JP3651045B2 - ダイカスト金型のランナー開閉装置 - Google Patents

ダイカスト金型のランナー開閉装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ダイカスト金型のランナー開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術としては、特開平2−75458号公報に開示されるようなものが知られている。この公報に開示される金型装置は、固定型と可動型とから成る金型と、固定型に開設された給湯口と、固定型に形成され給湯口と連通する固定型スリーブと、スリーブ内を軸方向に移動する第1ピストンと、可動型のキャビティの下部に形成された第2ピストンにより開閉されるランナーと、湯口ゲートの途中に形成されスリーブ内のガスを排除するガス抜き孔とから成るものである。この金型装置は、溶湯が供給されたスリーブ内を第1ピストンが移動してガスがガス抜き孔から排除される。溶湯は、第1ピストンにより加圧され第2ピストンの受圧面が設定湯圧を受け、湯口ゲートを開放する。その後、溶湯がキャビティ内に射出されて製品が製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般にはスリーブ内のガス抜きが行われずにキャビティ内に溶湯が射出されるため、スリーブ内でガスの巻き込みが生じてしまう。又、溶湯の表面には酸化物等の湯あかが浮くと共にスリーブ内面付近にチル層が生じてしまう。上記した従来技術では、ランナーがスリーブの上方に形成されており、ランナーの途中にガス抜き孔が形成されているためランナー内に溶湯に巻き込まれたガスや湯あか、チル層が流出してしまう。その後第2ピストンを開放するとキャビティ内にガスを巻き込んだ溶湯、湯あか及びチル層が流出してしまい製品の品質が低下する原因となってしまう。
【0004】
本発明は、スリーブ内のガスの巻き込みを低減すると共に、湯あか等がキャビティ内に流出することを防止することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために請求項1において講じた手段は、固定型と可動型とにより形成される金型と、前記固定型に形成される固定型スリーブと、前記固定型スリーブに開設され溶湯を供給する給湯口と、前記可動型に形成された可動型スリーブと、前記固定型スリーブ内を軸方向に移動する第1ピストンと、前記可動型スリーブ内を軸方向に移動する第2ピストンと、前記固定型に形成され前記固定型スリーブに連通するガス抜き孔と、前記可動型スリーブに形成され前記第2ピストンにより開閉されるランナーとから成り、前記可動型スリーブの横方向に前記ランナーが開口されているダイカスト金型のランナー開閉装置である。
【0007】
【作用】
上記した請求項1記載の手段によれば、固定型と可動型とを型締めしてスリーブ内に給湯口を介して溶湯が供給され、第1ピストンが第2ピストン側に移動することでスリーブ内のガスは別に形成されたガス抜き孔から排除される。又、型締め後、第2ピストンはランナーを閉じているため、キャビティはスリーブと遮断されおり、これにより、型締め後キャビティ内を真空吸引することができ、真空度が高い真空状態とされる。スリーブ内が溶湯で充填されると第2ピストンがランナーを開放して溶湯がキャビティに射出される。キャビティに溶湯が射出されることで、製品が製造され可動型が開き、製品が取り出される。第2ピストンにより開放されるランナーは、スリーブ内が溶湯で充填されてから開放されるため、溶湯の上方に存在するガスや、スリーブの接触面に生じるチル層がランナーに浸入することを防止でき、キャビティ内に射出される溶湯の品質を向上させることができる。
【0008】
また、ランナーがスリーブの横方向に形成されているため、溶湯の上方にある湯あかがランナーに侵入することを防止することができるので、キャビティでの溶湯の品質を更に向上させることができる。
【0009】
【実施例】
本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1はダイカスト金型のランナー開閉装置の正面図を示す。図2は図1のA−A断面図を示す。図に示されるように、金型10は、固定型11と可動型12とからなり、固定型11に可動型12が型締めにより固定されている。固定型11には、固定型スリーブ13が形成されており、固定型スリーブ13には溶湯を供給する給湯口14が形成されている。又、可動型12には可動型スリーブ22が形成されている。固定型スリーブ13内には、固定型スリーブ13内を軸方向に摺動するプランジャチップ(第1ピストン)15が挿入されており、このプランジャチップ15は、ダイカスト製造装置の周知の油圧シリンダにより駆動される。又、プランジャチップ15に対向して可動型スリーブ22内を軸方向に摺動するカウンタチップ(第2ピストン)16が挿入されており、このカウンタチップ16は、可動型12に配設されるコンパクトシリンダ20により駆動され、コンパクトシリンダ20には前端と後端とに夫々リミットスイッチが配設される。コンパクトシリンダ20は、製品を押し出す押出し板21に締結されており、押出し板21と共に移動する。固定型11の端面には、スリーブ13内のガスが排除されるガス抜き孔17が形成されている。可動型スリーブ22には、横方向に開口するランナー18が形成されており、このランナー18は固定型11と可動型12とに形成されるキャビティ19に連通されている。
【0011】
次に本実施例の作動について図2乃至図7に基づいて説明する。
【0012】
図2に示すように、固定型11と可動型12とが型締めされ、型締めが完了すると給湯口14から溶湯がスリーブ13内に供給され、図示しない油圧シリンダによりプランジャチップ15が駆動されスリーブ13内を軸方向に摺動する。又、型締めが完了した後は、ランナー18はカウンタチップ16により閉じられていることから、キャビティ19内を真空吸引して真空度が高い真空状態を確保することができる。
【0013】
図3に示すように、プランジャチップ15はカウンタチップ16側に摺動してスリーブ13内の溶湯が押し込まれる。この移動により上方に位置するガスは、ガス抜き孔17から排除されガス抜き孔17の端部に配設されるガス抜き装置から放出される。又、このとき、溶湯の上部付近で巻き込まれたガスや、湯あかもガス抜き孔17に若干流出する。
【0014】
図4に示すように、スリーブ13内のガスが排除されると、カウンタチップ16がコンパクトシリンダ20によりランナー18の開放方向に駆動され、ランナー18が開放される。ランナー18が開放されてからは、プランジャ15の移動により溶湯がキャビティ19に射出される。スリーブ13に接している溶湯にはチル層が生じているが、スリーブ13内が溶湯で充填されるまでランナー18が開放しないため、チル層がキャビティ19に流出することがないため、チル層の流出を大幅に低減することができる。又、可動型スリーブ22の横方向にランナー18が開口されているため、ガス、湯あか及びチル層の含有が少ない溶湯がキャビティ19に射出され製品が製造される。又、射出時のプランジャチップ15の移動速度は、キャビティで製造される製品によって異なるため、製品によって低速又は高速で移動させることも考えられるが、前述した同様な効果を得ることができる。
【0015】
図5に示すように、可動型12が軸方向に移動して押出し板21がカウンタチップ16を押すことによって製品が取り出される。その後図6に示すように、押し出し板21が後退して可動型12が型締められ固定型11に固定される。型締めが完了されると図7に示すように、カウンタチップ16が前進して給湯準備が行われ、前述した作動が繰り返し行われる。
【0016】
以上説明したように、本実施例では横方向にランナー18を形成し、ガス抜きをランナー18とは別に形成されたガス抜き孔17から行ったことと、可動型12にカウンタチップ16を設けてランナー18の開閉を行ったことによって、スリーブ13内に溶湯を充填することができ、キャビティ19にガスが流出することを大幅に低減することができる。又、ランナー18をカウンタチップ16により初めは閉じていることから、キャビティ19内を真空度が高い真空状態とすることができる。
【0017】
【発明の効果】
上記した請求項1記載のダイカスト金型のランナー開閉装置によれば、固定型と可動型とを型締めしてスリーブ内に給湯口を介して溶湯が供給され、第1ピストンが第2ピストン側に移動することでスリーブ内のガスは別に形成されたガス抜き孔から排除される。又、型締めが完了された後は、ランナーは第2ピストンにより閉じられているため、キャビティ内を真空度が高い真空状態とすることができる。スリーブ内が溶湯で充填されると第2ピストンがランナーを開放して溶湯がキャビティに射出されることで、製品が製造され可動型が開き、製品が取り出される。第2ピストンにより開放されるランナーは、スリーブ内が溶湯で充填されてから開放されるため、溶湯の上方に存在するガスや、チル層がランナーに浸入することを防止でき、キャビティ内に射出する溶湯の品質を向上させることができる。
【0018】
請求項2記載のダイカスト金型のランナー開閉装置によれば、ランナーが開放されたとき、ランナーが可動型スリーブの横方向に形成されているため、湯あかがランナーに浸入することを防止することができ、更に精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る金型の正面図を示す。
【図2】図1のA−A断面図を示す。
【図3】本発明の実施例に係る溶湯の射出状態を示す断面図。
【図4】本発明の実施例に係る溶湯の充填状態を示す断面図。
【図5】本発明の実施例に係る製品の取り出しを示す断面図。
【図6】本発明の実施例に係る金型の型締めを示す断面図。
【図7】本発明の実施例に係る給湯準備を示す断面図。
【符号の説明】
10・・・金型
11・・・固定型
12・・・可動型
13・・・固定型スリーブ
14・・・給湯口
15・・・プランジャチップ(第1ピストン)
16・・・カウンタチップ(第2ピストン)
17・・・ガス抜き孔
18・・・ランナー
22・・・可動型スリーブ

Claims (1)

  1. 固定型と可動型とにより形成される金型と、前記固定型に形成される固定型スリーブと、前記固定型スリーブに開設され溶湯を供給する給湯口と、前記可動型に形成された可動型スリーブと、前記固定型スリーブ内を軸方向に移動する第1ピストンと、前記可動型スリーブ内を軸方向に移動する第2ピストンと、前記固定型に形成され前記固定型スリーブに連通するガス抜き孔と、前記可動型スリーブに形成され前記第2ピストンにより開閉されるランナーとから成り、前記可動型スリーブの横方向に前記ランナーが開口されていることを特徴としたダイカスト金型のランナー開閉装置。
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