JPS6019807Y2 - 金型用ガス抜き装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ダイカストマシン等の金型用ガス抜き装置に
係り、さらに詳しくは、ガス抜き装置の動作を行なうシ
リンダの動力を著しく減少させることができるように構
成した金型用ガス抜き装置に関するものである。

従来より、ダイカストは精密な製品を多量に製造する成
形方法として広く普及しているが、製品内部に巣のない
健全性を重要視される製品には適さない場合があった。

。その理由は、高速、高圧で溶融金属をキャビティ内に
充填するため、キャビティ内のガスが十分に抜は切らず
に、溶融金属と混合して製品中に残存することがあるた
めである。

このような不都合を解消するものとして、本考案者等は
、鋳込製品が金属構造に制約されずに大量のガスを確実
容易に抜き、ガスの巻込みををなくして健全なダイカス
ト製品を得ることができるようにした金型用ガス抜き装
置を開発した。

その装置は、金型のキャビティから金型外に通じるガス
排出路を弁の作用で開いておいた状態で射出を行ない、
キャビティ内の質量の小さなガスをガス排出路を通して
ほぼ排出し終った時点で、キャビティ内から進んできた
質量の大きい被射出溶融物の慣性力を、前記弁に直接作
用させることにより、前記弁を確実に、かつすばやく移
動させて締め、前記弁により、前記ガス排出路を直接遮
断し、このガス排出路からの被射出溶融物の流出を防ぎ
得るようにして、射出時に金型内のガス抜きを確実に、
かつ容易に行ない得るようにしたものである。

ところで、以上のような構造を有するガス抜き装置を採
用すると、大きな慣性力をもって突進してくる溶融金属
によって弁が押され、その結果、弁支持部材が強い力が
押される。

したがって、この弁支持部材が押上げられないようにし
、位置ずれが生じないようにするために、従来は弁支持
部材の保持、移動用として比較的に大径のシリンダを用
いる必要があった。

本考案は、これらの欠点をなくすためのものであり、ガ
ス抜き弁ユニットの弁支持部材を比較的に小さな力で保
持しておくことができるようにしたものである。

本考案の金型用ガス抜き装置は、金型の分離面部のキャ
ビティから導かれたガス抜き溝の端部に設けたガス抜き
弁ユニツト設置位置に、ガス抜き弁ユニットを出し入れ
自在に設け、ガス抜き弁ユニットの固定部を一部の金型
に固定したものにおいて、弁と、弁を摺動自在に支持し
てそれ自体が軸線方向に動きうるガス抜き弁ユニットの
弁支持部材との間に、弁を閉じる方向に引張力を作用さ
せている弾性体と、この弾性体の引張作用に打勝って弁
を開き位置に保持し、弁に被射出溶融物の慣性力が作用
したとにはこの保持がはされて弁が閉じるようにした係
止機構とを設け、 ガス抜き弁ユニットの固定部を固定していない世方の金
型と、前記弁支持部材との間に、弁支持部材を固定状態
で保持する係止部を設け、この係止部を、前記他方の金
型と弁支持部材との間に設けたコツタとこのコックが入
る切欠部とによって構成した構造とした。

つぎに図面に示した１実施例によって、本考案を詳しく
説明する。

本考案の金型用ガス抜き装置は、例えば、固定金型１と
可動金型２との分割面位置およびその延長位置に設ける
ものである。

すなわち、固定金型１と可動金型２とを合せた場合に、
例えば可動金型２の分割面に、キャビティ３の適宜周辺
より金型の分割面に形成されるガス抜き道４及びガス抜
き溝５を介して、当該ガス抜き装置に至る排気通路を形
成する。

そして、該金型用ガス抜き装置としては、ガス抜き溝５
と弁６の弁頭部６ａの下面とを略垂直とするように弁６
を設け、ガス抜き溝５の途中より弁頭部６ａの横の方へ
迂回して弁頭部６ａの側方上方部に至るバイパスからな
る通路７を設けた。

弁６は、ガス抜き弁ユニットの弁支持部材であるスプー
ル８内において、該スプール８に対し、その軸方向に摺
動し、例えば第１図において上方に弁６が移動した場合
にはスジ−８下端に設けた弁座９に弁頭部６ａが当接さ
れ、ガス抜き溝５及び通路７はスプール８外方弁室１０
への連通が閉鎖されるようにした。

弁６上方には弁６の弁棒６ｂ周辺に形成される弁室１０
空間を有し、該弁室１０よりスプール８外方への排出口
１１を設ける。

弁棒６ｂはスプール８に対し、摺動自在に弁棒ガイド部
１２により支持されている。

そして、弁６とスプール８との間に、弁６を上方に摺動
させて閉じる方向に力が作用する弾性体１３を設け、且
つ、弁６がスプール８に対し、下方位置すなわち開き位
置で止まり、被射出溶融金属が弁６に与える衝撃による
弁６の閉動作によって、その係止がはずれる係止機構１
４を設ける。

すなわち、弁棒６ｂの後端部に取付けたブロック１５と
スプール８の頂部との間に引張バネを弾性体１３として
設け、弁６をスプール８に対し、常に上方へ引き上げる
力を該引張バネ１３をもって加える様にする。

更に、弁棒６ｂの外周面には、テーパを有する凹み部１
６を設け、スプール８の弁棒ガイド部１２で弁棒６ｂの
外周面部に向けて設けた穴１７の内において、凹み部１
６に対して、圧縮ばね１８の作用で後退可能に、押圧片
であるボール１９を押圧して設けた。

２０はボール１９の押圧力を調整できるボルトであり、
２１は止めナツトである。

弁棒６ｂの外周面部に設けて凹み部１６は、図示したよ
うに縦方向の溝部であっても良いし、この部分の全周面
が弁棒６ｂの外径よりも小さくなった小径円柱部であっ
ても良い。

この弾性体１３と係止機構１４を設けたのは、被射出溶
融物が、仮に、断続的に弁６部に進行して来た場合でも
、弁６が最初の動作で確実に締まり、一回の射出時に再
び開かないようにしたためである。

弁６を内装したスプール８は、ブラケット２３を介して
例えば可動金型２に取付けてシリンダ２４のピストンロ
ッド２５の作動によす軸線方向ニ移動させうるようにし
た。

スプール８を持上げる時、弁６がより確実に開くように
するため、あるいは空打ちの時のために、ストッパ機構
を設けた。

すなわち、弁棒６ｂに取付けたブロック１５より水平方
向に復帰杆２２を突出させた。

復帰杆２２はスプール８も周壁部に設けた通孔２７より
スプール８の外方へ貫通させたもので、スプール８をシ
リンダ２４にて上昇させたとき、ブラケット２３に設け
たストツパ２６に当り、スプール８の上昇に伴って弁６
をスプール８に対して降下させるものである。

又、この復帰杆２２は鋳込みを行なうことなく、射出成
形機を空打ちした後や、最初に鋳込みを行う場合等にお
いて、確実に弁６をスプール８に対して下方に位置させ
、スプール８を降下させたときに、弁６を開いせて鋳込
み準備を行えるものである。

弁支持部材であるスプール８の固定金型１側の外面には
切欠部２８を設け、この切欠部２８と対応する位置の固
定金型１には、コツタ２９を固定して取付けた。

そして、型開きをしている状態で、スプール８を可動金
型２の下降限に位置させて可動金型２を係合させ、続い
て型締を行った時、スプール８に設けた切欠部２８の中
に、コツタ２９の先端部が入り、型締終了後には、スプ
ーラ８が動かないようにした。

切欠部２８とコツタ２９は、ガス抜き弁ユニットの弁支
持部材であるスプール８を固定状態で保持する係止部を
形成している。

なお、スプール８側にコックを取付け、固定金型１側に
切欠部を設けることもできる。

勿論、ガス抜き弁ユニットの固定部分を固定金型１に固
定した場合は、スプール８と可動金型２との間に弁支持
部材用の係止部を設けることもできる。

この係止部を設けたのは、型締時にスプール８を押さえ
ていなくても、スプール８を金型に確実容易に固定して
、射出時の溶融金属の衝撃力でスプール８が上昇するこ
とがないようにしたためである。

つぎに、本考案の金型用ガス抜き装置の作動を説明する
。

まず、型開きの状態で、弁棒６ｂの凹み部１６の下端部
にボール１９などの押圧片を係合させた状態にして、ス
プール８をピストンロッド２５により降下させる。

この状態で型締を行えば、切欠部２８とコツタ２９が係
合し、第１図に示すような状態となる。

従って、キャビティ３よりガス抜き道４、ガス抜き溝５
、通路７、弁室１０、排出口１１を経てスプール８外に
至る排気通路が形成される。

この状態で、射出動作によ溶融金属をキャビティ３内に
射出すれば、キャビティ３への被射出溶融金属の充填に
伴い、キャビティ３内のガスは、ガス抜き道４、ガス抜
き溝５を経て弁６に当り、通路７を通って弁体側方上方
部から弁室１０、排出口１１を経て排出される。

そして、キャビティ３内に被射出溶融金属がほぼ充填さ
れた後は溶融金属がガス抜き溝５内を上昇し、前記ガス
と同様に弁頭部６ａの下面に当る。

このとき、弁６に加わる衝撃は、溶融金属の質量がガス
の質量に対し、非常に大きく慣性が大であるため、ガス
が弁６に与える衝撃よりも非常に大きく、弁６を上方に
跳上げる。

この時、凹み部１６のテーパ部の上昇作用でボール１９
は穴１７中に押しさげられ、弁棒６ｂは上昇する。

そして、弁頭部６ａは弁座９に当接されて通路７と弁室
１０間を塞ぎ、被射出溶融物の流出を弁６位置で停める
。

このとき、被射出溶融物がガス抜き道４及びガス抜き溝
５内でガスと混じり、飛沫状となり不連続に弁体に当る
場合があっても、最初の溶融物の撃突により弁体が跳上
げられ、その後、ガスが来て溶融物による上方への押圧
力が無くとも引張バネなどの弾性体１３の作用によって
弁６を上方位置を維持するので、弁６による排気通路の
閉鎖は確実に行われる。

このとき、スプール８は金型に対して確実に係合されて
いるので、被射出溶融物による大きな力によって軸線方
向に移動することはない。

ガス抜き装置の弁６が閉じた状態で、所定時間の加圧冷
却にて鋳込作業が終了すれば、型開きを行った後、シリ
ンダー２４でスプール８を上昇させ、キャビティ３、ガ
ス抜き道４、ガス抜き溝５及び通路６内に充填されて凝
固した金属から弁６を離し、図示していない製品押出装
置にて成形品を可動金型より取り出す。

なお、シリンダ２４を作動させて、弁６をスプール８と
一体に上昇させるに際し、弁頭部６ａとガス抜き溝５が
通路７中の凝固金属との分離抵抗により弁６は上方への
移動が妨げられるので、スプール８が上昇しようとした
とき、弁６が前記抵抗によりスプール８より引き降され
る如くスプール８の上昇に遅れ、ボール１９を凹み部１
６に再び係合させる。

この様にスプール８を引き上げる時に、弁６はスプール
８内で下方位置に位置するので、次回鋳込時において、
スプール８を降下させれば、弁６はガス抜き溝５が通路
７を弁室１０と通じさせ、次の鋳込みの準備を完了する
こととなる。

なお、スプール８を持ち上げる時、弁６が一層確実に開
くようにするため、及び、空打ちの時のために前記した
ように、復帰杆２２とストッパ２６を設けておいた。

本考案のガス抜き用弁は、金型と中子の間に設けること
をできる。

そして、固定金型と可動金型に設ける場合でも、金型の
上部に垂直方向に設けるだけでなく、水平方向や斜め方
向にも設けることができる。

以上の説明から明らかなように、本考案においては、可
動金型あるいは固定金型のいずれか一方に固定されたシ
リンダによって昇降される弁支持部材と、他方の金型と
の間に、弁支持部材を固定状態で保持する係止部を設け
て構造としたので、鋳込動作時において、弁支持部材が
完全に固定される。

したがって、溶融金属が大きな慣性力を持って激突して
も、位置ずれが全く生ぜず、この結果、弁支部材用のシ
リンダは、弁支持部材を射出時に動かないように押さえ
ておくために作用させる必要はなく、単に小重量の支持
部材を移動させるためだけに作用させれば良いので、本
考案においては、このシリンダを従来のものの数分の１
と著しく小型化でき、付帯する駆動装置をも小型化でき
、全体として小型で安価なガス抜き装置を得ることがで
きる。

また、金型用ガス抜き装置として、例示したような被射
出溶融物の慣性力によって締るガス抜き弁を用い、スプ
ールと弁との間に弾性体と係止機構を具えた弁を用いて
いるので、弁への圧力が小さいガスは容易に通過させ、
押圧力の大なる被射出溶融物は確実に遮断するので、ガ
ス抜き道やガス抜き溝の断面積を大きくして鋳込時のガ
ス抜きを容易且つ迂遠に行ない得るのであり、弁は被射
出溶融物の最初の衝撃で排出通路を閉じ、弾性体により
閉鎖を維持されるので、溶融金属が断続的にきても弁の
敏鎖が確実に行なわれ、その位置が保持される。

そして、常に弁が確実に作動し、射出時のガスの排出が
確実容易に行われるので、常に巣のない良質、耐強度の
射出製品が確実容易に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す縦断面図、第２図は第
１図の■−■線断面図である。 １・・・・・・固定金型、２・・・・・・可動金型、３
・・・′・・・キャビティ、５・・・・・・ガス抜き溝
、６・・・・・・弁、７・・・・・・通路、８・・・・
・・スプール、１１・・・・・・排気口、１２・・・・
・・弁棒ガイド部、１３・・・・・・弾性体、１４・・
・・・・係止機構、１６・・・・・・凹み部、１９・・
・ボール、２４・・・・・・シリンダ、２８・・・・・
・切欠部、２９・・・・・・コツタ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 金型の分断面部のキャビティから導かれたガス抜き溝の
   端部に設けたガス抜き弁ユニツト装置位置に、ガス抜き
   弁ユニットを出し入れ自在に設け、ガス抜き弁ユニット
   の固定部を一方の金型に固定したものにおいて、 弁と、弁を摺動自在に支持してそれ自体が軸線方向に動
   きうるガス抜き弁ユニットの弁支持部材との間に、弁を
   閉じる方向に引張力を作用させている弾性体と、この弾
   性体の引張作用に打勝って弁を開き位置に保持し、弁に
   被射出溶融物の慣性力が作用したときにはこの保持がは
   ずれて弁が開じるようにした係止機構とを設け、 ガス抜き弁ユニットの固定部を固定していない他方の金
   型と、前記弁支持部材との間に、弁支持部材を固定状態
   で保持する係止部を設け、この係止部を、前記他方の金
   型と弁支持部材との間に設けたコックとこのコツタが入
   る切欠部とによって構成した金型用ガス抜き装置。