JP2639467B2 - 屋根用部材及び屋根工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、住宅の建設工数の節減を計るため屋根垂木
及び野地板などの代わりに使用される屋根用部材に関す
るものである。

（従来の技術） 従来、住宅の屋根は、棟木と軒桁に間に平行に適宜な
間隔で母屋を設け、これら棟木、母屋、及び軒桁に交差
する形で適宜な間隔を置いて複数の屋根垂木を渡して釘
打ちなどで固定し、その上に隙間なく多数の野地板を釘
打ちなどで固定して屋根下地を形成したのち、野地板の
上にルーフイングなどの中間材を敷設してから、その上
にさらに適宜な金属板を被覆張設するか、或は適宜な間
隔が瓦桟を固定してその上に瓦を敷設して形成されてい
る。

又最近建築期間の短縮を計るためパネル工法が多く採
用されているが、この場合の屋根下地は、棟木と軒桁に
交差する形で妻桁を渡して釘打ちなどで固定し、その上
に隙間なく幅の広い屋根パネルを載置し金具などで固定
したのち、各屋根パネルの接合部分を適宜な防水処置を
補して形成している。

（発明が解決しようとする問題点） 上記前者の屋根工法では、棟木、母屋、及び軒桁に複
数の屋根垂木を釘打ちなどで固定したのち、屋根垂木の
上に多数の野地板を隙間なく釘打ちなどで固定して屋根
下地を形成するため、材料を多く要すると共に作業時間
も多くかかり、住宅建設費の高騰の一因となっている。

後者の場合、作業時間を短縮して前者の欠点を排除し
ているが、屋根パネルの取着が比較的面倒でそのうえ高
価であると云う欠点がある。

（問題点を解決するための手段） 本発明はこのような従来の問題点に着目してなされた
ものであって、屋根パネルに代わる安価で取着容易な屋
根用部材を提供することにより、上記問題点を解決する
ことを目的としている。

本発明は、棟木と軒桁の間に屋根垂木なしに渡設する
ための、単材または集成材からなる断面方形状の長尺部
材を長さ方向に切削し、該長尺部材の幅方向上下二面の
内、少なくとも上面の両端部を方形状に突出せしめ、前
記方形状に突出した両端部の間に設けられた部分の幅方
向中心面上とその両端を、夫々、頂部と裾部とする円弧
形状或いは山形々状のとつ面、または谷部と裾部とする
円弧形状或いは山形々状のおう面の何れかを、前記長尺
部材の長さ方向に連続して備えたことを特徴とする屋根
用部材であり、 又本発明は、棟木と軒桁の間に屋根垂木なしに渡設す
るための、単材及び集成材の何れか単独または組み合わ
された長尺部材を長さ方向に切削し、該長尺部材の断面
形状が、前記長尺部材の両外側に配された方形断面の端
部部材と、少なくとも該端部部材の間に挟まれる部分の
幅方向上下二面の内の一面に、円弧形状或いは山形々状
のとつ面またはおう面の何れかを備えた中間部材とから
なり、且つ前記端部部材と該中間部材との間を適宜な方
法で固着してなることを特徴とする屋根用部材に加え
て、 又本発明は、単材または集成材からなる断面方形状の
長尺部材を長さ方向に切削し、該長尺部材の幅方向上下
二面の内、少なくとも一面両端部の一部を方形状に突出
せしめ、前記方形状に突出した両端部の間に設けられた
部分の幅方向中心面上とその両端を、夫々、頂部と裾部
とする円弧形状或いは山形々状のとつ面、または谷部と
裾部とする円弧形状或いは山形々状のおう面の何れか
を、前記長尺部材の長さ方向に連続して備えた屋根用部
材、または単材及び集成材の何れか単独または組み合わ
された長尺部材を長さ方向に切削し、少なくとも該長尺
部材の断面形状が前記長尺部材の両外側に配された方形
断面を持つ端部部材と、該端部部材の間に挟まれる部分
の幅方向上下二面の内の一面に、円弧形状或いは山形々
状のとつ面またはおう面の何れかを備えた中間部材とか
らなり、且つ前記端部部材と該中間部材との間を適宜な
方法で固着してなる屋根用部材の何れかを用い、該屋根
用部材の前記上下二面の内の他面を下にして、屋根垂木
のない棟木と軒桁との間に間隙なく渡設載置して適宜な
方法で固定したのち、その上に適宜な中間材を張設し、
さらに金属板で被覆敷設して、適宜な方法で固定して屋
根を形成することを特徴とする屋根工法である。

（作用） 屋根用部材は、単材または集成材からなる断面方形状
の長尺部材を長さ方向に切断し、該長尺部材の幅方向上
面を切削し必要に応じて下面を切削するか、または単材
または集成材の何れか単独または組み合わされた長尺部
材を用い、該長尺部材の形状が両外側に配されて方形断
面を持つ端部部材と、少なくとも該端部部材の間に挟ま
れる部分の上下二面の内の上面に円弧状或は山形形状と
つ面またはおう面の何れかを有する中間部材とを取着し
たものであるから、屋根パネルなどに比較して安価に製
作することができる。

又屋根下地は、屋根用部材を屋根垂木のない棟木と軒
桁に直接渡設して釘打ちなどの方法で固定して形成出来
るので、屋根用部材の取着が極めて容易であり、そのう
え作業も短時間で完了することができる。

又屋根用部材の少なくとも両外側端部が、棟木と軒桁
に渡設されているので、幅の広い屋根垂木を用いたと同
様な結果となるので、強固な屋根下地を形成することが
できる。

又屋根用部材は、両外側端部を方形状に突出させ、両
端部の間を円弧形状或は山形々状のとつ面またはおう面
に形成しているので、上面に添って金属板を被覆敷設し
て形成された屋根の水捌が非常に良くなり、さらに両端
部を利用することにより水漏れの心配なく金属板を敷設
することができる。

（実施例） 本発明を一実施例を示す第１図及び第２図に基づき以
下詳述する。１は単材または集成材からなる断面長方形
状の長尺部材２を長さ方向に切削して、両端部３、３の
上面を方形状に突出せしめた上面３′と、両端部３、３
の間に頂部４′が幅方向の中心面上で且つ両端部３、３
の上面３′の内側面に裾部４″が位置する円弧形状のと
つ面４と、該とつ面４と対応する下面５の箇所に曲おう
面６とを形成された屋根用部材である。

この屋根用部材１は屋上の屋根垂木を渡していない棟
木７と軒桁８に、曲凹面６を下にして間隙なく渡設し、
所定の箇所を釘打ちして棟木７及び軒桁８に固定して屋
根下地９を形成したのち、その上にルーフイングなどの
中間材10を張設固定し、さらにそのうえにカラートタン
或は銅板などの金属板11を被覆敷設して屋根12を形成す
る。

この場合、屋根用部材１は、単材または集成材からな
る長尺部材２を長さ方向に切削して形成したものである
から、屋根パネルや屋根垂木と野地板を合わせたものよ
りは安価に製作することができる。

又屋根下地９は、屋根用部材１を屋根垂木のない棟木
７と軒桁８に直接渡設して釘打ちで固定して出来るの
で、屋根用部材１の取着が極めて容易であり、そのうえ
作業も短時間で完了することができる。

又屋根用部材１の両端部３、３が棟木７と軒桁８に渡
設されているので、幅の広い屋根垂木を用いたと同様な
結果となるので、強固な屋根下地９を形成することがで
きる。

又屋根用部材１は、両外側端部３、３を方形状に突出
させ、両端部３、３の間を円弧形状のとつ面４に形成し
ているので、上面に添って金属板11を被覆敷設して形成
された屋根12の水捌が非常に良くなり、さらに両端部
３、３を利用することにより水漏れの心配なく金属板11
を敷設することができる。

本発明の他の実施例を示す第３図について以下詳述す
る。13は単材及び集成材の何れか単独または組み合わさ
れた材料を用いて造られた、断面方形状の長尺の端部部
材14、14を並設し、その間に頂部４′が幅方向の中心面
上に位置する円弧形状のとつ面４を有する同材料を用い
た中間部材15を、裾部４″が両端部部材14、14の上端1
4′の内側面に位置するように配置して、両者の接合面
を太棒16と接着材１で固着した屋根用部材である。

この屋根用部材13は、一実施例の屋根用部材１と同様
に使用される。

この場合、屋根用部材13は、所要の幅のものを容易に
製作することができ、そのうえ幅の広いものを一実施例
の場合より安価で製作することができる作用効果を奏す
る。これ以外の作用効果は一実施例の場合と同様であ
る。

上記の両実施例において、屋根用部材１または13を、
底部５に曲おう面６を設け、または中間部材15の底部1
5′を両端部部材14、14の下面14″より内側にして形成
したが、これは所要の機械的強度を保持せしめて可能な
限り重量を少なくするためのものであって、使用目的に
よって下面５または下面14″、15′を平坦状に形成して
も良い。

又屋根用部材１、13の上面に、頂部４′が幅方向の中
心面上に位置する円弧形状のとつ面４に形成したが、円
弧形状の代わりに山形々状にしたり第４図に示すように
谷部18′が幅方向の中心部上に位置する円弧形状のおう
面18を形成した屋根用部材１′、13′にしても良い。尚
説明のない符号に対する名称及び機能は両実施例の場合
と同様である。

又屋根用部材13において、中間部材15を１個の単材ま
たは集成材で造ったが、２個以上の複数個を適宜な方法
で固着して形成しても良く、また両端部部材14、14と中
間部材15とを平面接合により太棒16と接着材17で固着し
たが、平面接合でなく嵌合接合にして適宜な方法で固着
しても良いことは論を俟たない。

（発明の効果） 本発明は、上記の構成を有するので次の効果を奏す
る。

（１）屋根下地の形成が容易なので作業工数の節減がで
き、そのうえ同種部材より安価なので、住宅建設費の低
減に役立つ。

（２）強固な屋根下地を形成されるので、金属板張設の
住宅にかかわらず、頑強な住宅を形成するのに寄与す
る。

（３）水さばきを確実にして金属板を張設でき、そのう
え水捌も良好なので、住宅の耐用年限を延長させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の各実施例を示すもので、第１図及び第２
図は一実施例、第３図は他の実施例で、第１図及び第３
図は夫々の屋根用部材で、各（イ）が正面図、（ロ）が
一部切欠した平面図、第２図は使用方法を説明のための
一部切欠した主要部の概略図で、（イ）が屋根下地の平
面図、（ロ）が屋根の側面図、第４図は他の建築用部材
の正面図である。 １、１′13、13′……屋根用部材、２……長尺部材 ３……端部、３′……上面、 ４……とつ面、４′……頂部、４″……頂部 ５、14″、15……下面、６……曲おう面 ７……棟木、８……軒桁、９……屋根下地 10……中間材、11……金属板、12……屋根 14……端部部材、14′……上端 15……中間部材、16……太棒 17……接着材、18……おう面、18′……谷部

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】棟木と軒桁の間に屋根垂木なしに渡設する
   ための、単材または集成材からなる断面方形状の長尺部
   材を長さ方向に切削し、該長尺部材の幅方向上下二面の
   内、少なくとも上面の両端部を方形状に突出せしめ、前
   記方形状に突出した両端部の間に設けられた部分の幅方
   向中心面上とその両端を、夫々、頂部と裾部とする円弧
   形状或いは山形々状のとつ面、または谷部と裾部とする
   円弧形状或いは山形々状のおう面の何れかを、前記長尺
   部材の長さ方向に連続して備えたことを特徴とする屋根
   用部材。
2. 【請求項２】とつ面に対応するように、下面に円弧状曲
   おう面を形成したことを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の屋根用部材。
3. 【請求項３】棟木と軒桁の間に屋根垂木なしに渡設する
   ための、単材及び集成材の何れか単独または組み合わさ
   れた長尺部材を長さ方向に切削し、該長尺部材の断面形
   状が、前記長尺部材の両外側に配された方形断面の端部
   部材と、少なくとも該端部部材の間に挟まれる部分の幅
   方向上下二面の内の上面に、円弧形状或いは山形々状の
   とつ面またはおう面の何れかを備えた中間部材とからな
   り、且つ前記端部部材と該中間部材との間を適宜な方法
   で固着してなることを特徴とする屋根用部材。
4. 【請求項４】中間部材の下面を両端部部材の同一方向の
   面の位置より内側としたことを特徴とする特許請求の範
   囲第３項記載の屋根用部材。
5. 【請求項５】両端部部材と中間部材とを太棒及び接着材
   で固着したことを特徴とする特許請求の範囲第３項また
   は第４項記載の屋根用部材。
6. 【請求項６】両端部部材と中間部材とを嵌合接合して固
   着したことを特徴とする特許請求の範囲第３項または第
   ４項または第５項記載の屋根用部材。
7. 【請求項７】単材または集成材からなる断面方形状の長
   尺部材を長さ方向に切削し、該長尺部材の幅方向上下二
   面の内、少なくとも一面両端部の一部を方形状に突出せ
   しめ、前記方形状に突出した両端部の間に設けられた部
   分の幅方向中心面上とその両端を、夫々、頂部と裾部と
   する円弧形状或いは山形々状のとつ面、または谷部と裾
   部とする円弧形状或いは山形々状のおう面の何れかを、
   前記長尺部材の長さ方向に連続して備えた屋根用部材、
   または単材及び集成材の何れか単独または組み合わされ
   た長尺部材を長さ方向に切削し、該長尺部材の断面形状
   が前記長尺部材の両外側に配された方形断面を持つ端部
   部材と、少なくとも該端部部材の間に挟まれる部材の幅
   方向上下二面の内の上面に、円弧形状或いは山形々状の
   とつ面またはおう面の何れかを備えた中間部材とからな
   り、且つ前記端部部材と該中間部材との間を適宜な方法
   で固着してなる屋根用部材の何れかを用い、該屋根用部
   材の前記上下二面の内の他面を下にして、屋根垂木のな
   い棟木と軒桁との間に間隙なく渡設載置して適宜な方法
   で固定したのち、その上に適宜な中間材を張設し、さら
   に金属板で被覆敷設して、適宜な方法で固定して屋根を
   形成することを特徴とする屋根工法。