JPH0544362U - ダイカスト機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スリーブ内への溶湯の充填率の向上を図るこ
とを目的とする。 【構成】 スリーブ２に給湯口２ａが穿設されている。
給湯口２ａはテーパ部２ｂと平坦部２ｃと湾曲閉鎖面３
ｃとで構成されている。給湯口２ａに嵌脱可能な給湯口
蓋３がシリンダロッド４に接続されている。給湯口蓋３
には給湯口２ａのテーパ部２ｂに係合可能なテーパ部３
ａと、平坦部２ｃに当接可能なつば部３ｂとが形成され
ている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はダイカスト機に係り、特にスリーブに形成された給湯口を開閉する蓋 体の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、ダイカスト機としては、給湯口を有するスリーブ内に上記給湯口から 溶湯を注入し、プランジャチップをスリーブ内を摺動させることにより溶湯を射 出させるといったものが知られている。

【０００３】 このようなダイカスト機において従来、真空にする場合の効率を向上させるた めに給湯口に開閉可能な蓋体を設けるといったものが提案されている（特開昭５ ９−９２１５７号）。

【０００４】 図３は従来のダイカスト機の断面図である。図中符号１０１はケーシングであ り、このケーシング１０１には孔部１０１ａが穿設されている。この孔部１０１ ａ内には中空状のスリーブ１０２が嵌挿されている。このスリーブ１０２には酸 素や高温ガスを注入する注入口１０２ａと、溶湯を注入する給湯口１０２ｂとが 形成されている。この給湯口１０２ｂにはホッパ１０３が取付けられており、こ のホッパ１０３に適合する蓋材１０４がシリンダロッド１０５によって図中上下 動可能に設けられている。さらに、スリーブ１０２内にはプランジャチップ１０ ６が、スリーブ１０２内を摺動可能に設けられている。このプランジャチップ１ ０６にはシリンダロッド１０７が設けられており、このシリンダロッド１０７に よってプランジャチップ１０６を図中左右方向に移動させる。

【０００５】 このように構成したことにより、２つのシリンダロッド１０５，１０７の作動 状態を制御するだけで効率の向上を図ることができるといったものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上述のような構成のものにあっては、給湯口からの溶湯の充填率は ５０％前後であり、蓋材の注入口への閉塞状態が十分でないためにあまり多く溶 湯をスリーブ内に供給しすぎると射出の際に給湯口から溶湯が溢れてしまうばか りでなく、給湯口内に溶湯が溜り、何度も射出を繰り返しているうちに溶湯が凝 固してひいては給湯口が閉ざされてしまうといった問題点がある。

【０００７】 本考案は上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、スリーブに形成さ れた給湯口を完全に密閉し、給湯口に溶湯の入り込む隙間をなくし、溶湯の充填 率を向上させることができるばかりでなく、射出を繰り返して行ったときに給湯 口に入り込んだ溶湯が凝固して給湯口を閉じることのないダイカスト機を提供す ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、溶湯を金型のキャビティ内に供給するスリーブに給湯口を形成し、 この給湯口から溶湯を上記スリーブ内に注入し、プランジャチップが上記スリー ブ内を摺動することにより上記溶湯を前記キャビティ内へ射出するダイカスト機 において、上記スリーブに形成された給湯口に直接嵌脱可能な蓋体を設け、この 蓋体は上記給湯口を密閉し、スリーブ内壁と蓋体の突出閉鎖面とは面一に形成さ れていることを特徴とする。

【０００９】

【作用】

溶湯を射出する場合、充填率が９０％位となるように溶湯を給湯口からスリー ブ内に注入する。そして、蓋体を給湯口に完全に嵌合せしめスリーブ内面と嵌合 部間に隙間のないようにすることにより、給湯口を覆ぐ。この状態で、プランジ ャチップをスリーブ内を摺動させることにより、溶湯を金型内のキャビティに射 出する。このように給湯口に蓋体を完全に嵌合させるようにしたので、充填率の 向上を図ることができ、給湯口に溶湯が凝固して残ることがない。

【００１０】

【実施例】

以下、添付図面を参照して本考案の一実施例について説明する。 図１は本考案におけるダイカスト機の断面図である。図中符号１はケーシング であり、この孔部１ａには中空状のスリーブ２が嵌挿されこのスリーブ２は金型 のキャビティ（図示せず）内に連通している。このスリーブ２の肉厚部分をくり 抜いて溶湯を注入する給湯口２ａが形成されている。この給湯口２ａの形状はス リーブ２の内部側に向かって縮径するテーパ部２ｂと、このテーパ部２ｂの外部 側に形成された平坦部２ｃとで形成されている。また、この給湯口２ａに嵌脱可 能な給湯口蓋３がエアシリンダ（図示せず）に接続されたシリンダロッド４によ って図中上下動可能に設けられている。この給湯口蓋３は上記給湯口２のテーパ 部２ｂに嵌合可能なテーパ部３ａと、上記平坦部２ｃに係合し、給湯口蓋３が給 湯口２ａ内に進入しすぎるのを防止するつば部３ｂとスリーブ２の内周面２ｄの 一部を形成するようにスリーブの内周方向に対してそれと同一湾曲面（図２）を 有する突出閉鎖面３ｃとを有している。また、上記スリーブ２内にはプランジャ チップ５が、スリーブ２内を摺動可能に設けられている。このプランジャチップ ５には油シリンダ（図示せず）に接続されたシリンダロッド６が設けられており 、このシリンダロッド６によってプランジャチップ５を図中左右方向に移動させ て溶湯をキャビティ内に充填する。

【００１１】 このように構成されたダイカスト機の作用について説明する。 まず、給湯口蓋３が図１中２点鎖線に示すように上方に位置し、給湯口２ａが 開口している状態でスリーブ２内に溶湯を注入する。このとき、溶湯の充填率が 約９０％位になるまで注入する。その後、シリンダロッド４を作動させて給湯口 蓋３を図１中下方に移動せしめ、給湯口蓋３のつば部３ｂが給湯口２ａの平坦部 ２ｃに当接するまで移動させる（図１実線、図２参照）。このとき、つば部３ｂ がストッパとして作用する。また、給湯口２ａのテーパ部２ｂと給湯口蓋３のテ ーパ部３ａとは密着しているので、スリーブ２内の溶湯が給湯口２ａから溢れる のを防止し、前記湾曲閉鎖面３ｃはスリーブ２の内周面の一部を形成するように それと面一になり給湯口２ａを完全に閉塞し、給湯口２ａと給湯口蓋３間に隙間 がなくなり溶湯が入り込むことがない。その後、シリンダロッド６を作動させて 、プランジャチップ５を図２中左方に移動させる。これにより、スリーブ２内の 溶湯は射出される。

【００１２】 なお、上述実施例のシリンダロッド４はエアシリンダ９に、シリンダロッド６ は油圧シリンダに連結されたものであるが、これらに限定されるものではなく、 またシリンダロッド４，６である必要はなく、リンク、カム等の駆動機構によっ て作動せさるようにしても良い。さらに、このシリンダロッド４の作動は給湯シ ステムと連動あるいは同期制御されている。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は上述のようにスリーブの給湯口に蓋体を完全に嵌合させるようにした ことにより、スリーブ内に溶湯を充填する充填率を向上させても、溶湯が溢れる ことがなく、また給湯口に入り込んだ溶湯が凝固して給湯口が塞がるのを防止す ることができる。また、充填率を向上させることができるので、溶湯の熱容量が 増加するため、スリーブ内の温度を高く保持するとができ、溶湯の凝固を遅らせ 、スリーブ内面での凝固片の発生を防止することができる。さらに、充填率の向 上により、スリーブ内の空気の量が少なくなりキャビティ内への溶湯の層流充填 ができるとともに、空気の影響による膨れがなくなるため熱処理（Ｔ₆ 処理）も 行なうことができる。また、ハイプレッシャダイカスト法においてはキャビティ 内の空気を少なくすることかでき、ひいては健全な製品を得ることができる等の 効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案におけるダイカスト機の断面図である。

【図２】図１中II−II断面矢視図である。

【図３】従来のダイカスト機の断面図である。

【符号の説明】

２…スリーブ ２ａ…給湯口 ３…給湯口蓋（蓋体） ５…プランジャチップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶湯を金型のキャビティ内に供給するス
   リーブに給湯口を形成し、この給湯口から溶湯を上記ス
   リーブ内に注入し、プランジャチップが上記スリーブ内
   を摺動することにより上記溶湯を前記キャビティ内へ射
   出するダイカスト機において、上記スリーブに形成され
   た給湯口に直接嵌脱可能な蓋体を設け、この蓋体は上記
   給湯口を密閉し、スリーブ内壁と蓋体の突出閉鎖面とは
   面一に形成されていることを特徴とするダイカスト機。