JPH0453932Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、射出成形機において、溶融樹脂のチ
ヤージ時にノズル先端から溶融樹脂が糸を引くよ
うにして垂れる、垂れ落ち現象を防ぐための射出
成形機のノズルに関する。

（従来の技術） 射出成形は、射出成形機のノズルを金型のスプ
ルーブツシユに当接させて溶融樹脂をノズル先端
の射出孔から金型のキヤビテイに射出することに
よつて、溶融樹脂を固化させ成形品を得るもので
ある。機械の作動中、ノズルが金型に接触してい
るときは金型に熱を奪われてノズル温度が下るた
め、製品時の品質の劣化およびばらつきの原因と
なるので、射出時以外はなるべく接触しない方法
が取られる。しかし、一般的にインライン形の射
出成形機においては、次のサイクルで使用する溶
融樹脂をノズル内部にストツクするためのチヤー
ジ動作があり、例えば、成形品を取出すための型
開き中、ノズルが金型から離れているときにおい
てチヤージ動作を行なうと、チヤージされた溶融
樹脂がノズルから垂れ落ちてしまうことがある。
特に、溶融粘度の低い樹脂では顕著である。

この垂れ落ちを防止するためにバルブノズルを
取付けた装置があり、バルブノズルにはチエツク
弁付ノズル、プリコンプレツシヨンノズル、シヤ
ツトオフノズル等が用いられる。

上記のバルブノズルで、チエツク弁付ノズルは
第５図に示すものがある。これはノズル基部１と
摺動軸２を装着したノズルヘツド３とからなり、
摺動軸２内部にはノズルヘツド３の射出孔３ａと
ノズル基部１の内周面とを結ぶ連通孔４が形成さ
れている。このノズルは金型に押圧されと、摺動
軸２はノズル基部１内に移動するので、連通孔４
の後方口が開口することによつてノズル３の射出
孔３ａへの溶融樹脂の流路が形成される。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記チエツク弁付ノズルは構造
が簡単のため小型にすることができるが、この場
合には摺動軸２が細くなり機械的強度が弱くなる
ので、軸芯精度を良くする必要がある。また、ノ
ズルヘツド３が前後移動可能な構造となつている
ので金型との位置決めが煩雑である。したがつ
て、より制作し易く、軸芯精度の良いノズルが望
まれでた。

本考案は射出成形時にノズル先端からの垂れ落
ち現象を解消するために、射出孔を確実に閉塞で
きる射出成形機のノズルを提供することを目的と
する。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案は、ノズルの
先端部内の射出孔近傍に小室を設け、該小室内に
前記射出孔の孔径より大きな球体を前記射出孔に
接離自在に収納し、前記ノズルの射出孔近傍に前
記小室から外部に貫通する複数の貫通孔を設け、
該貫通孔に夫々ヘツドを有するピンを、該ヘツド
を前記小室内に位置して摺動自在に設けると共
に、前記ピンのヘツドを前記球体に接触させ、し
かも前記ピンの長さは前記球体が射出孔を閉塞す
る位置ではピンの前端が前記ノズルから突出し、
前記球体が射出孔から遠退する位置ではピンの前
端が前記ノズルに没入するものであることを特徴
とする。

（作用） 本考案は上記のように構成するので、ノズルの
内部ではチヤージ時の背圧力で球体は射出孔に向
かつて移動して射出孔を閉塞し、また射出のため
ノズルが金型に当接したときには、金型がピンを
ノズル内に押し込み球体が移動するので、射出孔
は開通し溶融樹脂は金型のスプルーブツシユを通
り射出される。

（実施例） 本考案の実施例を第１図ないし第３図に基づい
て説明する。

第１図に示すように、ノズル基部５の先端には
スプルーブツシユ６に整合する、射出孔７を有す
るノズルチツプ８が、空洞部９を形成するように
して螺着されており、射出孔７近傍周辺に、外部
と空洞部９とを連通する貫通孔１０を複数配して
いる。実施例では第２図、第３図に示すように、
貫通孔１０は対称的に三つ設けてあり、貫通孔１
０の夫々に、貫通壁の厚みより長く、空洞部９側
に皿状のヘツドを形成したピン１１が摺動自在に
挿通されている。また、射出孔７の径より大きな
鋼球１２が、空洞部９内に収納されていて、三本
のピン１１のヘツドがこれに当接している。な
お、ノズル基部５の先端の孔より鋼球１２の径が
大きくされているので鋼球１２は内部奥に移動す
ることはない。

次に作用を説明する。

まず、ノズル部分を示す第１図の上半分は、ス
プルーブツシユ６からノズルチツプ８が離れた状
態で、溶融樹脂がチヤージされるときの様子を示
したものである。鋼球１２は溶融樹脂による背圧
力によつて前方に押されて射出孔７を閉塞すると
共に、鋼球１２の移動によつて押され、結局、ピ
ン１１はノズルチツプ８から突出する。この状態
では溶融樹脂の垂れ落ちはない。次に、射出時に
は、第１図下半分に示す如く、ノズルチツプ８は
スプルーブツシユ６にタツチするので、それによ
つて三本のピン１１は貫通孔１０内に押し込まれ
空洞部９すなわち小室側に移動する。これにより
ピン１１のヘツドが鋼球１２を後方に押し返すの
で、鋼球１２はピン１１に支持されて射出孔７の
軸上を移動し射出孔７の通路は開かれ、溶融樹脂
は鋼球１２を回避して流れスプルーブツシユ６を
通つて射出される。次に型開きをして、スプルー
ブツシユ６からノズルチツプ８を離すときに、溶
融樹脂のチヤージを同時に行なうと、ノズルチツ
プ８が離れることによりピン１１が突出すると共
に鋼球１２が射出孔７を閉塞する。従つて離間時
においても垂れ落ちはない。

なお、材料替え、または色替えのときは、ノズ
ルチツプ８を一旦外して鋼球１２を抜きとること
によりフリーフローノズルと同様になるから、そ
の操作は容易にできる。また、ノズルチツプ８を
外さない別の方法として、第４図に示すように、
表面および内側を、ノズルチツプ８のスプルーブ
ツシユ６に接する面と同時の曲面１３ａに形成し
たアタツチメント１３を、ノズルチツプ８に嵌め
込むことにより、ピン１１は内側曲面１３ａに押
されて空洞部９に突出し鋼球１２を後方に移動さ
せるので常時開となり、溶融樹脂の連続パージが
可能となる。

なお、ノズルの温度を一定に維持し易いので、
設定温度範囲の狭い結晶性樹脂の成形にも有効で
あり、ノズル内の圧力変動にも対応でき低発泡成
形の射出成形にも利用できる。

また、鋼球１２の動きを補助するために耐熱性
ばねを、鋼球１２が射出孔７を閉塞する方向に設
置してもよい。

（考案の効果） 本考案は以上のように、射出孔に対し直接球体
によつて閉塞、開放するように設けたものである
から、迅速に作動すると共に芯ずれがなくシール
性が良好である。このため、スプルーブツシユか
らノズルを外しても溶融樹脂の垂れ落ちがなく、
しかも、ノズル部分の温度低下を少なくできるの
で、ノズル部分での溶融樹脂の詰まりがなくな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例のノズル部分を示
し、上半分はスプルーブツシユとノズルが離れて
いる場合の断面図、下半分は、スプルーブツシユ
とノズルが接している場合の断面図、第２図は、
実施例のノズルの正面図、第３図は、第１図の
−矢視方向の断面図、第４図は、実施例のノズ
ルのアタツチメントの側断面図、第５図は、従来
のチエツク弁付ノズルの断面図である。 ７……射出孔、８……ノズルチツプ、９……空
洞部、１０……貫通孔、１１……ピン、１２……
鋼球。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ノズルの先端部内の射出孔近傍に小室を設け、
   該小室内に前記射出孔の孔径より大きな球体を前
   記射出孔に接離自在に収納し、前記ノズルの射出
   孔近傍に前記小室から外部に貫通する複数の貫通
   孔を設け、該貫通孔に夫々ヘツドを有するピン
   を、該ヘツドを前記小室内に位置して摺動自在に
   設けると共に、前記ピンのヘツドを前記球体に接
   触させ、しかも前記ピンの長さは前記球体が射出
   孔を閉塞する位置ではピンの前端が前記ノズルか
   ら突出し、前記球体が射出孔から遠退する位置で
   はピンの前端が前記ノズルに没入するものである
   ことを特徴とする射出成形機のノズル。