JPH1182669A - 斜板式無段変速機 - Google Patents

斜板式無段変速機

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JPH1182669A
JPH1182669A JP9246855A JP24685597A JPH1182669A JP H1182669 A JPH1182669 A JP H1182669A JP 9246855 A JP9246855 A JP 9246855A JP 24685597 A JP24685597 A JP 24685597A JP H1182669 A JPH1182669 A JP H1182669A
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芳浩 中島
Tsutomu Hayashi
勉 林
Hiroaki Shikayama
博明 鹿山
Masako Takahashi
雅子 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 斜板式無段変速機において、第1及び第2弁
孔を、ポンプシリンダ孔やモータシリンダ孔と同様にシ
リンダブロック軸線と平行に配置して、これらを平行多
軸工具によりシリンダブロックに容易、迅速に加工し得
るようにし、同時に、特に径方向のコンパクト化を図
る。 【解決手段】 環状の高圧油路47及び低圧油路48を
シリンダブロック4の軸方向に並設し、何れも上記両油
路47,48と交差してシリンダブロック軸線Xと平行
に延びるようにシリンダブロック4に設けられる多数の
第1弁孔26及び第2弁孔40に多数の第1分配弁28
及び第2分配弁42をそれぞれ摺動自在に嵌合し、シリ
ンダブロック4との相対回転に伴い第1分配弁28及び
第2分配弁42をそれぞれ往復動させる第1弁斜板9b
及び第2弁斜板19bをポンプ斜板9a及びモータ斜板
19aにそれぞれ一体に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、斜板式無段変速機
に関し、特に、シリンダブロック軸線に平行且つ該軸線
を囲む環状に配列された多数のポンプシリンダ孔及びモ
ータシリンダ孔、並びにポンプシリンダに個別に連なる
多数のポンプポート及びモータシリンダ孔に個別に連な
る多数のモータポートを有するシリンダブロックと、多
数のポンプシリンダ孔に摺動自在に嵌合する多数のポン
ププランジャと、多数のモータシリンダ孔に摺動自在に
嵌合する多数のモータプランジャと、シリンダブロック
の一端面に対向して配設され、それとの相対回転に伴い
ポンププランジャに往復動を与えるポンプ斜板と、シリ
ンダブロックの他端面に対向して配設され、それとの相
対回転に伴いモータプランジャに往復動を与えるモータ
斜板と、前記軸線を囲む環状の高圧油路及び低圧油路
と、シリンダブロックに設けられ、ポンプポート及びモ
ータポートをそれぞれ高圧油路及び低圧油路に交互に連
通切換えするスプール型の多数の第1分配弁及び第2分
配弁とを備えたものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かゝる斜板式無段変速機として、
多数の第1及び第2分配弁を、シリンダブロックの半
径方向に配置したもの(特開昭63−140164号公
報参照)と、第1分配弁をシリンダブロック軸線と平
行に配設する一方、第2分配弁を、シリンダブロックの
半径方向に配設したもの(特開昭63−203959号
公報参照)とが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記では、第1及び
第2分配弁が放射状に配置されることになるから、それ
らを嵌合する第1及び第2弁孔を平行多軸工具により迅
速に加工することはできない。また上記では、第1分
配弁及び第2分配弁が相互に直角をなして配置されるの
で、第1及び第2弁孔を同時加工することはできず、い
ずれも量産性に難点がある。さらに上記では、第1及
び第2分配弁を作動する第1及び第2偏心輪をシリンダ
ブロックの外周に、また上記では、第1分配弁を作動
する偏心輪をシリンダブロックの外周にそれぞれ配設し
なければならないので、その分、無段変速機の径方向寸
法の増大を余儀なくされ、その方向のコンパクト化が困
難である。
【0004】本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたも
ので、第1及び第2分配弁を嵌合する第1及び第2弁孔
を、ポンプシリンダ孔やモータシリンダ孔と同様に、シ
リンダブロック軸線と平行に配置して、これらを平行多
軸工具により容易、迅速に加工し得るようにし、しか
も、特に径方向にコンパクトに構成し得る、前記斜板式
無段変速機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、シリンダブロック軸線に平行且つ該軸線
を囲む環状に配列された多数のポンプシリンダ孔及びモ
ータシリンダ孔、並びにポンプシリンダに個別に連なる
多数のポンプポート及びモータシリンダ孔に個別に連な
る多数のモータポートを有するシリンダブロックと、多
数のポンプシリンダ孔に摺動自在に嵌合する多数のポン
ププランジャと、多数のモータシリンダ孔に摺動自在に
嵌合する多数のモータプランジャと、シリンダブロック
の一端面に対向して配設され、それとの相対回転に伴い
ポンププランジャに往復動を与えるポンプ斜板と、シリ
ンダブロックの他端面に対向して配設され、それとの相
対回転に伴いモータプランジャに往復動を与えるモータ
斜板と、前記軸線を囲む環状の高圧油路及び低圧油路
と、シリンダブロックに設けられ、ポンプポート及びモ
ータポートをそれぞれ高圧油路及び低圧油路に交互に連
通切換えするスプール型の多数の第1分配弁及び第2分
配弁とを備えた、斜板式無段変速機において、環状の高
圧油路及び低圧油路をシリンダブロックの軸方向に並設
し、何れも上記両油路と交差して前記軸線と平行に延び
るようにシリンダブロックに設けられる多数の第1弁孔
及び第2弁孔に多数の第1分配弁及び第2分配弁をそれ
ぞれ摺動自在に嵌合し、シリンダブロックとの相対回転
に伴い第1分配弁及び第2分配弁をそれぞれ往復動させ
る第1弁斜板及び第2弁斜板をポンプ斜板及びモータ斜
板にそれぞれ隣接して配設したことを第1の特徴とす
る。
【0006】この第1の特徴によれば、ポンプシリンダ
孔、モータシリンダ孔、第1弁孔及び第2弁孔が全てシ
リンダブロック軸線と平行に配置されるので、これらを
多軸ボール盤によりシリンダブロックに容易且つ迅速に
加工することができ、量産性が高い。しかも、第1及び
第2分配弁の、前記軸線と平行な往復動によりポンプシ
リンダ孔及びモータシリンダ孔間での油圧の授受を確実
に行うことができる。さらに第1及び第2分配弁をそれ
ぞれ作動する第1及び第2弁斜板を、ポンプ斜板及びモ
ータ斜板と同様に、シリンダブロックの両端側に配置し
たことから、無段変速機の径方向のコンパクト化を大い
に図ることができる。
【0007】また本発明は、上記特徴に加えて、環状の
高圧油路及び低圧油路を、ポンプシリンダ孔群及びモー
タシリンダ孔群の半径方向内側に配置したことを第2の
特徴とする。
【0008】この第2の特徴によれば、環状の高圧油路
及び低圧油路を、極力全長が短いものとすることができ
て、これら油路の小容積を図り、これら油路内の作動油
に介在する気泡の絶対量を少なくして、油圧伝動効率の
向上を図ることができる。
【0009】さらに本発明は、第2の特徴に加えて、ポ
ンププランジャ及びモータプランジャを、シリンダブロ
ック軸線を囲む第1ピッチ円上に交互に配列し、ポンプ
プランジャ及びモータプランジャより小径に形成された
第1分配弁及び第2分配弁を、第1ピッチ円より小径で
それと同心の第2ピッチ円上に交互に配置したことを第
3の特徴とする。
【0010】この第3の特徴によれば、シリンダブロッ
クにおけるポンプ及びモータプランジャ群の半径方向内
側のデッドスペースに第1及び第2分配弁群が配置され
ることになり、したがって、第1ピッチ円充分な大きさ
に設定して、ポンプ及びモータ斜板によりポンプ及びモ
ータプランジャにそれぞれ与える往復動ストロークを充
分に確保しても、各分配弁群の存在がシリンダブロック
を大径化させることもなく、無段変速機の更なる径方向
のコンパクト化を図ることができる。しかも、第1及び
第2分配弁は、ポンプ及びモータプランジャより小径に
形成してあるから、各プランジャ群の内側でも容易に配
置することができる。さらにポンププランジャとモータ
プランジャ、第1分配弁と第2分配弁の、シリンダブロ
ック周方向での交互配列により、シリンダブロックの軸
方向寸法を短縮させて、無段変速機の軸方向でも、その
コンパクト化を図ることができる。
【0011】さらにまた本発明は、第1、第2又は第3
の特徴に加えて、第1弁斜板をポンプ斜板と同一斜面上
に配置して、それと一体に形成し、また第2弁斜板をモ
ータ斜板と同一斜面上に配置して、それと一体に形成し
たことを第4の特徴とする。
【0012】この第4の特徴によれば、ポンプ斜板と第
1弁斜板、モータ斜板と第2弁斜板の各一体化を容易に
行うことができると共に、無段変速機の軸方向の更なる
コンパクト化を図ることができる。
【0013】さらにまた本発明は、第1、第2、第3又
は第4の特徴に加えて、各ポンプシリンダ孔のポンプポ
ートを、これが該ポンプシリンダ孔に対してシリンダブ
ロックの周方向へ位相が90°ずれた位置で第1分配弁
により切換え制御されるように形成し、また各モータシ
リンダ孔のモータポートを、これが該モータシリンダ孔
に対してシリンダブロックの周方向へ位相が90°ずれ
た位置で第2分配弁により切換え制御されるように形成
したことを第5の特徴とする。
【0014】この第5の特徴によれば、各分配弁は、そ
の往復動ストロークの中点で対応するポンプポートやモ
ータポートを低圧油路及び高圧油路の何れとも遮断する
ものであるところ、ポンプ斜板と第1弁斜板、モータ斜
板と第2弁斜板の各同方向傾斜配置によるも、各プラン
ジャが往動限又は復動限にきたとき、それに対応するポ
ンプポートやモータポートは低圧油路及び高圧油路の何
れとも遮断されることになり、したがって、各プランジ
ャが次いで復動又は往動に動きを変えるとき、上記各ポ
ートの低圧油路又は高圧油路への連通切換えを的確に行
うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付図面
に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0016】先ず、図1ないし図9により、本発明を斜
板式無段変速機に適用した第1実施例について説明す
る。
【0017】図1及び図2において、斜板式無段変速機
Tを収容するミッションケース1の左右両端壁に出力軸
2がボールベアリング3,3を介して支承され、この出
力軸2には、ミッションケース1の左端壁に隣接して入
力ギア5aを固着した入力部材5がアンギュラコンタク
トベアリング6を介して回転自在に支承される。入力ギ
ヤ5aには図示しないエンジンの動力が入力され、出力
軸2の右端部から動力が図示しない負荷、例えば自動二
輪車の駆動装置に出力されるようになっている。
【0018】入力部材5には、出力軸2にニードルベア
リング7を介して支承される斜板ホルダ8が一体に形成
されており、この斜板ホルダ8に第1斜板組立体9がボ
ールベアリング10及びアンギュラコンタクトベアリン
グ11を介して回転自在に支承される。第1斜板組立体
9は、ポンプ斜板9aと、これに囲繞されると共に同一
斜面上に配置される第1弁斜板9bとを一体に備えてお
り、これらポンプ斜板9a及び第1弁斜板9bを出力軸
2の軸線Xに対して一定角度傾斜させるように、前記斜
板ホルダ8は配置される。
【0019】出力軸2の中間部には、該軸2と同心のシ
リンダブロック4がスプライン結合されると共に、該軸
2上のフランジ12及びスリーブ13により軸方向移動
不能に固定される。
【0020】このシリンダブロック4を挟んで第1斜板
組立体9と反対側において、ミッションケース1にボル
ト14で固着される斜板アンカ15が出力軸2にアンギ
ュラコンタクトベアリング16を介して支承される。こ
の斜板アンカ15に、出力軸2の軸線Xと直交する軸線
Yを持つ半円筒状のトラニオン18が一定角度範囲で回
転可能に支承され、このトラニオン18の中央部に第2
斜板組立体19がボールベアリング20及びアンギュラ
コンタクトベアリング21を介して回転自在に支承され
る。第2斜板組立体19は、モータ斜板19aと、これ
に囲繞されると共に同一斜面に配置される第2弁斜板1
9bとを一体に備えている。トラニオン18は、その軸
方向一端に作動腕(図示せず)を備えており、その作動
腕によりトラニオン18を回転することにより、モータ
斜板19a及び第2弁斜板19bの出力軸2軸線Xに対
する傾斜角度を変え得るようになっている。
【0021】斜板アンカ15には、シリンダブロック4
をボールベアリング31を介して回転自在に支承するシ
リンダホルダ17がボルト38により固着される。
【0022】出力軸2上に配設されて入力部材5及び第
1斜板組立体9を支持する左側のアンギュラコンタクト
ベアリング6、並びに出力軸2上に配設されて斜板アン
カ15を支持する右側のアンギュラコンタクトベアリン
グ16の各外側面には、出力軸2上の一対の環状溝2
2,22に係合した2つ割りコッタ23,23が当接す
るように配置され、各コッタ23の外周にはリテーナ環
24が嵌合される。而して、無段変速機Tの作動によ
り、第1斜板組立体9及びシリンダブロック4間に発生
するスラスト荷重は左右のアンギュラコンタクトベアリ
ング6,16から左右のコッタ23,23を介して出力
軸2に支持され、また斜板アンカ15及びシリンダブロ
ック4間に発生するスラスト荷重は前記フランジ12及
び右側のコッタ23を介して出力軸2に支持され、これ
によりミッションケース1への荷重負担を軽減させるこ
とができる。
【0023】シリンダブロック4には、奇数で多数(図
示例では各5本)のポンプシリンダ孔25がシリンダブ
ロック4と同心の第1ピッチ円C1 (図2参照)上で環
状に配列して形成され、またポンプシリンダ孔25と同
数の第1弁孔26が第1ピッチ円C1 より小径でそれと
同心の第2ピッチ円C2 上で環状に配列して形成され
る。ポンプシリンダ孔25は、その一端をシリンダブロ
ック4の左端面に開口すると共に他端を閉塞しており、
第1弁孔26はポンプシリンダ孔25より小径に形成さ
れると共に、シリンダブロック4を軸方向に貫通してい
る。
【0024】ポンプシリンダ孔25及び第1弁孔26に
は、ポンププランジャ27及びスプール型の第1分配弁
28がそれぞれ摺動自在に嵌装される。これらポンププ
ランジャ27及び第1分配弁28は、それぞれ先端をシ
リンダブロック4の左端面から突出させて、前記ポンプ
斜板9a及び第1弁斜板9bに当接させている。而し
て、ポンプ斜板9a及び第1弁斜板9bは、入力部材5
の回転時、ポンププランジャ27及び第1分配弁28に
軸方向の往復動を与えるものであり、これらによって斜
板式油圧ポンプPが構成される。
【0025】図1及び図5に示すように、ポンププラン
ジャ27及び第1分配弁28の各先端は球状端部29
a,30aに形成されており、これら球状端部29a,
30aが係合する、それらより大径の球状凹部29b,
30bがポンプ斜板9a及び第1弁斜板9bに形成さ
れ、これによりポンプ斜板9aとポンププランジャ2
7、第1弁斜板9bと第1分配弁28の各間の回転方向
の滑りを防止すると共に、ポンププランジャ27及び第
1分配弁28が各対応する斜板9a,9bから受ける曲
げモーメントを少なくすることができる。
【0026】図1及び図6に示すように、第1斜板組立
体9には、ポンププランジャ27及び第1分配弁28の
各球状端部29a,30aを各対応する斜板9a,9b
の球状凹部29b,30bとの係合状態に保持する環状
のリテーナ板32がサークリップ33により回転可能に
取付けられる。このリテーナ板32には、環状配列のポ
ンププランジャ27に対応する、それと同数のプランジ
ャ保持孔34と、環状配列の第1分配弁28に対応す
る、それと同数の弁保持孔35とが設けられる。プラン
ジャ保持孔34は、ポンププランジャ27の球状端部2
9aより小径に、且つ球状端部29aの頸部29a1
り大径に形成されると共に、切欠き36によりリテーナ
板32の外周に開放される。この切欠き36の幅は、上
記球状端部29aの頸部29a1 より若干大きくなって
いる。而して、ポンププランジャ27の頸部29aを、
切欠き36を経てプランジャ保持孔34に配置した後、
ポンププランジャ27をポンプシリンダ孔25に挿入
し、またリテーナ板32を第1斜板組立体9に装着すれ
ば、頸部29a1 の切欠き36からの離脱を防ぐことが
できると共に、プランジャ保持孔34により球状端部2
9aを球状凹部29bとの係合位置に保持することがで
きる。したがって、ポンプ斜板9a及びシリンダブロッ
ク4の相対回転に伴いポンププランジャ27を強制的に
往復動させることができるから、ポンププランジャ27
を突出方向へ付勢する戻しばねを設ける必要はない。
【0027】また弁保持孔35は、第1分配弁28の球
状端部30aより小径に、且つ球状端部30aの頸部3
0a1 より大径に形成されると共に、切欠き37により
リテーナ板32の内周に開放される。この切欠き37の
幅は、上記球状端部30aの頸部30a1 より若干大き
くなっている。したがって、ポンププランジャ27の場
合と同様の組立要領により、頸部30a1 の切欠き37
からの離脱を防ぐことができると共に、球状端部30a
を球状凹部30bとの係合位置に保持することができる
から、第1弁斜板9b及びシリンダブロック4の相対回
転に伴い第1分配弁28を強制的に往復動させることが
できる。
【0028】再び図1及び図2において、シリンダブロ
ック4には、また、ポンプシリンダ孔25と同数のモー
タシリンダ孔39がポンプシリンダ孔25群の第1ピッ
チ円C1 上で環状に且つ前記ポンプシリンダ孔25と交
互に配列して形成され、またモータシリンダ孔39と同
数の第2弁孔40が第1弁孔26群の第1ピッチ円C 2
上で環状に且つ第1分配弁28と交互に配列して形成さ
れる。モータシリンダ孔39は、その一端をシリンダブ
ロック4の右端面に開口すると共に、他端を閉塞してお
り、第2弁孔40は、モータシリンダ孔39より小径に
形成されると共に、シリンダブロック4を軸方向に貫通
している。また図示例では、ポンプシリンダ孔25とモ
ータシリンダ孔39、第1弁孔26と第2弁孔40がそ
れぞれ同径になっている。したがって、第2弁孔40は
モータシリンダ孔39より小径になっている。
【0029】モータシリンダ孔39及び第2弁孔40に
は、モータプランジャ41及びスプール型の第2分配弁
42がそれぞれ摺動自在に嵌装される。これらモータプ
ランジャ41及び第2分配弁42は、それぞれ先端をシ
リンダブロック4の右端面から突出させて、前記モータ
斜板19a及び第2弁斜板19bに当接させている。而
して、モータ斜板19a及び第2弁斜板19bは、シリ
ンダブロック4の回転時、モータプランジャ41及び第
2分配弁42に軸方向の往復動を与えるものであり、こ
れらによって斜板式油圧モータMが構成される。
【0030】モータプランジャ41及び第2分配弁42
の各先端は球状端部43a,44aに形成されており、
これら球状端部43a,44aが係合する、それらより
大径の球状凹部43b,44bがモータ斜板19a及び
第2弁斜板19bに形成され、これによりモータ斜板1
9aとモータプランジャ41、第2弁斜板19bと第2
分配弁42の各間の回転方向の滑りを防止すると共に、
モータプランジャ41及び第2分配弁42が各対応する
斜板19a,19bから受ける曲げモーメントを少なく
することができる。
【0031】第2斜板組立体19には、モータプランジ
ャ41及び第2分配弁42の各球状端部43a,44a
を各対応する斜板19a,19bの球状凹部43b,4
4bとの係合状態に保持する環状のリテーナ板45がサ
ークリップ46により回転可能に取付けられる。このリ
テーナ板45とモータプランジャ41及び第2分配弁4
2との連結構造は、前記リテーナ板32とポンププラン
ジャ27及び第1分配弁28との連結構造と同様であ
る。
【0032】シリンダブロック4には、第1、第2弁孔
26,40の何れとも交差する環状の高圧油路47及び
低圧油路48が軸方向に間隔を存して形成され、また各
ポンプシリンダ孔25から延びて、それとシリンダブロ
ック4の反回転方向(図2の矢印Rはシリンダブロック
4の回転方向を示す)へ90°位相がずれた第1弁孔2
6に達する多数のポンプポート25aと、各モータシリ
ンダ孔39から延びて、それとシリンダブロック4の反
回転方向へ90°位相がずれた第2弁孔40に達する多
数のモータポート39aとが形成される。
【0033】図8に示すように、各第1分配弁28は、
その球状端部29a側から順次並ぶ第1ランド部28
a、第1環状溝28d、第2ランド部28b、第2環状
溝28e及び第3ランド部28cを備えており、この第
1分配弁28の第1弁斜板9bによる右動限では、第1
環状溝28dがポンプポート25a及び高圧油路47間
を連通すると共に、第2ランド部28bがポンプポート
25a及び低圧油路48間を遮断し、またその左動限で
は、第2環状溝28eがポンプポート25a及び低圧油
路48間を連通させると共に、第2ランド部28bがポ
ンプポート25a及び高圧油路47間を遮断し、またそ
のストローク中点では、第1及び第2ランド部28a,
28bがポンプポート25aを両油路57,58の何れ
とも遮断する。
【0034】一方、各第2分配弁42は、図9に示すよ
うに、その球状端部44a側から順次並ぶ第1ランド部
42a、環状溝42c及び第2ランド部42bを備えて
おり、この第2分配弁42の第2弁斜板19bによる左
動限では、環状溝42cがモータポート39a及び低圧
油路48間を連通すると共に、第2ランド部42bがモ
ータポート39a及び高圧油路47間を遮断し、またそ
の右動限では、環状溝42cがモータポート39a及び
高圧油路47間を連通すると共に、第1ランド部42a
がモータポート39a及び低圧油路48間を遮断し、ま
たそのストローク中点では、第1及び第2ランド部42
a,42bがモータポート39aを両油路47,48の
何れとも遮断する。
【0035】図1に示すように、出力軸2の中心部に
は、図示しないエンジンにより駆動される補給ポンプ4
9の吐出側に連なる補給油路50が形成されており、こ
の補給油路50と、低圧油路48及び高圧油路47との
各間を連通すべく出力軸2に穿設された第1連通孔51
及び第2連通孔52に、第1チェック弁53及び第2チ
ェック弁54がそれぞれ装着される。第1チェック弁5
3は、補給油路50から低圧油路48への一方向のみの
油の流れを許容し、また第2チェック弁54は、補給油
路50から高圧油路47への一方向のみの油の流れを許
容する。
【0036】図1、図3及び図7に示すように、シリン
ダブロック4は、その軸線Xと直交する分割面により5
枚のブロック板に分割され、これらを左から第1ブロッ
ク板41 〜第5ブロック板45 と呼ぶことにする。前記
ポンプシリンダ孔25、モータシリンダ孔39、第1弁
孔26及び第2弁孔40は、第1ブロック板41 〜第5
ブロック板45 にわたり形成され、ポンプポート25a
は、第3ブロック板4 3 〜第5ブロック板45 にわたり
形成され、モータポート39aは、第1ブロック板41
〜第3ブロック板43 にかけて形成される。高圧油路4
7は第2ブロック板42 と出力軸2との嵌合面間に、ま
た低圧油路48は第4ブロック板44 と出力軸2との嵌
合面間にそれぞれ形成される。
【0037】また、第1ブロック板41 〜第5ブロック
板45 にかけて一連の位置決め孔55が少なくとも2本
形成され、それらに位置決めピン56を嵌入した状態
で、第1ブロック板41 〜第5ブロック板45 の分割面
相互がロー付けされる。その際、位置決めピン56も位
置決め孔55の内周面にロー付けされる。
【0038】尚、図4に示すように、上記ロー付けの前
に、位置決めピン56の両端56a,56aをかしめ
て、該ピン56の位置決め孔55からの抜け止めをして
おくことは、次のロー付け作業上、好都合である。
【0039】次に、この実施例の作用について説明す
る。
【0040】いま、モータ斜板19aを或る傾斜角度に
保持した状態で、図示しないエンジンの動力により、入
力ギヤ5aを介して第1斜板組立体9を回転させれば、
前述のように、ポンプ斜板9a及び第1弁斜板9bとリ
テーナ板32との協働によりポンププランジャ27及び
第1分配弁28に軸方向の往復動を強制的且つ各タイミ
ング良く与えることができ、したがって、それらの適正
な往復動は高速運転時でも保証される。
【0041】而して、図8に示すように、ポンププラン
ジャ27が、ポンプシリンダ孔25内の油室を拡大して
いく吸入領域Sを通過する間は、第1分配弁28がポン
プポート25aを低圧油路48に連通するので、低圧油
路48の作動油が上記ポンプシリンダ孔25内の油室に
吸入される。またポンププランジャ27が、ポンプシリ
ンダ孔25内の油室を縮小していく吐出領域Dを通過す
る間は、第1分配弁28がポンプポート25aを高圧油
路47に連通するので、上記ポンプシリンダ孔25内の
高圧の作動油が高圧油路47に吐出される。
【0042】一方、油圧モータMでは、図9に示すよう
に、モータプランジャ41が、モータシリンダ孔39内
の油室を拡大していく膨張領域Exに存する間は、第2
分配弁42がモータポート39aを高圧油路47に連通
し、またモータプランジャ41が、モータシリンダ孔3
9内の油室を縮小していく収縮領域Reに存する間は、
第2分配弁42がモータポート39aを低圧油路48に
連通するので、先刻のように、ポンプシリンダ孔25か
ら高圧油路47に吐出された高圧の作動油は、膨張領域
Exに存するモータプランジャ41のシリンダ孔39に
供給されて該モータプランジャ41に推力を与える。ま
た収縮領域Reに存するモータプランジャ41は、収縮
行程の進行に応じて、モータシリンダ孔39から低圧油
路48へ作動油を排出していく。モータシリンダ孔39
内の高圧の作動油により推力を受けたモータプランジャ
41は、モータ斜板19aを押圧して、それに回転トル
クを及ぼし、その反力トルクによりシリンダブロック4
が入力ギヤ5aと同方向へ回転し、その回転トルクは出
力軸2から外部の負荷へと伝達される。こゝにおいて
も、モータ斜板19a及び第2弁斜板19bとリテーナ
板45との協働により、モータプランジャ41及び第2
分配弁42の往復動は、強制的且つタイミング良く行わ
れる。
【0043】このような通常運転時、シリンダブロック
4各部からの油圧の漏洩により、低圧油路48が減圧す
れば、第1チェック弁53が開いて、補給油路50から
低圧油路48に作動油が補給される。またエンジンブレ
ーキ時には高圧油路47が低圧、低圧油路48が高圧と
なるから、このときの油圧の漏洩分の補給は、第2チェ
ック弁54を通して行われる。
【0044】而して、油圧ポンプPは、ポンプ斜板9a
の傾斜角度が固定の固定容量型であるのに対し、油圧モ
ータMは、モータ斜板19aの傾斜角度が可変の可変容
量型であるから、モータ斜板19aの傾斜角度を変えて
油圧モータMの容量を増減することにより、入力部材5
及び出力軸2間の変速比を変えることができる。
【0045】このような無段変速機Tにおいて、環状の
高圧油路47及び低圧油路48をシリンダブロック4の
軸方向に並設し、何れも上記両油路47,48と交差し
てシリンダブロック軸線Xと平行に延びるようにシリン
ダブロック4に設けられる多数の第1弁孔26及び第2
弁孔40に多数の第1分配弁26及び第2分配弁42を
それぞれ摺動自在に嵌合したので、ポンプシリンダ孔、
モータシリンダ孔、第1弁孔26及び第2弁孔40が全
てシリンダブロック軸線Xと平行に配置されることにな
り、これらを平行多軸工具をもってシリンダブロック4
に容易且つ迅速に加工することが可能である。しかも、
シリンダブロック4との相対回転に伴い第1及び第2分
配弁26,42をそれぞれ作動する第1及び第2弁斜板
9b,19bが、ポンプ及びモータ斜板9a,19aと
同様に、シリンダブロックの両端側に配置されるので、
シリンダブロック4の外周に配設される部材が少なくな
り、無段変速機の径方向のコンパクト化に大いに寄与し
得る。
【0046】また、シリンダブロック4には、第1ピッ
チ円C1 上でポンププランジャ27及びモータプランジ
ャ41を配列し、第1ピッチ円C1 より小径の第2ピッ
チ円C2 上で、上記各プランジャ27,41より小径の
第1及び第2分配弁28,42を配列したので、各プラ
ンジャ27,41群の半径方向内側のデッドスペースに
各分配弁28,42群が配置されることになり、したが
って、第1ピッチ円C 1 を充分な大きさに設定して、斜
板9a,19aにより各プランジャ17,41に与える
往復動ストロークを充分に確保しても、各分配弁28,
42群の存在がシリンダブロック4を大径化させること
はなく、無段変速機Tの径方向のコンパクト化を図るこ
とができる。また各分配弁28,42は、各プランジャ
27,41より小径に形成してあるから、各プランジャ
27,41群の内側でも各分配弁28,42群を容易に
配置することができる。
【0047】しかも、ポンププランジャ27及びモータ
プランジャ41を同一の第1ピッチ円C1 上で交互に配
列したので、シリンダブロック4を大径化することな
く、その軸方向寸法を減少することができ、これにより
無段変速機Tの径方向及び軸方向のコンパクト化を図る
ことができる。
【0048】また、高圧油路47及び低圧油路48を、
ポンププランジャ27群及びモータプランジャ41群の
内側に配置したので、高、低圧油路47,48を極力短
く形成でき、これにより、これら油路内の作動油中に介
在する気泡の絶対量を少なくして、油圧伝動効率の向上
を図ることができる。
【0049】また、第1斜板組立体9には、同一斜面上
に配置されるポンプ斜板9a及び第1弁斜板9bを一体
に設け、第2斜板組立体19には、同一斜面上に配置さ
れるモータ斜板19a及び第2弁斜板19bを一体に設
けたので、複数の斜板による無段変速機Tの軸方向寸法
の増加を抑えることができる。しかも、ポンプ斜板9a
及び第1斜板9bを第1斜板組立体9に、モータ斜板1
9a及び第2弁斜板19bを第2斜板組立体19にそれ
ぞれ一挙に加工することができ、量産性が高い。
【0050】また、各分配弁28,42は、その往復動
ストロークの中点で各ポート25a,39aを低圧油路
48及び高圧油路47の何れとも遮断するするものであ
るが、各ポンプシリンダ孔25のポンプポート25a
を、それに対してシリンダブロック4の反回転方向へ9
0°位相がずれた第1弁孔26に接続し、また各モータ
シリンダ孔39のモータポート39aを、それに対して
シリンダブロック4の反回転方向へ90°位相がずれた
第2弁孔40に接続したので、ポンプ斜板9aと第1弁
斜板9b、モータ斜板19aと第2弁斜板19bの各同
一傾斜配置によるも、各プランジャ27,41が往動限
又は復動限にきたとき、それに対応するポート25a,
39aは低圧油路48及び高圧油路47の何れとも遮断
されることになり、したがって、各プランジャ27,4
1が次いで復動又は往動に動きを変えるとき、上記ポー
ト25a,39aの低圧油路48又は高圧油路47への
連通切換えを的確に行うことができる。
【0051】また、この場合、シリンダブロック4を多
数枚のブロック板41 〜44 に分割し、所定のブロック
板に高圧油路47や低圧油路48、ポンプポート25
a、モータポート39aを形成したので、そのような複
雑な油路を有するブロック板でも、プレスや鋳造により
容易、且つ精密に製作できて、量産効果を高めることが
できる。
【0052】図10は、本発明を斜板式油圧ポンプPの
みに適用した第2実施例を示す。適当な固定構造物に支
持されるポンプケース60は、カップ状のケース本体6
0aと、それの開放端にボルト65により結合される蓋
体60bとからなっており、ケース本体60aの端壁に
は、図示しないエンジンにより駆動される入力軸61が
一対のアンギュラコンタクトベアリング62,62′を
介して支承され、蓋体60bには吸入管63及び吐出管
64が取付けられる。吸入管63は油溜又は低圧油路
(図示せず)に連なり、吐出管64は負荷となる油圧機
器(図示せず)に連なる。
【0053】上記ポンプケース60内において、入力軸
61には斜板ホルダ8がボルト66により固着され、そ
れの外周に、斜板組立体9がボールベアリング10及び
アンギュラコンタクトベアリング11を介して回転自在
に支承される。斜板組立体9は、前実施例の第1斜板組
立体9と同様にポンプ斜板9a及び弁斜板9bを一体に
備えている。また蓋体60bには、シリンダブロック4
が入力軸60と同軸配置となるように、ボルト67によ
り固着される。
【0054】前実施例の油圧ポンプPのレイアウトと同
様に、シリンダブロック4には、各奇数且つ多数(図示
例では5本)のポンプシリンダ孔25及び弁孔26、各
ポンプシリンダ孔25に連なるポンプポート25a、並
びに環状の低圧油路48が形成され、ポンプシリンダ孔
25及び弁孔26にはポンププランジャ27及び分配弁
28がそれぞれ嵌装される。環状の高圧油路47は、シ
リンダブロック4と蓋体60bとの接合面間に形成され
る。そして、低圧油路48は前記吸入管63に、高圧油
路47は前記吐出管64にそれぞれ連通される。
【0055】またポンププランジャ27及び分配弁28
の球状端部29a,30aは、前実施例と同構造のリテ
ーナ板32をもって、ポンプ斜板9a及び弁斜板9bの
球状凹部29b,30bとの係合状態に保持される。
【0056】この場合のシリンダブロック4は、軸方向
に4枚のブロック板41 〜42 に分割される。図で左側
から第1〜第3ブロック板41 〜43 にポンプシリンダ
孔25が形成されるが、第1ブロック板41 は他のもの
より厚肉になっていて、それに形成されるポンプシリン
ダ孔25はポンププランジャ27を摺動自在に支持すべ
く高精度に仕上げられるが、第2、第3ブロック板
2 ,43 のポンプシリンダ孔25は第1ブロック板4
1 のそれより若干大きくラフに仕上げられる。また第2
ブロック板42 に低圧油路48が、第3ブロック板43
にポンプポート25aがそれぞれ形成される。第4ブロ
ック板44 は他のものより大径になっていて、その外周
部がボルト67により蓋体60bに固着される。こうす
ることにより、第1〜第4ブロック板41 〜44 の薄肉
化が可能となり、量産性のあるプレス加工を行うことが
できる。第1〜第4ブロック板41 〜44 は、前記実施
例と同様に相互に位置決めされてロー付けされる。
【0057】その他の構成は、前実施例の油圧ポンプP
と同様であり、図中、前実施例の油圧ポンプPと対応す
る部分には、それと同一の符号を付して、その説明を省
略する。
【0058】本発明は、上記各実施例に限定されるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更
が可能である。例えば、ポンププランジャ27及びモー
タプランジャ41の直径を相互に異ならせることもでき
る。
【0059】
【発明の効果】上記のように本発明の第1の特徴によれ
ば、斜板式無段変速機において、環状の高圧油路及び低
圧油路をシリンダブロックの軸方向に並設し、何れも上
記両油路と交差してシリンダブロック軸線と平行に延び
るようにシリンダブロックに設けられる多数の第1弁孔
及び第2弁孔に多数の第1分配弁及び第2分配弁をそれ
ぞれ摺動自在に嵌合し、シリンダブロックとの相対回転
に伴い第1分配弁及び第2分配弁をそれぞれ往復動させ
る第1弁斜板及び第2弁斜板をポンプ斜板及びモータ斜
板にそれぞれ隣接して配設したので、ポンプシリンダ
孔、モータシリンダ孔、第1弁孔及び第2弁孔が全てシ
リンダブロック軸線と平行に配置されることになり、こ
れらを平行多軸工具によりシリンダブロックに容易且つ
迅速に加工して量産効果を上げることができる。しか
も、第1及び第2分配弁の、前記軸線と平行な往復動に
よりポンプシリンダ孔及びモータシリンダ孔間での油圧
の授受を支障無く行うことができる。さらに第1及び第
2分配弁をそれぞれ作動する第1及び第2弁斜板が、ポ
ンプ斜板及びモータ斜板と同様に、シリンダブロックの
両端側に配置されることから、無段変速機の径方向のコ
ンパクト化を大いに図ることができる。
【0060】また本発明の第2の特徴によれば、環状の
高圧油路及び低圧油路を、ポンプシリンダ孔群及びモー
タシリンダ孔群の半径方向内側に配置したので、環状の
高圧油路及び低圧油路の全長を極力短くすることができ
て、これら油路の小容積を図り、これら油路内の作動油
に介在する気泡の絶対量を少なくして、油圧伝動効率の
向上を図ることができる。
【0061】さらに本発明の第3の特徴によれば、ポン
ププランジャ及びモータプランジャを、シリンダブロッ
ク軸線を囲む第1ピッチ円上に交互に配列し、ポンププ
ランジャ及びモータプランジャより小径に形成された第
1分配弁及び第2分配弁を、第1ピッチ円より小径でそ
れと同心の第2ピッチ円上に交互に配置したので、シリ
ンダブロックにおけるポンプ及びモータプランジャ群の
半径方向内側のデッドスペースに第1及び第2分配弁群
が配置されることになり、したがって、ポンプ及びモー
タプランジャの往復動ストロークを充分に確保しつゝ、
無段変速機の更なる径方向のコンパクト化を図ることが
できる。しかも、第1及び第2分配弁は、ポンプ及びモ
ータプランジャより小径に形成してあるから、各プラン
ジャ群の内側でも容易に配置することができる。さらに
ポンププランジャとモータプランジャ、第1分配弁と第
2分配弁の、シリンダブロック周方向での交互配列によ
り、シリンダブロックの軸方向寸法を短縮させて、無段
変速機の軸方向でも、そのコンパクト化を図ることがで
きる。
【0062】さらにまた本発明の第4の特徴によれば、
第1弁斜板をポンプ斜板と同一斜面上に配置して、それ
と一体に形成し、また第2弁斜板をモータ斜板と同一斜
面上に配置して、それと一体に形成したので、ポンプ斜
板と第1弁斜板、モータ斜板と第2弁斜板の各一体化を
容易に行うことができると共に、無段変速機の軸方向の
更なるコンパクト化を図ることができる。
【0063】さらにまた本発明の第5の特徴によれば、
各ポンプシリンダ孔のポンプポートを、これが該ポンプ
シリンダ孔に対してシリンダブロックの周方向へ位相が
90°ずれた位置で第1分配弁により切換え制御される
ように形成し、また各モータシリンダ孔のモータポート
を、これが該モータシリンダ孔に対してシリンダブロッ
クの周方向へ位相が90°ずれた位置で第2分配弁によ
り切換え制御されるように形成したので、ポンプ斜板と
第1弁斜板、モータ斜板と第2弁斜板の各同方向傾斜配
置によるも、ポンププランジャ及びモータプランジャの
往復動に対応して第1分配弁及び第2分配弁の作動をタ
イミング良く的確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る無段変速機の縦断側
面図。
【図2】図1の2−2線断面図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】図3の一部変形例を示す断面図。
【図5】図1の5−5線断面図。
【図6】図1の6−6線断面図。
【図7】シリンダブロックの分解斜視図。
【図8】ポンププランジャ及び第1分配弁の作動タイミ
ング図。
【図9】モータプランジャ及び第2分配弁の作動タイミ
ング図。
【図10】本発明の第2実施例に係る油圧ポンプの縦断
側面図。
【符号の説明】
1 ・・・・第1ピッチ円 C2 ・・・・第2ピッチ円 P・・・・・油圧ポンプ M・・・・・油圧モータ T・・・・・無段変速機 X・・・・・シリンダブロック軸線 4・・・・・シリンダブロック 9a・・・・ポンプ斜板 9b・・・・第1弁斜板 19a・・・モータ斜板 19b・・・第2弁斜板 25・・・・ポンプシリンダ孔 25a・・・ポンプポート 26・・・・第1弁孔 27・・・・ポンププランジャ 28・・・・第1分配弁 39・・・・モータシリンダ孔 40・・・・第2弁孔 41・・・・モータプランジャ 42・・・・第2分配弁 47・・・・高圧油路 48・・・・低圧油路
フロントページの続き (72)発明者 高橋 雅子 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダブロック軸線(X)に平行且つ
    該軸線(X)を囲む環状に配列された多数のポンプシリ
    ンダ孔(25)及びモータシリンダ孔(39)、並びに
    ポンプシリンダ孔(25)に個別に連なる多数のポンプ
    ポート(25a)及びモータシリンダ孔(39)に個別
    に連なる多数のモータポート(39a)を有するシリン
    ダブロック(4)と、多数のポンプシリンダ孔(25)
    に摺動自在に嵌合する多数のポンププランジャ(27)
    と、多数のモータシリンダ孔(39)に摺動自在に嵌合
    する多数のモータプランジャ(41)と、シリンダブロ
    ック(4)の一端面に対向して配設され、それとの相対
    回転に伴いポンププランジャ(27)に往復動を与える
    ポンプ斜板(9a)と、シリンダブロック(4)の他端
    面に対向して配設され、それとの相対回転に伴いモータ
    プランジャ(41)に往復動を与えるモータ斜板(19
    a)と、前記軸線(X)を囲む環状の高圧油路(47)
    及び低圧油路(48)と、シリンダブロック(4)に設
    けられ、ポンプポート(25a)及びモータポート(3
    9a)をそれぞれ高圧油路(47)及び低圧油路(4
    8)に交互に連通切換えするスプール型の多数の第1分
    配弁(28)及び第2分配弁(42)とを備えた、斜板
    式無段変速機において、 環状の高圧油路(47)及び低圧油路(48)をシリン
    ダブロック(4)の軸方向に並設し、何れも上記両油路
    (47,48)と交差して前記軸線(X)と平行に延び
    るようにシリンダブロック(4)に設けられる多数の第
    1弁孔(26)及び第2弁孔(40)に多数の第1分配
    弁(28)及び第2分配弁(42)をそれぞれ摺動自在
    に嵌合し、シリンダブロック(4)との相対回転に伴い
    第1分配弁(28)及び第2分配弁(42)をそれぞれ
    往復動させる第1弁斜板(9b)及び第2弁斜板(19
    b)をポンプ斜板(9a)及びモータ斜板(19a)に
    それぞれ隣接して配設したことを特徴とする、斜板式無
    段変速機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のものにおいて、 環状の高圧油路(47)及び低圧油路(48)を、ポン
    プシリンダ孔(25)群及びモータシリンダ孔(39)
    群の半径方向内側に配置したことを特徴とする、斜板式
    無段変速機。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のものにおいて、 ポンププランジャ(27)及びモータプランジャ(4
    1)を、シリンダブロック軸線(X)を囲む第1ピッチ
    円(C1 )上に交互に配列し、ポンププランジャ(2
    7)及びモータプランジャ(41)より小径に形成され
    た第1分配弁(28)及び第2分配弁(42)を、第1
    ピッチ円(C1 )より小径でそれと同心の第2ピッチ円
    (C2 )上に交互に配置したことを特徴とする、斜板式
    無段変速機。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のものにおい
    て、 第1弁斜板(9b)をポンプ斜板(9a)と同一斜面上
    に配置して、それと一体に形成し、また第2弁斜板(1
    9b)をモータ斜板(19a)と同一斜面上に配置し
    て、それと一体に形成したことを特徴とする、斜板式無
    段変速機。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載のものにお
    いて、 各ポンプシリンダ孔(25)のポンプポート(25a)
    を、これが該ポンプシリンダ孔(25)に対してシリン
    ダブロック(4)の周方向へ位相が90°ずれた位置で
    第1分配弁(28)により切換え制御されるように形成
    し、また各モータシリンダ孔(39)のモータポート
    (39a)を、これが該モータシリンダ孔(39)に対
    してシリンダブロック(4)の周方向へ位相が90°ず
    れた位置で第2分配弁(42)により切換え制御される
    ように形成したことを特徴とする、斜板式無段変速機。
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