JPS5915285Y2 - 段積屋根構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は平板状瓦材を用いた段積屋根構造に関する。

従来の屋根は野地板の上に軒瓦を介して石綿セメント板
やスレート板などの平板状瓦材を鱗状に葺いていたが、
外観上、軒先では瓦材を１〜２重であり、けらばでも２
〜３重に積層されているに過ぎず、平板状瓦材が薄い（
４〜８ｍｍ厚）ことと相俟って屋根に重厚感が欠けてい
た。

以上に鑑み、屋根に重厚感を与えるため屋根の野地板上
に平板状の矩形瓦材を複数層積重する葺き方が新規技術
として採用されるにおよび、該積重瓦材を固定させるた
めに長い釘を必要とし、釘打ちの際瓦が割れたり、釘が
曲ったり、また、施工後に釘が抜けたりする事故が予想
される。

一方、積重部の厚みに相当する間隙を形成した上下挟持
片で該積重部を上下より挾持する支持金具も考えられる
が、厚みの変化に適応できず、挟持が不充分な場合は瓦
がずれることがあり、そのため、雨漏りが発生するなど
の欠点が予想される。

本考案は上記欠点を除き、釘や厚み方向を挾持する支持
金具を用いることなく瓦の屋根面に沿う移動を制御せし
めるようにした、取付作業が極めて容易な積重部係止金
具を用いた屋根構造を提供する。

以下本考案の一実施例を図面にもとづいて説明する。

本考案の屋根は例えば第１図乃至第３図に示される如く
軒先に矩形瓦材を複数枚積重し、その棟上前には段部垂
木２ｂ、野地板２ａによる段部２を配し屋根全体に厚み
を持たせて重厚感を付与したものである。

即ち、第２．第３図示の如く屋根の基層１の上に軒先端
縁から一定の寸法だけ後退させて段部垂木２ｂを配し、
その上に段部野地板２ａを張設して野地板段部２を形成
する。

該野地板段部２の上面、軒側前面および基層１の上面、
前面に当接する賦力または銅製の水切板３が軒の長さ方
向に沿って取り付けられ、釘打固定される。

そして、前記基層上には前記水切板３を介して複数枚の
矩形瓦材４がそれらの継ぎ目が同一鉛直面内に在るよう
に互いに突合せて前記野地板段部２と同高に積重されて
積重軒先瓦５を形成する。

積重軒先瓦５の係止金具６は第４図、第５図に示す如く
、水平断面が■型をなす本体６１（中間部に相当する部
分をウェッブ片６４、両端部に相当する部分をフランジ
片６２．６３と呼ぶ）の一方フランジ片６２の上端から
略直角方向外方に取付片６５が一体突設される。

取付片６５および一方フランジ片６２には夫々上下方向
および水平方向の釘孔７が穿設されている。

そして、ウェッブ片６４を介して他方フランジ片６３が
前記積重軒先瓦５の前端縁に当接して、該積重軒先瓦５
を係止する。

ウェッブ片６４の頂部は前記一方フランジ片６２および
他方フランジ片６３より低く形成され軒に沿って隣接す
る矩形瓦材の積重軒先瓦の突合せ部分に介在される。

他方フランジ片６３の下縁部は一方フランジ片６２およ
びウェッブ片６４よりも下方に垂下し、該部分は前記水
切板３の鼻かくし部分３ａに当接して該部分に固定する
ための取付孔８が設けられる。

本考案の係止具取付にあたっては、段部垂木２ｂに水切
金具３および段部野地板２ａを貫通させて前記取付片６
５を釘打ちすると共に、一方フランシロ２をその前面か
ら段部垂木２ｂに釘またはねじ釘を用いて固定する。

更に、他方フランジ６３と水切金具の鼻かくし部分３ｂ
とを前記取付孔８を介してボルト等を用いて固着させる
。

従って、段部垂木２ｂの屋根傾斜に沿う下方で幅２等分
線の延長線上に矩形瓦材４の継ぎ目５ａが形成されるよ
う金具６と瓦とは位置決めされている。

これら積重軒先瓦５および段部２の上面には普通の上張
用五角形平板状屋根瓦１０が鱗状葺かれて屋根が完成す
る。

屋根のけらば用の係止金具９は第３図の如く、本体９１
が水平断面コ字型状をなし、前記金具６に準じて、中間
部に相当するウェッブ片９４、両端部に相当するフラン
ジ片９２．９３および゛取付片９５を有し、開口方向に
よって左側用と右側用に区別される。

なお、軸に沿って隣接する積重軒先瓦の突合せ部分のウ
ェッブ片上方には空隙部分が生ずるが、ここへはモルタ
ル等をつめて閉塞する。

他方フランジ片６３の前端面には彫刻などによる模様づ
けをしてもよい。

本考案の係止金具は本体６１が断面■型をなす前記中間
金具６の代りに、前記断面コ字型本体９１を有するもの
をウェッブ片９４が背中合せになるよう２個組合せても
よい。

これによって中間金具とけらば部金具とは共用可能とな
る。

本考案は以上の如く、水平断面がＩ型またはコ字型の本
体の一方フランジ片上端から取付片を一体に突設し、該
取付片および前記一方フランジ片を段部垂木に上方およ
び前方から釘打固定した上、他方フランジ片によって積
重軒先瓦の軒先前端縁に当接係止するようにしたので矩
形瓦の段積施工が極めて簡易かつ迅速化され、未熟練者
でも作業ができるようになり、施工後、積重軒先瓦がず
れたりすることは絶対になくなった。

しかも、矩形瓦の釘打ちを不要としたことにより該瓦の
破損が皆無となったなど大きな効果を得た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案−実施例による屋根の全体完成斜視図、
第２図は一実施例による中間作業工程の斜視図、第３図
は第２図に続く中間作業工程の要部拡大斜視図、第４図
は一実施例による中間用係止金具取付状態斜視図、第５
図は第３図の一部省略平面図である。 １・・・・・・屋根基層、２・・・・・・野地板段部、
２ｂ・・・・・・段部垂木、３・・・・・・水切り板、
４・・・・・・矩形瓦材、５・・・・・・積重軒先瓦、
６・・・・・・中間用係止金具、９・・・・・・けらば
用係止金具、６１．９１・・・・・・本体、６２．９２
・・・・・・一方フランジ片、６３゜９３・・・・・・
他方フランジ片、６４ 、９４・・・・・・ウェッブ片
、６５゜９５・・・・・・取付片、１０・・・・・・上
張用屋根瓦。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 屋根基層の上に軒先端縁から一定の寸法だけ後退させて
   段部垂木が配置され、その上に段部野地板が張設されて
   野地板段部が形成され、前記基層上には矩形平板状瓦材
   が前記野地板段部と円高に複数局突合せ積重配置されて
   積重軒先瓦が形成され、該積重軒先瓦は上下互層を全体
   的に固定する見比め具で固定され、該見比め具は水平断
   面がＩ型又はコ字型をなす本体の一方フランジ片の上端
   から略直角方向外方に取付片が一体に突設されてなり、
   該取付片および前記一方フランジ片は段部垂木の前端部
   上面および前端面に当接して封着され、軒先部分を形成
   するため軒に沿って隣接する前記積重軒先瓦の突合せ部
   分又はけらば側面にウェッブ片が介在され、他方フラン
   ジ片が前記積重軒先瓦の前端縁に当接されたことを特徴
   とする段積屋根構造。