来て、まず第１の直線部３ａ内を直進し、
最前部の溶融金属がその終端の第１の湯溜り９に進入し
、他は第２の直線部３ｂに流れ込み、ここでも進入する
溶融金属の最前部が第２の湯溜り１０に進入し、他は第
３の直線部３Ｃに流れ込む。

このようにエヤベント３が一直線状でなく、かぎ形に屈
曲され、２か所に湯溜り９，１０が設けられていること
によって、射出の立上りの低速時に、溶融金属の一部が
非連続に飛び出してしまっても、かぎ形の通路部で湯溜
り９，１０内に突入することにより、大量の溶融金属が
連続して、しかも、大きな慣性力をもって弁５の弁頭５
ｂに激突する。

この結果、弁５は圧縮ばね７の弾発力に抗して、図中上
方へ移動し、弁頭５ｂの周面によってバイパス４，４の
開口端をブロックする。

この状態では弁頭５ｂによってエヤベント及びバイパス
４の両者がブロックされているため、溶融金属は金型外
へ噴出することはない。

溶融金属がキャビティ２内で冷却されたのち、型開きが
行われるが、型開きの直前において、シノンダ８が逆に
作動され、スリーブ６を弁５と共に引き出す作動を行い
、エヤベント３及びバイパス４内に充満している固型化
した溶融金属と弁５の弁頭５ｂとの間の結合を解く。

しかる後、型開きが行われ、キャビティ２内の成形品及
び通路３、バイパス４内の固化した溶融金属は図示して
いない可動金型に付着した状態で固定金型１から離れ、
やがて製品押出しピンにより取出される。

なお、溶融金属の射出速度や高速立上り位置を考慮して
、キャビティの最後に湯が回る位置にエヤベントを設け
、そのような射出条件で射出すれば、溶融金属がエヤベ
ントへ進入する際の連続性が一層向上する。

以上の説明から明らかなように、本考案によれば、金型
装置のガス抜き用エヤベントをかぎ形に形成し、各直線
部の終端に湯溜りを設けた構成としたため、射出スリー
ブを介して、射出プランジャによりキャビティ内に射出
され、エヤベントに進入する溶融金属が、一部先に飛び
出して非連続的に弁に達することが防止されるので、弁
を確実に押し上げ、その結果ガス抜き用バイパスが完全
に閉鎖されるので、溶融金属がガス抜き用バイパスから
外部に噴出することのない、優れたダイカストマシンの
金型装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を説明する縦断面図、第２図は本考案の
１実施例を説明する縦断面図である。 １・・・固定金型、２・・・キャビティ、３・・・エヤ
ベント、３ａ、 ３ｂ、 ３Ｃ・・・直線部分、４・・
・バイパス、５・・・弁、６・・・スリーブ、７・・・
圧縮ばね、８・・・シリンダ、９，１０・・・湯溜り。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金型の分離面部で、キャビティから導びかれたガス抜き
   溝の終端部に、キャビティから進んでくる被射出溶融物
   の作用によって直接軸線方向に動かされる弁、弁座、弁
   に弁開き方向の弾発力を常に作用させているばわ、およ
   び、ガス抜き溝の途中から弁部の側面に迂回して設けた
   バイパスによって構成した金型用ガス抜き装置を設けた
   ものにおいて、ガス抜き溝をかぎ形状に設け、ガス抜き
   溝の途中に湯溜り部を設けたダイカストマシンの金型装
   置。