JP2586988B2 - 成形機の射出装置 - Google Patents

成形機の射出装置

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宮原正昭
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は小容量の溶融材料の射
出を可能とする合成樹脂の成形機の射出装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】小体積の合成樹脂成形品の射出成形で
は、必然的に溶融材料の射出量も小容量となる。そこで
射出スクリュやプランジャ等を小径に形成して成形材料
の計量を制限したり、或は実開平4−128823号公
報に記載されているように、スクリュの中央にプランジ
ャを貫設して、スクリュにより可塑化した材料樹脂を小
径のプランジャにより射出したりしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来装置のうち、射出
スクリュ等を小径に形成したものは、小径になるに従い
計量時の成形材料による回転抵抗などにより折損し易
く、また質量も小さくなるので溶融した成形材料が冷え
易い。このため射出スクリュ等の小径化には限界があ
る。
【0004】またスクリュ内のプランジャにより射出を
行うものは、真っすぐなプランジャ孔の穿設が難しく、
またプランジャ周囲に隙間があると溶融樹脂が侵入する
のでそのクリアランスは極めて僅かなもので、摩擦抵抗
も考慮して構成されなければならないなど高精度の加工
が要求され、コスト高となり易い。
【0005】いずれにしても、従来の小容量の成形材料
の射出を可能とする射出装置は、射出スクリュ或はプラ
ンジャの先端面をもつて計量された溶融材料を押圧して
射出するものであるから、それを改善しない限り小容量
の成形材料の射出を行うことは困難なことである。
【0006】また小容量の射出では射出スクリュの射出
ストロークが極めて短く、小型の射出装置でもそのスト
ロークは数ミリ程度とのこともあり、このため射出プロ
セスコントロールを採用したくとも、電気系、油圧系の
応答が追従せずコントロールできないなどの課題を有す
る。
【0007】この発明は上記従来の課題を解決するため
に考えられたものであって、その目的は射出スクリュの
先端に、所要外径の軸部材を延設することによって、加
熱筒内側に溶融材料の流通間隙を形成し、その流通間隙
により制限された溶融材料を充分な射出スクリュのスト
ロークにより射出できるようにして、小体積の成形品の
成形を可能とする新たな構成の成形機の射出装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的によるこの発明
の特徴は、加熱筒内の射出スクリュの先端に、所要の流
通間隙を加熱筒内側に形成する軸部材を延設するととも
に、加熱筒と先端のノズル部材との間に、中央のガイド
ホールの周囲に上記流通間隙と連通する流通路を有する
筒状のガイド部材を設け、そのガイド部材の上記ガイド
ホールに軸部材の先端部を移動自在に内包して、軸部材
とともに移動する上記射出スクリュにより流通間隙の溶
融材料をノズル部材内に圧送できるように構成したこと
にある。
【0009】
【作 用】上記構成では、加熱筒の内径(D0 )、軸部
材の外径(D1 )、ストローク(L)とすると、上記流
通間隙の面積はπ×(D0 2−D1 2)/4で表すことがで
きる。したがって射出量Vは、 V=π×(D0 2−D1 2)/4×L なる関係式により決定することができる。
【0010】また溶融材料の流通間隙は、加熱筒の内径
と軸部材の外径との差によって形成されるものであるか
ら、理論的にはその差1/100でも可能となり、流通
間隙をできるだけ小さく設定して、ストロークを長く設
定することが可能となり、ストロークによるプロセスコ
ントロールが容易に行えるようになる。
【0011】
【実施例】図中1は成形機の加熱筒で、内部にスクリュ
軸部のみからなる射出スクリュ2が回転かつ進退自在に
設けてある。この射出スクリュ2の先端には加熱筒1の
内径よりも外径を小さく形成した円柱形の軸部材3が、
後端のねじ部をスクリュ先端内にねじ着して着脱自在に
連結してあり、その軸部材3によって加熱筒内側に溶融
樹脂の所要の流通間隙5が形成されている。
【0012】上記軸部材3のガイド部材で、中央に設け
たガイドホール7の周囲に上記流通間隙5と連通する複
数の流通路8が穿設してある。このガイド部材6は上記
加熱筒1と先端のノズル部材9との間に、ボルト10な
どを用いて一体的に設けられている。
【0013】このガイド部材6の上記ガイドホール7に
は、上記軸部材3の先端部が移動自在に内包され、それ
により軸部材3とともに移動する上記射出スクリュ2に
よって、流通間隙5の溶融材料をノズル部材9に設けた
流通路11に圧送し、その流通路内の溶融樹脂をノズル
口から金型(図は省略)に射出できるようにしてある。
【0014】図3に示す実施例は、上記軸部材3の後端
部12を小径に形成してその周囲に環状の環状弁13を
嵌装し、その環状弁13により射出時における溶融樹脂
の逆流を防止してなる。
【0015】図4に示す実施例は、上記ガイド部材6の
ガイドホール7を、ノズル15の開口を開閉する針弁1
4のガイドに兼用した場合であって、ノズル部材9の中
央に貫挿した上記針弁14の後端を連結した短柱形のホ
ルダー16を、ガイドホール7に摺動自在に嵌装し、そ
のホルダー16にガイド部材6の下側の長孔18に軸設
した操作レバー17を挿入して、針弁14を外部から開
閉操作できるようにしてある。
【0016】なお、図では省略したが、ガイドホール7
には軸部材3の移動に際する空気抵抗及び負圧を防止す
る外部との複数の通孔が上下方向に穿設してある。また
溶融材料の逆流防止手段としては、環状弁以外にもチェ
ッキバルブなども採用でき、この場合には、溶融樹脂の
流路をスクリュと軸部材とにわたり設け、その流路に設
置すればよい。
【0017】
【発明の効果】この発明は上述のように、加熱筒内の射
出スクリュの先端に、所要の流通間隙を加熱筒内側に形
成する軸部材を延設し、その軸部材の先端部を加熱筒と
先端のノズル部材との間に設け上記軸部材の先端部を移
動自在に内包し、その軸部材とともに移動する上記射出
スクリュにより流通間隙の溶融材料をノズル部材内に圧
送できるように構成したことから、小容量の溶融材料の
射出でも、射出スクリュのストロークを長く設定できる
ので、プロセスコントロールが容易に行える。
【0018】また軸部材及びガイド部材は互換性を有す
るので、通常構成の射出装置が有するスクリュヘッドを
軸部材に換え、ガイド部材を加熱筒とノズル部材との間
に介在させるだけで、その射出装置を小容量の射出装置
として使用することができる。
【0019】さらにまた溶融材料の流通間隙を加熱筒の
内径と軸部材の外径との差によって形成しているので、
その間隙も外径の異なる軸部材のに換えることで自由に
しかも高精度に設定でき、軸部材の質量も大きいので溶
融樹脂が冷えず、したがって、小体積の成形品の成形精
度が一段と向上する等の特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る成形機の射出装置の要部縦断
側面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 他の実施例の射出装置の要部縦断側面図であ
る。
【図4】 針弁を備える他の他の実施例の射出装置の要
部縦断側面図である。
【符号の説明】
1 加熱筒 2 射出スクリュ 3 軸部材 5 流通間隙 6 ガイド部材 7 ガイドホール 8 流通路 9 ノズル部材 13 環状弁 14 針弁

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱筒内の射出スクリュと、その射出ス
    クリュの先端に延設されて所要の流通間隙を加熱筒内側
    に形成する軸部材と、中央のガイドホールの周囲に上記
    間隙と連通する流通路を有する筒状のガイド部材とから
    なり、そのガイド部材を上記加熱筒と先端のノズル部材
    との間に設けて上記軸部材の先端部を移動自在に内包
    し、その軸部材とともに移動する上記射出スクリュによ
    り流通間隙の溶融材料をノズル部材内に圧送する構成よ
    りなることを特徴とする成形機の射出装置。
JP18683193A 1993-06-30 1993-06-30 成形機の射出装置 Expired - Fee Related JP2586988B2 (ja)

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