JPH082274Y2 - 屋根の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【産業上の利用分野】

本考案は、屋根の構造、特に屋根パネル間の目地部分
の構造に関するものである。

【従来の技術】

屋根を施工するにあたっては、屋根下地に屋根パネル
を張って屋根面を形成した後に、この屋根パネルの上に
多数枚の瓦板を葺き並べて取り付けることによっておこ
なわれるのが一般的である。しかしこのような施工で
は、多数枚の瓦板を高所でありしかも傾斜面となってい
る屋根面で取り付ける作業が必要であるために、施工性
が非常に悪い。 そこで、屋根パネルに予め複数枚の瓦板を取り付けて
おき、この屋根パネルを複数枚用いて母屋やたる木で構
成される屋根下地の上に敷き並べて取り付けることによ
って、屋根の施工をおこなうようにすることが検討され
ている。このように瓦板を予め屋根パネルに取り付けて
おくことによて、屋根パネルの取り付けと同時に瓦板の
施工もおこなうことができ、多数枚の瓦板を屋根面で葺
く作業が不要になるのである。

【考案が解決しようとする課題】

しかし上記のものにあって、隣合う屋根パネルは側端
同士が突き合わされているだけであるので、屋根パネル
の側端間の目地部から雨水が漏れるおそれがあり、この
ためにこの目地部での排水のための施工を別途おこなわ
なければならず、この点において施工に手間がかかるこ
とになるという問題があった。 本考案は上記の点に鑑みて為されたものであり、屋根
パネル間の目地部に排水のための施工を特別におこなう
必要がなく施工性に優れた屋根の構造を提供することを
目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

本考案に係る屋根の構造は、パネル体１の上面に複数
枚の瓦板2,2…を取り付けて屋根パネル３を形成すると
共にパネル体１の両方の側端面に凹段部13を設け、一方
の凹段部13に樋４を収納して取り付けると共に樋４の一
部を屋根パネル３の側方へ突出させ、上記瓦板２の両側
端縁をそれぞれパネル体１の側方へ突出させて一方の側
端縁を樋４の上方に位置させ、この屋根パネル３を家屋
の屋根に配設して軒棟方向と直交する方向で複数枚の屋
根パネル3,3…を配列して取り付け、屋根パネル３から
突出した樋４の一部を隣合う他の屋根パネル３の樋４が
収納されていない方の凹段部13に収納し、瓦板２の突出
する上記両側端縁のうち他方の側端縁をこの樋４の上方
に位置させると共に隣合う屋根パネル３の各瓦板２の側
端縁を排水用の間隙を介して対向させて成ることを特徴
とするものである。

【作用】

本考案にあっては、屋根パネル3,3…を屋根に施工す
ると屋根パネル３に取り付けた樋４が隣合う屋根パネル
3,3間の目地部に位置し、この目地部での排水を樋４で
おこなうことができ、排水のための施工を特に必要とし
ない。

【実施例】

以下本考案を実施例によって詳述する。 屋根パネル３は下面に枠体10を設けた合板などのパネ
ル体１の上面に、石綿セメントなどセメント系の板等で
作成した複数枚の瓦板2,2…を釘などで打ち付けて取り
付けることによって第１図に示すように形成されるもの
であり、屋根パネル３は屋根の軒から棟に至る長さで軒
棟方向に長細く形成してある。このとき第１図に示され
るようにパネル体１の両側の側端からそれぞれ瓦板２の
側端縁を側方へ突出させてある。またパネル体１の下面
に設けた枠体10の両側端の側枠10aの上部には凹段部13
が形成してある。また、樋４は上面が開口する断面略コ
字型に形成されるものであり、一方の側片の上端に全長
に亘って固定片11が水平に延設してある。この樋４は瓦
板２の下側において一方の凹段部13に固定片11を設けた
側の略半分を収納し、第１図に示すように、固定片11を
パネル体１の上面に釘打ちなどで固定することによっ
て、屋根パネル３のこの一方の側端に全長に亘って側方
へ突出するように取り付けられるものである。樋４の幅
寸法はパネル体１の側端からの瓦板２の突出幅よりも大
きく形成してある。 上記のように形成される屋根パネル３を用いて屋根の
施工をおこなうにあたっては、母屋やたる木などの屋根
下地上に複数枚の屋根パネル3,3…を軒棟方向と直交す
る方向で並列させて取り付けると共に、屋根パネル３か
ら突出した樋４の一部を隣合う他の屋根パネル３の樋４
が収納されていない方の凹段部13に収納することによっ
ておこなう。そしてこのように屋根パネル3,3…を並列
して取り付けると、隣合う屋根パネル3,3間には第２図
のように樋４が介在されて、樋４を介して各屋根パネル
3,3…は突き合わされることになる。従って、隣合う屋
根パネル3,3の瓦板2,2の対向する側端間の隙間である目
地部12の下側には樋４が存在することになり、この目地
部12から下方へ流れ落ちる雨水は樋４で受けられて排水
される。尚、第１図及び第２図に示すように形成した屋
根パネル3,3…を軒棟方向と直交する方向に複数枚並列
することによって、隣合う各屋根パネル3,3…間の目地
部12にそれぞれ第３図の状態で樋４を設けることができ
るが、屋根の端部に位置する屋根パネル３としてはパネ
ル体１の一方の側端にのみ瓦体２の側端を突出させたも
のを用いることができ。 この実施例では凹段部13内に樋４を受けることができ
るために、安定して強固に樋４を保持することができ
る。またこの実施例では屋根に並列して取り付ける屋根
パネル3,3…として総て同じものを用いることができ
る。

【考案の効果】

上述のように本考案にあっては、屋根パネルの一方の
側端に側方へ突出するように樋を取り付け、この屋根パ
ネルを家屋の屋根に配設して軒棟方向と直交する方向で
複数枚の屋根パネルを配列して取り付け、隣合う屋根パ
ネル間に上記樋を位置させるようにしたので、屋根パネ
ルを屋根に施工すると屋根パネルに取り付けた樋が隣合
う屋根パネル間の目地部に位置することになって、この
目地部での排水を樋でおこなうことができるものであ
り、排水のための特別な施工が不要になって施工性が高
まるものであり、またパネル体の両方の側端面に凹段部
を設け、一方の凹段部に樋を収納して取り付けると共に
樋の一部を屋根パネルの側方へ突出させ、屋根パネルか
ら突出した樋の一部を隣合う他の屋根パネルの樋が収納
されていない方の凹段部に収納したので、樋を凹段部内
で受けて強固に保持することができ、屋根パネルから脱
落したり外力によって変形したりするのを防止すること
ができるものである。また、瓦板の両側端縁をそれぞれ
パネル体の側方へ突出させて一方の側端縁を樋の上方に
位置させ、隣合う屋根パネル間に樋を位置させ、瓦板の
突出する上記両側端縁のうち他方の側端縁をこの樋の上
方に位置させると共に隣合う屋根パネルの各瓦板の側端
縁を排水用の間隙を介して対向させるようにしたので、
瓦板や樋をパネル体と別体に形成して屋根パネルの製作
が容易になるようにしたにもかかわらず、瓦板上の雨水
は樋の上方に位置するように突出する瓦板の側端縁間の
間隙から樋に確実に流入し、樋によって確実に受けて排
水することができ、高い防水性能を得ることができるも
のであり、しかも樋の上方を瓦板の突出する側端縁で覆
うことができ、樋が外部に大きく露出することがなくな
って屋根の外観を良好に保つことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に用いる屋根パネルの一実施例の断面
図、第２図は本考案の一実施例の一部の拡大断面図であ
る。 １はパネル体、２は瓦板、３は屋根パネル、４は樋、13
は凹段部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】パネル体の上面に複数枚の瓦板を取り付け
   て屋根パネルを形成すると共にパネル体の両方の側端面
   に凹段部を設け、一方の凹段部に樋を収納して取り付け
   ると共に樋の一部を屋根パネルの側方へ突出させ、上記
   瓦板の両側端縁をそれぞれパネル体の側方へ突出させて
   一方の側端縁を樋の上方に位置させ、この屋根パネルを
   家屋の屋根に配設して軒棟方向と直交する方向で複数枚
   の屋根パネルを配列して取り付け、屋根パネルから突出
   した樋の一部を隣合う他の屋根パネルの樋が収納されて
   いない方の凹段部に収納し、瓦板の突出する上記両側端
   縁のうち他方の側端縁をこの樋の上方に位置させると共
   に隣合う屋根パネルの各瓦板の側端縁を排水用の間隙を
   介して対向させて成る屋根の構造。