JP3827391B2 - 封止用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品および電気部品を外部環境から保護し、電気的な絶縁を行うための封止用樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは本発明は、高融点の不飽和ポリエステルとフタル酸ジアリルとをベース樹脂とし、これにシリカ充填材を複合した封止用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子や集積回路等の電子部品およびコイル等の電気部品を、温度、湿度、また衝撃等の外部環境から保護し、電気的な絶縁を行う目的で種々の封止が施されている。初期のダイオード等の製品では焼結セラミックスのパッケージが用いられていたが、半導体を中心とする需要が急増するとともに、樹脂封止法が開発され、セラミックスに替わって主流となるに至っている。
この樹脂封止材には、エポキシ樹脂にシリカ等のフィラーを複合した材料が用いられており、硬化剤としてはフェノールノボラック等のフェノール化合物が用いられている。
【0003】
とくに半導体を中心として、樹脂封止材に対する性能改良の要請が急であるが、それらは生産性の向上と高性能化とを志向するものとに大別される。
前者に属するものとして、三つの問題点がとくに重要視されている。
その一つは、パッケージをトランスファー成形するに際し、樹脂組成物はタブレットの形態で準備されるが、貯蔵中の硬化反応を抑制するために、冷凍または冷蔵しておく必要がある。それでもなお経時により成形加工に際して流動特性の変動が大きい。また冷凍または冷蔵されていたタブレットは結露の悪影響を避けるため、使用の前日から乾燥した雰囲気で予め常温にしておいてから加工に供する必要がある。
【0004】
第二の問題点は上記の様な配慮を払ってもなお、エポキシ樹脂は吸湿性が大きく、これが近年急速に主流となった表面実装による実装方法において不良品率増大の問題をもたらすことと関連している。つまり、表面実装方式では半田付けのために約250℃に急加熱されるが、吸湿した水分の気化膨張でパッケージクラックが発生する場合がある。エポキシ樹脂の吸湿性はエポキシ結合の開環反応に伴って生成する水酸基によるところが大であるため、本質に起因する問題であり、ほとんどその改良は不可能であるとされている。これまで吸湿性を低下させるには、シリカの含有量を上げ樹脂の比率を下げて改善する方式が追及されてきた。
【0005】
第三の問題点はエポキシ樹脂の硬化速度の問題であり、脱型後にさらに5〜10時間のアフターキュアを施してようやく製品化されている。この点もエポキシ樹脂の硬化が逐次の縮合反応であるという本質に起因する問題であり、その改善は極めて困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂封止材の上記のような問題は、その生産プロセスにおける徹底した合理化を阻み、結果として電子、電気部品の途上国等での海外生産化を加速する原因ともなっている。
本発明は、上記のような生産性の向上を阻害している種々の要因を解決し得る、成形加工性に優れ、迅速な硬化速度を有し、半田付けなどによる熱に耐性があり、しかも実用上十分な物性を有する封止用樹脂組成物を工業的に提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような観点から論議を進めていくと、エポキシ樹脂には反応形式に基づく本質的な問題点が付随していることは明瞭である。そこで本発明者らは硬化反応にエポキシの縮合反応に替えて新たにラジカル重合形式を検討した。
従来一般的に用いられている不飽和ポリエステル樹脂は、プレポリマーを共重合モノマーであるスチレンに溶解したものを、有機過酸化物でラジカル重合させて用いられている。生産性は良好であるが、耐熱性がエポキシ樹脂より劣り、封止用樹脂としてはほとんど用いられていない。
【0008】
一方、アリル樹脂はアリルエステルプレポリマーをフタル酸ジアリルモノマーに溶解したものをやはり、有機過酸化物でラジカル重合させて用いられている。耐熱性、吸湿性、電気絶縁性等に優れ、電気部品等にも用いられている。難点は硬化速度が遅く、生産性が低いことであり、その応用は限定されている。
【0009】
本発明者らは多くの試作品の性能評価を進めた結果、一定の耐熱性の条件を満たすような不飽和ポリエステル、フタル酸ジアリルモノマー、シリカ充填材、有機過酸化物および重合抑制剤を組み合わせたときに、本発明の目的を達成する封止用樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
(A)融点が130〜180℃の高融点の不飽和ポリエステル;
(B)これと共重合可能なモノマーであるフタル酸ジアリル;
(C)シリカ充填材;
(D)有機過酸化物;および
(E)重合抑制剤;を必須成分とし、
前記(A)不飽和ポリエステルおよび前記(B)フタル酸ジアリルに対する前記(A)不飽和ポリエステルの割合が30〜90重量%であり、且つ全体の樹脂組成物における、前記(C)シリカ充填材の割合が75〜95重量%であり、
前記(A)不飽和ポリエステルを構成する多塩基酸のうち、30〜90モル%が飽和多塩基酸であって、且つそれがテレフタル酸またはそのエステル、およびシクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステルからなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする封止用樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
さらに本発明は、
(A)融点が130〜180℃の高融点の不飽和ポリエステル;
(B)これと共重合可能なモノマーであるフタル酸ジアリル;
(C)シリカ充填材;
(D)有機過酸化物;および
(E)重合抑制剤;を必須成分とし、
前記(A)不飽和ポリエステルおよび前記(B)フタル酸ジアリルに対する前記(A)不飽和ポリエステルの割合が30〜90重量%であり、且つ全体の樹脂組成物における、前記(C)シリカ充填材の割合が75〜95重量%であり、
前記(A)不飽和ポリエステルを構成する多価アルコール成分として、1,4ブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれかを主成分として用いることを特徴とする封止用樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
さらにまた本発明は、(C)成分のシリカ充填材のうち、少なくとも50重量%以上が球状シリカであり、且つ前記球状シリカが1〜100ミクロンにわたる粒径分布を有する前記の封止用樹脂組成物を提供するものである。
【0014】
また本発明は、(E)成分としてα−メチルスチレンダイマーを(A)不飽和ポリエステルおよび(B)フタル酸ジアリルに対して0.05〜3.0重量%用いる前記の封止用樹脂組成物を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステルは、例えば特公平6−89126に開示されているような方法で合成することが可能である。
この方法の特長は、エステル化にチタン系などの特定の触媒を用い、さらに1Torr程度の高真空条件で脱グリコール反応を行うことである。この方法によると、従来の不飽和ポリエステルの一般的な数平均分子量領域である2500以下程度と比較したとき、はるかに大きな数平均分子量、例えば1万程度にすることができ、強度、耐久性、耐水性などの性能改良が見られることが報告されている。しかしながら、本発明で用いられる耐熱性不飽和ポリエステルは10000〜15000といった高分子量が必要条件ではなく、数平均分子量3000〜8000程度でも所望の性能が実現しうる。分子量3000〜8000といった中程度のものは、上記の合成方法にあっては脱グリコール反応を省略しても充分に合成可能である。
【0016】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステルを構成する原料のうち、飽和多塩基酸としては次のようなものが例示しうる。
テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸およびこれらのエステルからなる群から選ばれた一種、または数種の混合物。
本発明においてはテレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびこれらのエステルがとくに有効である。これらは必要に応じて併用することができる。また(A)不飽和ポリエステルを構成する多塩基酸のうち、30〜90モル%が飽和多塩基酸であるのが好ましい。
【0017】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステルを構成する原料のうち、不飽和多塩基酸としてはフマル酸が好適に用いられが、一般的に使用されているように、シス型の無水マレイン酸を用いて、高温でのフマル酸への転移を利用することも可能である。
【0018】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステルを構成する原料のうち、多価アルコール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラフェニレンエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ジフェノール、ハイドロキノンエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
本発明においては、1,4ブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いるのがとくに有効である。
【0019】
(A)成分の不飽和ポリエステルを合成するには、先ず多価アルコール過剰で飽和多塩基酸を縮合せしめ、引き続きフマル酸を添加して残りのエステル化反応を継続するのがゲル化の危険性を少なくする点で有利である。
【0020】
(A)成分の不飽和ポリエステルは、数平均分子量が3000以上がよく、より望ましくは4000以上である。(A)成分の不飽和ポリエステルの数平均分子量が3000未満では、本発明の目的とする機械的強度が不満足となる。
【0021】
(A)成分の不飽和ポリエステルの融点130〜180℃が好ましく、より望ましくは140〜170℃である。(A)成分の不飽和ポリエステルの融点が130℃未満では、本発明の目的とする高耐熱性が実現されない。また融点が180℃を超える不飽和ポリエステルは、製造時にフマル酸の二重結合の反応開始による分岐構造の生成とともに、ゲル化の発生が避けられない。融点が180℃を超える不飽和ポリエステルは、例えば溶剤を用いる方法で合成することができるが(特願平8−107502号)、この方法は最終的に脱溶剤のプロセスが必要であり、コスト的に不利であるため、工業的な封止用樹脂組成物の提供を目的とする本発明には不向きである。
【0022】
本発明において、(A)成分の不飽和ポリエステルを構成する飽和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸との総和における不飽和多塩基酸成分(例えばフマル酸)の比率は、10〜70モル%であることが望ましく、より好ましくは20〜60モル%がよい。フマル酸の比率が10モル%未満では不飽和ポリエステルの合成時に融点が高くなりすぎるために不飽和結合の反応によるゲル化の危険性が高くなる。また70モル%を超えると硬化体の硬度は高いものの、硬化速度は遅くなり、耐熱性、機械的強度ともに本発明の目的とするレベルに達しない。
【0023】
本発明において、(A)成分の不飽和ポリエステルを溶解して樹脂とするための共重合可能なモノマーは(B)フタル酸ジアリルがよく、通常用いられるスチレンでは耐熱性が不十分である。(A)成分と(B)成分との総和におけるフタル酸ジアリルの重量比率は10〜70重量%であることがよく、好ましくは20〜60重量%である。フタル酸ジアリルの重量比率が10重量%未満では、成形加工時の流動性が不十分となり、成形加工が難しくなる。一方、70重量%を超えると組成物を硬化せしめる際に硬化速度が遅くなるだけでなく、硬化体の機械的強度、耐熱性ともに本発明の目的に対して不満足なものとなる。
【0024】
また、フタル酸ジアリルにはオルソ、イソ、テレの各タイプがあるが、このうちテレのタイプがとくに本発明の原料として好適である。テレフタル酸ジアリルに部分的にオルソ、イソ体を加えて硬化速度、硬化体強度の改良を図ることもできるが本発明の目的とする耐熱性を実現するためには、テレフタル酸ジアリルを少なくとも40重量%以上含有していることが望ましい。また本発明においては、フタル酸ジアリルの一部をマレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、フマル酸ジアリルのような不飽和結合を含む他のアリルエステル樹脂に替えてさらにその性能改良を図ることもできる。ただし、その場合もフタル酸ジアリルの占める割合は80重量%以上が好ましい。
【0025】
本発明で用いられる(C)シリカ充填材としては、天然純度珪石を粉砕して作られる結晶性シリカ、珪石をいったん溶融し石英ガラスとした後粉砕して作られる溶融シリカ、またはそれらの混合物を使用することができる。電気絶縁性、耐水性、低熱膨張率、高熱伝導性等の性質がそれぞれ異なるために、要求される特性に応じてシリカの選定を進める必要がある。
【0026】
一般にシリカ充填材の充填量が増えるほど樹脂封止材としての性能は向上するために、成形時の流動性が許される限りにおいて、シリカ充填量は最大にするのが好ましい。このための条件としては、シリカ充填材の形状は球状でかつその粒度分布は広く、細密充填に限りなく近付けるのが理想的といえる。本発明においては、シリカ充填材の少なくとも50重量%以上が球状であり、且つ1〜100ミクロンにわたる広い粒径分布を有することが好ましい。この範囲をはずれたものでは、高充填が達成されない。
本発明の封止用樹脂組成物に対する(C)シリカ充填材の配合割合は、75〜95重量%である。75重量%未満では、硬化収縮、熱膨張率、電気絶縁性、耐水性等が劣悪であり、95重量%を超えると流動性に乏しく、成形加工性が不良となり好ましくない。
【0027】
本発明の封止用樹脂組成物には、下記に例示するような無機質充填材を併用してさらに性能向上と増量によるコスト低減を図ることができる。
アスベスト、アルミナ、アタパルジャイト、カオリンクレー、火山灰、カーボンブラック、グラファイト、微粉珪酸、珪酸カルシウム、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、水酸化マグネシウム、スレート粉、セリサイト、炭酸カルシウム、タルク、長石粉、バライト、蛭石、ホワイティング、マイカ、ロウ石クレー、石膏、各種水硬性セメント類。
【0028】
本発明の封止用樹脂組成物を硬化させるには従来不飽和ポリエステルで用いられている硬化方法を採用しうるが、中でも(D)有機過酸化物を用いて加熱硬化するのが簡便である。(D)有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公知のものを用いることができ、具体的には以下のようなものが例示しうる。
ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジブチルパーオキシヘキサン。
(D)有機過酸化物の使用量は、封止用樹脂組成物に対して0.5〜4重量%程度の範囲が好ましい。
【0029】
本発明において使用される(E)重合抑制剤としては、以下の様なものが例示される。p−ベンゾキノン、ジフェニルビクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、第三ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フェノチアジン、N,N’−ジ−ナフチル−p−フェニレンジアミン、α−メチルスチレンダイマー。
このうち、本発明の封止用樹脂組成物には、とくにα−メチルスチレンダイマーが好適である。
(E)重合抑制剤の使用量は、封止用樹脂組成物に対して0.05〜3.0重量%程度の範囲が好ましい。
【0030】
本発明の封止用樹脂組成物を得るには、各成分をロール、ニーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー等の一般的に知られている混合用機器を使用し、なるべく均一に混合させるのが望ましい。組成物はペレット、タブレット等の形状にして次の成形工程に供することができる。
【0031】
樹脂封止材の成形方法としては、インジェクション成形、トランスファー成形、プレス成形など一般的に知られている成形方法を用いて所望の形状に成形すると共に、加熱して有機過酸化物が生成するラジカルにより、三次元硬化せしめることができる。
【0032】
硬化温度としては、(D)有機過酸化物の種類に応じて最適温度を選定する。一例を挙げてみると、(D)有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイドを使用するとき、150℃で5分間キュアーして脱型し、170℃で1時間アフターキュアーすることで完全な硬化が実施しうる。これはアリル樹脂の硬化条件と比較したとき、はるかにマイルドな条件であり、且つ短時間で完結する。
【0033】
なお、本発明の封止用樹脂組成物には硬度、耐久性、耐水性、耐摩耗性等を改良するために前述のフィラー以外に、増粘剤、滑剤、着色顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、離型剤、イオン捕捉剤等の添加剤を加えてさらに一層の性能改善を図ることもできる。
【0034】
本発明の封止用樹脂組成物はまた、材料的にも容易かつ大量に入手しうるもので構成されており極めて実用性が高いといえる。硬化体の耐熱性以外の他性能もバランスのとれたものが実現しうることから、半導体素子や集積回路等の電子部品およびコイル等の電気部品における樹脂封止材として有用である。
【0035】
【作用】
本発明の方法により迅速な硬化性と高度な耐熱性、絶縁性が実現できた理由は次のようなところにあると本発明者らは考えている。
不飽和ポリエステルの骨格構造に従来にない高融点、耐熱性の骨格を選定したこと、また共重合モノマーとしても耐熱性の高いフタル酸ジアリルを選定したこと、および適切な三次元架橋構造を実現したことがまず第一に挙げられる。
さらに重要なことは、この樹脂骨格がシリカ充填材表面に対して極めて良好な密着性を示すことであり、これにより期待以上の機械的強度、耐熱性が現実のものとなった。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記の例になんら限定されるものではない。
(不飽和ポリエステル(A−1)の合成)
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、1,4ブタンジオール470g(5.20モル)、テレフタル酸ジメチル583g(3.0モル)、オクチル酸亜鉛3.0gを加え140〜180℃でエステル化反応を行なった。次に温度を170℃まで下げ、フマル酸232g(2.0モル)、ハイドロキノン0.5gを追加し、さらに温度170〜200℃でエステル化を続け酸価25となった段階で、テトライソプロピルチタネート1.3g、亜リン酸0.2gを加え、190〜200℃で当初7〜10Torr、最終的には3.5Torr迄減圧した。4時間の反応後フラスコ内容物を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
得られた不飽和ポリエステルは、淡黄色であり、GPCによる測定では、数平均分子量5800、重量平均分子量135000であり、またTMA測定による融点は145℃であった。これを(A−1)とする。
【0037】
(不飽和ポリエステル(A−2)の合成)
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、1,4シクロヘキサンジメタノール749g(5.20モル)、テレフタル酸ジメチル389g(2.0モル)、オクチル酸亜鉛3.0gを加え140〜180℃でエステル化反応を行なった。次に温度を170℃まで下げ、無水マレイン酸348g(3.0モル)、ハイドロキノン0.5gを追加し、さらに温度170〜200℃でエステル化を続け酸価18となった段階で、テトライソプロピルチタネート1.3g、亜リン酸0.2gを加え、190〜200℃で6時間の反応後フラスコ内容物を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
得られた不飽和ポリエステルは、淡黄色であり、GPCによる測定では、数平均分子量4100、重量平均分子量10800であり、またTMA測定による融点は175℃であった。これを(A−2)とする。
【0038】
(不飽和ポリエステル(A−3)の合成)
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、1,4シクロヘキサンジメタノール470g(5.20モル)、シクロヘキサンジカルボン酸688g(4.0モル)を加え190〜220℃でエステル化反応を行なった。次に温度を170℃まで下げ、フマル酸116g(1.0モル)、ハイドロキノン0.5gを追加し、さらに温度170〜200℃でエステル化を続け酸価20となった段階で、テトライソプロピルチタネート1.3g、亜リン酸0.2gを加え、190〜200℃で当初7〜10Torr、最終的には4.0Torr迄減圧した。5時間の反応後、フラスコ内容物を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
得られた不飽和ポリエステルは、淡黄色であり、GPCによる測定では、数平均分子量6800、重量平均分子量14300であり、またTMA測定による融点は123℃であった。これを(A−3)とする。
【0039】
(不飽和ポリエステル(A−4)の合成)
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、1,4ブタンジオール470g(5.20モル)、テレフタル酸ジメチル194g(1.0モル)、オクチル酸亜鉛3.0gを加え140〜180℃でエステル化反応を行なった。次に温度を170℃まで下げ、フマル酸464g(4.0モル)、ハイドロキノン0.5gを追加し、さらに温度170〜200℃でエステル化を続け酸価24となった段階で、テトライソプロピルチタネート1.3g、亜リン酸0.2gを加え、190〜200℃で当初7〜10Torr、最終的には4.1Torr迄減圧した。5時間の反応後、フラスコ内容物を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
得られた不飽和ポリエステルは、淡黄色であり、GPCによる測定では、数平均分子量5300、重量平均分子量115000であり、またTMA測定による融点は128℃であった。これを(A−4)とする。
【0040】
(不飽和ポリエステル(A−5)の合成)
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、1,4ブタンジオール470g(5.20モル)、テレフタル酸ジメチル892g(4.6モル)、オクチル酸亜鉛3.0gを加え140〜180℃でエステル交換反応を行なった。反応開始後約1時間で内容物の粘度が急に上昇し撹拌が不可能になったため、それ以降の反応を中止した。
【0041】
実施例1
(A−1)500重量部をフラスコ中に秤取し、テレフタル酸ジアリル400重量部およびイソフタル酸ジアリル100重量部を加えて150℃に加熱し、よく撹拌混合した後、内容物を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
次に80℃に加熱したロールを用い、表1に示すように(C)、(D)、(E)成分および他の充填剤の所定量を混合し、冷却後細粒状に粉砕した。
このようにして得られた封止用樹脂組成物を用い、JIS K−6911に準拠して曲げ試験用試験体を165℃で5分間プレス成形して作成した。試験体はさらに180℃で1時間アフターキュアを行なった後、強度測定(曲げ強度、曲げ弾性率および200℃熱間曲げ強度)を実施した。結果を表1に示す。
【0042】
実施例2および比較例1〜6
(A)〜(E)成分の混合比率を変えたこと以外は実施例1を繰り返した。結果を表1にまとめて示す。
【0043】
なお、表1に示すシリカは次のような性状のものを用いた。
溶融シリカ粉末A:球状、粒度分布の中心径 2μm
破砕シリカ粉末B:破砕状、粒度分布の中心径 10μm
溶融シリカ粉末C:球状、粒度分布の中心径 40μm
【0044】
【表1】
Figure 0003827391
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、生産性の向上を阻害している従来の種々の要因を解決し、成形加工性に優れ、迅速な硬化速度を有し、半田付けなどによる熱に耐性があり、しかも実用上十分な物性を有する封止用樹脂組成物が工業的に提供される。

Claims (4)

  1. (A)融点が130〜180℃の高融点の不飽和ポリエステル;
    (B)これと共重合可能なモノマーであるフタル酸ジアリル;
    (C)シリカ充填材;
    (D)有機過酸化物;および
    (E)重合抑制剤;を必須成分とし、
    前記(A)不飽和ポリエステルおよび前記(B)フタル酸ジアリルに対する前記(A)不飽和ポリエステルの割合が30〜90重量%であり、且つ全体の樹脂組成物における、前記(C)シリカ充填材の割合が75〜95重量%であり、
    前記(A)不飽和ポリエステルを構成する多塩基酸のうち、30〜90モル%が飽和多塩基酸であって、且つそれがテレフタル酸またはそのエステル、およびシクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステルからなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする封止用樹脂組成物。
  2. (A)融点が130〜180℃の高融点の不飽和ポリエステル;
    (B)これと共重合可能なモノマーであるフタル酸ジアリル;
    (C)シリカ充填材;
    (D)有機過酸化物;および
    (E)重合抑制剤;を必須成分とし、
    前記(A)不飽和ポリエステルおよび前記(B)フタル酸ジアリルに対する前記(A)不飽和ポリエステルの割合が30〜90重量%であり、且つ全体の樹脂組成物における、前記(C)シリカ充填材の割合が75〜95重量%であり、
    前記(A)不飽和ポリエステルを構成する多価アルコール成分として、1,4ブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれかを主成分として用いることを特徴とする封止用樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分のシリカ充填材のうち、少なくとも50重量%以上が球状シリカであり、且つ前記球状シリカが1〜100ミクロンにわたる粒径分布を有する請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物。
  4. 前記(E)成分としてα−メチルスチレンダイマーを前記(A)不飽和ポリエステルおよび前記(B)フタル酸ジアリルに対して0.05〜3.0重量%用いる請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物。
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