JP3010952B2 - 鋳造用金型構造 - Google Patents

鋳造用金型構造

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JP3010952B2 JP5009981A JP998193A JP3010952B2 JP 3010952 B2 JP3010952 B2 JP 3010952B2 JP 5009981 A JP5009981 A JP 5009981A JP 998193 A JP998193 A JP 998193A JP 3010952 B2 JP3010952 B2 JP 3010952B2
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幹生 山下
雄三 小林
やすし 徳毛
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は鋳造分野全般に関し、
特に多数個取りの金型鋳造において金型キャビティ内へ
の溶融金属の注湯時に発生する製品へのガスの巻き込み
および酸化物の混入現象を防ぐための金型構造に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】例えばダイキャスト法においては、通常
製品の内部欠陥の原因となるガス含有量がアルミニウム
100g中数十ccと非常に多い。そのためダイキャス
ト中のガス巻き込みを減らすために、色々な方法が考案
されている。特に金型キャビティ内への溶融金属充填時
に金型キャビティ内のガスもしくは空気を外部へ導くた
めのガス抜き形状設計が難しく、色々な工夫がなされて
きた。
【0003】例えば実開平4−94145号公報には製
品のノックアウトに使われるノックアウトピンに各種溝
形状を加工し、ピンと金型の隙間からキャビティ内の空
気もしくはガスを逃がす工夫が掲載されている。なお、
図33は上記実用新案公開公報から抜粋したものであ
る。また、文献・型技術 1988年3月号、第3巻第
3号P79に記載されている方法によれば、真空ダイカ
スト法や層流充填法などキャビティ内のエアを減らした
り溶融金属がキャビティ内のエアを巻き込まないような
技術が開発されている。
【0004】記真空ダイキャスト法では金型キャビテ
ィ内のガスを抜くために真空ポンプが必要であり、金型
設備が大がかりでコストが高くつくという欠点があっ
た。また、真空引きのためのガスベントの最適設計がか
なり難しかった。また、上記層流充填法ではキャビティ
サイズが大きく充填完了までに時間がかかる場合や製品
に薄肉部分がある場合、キャビティに溶融金属が充填完
了されるまでにキャビティ内に最初に充填された溶融金
属が凝固してしまい、凝固組織の均一な製品ができない
という欠点があった。
【0005】以下の参考例はこのような問題点を解消す
るためになされたもので、溶融金属をキャビティ内に高
速充填しかつ充填時のガス巻き込みが生じない鋳造用金
型構造を得ることを目的とする。
【0006】以下の参考例に係る鋳造用金型構造は、製
品形状を有するキャビティと、このキャビティの空間を
埋めかつキャビティ内で移動可能とした移動中子とから
構成されている。
【0007】以下の参考例においては、キャビティの空
間は予め移動中子によって空間を埋められている。ま
ず、射出プランジャにより加圧された溶融金属がゲート
を通過し移動中子に到達する。その後、溶融金属の圧力
で移動中子が押され移動中子の移動と共にキャビティの
空間が開きながら同時に溶融金属が充填され溶融金属の
流動先端,流動表面が空気に触れることがない。従って
ゲート通過速度がどのように速い場合にも溶融金属がガ
スの巻き込みを生じることはない。
【0008】以下に参考例を詳しく説明する。 参考 例1.第1の参考 例を図1,図2について説明する。図1は注
入前の状態を示す模式図、図2は注入後の状態を示す模
式図である。この第1の参考例では、移動中子1がキャ
ビティ2内を上下方向に移動できることを特徴としてい
る。
【0009】キャビティ2は下型3,中型4,上型5か
ら構成され、プレス定盤6とプレス移動テーブル7との
間でプレス移動テーブル7にかかる油圧力により固定さ
れている。下型3,中型4,上型5から構成される金型
全体は、プレス移動テーブル7に固定されており、この
プレス移動テーブル7の移動により上下に移動すること
ができる。溶融金属8(例えばアルミニウム合金等)は
プレス定盤6もしくは定盤上の金型と射出プランジャ9
によって構成される湯溜り10に注がれ、プレス移動テ
ーブル7の下降とともに金型全体が下降し、金型の一部
が湯溜り10の一部に接触して型締めされる。このとき
溶融金属8が注入されて製品形状を形造るキャビティ2
は、図1に示すように移動中子1によって塞がれた状態
となっている。続いて射出プランジャ9が上昇し、湯溜
り10内の溶融金属8の上空間にあるエアもしくはガス
が金型の隙間11を抜けて金型外部に放出され、その後
溶融金属8は下型3に設けられたゲート12を通って図
2に示すように移動中子1の下面に突き当たる。このと
き溶融金属8は射出プランジャ9から伝わる圧力で移動
中子1を押上げ、キャビティ空間を広げながら同時に溶
融金属8が空間に充填されていく。このようにキャビテ
ィ空間の広がりと溶融金属8の充填が同時に進行するた
め、溶融金属8の流動先端もしくは流動表面がエアやガ
スに接触することがない。従って、溶融金属8の充填速
度がいかに速くともガスの巻き込み現象を生じることは
ない。さらに移動中子1が上昇し、移動中子1の上面が
上型5に当たった時点で所期の製品形状のキャビティ2
が開くと同時に溶融金属8が充填完了となり射出プラン
ジャ9からの加圧力が立ち上がる。その後、製品13の
凝固が完了する。
【0010】参考例2. 上記参考例1では溶融金属8を移動中子1の底面に当て
て上下動させるものを示したが、例えば図3,図4に示
すように移動中子1を二分1A,1Bし、その分割面の
僅かな隙間から溶融金属8が侵入するようにして移動中
子1A,1Bを左右に押し広げる構造にしてもよい。
【0011】参考例3.第3の参考 例を図5,図6について説明する。金型の基
本構成は実施例1と同じであるので同一符号を付して説
明を省略する。この参考例3ではガスベント14をゲー
ト12の近傍に設けたことを特徴としている。
【0012】射出プランジャ9を上昇させて溶融金属8
を充填する際、溶融金属8に先行して湯溜り10にある
空気もしくはガスがゲート12を通過する。その際、流
速が遅ければ金型の隙間等からガスが逃げるため問題は
ないが、射出速度が速い場合には射出時に湯溜り10内
のガス圧が上昇してゲート12を介して圧力を伝達し、
移動中子1を押し上げてしまう場合がある。この参考
はこのような事態を避けるもので、ゲート12の近傍に
ガスベント14を設けることで湯溜り10のガス圧上昇
を未然に防ぐものである。ガスベント14を設けること
により、移動中子1の余分な上昇を防ぐことができ、ガ
スが金型外部に放出された後、溶融金属8がガスベント
14に侵入凝固してバリ15となって、ガスベント14
を塞ぐ。その後、参考例1に示した過程で製品が鋳込ま
れる。この参考例3の場合、製品の形状は直径60m
m,長さ150mmの円柱、ゲート12の形状は直径6
mm,長さ10mm、移動中子1の形状は製品形状と同
じ、ガスベント14の断面形状は10mm×0.1m
m,長さ100mmとなっている。また、溶融金属8の
射出速度はゲート12の流速で20m/sec程度とな
っている。この参考例3で得た製品は従来法で造った同
じ形状の製品に比べて重さで10g重いことが分かっ
た。
【0013】参考例4. 上記参考例3ではガスベント14をゲート12の付近に
設けたものを示したが、例えば図7,図8に示すように
ガスベント14Aをゲート12につながるように設けて
もよい。
【0014】参考例5. 図9に第5の参考例を示す。この参考例5では移動中子
1にガスベント16を設けることにより、ガス抜き効率
を高めることを目的としている。図9に示すようにガス
抜きを金型合わせ面の隙間11に作ったためガスがゲー
ト12を通過した後、ガスの流れが移動中子1の底面で
直角に曲げられるので、ガス抜き効果がやや甘く移動中
子1の形状,重さによっては移動中子1が浮いてしまう
場合があった。この参考例5ではガスベント16を移動
中子1に設けることによって、ガスの流れる方向を変え
ないためガス圧の上昇が小さくなり、溶融金属8が移動
中子1に接触する以前にガス圧によって移動中子1が浮
上してしまうような現象はなくなった。湯溜り10から
ゲート12を経て上昇してくる溶融金属8がガスベント
16に侵入して急速凝固した後、溶融金属8の圧力で移
動中子1が浮上し、キャビティ2を形成しながら溶融金
属8が充填される。ガスベント16を通過したガスは移
動中子1の背面側のキャビティ2に抜け、さらに金型に
設けたガスベント11から外部に放出される。
【0015】参考例6. 図10に第6の参考例を示す。この参考例6では移動中
子1にガス抜き弁17を設けることにより、ガス抜き効
率を高めることを目的としている。図10に示すように
ガス抜き弁17を移動中子1に設けることによって、ガ
スの流れる方向を変えず、さらに移動中子1とガス抜き
弁17との隙間を0.5mm程度と大きくとったため、
溶融金属8が移動中子1に接触する以前にガス圧によっ
て移動中子1が浮上してしまうような現象がなくなる。
湯溜り10からゲート12を経て上昇してくる溶融金属
8がガス抜き弁17に衝突した瞬間、ガス抜き弁17が
押し上げられてガス抜き弁17が閉じる。この時、ガス
抜き弁17の下部がフランジ部17aを有する構造とな
っているため、ガス抜き弁17と移動中子1との隙間に
溶融金属8が入っていくことを未然に防げる。その後ガ
ス抜き弁17と移動中子1の底面に加わる圧力で移動中
子1が浮上し、キャビティ2を形成しながら溶融金属8
が充填される。ガス抜き弁17を通過したガスは移動中
子1の背面に抜けさらに金型に設けたガスベント11か
ら外部に放出される。
【0016】参考例7. 図11に第7の参考例を示す。この参考例7では移動中
子1とキャビティ2を構成する中型4との間にクリアラ
ンスにより適当な隙間18を設けることにより、この隙
間18からガスが逃げるようにしたので、溶融金属8が
ゲート12を通過する直前に湯溜り10のガス圧で一時
的に移動中子1が浮上するが移動中子1が浮上した瞬間
上記設定隙間18からガスが逃げることにより、移動中
子1の浮上が停止する。その後、溶融金属8が移動中子
1の浮上でできる空間に充填されて上記隙間18に侵入
するが直ちに凝固しバリ19となって隙間18をふさい
でしまう。さらに、溶融金属8が充填される過程で移動
中子1が移動するために上記バリ19は製品の中に取り
込まれてしまい製品にはエアベント形状の跡が残らずバ
リがつかない。
【0017】参考例8. 上記参考例7ではガス抜き用隙間18を移動中子1の周
囲のクリアランスにより形成したものを示したが、移動
中子1の外周面に設けた溝(図示せず)により隙間18
を形成してもよい。
【0018】参考例9. 図12,図13に第9の参考例を示す。この参考例9で
は移動中子1の背面部をバネ20の力で押えることによ
り、ゲート12を通過し突入してくるガス圧により移動
中子1が浮上しないようにしている。このようにバネ2
0で押しておくことにより、ガスが金型合わせ面の隙間
11もしくは参考例3に示すガスベント14から外部に
逃げて移動中子1の浮上を防げる。
【0019】参考例10. 図14に第10の参考例を示す。この参考例10では移
動中子1の背面部を油圧(空圧)シリンダ21のピスト
ンロッド22と締結する。溶融金属8の射出時に湯溜り
のガスにより移動中子1が押し上げられようとするが、
ピストンロッド22に締結されているため、侵入してく
るガス圧程度では移動中子1は移動しない。金型の隙間
及びガスベント等からガスが抜けた後、溶融金属8が移
動中子1に到達して接触し、射出プランジャ9から伝達
される圧力が立ち上がり、ピストンロッド22にかかっ
ている力に打ち勝ち、ピストンロッド22を押戻しなが
ら移動中子1が移動する。この時、油圧(空圧)シリン
ダ21の駆動配管系に絞り弁23を設けておき、この絞
り弁23の開度を調整することにより、移動中子1の移
動速度を調整することができる。
【0020】参考例11. 図15,図16に第11の参考例を示す。この参考例1
1では複雑形状鋳物に参考例1に示す方法を適用しよう
とするもので、移動中子1とその両側の移動中子1aと
の組合せにより複雑形状のキャビティ2を埋めている。
溶融金属8がゲート12を通過し移動中子1に当たり、
この溶融金属8の圧力で移動中子1が上昇し同時に溶融
金属8が充填されていく。移動中子1が上がりきった時
点で、両側の移動中子1aは移動中子1の上昇時に摩擦
によって少し上昇しており、移動中子1aと中型4との
間に隙間ができている。その隙間に溶融金属8が侵入し
溶融金属8の圧力で移動中子1aが上昇する。以上の過
程を経て充填完了となり、フランジ付きの製品ができ
る。以上に示す方法の応用で移動中子の数を増やすこと
によってどのような形状のキャビティをも構成すること
が可能である。
【0021】参考例12. 上記参考例11では移動中子1,1aの移動方向が同一
のものを示したが、例えば図17,図18に示すように
移動中子1に対し両側の移動中子1bがそれぞれ外向き
に水平方向に展開してもよい。
【0022】参考例13. 図19,図20に第13の参考例を示す。この参考例1
3では複雑形状キャビティにおいて溶融金属8の圧力を
直接作用させられない移動中子1cに対して圧力を直接
受けることのできる移動中子1との係合部分24を設け
ることにより、圧力を直接受けられない移動中子1cも
滑らかに移動できるようにしたものである。移動中子1
cに係合部分24を設けて、溶融金属8の圧力を受けて
移動する移動中子1によって移動中子1cが動けるよう
にしたもので、キャビティ2内の充填を滑らかに行なう
ことができる。
【0023】参考例14. 図21,図22に第14の参考例を示す。この参考例1
4では複雑形状キャビティにおいて参考例11に示す移
動中子1aのように溶融金属8の圧力で移動ができない
移動中子1dに切り欠き部25を設けることにより、切
り欠き部25に溶融金属8を侵入させ、金型同士の隙間
に溶融金属8が入ることによって移動中子1dが移動で
きるようにしたものである。
【0024】参考例15. 図23,図24は第15の参考例を示す。この参考例1
5では複雑形状キャビティにおいて移動中子1の組合せ
の複雑化を避けるために、キャビティ2を構成する空間
の一部を移動中子1で埋めることにより可能な限りキャ
ビティ空間の体積を小さくし、もって、キャビティ2内
に残ったエアもしくはガスの体積をできるだけ小さくで
きるようにしたものであり、溶融金属8が移動中子1を
移動させた後キャビティ2内に残ったエアもしくはガス
を溶融金属8が押し出して製品が成形される。参考例の効果 以上のように、参考例1〜15によれば製品形状を有す
るキャビティを移動中子によって埋めてしまうことによ
り、溶融金属の射出前にはキャビティの空間が存在せず
本来キャビティ内にあるはずのガスも存在していない。
溶融金属が射出される際、湯溜りにあるガスはガス抜き
構造によって金型外部に放出される。その直後に溶融金
属が移動中子に当り、溶融金属の圧力で移動中子が移動
を始める。移動中子の移動によって製品形状のキャビテ
ィ空間が開かれて行くが、この時同時に溶融金属も開か
れつつあるキャビティに充填されて行くため、充填過程
で溶融金属への外部からのガスの巻き込み等が全く生じ
ない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は参考例1〜1
5に示された如き移動中子を応用して多数個取り金型で
成型される製品の品質を向上させ、かつ歩留まりを向上
させることを目的とする
【0026】
【課題を解決するための手段】この発明によれば多数個
取りの金型構造において、各キャビティにゲートを介し
て通じる湯道部分に移動中子を設けることにより、溶融
金属の充填に従い移動 中子が上昇し、それぞれのキャビ
ティに通じるゲート部入口を順次解放することにより、
湯道部分における溶融金属のガス巻き込みを防ぎ、かつ
前記キャビティに溶融金属が充填される順番が制御でき
るようにしたことを特徴とする。 また、移動中子の動き
を利用して金型内の別の機構,例えばガスベントの開閉
機構や多数個取りキャビティにおけるゲートを開けるタ
イミングをコントロールして駆動するようにしたことを
特徴とする。
【0027】
【実施例】実施例1. 図25にこの発明に係る第の実施例を示す。この実施
では参考例1で示した移動中子1を多数個取り金型
26における湯溜り10から各キャビティ27のゲート
27aへ溶融金属8を導くための湯道28に適用したも
ので、湯道28の部分におけるガスの巻き込みを防ぐこ
とを目的としている。また、湯道28の部分に移動中子
1を設定することにより、移動中子1の移動に伴って各
キャビティ27のゲート27aが順次開かれることによ
り、湯溜り10に近いキャビティ27から順番に溶融金
属8が確実に充填され、湯道28内における湯流れの乱
れに起因する湯まわり不良を防ぐことができる。また各
キャビティ27の空間を上記参考例11のように移動中
子1の組合せによって埋めることもでき、一層のガス巻
き込み抑制効果が増す。
【0028】実施例2. 上記実施例では湯道28が直線状のものを示したが、
例えば図26に示すように湯道28AにR(アール)を
つけると、製品キャビティ27Aが曲面で構成されるも
のが得られる。この場合移動中子1を球体形状とし、か
つ湯道28Aの断面を球体通過可能な形状としておく。
【0029】実施例3. 図27にこの発明に係る第の実施例を示す。この実施
では上記実施例16の移動中子1に切り欠き部29
を設けたもので、このように切り欠き部付き移動中子1
を湯道28の部分に設けることによって、溶融金属8が
各キャビティ27に充填される順番を制御できるように
している。従って、各キャビティ27には(a)−
(b)−(c)−(d)の順番で溶融金属8が充填され
る。
【0030】実施例4. 図28にこの発明に係る第の実施例を示す。この実施
では上記実施例の多数個取り金型26における各
キャビティ27のゲート27aの位置をそれぞれ互い違
いに設定することにより、上記実施例に示したように
移動中子1に切り欠き部29を設けることなく、溶融金
属8の充填順序を制御することができる。
【0031】実施例5. 図29にこの発明に係る第5の実施例を示す。この実施
では上記実施例の多数個取り金型26に酸化物ト
ラップ30を設けたものである。溶融金属8が射出され
る際、溶融金属8の流動先端には酸化物30aが多く含
まれており、ゲート12を通過した直後に溶融金属8が
移動中子1の底面に当り、流動先端が広がるときに流動
先端部の溶融金属8を上記酸化物トラップ30内で凝固
させる。これにより、湯道28には清浄な溶融金属8が
供給される。
【0032】実施例6. 図30,図31にこの発明に係る第の実施例を示す。
この実施例では上記実施例の多数個取り金型26の
湯道28の部分にシャッタ金型31を設けたものであ
る。シャッタ金型31にはこれが移動することにより各
キャビティ27のゲート27aに通じる穴31aが開い
ており、溶融金属8の射出前にはシャッタ金型31の穴
31aがゲート27aとオフセットされており、ゲート
27aは塞がった状態になっている。さらに上記実施例
の移動中子1がシャッタ金型31の内側にセットして
ある。溶融金属8が射出されて移動中子1がシャッタ金
型31内を上昇する。この時、シャッタ金型31の穴3
1aとゲート27aとはオフセットされているために、
溶融金属8はキャビティ27内に充填されない。さら
に、溶融金属8がシャッタ金型31内に充填される過程
で、溶融金属8の表面の酸化物30aがシャッタ金型3
1の表面に付着し、充填される溶融金属8は清浄化され
る。その後、移動中子1がシャッタ金型31の上面部に
当り、続いてシャッタ金型31が移動中子1によって移
動される。その結果、シャッタ金型31の穴31aとゲ
ート27aとが通じて溶融金属8がゲート27a内に充
填される。この時、シャッタ金型31を設けたことによ
り、各キャビティ27には溶融金属8が同時に充填さ
れ、キャビティ27間による充填状態のばらつきが無く
なる。さらに、シャッタ金型31に設ける穴31aの数
を変えることにより、多数個取り金型26のキャビティ
27の使用状態を制御出来る。例えば、シャッタ金型3
1にゲート27aに通じる穴31aを設けないことによ
り、あるキャビティ27には溶融金属8が充填されず、
そのキャビティ27を休ませることができる。
【0033】実施例7. 図32にこの発明に係る第の実施例を示す。この実施
では上記実施例の多数個取り金型26における各
キャビティ27に設けられたガスベント11にガスベン
ト開閉ピン32を設け、この開閉ピン32を移動中子1
の移動によって動かすことにより、最適なタイミングで
ガスベント11を閉鎖することができる。また、移動中
子1の厚さtを変えるかもしくは開閉ピン32の位置を
変えることにより、開閉ピン32の閉鎖タイミングを変
えることができる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば移動中
子を多数個取り金型の湯道に設けることにより、湯道で
のガス巻き込みがなくなり、製品材料内へのガス巻き込
みの低減を図ることができる。さらに湯道内での溶融金
属の流れを制御し、各キャビティへの溶融金属の充填順
序をコントロールし金型構造に溶融金属の流動先端にあ
る酸化物を除去できる構造を設けたため溶融金属が清浄
化されるとともに湯周り不良がなくなり各キャビティで
の製品品質が均一になる。
【0035】また、この発明によれば移動中子の動きを
利用して金型内に設けた別の機構、例えばガスベントの
開閉機構を駆動することにより特別なセンサを必要とせ
ず、自動的にガスベントの開閉タイミングをとることが
できるようになり、ガスベント形状の設計自由度が大き
くなる。このような発明の効果により、金型で成形され
る製品の品質が飛躍的に向上し、さらに歩留まりが向上
することにより生産性がよくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の参考例1による金型構造を模式的
に示す図である。
【図2】 図1の注入後を示す図である。
【図3】 この発明の参考例2による金型構造を模式的
に示す図である。
【図4】 図3の注入後を示す図である。
【図5】 この発明の参考例3による金型構造を模式的
に示す図である。
【図6】 図5の注入後を示す図である。
【図7】 この発明の参考例4による金型構造を模式的
に示す図である。
【図8】 図7の注入後を示す図である。
【図9】 この発明の参考例5による金型構造を模式的
に示す図である。
【図10】 この発明の参考例6による金型構造を模式
的に示す図である。
【図11】 この発明の参考例7による金型構造を模式
的に示す図である。
【図12】 この発明の参考例9による金型構造を模式
的に示す図である。
【図13】 図12の注入後を示す図である。
【図14】 この発明の参考例10による金型構造を模
式的に示す図である。
【図15】 この発明の参考例11による金型構造を模
式的に示す図である。
【図16】 図15の注入後を示す図である。
【図17】 この発明の参考例12による金型構造を模
式的に示す図である。
【図18】 図17の注入後を示す図である。
【図19】 この発明の参考例13による金型構造を模
式的に示す図である。
【図20】 図19の注入後を示す図である。
【図21】 この発明の参考例14による金型構造を模
式的に示す図である。
【図22】 図21の注入後を示す図である。
【図23】 この発明の参考例15による金型構造を模
式的に示す図である。
【図24】 図23の注入後を示す図である。
【図25】 この発明の実施例による金型構造を模
式的に示す図である。
【図26】 この発明の実施例による金型構造を模式
的に示す図である。
【図27】 この発明の実施例による金型構造を模式
的に示す図である。
【図28】 この発明の実施例による金型構造を模式
的に示す図である。
【図29】 この発明の実施例による金型構造を模式
的に示す図である。
【図30】 この発明の実施例による金型構造を模式
的に示す図である。
【図31】 図30の注入後を示す図である。
【図32】 この発明の実施例による金型構造を模式
的に示す図である。
【図33】 従来装置の要部を示す図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1a,1b,1c,1d 移動中子 2 キャビティ 3 下型 4 中型 5 上型 6 プレス定盤 7 プレス移動テーブル 8 溶融金属 9 射出プランジャ 10 湯溜り 11 隙間(ガスベント) 12 ゲート 13 製品 14 ガスベント 15,19 バリ 16 ガスベント 17 ガス抜き弁 18 クリアランス 20 バネ 21 油圧(空圧)シリンダ 22 ピストンロッド 23 絞り弁 25,29 切り欠き部 26 多数個取り金型 27 キャビティ 27a キャビティゲート 28 湯道 30 酸化物トラップ 30a 酸化物 31 シャッタ金型 32 ガスベント開閉ピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳毛 やすし 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 平1−286807(JP,A) 特開 平2−63666(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/22,17/32 B29C 45/34

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数個取りの金型構造において、各キャ
    ビティにゲートを介して通じる湯道部分に移動中子を設
    けることにより、溶融金属の充填に従い移動中子が上昇
    し、それぞれのキャビティに通じるゲート部入口を順次
    解放することにより、湯道部分における溶融金属のガス
    巻き込みを防ぎ、かつ前記キャビティに溶融金属が充填
    される順番が制御できるようにしたことを特徴とする鋳
    造用金型構造。
  2. 【請求項2】 請求項記載の多数個取りの金型構造に
    おいて、移動中子に切り欠き部を設けることにより、製
    品キャビティに溶融金属が充填される順番を一つ一つ制
    御できるようにしたことを特徴とする鋳造用金型構造。
  3. 【請求項3】 請求項記載の多数個取りの金型構造に
    おいて、湯道部分とキャビティをつなぐゲートの位置を
    ずらせておくことにより、製品キャビティに溶融金属が
    充填される順番を一つ一つ制御できるようにしたことを
    特徴とする鋳造用金型構造。
  4. 【請求項4】 請求項記載の多数個取りの金型構造に
    おいて、ゲート近傍の湯道部分の適当な位置に小さな気
    室を設けて溶融金属が充填される際の湯流れ状態を利用
    し、酸化物を前記気室にトラップし、各キャビティに清
    浄な溶融金属を供給できるようにしたことを特徴とする
    鋳造用金型構造。
  5. 【請求項5】 請求項記載の多数個取りの金型構造に
    おいて、ゲート部分と湯道との間にゲートを開閉できる
    シャッタ金型を設け、このシャッタ金型の中に移動中子
    を設け、前記移動中子で前記シャッタ金型を移動させる
    ことにより、酸化物のキャビティ内への侵入を防ぐと共
    に各キャビティに溶融金属を同時に充填できるようにし
    たことを特徴とする鋳造用金型構造。
  6. 【請求項6】 移動中子の動きを利用して金型内の別の
    機構,例えばガスベントの開閉機構や多数個取りキャビ
    ティにおけるゲートを開けるタイミングをコントロール
    して駆動するようにしたことを特徴とする請求項1の鋳
    造用金型構造。
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