JPS5831913B2 - たばこ用香喫味改良剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はオクシドールよりなるたばこ用香喫味改良剤は
関するものである。

近年たばこの嗜好は多様化の傾向を示しているが、特に
喫味が軽く香気の豊かな製品にその嗜好は移りつつある
。

これに伴い製品たばこに配合される原料葉たばこは喫味
が軽快でニコチン及びタール含量の少い緩和なものが多
く使用されるようになってきた。

又、脱ニコチン処理を施して製造された再生たばこ１葉
たばこ以外の植物或いは各種の無機成分や有機成分等力
）らなるいわゆる人工たばこ（以下人工たばこという）
等も使用されるようになってきている。

しかし、このようなたばこ原料は一般に香気が乏しく刺
激を有することが多く旨味にも欠ける為、更に何等力）
の物質を添加し香喫味を向上させる必要がある。

本発明はか力）る観点力】ら、特に香気が乏しく刺激を
有し旨味に欠ける葉たばこ、再生たばこ、人工たばこ等
を原料とするたばこの香喫味を向上させる化合物を提供
することを目的とするものである。

従来、たばこの香喫味改良に有効な物質としては数多く
の化合物が知られており、葉たばこの中にもともと含ま
れているセスキテルペノイドであるソラベチボン、ソラ
ナスコン、フイチュベロール等もその一つの化合物群で
ある。

本発明者等はセスキテルペノイド系化合物であればたば
この香気とよく調和し効果的であろうとの予測に基づき
、セスキテルペノイドを単離すべく鋭意研究を重ねてき
た結果、植物ウィルスを接種したニコチアナ属ルスチカ
植物の葉力）らオクシドールを単離することに成功する
とともに１本化合物がたばこの香喫味改良剤として極め
て有効であることを見出し本発明をなすに至った。

すなわち、本発明はＣＩ）式で表わされる化合物オクシ
ドール（以下本化合物という）からなるたばこ用香喫味
改良剤である。

本化合物は既に公知の化合物であり、ヒノキ科のニオイ
ヒバの精油成分として記載（ブリティン・オブ・ザ・ア
グリ力ルチャル・ケミカル・オブ・ジャパン誌・１９５
９年２３巻１４３頁）があり又化学合成法も知られてい
る（同誌・１９５９年２３巻２５３頁）。

しかし、たばこの香喫味改良剤として優れた効果を発揮
するという用途については現在まで全く知られていない
。

本化合物は、生育中のニコチアナ属ルスチカ植物の葉に
植物ウィルスを接種したのち一定期間経過後にこれを採
取し、該葉を有機溶剤で抽出して水蒸気蒸留を行い、水
蒸気蒸留物をケイ酸カラムを用いてヘキサン−エーテル
系で分画し、ヘキサン：エーテル−８０：２０（容量比
）で溶出してくる分画につき分取ガスクロマトグラフィ
ーを行うことにより単離することができる。

次に本化合物の単離方法の一例を示す。

ニコチアナ属ルスチカ植物５０本を通常のたばこ栽培法
により畑地もしくは温室内で約２ケ月間生育させたのち
、全葉面にタバコ・モザイク・ウィルスを接種する。

接種の方法は通常の方法すなわち全葉の葉面に４００〜
６００メツシユのカーボランダムをふ０力）け、島をつ
けながら水もしくは０．１ Ｍリン酸緩衝液Ｉこ懸濁さ
せた植物ウィルス（濃度０．７５μ？／ｒｕｌ）を塗面
するいわゆる塗床接種法でよい。

植物ウィルス接種後６日目に、病斑の大部分が直径約１
ｍｍＪｌ上になった葉を採取する。

採取した葉５ｏｏｙを真空凍結乾燥機を用いて凍結乾燥
を行い、凍結乾燥品１１０′ｉｆを得る。

凍結乾燥品は３ｔのジクロルメタンで３回抽出を繰０返
し、その抽出液を合かせて減圧濃縮を行い粗抽出濃縮物
６．４１を得る。

粗抽出濃縮物は水蒸気蒸留連続抽出装置を用いて水蒸気
蒸留及びエーテル抽出を行い３００ｍＡのエーテル抽出
液を得、エーテル抽出液は前記と同様濃縮し水蒸気蒸留
エーテル抽出濃縮物８９０ｍ９を得る。

この濃縮物につきケイ酸１５グを用いて、ヘキサン−エ
ーテル系でカラム分画を行い、ヘキサン：エーテル−８
０＝２０（容量比）で溶出してくる分画を前記と同様の
方法で濃縮する。

この濃縮物から、ＦＦＡＰ（フリー・ファテイー・アシ
ッド・ポリエステル）１０％のカラムを用いて分取ガス
クロマトグラフィーを行うことにより、本化合物を無色
油状物質として１約２０１ｎ９得ることができる。

（収率乾葉１？当り約０．１８１ｎ９） 本化合物は次のようなスペクトルを示す。

質量分析スペクトル（７０ｅＶ ）：ｍ／ｚ（％）５９
（５３）、１１９（２６）、１４５（２１）。

１５７（１６０）、１５９（２３）、１８５（３７）、
２００（２６）、、２１８（Ｍ 、５）赤外線吸収ス
ペクトル（液膜） ： ｃｙｒＬ”３．４５０ｊ１６０
０．１４６０ｊ１３９０ｊ００ 核磁気共鳴スペクトル（ＣＤＣＩ ３） ：δ（咽）１
．２８（６Ｈ−ｓ）ｊ２．２０（６Ｈ−ｓ）。

６．９０ （２Ｈ−ｓ ） 本化合物は清涼感を伴ううすい木様香気を有する無色の
油状物質であり、たばこの香喫味改良剤として望ましい
適性を有する。

すなわち、香喫味に欠は刺激を有する種々のたばこ原料
に本化合物を添加し、これらの香喫味について評価試験
を行ったところ、本化合物はたばこ本来の香０とよく調
和し、香的に丸味をもたせ、たばこらしさを強調させ、
刺激を抑え、更にこれらの効果に持続性のあることなど
多くの優れた効果を有することが判明した。

本化合物をたばこ原料に添加する時期及び手段は特に限
定されるものではなく、他の通常使用される香料と同様
にエタノール等の有機溶剤に溶かした後、たばこ刻みに
添加して使用でき、その他紙巻たばこ製造用の材料品例
えば巻紙、糊或いはフィルター等に含有されることによ
っても香喫味改良の効果をあげることができる。

又、本化合物を適用しつるたばこの種類についても特に
制限はなく、通常の葉たばこを原料として製造する紙巻
たばこ、パイプたばこ、葉巻たばこ等の他、屑たばこを
原料として製造される再生たばこ、天然の繊維或いは植
物の組織培養物を用い製造される合成たばこ等に対して
もこれらの製造工程中又は製品化された後本化合物を添
加することにより、これらの香喫味を著しく改良するこ
とができる。

本化合物の添加量は極く微量で良く、たばこ又はたばこ
製造用材料品に対し、０．００００１〜０．０１重量％
望ましくは０．０００１〜０．００１重量％の添加で充
分な効果が得られるので経済的にも大きな利点がある。

実施例 １ 巻き上げ直前の日本専売公社商品名「チェリー」用のた
ばこ刻み５０？に対して前述の方法で単離した本化合物
の０．０１重量％エタノール溶液を、たばこ刻みに対す
る本化合物の量が０．０００１重量％になるように噴霧
して添加したのち紙巻し、本化合物無添加の上記たばこ
刻みの巻上面を対照品として、これらを喫煙した時の匂
い、味について二点識別法により比較した。

特に訓練された専門パネル２０人の評価は第１表に示す
通りであった。

上表から本化合物は製品たばこの香り及び味を著−しく
改良する効果を有することが分る。

実施例 ２ 屑たばこを１００℃の熱水で抽出し、水溶性部と水不溶
性部とに分けた後水不溶性部を叩解し、これにその乾物
重量の１５％にあたる針葉樹のクラフトパルプを加えた
混合物を薄紙状に成型し、この薄紙に上記の水溶性部を
もどして作ったシート状再生たばこ６０Ｐに対し前述の
方法で単離した本化合物を実施例１と同様にしてその添
加量が０．０００５重量％になるよう噴霧して添加した
後裁刻して巻き上げ、本化合物無添加の上記シート状再
生たばこの裁刻巻き上げ品を対照品として二点識別法に
より喫味を比較した。

特に訓練された専門パネル２０人による評価は第２表に
示す通りであった。

この結果、本化合物を添加したものは香り及び味が著し
く改善されると共に刺激の抑制効果も顕著であることが
分る。

実施例３ たばこ刻みの紙巻用糊であるＣ、 Ｍ、 Ｃ，（カルボ
キシメチルセルロース）糊液に本化合物をｏ、ｏｏｉ重
量％になるよう混合したものを用いて、実施例２で製造
したシート状再生たばこの裁刻巻き上げ品を作０、別途
本化合物添加の糊液を用いた巻き上げ品を対照品として
、二点識別法によ０これらの喫味を比較した。

特に訓練された専門パネル２０人による評価は第３表に
示す通りであった。

この結果、本化合物はたばこ製造用材料品である巻き上
げ接着用の糊に添加してもたばこの香り及び味を改善し
、更にＣ，Ｍ、 Ｃ，に基づく刺激臭が著しく抑制され
ることが判明した。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １（１）式で表わされる化合物オクシドールよ０なるた
   ばこ用喫味改良剤。