JPH1180286A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物

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JPH1180286A
JPH1180286A JP23986697A JP23986697A JPH1180286A JP H1180286 A JPH1180286 A JP H1180286A JP 23986697 A JP23986697 A JP 23986697A JP 23986697 A JP23986697 A JP 23986697A JP H1180286 A JPH1180286 A JP H1180286A
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JP
Japan
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component
unsaturated polyester
mol
weight
polybasic acid
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Application number
JP23986697A
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English (en)
Inventor
Fumio Matsui
二三雄 松井
Katsuhisa Morita
勝久 森田
Yoshitaka Hatano
善孝 波田野
Kentaro Takahashi
健太郎 高橋
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Highpolymer Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 迅速な硬化速度と硬化物が優れた耐熱性、機
械的強度および低吸湿性を有する熱硬化性樹脂組成物の
提供。 【解決手段】 (A)シクロヘキサンジメタノール、水
素化ビスフェノールA、ビスフェノールA−エチレンオ
キサイド付加物およびビスフェノールA−プロピレンオ
キサイド付加物の少なくとも1種、テレフタル酸、イソ
フタル酸、フマル酸からなる不飽和ポリエステル、
(B)フタル酸ジアリル、(C)有機過酸化物を含み、
(i)飽和多塩基酸成分中、イソフタル酸が70モル%
未満;(ii)飽和多塩基酸成分および不飽和多塩基酸成
分中、不飽和多塩基酸成分が10モル%以上70モル%
未満;(iii)(A)および(B)成分に対し(B)成
分が10重量%以上70重量%未満;(iv)(A)およ
び(B)成分に対し(C)成分が、0.2重量%以上5
重量%未満である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱硬化性樹脂組成物
に関するものであり、さらに詳しくは迅速な硬化速度と
硬化物が優れた耐熱性、機械的強度および低吸湿性を有
する熱硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に不飽和ポリエステル樹脂は、多
価アルコール成分としてプロピレングリコール、飽和多
塩基酸成分として無水フタル酸および不飽和多塩基酸成
分として無水マレイン酸またはフマル酸を重縮合して得
られたプレポリマーを、スチレンやメタクリル酸メチル
等のモノマーに溶解し、これらのモノマーと共重合、架
橋することで三次元硬化体として用いられている。
【0003】ポリスチレンやポリメタクリル酸メチルの
耐熱性はせいぜい100℃であり、従ってこれらの分子
構造を含む不飽和ポリエステルの耐熱性は、架橋構造に
よるいくらかの向上を考慮しうるとはいえ、さほどの耐
熱性能を期待できない。
【0004】一般に実用的にはガラス繊維補強すること
により、機械的強度と耐熱性の改良が図られているが、
そのような複合材料は成形加工が難しく、種々の製造上
の制約を余儀なくさせられているのが実情である。
【0005】また、耐水性や電気性能の改良のために、
上記のような不飽和ポリエステル樹脂のモノマーのごく
一部にフタル酸ジアリルを併用することも行われてい
る。
【0006】一方、アリル樹脂はアリルエステルのプレ
ポリマーを一般にイソフタル酸ジアリルのモノマーに溶
解し、共重合架橋することで、三次元硬化体として用い
られる。優れた耐熱性と耐水性を示すが、不飽和ポリエ
ステル樹脂と比較するとき、硬化性が悪くまた成形加工
性にも劣るため、アリル樹脂の歴史は古いものの、依然
としてマイナーな存在に止まっている樹脂である。
【0007】このような観点に立脚して論議を進めてみ
ると、不飽和ポリエステルとフタル酸ジアリルとの両者
の長所をうまく発現せしめて複合化ができれば、耐熱性
と硬化性との理想的な組み合わせとなることが予想され
る。本発明者らはこのような仮説を実現しうる不飽和ポ
リエステルの最適分子骨格を求めて、鋭意検討を行って
きた。なお従来一般的に用いられている不飽和ポリエス
テルプレポリマーでは、フタル酸ジアリルの骨格構造が
もつ耐熱性と比較したとき、性能のバランスを欠くこと
になるため、全く新たな視点から最適分子骨格構造を求
めることとした。
【0008】本発明者らは多くの試作品の性能評価を行
った結果、先に、1,4ブタンジオール、テレフタル酸
およびフマル酸を重縮合して得られた不飽和ポリエステ
ルとフタル酸ジアリルの組み合わせからなる樹脂組成物
を提案した(特願平8−295386号)。しかしなが
ら、この技術における樹脂組成物は、吸湿性が幾分高い
傾向があり、改善の余地があることが判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、迅速な硬化
速度を有し、硬化物が優れた耐熱性および機械的強度を
有し、しかも優れた低吸湿性を示す熱硬化性樹脂組成物
を工業的に提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な目的にかなう最適ポリエステル骨格を求めて鋭意検討
を行い、以下のような発明を達成するに至った。
【0011】すなわち本発明は、(A)多価アルコール
成分として、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビス
フェノールA、ビスフェノールA−エチレンオキサイド
付加物およびビスフェノールA−プロピレンオキサイド
付加物からなる群から選ばれた少なくとも1種、飽和多
塩基酸成分として、テレフタル酸(またはそのエステ
ル)および必要に応じてイソフタル酸(またはそのエス
テル)、および不飽和多塩基酸成分として、フマル酸ま
たは無水マレイン酸を重縮合して得られた数平均分子量
2500以上の不飽和ポリエステル、(B)フタル酸ジ
アリル、および(C)重合開始剤として有機過酸化物を
含有し、さらに下記条件(i)〜(iv)を具備する熱硬
化性樹脂組成物を提供するものである: (i) (A)成分の不飽和ポリエステルを構成する飽
和多塩基酸成分において、テレフタル酸(またはそのエ
ステル)およびイソフタル酸(またはそのエステル)の
総和におけるイソフタル酸(またはそのエステル)の比
率が、70モル%未満である; (ii) (A)成分の不飽和ポリエステルを構成する飽
和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸成分との総和における
不飽和多塩基酸成分であるフマル酸または無水マレイン
酸の比率が、10モル%以上、且つ70モル%未満であ
る; (iii) (A)成分の不飽和ポリエステルと(B)成
分のフタル酸ジアリルとの総和に対する(B)成分の重
量比率が、10重量%以上、且つ70重量%未満であ
る;および (iv) (A)成分の不飽和ポリエステルと(B)成分
のフタル酸ジアリルとの総和に対する(C)成分の重合
開始剤の重量比率が、0.2重量%以上、且つ5重量%
未満である。
【0012】また本発明は、(B)成分であるフタル酸
ジアリルのうち少なくとも40重量%以上がテレフタル
酸ジアリルである前記の熱硬化性樹脂組成物を提供する
ものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明における(A)成分の不飽
和ポリエステルは、数平均分子量が2500〜5000
といった中程度のものは、通常の不飽和ポリエステル合
成に用いられている方法で容易に合成することができ
る。なお、得られるポリエステルの融点が180℃を上
回らないようにすることが望ましい。融点が180℃を
超える不飽和ポリエステルでは、反応時にフマル酸の不
飽和結合にグリコールの付加反応が起きるため、ゲル化
の危険性が高くなる。数平均分子量が5000以上の不
飽和ポリエステルについては、例えば特公平6−891
26号に開示されているような方法で合成することが可
能である。この方法の特徴は、スタート時のグリコール
を若干過剰としてエステル化を進め、さらにチタン系な
どの特定の触媒を用い、1Torr程度の高真空条件で
脱グリコール反応をすすめて分子量の増大を図ることで
ある。この方法によると、従来の不飽和ポリエステルの
一般的な数平均分子量領域である2000程度と比較す
ると、はるかに大きな数平均分子量、例えば1万程度に
することができ、強度、耐久性、耐水性などの性能改良
が見られることが報告されている。
【0014】本発明における(A)成分の不飽和ポリエ
ステルを構成する多価アルコール成分としては、シクロ
ヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビス
フェノールA−エチレンオキサイド付加物、ビスフェノ
ールA−プロピレンオキサイド付加物のいずれかまたは
これらの2種以上の混合物を用いることができる。
【0015】また飽和多塩基酸成分としては、テレフタ
ル酸(またはそのエステル)および必要に応じてイソフ
タル酸(またはそのエステル)を用いることができる。
【0016】本発明における(A)成分の不飽和ポリエ
ステルを構成する不飽和多塩基酸としてはフマル酸が用
いられるが、シス型の無水マレイン酸を用いて、高温で
のフマル酸への転移を利用することも可能である。
【0017】(A)成分の不飽和ポリエステルを合成す
るには、先ず多価アルコール成分の過剰で飽和多塩基酸
成分を縮合せしめ、十分酸価が低下するのを待って、引
き続きフマル酸を添加して残りのエステル化反応を継続
するのが、ゲル化の危険性を少なく止めて合成する上で
有利である。(A)成分の不飽和ポリエステルは数平均
分子量が2500以上が好ましく、望ましくは3000
以上である。(A)成分の不飽和ポリエステルの数平均
分子量が2500未満では本発明の目的とする機械的強
度が不満足となる。
【0018】本発明の目的からは、(A)成分の不飽和
ポリエステルの融点はなるべく高くするのが最終的な樹
脂の耐熱性を高める上で好ましいが、あまり高温でのエ
ステル化反応時間が長くなると、上記のようにフマル酸
または無水マレイン酸へのグリコール付加反応が不可避
となり、遂にはゲル化に至るため、(A)成分の不飽和
ポリエステルの融点は最高で180℃に止めるのがよ
い。
【0019】上記の融点の範囲は、本発明により定義さ
れた各種成分の配合割合の範囲内で、多価アルコール成
分を何種類か組み合わせたり、テレフタル酸およびイソ
フタル酸の比率を調整したりすることにより容易に実現
可能である。
【0020】(A)成分の不飽和ポリエステルを構成す
る飽和多塩基酸成分において、イソフタル酸(またはそ
のエステル)を使用する場合、テレフタル酸(またはそ
のエステル)およびイソフタル酸(またはそのエステ
ル)の総和におけるイソフタル酸(またはそのエステ
ル)の比率は、70モル%未満、好ましくは60モル%
未満がよい。本発明において、テレフタル酸(またはそ
のエステル)およびイソフタル酸(またはそのエステ
ル)の総和におけるイソフタル酸(またはそのエステ
ル)の比率が70モル%以上では、不飽和ポリエステル
骨格の耐熱性が劣悪となり、本発明の目的が達成されな
い。
【0021】本発明において、(A)成分の不飽和ポリ
エステルを構成する飽和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸
との総和における不飽和多塩基酸成分であるフマル酸ま
たは無水マレイン酸の比率は、10モル%以上、且つ7
0モル%未満であることが望ましく、より好ましくは2
0モル%以上、60モル%未満である。フマル酸の比率
が10モル%未満では不飽和ポリエステルの合成時に融
点が高くなりすぎるために不飽和結合の反応によるゲル
化の危険性が高くなり、またフタル酸ジアリルとの共重
合性も不満足となる。また70モル%以上となると硬化
体の硬度は高いものの、耐熱性、機械的強度ともに本発
明の目的とするレベルに達しない。
【0022】本発明において、(A)成分の不飽和ポリ
エステルを溶解して樹脂とするための共重合可能なモノ
マーは(B)フタル酸ジアリルがよい。(A)成分と
(B)成分との総和における(B)フタル酸ジアリルの
重量比率は10重量%以上、且つ70重量%未満である
ことがよく、好ましくは20重量%以上、且つ60重量
%未満である。フタル酸ジアリルの重量比率が10重量
%未満では成形加工時の流動性が不十分となり、成形加
工性が難しくなる。一方、70重量%以上では本発明の
熱硬化性樹脂組成物を硬化せしめる際に硬化速度が遅く
なるだけでなく、硬化体の機械的強度、耐熱性ともに本
発明の目的に対して不満足なものとなる。
【0023】また、フタル酸ジアリルにはオルソ、イ
ソ、テレの各タイプがあるが、このうちテレのタイプが
とくに本発明の原料として好適である。テレフタル酸ジ
アリルに部分的にオルソ、イソ体を加えて硬化速度、硬
化体強度の改良を図ることもできるが本発明の目的とす
る耐熱性を実現するためには、(B)成分中にテレフタ
ル酸ジアリルを少なくとも40重量%以上含有している
ことが望ましい。また本発明においては、フタル酸ジア
リルの一部をマレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリ
ル、フマル酸ジアリルのような不飽和結合を含む他のア
リルエステル樹脂に替えてさらにその性能改良を図るこ
ともできる。ただし、その場合もフタル酸ジアリルの占
める割合は80重量%以上が好ましい。
【0024】本発明において用いられる(C)成分の重
合開始剤としての有機過酸化物は、ジアルキルパーオキ
サイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイ
ド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公
知のものを用いることができ、具体的には以下のような
ものが例示しうる。ベンゾイルパーオキサイド、t−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオ
キシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジブチル
パーオキシヘキサン。
【0025】本発明において、(A)成分と(B)成分
との総和に対する(C)成分の重量比率は、0.2重量
%以上、且つ5重量%未満がよく、さらに好ましくは、
0.5重量%以上、且つ3重量%未満である。(A)成
分と(B)成分との総和に対する(C)成分の重量比率
が、0.2重量%未満では樹脂組成物の硬化が不十分と
なり、機械的強度、難燃性共に本発明の目的とするレベ
ルには達しない。5重量%以上ではやはり機械的強度の
低下が避けられず、実用的とはいえない。
【0026】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、下記に
例示するような無機質充填材を併用してさらに性能向上
と増量によるコスト低減を図ることができる。シリカ、
アルミナ、アタパルジャイト、カオリンクレー、火山
灰、カーボンブラック、グラファイト、微粉珪酸、珪酸
カルシウム、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタン、
酸化鉄、水酸化マグネシウム、スレート粉、セリサイ
ト、石英粉、炭酸カルシウム、タルク、長石粉、バライ
ト、蛭石、ホワイティング、マイカ、ロウ石クレー、石
膏、各種水硬性セメント類。
【0027】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、各種の
繊維補強材を複合してその強度を一層高めることも可能
である。繊維補強材としては次のようなものが例示しう
る。ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ
繊維、ボロンフィラメント、タングステンフィラメン
ト、スチール繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリ
アミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、アクリ
ル繊維。
【0028】本発明の熱硬化性樹脂組成物を得るに際し
ては、各成分をロール、ニーダー、ブラベンダー、バン
バリーミキサー等の一般的に知られている混合用機器を
使用し、なるべく均一に混合させるのが望ましい。また
本発明の(A)成分の合成終了時に、(B)成分と高温
のまま直ちに混合して予め複合化しておく方法も便利で
ある。組成物はペレット、タブレット等の形状に加工し
て次の成形工程に供することができるが、粉砕したまま
の形状でも勿論利用可能である。
【0029】本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いた成形
方法としては、インジェクション成形、トランスファー
成形、プレス成形など一般的に知られている各種の成形
方法を用いて所望の形状に成形すると共に、加熱して有
機過酸化物が生成するラジカルにより、三次元硬化せし
めることができる。
【0030】硬化温度としては、有機過酸化物の種類に
応じて最適温度を選定する。一例を挙げてみると、有機
過酸化物として、ジキュミルパーオキサイドを使用する
とき、150℃で5分間キュアーして脱型し、170℃
で1時間アフターキュアーすることで完全な硬化が実施
しうる。これはアリル樹脂の硬化条件と比較したとき、
はるかにマイルドな条件であり、且つ短時間で完結して
おり、本発明の複合化が硬化性の面でも好都合であるこ
とが分かる。
【0031】なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物には硬
度、耐久性、耐水性、耐磨耗性等を改良するために前述
のフィラー以外に、増粘剤、滑剤、着色顔料、紫外線吸
収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、離型剤、イオン
捕捉剤等の添加剤を加えて更に一層の性能改善を図るこ
ともできる。
【0032】本発明の熱硬化性樹脂組成物はまた、材料
的にも容易かつ大量に入手しうるもので構成されており
極めて実用性が高いといえる。硬化体の耐熱性以外の他
性能もバランスのとれたものが実現しうることから、電
気、電子の分野、輸送機器、その他工業用製品での絶縁
材料、ハウジングや部品用の成形材料として有用であ
る。
【0033】
【作用】本発明の方法により迅速な硬化性、高度な耐熱
性および機械的強度、低い吸湿性が実現できた理由は次
のようなところにあると本発明者らは考えている。不飽
和ポリエステルの骨格構造にシクロヘキサンジメタノー
ル、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA−エチ
レンオキサイド付加物、ビスフェノールA−プロピレン
オキサイド付加物のいずれかまたはこれらの2種以上の
混合物、テレフタル酸および必要に応じてイソフタル
酸、フマル酸からなる従来にない高融点、耐熱性の骨格
を選定したこと、また共重合モノマーとしても耐熱性の
高いフタル酸ジアリルを選定したこと、および適切な三
次元架橋構造を実現したことが高い耐熱性を実現するこ
ととなったものである。またフタル酸ジアリルは硬化性
が必ずしも良好なモノマーではないが、これと相溶性が
良く硬化性に優れた上記の不飽和ポリエステルとの複合
化により、共重合性が向上し、硬化速度のみならず、機
械的強度、吸湿性も改良されたものと解釈される。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに説明するが、本発明は下記の例になんら限定される
ものではない。
【0035】[不飽和ポリエステル(A−1)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取
付けた5リットルのフラスコに1,4シクロヘキサンジ
メタノール1484g(10.3モル)、テレフタル酸
ジメチル680g(3.5モル)、オクチル酸亜鉛5.
0gを加え140〜185℃でエステル交換反応を行っ
た。次にイソフタル酸249g(1.5モル)を加えて
215℃で2時間反応を行った。次いで温度を170℃
まで下げ、フマル酸580g(5.0モル)、ハイドロ
キノン1.0gを追加し、さらに温度170〜200℃
でエステル化を続け酸価19となった段階で、フラスコ
内樹脂を金属製バットに注入し、冷却固化させた。得ら
れた不飽和ポリエステルは、淡黄色であり、GPCによ
る測定では、数平均分子量5000、重量平均分子量1
1000であった。またDSC測定による融点は156
℃であった。この不飽和ポリエステルを(A−1)とす
る。
【0036】[不飽和ポリエステル(A−2)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取
付けた5リットルのフラスコに水素化ビスフェノールA
1652g(7.0モル)、ビスフェノールA−エチレ
ンオキサイド付加物894g(3.0モル)、テレフタ
ル酸ジメチル1362g(7.0モル)、オクチル酸亜
鉛3.0gを加え140〜180℃でエステル交換反応
を行った。次に温度を170℃まで下げ、無水マレイン
酸348g(3.0モル)、ハイドロキノン0.5gを
追加し、さらに温度170〜200℃で5時間エステル
化を続け酸価18となった段階で、フラスコ内樹脂を金
属製バットに注入し、冷却固化させた。得られた不飽和
ポリエステルは、淡黄色であり、GPCによる測定で
は、数平均分子量4100、重量平均分子量9270で
あった。またDSC測定による融点は165℃であっ
た。この不飽和ポリエステルを(A−2)とする。
【0037】[不飽和ポリエステル(A−3)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取
付けた5リットルのフラスコに1,4−シクロヘキサン
ジメタノール1051g(7.3モル)、ビスフェノー
ルA−プロピレンオキサイド付加物978g(3.0モ
ル)、テレフタル酸ジメチル972g(5.0モル)、
オクチル酸亜鉛3.0gを加え140〜180℃でエス
テル交換反応を行った。次に温度を170℃まで下げ、
フマル酸580g(5.0モル)、ハイドロキノン1.
0gを追加し、さらに温度170〜200℃でエステル
化を続け酸価18となった段階で、フラスコ内樹脂を金
属製バットに注入し、冷却固化させた。得られた不飽和
ポリエステルは、淡褐色であり、GPCによる測定で
は、数平均分子量4200、重量平均分子量9300で
あった。またDSC測定による融点は148℃であっ
た。この不飽和ポリエステルを(A−3)とする。
【0038】[不飽和ポリエステル(A−4)の合成]
前述の不飽和ポリエステル(A−3)の合成における同
じ装置を用いて、1,4−シクロヘキサンジメタノール
1051g(7.3モル)、ビスフェノールA−プロピ
レンオキサイド付加物978g(3.0モル)、イソフ
タル酸ジメチル580g(5.0モル)を加え170〜
205℃でエステル化反応を行った。次に温度を170
℃まで下げ、フマル酸580g(5.0モル)、ハイド
ロキノン1.0gを追加し、さらに温度170〜200
℃でエステル化を続け酸価19となった段階で、フラス
コ内樹脂を金属製バットに注入し、冷却固化させた。得
られた不飽和ポリエステルは、淡褐色であり、GPCに
よる測定では、数平均分子量4100、重量平均分子量
9200であった。またDSC測定による融点は117
℃であった。この不飽和ポリエステルを(A−4)とす
る。
【0039】[不飽和ポリエステル(A−5)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取
付けた5リットルのフラスコに1,4−シクロヘキサン
ジメタノール1484g(10.3モル)、テレフタル
酸ジメチル291g(1.5モル)、オクチル酸亜鉛
5.0gを加え140〜185℃でエステル交換反応を
行った。次いで温度を170℃まで下げ、フマル酸98
6g(8.5モル)、ハイドロキノン1.0gを追加
し、さらに温度170〜200℃でエステル化を続け酸
価19となった段階で、フラスコ内樹脂を金属製バット
に注入し、冷却固化させた。得られた不飽和ポリエステ
ルは淡黄色であり、GPCによる測定では、数平均分子
量4800、重量平均分子量10900であった。また
DSC測定による融点は123℃であった。この不飽和
ポリエステルを(A−5)とする。
【0040】実施例1 不飽和ポリエステル(A−1)70重量部をフラスコ中
に秤取し、テレフタル酸ジアリル30重量部を加えて1
50℃に加熱し、よく撹拌混合した後内容物を金属製バ
ットに注入し、冷却固化させた。次に90℃に加熱した
ロールを用いて、表1に示す配合において、シリカとし
て珪石粉および(C)成分等の所定量を複合化し、冷却
後細粒状に粉砕した。このようにして得られた組成物を
用いてJIS K−6911に準拠して曲げ試験用試験
体を170℃で5分間プレス成形して作成した。試験体
はさらに180℃で1時間アフターキュアを行った後、
曲げ強度および曲げ弾性率を実施した。また200℃で
500時間過熱後の曲げ強度の保持率を測定した。さら
に煮沸1時間による煮沸吸水率も測定した。結果を表1
にまとめて示す。
【0041】実施例2〜5および比較例1〜5 各種成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以
外は、実施例1を繰り返した。結果を表1にまとめて示
す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、迅速な硬化速度を有
し、硬化物が優れた耐熱性および機械的強度を有し、し
かも優れた低吸湿性を示す熱硬化性樹脂組成物を工業的
に提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)多価アルコール成分として、シク
    ロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビ
    スフェノールA−エチレンオキサイド付加物およびビス
    フェノールA−プロピレンオキサイド付加物からなる群
    から選ばれた少なくとも1種、飽和多塩基酸成分とし
    て、テレフタル酸(またはそのエステル)および必要に
    応じてイソフタル酸(またはそのエステル)、および不
    飽和多塩基酸成分として、フマル酸または無水マレイン
    酸を重縮合して得られた数平均分子量2500以上の不
    飽和ポリエステル、(B)フタル酸ジアリル、および
    (C)重合開始剤として有機過酸化物を含有し、さらに
    下記条件(i)〜(iv)を具備する熱硬化性樹脂組成
    物: (i) (A)成分の不飽和ポリエステルを構成する飽
    和多塩基酸成分において、テレフタル酸(またはそのエ
    ステル)およびイソフタル酸(またはそのエステル)の
    総和におけるイソフタル酸(またはそのエステル)の比
    率が、70モル%未満である; (ii) (A)成分の不飽和ポリエステルを構成する飽
    和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸成分との総和における
    不飽和多塩基酸成分であるフマル酸または無水マレイン
    酸の比率が、10モル%以上、且つ70モル%未満であ
    る; (iii) (A)成分の不飽和ポリエステルと(B)成
    分のフタル酸ジアリルとの総和に対する(B)成分の重
    量比率が、10重量%以上、且つ70重量%未満であ
    る;および (iv) (A)成分の不飽和ポリエステルと(B)成分
    のフタル酸ジアリルとの総和に対する(C)成分の重合
    開始剤の重量比率が、0.2重量%以上、且つ5重量%
    未満である。
  2. 【請求項2】 (B)成分であるフタル酸ジアリルのう
    ち少なくとも40重量%以上がテレフタル酸ジアリルで
    ある請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11106445A (ja) * 1997-10-03 1999-04-20 Showa Highpolymer Co Ltd 熱硬化性樹脂組成物
JP2001114998A (ja) * 1999-10-18 2001-04-24 Takeda Chem Ind Ltd 不飽和ポリエステル樹脂及び成形材料用組成物

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